JP2014199093A - 自動変速機装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】4つの遊星歯車機構と4つのクラッチと2つのブレーキによる新たな自動変速機装置を提案すると共に動力の伝達効率の向上を図る。
【解決手段】シングルピニオン式の4つの遊星歯車機構P1,P2,P3,P4を備え、連結要素R1〜R3により、キャリアP12とキャリアP22とリングギヤP43、リングギヤP23とキャリアP32、リングギヤP33とキャリアP42を連結し、クラッチC1〜C4により、サンギヤP11とサンギヤP31、サンギヤP11とサンギヤP41、第1連結要素R1とサンギヤP41、第2連結要素R2とサンギヤP41を接続し、ブレーキB1,B2により、サンギヤP21、サンギヤP31をケース2に接続し、入力軸3を第2連結要素R2を接続し、出力ギヤ4をリングギヤP13に接続する。これにより、前進10速段と後進段に変速可能な自動変速機装置を構成することができる。
【選択図】図1
【解決手段】シングルピニオン式の4つの遊星歯車機構P1,P2,P3,P4を備え、連結要素R1〜R3により、キャリアP12とキャリアP22とリングギヤP43、リングギヤP23とキャリアP32、リングギヤP33とキャリアP42を連結し、クラッチC1〜C4により、サンギヤP11とサンギヤP31、サンギヤP11とサンギヤP41、第1連結要素R1とサンギヤP41、第2連結要素R2とサンギヤP41を接続し、ブレーキB1,B2により、サンギヤP21、サンギヤP31をケース2に接続し、入力軸3を第2連結要素R2を接続し、出力ギヤ4をリングギヤP13に接続する。これにより、前進10速段と後進段に変速可能な自動変速機装置を構成することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、入力部材に入力された動力を変速して出力部材に出力する自動変速機装置に関する。
従来、この種の自動変速機装置としては、4つの遊星歯車機構と、3つのクラッチと3つのブレーキとからなる6つの係合要素により前進7速段と後進段とを形成可能なものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この背景技術としての従来例の自動変速機装置では、4つの遊星歯車機構として、ギヤ比(遊星歯車機構におけるサンギヤの歯数/リングギヤの歯数)が0.544の1つのダブルピニオン式の遊星歯車機構と、ギヤ比が0.439,0.310, 0.535の3つのシングルピニオン式の遊星歯車機構とを用い、6つの係合要素のうちの2つの係合要素を係合すると共に4つの係合要素の係合を解除することにより前進7速段と後進段とを形成する。このとき、最低速段の前進1速段のギヤ比は4.222となり、最高速段の前進7速段のギヤ比は0.695となるため、ギヤ比幅(最低速段のギヤ比/最高速段のギヤ比)は6.06となる。
こうした自動変速機装置では、4つの遊星歯車機構と6つの係合要素とによって自動変速機を構成する場合、4つの遊星歯車機構の各回転要素の接続や6つの係合要素の取り付け方は多数存在し、接続や取り付け方によっては自動変速機装置として機能することができるものと機能することができないものとが存在する。このため、自動変速機装置として機能する接続や取り付け方を見つけるのは困難なものとなる。
また、自動変速機装置を構成する遊星歯車機構としては、シングルピニオン式の遊星歯車機構とダブルピニオン式の遊星歯車機構とがあるが、ダブルピニオン式の遊星歯車機構は、径方向に2列のピニオンギヤを有するため、ピニオンギヤ同士の噛み合いが生じ、シングルピニオン式の遊星歯車機構に比して、ギヤの噛み合い損失が増加し、動力の伝達効率が低下してしまう。また、ダブルピニオン式の遊星歯車機構は、径方向に2列のピニオンギヤを有するため、シングルピニオン式の遊星歯車機構に比して、部品点数が多くなり、組み付け性や経済性も低下する。このため、自動変速機装置を構成する4つの遊星歯車機構は、できるだけ多くをシングルピニオン式の遊星歯車機構で構成するのが好ましい。
さらに、自動変速機装置では、ギヤ比幅(最低速段のギヤ比/最高速段のギヤ比)が大きくなれば、搭載される車両の燃費と加速とを両立することができるから、ギヤ比幅が大きい方が好ましい。一方、ステップ比(1つ低速側の変速段のギヤ比/その変速段のギヤ比)が大きいと、変速の前後における滑らかな加速を損なってしまう。このため、自動変速比装置では、適正な範囲のステップ比でギヤ比幅を大きくするために、前進側の変速段の段数は多い方が好ましい。
また、自動変速機装置の係合要素は、解放されていても僅かな接触による引き摺り損失が生じるため、変速段を形成する際に解放される係合要素が多いと引き摺り損失により動力の伝達効率が低下してしまう。このため、自動変速機装置では、各変速段を形成する際に解放される係合要素は少ない方が好ましい。
本発明の自動変速機装置は、4つの遊星歯車機構と6つの係合要素とによる新たな自動変速機装置を提案することを主目的とし、更に、動力の伝達効率の向上を図ることを更なる目的とする。
本発明の自動変速機装置は、少なくとも上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の自動変速機装置は、
入力部材に入力された動力を変速して出力部材に出力する自動変速機装置であって、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第1回転要素と第2回転要素と第3回転要素とを有する第1遊星歯車機構と、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第4回転要素と第5回転要素と第6回転要素とを有する第2遊星歯車機構と、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第7回転要素と第8回転要素と第9回転要素とを有する第3遊星歯車機構と、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第10回転要素と第11回転要素と第12回転要素とを有する第4遊星歯車機構と、
前記第2回転要素と前記第5回転要素と前記第12回転要素とを連結する第1連結要素と、
前記第6回転要素と前記第8回転要素とを連結する第2連結要素と、
前記第9回転要素と前記第11回転要素とを連結する第3連結要素と、
前記第1回転要素と前記第7連結要素とを係合すると共に該係合を解放する第1クラッチと、
前記第1回転要素と前記第10回転要素とを係合すると共に該係合を解放する第2クラッチと、
前記第1連結要素と前記第10回転要素とを係合すると共に該係合を解放する第3クラッチと、
前記第2連結要素と前記第10回転要素とを係合すると共に該係合を解放する第4クラッチと、
前記第4回転要素を自動変速機装置ケースに固定可能に係合すると共に該係合を解放する第1ブレーキと、
前記第7回転要素を前記自動変速機装置ケースに固定可能に係合すると共に該係合を解放する第2ブレーキと、
を備え、
前記入力部材を前記第2連結要素に接続し、
前記出力部材を前記第3回転要素に接続してなる、
ことを特徴とする。
入力部材に入力された動力を変速して出力部材に出力する自動変速機装置であって、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第1回転要素と第2回転要素と第3回転要素とを有する第1遊星歯車機構と、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第4回転要素と第5回転要素と第6回転要素とを有する第2遊星歯車機構と、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第7回転要素と第8回転要素と第9回転要素とを有する第3遊星歯車機構と、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第10回転要素と第11回転要素と第12回転要素とを有する第4遊星歯車機構と、
前記第2回転要素と前記第5回転要素と前記第12回転要素とを連結する第1連結要素と、
前記第6回転要素と前記第8回転要素とを連結する第2連結要素と、
前記第9回転要素と前記第11回転要素とを連結する第3連結要素と、
前記第1回転要素と前記第7連結要素とを係合すると共に該係合を解放する第1クラッチと、
前記第1回転要素と前記第10回転要素とを係合すると共に該係合を解放する第2クラッチと、
前記第1連結要素と前記第10回転要素とを係合すると共に該係合を解放する第3クラッチと、
前記第2連結要素と前記第10回転要素とを係合すると共に該係合を解放する第4クラッチと、
前記第4回転要素を自動変速機装置ケースに固定可能に係合すると共に該係合を解放する第1ブレーキと、
前記第7回転要素を前記自動変速機装置ケースに固定可能に係合すると共に該係合を解放する第2ブレーキと、
を備え、
前記入力部材を前記第2連結要素に接続し、
前記出力部材を前記第3回転要素に接続してなる、
ことを特徴とする。
この本発明の自動変速機装置では、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第1回転要素と第2回転要素と第3回転要素とを有する第1遊星歯車機構と、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第4回転要素と第5回転要素と第6回転要素とを有する第2遊星歯車機構と、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第7回転要素と第8回転要素と第9回転要素とを有する第3遊星歯車機構と、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第10回転要素と第11回転要素と第12回転要素とを有する第4遊星歯車機構と、を備え、第2回転要素と第5回転要素と第12回転要素とを第1連結要素により連結し、第6回転要素と第8回転要素とを第2連結要素により連結し、第9回転要素と第11回転要素とを第3連結要素により連結する。また、第1クラッチを介して第1回転要素と第7連結要素とを接続し、第2クラッチを介して第1回転要素と第10回転要素とを接続し、第3クラッチを介して第1連結要素と第10回転要素とを接続し、第4クラッチを介して第2連結要素と第10回転要素とを接続する。さらに、第1ブレーキにより第4回転要素を自動変速機装置ケースに接続し、第2ブレーキにより第7回転要素を自動変速機装置ケースに接続する。そして、入力部材を第2連結要素に接続し、出力部材を第3回転要素に接続する。これにより、4つの遊星歯車機構と4のクラッチと2つのブレーキとにより機能可能な自動変速装置を構成することができる。
こうした本発明の自動変速機装置において、前進1速段から前進10速段および後進段を以下のように構成することができる。
(1)前進1速段は、前記第1クラッチと前記第3クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第2クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成する。
(2)前進2速段は、前記第1クラッチと前記第4クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第2クラッチと前記第3クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成する。
(3)前進3速段は、前記第1クラッチと前記第2クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第3クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成する。
(4)前進4速段は、前記第2クラッチと前記第4クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第3クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成する。
(5)前進5速段は、前記第2クラッチと前記第3クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成する。
(6)前進6速段は、前記第1クラッチと前記第2クラッチと前記第3クラッチとを係合すると共に前記第4クラッチと前記第1ブレーキと前記第2ブレーキとを解放することにより形成する。
(7)前進7速段は、前記第2クラッチと前記第3クラッチと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第4クラッチと前記第1ブレーキとを解放することにより形成する。
(8)前進8速段は、前記第2クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第3クラッチと前記第1ブレーキとを解放することにより形成する。
(9)前進9速段は、前記第1クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第2クラッチと前記第3クラッチと前記第1ブレーキとを解放することにより形成する。
(10)前進10速段は、前記第1クラッチと前記第2クラッチと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第3クラッチと前記第4クラッチと前記第1ブレーキとを解放することにより形成する。
(11)後進段は、前記第2クラッチと前記第1ブレーキと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第3クラッチと前記第4クラッチとを解放することにより形成する。
こうすれば、4つの遊星歯車機構と4つのクラッチと2つのブレーキにより前進1速段から前進10速段および後進段の変速が可能な装置とすることができる。この結果、本発明の自動変速機装置は、前進1速段から前進7速段および後進段の変速が可能な従来例の自動変速機装置に比して、前進側の変速段の段数を多くすることができ、従来例の自動変速機装置に比して、搭載される車両の燃費と加速との両立を図った上で燃費の向上を図ることができると共に、変速の前後における滑らかな加速を保持することができる。
(1)前進1速段は、前記第1クラッチと前記第3クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第2クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成する。
(2)前進2速段は、前記第1クラッチと前記第4クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第2クラッチと前記第3クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成する。
(3)前進3速段は、前記第1クラッチと前記第2クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第3クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成する。
(4)前進4速段は、前記第2クラッチと前記第4クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第3クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成する。
(5)前進5速段は、前記第2クラッチと前記第3クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成する。
(6)前進6速段は、前記第1クラッチと前記第2クラッチと前記第3クラッチとを係合すると共に前記第4クラッチと前記第1ブレーキと前記第2ブレーキとを解放することにより形成する。
(7)前進7速段は、前記第2クラッチと前記第3クラッチと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第4クラッチと前記第1ブレーキとを解放することにより形成する。
(8)前進8速段は、前記第2クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第3クラッチと前記第1ブレーキとを解放することにより形成する。
(9)前進9速段は、前記第1クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第2クラッチと前記第3クラッチと前記第1ブレーキとを解放することにより形成する。
(10)前進10速段は、前記第1クラッチと前記第2クラッチと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第3クラッチと前記第4クラッチと前記第1ブレーキとを解放することにより形成する。
(11)後進段は、前記第2クラッチと前記第1ブレーキと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第3クラッチと前記第4クラッチとを解放することにより形成する。
こうすれば、4つの遊星歯車機構と4つのクラッチと2つのブレーキにより前進1速段から前進10速段および後進段の変速が可能な装置とすることができる。この結果、本発明の自動変速機装置は、前進1速段から前進7速段および後進段の変速が可能な従来例の自動変速機装置に比して、前進側の変速段の段数を多くすることができ、従来例の自動変速機装置に比して、搭載される車両の燃費と加速との両立を図った上で燃費の向上を図ることができると共に、変速の前後における滑らかな加速を保持することができる。
上述したように、前進1速段から前進10速段および後進段のいずれの変速段も、4つのクラッチと2つのブレーキとからなる6つの係合要素のうち3つの係合要素を係合すると共に3つの係合要素の係合を解放することによって形成するから、本発明の自動変速機装置は、6つの係合要素のうちの2つの係合要素を係合すると共に4つの係合要素の係合を解放する従来例の自動変速機装置に比して、解放する係合要素を少なくすることができる。係合要素は、解放されていても僅かな接触による引き摺り損失が生じるため、変速段を形成する際に解放される係合要素が多いと引き摺り損失により動力の伝達効率が低下する。本発明の自動変速機装置は、従来例の自動変速機装置に比して、解放する係合要素を少なくしているから、従来例の自動変速機装置に比して、動力の伝達効率を高くすることができる。
上述の本発明の自動変速機装置において、前記第1遊星歯車機構と前記第2遊星歯車機構と前記第3遊星歯車機構と前記第4遊星歯車機構は、いずれもサンギヤとリングギヤとキャリアとを前記3つの回転要素とするシングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されてなり、前記第1回転要素と前記第4回転要素と前記第7回転要素と前記第10回転要素は、いずれもサンギヤであり、前記第2回転要素と前記第5回転要素と前記第8回転要素と前記第11回転要素は、いずれもキャリアであり、前記第3回転要素と前記第6回転要素と前記第9回転要素と前記第12回転要素は、いずれもリングギヤである、ことを特徴とするものとすることもできる。即ち、4つの遊星歯車機構のすべてをシングルピニオン式の遊星歯車機構として構成している。ダブルピニオン式の遊星歯車機構は、径方向に2列のピニオンギヤを有するため、ピニオンギヤ同士の噛み合いが生じ、シングルピニオン式の遊星歯車機構に比して、ギヤの噛み合い損失が増加し、動力の伝達効率が低下する。また、ダブルピニオン式の遊星歯車機構は、径方向に2列のピニオンギヤを有するため、シングルピニオン式の遊星歯車機構に比して、部品点数が多くなり、組み付け性や経済性も低下する。本発明の自動変速機装置の4つの遊星歯車機構のすべてをシングルピニオン式の遊星歯車機構として構成することにより、4つの遊星歯車機構のうちの3つをシングルピニオン式の遊星歯車機構として構成すると共に1つをダブルピニオン式の遊星歯車機構として構成する従来例の自動変速機装置に比して、動力の伝達効率を高くすることができると共に、組み付け性や経済性を良好なものとすることができる。
本発明の自動変速機装置において、前記第1ブレーキはドグブレーキとして構成されてなる、ことを特徴とするものとすることもできる。ドグブレーキは係合時にショックが生じやすく、回転を同期させる同期制御が必要となるが、第1ブレーキは前進1速段から前進5速段まで係合が連続していると共に前進6速段から前進10速段まで解放が連続しているから、係合と解放が頻繁に繰り返されることがなく、同期制御が発生する頻度が少ない。このため、ドグブレーキを採用しても変速フィーリングの悪化は抑制される。
次に、本発明の実施の形態を実施例を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例としての自動変速機装置1の構成の概略を示す構成図である。実施例の自動変速機装置1は、4つのシングルピニオン式の遊星歯車機構P1,P2,P3,P4と、4つのクラッチC1,C2,C3,C4と、2つのブレーキB1,B2とを備え、図示しない内燃機関としてのエンジンが横置き(車両の左右方向に)配置されたタイプ(例えば、フロントエンジンフロントドライブ式)の車両に搭載されており、エンジンからの動力を図示しないトルクコンバータなどの発進装置を介して入力軸(インプットシャフト)3から入力すると共に入力した動力を変速して出力ギヤ(アウトプットギヤ)4に出力する有段変速機構として構成されている。出力ギヤ4に出力された動力は、図示しないギヤ機構やデファレンシャルギヤを介して左右の駆動輪に出力される。なお、実施例の自動変速装置1では、図1に示すように、右側から第2遊星歯車機構P2,第4遊星歯車機構P4,第3遊星歯車機構P3,第1遊星歯車機構P1の順に配置されている。
第1遊星歯車機構P1は、外歯歯車としてのサンギヤP11と、このサンギヤP11と同心円上に配置された内歯歯車としてのリングギヤP13と、サンギヤP11に噛合すると共にリングギヤP13に噛合する複数のピニオンギヤP14と、複数のピニオンギヤP14を連結して自転かつ公転自在に保持するキャリアP12とを備える。第1遊星歯車機構P1は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されているから、3つの回転要素であるサンギヤP11,リングギヤP13,キャリアP12は、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に示すと、サンギヤP11,キャリアP12,リングギヤP13となる。第1遊星歯車機構P1のギヤ比λ1(サンギヤP11の歯数/リングギヤP13の歯数)は、例えば0.45に設定されている。
第2遊星歯車機構P2も、第1遊星歯車機構P1と同様に、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されており、3つの回転要素として、サンギヤP21と、リングギヤP23と、複数のピニオンギヤP24を連結して自転かつ公転自在に保持するキャリアP22とを備える。この第2遊星歯車機構P2の3つの回転要素であるサンギヤP21,リングギヤP23,キャリアP22は、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に示すと、サンギヤP21,キャリアP22,リングギヤP23となる。第2遊星歯車機構P2のギヤ比λ2(サンギヤP21の歯数/リングギヤP23の歯数)は、例えば0.35に設定されている。
第3遊星歯車機構P3も、第1遊星歯車機構P1や第2遊星歯車機構P2と同様に、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されており、3つの回転要素として、サンギヤP31と、リングギヤP33と、複数のピニオンギヤP34を連結して自転かつ公転自在に保持するキャリアP32とを備える。この第3遊星歯車機構P3の3つの回転要素であるサンギヤP31,リングギヤP33,キャリアP32は、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に示すと、サンギヤP31,キャリアP32,リングギヤP33となる。第3遊星歯車機構P3のギヤ比λ3(サンギヤP31の歯数/リングギヤP33の歯数)は、例えば0.30に設定されている。
第4遊星歯車機構P4も、第1遊星歯車機構P1や第2遊星歯車機構P2,第3遊星歯車機構P3と同様に、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されており、3つの回転要素として、サンギヤP41と、リングギヤP43と、複数のピニオンギヤP44を連結して自転かつ公転自在に保持するキャリアP42とを備える。この第4遊星歯車機構P4の3つの回転要素であるサンギヤP41,リングギヤP43,キャリアP42は、速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に示すと、サンギヤP41,キャリアP42,リングギヤP43となる。第4遊星歯車機構P4のギヤ比λ4(サンギヤP41の歯数/リングギヤP43の歯数)は、例えば0.35に設定されている。
第1遊星歯車機構P1のキャリアP12と第2遊星歯車機構P2のキャリアP22と第4遊星歯車機構P4のリングギヤP43は、第1連結要素R1により連結しており、第2遊星歯車機構P2のリングギヤP23と第3遊星歯車機構P3のキャリアP32は、第2連結要素R2により連結されており、第3遊星歯車機構P3のリングギヤP33と第4遊星歯車機構P4のキャリアP42は、第3連結要素R3により連結している。また、第1遊星歯車機構P1のサンギヤP11と第3遊星歯車機構P3のサンギヤP31は、第1クラッチC1により接続されており、第1遊星歯車機構P1のサンギヤP11と第4遊星歯車機構P4のサンギヤP41は、第2クラッチC2により接続されており、第1連結要素R1(第1遊星歯車機構P1のキャリアP12,第2遊星歯車機構P2のキャリアP22,第4遊星歯車機構P4のリングギヤP43)と第4遊星歯車機構P4のサンギヤP41は、第3クラッチC3により接続されており、第2連結要素R2(第2遊星歯車機構P2のリングギヤP23,第3遊星歯車機構P3のキャリアP32)と第4遊星歯車機構P4のサンギヤP41は、第4クラッチC4により接続されている。さらに、第2遊星歯車機構P2のサンギヤP21は、第1ブレーキB1により自動変速機装置1のケース2に接続されており、第3遊星歯車機構P3のサンギヤP31は、第2ブレーキB2により自動変速機装置1のケース2に接続されている。そして、第2連結要素R2(第2遊星歯車機構P2のリングギヤP23,第3遊星歯車機構P3のキャリアP32)は、入力軸3に接続されており、第1遊星歯車機構P1のリングギヤP13は、出力ギヤ4に接続されている。ここで、4つのクラッチC1,C2,C3,C4と2つのブレーキB1,B2は、実施例では、いずれも摩擦プレートをピストンで押圧することにより係合する油圧駆動の摩擦クラッチや摩擦ブレーキとして構成されている。
このように実施例の自動変速機装置1では、4つの遊星歯車機構P1,P2,P3,P4のいずれも、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成している。ダブルピニオン式の遊星歯車機構は、径方向に2列のピニオンギヤを有するため、ピニオンギヤ同士の噛み合いが生じ、シングルピニオン式の遊星歯車機構に比して、ギヤの噛み合い損失が増加し、動力の伝達効率が低下する。また、ダブルピニオン式の遊星歯車機構は、径方向に2列のピニオンギヤを有するため、シングルピニオン式の遊星歯車機構に比して、部品点数が多くなり、組み付け性や経済性も低下する。実施例の自動変速機装置1の4つの遊星歯車機構P1,P2,P3,P4は、いずれもシングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されているから、4つの遊星歯車機構のうちの3つをシングルピニオン式の遊星歯車機構として構成すると共に1つをダブルピニオン式の遊星歯車機構として構成する従来例の自動変速機装置に比して、動力の伝達効率を高くすることができると共に、組み付け性や経済性を良好なものとすることができる。
こうして構成された実施例の自動変速機装置1は、4つのクラッチC1,C2,C3,C4の係合と解放および2つのブレーキB1,B2の係合と解放の組み合わせにより前進1速段から前進10速段と後進段とを切り替えることができる。図2に自動変速機装置1の作動表を示し、図3に自動変速機装置1の遊星歯車機構P1,P2,P3,P4の速度線図を示す。図3には、左から順に、第1遊星歯車機構P1の速度線図,第2遊星歯車機構P2の速度線図,第3遊星歯車機構P3の速度線図,第4遊星歯車機構P4の速度線図を示し、いずれの速度線図も左からサンギヤ,キャリア,リングギヤの順に並んでいる。また、図3中、「1st」は前進1速段を示し、「2nd」は前進2速段を示し、「3rd」は前進3速段を示し、「4th」〜「10th」は前進4速段から前進10速段を示し、「Rev」は後進段を示している。「λ1」〜「λ4」は各遊星歯車機構P1,P2,P3,P4のギヤ比を示し、「B1」,「B2」はブレーキB1,B2を示している。「入力」は入力軸3の接続位置を示し、「出力」は出力ギヤ4の接続位置を示している。
実施例の自動変速機装置1では、図2に示するように、以下のように前進1速段から前進10速段と後進段とを形成する。なお、ギヤ比(入力軸3の回転数/出力ギヤ4の回転数)は、4つの遊星歯車機構P1,P2,P3,P4のギヤ比λ1,λ2,λ3,λ4として0.45,0.35,0.30,0.35を用いた場合を示した。
(1)前進1速段は、第1クラッチC1と第3クラッチC3と第1ブレーキB1とを係合すると共に第2クラッチC2と第4クラッチC4と第2ブレーキB2とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は4.252となる。
(2)前進2速段は、第1クラッチC1と第4クラッチC4と第1ブレーキB1とを係合すると共に第2クラッチC2と第3クラッチC3と第2ブレーキB2とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は2.976となる。
(3)前進3速段は、第1クラッチC1と第2クラッチC2と第1ブレーキB1とを係合すると共に第3クラッチC3と第4クラッチC4と第2ブレーキB2とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は2.130となる。
(4)前進4速段は、第2クラッチC2と第4クラッチC4と第1ブレーキB1とを係合すると共に第1クラッチC1と第3クラッチC3と第2ブレーキB2とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は1.602となる。
(5)前進5速段は、第2クラッチC2と第3クラッチC3と第1ブレーキB1とを係合すると共に第1クラッチC1と第4クラッチC4と第2ブレーキB2とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は1.350となる。
(2)前進2速段は、第1クラッチC1と第4クラッチC4と第1ブレーキB1とを係合すると共に第2クラッチC2と第3クラッチC3と第2ブレーキB2とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は2.976となる。
(3)前進3速段は、第1クラッチC1と第2クラッチC2と第1ブレーキB1とを係合すると共に第3クラッチC3と第4クラッチC4と第2ブレーキB2とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は2.130となる。
(4)前進4速段は、第2クラッチC2と第4クラッチC4と第1ブレーキB1とを係合すると共に第1クラッチC1と第3クラッチC3と第2ブレーキB2とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は1.602となる。
(5)前進5速段は、第2クラッチC2と第3クラッチC3と第1ブレーキB1とを係合すると共に第1クラッチC1と第4クラッチC4と第2ブレーキB2とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は1.350となる。
(6)前進6速段は、第1クラッチC1と第2クラッチC2と第3クラッチC3とを係合すると共に第4クラッチC4と第1ブレーキB1と第2ブレーキB2とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は1.000となる。
(7)前進7速段は、第2クラッチC2と第3クラッチC3と第2ブレーキB2とを係合すると共に第1クラッチC1と第4クラッチC4と第1ブレーキB1とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は0.769となる。
(8)前進8速段は、第2クラッチC2と第4クラッチC4と第2ブレーキB2とを係合すると共に第1クラッチC1と第3クラッチC3と第1ブレーキB1とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は0.630となる。
(9)前進9速段は、第1クラッチC1と第4クラッチC4と第2ブレーキB2とを係合すると共に第2クラッチC2と第3クラッチC3と第1ブレーキB1とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は0.491となる。
(10)前進10速段は、第1クラッチC1と第2クラッチC2と第2ブレーキB2とを係合すると共に第3クラッチC3と第4クラッチC4と第1ブレーキB1とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は0.393となる。
(11)後進段は、第2クラッチC2と第1ブレーキB1と第2ブレーキB2とを係合すると共に第1クラッチC1と第3クラッチC3と第4クラッチC4とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は−4.348となる。
(7)前進7速段は、第2クラッチC2と第3クラッチC3と第2ブレーキB2とを係合すると共に第1クラッチC1と第4クラッチC4と第1ブレーキB1とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は0.769となる。
(8)前進8速段は、第2クラッチC2と第4クラッチC4と第2ブレーキB2とを係合すると共に第1クラッチC1と第3クラッチC3と第1ブレーキB1とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は0.630となる。
(9)前進9速段は、第1クラッチC1と第4クラッチC4と第2ブレーキB2とを係合すると共に第2クラッチC2と第3クラッチC3と第1ブレーキB1とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は0.491となる。
(10)前進10速段は、第1クラッチC1と第2クラッチC2と第2ブレーキB2とを係合すると共に第3クラッチC3と第4クラッチC4と第1ブレーキB1とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は0.393となる。
(11)後進段は、第2クラッチC2と第1ブレーキB1と第2ブレーキB2とを係合すると共に第1クラッチC1と第3クラッチC3と第4クラッチC4とを解放することにより形成することができ、ギヤ比は−4.348となる。
このように実施例の自動変速機装置1では、4つの遊星歯車機構P1,P2,P3,P4と4つのクラッチC1,C2,C3,C4と2つのブレーキB1,B2により前進1速段から前進10速段および後進段の変速が可能な自動変速機装置とすることができる。この結果、実施例の自動変速機装置1は、前進1速段から前進7速段および後進段の変速が可能な従来例の自動変速機装置に比して、前進側の変速段の段数を多くすることができる。そして、実施例の自動変速機装置1では、ギヤ比幅(最低速段(前進1速段)のギヤ比/最高速段(前進10速段)のギヤ比)は4.252/0.393=10.819となるから、ギヤ比幅が6.06の従来例の自動変速機装置に比して、ギヤ比幅を大きくすることができる。この結果、実施例の自動変速機装置1は、従来例の自動変速機装置に比して、搭載される車両の燃費と加速との両立を図った上で燃費の向上を図ることができると共に、変速の前後における滑らかな加速を保持することができる。
また、実施例の自動変速機装置1では、前進1速段から前進10速段および後進段のいずれの変速段も、4つのクラッチC1,C2,C3,C4と2つのブレーキB1,B2とからなる6つの係合要素のうちの3つの係合要素を係合すると共に3つの係合要素を解放することによって形成されるから、前進1速段から前進7速段および後進段のいずれの変速段も6つの係合要素のうち2つの係合要素を係合すると共に4つの係合要素を解放する従来例の自動変速機装置に比して、解放する係合要素を少なくすることができる。クラッチやブレーキなどの係合要素は、解放されていても僅かな接触による引き摺り損失が生じるため、変速段を形成する際に解放される係合要素が多いと引き摺り損失により動力の伝達効率が低下する。したがって、実施例の自動変速機装置1は、従来例の自動変速機装置に比して、解放する係合要素を少なくしているから、従来例の自動変速機装置に比して、動力の伝達効率を高くすることができる。
以上説明した実施例の自動変速機装置1によれば、4つの遊星歯車機構P1,P2,P3,P4と、4つのクラッチC1,C2,C3,C4と、2つのブレーキB1,B2とを備え、第1遊星歯車機構P1のキャリアP12と第2遊星歯車機構P2のキャリアP22と第4遊星歯車機構P4のリングギヤP43とを第1連結要素R1により連結し、第2遊星歯車機構P2のリングギヤP23と第3遊星歯車機構P3のキャリアP32とを第2連結要素R2により連結し、第3遊星歯車機構P3のリングギヤP33と第4遊星歯車機構P4のキャリアP42とを第3連結要素R3により連結し、第1遊星歯車機構P1のサンギヤP11と第3遊星歯車機構P3のサンギヤP31とを第1クラッチC1により接続し、第1遊星歯車機構P1のサンギヤP11と第4遊星歯車機構P4のサンギヤP41とを第2クラッチC2により接続し、第1連結要素R1と第4遊星歯車機構P4のサンギヤP41とを第3クラッチC3により接続し、第2連結要素R2と第4遊星歯車機構P4のサンギヤP41とを第4クラッチC4により接続し、第2遊星歯車機構P2のサンギヤP21を第1ブレーキB1により自動変速機装置1のケース2に接続し、第3遊星歯車機構P4のサンギヤP31を第2ブレーキB2により自動変速機装置1のケース2に接続し、、第2連結要素R2を入力軸3に接続し、第1遊星歯車機構P1のリングギヤP13を出力ギヤ4に接続することにより、前進1速段から前進10速段および後進段に変速可能な自動変速機装置を構成することができる。
また、実施例の自動変速機装置1では、4つの遊星歯車機構P1,P2,P3,P4のいいずれも、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成したので、4つの遊星歯車機構のうちの3つをシングルピニオン式の遊星歯車機構として構成すると共に1つをダブルピニオン式の遊星歯車機構として構成している従来例の自動変速機装置に比して、動力の伝達効率を高くすることができると共に、装置の組み付け性や経済性を良好なものとすることができる。
さらに、実施例の自動変速機装置1では、4つの遊星歯車機構P1,P2,P3,P4のギヤ比λ1,λ2,λ3,λ4として0.45,0.35,0.30,0.35を用いることにより、ギヤ比幅は10.819となるから、ギヤ比幅が6.06の従来例の自動変速機装置に比して、ギヤ比幅を大きくすることができる。この結果、従来例の自動変速機装置に比して、搭載される車両の燃費を向上させることができると共に、変速の前後の加減速のフィーリングを良好なものとすることができる。
加えて、実施例の自動変速機装置1では、前進1速段から前進10速段および後進段のいずれの変速段も、4つのクラッチC1,C2,C3,C4と2つのブレーキB1,B2とからなる6つの係合要素のうちの3つの係合要素を係合すると共に3つの係合要素を解放することによって形成するから、前進1速段から前進7速段および後進段のいずれの変速段も6つの係合要素のうち2つの係合要素を係合すると共に4つの係合要素を解放する従来例の自動変速機装置に比して、解放する係合要素を少なくすることができる。この結果、従来例の自動変速機装置に比して、動力の伝達効率を高くすることができる。
実施例の自動変速機装置1では、4つのクラッチC1,C2,C3,C4のすべてを摩擦クラッチとして構成すると共に2つのブレーキB1,B2のすべてを摩擦ブレーキとして構成するものとしたが、一部のクラッチやブレーキを摩擦クラッチや摩擦ブレーキに代えてドグクラッチやドグブレーキによって構成するものとしてもよい。第1ブレーキB1をドグブレーキとして構成した自動変速機装置1に対する変形例の自動変速機装置1Bを図4に示す。変形例の自動変速機装置1Bの作動表および速度線図は図2,図3と同一である。ドグブレーキは係合時にショックが生じやすく、回転を同期させる同期制御が必要となるが、第1ブレーキB1は前進1速段から前進5速段まで係合が連続していると共に前進6速段から前進10速段まで解放が連続しているから、係合と解放が頻繁に繰り返されることがなく、同期制御が発生する頻度が少ない。このため、ドグブレーキを採用しても変速フィーリングの悪化は抑制される。
実施例の自動変速機装置1では、4つの遊星歯車機構P1,P2,P3,P4のギヤ比λ1,λ2,λ3,λ4として0.45,0.35,0.30,0.35を用いたが、ギヤ比λ1,λ2,λ3,λ4はこの値に限定されるものではない。
実施例の自動変速機装置1では、4つの遊星歯車機構P1,P2,P3,P4を、いずれもシングルピニオン式の遊星歯車機構として構成するものとしたが、4つの遊星歯車機構P1,P2,P3,P4のうち一部或いは全部をダブルピニオン式の遊星歯車機構として構成するものとしても構わない。
実施例の自動変速機装置1では、4つのクラッチC1,C2,C3,C4と2つのブレーキB1,B2とからなる6つの係合要素のうちの3つの係合要素を係合すると共に3つの係合要素を解放することによって形成することにより、前進1速段から前進10速段と後進段が可能な自動変速機装置として構成したが、前進1速段から前進10速段の10速変速のうちのいずれか1つの変速段を除いた9速変速または複数の変速段を除いた8速変速以下の変速と後進段が可能な自動変速機装置としても構わない。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、入力軸(インプットシャフト)3が「入力部材」に相当し、出力ギヤ4が「出力部材」に相当し、第1遊星歯車機構P1が「第1遊星歯車機構」に相当し、サンギヤP11が「第1回転要素」に相当し、キャリアP12が「第2回転要素」に相当し、リングギヤP13が「第3回転要素」に相当し、第2遊星歯車機構P2が「第2遊星歯車機構」に相当し、サンギヤP21が「第4回転要素」に相当し、キャリアP22が「第5回転要素」に相当し、リングギヤP23が「第6回転要素」に相当し、第3遊星歯車機構P3が「第3遊星歯車機構」に相当し、サンギヤP31が「第7回転要素」に相当し、キャリアP32が「第8回転要素」に相当し、リングギヤP33が「第9回転要素」に相当し、第4遊星歯車機構P4が「第4遊星歯車機構」に相当し、サンギヤP41が「第10回転要素」に相当し、キャリアP42が「第11回転要素」に相当し、リングギヤP43が「第12回転要素」に相当し、第1連結要素R1が「第1連結要素」に相当し、第2連結要素R2が「第2連結要素」に相当し、第3連結要素R3が「第3連結要素」に相当し、第1クラッチC1が「第1クラッチ」に相当し、第2クラッチC2が「第2クラッチ」に相当し、第3クラッチC3が「第3クラッチ」に相当し、第4クラッチC4が「第4クラッチ」に相当し、第1ブレーキB1が「第1ブレーキ」に相当し、第2ブレーキB2が「第2ブレーキ」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、自動変速機装置の製造産業などに利用可能である。
1,1B 自動変速機装置、2 ケース(自動変速機装置ケース)、3 入力軸、4 出力ギヤ、P1 第1遊星歯車機構、P2 第2遊星歯車機構、P3 第3遊星歯車機構、P4 第4遊星歯車機構、P11,P21,P31,P41 サンギヤ、P12,P22,P32,P42 キャリア、P13,P23,P33,P43 リングギヤ、P14,P24,P34,P44 ピニオンギヤ、R1 第1連結要素、R2 第2連結要素、R3 第3連結要素、C1 第1クラッチ、C2 第2クラッチ、C3 第3クラッチ、C4 第4クラッチ、B1 第1ブレーキ、B2 第2ブレーキ。
Claims (4)
- 入力部材に入力された動力を変速して出力部材に出力する自動変速機装置であって、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第1回転要素と第2回転要素と第3回転要素とを有する第1遊星歯車機構と、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第4回転要素と第5回転要素と第6回転要素とを有する第2遊星歯車機構と、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第7回転要素と第8回転要素と第9回転要素とを有する第3遊星歯車機構と、
速度線図におけるギヤ比に対応する間隔での並び順に第10回転要素と第11回転要素と第12回転要素とを有する第4遊星歯車機構と、
前記第2回転要素と前記第5回転要素と前記第12回転要素とを連結する第1連結要素と、
前記第6回転要素と前記第8回転要素とを連結する第2連結要素と、
前記第9回転要素と前記第11回転要素とを連結する第3連結要素と、
前記第1回転要素と前記第7連結要素とを係合すると共に該係合を解放する第1クラッチと、
前記第1回転要素と前記第10回転要素とを係合すると共に該係合を解放する第2クラッチと、
前記第1連結要素と前記第10回転要素とを係合すると共に該係合を解放する第3クラッチと、
前記第2連結要素と前記第10回転要素とを係合すると共に該係合を解放する第4クラッチと、
前記第4回転要素を自動変速機装置ケースに固定可能に係合すると共に該係合を解放する第1ブレーキと、
前記第7回転要素を前記自動変速機装置ケースに固定可能に係合すると共に該係合を解放する第2ブレーキと、
を備え、
前記入力部材を前記第2連結要素に接続し、
前記出力部材を前記第3回転要素に接続してなる、
ことを特徴とする自動変速機装置。 - 請求項1記載の自動変速機装置であって、
前進1速段は、前記第1クラッチと前記第3クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第2クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成し、
前進2速段は、前記第1クラッチと前記第4クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第2クラッチと前記第3クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成し、
前進3速段は、前記第1クラッチと前記第2クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第3クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成し、
前進4速段は、前記第2クラッチと前記第4クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第3クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成し、
前進5速段は、前記第2クラッチと前記第3クラッチと前記第1ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを解放することにより形成し、
前進6速段は、前記第1クラッチと前記第2クラッチと前記第3クラッチとを係合すると共に前記第4クラッチと前記第1ブレーキと前記第2ブレーキとを解放することにより形成し、
前進7速段は、前記第2クラッチと前記第3クラッチと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第4クラッチと前記第1ブレーキとを解放することにより形成し、
前進8速段は、前記第2クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第3クラッチと前記第1ブレーキとを解放することにより形成し、
前進9速段は、前記第1クラッチと前記第4クラッチと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第2クラッチと前記第3クラッチと前記第1ブレーキとを解放することにより形成し、
前進10速段は、前記第1クラッチと前記第2クラッチと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第3クラッチと前記第4クラッチと前記第1ブレーキとを解放することにより形成し、
後進段は、前記第2クラッチと前記第1ブレーキと前記第2ブレーキとを係合すると共に前記第1クラッチと前記第3クラッチと前記第4クラッチとを解放することにより形成する、
ことを特徴とする自動変速機装置。 - 請求項1または2記載の自動変速機装置であって、
前記第1遊星歯車機構と前記第2遊星歯車機構と前記第3遊星歯車機構と前記第4遊星歯車機構は、いずれもサンギヤとリングギヤとキャリアとを前記3つの回転要素とするシングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されてなり、
前記第1回転要素と前記第4回転要素と前記第7回転要素と前記第10回転要素は、いずれもサンギヤであり、
前記第2回転要素と前記第5回転要素と前記第8回転要素と前記第11回転要素は、いずれもキャリアであり、
前記第3回転要素と前記第6回転要素と前記第9回転要素と前記第12回転要素は、いずれもリングギヤである、
ことを特徴とする自動変速機装置。 - 請求項1ないし3のうちのいずれか1つの請求項に記載の自動変速機装置であって、
前記第1ブレーキはドグブレーキとして構成されてなる、
ことを特徴とする自動変速機装置。
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