JP2014191531A - 携帯端末を所持したユーザの短時間滞留地を推定する装置、プログラム及び方法 - Google Patents

携帯端末を所持したユーザの短時間滞留地を推定する装置、プログラム及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】携帯端末の測位機能を起動させることなく、通信事業者設備によって取得可能な基地局位置情報を用いて、ユーザの短時間滞留の位置を推定する装置等を提供する。
【解決手段】複数の通信履歴を、所定短時間の時間窓(時間区間)に分割する時間窓分割手段と、時間窓毎に、複数の基地局位置情報に基づく位置の確率分布が、単峰性である場合には「滞留」と判定し、滞留と判定された所定数以上連続する時間窓を「滞留時間窓」とする滞留判定手段と、滞留時間窓に含まれる複数の基地局位置情報の重心を「滞留地代表点」とする位置クラスタリング手段と、判定対象の滞留時間窓と先の滞留時間窓とを比較して、両滞留時間窓が所定時間以上経過しており、且つ、両時間窓に基づく両滞留地代表点が所定距離以上離れている場合に、当該判定対象の滞留時間窓に基づく滞留地代表点を「短時間滞留地」と判定する短時間滞留地判定手段とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、携帯端末を所持したユーザの移動に伴う位置を推定する技術に関する。
近年、携帯電話機に代表される携帯端末には、GPS(Global Positioning System)のような測位機能が、一般的に搭載されてきている。そのため、ユーザは、携帯端末を用いて、現在位置を測位できると共に、その位置をネットワークを介してサーバへ送信することによって、位置に応じた様々なサービス情報を受信することができる。
従来、携帯端末のGPS機能によって取得された位置情報をサーバへ送信し、当該サーバが、そのユーザの行動履歴から行動範囲を算出し、その行動範囲を反映した情報を提供する技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、携帯端末によって計測された多数の位置情報同士の距離に基づいてクラスタリングし、ユーザ毎の行動範囲を算出する。
これに対し、携帯端末のGPS機能によって取得された位置情報に基づく行動履歴から、ユーザの有意位置を学習する技術がある。第1の実施例として、k-means法の改良方法によってユーザ毎の位置情報をクラスタリングし、総滞留時間に基づいて滞留状態を判定する技術がある(例えば非特許文献1参照)。また、二次元平面上における無限混合ガウスモデルを用いたクラスタリングを用いてユーザの位置情報をクラスタリングする技術もある(例えば非特許文献2参照)。
前述したいずれの技術も、携帯端末のGPS機能によって、その位置情報を取得する必要がある。しかしながら、携帯端末について、GPS機能及びそのアプリケーションを常に又は定期的に起動させることは、携帯端末の電池の消耗を早めるだけでなく、携帯端末からのパケットの送出量を増加させてしまうという問題がある。また、ユーザの携帯端末が、「滞留」しているのか「移動」しているのかを明確に区分することもできない。
これに対し、通信事業者側としては、携帯端末によって取得された位置情報ではなく、その携帯端末が配下となる基地局の位置情報の履歴を用いて、携帯端末を所持したユーザ行動としての滞留地及び時間区間を推定できることが好ましい。この場合、携帯端末が常に又は定期的にGPS機能を起動させる必要もない。しかしながら、このような基地局位置情報は、空間的粒度が粗くかつ時間間隔が一定でないという問題がある。定常的な測位位置が得られない場合、前述した従来技術を適用することも難しい。
また、通信事業者側として、携帯端末が配下となる基地局の位置情報の履歴に対して、Leader Algorithmと称される凝集型クラスタリング方法を用いて、ユーザにとって有意な位置を抽出する技術がある(例えば非特許文献3参照)。
更に、通信事業者側として、基地局の切り替わり回数に関して上限値(例えば3回)を設け、上限値を超えない一連の時間帯を「滞留時間」として抽出する技術もある(例えば非特許文献4参照)。
更に、通信事業者側として、携帯端末の測位機能を起動させることなく、通信事業者設備によって取得可能な、空間的粒度が粗く且つ時間間隔が一定でない基地局位置情報を用いて、ユーザにとって有意な位置を推定する技術もある(例えば特許文献2参照)。
特開2010−49295号公報 特開2012−85095号公報
遠山緑生、服部隆志、荻野達也、「携帯電話の測位機能を用いた有意位置の学習」、情報処理学会論文誌、vol.46 No.12、pp.2915-2924、2005 Petteri Nurmi、Sourav Bhattacharya、「Identifying Meaningful Places: The Non-parametric Way」、Pervasive 2008、pp.111-127、2008 S. Isaacman、R. Becker、R. Caceres、S.G. Kobourov、M. Martonosi、J. Rowland、and A. Varshavsky、「Identifying ImportantPlaces in People's Lives from Cellular Network Data」、Proc. of the 9th International Conference on Pervasive Computing、pp.133-151、2011 M.A. Bayir、M. Demirbas、and N. Eagle、「Mobility profiler: A frameworkfor discovering mobility profiles of cell phone users」、Proc.of the International Conference on Pervasive and Mobile Computing、vol.6、no.4、pp.435--454、2010 野村友和、「カーネル密度推定」、[online]、[平成24年10月5日検索]、インターネット<URL:http://www.econ.kobe-u.ac.jp/~nomura/lecture/11f/kd.pdf>
非特許文献1に記載の技術によれば、一定時間内での移動距離(速度)に基づいて滞留状態を判定するために、携帯端末における測位時間間隔が一定である必要がある。測位時間間隔が一定でなく且つ長くなるほど、実際の速度との誤差が大きくなり、滞留位置の判定精度が低下する。そのために、定期的な測位が実行できない状況下では、このアルゴリズムを適用することが難しく、滞留地か又は移動中かを判別することができない。
非特許文献2に記載の技術によれば、空間的に疎な位置情報の履歴(位置情報同士の地理的距離が比較的長い)を用いた場合、混合ガウス分布のパラメータ推定の性質によっては、離れた位置情報同士を、同一のクラスタに含めてしまうという傾向がある。これによっても、滞留位置の判定精度が低下する。
非特許文献3及び特許文献2に記載の技術によれば、2つの滞留地の間における移動中に発生する通信の影響を受けて、滞留地の位置や時間がずれてしまうという精度の問題もある。特に、特許文献2に記載の技術によれば、基地局によって計測された多数の位置情報をクラスタリングした後に、滞留状態を判定しているために、滞留地の精度が低いという問題もある。
非特許文献4に記載の技術によれば、位置情報を考慮しないため、移動中に通信をほとんど発生させない携帯端末の場合、自宅と職場を同一の滞留地にしてしまうという問題があった。また、狭い範囲に基地局が密に配置されている場合、滞留時間を細かく分割してしまうという問題もあった。
また、前述した技術はいずれも、滞留地について、長時間滞留(自宅や職場)と短時間滞留(一時停止又は停車乃至乗換)とを区別することはできなかった。ユーザの移動に関して詳細な特徴を把握するためには、短時間滞留に関する位置及び基地局情報を正確に把握することが必要である。
そこで、本発明では、携帯端末の測位機能を起動させることなく、通信事業者設備によって取得可能な、空間的粒度が粗く且つ時間間隔が一定でない基地局位置情報を用いて、ユーザの短時間滞留(一時停止又は停車乃至乗換)に関する代表点の位置及び基地局リストを推定することができる装置、プログラム及び方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、携帯端末を所持したユーザの短時間滞留地を推定する装置であって、
携帯端末毎に、通信された日時刻及びその基地局位置情報を対応付けた複数の通信履歴を蓄積した通信履歴蓄積手段と、
複数の通信履歴を、所定短時間の時間窓(時間区間)に分割する時間窓分割手段と、
時間窓毎に、複数の基地局位置情報に基づく位置の確率分布が、単峰性である場合には「滞留」と判定し、滞留と判定された所定数以上連続する時間窓を「滞留時間窓」とする滞留判定手段と
滞留時間窓に含まれる複数の基地局位置情報の重心を「滞留地代表点」とする位置クラスタリング手段と、
判定対象の滞留時間窓と先の滞留時間窓とを比較して、両滞留時間窓が所定時間以上経過しており、且つ、両時間窓に基づく両滞留地代表点が所定距離以上離れている場合に、当該判定対象の滞留時間窓に基づく滞留地代表点を「短時間滞留地」と判定する短時間滞留地判定手段と
を有することを特徴とする。
本発明の装置における他の実施形態によれば、
多数のユーザの通信履歴から導出された多数の「短時間滞留地」をクラスタリングし、クラスタ毎に、短時間滞留地の重心を「短時間滞留代表地」として算出すると共に、当該「短時間滞留代表地」で接続される基地局識別子毎の接続確率分布を算出する短時間滞留地基地局情報収集手段を更に有することも好ましい。
本発明の装置における他の実施形態によれば、
「短時間滞留代表地」毎に、その短時間滞留代表地の算出に用いられた多数の滞留時間窓から、短時間滞留の時間長の平均値又はパーセンタイル値を算出する短時間滞留時間長算出手段と、
「短時間滞留代表地」毎に、短時間滞留の時間長の平均値又はパーセンタイル値を対応付けて管理する短時間滞留時間長分布管理手段とを更に有することも好ましい。
本発明の装置における他の実施形態によれば、
時間窓分割手段は、
所定短時間の時間窓を、所定地域範囲毎に異なる時間窓で設定しており、
地域範囲毎に、短時間滞留時間長算出手段によって算出された短時間滞留の時間長の平均値又はパーセンタイル値を、所定短時間の時間窓として設定することも好ましい。
本発明の装置における他の実施形態によれば、
滞留判定手段は、時間窓毎に、
(S1)任意の点(位置情報)を、最初の中心点とし、
(S2)中心点から、第1の閾値の半径の円に含まれる点を用いて、重心を算出し、
(S3)重心と現在の中心点との差が、第2の閾値以下であるか否かを判定し、
(S4)S3によって偽と判定された場合、その重心を次の中心点として、再びS2へ戻って、変化量が第2の閾値以下に収まるまで繰り返し、
(S5)S3によって真と判定された場合、その重心を滞留地代表点位置とし、
最後に、当該時間窓について、滞留地代表点位置の種類数が、1個の場合には「単峰性である」と判定することも好ましい。
本発明の装置における他の実施形態によれば、
位置クラスタリング手段は、時間窓毎に、
(S1)任意の点(位置情報)を、最初の中心点とし、
(S2)中心点から、第1の閾値の半径の円に含まれる点を用いて、重心を算出し、
(S3)重心と現在の中心点との差が、第2の閾値以下であるか否かを判定し、
(S4)S3によって偽と判定された場合、その重心を次の中心点として、再びS2へ戻って、変化量が第2の閾値以下に収まるまで繰り返し、
(S5)S3によって真と判定された場合、その重心を「滞留地代表点」とする
ことも好ましい。
本発明の装置における他の実施形態によれば、
前述に記載の装置を、広域無線通信網に接続した通信設備装置であって、通信履歴蓄積手段に通信履歴を蓄積するために、
基地局識別子及び基地局位置情報を対応付けて記憶する基地局位置情報管理手段と、
携帯端末を配下に接続させる基地局から、携帯端末毎における通信された日時刻及びその基地局識別子の通信履歴を収集する通信履歴収集手段と、
基地局位置情報管理手段を用いて、通信履歴毎に、基地局識別子に対応する基地局位置情報を更に対応付ける位置情報履歴生成手段と
を更に有することも好ましい。
本発明によれば、装置に搭載されたコンピュータにおける、携帯端末を所持したユーザの短時間滞留地を推定するプログラムであって、
携帯端末毎に、通信された日時刻及びその基地局位置情報を対応付けた複数の通信履歴を蓄積した通信履歴蓄積手段と、
複数の通信履歴を、所定短時間の時間窓(時間区間)に分割する時間窓分割手段と、
時間窓毎に、複数の基地局位置情報に基づく位置の確率分布が、単峰性である場合には「滞留」と判定し、滞留と判定された所定数以上連続する時間窓を「滞留時間窓」とする滞留判定手段と
滞留時間窓に含まれる複数の基地局位置情報の重心を「滞留地代表点」とする位置クラスタリング手段と、
判定対象の滞留時間窓と先の滞留時間窓とを比較して、両滞留時間窓が所定時間以上経過しており、且つ、両時間窓に基づく両滞留地代表点が所定距離以上離れている場合に、当該判定対象の滞留時間窓に基づく滞留地代表点を「短時間滞留地」と判定する短時間滞留地判定手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明の滞留地推定プログラムにおける他の実施形態によれば、
装置を用いて、携帯端末を所持したユーザの短時間滞留地を推定する方法であって、
携帯端末毎に、通信された日時刻及びその基地局位置情報を対応付けた複数の通信履歴を蓄積した通信履歴蓄積部を有し、
複数の通信履歴を、所定短時間の時間窓(時間区間)に分割する第1のステップと、
時間窓毎に、複数の基地局位置情報に基づく位置の確率分布が、単峰性である場合には「滞留」と判定し、滞留と判定された所定数以上連続する時間窓を「滞留時間窓」とする第2のステップと、
滞留時間窓に含まれる複数の基地局位置情報の重心を「滞留地代表点」とする第3のステップと、
判定対象の滞留時間窓と先の滞留時間窓とを比較して、両滞留時間窓が所定時間以上経過しており、且つ、両時間窓に基づく両滞留地代表点が所定距離以上離れている場合に、当該判定対象の滞留時間窓に基づく滞留地代表点を「短時間滞留地」と判定する第4のステップと
を有することを特徴とする。
本発明の装置、プログラム及び方法によれば、携帯端末の測位機能を起動させることなく、通信事業者設備によって取得可能な、空間的粒度が粗く且つ時間間隔が一定でない基地局位置情報を用いて、ユーザの短時間滞留(一時停止又は停車乃至乗換)に関する代表点の位置及び基地局リストを推定することができる。
携帯端末の移動を表す空間的な外観図である。 本発明における短時間滞留地推定装置の機能構成図である。 基地局位置情報の表である。 通信履歴の表である。 通信履歴に基地局位置情報を対応付けた表である。 各時間窓の表である。 図5の表を、図6の時間窓で分割した表である。 単峰性か否かを判定するためのフローチャートである。 滞留と判定された時間窓及び滞留地代表点位置を表す表である。 短時間滞留代表地毎の滞留地代表点位置を表す表である。 短時間滞留代表地毎の接続確率分布を表す表である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、携帯端末の移動を表す空間的な外観図である。
ユーザに所持された携帯端末(例えば携帯電話機やスマートフォン)は、いずれの位置にあっても、常に、基地局の配下にあってその基地局からの電波を受信し続けている。図1によれば、ユーザは、自宅の住所及び職場の居所と、訪問先となるD駅周辺とが、「滞留地」となる。また、そのユーザは、自宅、職場及びD駅周辺以外の場所では、「移動」中となる。
多数の基地局を統合する通信事業者設備では、携帯端末毎に、空間的粒度が粗く、且つ、時間間隔が一定でない基地局位置情報を常に収集することができる。「空間的粒度が粗く」とは、位置情報同士の地理的な距離が比較的長いことを意味する。また、「時間間隔が一定でない」とは、位置情報の取得時間間隔が比較的ばらついていることを意味する。
広域無線通信網(携帯電話網)に接続された基地局3は、その配下に位置する携帯端末2からの通信を受け付けることによって、その日時刻を通信履歴として取得する。通信履歴は、携帯端末に対するユーザ操作を要するメールの送受信やWebページの閲覧の時に限られない。携帯端末にインストールされたアプリケーションが自動的に実行するデータの送受信の時にも、基地局3によって携帯端末2からの通信履歴として取得される。
図2は、本発明における短時間滞留地推定装置の機能構成図である。
本発明における短時間滞留地推定装置1は、携帯端末を所持したユーザの短時間滞留地を推定することができる。短時間滞留地推定装置1は、広域無線通信網(携帯電話網)に接続されており、基地局3から通信履歴を収集する。
図2によれば、短時間滞留地推定装置1は、広域通信網に接続する通信インタフェース部10と、基地局位置情報管理部111と、通信履歴蓄積部112と、位置情報履歴生成部121と、時間窓分割部122と、滞留判定部123と、位置クラスタリング部124と、短時間滞留地判定部125と、短時間滞留地基地局情報収集部126と、短時間滞留時間長分布算出部127と、短時間滞留時間長分布管理部128と、アプリケーション処理部13とを有する。アプリケーション処理部13は、本発明によって推定されたユーザ毎の滞留地に基づいて、様々なサービスを実行する。通信インタフェース部を除くこれら機能構成部は、装置に搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。
[基地局位置情報管理部111]
基地局位置情報管理部111は、基地局識別子と基地局位置情報とを対応付けて記憶する。
図3は、基地局位置情報の表である。基地局識別子毎に、緯度・経度の基地局位置情報が対応付けられている。図3によれば、基地局1は、緯度35.845及び経度139.502の位置に設置されていることが理解できる。また、基地局3は、緯度35.845及び経度139.504の位置に設置されていることが理解できる。尚、このような基地局位置情報は、基地局位置情報管理部111内に予め蓄積したものであってもよいし、通信インタフェース部10を介して各基地局3から取得するものであってもよい。
[通信履歴蓄積部112]
通信履歴蓄積部112は、通信された日時刻及びその基地局位置情報を対応付けた複数の通信履歴を蓄積する。これら携帯端末2毎の通信履歴は、携帯端末2を配下に接続させる基地局3から収集する。
図4は、通信履歴の表である。通信履歴は、基地局3が携帯端末2からの通信を受け付けた記録である。通信履歴は、携帯端末2の「端末識別子」(アドレス、電話番号、識別番号等)毎に、「日時刻」及び「基地局識別子」が対応付けられている。
通信履歴(端末識別子、日時刻、基地局識別子)
図4における最初の通信履歴によれば、携帯端末0001は、2010年6月15日17:54:50に、基地局3と通信したことが記録されている。また、携帯端末0001は、2010年6月15日17:57:00には、基地局1と通信したことが記録されている。
[位置情報履歴生成部121]
位置情報履歴生成部121は、基地局位置情報管理部111を用いて、通信履歴毎に、基地局識別子に対応する基地局位置情報を更に対応付ける。
図5は、通信履歴に基地局位置情報を対応付けた表である。図5の表は、図4の表の基地局識別子の部分に、図3の基地局の緯度・経度が対応付けられたものである。図5における最初の通信履歴によれば、携帯端末0001は、2010年6月15日17:54:50に、緯度35.845及び経度139.504の基地局と通信したことが理解できる。また、携帯端末0001は、2010年6月15日17:57:00に、緯度35.845及び経度139.502の基地局と通信したことが理解できる。
[時間窓分割部122]
時間窓分割部122は、位置情報履歴生成部121によって生成された複数の通信履歴を、所定の時間窓(時間区間)に分割する。時間窓は、時間幅T及びシフト幅Sによって決定される。シフト幅Sとは、開始時刻をSだけ遅らせたものである。即ち、T>Sの場合、時間窓は、T−Sだけ重畳することとなる。
時間幅Tは、「どの時間幅で滞留を判定するか」を決めるパラメータである。時間窓内に所定数以上の位置情報がない場合には滞留/移動の判定が難しい。そのために、時間幅Tは、全体の通信履歴数から判断して、時間窓内にできる限り所定数以上の位置情報が入るように決める必要がある。
また、シフト幅Sは、その幅を短くすると、滞留時間区間の時間解像度が増す。一方で、その幅を長くすると、時間窓の数が多くなるため、計算量が増大する。従って、シフト幅Sは、アプリケーションが求める時間解像度及び処理時間に応じて決める必要がある。
図6は、各時間窓の表である。図6によれば、T=20分及びS=10分とした場合における、各時間窓の開始時刻及び終了時刻を表す。図6によれば、時間窓1は、17:50:00〜18:09:59であり、T=00:20:00となっている。また、時間窓2は、18:00:00〜18:19:59であり、時間窓1に対してS=00:10:00となっている。
図7は、図5の表を、図6の時間窓で分割した表である。図7によれば、時間窓1には、5個の通信履歴が記録されており、時間窓3には、8個の通信履歴が記録されている。
[滞留判定部123]
滞留判定部123は、時間窓毎に、複数の基地局位置情報に基づく位置の確率分布が、単峰性である場合には「滞留」と判定する。また、滞留判定部123は、滞留と判定された所定数以上連続する時間窓を「滞留時間窓」とする。
「単峰性」とは、位置の確率分布が1つの山の形状をしていることを意味する。即ち、1つの時間窓(例えば20分)について、単峰性であるということは、その位置について「滞留」していると判定することができる。逆に、位置の確率分布が複数の山の形状をしている場合、多峰性を意味する。1つの時間窓について、多峰性であるということは、その位置について「移動」中と判定することができる。
尚、滞留判定部123は、後述する時間クラスタリング部128のために、所定数以上の通信履歴が記録されていない時間窓については、「未判定」とすることも好ましい。例えば所定数2個以上の通信履歴が記録されていない時間窓については、「未判定」とする。
また、後述する短時間滞留地基地局情報収集部で収集される接続確率分布情報が十分に収集された場合は、上記の方法に代わり、接続確率分布に基づいて滞留判定をしてもよい。例えば、滞留判定部において、各時間窓の代表地を、時間窓で最大の頻度の基地局が、接続確率分布に一定確率(例えば50パーセント)以上の確率で出現する短時間滞留代表地とする方法により、決定してもよい。
図8は、単峰性か否かを判定するためのフローチャートである。
図8によれば、滞留判定部123は、位置情報の確率分布が単峰性か否かを判定するため、代表点計算処理を実行する。その結果、代表点の種類数が1個であれば単峰性であって「滞留」と判定され、代表点の種類数が複数個であれば多峰性であって「移動」中と判定される。
代表点計算処理は、各時間窓に含まれる複数の位置情報について、以下のステップによって実行される。
(S1)任意の点(位置情報)を、最初の中心点とする。
(S2)中心点から、第1の閾値(例えば2km)の半径の円に含まれる点(位置情報)を用いて、重心を算出する。
(S3)次に、重心と現在の中心点との差(変化量)が、第2の閾値(例えば100m)以下であるか否かを判定する。
(S4)S3によって偽と判定された場合、その重心を次の中心点とする。そして、再びS2へ戻り、変化量が第2の閾値以下に収まるまで繰り返す。
(S5)S3によって真と判定された場合、その重心(収束した点)を代表点とする。
そして、最後に、各時間窓について、収束した代表点の種類数が、1個の場合には「滞留」と判定し、複数個の場合には「移動」と判定する。
以下では、図7の時間窓13について、具体的に滞留/移動を、代表点抽出処理を用いて判定する。
(時間窓13における滞留判定)
(1)時間窓13の点(35.85、139.506)に関する1回目の重心を計算する。時間窓13の点(35.85、139.506)と時間窓1に含まれるその他の点の距離はすべて2km以内であるので、その他の点すべての平均をとると(35.849、139.506)となる。
(2)時間窓13の点(35.85、139.506)に関する2回目の重心を計算する。2回目の重心計算では、中心点を(35.849、139.506)とする。中心点と時間窓1に含まれるその他の点の距離はすべて2km以内であるので、その他の点すべての平均をとると(35.849、139.506)となる。
(3)1回目と2回目の重心計算の結果は同じであり変化量は100m以下であるので、時間窓13の点(35.85、139.506)の代表点は(35.849、139.506)となる。他の点についても同様に計算すると、代表点は(35.824、139.514)であり、代表点の種類数は1であるので、時間窓1は「滞留」と判定される。
尚、滞留判定部123は、時間窓毎に、複数の基地局位置情報に対してカーネル密度推定(Kernel density estimation)を用いて単峰性か否かを判定することも好ましい。カーネル密度推定とは、確率変数の確率密度関数を推定するべく、ある母集団の標本のデータを外挿する方法である(例えば非特許文献5参照)。この方法によれば、カーネル関数を用いて、峰となるコブを導出することができる。
[位置クラスタリング部124]
位置クラスタリング部124は、「滞留」と判定された時間窓の位置情報を収集する。滞留と判定された時間窓の代表点の数は1である。
図9は、滞留と判定された時間窓及び滞留地代表点位置を表す表である。
図9(a)によれば、携帯端末識別子00001における時間窓13,17,18について滞留と判定され、携帯端末識別子00002における時間窓13,15,16,17について滞留と判定されている。
そして、位置クラスタリング部124は、「滞留」と判定された各時間窓の複数の位置情報の重心を「滞留地代表点位置」とする。位置クラスタリング部124も、前述した図8と同様に、代表点計算処理を実行する。距離が近い代表点の集合を同じ滞留地とするため、各時間窓の滞留地代表点位置について、所与の中心点から第1の閾値の範囲で重心を算出し、中心点と重心との差(変化量)が第2の閾値に収まるまで繰り返し、最終的に得られた各位置の収束値(図9の代表点における代表点)を、時間窓毎の「滞留地代表点位置」とする。
前述した図9(a)によれば、携帯端末識別子00001における時間窓13では、緯度35.849及び経度139.506の滞留地代表点位置であることが理解できる。また、携帯端末識別子00002における時間窓13では、緯度35.850及び経度139.507の滞留地代表点位置であることが理解できる。
また、簡易的な方法として、複数の時間窓の位置情報を収集せず、「滞留」と判定された1つの時間窓の位置情報から滞留地代表点を計算してもよい。この場合、「滞留判定部」で計算された代表点がそのまま滞留地代表点となる。
[短時間滞留地判定部125]
短時間滞留地判定部125は、判定対象の滞留時間窓と先の滞留時間窓とを比較して、両滞留時間窓が所定時間以上経過しており、且つ、両時間窓に基づく両滞留地代表点が所定距離以上離れている場合に、当該判定対象の滞留時間窓に基づく滞留地代表点を「短時間滞留地」と判定する。ここでは、2個以下の連続する時間窓について判定していく。両滞留時間窓が経過している所定時間は、例えば2分30秒以上とする。また、両滞留地代表点が離れている所定距離は、例えば2km以上とする。このような判断条件に基づいて、短時間滞留地を検出する。
図9(b)によれば、携帯端末識別子00001における時間窓13と時間窓17〜18とは、所定時間以上且つ所定距離以上離れているために、別々の短時間滞留地と判定される。また、携帯端末識別子00002における時間窓13と時間窓15〜16とは、所定時間以上且つ所定距離以上離れているために、別々の短時間滞留地と判定される。
[短時間滞留基地局情報収集部126]
短時間滞留基地局情報収集部126は、多数のユーザの通信履歴から導出された多数の「短時間滞留地」をクラスタリングし、クラスタ毎に、短時間滞留地の重心を「短時間滞留代表地」として算出すると共に、当該「短時間滞留代表地」で接続される基地局識別子毎の接続確率分布を算出する。クラスタリングの方法としては、位置クラスタリング部に記述した方法を用いることができる。
図10は、短時間滞留代表地毎の滞留地代表点位置を表す表である。
図10によれば、短時間滞留地のクラスタリングの結果、3つの短時間滞留代表地が検出されている。
図11は、短時間滞留代表地毎の接続確率分布を表す表である。
図11によれば短時間滞留代表地毎に、各基地局位置情報の接続回数に応じた接続確率分布が記述されている。例えば、短時間滞留代表地1について、基地局位置情報毎に接続回数2,2,4と分布している。それら接続確率分布は、2/8=0.25,2/8=0.25,4/8=0.50となる。
[短時間滞留時間長算出部127]
短時間滞留時間長算出部127は、「短時間滞留代表地」毎に、その短時間滞留代表地の算出に用いられた多数の滞留時間窓から、短時間滞留の時間長の平均値又はパーセンタイル値を算出する。算出された時間長は、時間窓分割部122へ出力される。時間窓分割部122は、その時間長に応じて時間窓に区分する。
[短時間滞留時間長分布管理部128]
短時間滞留時間長分布管理部128は、「短時間滞留代表地」毎に、短時間滞留の時間長の平均値又はパーセンタイル値を対応付けて管理する。これによって、各短時間滞留代表地に、どの程度の時間、滞留していたかを認識することができる。
以上、詳細に説明したように、本発明の短時間滞留地推定装置、プログラム及び方法によれば、携帯端末の測位機能を起動させることなく、通信事業者設備によって取得可能な、空間的粒度が粗く且つ時間間隔が一定でない基地局位置情報を用いて、ユーザの短時間滞留(一時停止又は停車乃至乗換)に関する代表点の位置及び基地局リストを推定することができる。
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
1 短時間滞留地推定装置
10 通信インタフェース部
111 基地局位置情報管理部
112 通信履歴蓄積部
121 位置情報履歴生成部
122 時間窓分割部
123 滞留判定部
124 位置クラスタリング部
125 短時間滞留地判定部
126 短時間滞留地基地局情報収集部
127 短時間滞留時間長算出部
128 短時間滞留時間長分布管理部
13 アプリケーション処理部
2 携帯端末、携帯電話機
3 基地局

Claims (9)

  1. 携帯端末を所持したユーザの短時間滞留地を推定する装置であって、
    携帯端末毎に、通信された日時刻及びその基地局位置情報を対応付けた複数の通信履歴を蓄積した通信履歴蓄積手段と、
    複数の前記通信履歴を、所定短時間の時間窓(時間区間)に分割する時間窓分割手段と、
    前記時間窓毎に、複数の基地局位置情報に基づく位置の確率分布が、単峰性である場合には「滞留」と判定し、滞留と判定された所定数以上連続する時間窓を「滞留時間窓」とする滞留判定手段と
    滞留時間窓に含まれる複数の基地局位置情報の重心を「滞留地代表点」とする位置クラスタリング手段と、
    判定対象の滞留時間窓と先の滞留時間窓とを比較して、両滞留時間窓が所定時間以上経過しており、且つ、両時間窓に基づく両滞留地代表点が所定距離以上離れている場合に、当該判定対象の滞留時間窓に基づく滞留地代表点を「短時間滞留地」と判定する短時間滞留地判定手段と
    を有することを特徴とする装置。
  2. 多数のユーザの前記通信履歴から導出された多数の「短時間滞留地」をクラスタリングし、クラスタ毎に、短時間滞留地の重心を「短時間滞留代表地」として算出すると共に、当該「短時間滞留代表地」で接続される基地局識別子毎の接続確率分布を算出する短時間滞留地基地局情報収集手段を
    更に有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記「短時間滞留代表地」毎に、その短時間滞留代表地の算出に用いられた多数の滞留時間窓から、短時間滞留の時間長の平均値又はパーセンタイル値を算出する短時間滞留時間長算出手段と、
    前記「短時間滞留代表地」毎に、前記短時間滞留の時間長の平均値又はパーセンタイル値を対応付けて管理する短時間滞留時間長分布管理手段と
    を更に有することを特徴とする請求項2に記載の装置。
  4. 前記時間窓分割手段は、
    所定短時間の時間窓を、所定地域範囲毎に異なる時間窓で設定しており、
    前記地域範囲毎に、前記短時間滞留時間長算出手段によって算出された前記短時間滞留の時間長の平均値又はパーセンタイル値を、所定短時間の時間窓として設定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
  5. 前記滞留判定手段は、時間窓毎に、
    (S1)任意の点(位置情報)を、最初の中心点とし、
    (S2)中心点から、第1の閾値の半径の円に含まれる点を用いて、重心を算出し、
    (S3)重心と現在の中心点との差が、第2の閾値以下であるか否かを判定し、
    (S4)S3によって偽と判定された場合、その重心を次の中心点として、再びS2へ戻って、変化量が第2の閾値以下に収まるまで繰り返し、
    (S5)S3によって真と判定された場合、その重心を滞留地代表点位置とし、
    最後に、当該時間窓について、滞留地代表点位置の種類数が、1個の場合には「単峰性である」と判定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
  6. 前記位置クラスタリング手段は、時間窓毎に、
    (S1)任意の点(位置情報)を、最初の中心点とし、
    (S2)中心点から、第1の閾値の半径の円に含まれる点を用いて、重心を算出し、
    (S3)重心と現在の中心点との差が、第2の閾値以下であるか否かを判定し、
    (S4)S3によって偽と判定された場合、その重心を次の中心点として、再びS2へ戻って、変化量が第2の閾値以下に収まるまで繰り返し、
    (S5)S3によって真と判定された場合、その重心を「滞留地代表点」とする
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の装置を、広域無線通信網に接続した通信設備装置であって、前記通信履歴蓄積手段に通信履歴を蓄積するために、
    基地局識別子及び基地局位置情報を対応付けて記憶する基地局位置情報管理手段と、
    携帯端末を配下に接続させる基地局から、携帯端末毎における通信された日時刻及びその基地局識別子の通信履歴を収集する通信履歴収集手段と、
    前記基地局位置情報管理手段を用いて、前記通信履歴毎に、前記基地局識別子に対応する基地局位置情報を更に対応付ける位置情報履歴生成手段と
    を更に有することを特徴とする通信設備装置。
  8. 装置に搭載されたコンピュータにおける、携帯端末を所持したユーザの短時間滞留地を推定するプログラムであって、
    携帯端末毎に、通信された日時刻及びその基地局位置情報を対応付けた複数の通信履歴を蓄積した通信履歴蓄積手段と、
    複数の前記通信履歴を、所定短時間の時間窓(時間区間)に分割する時間窓分割手段と、
    前記時間窓毎に、複数の基地局位置情報に基づく位置の確率分布が、単峰性である場合には「滞留」と判定し、滞留と判定された所定数以上連続する時間窓を「滞留時間窓」とする滞留判定手段と
    滞留時間窓に含まれる複数の基地局位置情報の重心を「滞留地代表点」とする位置クラスタリング手段と、
    判定対象の滞留時間窓と先の滞留時間窓とを比較して、両滞留時間窓が所定時間以上経過しており、且つ、両時間窓に基づく両滞留地代表点が所定距離以上離れている場合に、当該判定対象の滞留時間窓に基づく滞留地代表点を「短時間滞留地」と判定する短時間滞留地判定手段と
    してコンピュータを機能させることを特徴とする滞留地推定プログラム。
  9. 装置を用いて、携帯端末を所持したユーザの短時間滞留地を推定する方法であって、
    携帯端末毎に、通信された日時刻及びその基地局位置情報を対応付けた複数の通信履歴を蓄積した通信履歴蓄積部を有し、
    複数の前記通信履歴を、所定短時間の時間窓(時間区間)に分割する第1のステップと、
    前記時間窓毎に、複数の基地局位置情報に基づく位置の確率分布が、単峰性である場合には「滞留」と判定し、滞留と判定された所定数以上連続する時間窓を「滞留時間窓」とする第2のステップと、
    滞留時間窓に含まれる複数の基地局位置情報の重心を「滞留地代表点」とする第3のステップと、
    判定対象の滞留時間窓と先の滞留時間窓とを比較して、両滞留時間窓が所定時間以上経過しており、且つ、両時間窓に基づく両滞留地代表点が所定距離以上離れている場合に、当該判定対象の滞留時間窓に基づく滞留地代表点を「短時間滞留地」と判定する第4のステップと
    を有することを特徴とする滞留地推定方法。
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