JP2014190869A - 溶融物の分散促進装置および原子炉格納容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】原子炉容器から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却すること。
【解決手段】原子炉容器31の下方に冷却水Wを貯留可能に設けられた有底のキャビティ56が配置され、原子炉容器31の真下であってキャビティ56の冷却水W中となる位置に、キャビティ56の底部よりも上方に分割して配置されて、原子炉容器31から落下する溶融物をキャビティ56の底部に向けて拡げて落下させる分散部64を設ける。
【選択図】図4

Description

本発明は、原子力発電プラントでのシビアアクシデント時に、炉心から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却する溶融物の分散促進装置、および溶融物の分散促進装置が適用された原子炉格納容器に関する。
従来、原子力発電プラントにおいて、炉心が溶融して原子炉容器から流出するシビアアクシデントを想定した対策として、例えば、特許文献1では、原子炉容器から流出した溶融物を捕捉する捕捉部と、冷却水が貯蔵されている冷媒貯蔵部内に設けられて補足部を介して溶融物が流入する複数の筒部とを有する溶融物冷却構造が示されている。この溶融物冷却構造は、溶融物を複数に分散させて小分けに筒部内に堆積させることで、流出した溶融物が山状に堆積することを防止する。しかも、筒部を介して当該筒部に流入した小分けにされた溶融物と、冷媒貯蔵部内の冷却水との接触面積を増加させることで、原子炉から流出した溶融物の冷却効率を向上させる。
また、例えば、特許文献2では、原子炉容器の下部部分を取り囲む収容器を有した原子炉が示されている。収容器は、底部に円錐形の中央部分を有し、溶融物を収容器の底部の水平周囲部分に向けて移動させるようになっている。また、収容部は、底部の平らな水平周囲部分の下方にコンテナを有している。コンテナは、下端部が底部で密閉された筒形に形成され、中央部分から水平周囲部分に向けて移動された溶融物を内部に受け取る。さらに、収容器の水平周囲部分の下方に、コンテナが懸垂する冷却空間が設けられている。この冷却空間に冷却水が供給されることで、コンテナに受け取られた溶融物を冷却する。
また、例えば、特許文献3では、原子炉容器の下方に冷却水を供給可能なキャビティが設けられ、このキャビティに、溶融物を拡散する傾斜部が設けられた溶融物の冷却促進装置が示されている。この溶融物の冷却促進装置は、傾斜部により、原子炉容器から落下した溶融物を受け止めるとともに広く拡散することで冷却水との接触面積を広げ、冷却水による溶融物の冷却を促進する。
特開2011−174897号公報 特許第3118489号公報 特開2010−266286号公報
特許文献1では、筒部内に堆積される溶融物を、筒部を介して間接的に冷媒により冷却するドライ方式である。また、特許文献2では、特許文献1と同様に、コンテナ内に受け取られる溶融物を、コンテナを介して間接的に冷却水により冷却するドライ方式である。このようなドライ方式の冷却構造では、冷却水により溶融物を十分に冷却させるまで時間がかかるため、溶融物を早期に冷却させることが望まれる。
一方、特許文献3では、傾斜部が冷却水に浸されるように構成されており、特許文献1および特許文献2に比較して溶融物を早期に冷却させることが可能である。そして、特許文献3では、傾斜部により溶融物を広く拡散することで冷却水との接触面積を広げ、冷却水による溶融物の冷却を促進する。しかし、特許文献3では、傾斜部に沿って溶融物を流下させるため、溶融物の拡散に時間がかかるおそれがあるため、溶融物をより効率よく冷却させることが望まれる。
本発明は上述した課題を解決するものであり、原子炉容器から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却することのできる溶融物の分散促進装置および原子炉格納容器を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、第1の発明の溶融物の分散促進装置は、原子炉容器の下方に冷却水を貯留可能に設けられた有底のキャビティが配置され、前記原子炉容器の真下であって前記キャビティの冷却水中となる位置に、前記キャビティの底部よりも上方に分割して配置されて、前記原子炉容器から落下する溶融物を前記キャビティの底部に向けて拡げて落下させる分散部が設けられていることを特徴とする。
この溶融物の分散促進装置によれば、原子炉容器から溶融物がキャビティに落下すると、この溶融物は、冷却水中を落下してキャビティの底部に至る間に分散部で分散される。すなわち、溶融物は、冷却水中を落下する過程で冷却され、分散部により分散されて冷却され、分散部からキャビティの底部に落下する過程で冷却され、さらにキャビティの底部の広範囲に分散して小さい嵩で堆積されることでさらに冷却される。このため、原子炉容器から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却することができる。
また、第2の発明の溶融物の分散促進装置は、第1の発明において、前記分散部は、水平方向で複数の分散部材が間隔をおいて分割して設けられた分散棚を有し、当該分散棚が上下方向に間隔をおいて複数設けられており、上方の前記分散部材と下方の前記分散部材とが水平方向でずれて配置され、かつ上方の前記分散部材と下方の前記分散部材とが上下方向で一部が重なって配置されていることを特徴とする。
この溶融物の分散促進装置によれば、上方の分散棚の分散部材により溶融物を分散させ、その後に下方の分散棚の分散部材により溶融物をさらに分散してキャビティの底部に落下させるため、原子炉容器から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却する効果を顕著に得ることができる。
また、第3の発明の溶融物の分散促進装置は、第2の発明において、下方の前記分散棚の前記分散部材が、上方の前記分散棚の前記分散部材よりも水平方向の外側に広がって設けられることを特徴とする。
この溶融物の分散促進装置によれば、上方の分散棚の分散部材により分散された溶融物を、下方の分散棚の分散部材によりさらに広範囲に分散してキャビティの底部に落下させるため、原子炉容器から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却する効果をより顕著に得ることができる。
また、第4の発明の溶融物の分散促進装置は、第2または第3の発明において、前記分散部材は、下方の前記分散部材に向けて傾斜する傾斜面を有することを特徴とする。
この溶融物の分散促進装置によれば、傾斜面により下方の分散部材に向けて溶融物を案内することができ、下方の分散部材による溶融物の分散効率を向上することができる。
また、第5の発明の溶融物の分散促進装置は、第1の発明において、前記分散部は、板状の分散部材が異なる方向に傾斜して複数設けられることを特徴とする。
この溶融物の分散促進装置によれば、異なる方向に傾斜した各分散部材により異なる方向に溶融物を広範囲に分散させてキャビティの底部に落下させるため、原子炉容器から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却する効果を顕著に得ることができる。
また、第6の発明の溶融物の分散促進装置は、第2〜第5のいずれか一つの発明において、前記分散部材は、多孔質材料または多孔材により形成されることを特徴とする。
この溶融物の分散促進装置によれば、分散部材が多孔質材料または多孔材により形成されることで、分散部材で分散される溶融物の多くの表面に分散部材の多孔部分を通して冷却水を接触させることができ、溶融物の冷却効率を向上することができる。
また、第7の発明の溶融物の分散促進装置は、第1〜第6のいずれか一つの発明において、前記原子炉容器と前記分散部との間に、前記原子炉容器の下部を覆う内面がすり鉢状に形成され、すり鉢状の最下部であって前記分散部の真上となる位置に上下に貫通する貫通穴を有し、かつ前記内面から上方に突出する突出部が形成されたカバー部材が設けられることを特徴とする。
この溶融物の分散促進装置によれば、原子炉容器の下部が破損して脱落した場合、この原子炉容器の下部をカバー部材により受けてキャビティ内への落下を防ぐことができる。しかも、突出部により原子炉容器の下部を受けることで貫通穴からの溶融物の落下を確保するため、分散部に溶融物を確実に送ることができ、原子炉容器から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却する効果を顕著に得ることができる。
また、第8の発明の溶融物の分散促進装置は、第1〜第7のいずれか一つの発明において、前記キャビティは、その底部が嵩上げされて前記分散部から落下される溶融物を受ける床部材を有し、当該床部材が前記冷却水を流通可能に形成されていることを特徴とする。
この溶融物の分散促進装置によれば、溶融物を受ける床部材が冷却水を流通可能に形成されていることで、キャビティの底部に堆積する溶融物の多くの表面に冷却水を接触させることができ、溶融物の冷却効率を向上することができる。
上述の目的を達成するために、第9の発明の原子炉格納容器は、内部に原子炉容器が収容されるとともに、前記原子炉容器の下方において冷却水を貯留可能なキャビティが設けられる原子炉格納容器において、前記キャビティにおける前記原子炉容器の直下であって前記キャビティの冷却水中となる位置に、前記キャビティの底部よりも上方に配置されて、前記原子炉容器から落下する溶融物を前記キャビティの底部に向けて拡げて落下させる分散部が設けられていることを特徴とする。
この原子炉格納容器によれば、原子炉容器から溶融物がキャビティに落下すると、この溶融物は、冷却水中を落下してキャビティの底部に至る間に分散部で分散される。すなわち、溶融物は、冷却水中を落下する過程で冷却され、分散部により分散されて冷却され、分散部からキャビティの底部に落下する過程で冷却され、さらにキャビティの底部の広範囲に分散して小さい嵩で堆積されることでさらに冷却される。このため、原子炉容器から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却することができる。
本発明によれば、原子炉容器から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却することができる。
図1は、原子力発電プラントの一例の概略構成図である。 図2は、原子炉の概略図である。 図3は、原子炉格納容器の概略構成図である。 図4は、本発明の実施形態1に係る溶融物の分散促進装置の構成図である。 図5は、本発明の実施形態1に係る分散部材の配置例を示す平面図である。 図6は、本発明の実施形態1に係る分散部材の配置例を示す平面図である。 図7は、本発明の実施形態1に係る分散部材の配置例を示す平面図である。 図8は、本発明の実施形態2に係る溶融物の分散促進装置の構成図である。 図9は、本発明の実施形態2に係る分散部材の配置例を示す平面図である。 図10は、本発明の実施形態2に係る分散部材の配置例を示す平面図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、原子力発電プラントの一例の概略構成図、図2は、原子炉の概略図、図3は、原子炉格納容器の概略構成図である。
図1に示す原子力発電プラントに適用される原子炉は、軽水を原子炉冷却材および中性子減速材として使用し、一次系全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
この加圧水型原子炉を有する原子力発電プラントにおいて、図1に示すように、原子炉格納容器11は、その内部に加圧水型原子炉12および蒸気発生器13が格納されている。加圧水型原子炉12と蒸気発生器13とは、冷却水配管14,15を介して連結されている。冷却水配管14は、加圧器16が設けられ、冷却水配管15は、冷却水ポンプ17が設けられている。この場合、減速材および一次冷却水として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器16により160気圧程度の高圧状態を維持するように制御する。従って、加圧水型原子炉12にて、燃料として低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水としての軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器16により所定の高圧に維持した状態で冷却水配管14を通して蒸気発生器13に送られる。蒸気発生器13では、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は冷却水配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。
蒸気発生器13は、原子炉格納容器11の外部に設けられたタービン18および復水器19に冷却水配管20,21を介して連結されている。冷却水配管21は、給水ポンプ22が設けられている。タービン18は、発電機23が接続されている。また、復水器19は、冷却水(例えば、海水)を給排する取水管24および排水管25が連結されている。従って、蒸気発生器13にて、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、冷却水配管20を通してタービン18に送られ、この蒸気によりタービン18を駆動して発電機23により発電を行う。タービン18を駆動した蒸気は、復水器19で冷却された後、冷却水配管21を通して蒸気発生器13に戻される。
また、加圧水型原子炉12において、図2に示すように、原子炉容器31は、その内部に炉内構造物が挿入できるように、原子炉容器本体32とその上部に装着される原子炉容器蓋33により構成されており、この原子炉容器本体32に対して原子炉容器蓋33が開閉可能となっている。原子炉容器本体32は、上部が開口して下部が閉塞された円筒形状をなし、内面に熱遮蔽材34が固定されている。また、原子炉容器本体32は、上部に一次冷却水を給排する入口ノズル35および出口ノズル36が形成されている。
この原子炉容器本体32内にて、上部炉心板37と下部炉心板38とに挟まれた形態で炉心39が形成されており、その内部に多数の燃料集合体40が挿入されている。また、上部炉心板37は、その上部に支柱41を介して上部炉心支持板42が固定されている。そして、上部炉心支持板42と上部炉心板37との間に多数の制御棒クラスタ案内管43が支持されている。さらに、原子炉容器蓋33に、制御棒駆動装置45が支持されている。制御棒駆動装置45は、制御棒クラスタ案内管43内を通って制御棒クラスタ駆動軸46が燃料集合体40まで延出され、制御棒クラスタ駆動軸46の下部に制御棒クラスタ(制御棒)47が取り付けられている。
一方、下部炉心板38は、その下部に下部炉心支持板48が固定されている。下部炉心支持板48は、炉内計装案内管49が支持されている。なお、この実施形態では、炉内計装案内管49を原子炉容器31の下部から挿入して設けたが、炉内計装案内管49を原子炉容器31の上部から挿入して設けてもよい。
従って、制御棒駆動装置45により制御棒クラスタ47を移動して燃料集合体40に図示しない制御棒を挿入することで、炉心39内での核分裂を制御し、発生した熱エネルギにより原子炉容器31内に充填された一次冷却水が加熱され、高温の一次冷却水が出口ノズル36から排出され、上述したように、蒸気発生器13に送られる。すなわち、燃料集合体40を構成する燃料としてのウランまたはプルトニウムが核分裂することで中性子を放出し、減速材および一次冷却水としての軽水が、放出された高速中性子の運動エネルギを低下させて熱中性子とし、新たな核分裂を起こしやすくするとともに、発生した熱を奪って冷却する。また、制御棒クラスタ47を燃料集合体40に挿入することで、炉心39内で生成される中性子数を調整し、また、原子炉を緊急に停止するときには炉心39に急速に挿入される。
上述した原子力発電プラントの原子炉格納容器11は、図3に示すように、岩盤などの堅固な地盤51上に、外部と圧力境界を形成する鋼板ライナ52を介して設けられている。原子炉格納容器11は、鉄筋コンクリートなどにより内部に複数のコンパートメント、例えば、上部コンパートメント53および蒸気発生器ループ室54が区画されている。具体的に、原子炉格納容器11は、その内部の中央部に、蒸気発生器ループ室54を画成する筒形状をなすコンクリート構造物55が形成されている。コンクリート構造物55により加圧水型原子炉12(原子炉容器31)が垂下して支持されている。そして、蒸気発生器ループ室54は、蒸気発生器13が配置され、蒸気発生器13と原子炉容器31とが冷却水配管14,15により連結されている。
この原子炉格納容器11は、その内部に、コンクリート構造物55により原子炉容器31の下方に位置してキャビティ56が画成されている。キャビティ56は、ドレンライン57を介して蒸気発生器ループ室54に連通している。さらに、原子炉格納容器11は、燃料取替用水ピット58が設けられている。原子炉格納容器11は、非常時に燃料取替用水ピット58の冷却水を加圧水型原子炉12に供給して冷却する原子炉冷却経路(冷却水供給手段)59と、冷却水を原子炉格納容器11に散布して冷却する原子炉格納容器冷却経路(冷却水供給手段)60とが設けられている。そして、原子炉格納容器11に散布された冷却水は、蒸気発生器ループ室54からドレンライン57を介してキャビティ56に供給され貯留される。
なお、図示しないが、原子炉格納容器11は、キャビティ56に冷却水を供給する消火水などの外部注入経路が設けられている。この外部注入経路は、基端部が原子炉格納容器11の外部に設置される消火水などの外部供給設備に連結される一方、先端部がキャビティ56に連通している。
このように構成された原子炉格納容器11にて、本実施形態では、加圧水型原子炉12の下方に冷却水を貯留可能なキャビティ56が設けられている。そして、このキャビティ56に、非常時に、加圧水型原子炉12から落下した溶融物を分散させて冷却水による冷却を促進する分散促進装置61が設けられている(図4〜図6、図8参照)。
原子力発電プラントにて、冷却材喪失事故(LOCA)などが発生した場合、緊急炉心冷却装置が作動し、加圧水型原子炉12を含む原子炉冷却設備内に冷却水が供給されて炉心を冷却し、発生する熱を十分に除去する。ところが、緊急炉心冷却装置が故障すると、炉心を冷却することができず、原子炉容器31の内部の炉心が溶融するシビアアクシデントが生じるおそれがある。すると、溶融した燃料などの溶融物が原子炉容器31を破損させ、原子炉容器31の下部を貫通してキャビティ56へ落下する。このとき、キャビティ56には冷却水が供給可能となっており、このキャビティ56に落下した溶融物は、キャビティ56に貯留された冷却水により冷却される。しかし、キャビティ56に落下した溶融物は、冷却水との相互作用によって細粒化または塊状に固化するものの、固体となったデブリが山状に堆積した場合、特に、堆積した内部を十分に冷却することが困難となる。
本実施形態の分散促進装置61は、加圧水型原子炉12から落下する溶融物をキャビティ56の冷却水中での分散を促進するもので、溶融物の冷却水との接触面積を広げ、冷却水による溶融物の冷却効率を向上させる。
[実施形態1]
図4は、本実施形態に係る溶融物の分散促進装置の構成図、図5〜図7は、本実施形態に係る分散部材の配置例を示す平面図である。
図4に示すように、本実施形態の分散促進装置61において、キャビティ56は、コンクリート構造物55により加圧水型原子炉12の下方に形成されている。このキャビティ56は、加圧水型原子炉12の下方から水平方向の一方側に延出した横穴形状をなし、基端部が加圧水型原子炉12の下方に位置し、先端部側の上部がドレンライン57を介して蒸気発生器ループ室54(図3参照)に連通している。
キャビティ56において、その底部は、鋼板ライナ52から嵩上げされた床部材62が設けられている。床部材62は、多孔質材料により形成されている。このため、キャビティ56に供給された冷却水Wは、床部材62を貫通して上下に流通可能となっている。なお、床部材62に用いられる多孔質材料としては、例えば、アルミナなどのセラミック材の他、オーステナイトステンレス鋼、Ni基やCo基などの超合金を素材とした不織布焼結体、粒状金属、金属粉末から焼結した焼結体などの多孔質金属体、金網を重ねた構造を持つ多孔質金属体、ハニカム構造の多孔質金属体が適用可能である。また、床部材62は、炭素鋼またはステンレス鋼に多数の穴を設けた多孔材を用いることも可能である。
また、キャビティ56において、原子炉容器31の下方にカバー部材63が設けられている。カバー部材63は、原子炉容器31の下部における半球状の下部プレナム31aの外形に内面が沿うように下方に向かって窄まったすり鉢状に形成され、下部プレナム31aを覆うものである。カバー部材63の内面は、原子炉容器31の外形に合わせて半球状に形成されていることが好ましいが円錐形状に形成されていてもよい。このカバー部材63は、すり鉢状の窄まった最下部に上下に貫通する貫通穴63aが形成されている。また、カバー部材63は、その内面から上方に突出する突出部63bが形成されている。突出部63bは、図4では、貫通穴63aの周縁に設けられた形態を示している。突出部63bは、貫通穴63aの周縁に沿って断続して設けられているか、または筒状に形成された周壁に貫通穴63aに連通する側穴63cが設けられている形態がある。また、突出部63bは、図には明示しないが、貫通穴63aを中心として放射状に設けられた複数のリブ状に形成されていてもよい。このような、カバー部材63は、溶融した燃料などの溶融物が原子炉容器31を破損させ、原子炉容器31の下部プレナム31aが脱落した場合、この下部プレナム31aがキャビティ56に落下しないように保持する。このとき、カバー部材63は、突出部63bが下部プレナム31aを受けることで、突出部63bの側穴63cや、突出部63bの間で溶融物の流通を確保し、貫通穴63aから溶融物を落下させる。また、カバー部材63は、貫通穴63aから溶融物を落下させることでキャビティ56への溶融物の落下位置を規定する。
このキャビティ56は、図4に示すように、供給された冷却水Wの水面Waが、原子炉容器31の下部プレナム31aおよびカバー部材63を浸漬させる位置に至るまで冷却水Wが貯留される。
分散促進装置61において、原子炉容器31(カバー部材63の貫通穴63a)からキャビティ56に落下する溶融物を分散させる分散部64を有する。分散部64は、原子炉容器31(カバー部材63)の真下であって、キャビティ56の冷却水W中となる位置に、キャビティ56の底部となる床部材62よりも上方に配置されている。この分散部64は、原子炉容器31から落下する溶融物をキャビティ56の床部材62に向けて拡げて落下させる。
分散部64は、水平方向で複数の分散部材64Aが間隔をおいて分割して設けられた分散棚を有し、この分散棚が上下方向に間隔をおいて複数設けられている。また、分散部64は、上方の分散棚における分散部材64Aと、下方の分散棚における分散部材64Aとが水平方向でずれて配置されている。さらに、分散部64は、上方の分散棚における分散部材64Aと、下方の分散棚における分散部材64Aとが上下方向で一部が重なって配置されている。なお、各分散棚において、分散部材64A同士は、高さ位置が同じでなくてもよい。
また、分散部64は、下方の分散棚における分散部材64Aが、上方の分散棚における分散部材64Aよりも数が多く設けられて水平方向の外側に広がって設けられている。なお、下方の分散棚における分散部材64Aが、上方の分散棚における分散部材64Aよりも水平方向の外側に広がって設けられる形態は、数の違いに限らず、大きさの違いであってもよい。
また、分散部材64Aは、下方の分散部材に向けて傾斜する傾斜面を有するように、板材が山形に折り曲げられた形態、または中央から外側に向けて傾斜する傘形の形態に形成されている。
また、分散部材64Aは、多孔質材料により形成されている。このため、キャビティ56に供給された冷却水Wは、分散部材64Aを貫通して流通可能となっている。なお、分散部材64Aに用いられる多孔質材料としては、例えば、アルミナなどのセラミック材の他、オーステナイトステンレス鋼、Ni基やCo基などの超合金を素材とした不織布焼結体、粒状金属、金属粉末から焼結した焼結体などの多孔質金属体、金網を重ねた構造を持つ多孔質金属体、ハニカム構造の多孔質金属体が適用可能である。また、分散部材64Aは、炭素鋼またはステンレス鋼に多数の穴を設けた多孔材を用いることも可能である。なお、分散部材64Aを多孔質材料または多孔材で構成しない場合は、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミナなどのセラミック材の他、オーステナイトステンレス鋼、Ni基やCo基などの超合金で形成することが好ましい。
ここで、分散部材64Aの配置例を図5〜図7に示す。図5に示す配置例は、平面視で各分散部材64Aが矩形状に形成され、上方の分散棚における1つの分散部材64Aに対し、下方の分散棚における4つの分散部材64Aの一部が、上下方向で重なって配置されている。また、図6に示す配置例は、平面視で各分散部材64Aが円形状に形成され、上方の分散棚における1つの分散部材64Aに対し、下方の分散棚における3つの分散部材64Aの一部が、上下方向で重なって配置されている。また、図7に示す配置例は、平面視で各分散部材64Aが円形状に形成され、上方の分散棚における1つの分散部材64Aに対し、下方の分散棚における2つの分散部材64Aの一部が、上下方向で重なって配置されている。なお、分散部材64Aの配置は、上記配置例に限らず様々な形態であってもよい。また、分散棚は、上下2つに限らず、上下に2つ以上の複数であってもよい。
事故発生時には、図示しないポンプを駆動し、図3に示す燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを原子炉格納容器冷却経路60を通して送り、多数の噴射ノズルから原子炉格納容器11内に向けて冷却水Wを散布する。すると、この冷却水Wは、原子炉格納容器11内で発生した大量の蒸気に対して散布されることとなり、ここで、大量のエネルギを奪い取り、原子炉格納容器11の内部を冷却してから高温となって落下し、蒸気発生器ループ室54からドレンライン57を通ってキャビティ56に貯留される。原子炉格納容器11内に放出されたエネルギを散布された冷却水Wにより奪い取り、原子炉格納容器11の健全性を維持することができる。
また、事故発生時には、図示しないポンプを駆動し、燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを原子炉冷却経路59を通して加圧水型原子炉12に送る。すると、この冷却水Wは、加圧水型原子炉12内の炉心で発生した炉心の崩壊熱を奪い取り、一部は蒸気となって原子炉格納容器11の雰囲気へ放出され、残りは高温の水となって外部に流出し、蒸気発生器ループ室54からドレンライン57を通ってキャビティ56に貯留される。
ところで、上述した緊急炉心冷却装置が故障すると、加圧水型原子炉12に冷却水Wを送って冷却することができず、原子炉容器31の内部の炉心が溶融し、溶融物がこの原子炉容器31を破損させてキャビティ56へ落下するおそれがある。
この場合、燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを、原子炉格納容器11内に送って散布する原子炉格納容器冷却経路60が設けられており、この経路60を原子炉冷却経路59へ接続することも可能である。従って、緊急炉心冷却装置が故障した場合であっても、少なくとも一方の経路59,60を通して原子炉格納容器11または加圧水型原子炉12に冷却水Wを供給することは可能であり、この冷却水Wをキャビティ56に供給することができる。また、原子炉格納容器11には、キャビティ56に直接冷却水Wを供給する消火水などの外部注入経路が設けられており、この外部注入経路を用いて冷却水Wをキャビティ56に供給することができる。従って、緊急炉心冷却装置が故障しても、キャビティ56を冷却水Wで冠水することができる。
そして、分散促進装置61にて、図4に示すように、原子炉容器31(カバー部材63)から落下した溶融物は、最上方の分散棚の分散部材64Aの上に落下する。この落下中、キャビティ56に貯留されている冷却水Wとの相互作用により細粒化したデブリが分散部材64Aの上に落下しつつ、デブリベッド(状況によっては溶融物、または細粒化しない塊状の固形物の場合もある)を形成する。
そして、デブリベッドが分散部材64Aの傾斜面に沿って周囲に拡がって下方の分散棚の分散部材64Aの上に落下し、さらに下方の分散棚の分散部材64Aの傾斜面に沿って周囲に拡がって最終的に床部材62の上に落下する。すなわち、デブリベッドは、上方の分散棚の各分散部材64Aの傾斜面により分散しながら下方の分散棚の各分散部材64Aの上に落下し、さらに下方の分散棚の各分散部材64Aの傾斜面により分散しながら床部材62の上に落下して堆積することになる。このため、デブリベッドは、落下しながら冷却水W中で冷却され、上方の分散棚の各分散部材64Aの傾斜面上で冷却され、各分散部材64Aから落下しながら冷却水W中で冷却され、下方の分散棚の各分散部材64Aの傾斜面上で冷却され、各分散部材64Aから落下しながら冷却水W中で冷却され、床部材62の上に広範囲に分散して堆積して冷却される。この場合、分散部材64Aおよび床部材62が多孔質材料(または多孔材)により形成されているため、分散部材64Aの傾斜面に沿うデブリベッドおよび床部材62に堆積されたデブリベッドは、全表面に冷却水Wが接触して冷却され崩壊熱を除熱されることになる。
このように、本実施形態の溶融物の分散促進装置61は、原子炉容器31の下方に冷却水Wを貯留可能に設けられた有底のキャビティ56が配置され、原子炉容器31の真下であってキャビティ56の冷却水W中となる位置に、キャビティ56の底部よりも上方に分割して配置されて、原子炉容器31から落下する溶融物をキャビティ56の底部に向けて拡げて落下させる分散部64が設けられている。
この溶融物の分散促進装置61によれば、原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31が破損して溶融物がキャビティ56に落下すると、この溶融物は、冷却水W中を落下してキャビティ56の底部に至る間に分散部64で分散される。すなわち、溶融物は、冷却水W中を落下する過程で冷却され、分散部64により分散されて冷却され、分散部64からキャビティ56の底部に落下する過程で冷却され、さらにキャビティ56の底部の広範囲に分散して小さい嵩で堆積されることでさらに冷却される。このため、原子炉容器31から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却することができる。
また、本実施形態の溶融物の分散促進装置61では、分散部64は、水平方向で複数の分散部材64Aが間隔をおいて分割して設けられた分散棚を有し、当該分散棚が上下方向に間隔をおいて複数設けられており、上方の分散部材64Aと下方の分散部材64Aとが水平方向でずれて配置され、かつ上方の分散部材64Aと下方の分散部材64Aとが上下方向で一部が重なって配置されていることが好ましい。
この溶融物の分散促進装置61によれば、上方の分散棚の分散部材64Aにより溶融物を分散させ、その後に下方の分散棚の分散部材64Aにより溶融物をさらに分散してキャビティ56の底部に落下させるため、原子炉容器31から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却する効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態の溶融物の分散促進装置61では、下方の分散棚の分散部材64Aが、上方の分散棚の分散部材64Aよりも水平方向の外側に広がって設けられることが好ましい。
この溶融物の分散促進装置61によれば、上方の分散棚の分散部材64Aにより分散された溶融物を、下方の分散棚の分散部材64Aによりさらに広範囲に分散してキャビティ56の底部に落下させるため、原子炉容器31から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却する効果をより顕著に得ることができる。
また、本実施形態の溶融物の分散促進装置61では、分散部材64Aは、下方の分散部材64Aに向けて傾斜する傾斜面を有することが好ましい。
この溶融物の分散促進装置61によれば、傾斜面により下方の分散部材64Aに向けて溶融物を案内することができ、下方の分散部材64Aによる溶融物の分散効率を向上することができる。
また、本実施形態の溶融物の分散促進装置61では、分散部材64Aは、多孔質材料または多孔材により形成されることが好ましい。
この溶融物の分散促進装置61によれば、分散部材64Aが多孔質材料または多孔材により形成されることで、分散部材64Aで分散される溶融物の多くの表面に分散部材64Aの多孔部分を通して冷却水Wを接触させることができ、溶融物の冷却効率を向上することができる。
また、本実施形態の溶融物の分散促進装置61では、原子炉容器31と分散部64との間に、原子炉容器31の下部を覆う内面がすり鉢状に形成され、すり鉢状の最下部であって分散部64の真上となる位置に上下に貫通する貫通穴63aを有し、かつ内面から上方に突出する突出部63bが形成されたカバー部材63が設けられることが好ましい。
この溶融物の分散促進装置61によれば、原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31の下部が破損して脱落した場合、この原子炉容器31の下部をカバー部材63により受けてキャビティ56内への落下を防ぐことができる。しかも、突出部63bにより原子炉容器31の下部を受けることで貫通穴63aからの溶融物の落下を確保するため、分散部64に溶融物を確実に送ることができ、原子炉容器31から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却する効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態の溶融物の分散促進装置61では、キャビティ56は、その底部が嵩上げされて分散部64から落下される溶融物を受ける床部材62を有し、当該床部材62が冷却水Wを流通可能に形成されていることが好ましい。
この溶融物の分散促進装置61によれば、溶融物を受ける床部材62が冷却水Wを流通可能に形成されていることで、キャビティ56の底部に堆積する溶融物の多くの表面に冷却水Wを接触させることができ、溶融物の冷却効率を向上することができる。
また、本実施形態の原子炉格納容器11は、内部に原子炉容器31が収容されるとともに、原子炉容器31の下方において冷却水Wを貯留可能なキャビティ56が設けられる原子炉格納容器11において、キャビティ56における原子炉容器31の直下であってキャビティ56の冷却水W中となる位置に、キャビティ56の底部よりも上方に配置されて、原子炉容器31から落下する溶融物をキャビティ56の底部に向けて拡げて落下させる分散部64が設けられている。
原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31が破損して溶融物がキャビティ56に落下すると、この溶融物は、冷却水W中を落下してキャビティ56の底部に至る間に分散部64で分散される。すなわち、溶融物は、冷却水W中を落下する過程で冷却され、分散部64により分散されて冷却され、分散部64からキャビティ56の底部に落下する過程で冷却され、さらにキャビティ56の底部の広範囲に分散して小さい嵩で堆積されることでさらに冷却される。このため、原子炉容器31から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却することができる。この結果、原子力発電プラントの安全性の向上を図ることができる。
[実施形態2]
図8は、本実施形態に係る溶融物の分散促進装置の構成図、図9および図10は、本実施形態に係る分散部材の配置例を示す平面図である。なお、本実施形態の溶融物の分散促進装置は、上述した実施形態1に対し、分散部の構成が異なる。従って、上述した実施形態1と同等部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
分散促進装置61において、原子炉容器31(カバー部材63の貫通穴63a)からキャビティ56に落下する溶融物を分散させる分散部65を有する。分散部65は、原子炉容器31(カバー部材63)の真下であって、キャビティ56の冷却水W中に、キャビティ56の底部となる床部材62よりも上方に配置されている。この分散部65は、原子炉容器31から落下する溶融物をキャビティ56の床部材62に向けて拡げて落下させる。
分散部65は、図8に示すように、板状の分散部材65Aが異なる方向に傾斜して複数設けられている。図8において、分散部材65Aは、傾斜角度の異なる板材が、2方向にハの字に配置されている。なお、複数の分散部材65Aは、ハの字のように異なる2方向に傾斜している形態に限らず、2方向以上の異なる方向に傾斜して設けられていてもよい。
ここで、分散部材65Aの配置例を図9および図10に示す。図9および図10に示す配置例は、図8において、分散部材65Aは、2方向にハの字に配置されており、かつ一部が上下方向で重なって配置されている。図9に示す配置例は、分散部材65Aが矩形状の板状に形成され、1つの分散部材65Aに対して2つの分散部材65Aの一部が、上下方向で重なって配置されている。また、図10に示す配置例は、分散部材65Aが矩形状の板状に形成され、1つの分散部材65Aに対して1つの分散部材65Aの一部が、上下方向で重なって配置されている。なお、分散部材65Aの配置や数は、上記配置例に限らず様々な形態であってもよい。また、分散部材65Aは、図8に示すように平板に限らず、湾曲や屈曲した板材であってもよい。なお、各分散部材65Aは、高さ位置が同じであってもよい。
また、分散部材65Aは、多孔質材料により形成されている。このため、キャビティ56に供給された冷却水Wは、分散部材65Aを貫通して流通可能となっている。なお、分散部材65Aに用いられる多孔質材料としては、例えば、アルミナなどのセラミック材の他、オーステナイトステンレス鋼、Ni基やCo基などの超合金を素材とした不織布焼結体、粒状金属、金属粉末から焼結した焼結体などの多孔質金属体、金網を重ねた構造を持つ多孔質金属体、ハニカム構造の多孔質金属体が適用可能である。また、分散部材65Aは、炭素鋼またはステンレス鋼に多数の穴を設けた多孔材を用いることも可能である。なお、分散部材65Aを多孔質材料または多孔材で構成しない場合は、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミナなどのセラミック材の他、オーステナイトステンレス鋼、Ni基やCo基などの超合金で形成することが好ましい。
事故発生時には、図示しないポンプを駆動し、図3に示す燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを原子炉格納容器冷却経路60を通して送り、多数の噴射ノズルから原子炉格納容器11内に向けて冷却水Wを散布する。すると、この冷却水Wは、原子炉格納容器11内で発生した大量の蒸気に対して散布されることとなり、ここで、大量のエネルギを奪い取り、原子炉格納容器11の内部を冷却してから高温となって落下し、蒸気発生器ループ室54からドレンライン57を通ってキャビティ56に貯留される。原子炉格納容器11内に放出されたエネルギを散布された冷却水Wにより奪い取り、原子炉格納容器11の健全性を維持することができる。
また、事故発生時には、図示しないポンプを駆動し、燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを原子炉冷却経路59を通して加圧水型原子炉12に送る。すると、この冷却水Wは、加圧水型原子炉12内の炉心で発生した炉心の崩壊熱を奪い取り、一部は蒸気となって原子炉格納容器11の雰囲気へ放出され、残りは高温の水となって外部に流出し、蒸気発生器ループ室54からドレンライン57を通ってキャビティ56に貯留される。
ところで、上述した緊急炉心冷却装置が故障すると、加圧水型原子炉12に冷却水Wを送って冷却することができず、原子炉容器31の内部の炉心が溶融し、溶融物がこの原子炉容器31を破損させてキャビティ56へ落下するおそれがある。
この場合、燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを、原子炉格納容器11内に送って散布する原子炉格納容器冷却経路60が設けられており、この経路60を原子炉冷却経路59へ接続することも可能である。従って、緊急炉心冷却装置が故障した場合であっても、少なくとも一方の経路59,60を通して原子炉格納容器11または加圧水型原子炉12に冷却水Wを供給することは可能であり、この冷却水Wをキャビティ56に供給することができる。また、原子炉格納容器11には、キャビティ56に直接冷却水Wを供給する消火水などの外部注入経路が設けられており、この外部注入経路を用いて冷却水Wをキャビティ56に供給することができる。従って、緊急炉心冷却装置が故障しても、キャビティ56を冷却水Wで冠水することができる。
そして、分散促進装置61にて、図8に示すように、原子炉容器31(カバー部材63)から落下した溶融物は、各分散部材65Aの上に落下する。この落下中、キャビティ56に貯留されている冷却水Wとの相互作用により細粒化したデブリが分散部材65Aの上に落下しつつ、デブリベッド(状況によっては溶融物、または細粒化しない塊状の固形物の場合もある)を形成する。
そして、デブリベッドが各分散部材65Aの傾斜に沿って異なる方向に周囲に拡がって床部材62の上に落下する。すなわち、デブリベッドは、各分散部材65Aの傾斜により分散しながら床部材62の上に落下して堆積することになる。このため、デブリベッドは、落下しながら冷却水W中で冷却され、各分散部材65Aの傾斜面上で冷却され、各分散部材65Aから落下しながら冷却水W中で冷却され、床部材62の上に広範囲に分散して堆積して冷却される。この場合、分散部材65Aおよび床部材62が多孔質材料(または多孔材)により形成されているため、分散部材65Aの傾斜面に沿うデブリベッドおよび床部材62に堆積されたデブリベッドは、全表面に冷却水Wが接触して冷却され崩壊熱を除熱されることになる。
このように、本実施形態の溶融物の分散促進装置61は、原子炉容器31の下方に冷却水Wを貯留可能に設けられた有底のキャビティ56が配置され、原子炉容器31の真下であってキャビティ56の冷却水W中となる位置に、キャビティ56の底部よりも上方に分割して配置されて、原子炉容器31から落下する溶融物をキャビティ56の底部に向けて拡げて落下させる分散部65が設けられている。
この溶融物の分散促進装置61によれば、原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31が破損して溶融物がキャビティ56に落下すると、この溶融物は、冷却水W中を落下してキャビティ56の底部に至る間に分散部65で分散される。すなわち、溶融物は、冷却水W中を落下する過程で冷却され、分散部65により分散されて冷却され、分散部65からキャビティ56の底部に落下する過程で冷却され、さらにキャビティ56の底部の広範囲に分散して小さい嵩で堆積されることでさらに冷却される。このため、原子炉容器31から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却することができる。
また、本実施形態の溶融物の分散促進装置61では、分散部65は、板状の分散部材65Aが異なる方向に傾斜して複数設けられていることが好ましい。
この溶融物の分散促進装置61によれば、異なる方向に傾斜した各分散部材65Aにより異なる方向に溶融物を広範囲に分散させてキャビティ56の底部に落下させるため、原子炉容器31から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却する効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態の溶融物の分散促進装置61では、分散部材65Aは、多孔質材料または多孔材により形成されることが好ましい。
この溶融物の分散促進装置61によれば、分散部材65Aが多孔質材料または多孔材により形成されることで、分散部材65Aで分散される溶融物の多くの表面に分散部材65Aの多孔部分を通して冷却水Wを接触させることができ、溶融物の冷却効率を向上することができる。
また、本実施形態の溶融物の分散促進装置61では、原子炉容器31と分散部65との間に、原子炉容器31の下部を覆う内面がすり鉢状に形成され、すり鉢状の最下部であって分散部65の真上となる位置に上下に貫通する貫通穴63aを有し、かつ内面から上方に突出する突出部63bが形成されたカバー部材63が設けられることが好ましい。
この溶融物の分散促進装置61によれば、原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31の下部が破損して脱落した場合、この原子炉容器31の下部をカバー部材63により受けてキャビティ56内への落下を防ぐことができる。しかも、突出部63bにより原子炉容器31の下部を受けることで貫通穴63aからの溶融物の落下を確保するため、分散部65に溶融物を確実に送ることができ、原子炉容器31から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却する効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態の溶融物の分散促進装置61では、キャビティ56は、その底部が嵩上げされて分散部65から落下される溶融物を受ける床部材62を有し、当該床部材62が冷却水Wを流通可能に形成されていることが好ましい。
この溶融物の分散促進装置61によれば、溶融物を受ける床部材62が冷却水Wを流通可能に形成されていることで、キャビティ56の底部に堆積する溶融物の多くの表面に冷却水Wを接触させることができ、溶融物の冷却効率を向上することができる。
また、本実施形態の原子炉格納容器11は、内部に原子炉容器31が収容されるとともに、原子炉容器31の下方において冷却水Wを貯留可能なキャビティ56が設けられる原子炉格納容器11において、キャビティ56における原子炉容器31の直下であってキャビティ56の冷却水W中となる位置に、キャビティ56の底部よりも上方に配置されて、原子炉容器31から落下する溶融物をキャビティ56の底部に向けて拡げて落下させる分散部65が設けられている。
原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31が破損して溶融物がキャビティ56に落下すると、この溶融物は、冷却水W中を落下してキャビティ56の底部に至る間に分散部65で分散される。すなわち、溶融物は、冷却水W中を落下する過程で冷却され、分散部65により分散されて冷却され、分散部65からキャビティ56の底部に落下する過程で冷却され、さらにキャビティ56の底部の広範囲に分散して小さい嵩で堆積されることでさらに冷却される。このため、原子炉容器31から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却することができる。この結果、原子力発電プラントの安全性の向上を図ることができる。
11 原子炉格納容器
31 原子炉容器
31a 下部プレナム
56 キャビティ
61 分散促進装置
62 床部材
63 カバー部材
63a 貫通穴
63b 突出部
63c 側穴
64 分散部
64A 分散部材
65 分散部
65A 分散部材
W 冷却水

Claims (9)

  1. 原子炉容器の下方に冷却水を貯留可能に設けられた有底のキャビティが配置され、前記原子炉容器の真下であって前記キャビティの冷却水中となる位置に、前記キャビティの底部よりも上方に分割して配置されて、前記原子炉容器から落下する溶融物を前記キャビティの底部に向けて拡げて落下させる分散部が設けられていることを特徴とする溶融物の分散促進装置。
  2. 前記分散部は、水平方向で複数の分散部材が間隔をおいて分割して設けられた分散棚を有し、当該分散棚が上下方向に間隔をおいて複数設けられており、上方の前記分散部材と下方の前記分散部材とが水平方向でずれて配置され、かつ上方の前記分散部材と下方の前記分散部材とが上下方向で一部が重なって配置されていることを特徴とする請求項1に記載の溶融物の分散促進装置。
  3. 下方の前記分散棚の前記分散部材が、上方の前記分散棚の前記分散部材よりも水平方向の外側に広がって設けられることを特徴とする請求項2に記載の溶融物の分散促進装置。
  4. 前記分散部材は、下方の前記分散部材に向けて傾斜する傾斜面を有することを特徴とする請求項2または3に記載の溶融物の分散促進装置。
  5. 前記分散部は、板状の分散部材が異なる方向に傾斜して複数設けられることを特徴とする請求項1に記載の溶融物の分散促進装置。
  6. 前記分散部材は、多孔質材料または多孔材により形成されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の溶融物の分散促進装置。
  7. 前記原子炉容器と前記分散部との間に、前記原子炉容器の下部を覆う内面がすり鉢状に形成され、すり鉢状の最下部であって前記分散部の真上となる位置に上下に貫通する貫通穴を有し、かつ前記内面から上方に突出する突出部が形成されたカバー部材が設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の溶融物の分散促進装置。
  8. 前記キャビティは、その底部が嵩上げされて前記分散部から落下される溶融物を受ける床部材を有し、当該床部材が前記冷却水を流通可能に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の溶融物の分散促進装置。
  9. 内部に原子炉容器が収容されるとともに、前記原子炉容器の下方において冷却水を貯留可能なキャビティが設けられる原子炉格納容器において、
    前記キャビティにおける前記原子炉容器の直下であって前記キャビティの冷却水中となる位置に、前記キャビティの底部よりも上方に配置されて、前記原子炉容器から落下する溶融物を前記キャビティの底部に向けて拡げて落下させる分散部が設けられていることを特徴とする原子炉格納容器。
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