JP2014198014A - 新規な起泡物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 餡を原料とし、従来にないオーバーランで、極めて食感が軽く良好な口溶けで、乳原料を用いなくても洋風の風味を感じ、カロリーも低く、簡単に起泡して得られる起泡物およびその製法を提供すること。さらには、保形性(長期保存性)の良好な起泡物を提供すること。
【解決手段】 起泡物用混合物全体中、乳固形分は無水物換算で0.1重量%以下しか含まず、豆類及び/又は芋類由来の餡を3〜30重量%(固形分換算)、水の存在下融点以上の温度で加熱してなるグリセリン脂肪酸エステルを0.4〜1.9重量%含有し、さらに水分量が20〜75重量%である起泡物用混合物を、0〜0.8MPaの圧力条件で、オープン式ミキサー又は連続式ミキサーを用いて起泡して、オーバーランが100〜400%である起泡物を作製すること。
【選択図】なし

Description

本発明は、豆類や芋類由来の餡をホイップした新規な起泡物および該起泡物を用いてなる食品に関する。更には、該新規な起泡物の製造方法に関する。
豆類や芋類由来の餡は、主に和菓子用に使用されている。しかし、バリエーションは乏しく、また洋菓子に使用されることは稀である。そこで、例えば乳原料を含むホイッピングクリ−ムとの複合化を狙った、餡を含有し高粘度であるにもかかわらず、優れた起泡性、造花性を有し、長期保存可能で、且つ餡風味の優れた高粘度起泡性水中油型乳化脂が開示されている。(特許文献1)しかし、乳原料が用いられ、オーバーランは実施例において80〜90%で高いとは言えず、食感の軽さも十分ではない。また、風味を損なうことなく、軽い食感を呈したフィリングとして、豆を原料とする餡、芋を原料とするスイートポテトなどのフィリング材と、油脂中にSUS型トリグリセリドを25〜90重量%含む水中油型乳化物の起泡物(オーバーラン85%程度)とを混合してなるフィリング材が開示されている(特許文献2)。しかし、餡自身は起泡化されておらず、全体としてのオーバーランは高いとは言えず、食感の軽さも十分ではない。
特開昭62−253354号公報 特開平8−70778号公報
本発明の目的は、餡を原料とし、従来にないオーバーランで、極めて食感が軽く良好な口溶けで、乳原料を用いなくても洋風の風味を感じ、カロリーも低く、簡単に起泡して得られる起泡物およびその製法を提供することである。さらには、保形性(長期保存性)の良好な起泡物を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ある程度粘度の高い餡を用いても、特定量の水分量があり、特定量のα結晶状態のグリセリン脂肪酸エステルを含有すれば、必要とする特殊な装置を使用することなく、オープン系ミキサーや連続式ミキサーを用いて、通常の加圧条件で容易に、これまでにないオーバーランが100〜400%の高含気の起泡物を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、起泡物用混合物全体中、乳固形分は無水物換算で0.1重量%以下しか含まず、水の存在下融点以上の温度で加熱してなるグリセリン脂肪酸エステルを0.4〜1.9重量%含有し、豆類及び/又は芋類由来の餡3〜30重量%(固形分換算)を含有し、さらに起泡物用混合物全体中の水分量が20〜75重量%である起泡物用混合物を起泡して得られる、オーバーランが100〜400%である起泡物に関する。好ましい実施態様は、少なくとも一部がα結晶状態のグリセリン脂肪酸エステルを菓子用起泡剤として含有させる上記記載の起泡物に関する。より好ましくは、0〜0.8MPaの圧力条件で、オープン式ミキサー又は連続式ミキサーを用いて起泡して得られる上記記載の起泡物に関する。
本発明の第二は、上記記載の起泡物を用いてなる食品に関する。本発明の第三は、起泡物用混合物全体中、乳固形分は無水物換算で0.1重量%以下しか含まず、豆類及び/又は芋類由来の餡を3〜30重量%(固形分換算)、水の存在下融点以上の温度で加熱してなるグリセリン脂肪酸エステルを0.4〜1.9重量%含有し、さらに水分量が20〜75重量%である起泡物用混合物を、0〜0.8MPaの圧力条件で、オープン式ミキサー又は連続式ミキサーを用いて起泡することを特徴とする、オーバーランが100〜400%である起泡物の製造方法に関する。
本発明に従えば、餡を原料とし、従来にない高いオーバーランで、極めて食感が軽く良好な口溶けで、乳原料を用いなくても洋風の風味を感じ、カロリーも低く、簡単に起泡して得られる起泡物およびその製法を提供することができる。さらには、保形性(長期保存性)の良好な起泡物を提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の起泡物とは、豆類や芋類由来の餡を起泡(ホイップ)したもので、乳固形分を殆ど含まず、α結晶状態のグリセリン脂肪酸エステルを含有し、豆類及び/又は芋類由来の餡を特定量含有し、該起泡物は特定量の水分量である起泡物用混合物を起泡して得られ、オーバーランが100〜400%である。
本発明の起泡物に用いる乳固形分とは、牛乳から水分を除いた固形分部分を意味し、該固形分を含む物としては、例えば生クリーム、バター、バターオイル、チーズ、ヨーグルト、無糖れん乳、加糖れん乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、発酵乳、バターミルク、全粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエーパウダーなどが挙げられる。本発明において乳固形分の添加量は少ないほど良く、起泡物全体中、無水物換算で0.1重量%以下が好ましい。0.1重量%より多いと乳風味が付与されて起泡物中の餡の風味が損なわれる場合があり、カロリーも高くなる。
本発明の起泡物に用いる豆類由来の餡とは、小豆、ソラ豆、白インゲン豆、エンドウ豆、枝豆などの豆類を十分に加水し、煮上げて外皮を取り除いて裏ごし、水に晒して餡粒子に付着している糊化澱粉、タンニンなどの不純物を取り除いた後、脱水して得られる生餡、生餡を水分が約5%まで乾燥して得られるさらし餡、生餡やさらし餡に砂糖や水飴などの糖類を加えて練り上げた練り餡、煮上げ後、裏ごしなどをしないで、砂糖や水飴などの糖類を加えて練り上げたつぶ餡などが挙げられる。更には、白インゲン豆を原料にして得られる白あんなどに、栗、抹茶、桜葉の粉末、ボイルしたかぼちゃの裏ごし、卵黄、いちごジャム、バナナ、リンゴ、杏子、キウイフルーツ、レモン、柚子、紅芋、黄粉、胡麻、ピーナッツ、胡桃などを練り込んだバラエティー餡などを使用することもできる。
本発明の起泡物に用いる芋由来の餡とは、サツマイモなどの芋類を蒸して磨り潰し、砂糖や水飴などの糖類を加えて練り上げた餡をいい、例えば鳴門金時芋餡、紫芋餡、餡納芋餡などが挙げられる。
前記豆類や芋類由来の餡の添加量は、起泡物用混合物全体中、固形分換算で3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましく、7〜15重量%が更に好ましい。ここで固形分換算の餡の添加量は、砂糖や水飴などの糖類を加えて練り上げる前の餡の固形分量に換算した添加量のことである。3重量%より少ないと餡の風味が感じられない場合があり、30重量%より多いとホイップする前の混合物の粘度が高くなり、所定のオーバーランまでホイップできない場合がある。
本発明の起泡物に用いるグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンの持つ3つのヒドロキシ基のうち1つに脂肪酸がエステル結合したモノグリセリドやモノグリセリドのヒドロキシ基にさらに有機酸をエステル結合させた有機酸モノグリセリドをいう。これらグリセリン脂肪酸エステルとしては、脂肪酸がラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸のモノグリセリドや、酢酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリドなどの有機酸モノグリセリドが例示できる。
そして前記グリセリン脂肪酸エステルは、水の存在下で融点以上の温度で加熱し、α結晶状態にしておくことが好ましい。グリセリン脂肪酸エステルの含有量は、起泡物用混合物全体中0.4〜1.9重量%が好ましく、0.5〜1.5重量%がより好ましく、0.7〜1.2重量%が更に好ましい。0.4重量%より少ないと所定のオーバーランまでホイップできない場合がある。1.9重量%より多いと効果が頭打ちになったり、グリセリン脂肪酸エステルの異味が感じられる場合がある。もし、該グリセリン脂肪酸エステルを使用するまでに、水の存在下融点以上の温度で加熱してから時間が経ち過ぎる場合は、少なくとも一部がα結晶状態である必要があり、本発明の効果が薄れた場合は、再度水の存在下融点以上の温度で加熱してから使用すれば良い。
また前記グリセリン脂肪酸エステルは、製造時のハンドリングやα結晶状態の長期保存安定性を考慮すると、できるだけ早く使用するか、或いはグリセリン脂肪酸エステルを必ず含む菓子用起泡剤として用いることが好ましい。ここで菓子用起泡剤とは、スポンジケーキなどの製造において、卵白の起泡性を助け、生地の起泡を容易にし、安定でよく起泡した生地を作製するために用いられる改質剤をいう。該菓子用起泡剤には、さらに糖類、蛋白質、塩類、増粘多糖類などを含んでいても良い。菓子用起泡剤の形態としては、粉末、ペーストの他に油脂を含有したO/W型エマルジョンがあり、市販されているものを使用することができる。
前記グリセリン脂肪酸エステルのα結晶の安定性を増すためには、グリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤も併用することが好ましく、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチンからなる群より選ばれる乳化剤の少なくとも1種を使用する。その含有量は、起泡物用混合物全体中4.5重量%以下であることが好ましい。4.5重量%より多いと、効果が頭打ちになったり、使用した乳化剤の異味が感じられる場合があり望ましくない。なお、グリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤の方が、融点が高い場合は、グリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤の融点以上で菓子用起泡剤の原材料を加熱したものを使用する。
本発明の菓子用起泡剤に使用できる糖類としては、例えばショ糖、果糖、葡萄糖、麦芽糖、乳糖、オリゴ糖、及びその液糖類、コーンシロップ等の分解糖化液糖類、ソルビトール等の糖アルコール及びその液糖類等が挙げられる。
本発明の菓子用起泡剤に使用できる蛋白質は、乳蛋白質、小麦蛋白質、血液蛋白質、卵蛋白質、およびこれらの酵素処理分解物あるいは酸処理分解物から選ばれる少なくとも1種である。
前記乳蛋白質としては、乳清蛋白質濃縮物(WPC)、カゼインナトリウム、酸カゼイン、脱脂乳を限外濾過(UF)処理して乳糖と乳性ミネラルを除去し、濃縮、粉末化したトータルミルクプロテイン、或いはこれらの乳蛋白質を酵素処理したものが例示でき、小麦蛋白質としては、グルテン、グリアジン、グルテニン、血液蛋白質としては、血漿蛋白質、卵蛋白質としては、卵黄、卵白由来の蛋白質などが例示できる。
本発明の菓子用起泡剤に使用できる塩類としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、ヘキサンメタリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸水素ナトリム、酒石酸水素カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、リンゴ酸ナトリム、リンゴ酸カリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、ソルビン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
本発明の菓子用起泡剤に使用できる増粘多糖類としては、例えばキサンタンガム、グアーガム、カラギーナン、寒天、ゼラチン、タマリンドガム、ローカストビーンガム、アルギン酸類、ペクチン、セルロースおよびその誘導体等が挙げられる。
本発明の起泡物用混合物全体中の油分量は、少ない程良く、6重量%以下が好ましく、4重量%以下がより好ましく、2重量%以下が更に好ましい。6重量%より多いと、食感が重くなったり、保存安定性が劣る場合がある。なお、O/W型エマルジョンの菓子用起泡剤を使用する場合、その油脂含量は、高いオーバーランの起泡物を得る上で、菓子用起泡剤全体中25重量%以下のものが好ましい。
本発明の起泡物用混合物全体中の水分量は、20〜75重量%が好ましく、30〜60重量%がより好ましく、35〜50重量%が更に好ましい。20重量%よい少ないとホイップする前の混合物の粘度が高くなり、所定のオーバーランまでホイップできない場合がある。75重量%より多いと、餡の風味が感じられない場合がある。
本発明の起泡物のオーバーランは、100〜400%が好ましく、120〜300%がより好ましく、140〜200%が更に好ましい。100%より低いと極めて軽い食感が得られなかったり、口溶けが劣る場合がある。400%を超えると餡の風味が感じにくい場合がある。オーバーランはホイップ性の指標であり、起泡物に含まれる空気の割合(%)として示され、オーバーラン(%)=[(A−B)/B]×100で求められる。ここで、Aは一定容積の起泡物用混合物の重量(g)を、Bは一定容積(Aと同一容積)の起泡物の重量(g)を示す。
本発明の起泡物に使用できるその他の原料としては、ショ糖、グルコース、マルトース、ラクトース、水飴、果糖、異性化糖、ソルビット、マルビットなどの糖質、リンゴ、オレンジ、レモンなどの果汁やペースト、ココア、チョコレートなどの呈味成分、サンタンガム、グアーガム、カラギーナン、ゼラチン、寒天、タマリンドガム、ローカストビーンガム、アルギン酸類、ペクチン、セルロースおよびその誘導体などの増粘多糖類、バニラ、ミルクなど各種フレーバ、洋酒、各種天然或いは合成着色料などが挙げられ、それらを餡の風味を損なわない範囲で加えても差し支えない。
本発明の起泡物の製造例方法を以下に例示する。まず、所定の原料を容器に入れ、ホイップすることで本発明の起泡物を得ることができる。なお、増粘多糖類を添加する場合は、ダマになるのを防ぐため、事前に糖質や水に分散もしくは溶解しておくことが望ましい。起泡する方法としては、0〜0.8MPaの圧力条件で、オープン式ミキサー又は連続式ミキサーを用いてホイップすればよい。オープン式ミキサーとしては、0MPaの常圧下でホイップするハンドミキサー、スティックミキサーや縦型ミキサーなどが例示でき、ホイップ時の攪拌速度やホイップ時間を変えることで、所定のオーバーランの起泡物を得ることができる。
前記連続式ミキサーとしては、0.01〜0.8MPaでエアーや窒素ガスなどを注入して強制的にホイップするモンドミックス(株)社製「モンドミキサー」、伊藤忠マシンテクノス(株)社製「ホイップマスター」、(株)愛工舎製作所社製「ターボミックス」などが例示でき、エアーや窒素ガスなどの注入量やミキシングヘッド部の回転数を変えることで、所定のオーバーランの起泡物を得ることができる。
本発明の起泡物は、そのまま食することは勿論のこと、パン・菓子のトッピングやフィリング、冷凍して冷菓、そのまま焼成して焼き菓子、ゼラチンや寒天などの凝固剤を加えて冷やし固めたムースなどの食品に利用できる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<保形性の測定方法>
直径5cm×高さ11.5cmの円筒縦長プラスチック透明容器に隙間なく起泡物を充填し、起泡物の最上部の高さH1(cm)を測定後、乾燥防止のためにラップでフタをして、5℃の冷蔵庫で24時間保存した。保存後にその起泡物の最上部の高さH2(cm)を測定し、保形率(%)=H2/H1×100を算出し、保形性の評価値とした。
<離水率の測定方法>
直径5cm×高さ11.5cmの円筒縦長プラスチック透明容器に隙間なく起泡物を充填し、起泡物の最上部の高さH3(cm)を測定後、乾燥防止のためにラップでフタをして、5℃の冷蔵庫で24時間保存した。保存後にその起泡物から分離した離水部分の最上部の高さH4(cm)を測定し、離水率(%)=H4/H3×100を算出し、離水率の評価値とした。
<官能評価方法>
実施例・比較例で得られた起泡物の官能評価は、熟練した8名のパネラーにより、以下の基準により実施し、それらの平均点を評価値とした。
(食感の軽さ)
5点:口当たりが柔らかく、ふんわり感が極めて良好ある。
4点:口当たりが柔らかく、ふんわり感が良好ある。
3点:口当たりが若干硬いが、ふんわり感は良好である。
2点:口当たりが若干硬く、ふんわり感にやや欠ける。
1点:口当たりが硬く、ふんわり感に欠ける。
(口溶け)
5点:口に入れた途端に崩れ、口溶けが極めて良好である。
4点:口に入れた途端に崩れ、口溶けが良好である。
3点:口に入れた途端に崩れるが、口溶けがやや劣る。
2点:口に入れても崩れにくく、口溶けがやや悪い。
1点:口に入れても崩れにくく、口溶けが悪い。
(風味)
5点:餡の味が良く感じられ、大変美味しい。
4点:餡の味が感じられ、美味しい。
3点:餡の味が若干弱く感じられるが、美味しい。
2点:餡の味が弱く、美味しさにやや欠ける。
1点:餡の味がほとんど感じられない。
(総合評価)
◎:風味、食感、保存性の何れも極めて良好である。
○:風味、食感、保存性の何れも良好である。
△:風味、食感、保存性の何れか1つが劣る。
×:風味、食感、保存性のうち2つ以上が劣る。
(製造例1) 菓子用起泡剤の作製
ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製「S−1170」)3重量部、ソルビトール(上野製薬(株)製「ソルビトール ウエノ」)52重量部、エタノール(信和アルコール産業(株)製「シュンコールB」)4重量部、水7.4重量部を混合してから65℃に加温して水相部とした。一方、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン(株)製「エマルジーMS」)7重量部、有機酸モノグリセリン脂肪酸エステル(DANISCO A/S製「GRINSTED CTREM BC−B」)3重量部、レシチン(ADM社製「Yelkin TS」)0.4重量部、プロピレングリコール脂肪酸エステル(DANISCO A/S製「CRINSTED PGMS」)5重量部、ナタネ油18.2重量部を混合してから、85℃で完全に溶解させて油相部とした。上記水相部を攪拌しながら、そこへ上記油相部を徐々に加えて水中油型乳化物を調製した。この乳化物を均質化しながらゆっくり冷却し、45℃にて攪拌を停止したら乳化物を取り出し、それを35℃にて48時間テンパリングした後、冷蔵庫にて保管し、菓子用起泡剤を得た。
(実施例1)
表1に示す配合に従い、起泡物を以下の方法にて作製した。即ち、練り餡460g(起泡物用混合物全体中92.0重量%)と菓子用起泡剤40g(起泡物用混合物全体中8.0重量%)を5Qボールに入れ、縦型ミキサー(HOBART CANADA社製「ホバートミキサー MODEL N−50」)にワイヤーホイッパーを取り付け1.5分間、3速で攪拌し、オーバーラン130%の起泡物を得た。このようにして得た起泡物の評価結果は表1に示した。
Figure 2014198014
(実施例2〜4、比較例1)
練り餡と水分の配合割合を代えた以外は、実施例1と同様にして起泡物を作製し、オーバーラン177%(実施例2)、208%(実施例3)、311%(実施例4)、388%(比較例1)の起泡物を得た。このようにして得た起泡物の評価結果は表1に示した。
表1から明らかなように、起泡物全体中の水分量が71.0重量%以下の起泡物(実施例1〜4)は何れも良好な風味、食感、保存性を有しており、特に水分量が42.2重量%の起泡物(実施例2)が総合的に最も評価が良かった。一方、起泡物全体中の水分量が85.4重量%の起泡物(比較例1)は、短時間で所定のオーバーランまでホイップしたものの、餡の風味が極端に弱かった。
(比較例2) 先行技術(特開昭62−253354号公報)準拠
表2に示す配合に従い、起泡物を以下の方法にて作製した。即ち、以下の通りにした。油脂を60℃に加温溶解し、これに乳化剤を均一に溶解させて油相部を調製した。これとは別に、水溶性の原材料を水に溶解し、60℃に加熱して水相部を調製した。上記水相部と上記油相部を混合し、これを60℃にて予備乳化した。この予備乳化液を140℃で3秒間蒸気直接滅菌し、2段式ホモジナイザー((株)イズミフードマシナリ社製)を用いて第1段圧2MPa、第2段圧4MPaの均質化圧にて均質化した後、10℃に急冷し5℃の冷蔵庫内で1晩エージングした。得られた起泡組成物を実施例1と同様にホイップし、得られた結果を表2に示した。
表2から明らかなように、起泡物の最高到達オーバーランは31%であり、口溶けも悪く、食感の軽さも不十分であり、乳の味で餡の風味がかき消されていた。
Figure 2014198014
(実施例5〜7、比較例3および4)
表3に示す配合に従い、練り餡と菓子用起泡剤の配合割合を代えた以外は、実施例1と同様にして、オーバーラン101%(実施例5)、112%(実施例6)、158%(実施例7)、80%(比較例3)および147%(比較例4)の起泡物を得た。このようにして得た起泡物の評価結果は表3に示した。
表3から明らかなように、起泡物全体中に含まれるグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.5〜1.7重量%の起泡物(実施例5〜7)は何れも良好な風味、食感、保存性を有していた。一方、起泡物全体中のグリセリン脂肪酸エステルの含有量が0.3重量%の起泡物(比較例3)は、最高到達時のオーバーランが80%であり、口溶けと食感の軽さが劣るものであった。また、グリセリン脂肪酸エステルの含有量が2.0重量%の起泡物(比較例4)は、口溶けが劣り、乳化剤の異味が感じられ好ましくないとするパネラーが3名いた。
Figure 2014198014
(実施例8)
表4に示す配合に従い、練り餡をつぶ餡に代えた以外は、実施例7と同様にして、オーバーラン107%の起泡物を得た。このようにして得た起泡物の評価結果は表4に示したように、良好な風味、食感、保存性を有していた。
Figure 2014198014
(実施例9)
表4に示す配合に従い、練り餡をさらしあんと上白糖と水に、菓子用起泡剤をO/W型エマルジョンタイプからペースト状の油脂無添加のタイプに代え、あずきソースを添加した以外は、実施例7と同様にして起泡物を作製し、オーバーラン289%の起泡物を得た。このようにして得た起泡物の評価結果は表4に示したように、粉末のさらしあんを使用したにも関わらず滑らかな口当たりと、濃厚な餡の風味で、且つ良好な保存性を有していた。
(実施例10)
表4に示す配合に従い、練り餡を薩摩芋餡に代えた以外は、実施例2と同様にして、オーバーラン161%の起泡物を得た。このようにして得た起泡物の評価結果は、表4に示したように、さつま芋の良好な風味を有し、且つ食感、保存性も良好であった。
(実施例11〜13)
表5に示す配合に従って、起泡物を以下の方法にて作製した。即ち、練り餡2600g、菓子用起泡剤400g、水2000gを30Qボールに計量し、縦型ミキサー(関東混合機工業(株)社製「MPI−30M」)で、ワイヤーホイッパーを用いて低速で1分間に混ざり合うまで攪拌して、起泡物用混合物を調製した。この混合物を連続式モンドミキサー(モンドミックス社製「ミニモンドA−05」)のホッパーに全量流し入れた後、流量8.5kg/hr、0.4MPaの加圧条件下で、窒素ガスを注入しながら1700rpmで回転させたミキシングヘッドを通過させて、注入する窒素量を調整することでオーバーラン210%(実施例11)、230%(実施例12)、285%(実施例13)の3種類の起泡物を得た。このようにして得た起泡物の評価結果は表5に示した。表5から明らかなように、何れの起泡物も、良好な風味、食感、保存性を有していた。
Figure 2014198014
(実施例14)
実施例6の起泡物をポリカップに充填後、フタをして−20℃の冷凍庫で凍らせて冷菓を作製した。できた冷菓は、シャリシャリとした食感のシャーベット状で、餡の良好な風味を有していた。
(実施例15)
実施例6の起泡物を、星口金を付けた絞り袋に充填し、ベーキングシートを敷いた天板に7g絞って電気オーブン((株)フジサワ・マルゼン社製「EAPS−222B」)を用い、上火170℃、下火150℃で14分間焼成して、焼き菓子を作製した。できた菓子は、星口金の筋模様が入った形状であり、しっかりとした餡の風味を持ちながら、非常に軽いサクサクとした食感の今までにないものであった。
(実施例16)
焼成時間を14分間から11分間に代えた以外は、実施例15と同様にして焼き菓子を作製した。できた菓子は、餡の風味を持ち、食感は柔らかく中がふんわりとした食感の今までにないものであった。
(実施例17)
粉末ゼラチン(ゼライス(株)社製「ゼラチンA−U」)1.5gを水7.5gに膨潤させた後、70℃の湯煎で加熱溶解したものを、実施例3の起泡物100gに混合し、5℃の冷蔵庫で固化させてムースを作製した。得られたムースは、少しプリッとした軟らかい食感を有し、餡の風味が強く感じられる美味しいものであった。

Claims (5)

  1. 起泡物用混合物全体中、乳固形分は無水物換算で0.1重量%以下しか含まず、水の存在下融点以上の温度で加熱してなるグリセリン脂肪酸エステルを0.4〜1.9重量%含有し、豆類及び/又は芋類由来の餡3〜30重量%(固形分換算)を含有し、さらに起泡物用混合物全体中の水分量が20〜75重量%である起泡物用混合物を起泡して得られる、オーバーランが100〜400%である起泡物。
  2. 少なくとも一部がα結晶状態のグリセリン脂肪酸エステルを菓子用起泡剤として含有する請求項1に記載の起泡物。
  3. 0〜0.8MPaの圧力条件で、オープン式ミキサー又は連続式ミキサーを用いて起泡して得られる請求項1又は2に記載の起泡物。
  4. 請求項1〜3何れかに記載の起泡物を用いてなる食品。
  5. 起泡物用混合物全体中、乳固形分は無水物換算で0.1重量%以下しか含まず、豆類及び/又は芋類由来の餡を3〜30重量%(固形分換算)、水の存在下融点以上の温度で加熱してなるグリセリン脂肪酸エステルを0.4〜1.9重量%含有し、さらに水分量が20〜75重量%である起泡物用混合物を、0〜0.8MPaの圧力条件で、オープン式ミキサー又は連続式ミキサーを用いて起泡することを特徴とする、オーバーランが100〜400%である起泡物の製造方法。
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