JP2014185997A - 溶融物の冷却促進装置および原子炉格納容器 - Google Patents

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怜 竹井
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Abstract

【課題】原子炉容器から落下する溶融物を効率よく冷却すること。
【解決手段】原子炉容器31の下方に冷却水Wを貯留可能に設けられた有底のキャビティ56が配置され、原子炉容器31の真下であってキャビティ56の底部の冷却水W中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する冷却部64を設ける。
【選択図】図4

Description

本発明は、原子力発電プラントでのシビアアクシデント時に、炉心から落下する溶融物を効率よく冷却する溶融物の冷却促進装置、および溶融物の冷却促進装置が適用された原子炉格納容器に関する。
従来、原子力発電プラントにおいて、炉心が溶融して原子炉容器から流出するシビアアクシデントを想定した対策として、例えば、特許文献1では、原子炉容器から流出した溶融物を捕捉する捕捉部と、冷却水が貯蔵されている冷媒貯蔵部内に設けられて補足部を介して溶融物が流入する複数の筒部とを有する溶融物冷却構造が示されている。この溶融物冷却構造は、溶融物を複数に分散させて小分けに筒部内に堆積させることで、流出した溶融物が山状に堆積することを防止する。しかも、筒部を介して当該筒部に流入した小分けにされた溶融物と、冷媒貯蔵部内の冷却水との接触面積を増加させることで、原子炉から流出した溶融物の冷却効率を向上させる。
また、例えば、特許文献2では、原子炉容器の下部部分を取り囲む収容器を有した原子炉が示されている。収容器は、底部に円錐形の中央部分を有し、溶融物を収容器の底部の水平周囲部分に向けて移動させるようになっている。また、収容部は、底部の平らな水平周囲部分の下方にコンテナを有している。コンテナは、下端部が底部で密閉された筒形に形成され、中央部分から水平周囲部分に向けて移動された溶融物を内部に受け取る。さらに、収容器の水平周囲部分の下方に、コンテナが懸垂する冷却空間が設けられている。この冷却空間に冷却水が供給されることで、コンテナに受け取られた溶融物を冷却する。
また、例えば、特許文献3では、原子炉容器の下方に冷却水を供給可能なキャビティが設けられ、このキャビティに、溶融物を拡散する傾斜部が設けられた溶融物の冷却促進装置が示されている。この溶融物の冷却促進装置は、傾斜部により、原子炉容器から落下した溶融物を受け止めるとともに広く拡散することで冷却水との接触面積を広げ、冷却水による溶融物の冷却を促進する。
特開2011−174897号公報 特許第3118489号公報 特開2010−266286号公報
特許文献1では、筒部内に堆積される溶融物を、筒部を介して間接的に冷媒により冷却するドライ方式である。また、特許文献2では、特許文献1と同様に、コンテナ内に受け取られる溶融物を、コンテナを介して間接的に冷却水により冷却するドライ方式である。このようなドライ方式の冷却構造では、冷却水により溶融物を十分に冷却させるまで時間がかかるため、溶融物を早期に冷却させることが望まれる。
一方、特許文献3では、傾斜部が冷却水に浸されるように構成されており、特許文献1および特許文献2に比較して溶融物を早期に冷却させることが可能である。そして、特許文献3では、傾斜部により溶融物を広く拡散することで冷却水との接触面積を広げ、冷却水による溶融物の冷却を促進する。しかし、特許文献3では、傾斜部に沿って溶融物を流下させるため、溶融物の拡散に時間がかかるおそれがあるため、溶融物をより効率よく冷却させることが望まれる。
本発明は上述した課題を解決するものであり、原子炉容器から落下する溶融物を効率よく冷却することのできる溶融物の冷却促進装置および原子炉格納容器を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、第1の発明の溶融物の冷却促進装置は、原子炉容器の下方に冷却水を貯留可能に設けられた有底のキャビティが配置され、前記原子炉容器の真下であって前記キャビティの底部の冷却水中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する冷却部が設けられていることを特徴とする。
この溶融物の冷却促進装置によれば、原子炉容器から溶融物がキャビティに落下すると、この溶融物は、冷却水中を落下してキャビティの底部に至り、冷却部の周囲に堆積する。溶融物は、冷却水中を落下する過程で冷却され、堆積した状態でその表面が冷却水により冷却される。しかも、冷却部が冷媒を流通可能に形成された管部材であるため、溶融物は、堆積した状態で冷却部に接触する内部がさらに冷却される。このため、原子炉容器から落下する溶融物を効率よく冷却することができる。
また、第2の発明の溶融物の冷却促進装置は、第1の発明において、前記冷却部は、前記キャビティの底部から上方に延在する冷却管と、当該冷却管の下端に連通して前記キャビティ内で開口する冷媒供給管と、前記冷却管の上端に連通して前記キャビティ内で開口する冷媒排出管とを有することを特徴とする。
この溶融物の冷却促進装置によれば、冷媒供給管の他端および冷媒排出管の他端がキャビティの冷却水中で開口しているため、冷却管、冷媒供給管および冷媒排出管の内部が冷媒としての冷却水で満たされる。このため、キャビティの底部に堆積した溶融物は、その内部が冷却管内の冷却水により冷却されて崩壊熱を除熱される。溶融物を冷却した冷却管内の冷却水は、溶融物の崩壊熱により沸騰して冷却管内を上昇するため、冷媒排出管からキャビティ内の冷却水中に排出される。一方、溶融物を冷却した冷却管内の冷却水が冷却管内を上昇して冷媒排出管から排出されることで、冷媒供給管から新たにキャビティ内の冷却水が冷却管内に供給される。従って、冷媒としての冷却水がポンプなどの循環機構を用いず水頭圧差で自然循環することで、電源が喪失した場合であっても溶融物の冷却を行うことができる。
また、第3の発明の溶融物の冷却促進装置は、第2の発明において、前記キャビティは、その底部が嵩上げされて原子炉容器から落下される溶融物を受ける床部材を有し、当該床部材が前記冷却水を流通可能に形成されており、前記冷却部は、前記冷媒供給管が前記床部材の下方に配置され、前記冷却管および前記冷媒排出管が前記床部材の上方に配置されていることを特徴とする。
この溶融物の冷却促進装置によれば、溶融物を受ける床部材が冷却水を流通可能に形成されていることで、キャビティの底部に堆積する溶融物の多くの表面に冷却水を接触させることができ、溶融物の冷却効率をより向上することができる。しかも、冷媒供給管が床部材の下方に配置されていることで、より温度の低い冷却水を冷媒供給管から冷却管に供給するため、溶融物の冷却効率をより向上することができる。さらに、冷却管および冷媒排出管が床部材の上方に配置されていることで、温度の高い冷却水が冷媒排出管から床部材の上方に排出されるため、冷却部における冷却水の自然循環を促進し、溶融物の冷却効率をより向上することができる。
また、第4の発明の溶融物の冷却促進装置は、第1の発明において、前記冷却部は、前記キャビティの底部から上方に延在する冷却管と、当該冷却管の下端に連通する冷媒供給管と、前記冷却管の上端に連通する冷媒排出管とを有しており、前記冷媒供給管および前記冷媒排出管の各端部が、前記キャビティの冷却水中となる位置であって前記原子炉容器の下方から外れた位置に配置された凝縮部に接続されて前記冷却管を含み閉ループが構成され、当該閉ループ内に冷媒が封入されていることを特徴とする。
この溶融物の冷却促進装置によれば、キャビティの底部に堆積した溶融物は、その内部が冷却管内の冷媒により冷却され崩壊熱を除熱される。溶融物を冷却した冷却管内の冷媒は、溶融物の崩壊熱により沸騰して冷却管内を上昇し、冷媒排出管から凝縮部に排出される。凝縮部では、キャビティの冷却水により冷媒が凝縮される。凝縮部で凝縮された冷媒は、冷媒供給管から冷却管に供給される。従って、ポンプなどの循環機構を用いず冷却部と凝縮部との間で冷媒が自然循環することで、原子力発電プラントの電源が喪失した場合であっても溶融物の冷却を行うことができる。
また、第5の発明の溶融物の冷却促進装置は、第4の発明において、前記キャビティは、その底部が嵩上げされて前記原子炉容器から落下される溶融物を受ける床部材を有し、当該床部材が前記冷却水を流通可能に形成されていることを特徴とする。
この溶融物の冷却促進装置によれば、溶融物を受ける床部材が冷却水を流通可能に形成されていることで、キャビティの底部に堆積する溶融物の多くの表面に冷却水を接触させることができ、溶融物の冷却効率をより向上することができる。
また、第6の発明の溶融物の冷却促進装置は、第1の発明において、前記キャビティは、その底部が嵩上げされて前記原子炉容器から落下される溶融物を受ける床部材を有し、当該床部材の下方に前記冷却水を供給可能に構成されており、前記冷却部は、上下に延在する冷却管を有し、当該冷却管の下端が前記床部材の下方に開口し、前記冷却管の上端が閉塞されており、かつ前記冷却管が多孔質材料または多孔材により形成されていることを特徴とする。
この溶融物の冷却促進装置によれば、冷却管の下端が床部材の下方に開口しているため、冷却管の内部が冷媒としての冷却水で満たされる。しかも、冷却管が多孔質材料または多孔材により形成されている。このため、キャビティの底部に堆積した溶融物は、その内部が冷却管内の冷却水に直接接触して冷却されて崩壊熱を除熱される。溶融物を冷却した冷却管内の冷却水は、溶融物の崩壊熱により沸騰して冷却管内を上昇しつつ冷却管の外部に排出される。一方、溶融物を冷却した冷却管内の冷却水が冷却管内を上昇して冷却管の外部に排出されることで、開口する冷却管の下端から新たに床部材の下方の冷却水が冷却管内に供給される。従って、冷媒としての冷却水がポンプなどの循環機構を用いず水頭圧差で自然循環することで、電源が喪失した場合であっても溶融物の冷却を行うことができる。
また、第7の発明の溶融物の冷却促進装置は、第6の発明において、前記床部材が前記冷却水を流通可能に形成されていることを特徴とする。
この溶融物の冷却促進装置によれば、溶融物を受ける床部材が冷却水を流通可能に形成されていることで、キャビティの底部に堆積する溶融物の多くの表面に冷却水を接触させることができ、溶融物の冷却効率をより向上することができる。
また、第8の発明の溶融物の冷却促進装置は、第1〜第7のいずれか一つの発明において、前記原子炉容器と前記冷却部との間に、前記原子炉容器の下部を覆う内面がすり鉢状に形成され、すり鉢状の最下部であって前記冷却部の真上となる位置に上下に貫通する貫通穴を有し、かつ前記内面から上方に突出する突出部が形成されたカバー部材が設けられることを特徴とする。
この溶融物の冷却促進装置によれば、原子炉容器の下部が破損して脱落した場合、この原子炉容器の下部をカバー部材により受けてキャビティ内への落下を防ぐことができる。しかも、突出部により原子炉容器の下部を受けることで貫通穴からの溶融物の落下を確保するため、冷却部に溶融物を確実に送ることができ、原子炉容器から落下する溶融物を効率よく冷却する効果を顕著に得ることができる。
上述の目的を達成するために、第9の発明の原子炉格納容器は、内部に原子炉容器が収容されるとともに、前記原子炉容器の下方において冷却水を貯留可能なキャビティが設けられる原子炉格納容器において、前記キャビティにおける前記原子炉容器の直下であって前記キャビティの冷却水中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する冷却部が設けられていることを特徴とする。
この原子炉格納容器によれば、原子炉容器から溶融物がキャビティに落下すると、この溶融物は、冷却水中を落下してキャビティの底部に至り、冷却部の周囲に堆積する。溶融物は、冷却水中を落下する過程で冷却され、堆積した状態でその表面が冷却水により冷却される。しかも、冷却部が冷媒を流通可能に形成された管部材であるため、溶融物は、堆積した状態で冷却部に接触する内部がさらに冷却される。このため、原子炉容器から落下する溶融物を効率よく冷却することができる。
本発明によれば、原子炉容器から落下する溶融物を広範囲に分散させて効率よく冷却することができる。
図1は、原子力発電プラントの一例の概略構成図である。 図2は、原子炉の概略図である。 図3は、原子炉格納容器の概略構成図である。 図4は、本発明の実施形態1に係る溶融物の冷却促進装置の構成図である。 図5は、本発明の実施形態1に係る管部材の配置例を示す平面図である。 図6は、本発明の実施形態1に係る管部材の配置例を示す平面図である。 図7は、本発明の実施形態2に係る溶融物の冷却促進装置の構成図である。 図8は、本発明の実施形態2に係る管部材の配置例を示す平面図である。 図9は、本発明の実施形態3に係る溶融物の冷却促進装置の構成図である。 図10は、本発明の実施形態3に係る管部材の拡大構成図である。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、原子力発電プラントの一例の概略構成図、図2は、原子炉の概略図、図3は、原子炉格納容器の概略構成図である。
図1に示す原子力発電プラントに適用される原子炉は、軽水を原子炉冷却材および中性子減速材として使用し、一次系全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
この加圧水型原子炉を有する原子力発電プラントにおいて、図1に示すように、原子炉格納容器11は、その内部に加圧水型原子炉12および蒸気発生器13が格納されている。加圧水型原子炉12と蒸気発生器13とは、冷却水配管14,15を介して連結されている。冷却水配管14は、加圧器16が設けられ、冷却水配管15は、冷却水ポンプ17が設けられている。この場合、減速材および一次冷却水として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器16により160気圧程度の高圧状態を維持するように制御する。従って、加圧水型原子炉12にて、燃料として低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水としての軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器16により所定の高圧に維持した状態で冷却水配管14を通して蒸気発生器13に送られる。蒸気発生器13では、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は冷却水配管15を通して加圧水型原子炉12に戻される。
蒸気発生器13は、原子炉格納容器11の外部に設けられたタービン18および復水器19に冷却水配管20,21を介して連結されている。冷却水配管21は、給水ポンプ22が設けられている。タービン18は、発電機23が接続されている。また、復水器19は、冷却水(例えば、海水)を給排する取水管24および排水管25が連結されている。従って、蒸気発生器13にて、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、冷却水配管20を通してタービン18に送られ、この蒸気によりタービン18を駆動して発電機23により発電を行う。タービン18を駆動した蒸気は、復水器19で冷却された後、冷却水配管21を通して蒸気発生器13に戻される。
また、加圧水型原子炉12において、図2に示すように、原子炉容器31は、その内部に炉内構造物が挿入できるように、原子炉容器本体32とその上部に装着される原子炉容器蓋33により構成されており、この原子炉容器本体32に対して原子炉容器蓋33が開閉可能となっている。原子炉容器本体32は、上部が開口して下部が閉塞された円筒形状をなし、内面に熱遮蔽材34が固定されている。また、原子炉容器本体32は、上部に一次冷却水を給排する入口ノズル35および出口ノズル36が形成されている。
この原子炉容器本体32内にて、上部炉心板37と下部炉心板38とに挟まれた形態で炉心39が形成されており、その内部に多数の燃料集合体40が挿入されている。また、上部炉心板37は、その上部に支柱41を介して上部炉心支持板42が固定されている。そして、上部炉心支持板42と上部炉心板37との間に多数の制御棒クラスタ案内管43が支持されている。さらに、原子炉容器蓋33に、制御棒駆動装置45が支持されている。制御棒駆動装置45は、制御棒クラスタ案内管43内を通って制御棒クラスタ駆動軸46が燃料集合体40まで延出され、制御棒クラスタ駆動軸46の下部に制御棒クラスタ(制御棒)47が取り付けられている。
一方、下部炉心板38は、その下部に下部炉心支持板48が固定されている。下部炉心支持板48は、炉内計装案内管49が支持されている。なお、この実施形態では、炉内計装案内管49を原子炉容器31の下部から挿入して設けたが、炉内計装案内管49を原子炉容器31の上部から挿入して設けてもよい。
従って、制御棒駆動装置45により制御棒クラスタ47を移動して燃料集合体40に図示しない制御棒を挿入することで、炉心39内での核分裂を制御し、発生した熱エネルギにより原子炉容器31内に充填された一次冷却水が加熱され、高温の一次冷却水が出口ノズル36から排出され、上述したように、蒸気発生器13に送られる。すなわち、燃料集合体40を構成する燃料としてのウランまたはプルトニウムが核分裂することで中性子を放出し、減速材および一次冷却水としての軽水が、放出された高速中性子の運動エネルギを低下させて熱中性子とし、新たな核分裂を起こしやすくするとともに、発生した熱を奪って冷却する。また、制御棒クラスタ47を燃料集合体40に挿入することで、炉心39内で生成される中性子数を調整し、また、原子炉を緊急に停止するときには炉心に急速に挿入される。
上述した原子力発電プラントの原子炉格納容器11は、図3に示すように、岩盤等の堅固な地盤51上に、外部と圧力境界を形成する鋼板ライナ52を介して設けられている。原子炉格納容器11は、鉄筋コンクリートなどにより内部に複数のコンパートメント、例えば、上部コンパートメント53および蒸気発生器ループ室54が区画されている。具体的に、原子炉格納容器11は、その内部の中央部に、蒸気発生器ループ室54を画成する筒形状をなすコンクリート構造物55が形成されている。コンクリート構造物55により加圧水型原子炉12(原子炉容器31)が垂下して支持されている。そして、蒸気発生器ループ室54は、蒸気発生器13が配置され、蒸気発生器13と原子炉容器31とが冷却水配管14,15により連結されている。
この原子炉格納容器11は、その内部に、コンクリート構造物55により原子炉容器31の下方に位置してキャビティ56が画成されている。キャビティ56は、ドレンライン57を介して蒸気発生器ループ室54に連通している。さらに、原子炉格納容器11は、燃料取替用水ピット58が設けられている。原子炉格納容器11は、非常時に燃料取替用水ピット58の冷却水を加圧水型原子炉12に供給して冷却する原子炉冷却経路(冷却水供給手段)59と、冷却水を原子炉格納容器11に散布して冷却する原子炉格納容器冷却経路(冷却水供給手段)60とが設けられている。そして、原子炉格納容器11に散布された冷却水は、蒸気発生器ループ室54からドレンライン57を介してキャビティ56に供給され貯留される。
なお、図示しないが、原子炉格納容器11は、キャビティ56に冷却水を供給する消火水などの外部注入経路が設けられている。この外部注入経路は、基端部が原子炉格納容器11の外部に設置される消火水などの外部供給設備に連結される一方、先端部がキャビティ56に連通している。
このように構成された原子炉格納容器11にて、本実施形態では、加圧水型原子炉12の下方に冷却水を貯留可能なキャビティ56が設けられている。そして、このキャビティ56に、非常時に、加圧水型原子炉12から落下した溶融物の冷却を促進する冷却促進装置61が設けられている(図4、図7、図9参照)。
原子力発電プラントにて、冷却材喪失事故(LOCA)などが発生した場合、緊急炉心冷却装置が作動し、加圧水型原子炉12を含む原子炉冷却設備内に冷却水が供給されて炉心を冷却し、発生する熱を十分に除去する。ところが、緊急炉心冷却装置が故障すると、炉心を冷却することができず、原子炉容器31の内部の炉心が溶融するシビアアクシデントが生じるおそれがある。すると、溶融した燃料などの溶融物が原子炉容器31を破損させ、原子炉容器31の下部を貫通してキャビティ56へ落下する。このとき、キャビティ56には冷却水が供給可能となっており、このキャビティ56に落下した溶融物は、キャビティ56に貯留された冷却水により冷却される。しかし、キャビティ56に落下した溶融物は、冷却水との相互作用によって細粒化または塊状に固化するものの、固体となったデブリが山状に堆積した場合、特に、堆積した内部を十分に冷却することが困難となる。
本実施形態の冷却促進装置61は、加圧水型原子炉12から落下する溶融物をキャビティ56の冷却水中で冷却するもので、溶融物の冷却を促進させることで溶融物の冷却効率を向上させる。
[実施形態1]
図4は、本実施形態に係る溶融物の冷却促進装置の構成図、図5および図6は、本実施形態に係る管部材の配置例を示す平面図である。
図4に示すように、本実施形態の冷却促進装置61において、キャビティ56は、コンクリート構造物55により加圧水型原子炉12の下方に形成されている。このキャビティ56は、加圧水型原子炉12の下方から水平方向の一方側に延出した横穴形状をなし、基端部が加圧水型原子炉12の下方に位置し、先端部側の上部がドレンライン57を介して蒸気発生器ループ室54(図3参照)に連通している。
キャビティ56において、その底部は、鋼板ライナ52から嵩上げされた床部材62が設けられている。床部材62は、多孔質材料により形成されている。このため、キャビティ56に供給された冷却水Wは、床部材62を貫通して上下に流通可能となっている。なお、床部材62に用いられる多孔質材料としては、例えば、アルミナなどのセラミック材の他、オーステナイトステンレス鋼、Ni基やCo基などの超合金を素材とした不織布焼結体、粒状金属、金属粉末から焼結した焼結体などの多孔質金属体、金網を重ねた構造を持つ多孔質金属体、ハニカム構造の多孔質金属体が適用可能である。また、床部材62は、炭素鋼またはステンレス鋼に多数の穴を設けた多孔材を用いることも可能である。
また、キャビティ56において、原子炉容器31の下方にカバー部材63が設けられている。カバー部材63は、原子炉容器31の下部における半球状の下部プレナム31aの外形に内面が沿うように下方に向かって窄まったすり鉢状に形成され、下部プレナム31aを覆うものである。カバー部材63の内面は、原子炉容器31の外形に合わせて半球状に形成されていることが好ましいが円錐形状に形成されていてもよい。このカバー部材63は、すり鉢状の窄まった最下部に上下に貫通する貫通穴63aが形成されている。また、カバー部材63は、その内面から上方に突出する突出部63bが形成されている。突出部63bは、図4では、貫通穴63aの周縁に設けられた形態を示している。突出部63bは、貫通穴63aの周縁に沿って断続して設けられているか、または筒状に形成された周壁に貫通穴63aに連通する側穴63cが設けられている形態がある。また、突出部63bは、図には明示しないが、貫通穴63aを中心として放射状に設けられた複数のリブ状に形成されていてもよい。このような、カバー部材63は、溶融した燃料などの溶融物が原子炉容器31を破損させ、原子炉容器31の下部プレナム31aが脱落した場合、この下部プレナム31aがキャビティ56に落下しないように保持する。このとき、カバー部材63は、突出部63bが下部プレナム31aを受けることで、突出部63bの側穴63cや、突出部63bの間で溶融物の流通を確保し、貫通穴63aから溶融物を落下させる。また、カバー部材63は、貫通穴63aから溶融物を落下させることでキャビティ56への溶融物の落下位置を規定する。
このキャビティ56は、図4に示すように、供給された冷却水Wの水面Waが、原子炉容器31の下部プレナム31aおよびカバー部材63を浸漬させる位置に至るまで冷却水Wが貯留される。
冷却促進装置61において、原子炉容器31(カバー部材63の貫通穴63a)からキャビティ56の底部(床部材62)に落下する溶融物を冷却する冷却部64を有する。冷却部64は、原子炉容器31(カバー部材63)の真下であって、キャビティ56の冷却水W中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する。
冷却部64は、図4に示すように、管部材として、冷却管64Aと、冷媒供給管64Bと、冷媒排出管64Cとを有する。
冷却管64Aは、原子炉容器31(カバー部材63)の真下において、キャビティ56の底部(床部材62)から上方に延在して設けられている。冷却管64Aは、図5および図6に示すように、水平方向で所定間隔をあけて複数設けられている。図5では、平面視で複数の冷却管64Aが等間隔で1列に並び、等間隔で複数列配置された例を示す。また、図6では、平面視で複数の冷却管64Aが所定間隔をあけて千鳥配置された例を示す。なお、冷却管64Aの配置は、図5や図6に示す例に限らず、水平方向で所定間隔をあけて複数設けられていればよい。このように、冷却管64Aが水平方向で所定間隔をあけて複数設けられていることで、原子炉容器31(カバー部材63)から落下する溶融物が各冷却管64Aの間に堆積することになる。
冷媒供給管64Bは、一端が冷却管64Aの下端64Aaに連通し、他端がキャビティ56内で開口して設けられている。冷媒供給管64Bは、1つの冷却管64Aの下端64Aaにそれぞれ連通されていてもよく、複数の冷却管64Aの下端64Aaに連通されていてもよい。また、冷媒供給管64Bは、他端が原子炉容器31(カバー部材63)から落下する溶融物が堆積されない位置まで延在して形成されている。この冷媒供給管64Bは、床部材62の下方に配置されている。このように、冷媒供給管64Bが床部材62の下方に配置されていることで、原子炉容器31(カバー部材63)から落下する溶融物が各冷却管64Aの間に堆積されない。なお、冷媒供給管64Bは、床部材62の上方に配置されていてもよい。この場合、冷媒供給管64Bは、原子炉容器31(カバー部材63)から落下する溶融物が堆積される各冷却管64Aの間を避けるように配置することが好ましい。
冷媒排出管64Cは、一端が冷却管64Aの上端64Abに連通し、他端がキャビティ56内で開口して設けられている。冷媒排出管64Cは、1つの冷却管64Aの上端64Abにそれぞれ連通されていてもよく、複数の冷却管64Aの上端64Abに連通されていてもよい。また、冷媒排出管64Cは、他端が原子炉容器31(カバー部材63)から落下する溶融物が堆積されない位置まで延在して形成されている。また、冷媒排出管64Cは、他端が水平方向または水平方向よりも上方に向かって延在して形成されている。この冷媒排出管64Cは、原子炉容器31(カバー部材63)から落下する溶融物が堆積される各冷却管64Aの間を避けるように配置することが好ましい。
なお、冷却管64A、冷媒供給管64Bおよび冷媒排出管64Cは、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミナなどのセラミック材の他、オーステナイトステンレス鋼、Ni基やCo基などの超合金で形成することが好ましい。
事故発生時には、図示しないポンプを駆動し、図3に示す燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを原子炉格納容器冷却経路60を通して送り、多数の噴射ノズルから原子炉格納容器11内に向けて冷却水Wを散布する。すると、この冷却水Wは、原子炉格納容器11内で発生した大量の蒸気に対して散布されることとなり、ここで、大量のエネルギを奪い取り、原子炉格納容器11の内部を冷却してから高温となって落下し、蒸気発生器ループ室54からドレンライン57を通ってキャビティ56に貯留される。原子炉格納容器11内に放出されたエネルギを散布された冷却水Wにより奪い取り、原子炉格納容器11の健全性を維持することができる。
また、事故発生時には、図示しないポンプを駆動し、燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを原子炉冷却経路59を通して加圧水型原子炉12に送る。すると、この冷却水Wは、加圧水型原子炉12内の炉心で発生した炉心の崩壊熱を奪い取り、一部は蒸気となって原子炉格納容器11の雰囲気へ放出され、残りは高温の水となって外部に流出し、蒸気発生器ループ室54からドレンライン57を通ってキャビティ56に貯留される。
ところで、上述した緊急炉心冷却装置が故障すると、加圧水型原子炉12に冷却水Wを送って冷却することができず、原子炉容器31の内部の炉心が溶融し、溶融物がこの原子炉容器を破損させてキャビティ56へ落下するおそれがある。
この場合、燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを、原子炉格納容器11内に送って散布する原子炉格納容器冷却経路60が設けられており、この経路60を原子炉冷却経路59へ接続することも可能である。従って、緊急炉心冷却装置が故障した場合であっても、少なくとも一方の経路59,60を通して原子炉格納容器11または加圧水型原子炉12に冷却水Wを供給することは可能であり、この冷却水Wをキャビティ56に供給することができる。また、原子炉格納容器11には、キャビティ56に直接冷却水を供給する消火水などの外部注入経路が設けられており、この外部注入経路を用いて冷却水Wをキャビティ56に供給することができる。従って、緊急炉心冷却装置が故障しても、キャビティ56を冷却水Wで冠水することができる。
そして、冷却促進装置61にて、図4に示すように、原子炉容器31(カバー部材63)から落下した溶融物は、キャビティ56に貯留されている冷却水Wとの相互作用により細粒化したデブリがデブリベッド(状況によっては溶融物、または細粒化しない塊状の固形物の場合もある)を形成し、キャビティ56の底部である床部材62の上に堆積される。この際、デブリベッドは、冷却部64の冷却管64Aの間に堆積される。すなわち、冷却管64Aは、堆積したデブリベッド内に配置されることになる。
冷却管64Aの間に堆積されたデブリベッドは、表面がキャビティ56内の冷却水Wにより冷却される。この場合、床部材62が多孔質材料(または多孔材)により形成されているため、床部材62に堆積されたデブリベッドは、全表面に冷却水Wが接触して冷却され崩壊熱を除熱されることになる。
さらに、図4に示すように冷却促進装置61において、冷媒供給管64Bの他端および冷媒排出管64Cの他端がキャビティ56の冷却水W中で開口しているため、冷却管64A、冷媒供給管64Bおよび冷媒排出管64Cの内部が冷媒としての冷却水Wで満たされる。このため、デブリベッドは、堆積したデブリベッド内に配置された冷却管64A内の冷却水Wにより内部からさらに冷却され崩壊熱をさらに除熱されることになる。そして、デブリベッドを冷却した冷却管64A内の冷却水Wは、デブリベッドの崩壊熱で沸騰されて冷却管64A内を上昇し、冷媒排出管64Cからキャビティ56内の冷却水W中に排出される。一方、デブリベッドを冷却した冷却管64A内の冷却水Wが冷却管64A内を上昇して冷媒排出管64Cからから排出されることで、冷媒供給管64Bから新たにキャビティ56内の冷却水Wが冷却管64A内に供給される。すなわち、冷却部64において、冷媒としての冷却水Wが水頭圧差で自然循環する。
このように、本実施形態の溶融物の冷却促進装置61は、原子炉容器31の下方に冷却水Wを貯留可能に設けられた有底のキャビティ56が配置され、原子炉容器31の真下であってキャビティ56の底部の冷却水W中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する冷却部64が設けられている。
この溶融物の冷却促進装置61によれば、原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31が破損して溶融物がキャビティ56に落下すると、この溶融物は、冷却水W中を落下してキャビティ56の底部に至り、冷却部64の周囲に堆積する。溶融物は、冷却水W中を落下する過程で冷却され、堆積した状態でその表面が冷却水Wにより冷却される。しかも、冷却部64が冷媒を流通可能に形成された管部材であるため、溶融物は、堆積した状態で冷却部64に接触する内部がさらに冷却される。このため、原子炉容器31から落下する溶融物を効率よく冷却することができる。
また、本実施形態の溶融物の冷却促進装置61では、冷却部64は、キャビティ56の底部から上方に延在する冷却管64Aと、冷却管64Aの下端64Aaに連通してキャビティ56内で開口する冷媒供給管64Bと、冷却管54Aの上端64Abに連通してキャビティ56内で開口する冷媒排出管64Cとを有することが好ましい。
この溶融物の冷却促進装置61によれば、冷媒供給管64Bの他端および冷媒排出管64Cの他端がキャビティ56の冷却水W中で開口しているため、冷却管64A、冷媒供給管64Bおよび冷媒排出管64Cの内部が冷媒としての冷却水Wで満たされる。このため、キャビティ56の底部に堆積した溶融物は、その内部が冷却管64A内の冷却水Wにより冷却されて崩壊熱を除熱される。溶融物を冷却した冷却管64A内の冷却水Wは、溶融物の崩壊熱により沸騰して冷却管64A内を上昇するため、冷媒排出管64Cからキャビティ56内の冷却水W中に排出される。一方、溶融物を冷却した冷却管64A内の冷却水Wが冷却管64A内を上昇して冷媒排出管64Cから排出されることで、冷媒供給管64Bから新たにキャビティ56内の冷却水Wが冷却管64A内に供給される。従って、冷媒としての冷却水Wがポンプなどの循環機構を用いず水頭圧差で自然循環することで、原子力発電プラントの電源が喪失した場合であっても溶融物の冷却を行うことができる。
また、本実施形態の溶融物の冷却促進装置61では、キャビティ56は、その底部が嵩上げされて原子炉容器31から落下される溶融物を受ける床部材62を有し、当該床部材62が冷却水Wを流通可能に形成されており、冷却部64は、冷媒供給管64Bが床部材62の下方に配置され、冷却管64Aおよび冷媒排出管64Cが床部材62の上方に配置されていることが好ましい。
この溶融物の冷却促進装置61によれば、溶融物を受ける床部材62が冷却水Wを流通可能に形成されていることで、キャビティ56の底部に堆積する溶融物の多くの表面に冷却水Wを接触させることができ、溶融物の冷却効率をより向上することができる。しかも、冷媒供給管64Bが床部材62の下方に配置されていることで、より温度の低い冷却水Wを冷媒供給管64Bから冷却管64Aに供給するため、溶融物の冷却効率をより向上することができる。さらに、冷却管64Aおよび冷媒排出管64Cが床部材62の上方に配置されていることで、温度の高い冷却水Wが冷媒排出管64Cから床部材62の上方に排出されるため、冷却部64における冷却水Wの自然循環を促進し、溶融物の冷却効率をより向上することができる。
また、本実施形態の溶融物の冷却促進装置61では、原子炉容器31と冷却部64との間に、原子炉容器31の下部を覆う内面がすり鉢状に形成され、すり鉢状の最下部であって冷却部64の真上となる位置に上下に貫通する貫通穴63aを有し、かつ内面から上方に突出する突出部63bが形成されたカバー部材63が設けられることが好ましい。
この溶融物の冷却促進装置61によれば、原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31の下部が破損して脱落した場合、この原子炉容器31の下部をカバー部材63により受けてキャビティ56内への落下を防ぐことができる。しかも、突出部63bにより原子炉容器31の下部を受けることで貫通穴63aからの溶融物の落下を確保するため、冷却部64に溶融物を確実に送ることができ、原子炉容器31から落下する溶融物を効率よく冷却する効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態の原子炉格納容器11は、内部に原子炉容器31が収容されるとともに、原子炉容器31の下方において冷却水Wを貯留可能なキャビティ56が設けられる原子炉格納容器11において、キャビティ56における原子炉容器31の直下であってキャビティ56の冷却水W中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する冷却部64が設けられる。
原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31が破損して溶融物がキャビティ56に落下すると、この溶融物は、冷却水W中を落下してキャビティ56の底部に至り、冷却部64の周囲に堆積する。溶融物は、冷却水W中を落下する過程で冷却され、堆積した状態でその表面が冷却水Wにより冷却される。しかも、冷却部64が冷媒を流通可能に形成された管部材であるため、溶融物は、堆積した状態で冷却部64に接触する内部がさらに冷却される。このため、原子炉容器31から落下する溶融物を効率よく冷却することができる。この結果、原子力発電プラントの安全性の向上を図ることができる。
[実施形態2]
図7は、本実施形態に係る溶融物の冷却促進装置の構成図、図8は、本実施形態に係る管部材の配置例を示す平面図である。なお、本実施形態の溶融物の冷却促進装置は、上述した実施形態1に対し、冷却部の構成が異なる。従って、上述した実施形態1と同等部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
冷却促進装置61において、原子炉容器31(カバー部材63の貫通穴63a)からキャビティ56の底部(床部材62)に落下する溶融物を冷却する冷却部65を有する。冷却部65は、原子炉容器31(カバー部材63)の真下であって、キャビティ56の冷却水W中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する。また、冷却促進装置61において、凝縮部66を有する。
冷却部65は、図7に示すように、管部材として、冷却管65Aと、冷媒供給管65Bと、冷媒排出管65Cとを有する。
冷却管65Aは、原子炉容器31(カバー部材63)の真下において、キャビティ56の底部(床部材62)から上方に延在して設けられている。冷却管65Aは、図8に示すように、水平方向で所定間隔をあけて複数設けられている。図8では、平面視で複数の冷却管65Aが等間隔で1列に並び、等間隔で複数列配置された例を示す。なお、冷却管65Aの配置は、図8に示す例に限らず、水平方向で所定間隔をあけて複数設けられていればよい。このように、冷却管65Aが水平方向で所定間隔をあけて複数設けられていることで、原子炉容器31(カバー部材63)から落下する溶融物が各冷却管65Aの間に堆積することになる。
冷媒供給管65Bは、一端が冷却管65Aの下端65Aaに連通し、他端が凝縮部66に連通して設けられている。冷媒供給管65Bは、1つの冷却管65Aの下端65Aaにそれぞれ連通されていてもよいが、図8では、複数の冷却管65Aの下端65Aaに連通されている例を示す。また、冷媒供給管65Bは、他端が原子炉容器31(カバー部材63)から落下する溶融物が堆積されない位置まで延在して形成されている。この冷媒供給管65Bは、床部材62の上に配置されている。なお、冷媒供給管65Bは、原子炉容器31(カバー部材63)から落下する溶融物が堆積される各冷却管65Aの間を避けるように配置することが好ましい。
冷媒排出管65Cは、一端が冷却管65Aの上端65Abに連通し、他端が凝縮部66に連通して設けられている。冷媒排出管65Cは、1つの冷却管65Aの上端65Abにそれぞれ連通されていてもよいが、図8では、複数の冷却管65Aの上端65Abに連通されている例を示す。また、冷媒排出管65Cは、他端が原子炉容器31(カバー部材63)から落下する溶融物が堆積されない位置まで延在して形成されている。この冷媒排出管65Cは、原子炉容器31(カバー部材63)から落下する溶融物が堆積される各冷却管65Aの間を避けるように配置することが好ましい。
凝縮部66は、キャビティ56の冷却水中となる位置であって原子炉容器31の下方から外れた位置に設けられている。また、凝縮部66は、冷却部65よりも上方位置に設けられている。凝縮部66は、凝縮管66Aを有する。凝縮管66Aは、上下方向に延在して設けられている。凝縮管66Aは、図8に示すように、水平方向で所定間隔をあけて複数設けられている。図8では、冷却管65Aと同様に、平面視で複数の凝縮管66Aが等間隔で1列に並び、等間隔で複数列配置された例を示す。なお、凝縮管66Aの配置は、図8に示す例に限らず、水平方向で所定間隔をあけて複数設けられていればよい。この凝縮管66Aは、その下端66Aaに冷媒供給管65Bの他端が連通されている。冷媒供給管65Bは、1つの凝縮管66Aの下端66Aaにそれぞれ連通されていてもよいが、図8では、複数の凝縮管66Aの下端66Aaに連通されている例を示す。また、凝縮管66Aは、その上端66Abに冷媒排出管65Cの他端が連通されている。冷媒排出管65Cは、1つの凝縮管66Aの上端66Abにそれぞれ連通されていてもよいが、図8では、複数の凝縮管66Aの上端66Abに連通されている例を示す。
このように、冷却部65の冷却管65Aと凝縮部66の凝縮管66Aとは、冷媒供給管65Bおよび冷媒排出管65Cを介して連通され、閉ループを構成する。そして、閉ループ内である冷却管65A、冷媒供給管65B、冷媒排出管65Cおよび凝縮管66Aの内部に冷媒が封入されている。冷媒は、冷却水Wと同じ水であってもよいが、熱交換率の向上を図るため、例えば、フロンやアンモニアなどの低沸点冷媒を用いることが好ましい。
なお、冷却管65A、冷媒供給管65B、冷媒排出管65Cおよび凝縮管66Aは、例えば、炭素鋼、ステンレス鋼、アルミナなどのセラミック材の他、オーステナイトステンレス鋼、Ni基やCo基などの超合金で形成することが好ましい。
事故発生時には、図示しないポンプを駆動し、図3に示す燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを原子炉格納容器冷却経路60を通して送り、多数の噴射ノズルから原子炉格納容器11内に向けて冷却水Wを散布する。すると、この冷却水Wは、原子炉格納容器11内で発生した大量の蒸気に対して散布されることとなり、ここで、大量のエネルギを奪い取り、原子炉格納容器11の内部を冷却してから高温となって落下し、蒸気発生器ループ室54からドレンライン57を通ってキャビティ56に貯留される。原子炉格納容器11内に放出されたエネルギを散布された冷却水Wにより奪い取り、原子炉格納容器11の健全性を維持することができる。
また、事故発生時には、図示しないポンプを駆動し、燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを原子炉冷却経路59を通して加圧水型原子炉12に送る。すると、この冷却水Wは、加圧水型原子炉12内の炉心で発生した炉心の崩壊熱を奪い取り、一部は蒸気となって原子炉格納容器11の雰囲気へ放出され、残りは高温の水となって外部に流出し、蒸気発生器ループ室54からドレンライン57を通ってキャビティ56に貯留される。
ところで、上述した緊急炉心冷却装置が故障すると、加圧水型原子炉12に冷却水Wを送って冷却することができず、原子炉容器31の内部の炉心が溶融し、溶融物がこの原子炉容器を破損させてキャビティ56へ落下するおそれがある。
この場合、燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを、原子炉格納容器11内に送って散布する原子炉格納容器冷却経路60が設けられており、この経路60を原子炉冷却経路59へ接続することも可能である。従って、緊急炉心冷却装置が故障した場合であっても、少なくとも一方の経路59,60を通して原子炉格納容器11または加圧水型原子炉12に冷却水Wを供給することは可能であり、この冷却水Wをキャビティ56に供給することができる。また、原子炉格納容器11には、キャビティ56に直接冷却水を供給する消火水などの外部注入経路が設けられており、この外部注入経路を用いて冷却水Wをキャビティ56に供給することができる。従って、緊急炉心冷却装置が故障しても、キャビティ56を冷却水Wで冠水することができる。
そして、冷却促進装置61にて、図7に示すように、原子炉容器31(カバー部材63)から落下した溶融物は、キャビティ56に貯留されている冷却水Wとの相互作用により細粒化したデブリがデブリベッド(状況によっては溶融物、または細粒化しない塊状の固形物の場合もある)を形成し、キャビティ56の底部である床部材62の上に堆積される。この際、デブリベッドは、冷却部65の冷却管65Aの間に堆積される。すなわち、冷却管65Aは、堆積したデブリベッド内に配置されることになる。
冷却管65Aの間に堆積されたデブリベッドは、表面がキャビティ56内の冷却水Wにより冷却される。この場合、床部材62が多孔質材料(または多孔材)により形成されているため、床部材62に堆積されたデブリベッドは、全表面に冷却水Wが接触して冷却され崩壊熱を除熱されることになる。
さらに、図7に示すように冷却促進装置61において、デブリベッドは、堆積したデブリベッド内に配置された冷却管65A内の冷媒により内部からさらに冷却され崩壊熱をさらに除熱されることになる。そして、デブリベッドを冷却した冷却管65A内の冷媒は、デブリベッドの崩壊熱により沸騰して冷却管65A内を上昇する。これにより、冷媒排出管65Cから凝縮管66Aに排出される。凝縮管66Aでは、キャビティ56の冷却水Wにより冷媒が凝縮され、凝縮管66A内を下降する。そして、凝縮管66A内で凝縮された冷媒は、冷媒供給管65Bから冷却管65Aに供給される。このように、すなわち、冷却部65と凝縮部66との間で冷媒が自然循環する。なお、冷媒が低沸点冷媒を適用されている場合、循環量が増大し熱交換率を向上することができる。
このように、本実施形態の溶融物の冷却促進装置61は、原子炉容器31の下方に冷却水Wを貯留可能に設けられた有底のキャビティ56が配置され、原子炉容器31の真下であってキャビティ56の底部の冷却水W中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する冷却部65が設けられている。
この溶融物の冷却促進装置61によれば、原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31が破損して溶融物がキャビティ56に落下すると、この溶融物は、冷却水W中を落下してキャビティ56の底部に至り、冷却部65の周囲に堆積する。溶融物は、冷却水W中を落下する過程で冷却され、堆積した状態でその表面が冷却水Wにより冷却される。しかも、冷却部65が冷媒を流通可能に形成された管部材であるため、溶融物は、堆積した状態で冷却部65に接触する内部がさらに冷却される。このため、原子炉容器31から落下する溶融物を効率よく冷却することができる。
また、本実施形態の溶融物の冷却促進装置61では、冷却部65は、キャビティ56の底部から上方に延在する冷却管65Aと、冷却管65Aの下端65Aaに連通する冷媒供給管65Bと、冷却管65Aの上端65Abに連通する冷媒排出管65Cとを有しており、冷媒供給管65Bおよび冷媒排出管65Cの各端部が、キャビティ56の冷却水W中となる位置であって原子炉容器31の下方から外れた位置に配置された凝縮部66の凝縮管66Aに接続されて冷却管65Aを含み閉ループが構成され、当該閉ループ内に冷媒が封入されていることが好ましい。
この溶融物の冷却促進装置61によれば、キャビティ56の底部に堆積した溶融物は、その内部が冷却管65A内の冷媒により冷却され崩壊熱を除熱される。溶融物を冷却した冷却管65A内の冷媒は、溶融物の崩壊熱により沸騰して冷却管65A内を上昇し、冷媒排出管65Cから凝縮管66Aに排出される。凝縮管66Aでは、キャビティ56の冷却水Wにより冷媒が凝縮され、凝縮管66A内を下降する。凝縮管66A内で凝縮された冷媒は、冷媒供給管65Bから冷却管65Aに供給される。従って、ポンプなどの循環機構を用いず冷却部65と凝縮部66との間で冷媒が自然循環することで、原子力発電プラントの電源が喪失した場合であっても溶融物の冷却を行うことができる。
また、本実施形態の溶融物の冷却促進装置61では、キャビティ56は、その底部が嵩上げされて原子炉容器31から落下される溶融物を受ける床部材62を有し、当該床部材62が冷却水Wを流通可能に形成されていることが好ましい。
この溶融物の冷却促進装置61によれば、溶融物を受ける床部材62が冷却水Wを流通可能に形成されていることで、キャビティ56の底部に堆積する溶融物の多くの表面に冷却水Wを接触させることができ、溶融物の冷却効率をより向上することができる。
また、本実施形態の溶融物の冷却促進装置61では、原子炉容器31と冷却部65との間に、原子炉容器31の下部を覆う内面がすり鉢状に形成され、すり鉢状の最下部であって冷却部65の真上となる位置に上下に貫通する貫通穴63aを有し、かつ内面から上方に突出する突出部63bが形成されたカバー部材63が設けられることが好ましい。
この溶融物の冷却促進装置61によれば、原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31の下部が破損して脱落した場合、この原子炉容器31の下部をカバー部材63により受けてキャビティ56内への落下を防ぐことができる。しかも、突出部63bにより原子炉容器31の下部を受けることで貫通穴63aからの溶融物の落下を確保するため、冷却部65に溶融物を確実に送ることができ、原子炉容器31から落下する溶融物を効率よく冷却する効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態の原子炉格納容器11は、内部に原子炉容器31が収容されるとともに、原子炉容器31の下方において冷却水Wを貯留可能なキャビティ56が設けられる原子炉格納容器11において、キャビティ56における原子炉容器31の直下であってキャビティ56の冷却水W中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する冷却部65が設けられる。
原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31が破損して溶融物がキャビティ56に落下すると、この溶融物は、冷却水W中を落下してキャビティ56の底部に至り、冷却部65の周囲に堆積する。溶融物は、冷却水W中を落下する過程で冷却され、堆積した状態でその表面が冷却水Wにより冷却される。しかも、冷却部65が冷媒を流通可能に形成された管部材であるため、溶融物は、堆積した状態で冷却部65に接触する内部がさらに冷却される。このため、原子炉容器31から落下する溶融物を効率よく冷却することができる。この結果、原子力発電プラントの安全性の向上を図ることができる。
[実施形態3]
図9は、本実施形態に係る溶融物の冷却促進装置の構成図、図10は、本実施形態に係る管部材の拡大構成図である。なお、本実施形態の溶融物の冷却促進装置は、上述した実施形態1に対し、冷却部の構成が異なる。従って、上述した実施形態1と同等部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
冷却促進装置61において、原子炉容器31(カバー部材63の貫通穴63a)からキャビティ56の底部(床部材62)に落下する溶融物を冷却する冷却部67を有する。冷却部67は、原子炉容器31(カバー部材63)の真下であって、キャビティ56の冷却水W中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する。
冷却部67は、図9および図10に示すように、管部材として、冷却管67Aを有する。冷却管67Aは、原子炉容器31(カバー部材63)の真下において、上下に延在して設けられ、その下端67Aaが、キャビティ56の底部が嵩上げされた床部材62の下方に開口し、その上端67Abが閉塞されている。また、冷却管67Aは、その周壁(上端を含む)が多孔質材料または多孔材により形成されている。
冷却管67Aに用いられる多孔質材料としては、例えば、アルミナなどのセラミック材の他、オーステナイトステンレス鋼、Ni基やCo基などの超合金を素材とした不織布焼結体、粒状金属、金属粉末から焼結した焼結体などの多孔質金属体、金網を重ねた構造を持つ多孔質金属体、ハニカム構造の多孔質金属体が適用可能である。また、冷却管67Aは、炭素鋼またはステンレス鋼に多数の穴を設けた多孔材を用いることも可能である。
冷却管67Aは、水平方向で所定間隔をあけて複数設けられている(図5および図6参照)。図5では、平面視で複数の冷却管67Aが等間隔で1列に並び、等間隔で複数列配置された例を示す。また、図6では、平面視で複数の冷却管67Aが所定間隔をあけて千鳥配置された例を示す。なお、冷却管67Aの配置は、図5や図6に示す例に限らず、水平方向で所定間隔をあけて複数設けられていればよい。このように、冷却管67Aが水平方向で所定間隔をあけて複数設けられていることで、原子炉容器31(カバー部材63)から落下する溶融物が各冷却管67Aの間に堆積することになる。
事故発生時には、図示しないポンプを駆動し、図3に示す燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを原子炉格納容器冷却経路60を通して送り、多数の噴射ノズルから原子炉格納容器11内に向けて冷却水Wを散布する。すると、この冷却水Wは、原子炉格納容器11内で発生した大量の蒸気に対して散布されることとなり、ここで、大量のエネルギを奪い取り、原子炉格納容器11の内部を冷却してから高温となって落下し、蒸気発生器ループ室54からドレンライン57を通ってキャビティ56に貯留される。原子炉格納容器11内に放出されたエネルギを散布された冷却水Wにより奪い取り、原子炉格納容器11の健全性を維持することができる。
また、事故発生時には、図示しないポンプを駆動し、燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを原子炉冷却経路59を通して加圧水型原子炉12に送る。すると、この冷却水Wは、加圧水型原子炉12内の炉心で発生した炉心の崩壊熱を奪い取り、一部は蒸気となって原子炉格納容器11の雰囲気へ放出され、残りは高温の水となって外部に流出し、蒸気発生器ループ室54からドレンライン57を通ってキャビティ56に貯留される。
ところで、上述した緊急炉心冷却装置が故障すると、加圧水型原子炉12に冷却水Wを送って冷却することができず、原子炉容器31の内部の炉心が溶融し、溶融物がこの原子炉容器を破損させてキャビティ56へ落下するおそれがある。
この場合、燃料取替用水ピット58に貯留されている冷却水Wを、原子炉格納容器11内に送って散布する原子炉格納容器冷却経路60が設けられており、この経路60を原子炉冷却経路59へ接続することも可能である。従って、緊急炉心冷却装置が故障した場合であっても、少なくとも一方の経路59,60を通して原子炉格納容器11または加圧水型原子炉12に冷却水Wを供給することは可能であり、この冷却水Wをキャビティ56に供給することができる。また、原子炉格納容器11には、キャビティ56に直接冷却水を供給する消火水などの外部注入経路が設けられており、この外部注入経路を用いて冷却水Wをキャビティ56に供給することができる。従って、緊急炉心冷却装置が故障しても、キャビティ56を冷却水Wで冠水することができる。
そして、冷却促進装置61にて、図9に示すように、原子炉容器31(カバー部材63)から落下した溶融物は、キャビティ56に貯留されている冷却水Wとの相互作用により細粒化したデブリがデブリベッド(状況によっては溶融物、または細粒化しない塊状の固形物の場合もある)を形成し、キャビティ56の底部である床部材62の上に堆積される。この際、デブリベッドは、冷却部67の冷却管67Aの間に堆積される。すなわち、冷却管67Aは、堆積したデブリベッド内に配置されることになる。
冷却管67Aの間に堆積されたデブリベッドは、表面がキャビティ56内の冷却水Wにより冷却される。この場合、床部材62が多孔質材料(または多孔材)により形成されているため、床部材62に堆積されたデブリベッドは、全表面に冷却水Wが接触して冷却され崩壊熱を除熱されることになる。
さらに、図10に示すように冷却促進装置61において、冷却管67Aの下端が床部材62の下方に開口しているため、冷却管67Aの内部が冷媒としての冷却水Wで満たされる。しかも、冷却管67Aが多孔質材料または多孔材により形成されている。このため、デブリベッドは、堆積したデブリベッド内に配置された冷却管67Aの内の冷却水Wに直接接触し、内部からさらに冷却され崩壊熱をさらに除熱されることになる。そして、デブリベッドを冷却した冷却管67A内の冷却水Wは、デブリベッドの崩壊熱で沸騰されて冷却管67A内を上昇しつつ冷却管67Aの外部に排出される。一方、デブリベッドを冷却した冷却管67A内の冷却水Wが上昇して冷却管67Aの外部に排出されることで、開口する冷却管67Aの下端67Aaから新たに床部材62の下方の冷却水Wが冷却管67A内に供給される。すなわち、冷却部67において、冷媒としての冷却水Wが水頭圧差で自然循環する。
このように、本実施形態の溶融物の冷却促進装置61は、原子炉容器31の下方に冷却水Wを貯留可能に設けられた有底のキャビティ56が配置され、原子炉容器31の真下であってキャビティ56の底部の冷却水W中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する冷却部67が設けられている。
この溶融物の冷却促進装置61によれば、原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31が破損して溶融物がキャビティ56に落下すると、この溶融物は、冷却水W中を落下してキャビティ56の底部に至り、冷却部67の周囲に堆積する。溶融物は、冷却水W中を落下する過程で冷却され、堆積した状態でその表面が冷却水Wにより冷却される。しかも、冷却部67が冷媒を流通可能に形成された管部材であるため、溶融物は、堆積した状態で冷却部67に接触する内部がさらに冷却される。このため、原子炉容器31から落下する溶融物を効率よく冷却することができる。
また、本実施形態の溶融物の冷却促進装置61では、キャビティ56は、その底部が嵩上げされて原子炉容器31から落下される溶融物を受ける床部材62を有し、当該床部材62の下方に冷却水Wを供給可能に構成されており、冷却部67は、上下に延在する冷却管67Aを有し、当該冷却管67Aの下端67Aaが床部材62の下方に開口し、冷却管67Aの上端67Abが閉塞されており、かつ冷却管67Aが多孔質材料または多孔材により形成されていることが好ましい。
この溶融物の冷却促進装置61によれば、冷却管67Aの下端が床部材62の下方に開口しているため、冷却管67Aの内部が冷媒としての冷却水Wで満たされる。しかも、冷却管67Aが多孔質材料または多孔材により形成されている。このため、キャビティ56の底部に堆積した溶融物は、その内部が冷却管67A内の冷却水Wに直接接触して冷却されて崩壊熱を除熱される。溶融物を冷却した冷却管67A内の冷却水Wは、溶融物の崩壊熱により沸騰して冷却管67A内を上昇しつつ冷却管67Aの外部に排出される。一方、溶融物を冷却した冷却管67A内の冷却水Wが冷却管67A内を上昇して冷却管67Aの外部に排出されることで、開口する冷却管67Aの下端67Aaから新たに床部材62の下方の冷却水Wが冷却管67A内に供給される。従って、冷媒としての冷却水Wがポンプなどの循環機構を用いず水頭圧差で自然循環することで、原子力発電プラントの電源が喪失した場合であっても溶融物の冷却を行うことができる。
また、本実施形態の溶融物の冷却促進装置61では、床部材62が冷却水Wを流通可能に形成されていることが好ましい。
この溶融物の冷却促進装置61によれば、溶融物を受ける床部材62が冷却水Wを流通可能に形成されていることで、キャビティ56の底部に堆積する溶融物の多くの表面に冷却水Wを接触させることができ、溶融物の冷却効率をより向上することができる。
また、本実施形態の溶融物の冷却促進装置61では、原子炉容器31と冷却部67との間に、原子炉容器31の下部を覆う内面がすり鉢状に形成され、すり鉢状の最下部であって冷却部67の真上となる位置に上下に貫通する貫通穴63aを有し、かつ内面から上方に突出する突出部63bが形成されたカバー部材63が設けられることが好ましい。
この溶融物の冷却促進装置61によれば、原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31の下部が破損して脱落した場合、この原子炉容器31の下部をカバー部材63により受けてキャビティ56内への落下を防ぐことができる。しかも、突出部63bにより原子炉容器31の下部を受けることで貫通穴63aからの溶融物の落下を確保するため、冷却部67に溶融物を確実に送ることができ、原子炉容器31から落下する溶融物を効率よく冷却する効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態の原子炉格納容器11は、内部に原子炉容器31が収容されるとともに、原子炉容器31の下方において冷却水Wを貯留可能なキャビティ56が設けられる原子炉格納容器11において、キャビティ56における原子炉容器31の直下であってキャビティ56の冷却水W中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する冷却部67が設けられる。
原子力発電プラントの非常時に、原子炉容器31が破損して溶融物がキャビティ56に落下すると、この溶融物は、冷却水W中を落下してキャビティ56の底部に至り、冷却部67の周囲に堆積する。溶融物は、冷却水W中を落下する過程で冷却され、堆積した状態でその表面が冷却水Wにより冷却される。しかも、冷却部67が冷媒を流通可能に形成された管部材であるため、溶融物は、堆積した状態で冷却部67に接触する内部がさらに冷却される。このため、原子炉容器31から落下する溶融物を効率よく冷却することができる。この結果、原子力発電プラントの安全性の向上を図ることができる。
11 原子炉格納容器
31 原子炉容器
31a 下部プレナム
56 キャビティ
61 冷却促進装置
62 床部材
63 カバー部材
63a 貫通穴
63b 突出部
63c 側穴
64 冷却部
64A 冷却管
64B 冷媒供給管
64C 冷媒排出管
65 冷却部
65A 冷却管
65B 冷媒供給管
65C 冷媒排出管
66 凝縮部
66A 凝縮管
67 冷却部
67A 冷却管
W 冷却水

Claims (9)

  1. 原子炉容器の下方に冷却水を貯留可能に設けられた有底のキャビティが配置され、前記原子炉容器の真下であって前記キャビティの底部の冷却水中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する冷却部が設けられていることを特徴とする溶融物の冷却促進装置。
  2. 前記冷却部は、前記キャビティの底部から上方に延在する冷却管と、当該冷却管の下端に連通して前記キャビティ内で開口する冷媒供給管と、前記冷却管の上端に連通して前記キャビティ内で開口する冷媒排出管とを有することを特徴とする請求項1に記載の溶融物の冷却促進装置。
  3. 前記キャビティは、その底部が嵩上げされて原子炉容器から落下される溶融物を受ける床部材を有し、当該床部材が前記冷却水を流通可能に形成されており、
    前記冷却部は、前記冷媒供給管が前記床部材の下方に配置され、前記冷却管および前記冷媒排出管が前記床部材の上方に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の溶融物の冷却促進装置。
  4. 前記冷却部は、前記キャビティの底部から上方に延在する冷却管と、当該冷却管の下端に連通する冷媒供給管と、前記冷却管の上端に連通する冷媒排出管とを有しており、前記冷媒供給管および前記冷媒排出管の各端部が、前記キャビティの冷却水中となる位置であって前記原子炉容器の下方から外れた位置に配置された凝縮部に接続されて前記冷却管を含み閉ループが構成され、当該閉ループ内に冷媒が封入されていることを特徴とする請求項1に記載の溶融物の冷却促進装置。
  5. 前記キャビティは、その底部が嵩上げされて前記原子炉容器から落下される溶融物を受ける床部材を有し、当該床部材が前記冷却水を流通可能に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の溶融物の冷却促進装置。
  6. 前記キャビティは、その底部が嵩上げされて前記原子炉容器から落下される溶融物を受ける床部材を有し、当該床部材の下方に前記冷却水を供給可能に構成されており、
    前記冷却部は、上下に延在する冷却管を有し、当該冷却管の下端が前記床部材の下方に開口し、前記冷却管の上端が閉塞されており、かつ前記冷却管が多孔質材料または多孔材により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の溶融物の冷却促進装置。
  7. 前記床部材が前記冷却水を流通可能に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の溶融物の冷却促進装置。
  8. 前記原子炉容器と前記冷却部との間に、前記原子炉容器の下部を覆う内面がすり鉢状に形成され、すり鉢状の最下部であって前記冷却部の真上となる位置に上下に貫通する貫通穴を有し、かつ前記内面から上方に突出する突出部が形成されたカバー部材が設けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の溶融物の冷却促進装置。
  9. 内部に原子炉容器が収容されるとともに、前記原子炉容器の下方において冷却水を貯留可能なキャビティが設けられる原子炉格納容器において、
    前記キャビティにおける前記原子炉容器の直下であって前記キャビティの冷却水中となる位置に、内部に冷媒を流通可能に形成された管部材を有する冷却部が設けられていることを特徴とする原子炉格納容器。
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