JP2014197661A - ゲル電解質およびその製造方法、当該ゲル電解質を用いた電気化学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 液漏れを防ぎ、等価直列抵抗が低い電気化学素子を構成することができるゲル電解質およびその製造方法、当該ゲル電解質を用いた電気化学素子を提供する。
【解決手段】 ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびその誘導体のいずれか一つの側鎖に、不飽和カルボン酸が付加され、前記不飽和カルボン酸の不飽和官能基間が架橋されてなる立体構造中に、電解液が保持されているゲル電解質を作成した。また、ゲル電解質を電気化学素子に適用した。
【選択図】図2
【解決手段】 ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびその誘導体のいずれか一つの側鎖に、不飽和カルボン酸が付加され、前記不飽和カルボン酸の不飽和官能基間が架橋されてなる立体構造中に、電解液が保持されているゲル電解質を作成した。また、ゲル電解質を電気化学素子に適用した。
【選択図】図2
Description
本発明は、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、電池等の電気化学素子に用いられる電解質及びその製造方法に関する。本発明はまた、当該電解質を用いた電気化学素子に関する。
従来から、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタ、電池等の電気化学素子には、イオン導電性材料として、電解液であるイオン液体や有機溶媒に無機酸塩又は有機酸塩を溶解させた液状の電解質が一般に使用されている。
このような電気化学素子の使用中に過電圧が印加される等の異常事態が発生した場合には、当該電気化学素子が故障することがある。すると、内部の液状電解質が漏れ出してしまい、電気化学素子を搭載した機器に故障をもたらすといった問題が生じる。例えば、アルミニウム電解コンデンサのようにガス透過性の封口部材を用いた電気化学素子に過電圧が印加されると、当該コンデンサの使用中に、液状電解質が封口部材を透過し蒸散することで内部の当該液状電解質は減少するため、電気化学素子の特性が劣化する。
このような液漏れは、電気素子中の電解液の搭載量が多い場合に起こりやすかった。一方、電解液の搭載量が少ない場合には等価直列抵抗(ESR)が増加してしまうという問題があった。そこで、電気化学素子において高分子ゲル電解質を使用することが提案されている。ゲル電解質を使用すると、電解液の搭載量が多い場合であっても、過電圧印加によって電気化学素子内部の電解質が漏れだすことなく、またガス透過性を有する封口部材からの電解質の透過・蒸散を防止することができる。
例えば、電気化学素子のセパレータとして、ポリアミド・ポリエーテルブロックコポリマーとポリエステル・ポリエーテルブロックコポリマーの少なくとも一方を含有するものを使用し、当該セパレータを電解液との接触後に加熱し、この電解液中に上記コポリマーを溶解させることで、セパレータの空隙にゲル電解質を形成させる電気化学素子が提案されている(特許文献1参照)。
ところで、例えば電気化学素子において、ゲル電解質を含有するセパレータをはじめとするセパレータを使用すると、ESRが増加する可能性がある。また、セパレータを使用せずに電極にゲル電解質を塗布した場合には、ゲル電解質が軟化して、電極間距離が小さくなり耐電圧性が低下する恐れがあった。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、液漏れを防ぎ、等価直列抵抗が低い電気化学素子を構成することができるゲル電解質およびその製造方法、当該ゲル電解質を用いた電気化学素子を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく、電気化学素子の等価直列抵抗を低くすることのできるゲル電解質について種々検討を重ねた。すなわち、ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびそれらの誘導体のいずれかを含む高分子剤と、不飽和カルボン酸を用いて、これらの物質の混合物の立体構造中に電解質を保持するゲル電解質の作成を試みた。そして、得られたゲル電解質を電気化学素子のために使用すると、従来のように電解液とマニラ紙、クラフト紙等のセパレータとを使用した電気化学素子と同等の耐熱性が得られた。そこでさらに検討を重ねた結果、等価直列抵抗が低い電気化学素子が得られる本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本願発明のゲル電解質は、ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびそれらの誘導体のいずれかを含む高分子剤の側鎖に、エステル化により不飽和カルボン酸が付加され、前記不飽和カルボン酸の不飽和官能基間が架橋されてなる立体構造中に、電解液が保持されていることを特徴とする。
また、本発明のゲル電解質の製造方法は、ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびそれらの誘導体のいずれかを含む高分子剤と、不飽和カルボン酸とを混合することにより、前記高分子剤の側鎖にエステル化により不飽和カルボン酸が付加されたゲル剤を製造する工程と、前記ゲル剤を、電解液に溶解する工程と、前記不飽和カルボン酸の不飽和官能基間を架橋する工程と、を含むことを特徴とする。
さらに、本発明のゲル電解質は、あらゆる電気化学素子においてゲル電解質として好適に使用される。従って、本発明はまた、一対の電極と当該電極の間に配置された上記のゲル電解質とを備えた電気化学素子に関する。
本発明によれば、液漏れを防ぎ、等価直列抵抗が低い電気化学素子を与えることができるゲル電解質およびゲル電解質の製造方法を提供することができる。
[1.ゲル電解質]
[1.1 構成]
(1)概要
本実施形態のゲル電解質について、以下に詳細に説明する。なお、ここではゲル電解質の構成要素に着目して説明を行い、具体的な製造方法については後に改めて説明することとする。本実施形態のゲル電解質は、ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびそれらの誘導体のいずれかを含む高分子剤の側鎖に、不飽和カルボン酸が付加され、不飽和カルボン酸の不飽和官能基間が架橋されてなる立体構造中に、電解液が保持されている。本実施形態では、不飽和カルボン酸は、エステル化により高分子剤の側鎖に結合されている。
[1.1 構成]
(1)概要
本実施形態のゲル電解質について、以下に詳細に説明する。なお、ここではゲル電解質の構成要素に着目して説明を行い、具体的な製造方法については後に改めて説明することとする。本実施形態のゲル電解質は、ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびそれらの誘導体のいずれかを含む高分子剤の側鎖に、不飽和カルボン酸が付加され、不飽和カルボン酸の不飽和官能基間が架橋されてなる立体構造中に、電解液が保持されている。本実施形態では、不飽和カルボン酸は、エステル化により高分子剤の側鎖に結合されている。
(2)ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびそれらの誘導体のいずれかを含む高分子剤
ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびそれらの誘導体(以下、高分子剤という)は、自然界に豊富に存在する天然高分子等の高分子とその誘導体である。本実施形態の高分子剤は、特に、分子中に多くの水酸基を有し、分子間相互作用が強いため、機械的強度が高く、耐熱特性にも優れている。
ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびそれらの誘導体(以下、高分子剤という)は、自然界に豊富に存在する天然高分子等の高分子とその誘導体である。本実施形態の高分子剤は、特に、分子中に多くの水酸基を有し、分子間相互作用が強いため、機械的強度が高く、耐熱特性にも優れている。
高分子剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCともいう)を用いることができる。HPCは、側鎖にヒドロキシプロピル基と水酸基をランダムに有し、多くの有機溶剤に溶解する。すなわち、HPCは、電解液の溶媒であるエチレングリコールに溶解性を示す。高分子剤は、電解液に用いられる有機溶媒に溶解性を示すものを適宜選択すれば良い。
高分子剤としてはヒドロキシプロピルセルロースの他にも、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メタクリル酸ヒドロキシエチル、カルボン酸を有するセルロース誘導体、グルコマンナンの誘導体、ヒアルロン酸の誘導体、などの水酸基を有する高分子剤を使用することができる。
(3)不飽和カルボン酸
不飽和カルボン酸は、高分子剤に混合されエステル化反応により、高分子剤の側鎖に付加される。高分子剤の側鎖に不飽和カルボン酸が付加された粉末を、以下、ゲル剤という。ゲル剤は、後述する架橋反応によって不飽和カルボン酸の不飽和官能基間がそれぞれ架橋されてゲル化し、立体構造を構成する。このような不飽和カルボン酸としては、アクリル酸(以下、AAともいう)、メタクリル酸、クロトン酸、などを使用することができる。
不飽和カルボン酸は、高分子剤に混合されエステル化反応により、高分子剤の側鎖に付加される。高分子剤の側鎖に不飽和カルボン酸が付加された粉末を、以下、ゲル剤という。ゲル剤は、後述する架橋反応によって不飽和カルボン酸の不飽和官能基間がそれぞれ架橋されてゲル化し、立体構造を構成する。このような不飽和カルボン酸としては、アクリル酸(以下、AAともいう)、メタクリル酸、クロトン酸、などを使用することができる。
不飽和カルボン酸の添加量は、高分子剤に対して10〜90wt%の範囲とすることが好ましい。不飽和カルボン酸の添加量を多くすると、得られるゲル電解質のゲル強度が増加する。これは、添加量の増加により架橋点が増えたことが原因と考えられる。ただし、添加量を多くすると、不飽和カルボン酸の付加の手間が増大する。また、ゲル強度が高すぎる場合には、適度な弾性率が得られず、電気化学素子の作成が困難となる。従って、ゲル強度、付加の手間の両方を考慮すると、上記範囲内において不飽和カルボン酸を添加することが好ましい。
(4)電解液
電解液には、上記のゲル剤が溶解される。電解液は、ゲル化したゲル剤が形成する立体構造中に保持される。電解液を構成する有機溶媒は、エチレングリコールを含んでいることが好ましい。上記の高分子剤が、エチレングリコールへの高い溶解性を示すからである。他にも、電解液を構成する溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルイソプロピルスルホン、エチルメチルスルホン、エチルイソブチルスルホンなどの鎖状スルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ニトロメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、メタノール、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒、水、またはこれらの溶媒とエチレングリコールとを混合したものを用いることもできる。
電解液には、上記のゲル剤が溶解される。電解液は、ゲル化したゲル剤が形成する立体構造中に保持される。電解液を構成する有機溶媒は、エチレングリコールを含んでいることが好ましい。上記の高分子剤が、エチレングリコールへの高い溶解性を示すからである。他にも、電解液を構成する溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルイソプロピルスルホン、エチルメチルスルホン、エチルイソブチルスルホンなどの鎖状スルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ニトロメタン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、メタノール、クロロホルム、アセトン、テトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機溶媒、水、またはこれらの溶媒とエチレングリコールとを混合したものを用いることもできる。
電解液には、ゲル剤が2〜20wt%の範囲で添加されることが好ましい。上限を越えてゲル剤を添加すると、ゲル剤は充分に溶解できない。また、下限を下回るゲル剤を添加すると、ゲル化したゲル剤が形成する立体構造中に保持できる電解液の量が少なくなり、液漏れを起こす可能性がある。
(5)ラジカル開始剤
電解液にゲル剤を溶解する際に、不飽和カルボン酸の不飽和官能基間を架橋してゲル剤をゲル化できる、任意のラジカル開始剤を使用することができる。ラジカル開始剤としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、アゾ化合物、過酸化ベンゾイル、などを使用することができる。
電解液にゲル剤を溶解する際に、不飽和カルボン酸の不飽和官能基間を架橋してゲル剤をゲル化できる、任意のラジカル開始剤を使用することができる。ラジカル開始剤としては、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、アゾ化合物、過酸化ベンゾイル、などを使用することができる。
例えば、ペルオキソ二硫酸アンモニウム(以下、APSともいう)を使用する場合には、APSの添加量はゲル剤に対して0〜0.1%の範囲とすることが好ましい。上限を超えてAPSを添加すると、APSの硫酸イオンにより箔の溶解や耐電圧性の低下が起こる。
また、例えばアゾ化合物を使用する場合には、アゾ化合物の添加量はゲル剤に対して0〜1.2wt%の範囲とすることが好ましい。上限を超えてアゾ化合物を添加すると、窒素ガスが発生し、ゲル中に気泡が混入する可能性がある。従って、均一なゲル電解質が作成できず、耐電圧性の低下が起こる。
[1.2 作用効果]
上記のような構成を有するゲル電解質の作用効果は以下のとおりである。
(1)ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびそれらの誘導体のいずれかを含む高分子剤に不飽和カルボン酸を混合してゲル剤とすることで、単独ではゲル化することができない高分子剤をゲル化させることができる。また、作成したゲル剤を、電解液中でゲル化することで、電解質の液漏れを防止することができる。
上記のような構成を有するゲル電解質の作用効果は以下のとおりである。
(1)ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびそれらの誘導体のいずれかを含む高分子剤に不飽和カルボン酸を混合してゲル剤とすることで、単独ではゲル化することができない高分子剤をゲル化させることができる。また、作成したゲル剤を、電解液中でゲル化することで、電解質の液漏れを防止することができる。
(2)また、上記のようなゲル電解質を用いることで、セパレータと同等の耐熱性を有するゲル電解質とすることができ、電気化学素子においてセパレータを使用する必要がない。従って、電解コンデンサ、電気二重層キャパシタやLiイオン電池において、セパレータを使用した場合よりも、等価直列抵抗を低くすることができる。
本実施形態のゲル電解質が有する耐熱性について、図1を用いて具体的に説明する。図1は、電解質の加熱による重量減を示すTGA曲線である。測定された電解質を以下に示す。
(a)電解液
(b)セパレータ
(c)HPCの側鎖にアクリル酸が付加されたゲル剤を用いたゲル電解質
(d)ラジカル開始剤を用いて作成された(c)
図1より明らかな通り、本実施形態のゲル電解質は、従来使用されているセパレータと同等の耐熱性を示していることがわかる。
(a)電解液
(b)セパレータ
(c)HPCの側鎖にアクリル酸が付加されたゲル剤を用いたゲル電解質
(d)ラジカル開始剤を用いて作成された(c)
図1より明らかな通り、本実施形態のゲル電解質は、従来使用されているセパレータと同等の耐熱性を示していることがわかる。
(3)不飽和カルボン酸を用いることで、高分子剤に付加された不飽和カルボン酸の不飽和官能基間により立体構造が形成され、この立体構造中に電解液を保持することができる。従って、電解質の液漏れを防止することができる。
本実施形態のゲル電解質が有する保液性について説明する。エチレングリコールを主溶媒とする電解液を用いたゲル電解質と、同じ溶媒を含ませたセパレータを、40度で1時間風乾して揮発率を求め、保液性の評価を行った。揮発率を求めた試料は、以下の(a)〜(c)である。
(a)セルロース系セパレータ(電解液70wt%)
(b)HPCの側鎖にアクリル酸が付加されたゲル剤を用いたゲル電解質(電解液97wt%)
(c)HPCの側鎖にアクリル酸が付加されたゲル剤を用いたゲル電解質(電解液91wt%)
(a)セルロース系セパレータ(電解液70wt%)
(b)HPCの側鎖にアクリル酸が付加されたゲル剤を用いたゲル電解質(電解液97wt%)
(c)HPCの側鎖にアクリル酸が付加されたゲル剤を用いたゲル電解質(電解液91wt%)
本実施形態のゲル電解質である上記(b)では6.2wt%、上記(c)では5.6wt%の重量減少が確認された。一方、上記(a)のセパレータでは、36wt%の重量が減少した。以上からも、本実施形態のゲル電解質は、非常に高い保液性を有していることがわかる。
これは、ゲル剤が、電解液の主溶媒と溶媒和、すなわち相互作用することにより溶解していることによるものと考えられる。ゲル化したゲル剤は、時間とともに収縮や白濁が確認されない。よって、ゲル剤と主溶媒は相互作用しており、液漏れや溶媒の揮発を効果的に抑制することができ、各種電気化学素子の長寿命化がなされる。また、本実施形態のゲル電解質を用いて、Liイオン電池を作成した場合、ゲル電解質が多くのLiイオンを含むことができるため、大容量のLiイオン電池を得ることができる。
(4)また、不飽和カルボン酸を用いることで、ゲル強度を向上させることができる。従って、本実施形態のゲル電解質を用いて電解コンデンサを作成する場合に、圧力でゲルが潰されてしまい電極間距離が極端に小さくなることがない。従って、耐電圧性も従来のセパレータを使用した電解化学素子と同等の高い特性を得ることができる。
(5)電解液が、エチレングリコールを含んでいる場合には、上記の高分子剤がエチレングリコールに溶解性を示すため、溶解の手間を低減できる。また、立体構造中に保持されやすくなり、電解質の液漏れを防止することができる。
(6)ラジカル開始剤を添加した場合には、架橋速度が速くなり、ゲル化を速く進行させることができる。
[2. ゲル電解質の製造方法]
上記のような本実施形態のゲル電解質の製造方法の一例は、次のような各工程を有する。
(1)高分子剤と不飽和カルボン酸を混合する工程(以下、混合工程という)。
(2)混合工程で得られたゲル剤を、電解液に溶解させる工程(以下、溶解工程という)。
(3)電解液中のゲル剤を架橋する工程(以下、架橋工程という)。
上記のような本実施形態のゲル電解質の製造方法の一例は、次のような各工程を有する。
(1)高分子剤と不飽和カルボン酸を混合する工程(以下、混合工程という)。
(2)混合工程で得られたゲル剤を、電解液に溶解させる工程(以下、溶解工程という)。
(3)電解液中のゲル剤を架橋する工程(以下、架橋工程という)。
以下、各工程について、図2を参照しながら詳細に説明する。
(1)混合工程
混合工程では、高分子剤と不飽和カルボン酸が混合される。具体的には、まず、アセトン等の溶媒に高分子剤、不飽和カルボン酸を添加する。このとき、カルボン酸を活性化するエステル化剤や不飽和カルボン酸と水酸基を含む高分子剤との縮合反応を促進する促進剤を添加しても良い。エステル化剤としては、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドを、促進剤としては、4−ジメチルアミノピリジンを用いることができる。各物質の混合が終了したら、例えば24時間撹拌する。混合撹拌により、エステル化反応が起こり、高分子剤の側鎖に不飽和カルボン酸が付加される。
(1)混合工程
混合工程では、高分子剤と不飽和カルボン酸が混合される。具体的には、まず、アセトン等の溶媒に高分子剤、不飽和カルボン酸を添加する。このとき、カルボン酸を活性化するエステル化剤や不飽和カルボン酸と水酸基を含む高分子剤との縮合反応を促進する促進剤を添加しても良い。エステル化剤としては、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミドを、促進剤としては、4−ジメチルアミノピリジンを用いることができる。各物質の混合が終了したら、例えば24時間撹拌する。混合撹拌により、エステル化反応が起こり、高分子剤の側鎖に不飽和カルボン酸が付加される。
例として、エステル化反応によりHPCの側鎖にアクリル酸が付加される(HPC−AA)反応を図3に示す。このHPC−AAおよびHPCについてH−NMRスペクトルを測定した結果、HPC―AAでは新たなシグナルが出現したことから、反応が進行していることが分かる。また、HPC−AAのFT−IRスペクトルにおいて、1750cm−1付近に、アクリル酸のアクリロイル基に由来する吸収が確認できた。従って、HPC−AAの合成が確認された。
次に、得られた反応混合物についてヘキサン過剰量を用いて再沈殿精製を行い、不純物を除去する。再沈殿精製により得られた沈殿物を、例えば50℃で24時間減圧乾燥し、反応や精製に用いた溶媒を除去して白色粉末を得る。除去方法は減圧乾燥に限定されず、公知の方法を用いることができる。また、反応や精製に用いた溶媒が電解質の溶媒として使用可能な場合には、必ずしも除去する必要はない。
減圧乾燥後、得られた白色粉末を純水に溶解し、2日間透析を行う。透析を行うことで、架橋物中に残留している未反応の不飽和カルボン酸や副生成物を除去して精製する。精製方法は透析に限定されず、公知の方法を用いることができる。透析後、−45℃、13Paで凍結乾燥し、水分を除去して、高分子剤の側鎖に不飽和カルボン酸が付加されたゲル剤を得る。
(2)溶解工程
溶解工程では、混合工程にて得られたゲル剤を、電解液に溶解する。このとき、ゲル剤を混合するとともにラジカル開始剤を添加しても良い。
溶解工程では、混合工程にて得られたゲル剤を、電解液に溶解する。このとき、ゲル剤を混合するとともにラジカル開始剤を添加しても良い。
(3)架橋工程
架橋工程では、混合工程にて高分子剤に付加された不飽和カルボン酸の不飽和官能基間が架橋される。例として、図3示すゲル剤において、ラジカル重合によって、アクリル酸の二重結合である不飽和官能基間が架橋される(HPC−AAゲル)反応を図4に示す。下記いずれかの方法で架橋工程を行いゲル剤をゲル化させることで、本実施形態のゲル電解質を得ることができる。
架橋工程では、混合工程にて高分子剤に付加された不飽和カルボン酸の不飽和官能基間が架橋される。例として、図3示すゲル剤において、ラジカル重合によって、アクリル酸の二重結合である不飽和官能基間が架橋される(HPC−AAゲル)反応を図4に示す。下記いずれかの方法で架橋工程を行いゲル剤をゲル化させることで、本実施形態のゲル電解質を得ることができる。
(a)熱架橋
溶解工程でラジカル開始剤を添加しなかった場合は、熱架橋をおこなう。例えば、80℃で2時間加熱することで、架橋反応を完了させることができる。ラジカル開始剤を用いない場合には、架橋反応は長くなるが、前述のような開始剤による耐電圧性の低下等を回避することができる。
溶解工程でラジカル開始剤を添加しなかった場合は、熱架橋をおこなう。例えば、80℃で2時間加熱することで、架橋反応を完了させることができる。ラジカル開始剤を用いない場合には、架橋反応は長くなるが、前述のような開始剤による耐電圧性の低下等を回避することができる。
溶解工程でラジカル開始剤を添加した場合は、以下の3つの手順のいずれかで架橋反応を行うことができる。
(b)室内静置のみ
ラジカル開始剤により、室温で静置することで架橋反応を進めることができる。静置時間は、例えば、24〜72時間が好ましい。
(b)室内静置のみ
ラジカル開始剤により、室温で静置することで架橋反応を進めることができる。静置時間は、例えば、24〜72時間が好ましい。
(c)室温静置と加熱
室温静置でも架橋反応は進むが、加熱を行うことで反応効率を高めることができる。まず、例えば24〜72時間、室温にて静置しラジカル開始剤による反応を完了させる。その後、例えば、60℃で6時間加熱し、未反応のラジカル開始剤が残留しないようにさらに反応させる。
室温静置でも架橋反応は進むが、加熱を行うことで反応効率を高めることができる。まず、例えば24〜72時間、室温にて静置しラジカル開始剤による反応を完了させる。その後、例えば、60℃で6時間加熱し、未反応のラジカル開始剤が残留しないようにさらに反応させる。
(d)加熱のみ
ラジカル開始剤を用いた場合には、加熱によって架橋速度を速めることができる。室内静置を行わずに加熱のみを行う場合には、例えば80℃で10分程度加熱することが好ましい。
ラジカル開始剤を用いた場合には、加熱によって架橋速度を速めることができる。室内静置を行わずに加熱のみを行う場合には、例えば80℃で10分程度加熱することが好ましい。
(作用・効果)
上記のように、高分子剤の側鎖に不飽和カルボン酸のカルボキシル基を付加してゲル剤を得て、電解液中で不飽和官能基間の架橋を行うことにより、電解質の液漏れを防止し、等価直列抵抗が低い電気化学素子を与えることができるゲル電解質を提供することができる。
上記のように、高分子剤の側鎖に不飽和カルボン酸のカルボキシル基を付加してゲル剤を得て、電解液中で不飽和官能基間の架橋を行うことにより、電解質の液漏れを防止し、等価直列抵抗が低い電気化学素子を与えることができるゲル電解質を提供することができる。
続いて、本発明の実施例及び比較例について特性評価を行うとともに、本発明をさらに詳細に説明する。実施例の特性評価に用いた項目は以下の通りである。
(1)耐電圧特性:定電流を印加し、セル端子間電圧を記録
(2)ESR特性:100kHzにおけるESR特性を測定
(1)耐電圧特性:定電流を印加し、セル端子間電圧を記録
(2)ESR特性:100kHzにおけるESR特性を測定
(1)耐電圧特性
(a)ゲル電解質の作成
特性評価に先立ち、複数のゲル電解質を作成した。各ゲル電解質を作成するにあたり、使用した試薬は以下のとおりである。
・高分子剤:ヒドロキシプロピルセルロース
・不飽和カルボン酸:アクリル酸(以下、AAともいう)
・ラジカル開始剤:ペルオキソ二硫酸アンモニウム
・電解液:エチレングリコール+2-ブチルオクタン二酸
(a)ゲル電解質の作成
特性評価に先立ち、複数のゲル電解質を作成した。各ゲル電解質を作成するにあたり、使用した試薬は以下のとおりである。
・高分子剤:ヒドロキシプロピルセルロース
・不飽和カルボン酸:アクリル酸(以下、AAともいう)
・ラジカル開始剤:ペルオキソ二硫酸アンモニウム
・電解液:エチレングリコール+2-ブチルオクタン二酸
ゲル電解質の作成方法は、前述のゲル電解質の製造方法に示した代表例である。ただし、架橋工程は以下の2つの架橋方法を用いて行った。
・室温静置と加熱:室内静置48時間後、60℃で6時間加熱
・熱架橋:80℃で2時間加熱
・室温静置と加熱:室内静置48時間後、60℃で6時間加熱
・熱架橋:80℃で2時間加熱
以下、各ゲル電解質の作成条件を表1に示す。各実施例および比較例において、高分子剤、不飽和カルボン酸、およびラジカル開始剤は、下記の割合で混合されてゲル剤が生成された。生成された各ゲル剤0.5gを、電解質5mLに溶解し、架橋工程を経てゲル電解質を作成した。表中、架橋方法のAは室内静置と加熱を示し、Bは熱架橋を示す。
(b)耐電圧特性評価用平板セルの作成
上記のゲル電解質を用いて、以下の手順で平板セルを作成した。
(i) 陽極箔および陰極箔の間に上記のゲルのいずれかを介在させた
(ii) (i)で得られたものを2枚のクラフトパルプ紙で挟んだ
(iii) さらに全体を2枚のガラス板で挟んだ
(iV) 固定具で固定して、平板セルを構成した
上記のゲル電解質を用いて、以下の手順で平板セルを作成した。
(i) 陽極箔および陰極箔の間に上記のゲルのいずれかを介在させた
(ii) (i)で得られたものを2枚のクラフトパルプ紙で挟んだ
(iii) さらに全体を2枚のガラス板で挟んだ
(iV) 固定具で固定して、平板セルを構成した
上記と同じ手順で、ゲル電解質の代わりに、厚さ50μmのセパレータ(クラフト紙)を1枚介在させたものを作成し、従来例1とした。
(c)測定結果
表2は、前記のような実施例、従来例、及び比較例の耐電圧特性をまとめた表である。
表2は、前記のような実施例、従来例、及び比較例の耐電圧特性をまとめた表である。
(d)考察
まず、実施例1〜3と従来例1を比較すると、同等の耐電圧特性を得られていることが分かる。従って、本実施形態のゲル電解質はゲル強度が高くなっていることから、ゲル電解質を用いた場合であっても電極間距離を保つことができ、耐電圧特性を向上させていると考えられる。実施例2および3の比較から、不飽和カルボン酸の添加量が多くするとゲル強度が増加していると考えられた。
まず、実施例1〜3と従来例1を比較すると、同等の耐電圧特性を得られていることが分かる。従って、本実施形態のゲル電解質はゲル強度が高くなっていることから、ゲル電解質を用いた場合であっても電極間距離を保つことができ、耐電圧特性を向上させていると考えられる。実施例2および3の比較から、不飽和カルボン酸の添加量が多くするとゲル強度が増加していると考えられた。
そこで、3つの試料を作製してゲル強度について更に検討した。すなわち、3gのHPCに対して、APS70mgと、AAを0.4g、0.8g、または2.7gとを添加したゲル剤を3つ生成した。各ゲル剤0.5gを電解液5mLに溶解してゲル化し、得られたゲル電解質の試料サイズをφ8×1mmに形成した。この試料をそれぞれ圧縮し、かけた圧力と試料に生じた歪みの関係を図5のTMA曲線に示す。図5からも明らかな通り、不飽和カルボン酸の添加量を多くするとゲル強度が増加していることが分かった。また、表2の実施例2および3の比較から、ゲル強度が増加すると、より耐電圧性が向上することが明らかになった。
また、実施例1および2の比較から、ラジカル開始剤の添加により架橋効率が向上し、ゲル強度が増加していると考えられる。一方、比較例2のようにラジカル開始剤を多量に添加した場合には、耐電圧性が低下する。これは、APSの硫酸イオンが原因であると考えられる。なお、不飽和カルボン酸であるAAを添加していない比較例1では、ゲル電解質を作成できず、よって耐電圧特性を測定できなかった。
(2)ESR特性
(a)ゲル電解質の作成
ESR特性評価においても、耐電圧特性の評価用と同様の方法でゲル電解質を作成した。ただし、ESR特性評価用のゲル電解質の作成条件は表3に示す通りである。
(a)ゲル電解質の作成
ESR特性評価においても、耐電圧特性の評価用と同様の方法でゲル電解質を作成した。ただし、ESR特性評価用のゲル電解質の作成条件は表3に示す通りである。
(b)ESR特性評価用平板セルの作成
上記のゲル電解質を用いて、耐電圧特性の評価用と同様の方法で平板セルを作成した。また、電極間に介在させたゲル電解質が102μmであったため、ゲル電解質の代わりに、厚さ80μmのセパレータ(マニラ紙)を介在させたものを作成し、従来例2とした。
上記のゲル電解質を用いて、耐電圧特性の評価用と同様の方法で平板セルを作成した。また、電極間に介在させたゲル電解質が102μmであったため、ゲル電解質の代わりに、厚さ80μmのセパレータ(マニラ紙)を介在させたものを作成し、従来例2とした。
(c)測定結果
表4は、前記のような実施例、及び従来例のESR特性をまとめた表である。
表4は、前記のような実施例、及び従来例のESR特性をまとめた表である。
(d)考察
上記の結果より、実施例4は従来例2よりも電極間距離が大きいにもかかわらず、ESR特性が低いことが分かる。従来セパレータを使用するとESRが増加することが知られていたが、本実施形態のゲル電解質を用いれば、セパレータを使用する必要がなくなり、ESR特性の増加を防ぐことができている。
上記の結果より、実施例4は従来例2よりも電極間距離が大きいにもかかわらず、ESR特性が低いことが分かる。従来セパレータを使用するとESRが増加することが知られていたが、本実施形態のゲル電解質を用いれば、セパレータを使用する必要がなくなり、ESR特性の増加を防ぐことができている。
次に、本発明のゲル電解質を用いた電気化学素子の例として、電気二重層キャパシタおよびLiイオン電池用途として検証する。
(1)電気二重層キャパシタ
(a)ゲル電解質の作成
本実施例の電気二重層キャパシタに用いられるゲル電解質は、上記と同じ高分子材、不飽和カルボン酸、ラジカル開始剤を用いて作成された。ただし、電解液については、1M トリエチルメチルアンモニウム・4フッ化ホウ素/γブチロラクトンを使用した。架橋は、室内静置48時間後、60℃で6時間加熱にて行った。
(1)電気二重層キャパシタ
(a)ゲル電解質の作成
本実施例の電気二重層キャパシタに用いられるゲル電解質は、上記と同じ高分子材、不飽和カルボン酸、ラジカル開始剤を用いて作成された。ただし、電解液については、1M トリエチルメチルアンモニウム・4フッ化ホウ素/γブチロラクトンを使用した。架橋は、室内静置48時間後、60℃で6時間加熱にて行った。
(b)ESR特性評価用平板セルの作成
上記のゲル電解質を用いて、以下の手順で平板セルを作成した。
(i) 陽極ステンレス箔および陰極ステンレス箔の間に上記のゲル電解質を介在させた
(ii) さらに全体を2枚のガラス板で挟んだ
(iii) 固定具で固定して、平板セルを構成した
このように、ゲル電解質を用いて、ESR特性の評価用の平板セルを作成したものを実施例5とした。実施例5のゲル電解質の厚みは100μmであった。また、ゲル電解質の代わりに、厚さ80μmのセパレータ(マニラ紙)を介在させたものを作成し、従来例3とした。
上記のゲル電解質を用いて、以下の手順で平板セルを作成した。
(i) 陽極ステンレス箔および陰極ステンレス箔の間に上記のゲル電解質を介在させた
(ii) さらに全体を2枚のガラス板で挟んだ
(iii) 固定具で固定して、平板セルを構成した
このように、ゲル電解質を用いて、ESR特性の評価用の平板セルを作成したものを実施例5とした。実施例5のゲル電解質の厚みは100μmであった。また、ゲル電解質の代わりに、厚さ80μmのセパレータ(マニラ紙)を介在させたものを作成し、従来例3とした。
(c)測定結果
表5は、従来例3および実施例5の特性をまとめた表である。測定条件は、LCRメータを使用し、交流周波数100kHz、温度は20度での測定結果を示す。
表5は、従来例3および実施例5の特性をまとめた表である。測定条件は、LCRメータを使用し、交流周波数100kHz、温度は20度での測定結果を示す。
(d)考察
上記の結果より、実施例5は従来例3よりも電極間距離が大きいにもかかわらず、ESR特性が低いことが分かる。従来セパレータを使用するとESRが増加することが知られていたが、本実施形態のゲル電解質を用いれば、電気二重層キャパシタにおいて、セパレータを使用する必要がなくなり、ESR特性の増加を防ぐことができている。
上記の結果より、実施例5は従来例3よりも電極間距離が大きいにもかかわらず、ESR特性が低いことが分かる。従来セパレータを使用するとESRが増加することが知られていたが、本実施形態のゲル電解質を用いれば、電気二重層キャパシタにおいて、セパレータを使用する必要がなくなり、ESR特性の増加を防ぐことができている。
(2)Liイオン電池
(a)ゲル電解質の作成
本実施例のLiイオン電池に用いられるゲル電解質は、上記と同じ高分子材、不飽和カルボン酸、ラジカル開始剤を用いて作成された。ただし、電解液については、以下の2つの電解液を用いてゲル電解質を作成した。
・電解液a:1M リチウム・4フッ化ホウ素/γブチロラクトン
・電解液b:1M リチウム・4弗化ホウ素/エチレンカーボネート・ジエチルカーボネート
架橋は、室内静置48時間後、60℃で6時間加熱にて行った。
(a)ゲル電解質の作成
本実施例のLiイオン電池に用いられるゲル電解質は、上記と同じ高分子材、不飽和カルボン酸、ラジカル開始剤を用いて作成された。ただし、電解液については、以下の2つの電解液を用いてゲル電解質を作成した。
・電解液a:1M リチウム・4フッ化ホウ素/γブチロラクトン
・電解液b:1M リチウム・4弗化ホウ素/エチレンカーボネート・ジエチルカーボネート
架橋は、室内静置48時間後、60℃で6時間加熱にて行った。
(b)ESR特性評価用平板セルの作成
下記の通りのゲル電解質またはセパレータを用いて、ESR特性の評価用と同様の方法で平板セルを作成した。
・実施例6:電解液aを用いたゲル電解質、厚さ100μm
・実施例7:電解液bを用いたゲル電解質、厚さ99μm
・従来例4:電解液aを用いたセパレータ(マニラ紙)、厚さ77μm
・従来例5:電解液bを用いたセパレータ(マニラ紙)、厚さ79μm
下記の通りのゲル電解質またはセパレータを用いて、ESR特性の評価用と同様の方法で平板セルを作成した。
・実施例6:電解液aを用いたゲル電解質、厚さ100μm
・実施例7:電解液bを用いたゲル電解質、厚さ99μm
・従来例4:電解液aを用いたセパレータ(マニラ紙)、厚さ77μm
・従来例5:電解液bを用いたセパレータ(マニラ紙)、厚さ79μm
(c)測定結果
表6は、従来例4、5および実施例6、7の特性をまとめた表である。測定条件は、LCRメータを使用し、交流周波数100kHz、温度は20度での測定結果を示す。
表6は、従来例4、5および実施例6、7の特性をまとめた表である。測定条件は、LCRメータを使用し、交流周波数100kHz、温度は20度での測定結果を示す。
(d)考察
上記の結果より、電解液aを用いた従来例4および実施例6、電解液bを用いた従来例5および実施例7において、同等のESR特性が得られていることがわかる。すなわち、本実施形態のゲル電解質を用いたLiイオン電池においては、セパレータを用いた場合と同程度のESR特性を得ることができる。
上記の結果より、電解液aを用いた従来例4および実施例6、電解液bを用いた従来例5および実施例7において、同等のESR特性が得られていることがわかる。すなわち、本実施形態のゲル電解質を用いたLiイオン電池においては、セパレータを用いた場合と同程度のESR特性を得ることができる。
本実施形態のゲル電解質では、電解質に対してゲル剤が2〜20wt%の範囲で添加される。すなわち、電解液の重量比は、ゲル剤:電解液=2〜20:98〜80である。一方、セパレータにおいては、電解液の重量比は、セパレータ:電解液=30:70である。よって、本実施形態のゲル電解質の方が、電解液の含有量が多い。イオンの移動は液を介して起きるため、保持される電解液量が多く、ゲル内の微少環境が溶液に近いゲル電解質の方が導電性に優れる。従って、ゲル電解質とセパレータの体積が同じ場合、ゲル電解質の方がLiイオンを多く含むことができるため、大容量のLiイオン電池を得ることができる。
Claims (10)
- ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびそれらの誘導体のいずれかを含む高分子剤の側鎖に、エステル化により不飽和カルボン酸が付加され、前記不飽和カルボン酸の不飽和官能基間が架橋されてなる立体構造中に、電解液が保持されていることを特徴とするゲル電解質。
- 前記電解液がエチレングリコールを含むことを特徴とする請求項1記載のゲル電解質。
- 前記電解液に、ラジカル開始剤が添加されていることを特徴とする請求項1又は2記載のゲル電解質。
- 一対の電極と、前記電極の間に配置された請求項1〜3何れか一項記載のゲル電解質と、を備えることを特徴とする電気化学素子。
- 前記電気化学素子が電解コンデンサであることを特徴とする請求項4記載の電気化学素子。
- 前記電気化学素子が電気二重層キャパシタであることを特徴とする請求項4記載の電気化学素子。
- 前記電気化学素子がLiイオン電池であることを特徴とする請求項4記載の電気化学素子。
- ヒドロキシアルキルセルロース、多糖類、およびそれらの誘導体のいずれかを含む高分子剤と、不飽和カルボン酸とを混合することにより、前記高分子剤の側鎖にエステル化により不飽和カルボン酸が付加されたゲル剤を製造する工程と、
前記ゲル剤を、電解液に溶解する工程と、
前記不飽和カルボン酸の不飽和官能基間を架橋する工程と、を含むことを特徴とするゲル電解質の製造方法。 - 前記架橋工程は、前記ゲル剤が溶解した前記電解液を加熱して行うことを特徴とする請求項8記載のゲル電解質の製造方法。
- 前記溶解工程において、前記電解液にラジカル開始剤が添加されたことを特徴とする請求項8又は9記載のゲル電解質の製造方法。
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JP2013214454A JP2014197661A (ja) | 2013-03-05 | 2013-10-15 | ゲル電解質およびその製造方法、当該ゲル電解質を用いた電気化学素子 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018212125A1 (ja) * | 2017-05-16 | 2018-11-22 | 株式会社村田製作所 | 電解コンデンサ |
JP2020527867A (ja) * | 2017-08-04 | 2020-09-10 | シェンズェン カプチェム テクノロジー カンパニー リミテッドShenzhen Capchem Technology Co., Ltd. | 水素除去剤、その製造方法、及びアルミ電解コンデンサ用電解液 |
CN112335006A (zh) * | 2018-07-26 | 2021-02-05 | 太阳电子工业株式会社 | 电解电容器 |
-
2013
- 2013-10-15 JP JP2013214454A patent/JP2014197661A/ja active Pending
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EP3828906A4 (en) * | 2018-07-26 | 2022-03-02 | Sun Electronic Industries Corp. | ELECTROLYTIC CAPACITOR |
US11545306B2 (en) | 2018-07-26 | 2023-01-03 | Sun Electronic Industries Corp. | Electrolytic capacitor |
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