以下、図面に基づいて、実施形態を説明する。
図1は、計測装置、計測システム、計測方法および計測プログラムの一実施形態を示す。
図1に示した計測装置10は、移動体1に搭載されたセンサ11と、積算部12と、算出部13とを含んでいる。また、計測システム100は、少なくとも一つの計測装置10と、集約装置2とを含んでいる。
ここで、移動体1は、搭載したセンサ11を任意の場所に移動させることができる物であれば、自動車やバイクなどの車両に限らず、航空機や衛星でもよいし、更には、人や動物がセンサ11を所持してもよい。また、センサ11とともに、積算部12および算出部13を含む計測装置10を移動体1に搭載してもよい。
センサ11は、移動体1から所定の範囲内の空間における所定の特徴量として、例えば、空間を通過する放射線の量、即ち、放射線量を測定する。例えば、センサ11は、放射線と半導体との相互作用により半導体内部で生じる電荷を検出することで放射線を検知する半導体放射線検出器などでもよい。なお、センサ11は、地表面から1メートル程度の所定の高さとなるように、移動体1に固定されることが望ましい。
積算部12は、移動体1が第1の地点から第2の地点まで移動する間に、センサ11で検出された放射線量を示す測定値を受け、受けた値を積算することで得られる積算結果を算出部13に渡す。
また、算出部13は、積算部12によって得られた積算結果と、第1の地点と第2の地点との間の移動にかかった時間とに基づいて、第1の地点と前記第2の地点との間の移動経路における、単位時間当たりの特徴量を求める。例えば、センサ11により、特徴量として取得した放射線量を示す計測値を積算部12によって上述の移動の過程で積算した場合に、算出部13で得られる単位時間当たりの特徴量は、単位時間当たりに移動体1の周囲の空間を通過する放射線量、即ち線量率を示す。なお、線量率の単位として、例えば、マイクログレイ毎時(μGy/h)を用いる場合に、単位時間は1時間である。
また、計測装置10は、移動体1の移動経路に対応して得られた単位時間当たりの特徴量を含む計測結果を、例えば、無線信号により、図1に示した集約装置2に送出する。
集約装置2は、少なくとも一つの計測装置10のそれぞれから、計測結果を示す情報として、各計測装置10が搭載された移動体1の移動経路を示す情報とともに、当該移動経路に対応して得られた単位時間当たりの特徴量を示す情報を受ける。また、集約装置2は、少なくとも一つの計測装置10のそれぞれから受けた情報で示される移動経路と線量率とを対応付けて集約する。
集約装置2は、例えば、各計測装置10から受けた情報で示される移動経路に対応する地図上の軌跡を特定し、特定した地図上の軌跡と線量率を示す情報とを対応付けてもよい。上述の対応付けを行うことにより、集約装置2は、例えば、二次元的な広がりを持つ地域において、線量率が他の地域よりも高い地域がどのように分布しているかなどを把握する上で有用な情報を生成することが可能である。
ここで、ほぼ一様な強さを持つ放射線の場が形成されている地域内において、移動体1が第1の地点から第2の地点まで移動する場合を考える。
図2は、図1に示した移動体1の移動経路の例を示す。図2において、実線で囲んで示した領域Raと破線で囲んで示した領域Rbとは、それぞれ、ほぼ一様な強さを持つ放射線の場が形成されている地域の例を示している。
また、図2において、符号Qaは、図1に示した移動体1が、領域Ra内において、第1の地点Pa1から第2の地点Pa2まで移動した際の移動経路の一例である。同様に、符号Qbは、図1に示した移動体1が、領域Rb内において、第1の地点Pb1から第2の地点Pb2まで移動した際の移動経路の一例である。
放射線の場の強さがほぼ一様である場合に、領域Ra内で移動経路Qaに沿って移動する過程で移動体1が受ける放射線量の積算値、即ち、図1に示した積算部12によって得られる積算結果は、第1の地点Pa1を通過してからの経過時間に比例する。同様に、領域Rb内で移動経路Qbに沿って移動する過程で移動体1が受ける放射線量の積算値、即ち、図1に示した積算部12によって得られる積算結果は、第1の地点Pb1を通過してからの経過時間に比例する。
図3は、図1に示した積算部12による積算結果の例を示す。図3において、横軸は、時間tの経過を示し、縦軸は、積算部12で得られる積算結果S、即ち、移動の過程における放射線量の積算値の大きさを示す。
また、図3において、直線Gaは、図1に示した移動体1が図2に示した移動経路Qaに沿って移動する際に、積算部12によって得られる積算結果の時間変化を示す。同様に、直線Gbは、上述の移動体1が図2に示した移動経路Qbに沿って移動する際に、積算部12によって得られる積算結果の時間変化を示す。
また、図3において、符号Saは、移動体1が図2に示した移動経路Qaで第2の地点Pa2に到達したときに、図1に示した積算部12によって得られる積算結果を示し、符号τaは、移動経路Qaでの移動の所要時間を示す。同様に、符号Sbは、移動体1が図2に示した移動経路Qbで第2の地点Pb2に到達したときに、積算部12によって得られる積算結果を示し、符号τbは、移動経路Qbでの移動の所要時間を示す。
ここで、移動経路Qaにおいて、移動体1が単位時間当たりに受けた放射線量、即ち、移動経路Qaにおける線量率は、図3に示した直線Gaの傾きに相当し、直線Gaの傾きは、図2に示した領域Raにおける放射線の場の強さを反映している。同様に、移動経路Qbにおいて、移動体1が単位時間当たりに受けた放射線量、即ち、移動経路Qbにおける線量率は、図3に示した直線Gbの傾きに相当し、直線Gbの傾きは、図2に示した領域Rbにおける放射線の場の強さを反映している。なお、図3に示した直線Ga,Gbは、図2に示した領域Raにおける放射線の場の強さが、領域Rbにおける放射線の場の強さよりも強い場合の例である。
図2、図3に示した例のように、移動体1の移動経路が含まれる領域における放射線の場が一様である場合において、移動体1が受ける放射線量は、移動体1が静止しているか移動しているかにかかわらず、領域への滞在時間に比例して増大する。
したがって、移動体1の移動経路が含まれる領域における放射線の場が一様である場合に、移動体1が領域内で移動する過程で受けた放射線量を移動にかかった時間で除算することで得られる値は、当該領域における放射線の場の強さ、即ち線量率を示している。つまり、放射線の場が一様である領域の内部でセンサ11を搭載した移動体1が移動する過程で、図1に示した算出部13で得られる単位時間当たりの放射線量は、当該領域において、従来の可搬型の線量計を静止させた状態で計測した線量率と同等である。
すなわち、算出部13は、移動体1が図2に示した移動経路Qaで移動する過程で得られた積算結果Saを所要時間τaで除算することで、移動体1が上述の移動の過程で単位時間に受けた放射線量、即ち、領域Raにおける線量率を求めることができる。同様に、算出部13は、移動体1が図2に示した移動経路Qbで移動する過程で得られた積算結果Sbを所要時間τbで除算することで、移動体1が上述の移動の過程で単位時間当たりに受けた放射線量、即ち、領域Rbにおける線量率を求めることができる。
実際の計測では、移動体1の移動経路が含まれる領域における放射線の場の強さは必ずしも一様ではない。例えば、地殻内に含まれる放射性物質の分布密度の違いなどによって、自然環境における放射線の場の強さ、即ち、環境放射線量が数十ナノグレイ/時(nGy/h)程度の幅で変動する場合がある。
このような変動がある場合にも、本件開示の計測装置10によれば、移動経路から所定の範囲内における環境放射線量の変動を平均化した程度の誤差を含むものの、可搬型の線量計を静止させて計測した線量率と、ほぼ同等の値を持つ線量率を取得可能である。
すなわち、図1に示した計測装置10によれば、センサ11を搭載した移動体1を移動させながら、移動体1の移動経路を含む領域での放射線の場の強さを示す指標値を得ることで、移動中での線量率の計測を実現することができる。
本件開示の計測装置10によれば、例えば、図2に示した移動経路Qaを移動体1が移動する過程での計測により、移動経路Qa上に設けた複数の観測地点のそれぞれで従来の手法で線量率を計測した場合と同等の計測結果を得ることができる。したがって、本件開示の計測装置10によれば、計測対象の地域内に例えば格子状に設定された複数の移動経路のそれぞれに沿って移動する過程での計測により、当該地域における放射線量の分布を示す情報を取得することが可能である。つまり、本件開示の計測装置10によれば、従来の可搬型の線量計を用いる場合に比べて、少ない手間で、計測対象の地域内を網羅する計測結果を取得することができる。すなわち、本件開示の計測装置10によれば、空間における線量率などの特徴量について、従来の可搬型の線量計などを用いる場合に比べて、容易に空間的な分布を網羅的に認識可能にすることができる。
図4は、図1に示した計測装置10の動作を示す。即ち、図4は、移動体1とともに移動するセンサ11の測定値を用いて、移動体1の移動経路における単位時間当たりの特徴量として、線量率を計測する計測方法を示す。
ステップS301において、センサ11は、図1に示した移動体1が、例えば、図2に示した第1の地点Pa1から第2の地点Pa2まで移動する期間にわたって、センサ11に入射した放射線量を示す測定値を取得する。
ステップS302において、積算部12は、上述のステップS301の処理と並行して、移動体1が第2の地点Pa2に到達するまで、センサ11によって得られる測定値を積算する。
ステップS303において、算出部13は、ステップS302の処理で得られた積算結果と、上述の第1の地点Pa1から第2の地点Pa2への移動の所要時間とに基づいて、単位時間当たりの放射線量、即ち、線量率を求める。算出部13は、例えば、積算部12により、移動体1が移動している期間にわたってセンサ11の測定値を積算することで得られた積算結果を、上述の所要時間で除算することで、図2に示した移動経路Qaにおける線量率を求めてもよい。
上述のステップS301〜ステップS303の処理を実行することにより、移動中の計測により、移動経路における、単位時間当たりの特徴量として、線量率を計測する計測方法を実現することができる。
なお、図1に示したセンサ11が測定する特徴量は、放射線量に限らず、移動体1から所定の範囲内の空間が持つ物理的な特徴を示す特徴量であればよく、例えば、空間を通過する粒子あるいはエネルギーの流れの強さで大きさが変化する物理量であってもよい。 例えば、太陽風のエネルギー量などを測定するセンサ11を航空機や衛星などに搭載し、センサ11で得られた測定値を移動の過程で積算した結果に基づいて、航空機の航路あるいは衛星の軌道における太陽風の強さを示す特徴量を取得してもよい。
図5は、図1に示した集約装置2で集約された測定結果の例を示す。
図5において、点線、細い実線および太い実線で示した線分のそれぞれは、移動体1が移動可能な道路などの一部を示している。即ち、図5に示した線分のそれぞれは、図1に示した集約装置2が少なくとも一つの計測装置10から受けた計測結果を示す情報で示された移動経路に対応する軌跡を示している。
図5の例では、上述の計測装置10による測定結果として、所定値α1(α1は正の実数)未満の線量率が得られた移動経路に対応する地図上の軌跡のそれぞれを点線で示している。また、上述の計測装置10による測定結果として、上述した所定値α1から別の所定値α2(α2は、α1より大きい実数)までの線量率が得られた移動経路に対応する地図上の軌跡のそれぞれを細い実線で示している。また、上述の計測装置10による測定結果として、上述した所定値α2以上の線量率が得られた移動経路に対応する地図上の軌跡のそれぞれを太い実線で示している。
図5に示したように集約された測定結果によれば、例えば、太い実線で示された移動経路が集中して分布している地域の線量率は、上述した所定値α2程度である可能性が高いといった、放射線量の目安を示す情報を提供することができる。
ここで、図1に示した計測装置10を搭載する移動体1は、車両に限らず、自転車などでもよいし、また、人やペットなどが計測装置10を携帯してもよい。そして、本件開示の計測装置10によれば、例えば、通勤や買い物、散歩などのような日常的な移動の際に、計測装置10を携帯した人やペットが移動した移動経路における線量率の計測結果を取得することができる。例えば、ある地域の住民一人一人が、本件開示の計測装置10を携帯して日常生活を営むことで、当該地域を通る様々な道路などにおける線量率の計測結果を取得し、取得した計測結果を集約装置2に集積させることができる。
次に、移動体1の移動経路が、ほぼ一様な強さを持つ放射線の場が形成されているある地域と別の地域との境界を跨っている場合を考える。
図6は、図1に示した移動体1の移動経路の別例を示す。なお、図6に示した要素のうち、図2に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図6に示した移動経路Qは、図1に示した移動体1が、破線で示した領域Rb内にある第1の地点PSから、実線で示した領域Ra内にある第2の地点Peまで移動した場合の移動経路の一例である。また、図6に示した符号P1,P2,P3,P4,P5,P6のそれぞれは、移動体1が第1の地点Psを出発してから所定時間毎に通過する移動経路Q上の地点を示し、符号Pcは、移動経路Qと領域Ra,Rbの境界との交点の一例を示す。ここで、所定時間とは、例えば、数秒から数十秒程度の時間であればよい。
図6の例は、移動経路Qのうち、地点Psから地点P3まで移動した際の移動体1の速度が、地点P4から第2の地点Peまで移動した際の移動体1の速度に比べて遅い場合を示している。
図7は、図1に示した積算部12で得られる積算結果の別例を示す。なお、図7において、横軸tは、時間の経過を示し、縦軸Sは、放射線量の積算値の大きさを示す。
図7に示した折れ線Gは、図1に示した移動体1が図6に示した移動経路Qに沿って移動する際に、積算部12によって得られる放射線量の積算値の時間変化を示す。図7において、符号Tsは、移動体1が図6に示した第1の地点Psを通過した時刻を示し、符号Teは、移動体1が図6に示した第2の地点Peを通過した時刻を示す。同様に、符号Tcは、移動体1が、図6に示した交点Pcを通過した時刻を示している。
また、図7に示した符号T1,T2,T3,T4,T5,T6のそれぞれは、移動体1が、図6に示した地点P1,P2,P3,P4,P5,P6を通過した時刻を示す。
図2および図3を用いて説明したように、図1に示した計測装置10に含まれる積算部12で得られる積算結果は、計測装置10が搭載された移動体1が領域Ra,Rb内を移動する速度にかかわらず、それぞれの領域に滞在する時間に比例して増大する。
したがって、図7に示した折れ線Gにおいて、時刻T1から時刻Tcまでの期間に対応する部分の傾きは、領域Rbにおける線量率を示しており、時刻Tcから時刻T2までの期間に対応する部分の傾きは、領域Raにおける線量率を示している。
逆に言えば、積算部12で得られる積算結果の時間に対する変化率が変化している箇所を見つければ、見つけた箇所に対応する時刻として、移動体1が線量率の異なる領域の境界を横切った時刻を特定することができる。つまり、図7に示した積算結果の時間変化の特性を解析することにより、図6に示した交点Pcに対応する時刻Tcを特定することができる。
図1に示した算出部13は、図6に示した移動経路Qを、積算結果の時間に対する変化率に基づいて特定した時刻Tcより前に対応する区間と、時刻Tcよりも後に対応する区間とに分割し、分割で得られた区間毎に線量率を求めることが望ましい。算出部13が、積算結果の時間に対する変化率に基づいて分割した移動経路の区間毎に線量率を求めることにより、線量率が異なる地域に跨った移動経路について一括して線量率を求める場合に比べて、誤差の少ない計測結果を得ることができる。
以下の説明において、移動体1の移動経路を複数の区間に分割して線量率を算出する際に、移動経路において、各区間を分割した箇所を区切りポイントと称する。図6、図7を用いて説明した例において、積算部12で得られる積算結果の時間に対する変化率が変化している箇所を示す地点Pc及び時刻Tcは、区切りポイントの一例である。なお、区切りポイントの別の例については、図11、図12を用いて後述する。
図8は、計測装置10、計測システム100、計測方法および計測プログラムの別実施形態を示す。なお、図8に示した構成要素のうち、図1に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図8に示した車載ユニットMUは、図1に示した計測装置10に含まれる構成要素のうち、センサ11と積算部12とに加えて、通信処理部14を含んでいる。一方、図8に示した集約装置2は、通信処理部101と、制御部102と、装置情報データベース103と、算出部13と、計測結果蓄積部104と、表示処理部105と、地図情報データベース106とを含んでいる。また、図8に示した計測システム100は、少なくとも一つの車載ユニットMUと、集約装置2と、表示装置DSPとを含んでいる。
図8の例では、計測装置10は、車載ユニットMUに含まれるセンサ11および積算部12と、集積部2に含まれる算出部13とを含んでいる。図8に示したように、計測装置10に含まれる算出部13の機能を集約装置2に分担することにより、個々の移動体1に搭載する車載ユニットMUの処理負担を軽減することができる。
図8に示した車載ユニットMUに含まれる通信処理部14は、例えば、数秒から数十秒程度の所定時間毎に、移動体1に搭載されたカーナビゲーションシステムNVから移動体1の位置を示す情報、即ち、位置情報を取得する。また、通信処理部14は、上述の所定時間毎に、積算部12から、センサ11で得られた測定値の積算結果を取得し、カーナビゲーションシステムNVから取得した位置情報とともに集約装置2に送出する。
例えば、通信処理部14は、図7に示した時刻Ts,時刻T1〜T6および時刻Teに対応して、カーナビゲーションシステムNVから、図6に示した第1の地点Ps,地点P1〜P6および第2の地点Peを示す位置情報を取得することができる。また、通信処理部14は、上述の時刻Ts,時刻T1〜T6および時刻Teに対応して、それぞれの時刻までに積算部12で積算された放射線量を示す積算結果を取得することができる。
なお、通信処理部14は、集約装置2に送出する情報に、計測システム100において、車載ユニットMUのそれぞれを識別するため情報として、例えば、装置番号を付加することが望ましい。また、通信処理部14は、更に、移動体1の移動状態を示す情報として、カーナビゲーションシステムNVから、例えば、移動中であるか静止中であるかを示す情報を取得し、取得した情報を集約装置2に送出する情報に付加してもよい。更に、通信処理部14は、移動体1の移動状態を示す情報として、静止状態から移動状態への移行あるいは移動状態から静止状態への移行を示す情報を、カーナビゲーションシステムNVから取得してもよい。
図8に示した集約装置2において、通信処理部101は、少なくとも一つの車載ユニットMUによって送出された情報を受信し、制御部102に渡す。制御部102は、通信処理部101を介して受け取った情報に含まれる装置番号に対応して、同じく受け取った情報に含まれる時刻、位置情報、移動状態および積算結果を、装置情報データベース103に格納する。
図9は、図8に示した装置情報データベース103の例を示す。なお、図9に示した要素のうち、図7に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図9に示した装置情報データベース103は、図6に示した移動経路Qに沿って移動する移動体1に搭載された車載ユニットMUを示す装置番号Maに対応して、車載ユニットMUから集約装置2に送出された情報を格納している。なお、図9において、符号Xs,Ysは、図6に示した第1の地点Psの位置情報を示し、符号Xa1,Ya1は、図6に示した地点P1の位置情報を示す。同様に、符号Xa2,Ya2は、図6に示した地点P2の位置情報を示し、符号Xa3,Ya3は、図6に示した地点P3の位置情報を示す。また、符号Xa4,Ya4は、図6に示した地点P4の位置情報を示し、符号Xa5,Ya5は、図6に示した地点P5の位置情報を示す。また、符号Xa6,Ya6は、図6に示した地点P6の位置情報を示し、符号Xe,Yeは、図6に示した第2の地点Peの位置情報を示す。また、図9に示した符号Ss,Sa1,Sa2,Sa3,Sa4,Sa5,Sa6,Seは、図7に示した時刻Ts,T1,T2,T3,T4,T5,T6,Teのそれぞれまで、センサ11の測定値を積算部12が積算して得られた積算結果を示している。また、図9に示した装置情報データベース103は、装置番号Maで示される車載ユニットMUの移動状態は、時刻Tsから時刻Teまでの期間にわたって移動中であることを示している。なお、図9の例では、装置番号Maで示される車載ユニットMUによって時刻Te以降に得られる情報の図示および他の車載ユニットで得られる情報の図示は省略している。
また、装置情報データベース103は、図9に示すように、各装置番号に対応して、当該装置番号で示される車載ユニットMUに設定される設定パラメータを保持していてもよい。なお、設定パラメータについては、図14から図19を用いて後述する。
図8に示した算出部13は、図9に示した装置情報データベース103に車載ユニットMU毎に保持された情報に基づいて、車載ユニットMUの移動経路が線量率の異なる地域に跨っている場合に、それぞれの地域に対応する区間毎の線量率を算出する。算出部13は、傾き分析部131と、線量率算出部132とを含んでいる。
傾き分析部131は、装置情報データベース103に保持された情報から、例えば、各時刻に対応する積算結果の差分を互いに比較することにより、図7に示した折れ線Gの傾き、即ち、時間経過に対する特性が変化している箇所を、区切りポイントとして検出する。傾き分析部131は、例えば、各時刻に対応する積算結果の差分に所定の閾値以上の変化が生じた箇所を検出し、検出した箇所を区切りポイントとして特定してもよい。なお、傾き分析部131は、積算結果の時間経過に対する特性に変化があるか否かを判断する際の閾値として、例えば、環境放射線量の平均的な変動量に相当する値よりも大きい値を設定することが望ましい。
例えば、図7に示した折れ線Gの時刻Tsから時刻T3までの部分における傾きと、時刻T4から時刻Teまでの部分の傾きとを比べれば、時刻T3と時刻T4の間に、図6に示した領域Ra、Rbの境界を移動体1が通過したことが分かる。傾き分析部131は、例えば、折れ線Gの時刻Tsから時刻T3までの部分と、時刻T4から時刻Teまでの部分とをそれぞれ外挿することで、図7に示した時刻Tcを区切りポイントに対応する時刻として求めてもよい。また、傾き分析部131は、求めた時刻Tcと、時刻T3および時刻T4に移動体1が通過した地点P3および地点P4を示す位置情報とに基づいて、図6に示した地点Pcを示す位置情報を求め、求めた位置情報を線量率算出部132に渡してもよい。
上述の傾き分析部131によって検出される区切りポイントは、積算結果の時間変化率がある値を維持している区間と別の値となっている区間との境界を示している。つまり、移動経路のうち、図8に示した傾き分析部131で検出された区切りポイントより前の区間と、区切りポイントより後の区間とについて、それぞれ線量率を求めることで、線量率がほぼ一定している地域に対応している区間毎に線量率を求めることができる。
図8に示した線量率算出部132は、傾き分析部131から渡される情報に基づいて、装置情報データベース103から、積算結果の時間に対する変化率が一定である区間の始点および終点に対応する積算結果および時刻を示す情報を取得する。また、線量率算出部132は、装置情報データベース103から取得した情報に基づいて、区間ごとに、始点に対応する積算結果と終点に対応する積算結果との差分と、当該区間の通過に要した時間、即ち、所要時間とを求める。更に、線量率算出部132は、区間毎に求めた積算結果の差分と所要時間とに基づいて、当該区間における線量率を算出する。
例えば、線量率算出部132は、傾き分析部131から、図7に示した時刻T3と時刻T4との間に区切りポイントを検出した旨の情報を受け取り、次のようにして、検出された区切りポイントの前後の区間について線量率を算出する。ここでは、図6、図7に示した移動経路Qを、上述の区切りポイントにより、第1の地点P2から区切りポイントまでの区間と、区切りポイントから第2の地点Peまでの区間とに分割する場合を考える。
まず、線量率算出部132は、区切りポイントの前の区間における始点および終点に対応する積算結果として、時刻Tsおよび時刻T3に対応して装置情報データベース103に保持された積算結果Ssと積算結果Sa3とを取得する。同様に、線量率算出部132は、区切りポイントの後の区間における始点および終点に対応する積算結果として、時刻T4および時刻Teに対応して装置情報データベース103に保持された積算結果Sa4と積算結果Seとを取得する。
次いで、線量率算出部132は、積算結果Ssと積算結果Sa3との差分を、時刻Tsと時刻T3との差で除算することで、傾き分析部131で検出された変化点の前の区間における線量率を求める。同様に、線量率算出部132は、積算結果Sa4と積算結果Seとの差分を、時刻T4と時刻Teとの差で除算することで、傾き分析部131で検出された変化点の後の区間における線量率を求める。
同様にして、線量率算出部132は、傾き分析部131により、移動体1の移動経路において複数の区切りポイントが検出された場合に、区切りポイントのそれぞれで区切られる区間のそれぞれに対応する線量率を求めることができる。
なお、線量率算出部132は、移動過程で得られた積算結果を移動にかかった時間で除して得られる線量率を、例えば、所定の係数を用いて変換することで、人体への影響の程度を示す線量当量を求めてもよい。
また、線量率算出部132は、図8に示した計測結果蓄積部104に、区間毎に求めた線量率を示す情報を蓄積する際に、例えば、図10に示すように、車載ユニットMUを示す装置番号および各区間を示す区間番号とに対応付けて蓄積してもよい。なお、線量率算出部132は、検出された区切りポイントに対応して傾き分析部131から受けた位置情報を、区切りポイントの前の区間の終点および区切りポイントの後の区間の始点を示す位置情報として用いてもよい。
図10は、図8に示した計測結果蓄積部104の例を示す。なお、図10に示した要素のうち、図9に示した要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図10に示した計測結果蓄積部104は、図8に示した車載ユニットMUを示す装置番号Maに対応して、図6に示した移動経路Qに含まれる2つの区間について、図8に示した算出部13で得られた線量率を示す情報を蓄積している。なお、図10において、線量率の単位は、例えば、マイクログレイ/時(μGy/h)である。
図10に示した計測結果蓄積部104は、例えば、移動経路Qを図8に示した傾き分析部131で検出された区切りポイントの前後で、区間番号1の区間と区間番号2の区間とに分けた場合に、これらの区間に対応して得られた線量率を示している。
例えば、計測結果蓄積部104は、区間番号1の区間における線量率はDa1マイクログレイ/時であり、区間番号2の区間における線量率はDa2マイクログレイ/時であることを示している。
また、計測結果蓄積部104は、区間番号1の区間の始点位置として、図6に示した第1の地点Psの位置を示す座標Xs,Ysを含む。また、計測結果蓄積部104は、区間番号1の区間の終点位置として、図8に示した傾き分析部131で得られた区切りポイントに対応する移動経路Q上の位置を示す座標Xac,Yacを含む。
また、計測結果蓄積部104は、区間番号2の区間の始点位置として、上述の区切りポイントに対応する移動経路Q上の位置を示す座標Xac,Yacを含む。一方、計測結果蓄積部104は、区間番号2の区間の終点位置として、図6に示した第2の地点Peの位置を示す座標Xe,Yeを含む。
また、計測結果蓄積部104は、図10に示すように、移動経路に含まれる区間のそれぞれに対応する計測結果に含まれる移動状態を示す情報として、線量率の計測が移動中に実行された旨の情報を蓄積してもよい。
上述の傾き分析部131および線量算出部132を有する算出部13を含む計測装置10によれば、移動体1の移動経路が線量率の異なる地域に跨っている場合に、それぞれの地域に対応する区間毎に線量率を計測することができる。したがって、図8に示した計測装置10によれば、移動経路が線量率の異なる領域に跨っている場合にも、それぞれの領域における放射線量の場の強さを忠実に反映した計測結果を得ることができる。
図8に示した表示処理部105は、上述の線量率算出部132によって計測結果蓄積部104に蓄積された情報と地図情報データベース106に含まれる情報とに基づいて、算出部13で得られた計測結果を地図上に表示するための表示情報を生成する。表示処理部105は、例えば、制御部102からの指示に応じて、次に述べるようにして、表示情報を生成し、生成した表示情報を表示装置DSPによって利用者に提示してもよい。
例えば、図10に示した計測結果蓄積部104に、装置番号Maと区間番号1とに対応付けて蓄積された始点位置および終点位置を用いて地図情報データベース106を参照することで、表示処理部105は、区間番号1の区間を示す道路などを地図上で特定する。同様にして、表示処理部105は、計測結果蓄積部104に区間番号2に対応して蓄積された情報に基づいて、区間番号2の区間を示す道路などを地図上で特定する。また、表示処理部105は、区間番号1,2で示される区間のそれぞれについて特定した地図上の道路などに重ね合わせて、区間番号1、2に対応して蓄積された線量率Da1、Da2に対応する太さを持つ線分を表示させる表示情報を生成する。また、表示処理部105は、生成した表示情報を表示装置DSPに送出し、区間番号1,2に対応して得られた計測結果を表示装置DSPに表示させることで、利用者に提示することができる。
なお、図8に示した傾き分析部131および線量率算出部132を有する算出部13は、車載ユニットMUに含まれていてもよい。また、上述の算出部13が車載ユニットMUに含まれている場合に、通信処理部14は、積算部12で得られる積算結果に代えて、移動体1の移動経路を上述の区切りポイントで区切って得られる各区間について、算出部13で得られる線量率を送出してもよい。
ところで、移動体1が通過する地域に受ける線量率の変化が、図6に示した領域Ra,Rbの境界の近傍での線量率の変化に比べて緩やかである場合に、積算部12で得られる積算結果の時間変化率に、図7に示したような変化が現れない場合がある。このような場合に、算出部13は、移動体1の移動の過程において、例えば、移動体1の移動方向などに変化が生じた地点を区切りポイントとして検出し、検出した区切りポイントで移動経路を分割して得られる各区間について線量率を算出してもよい。
図11は、計測装置10、計測システム100、計測方法および計測プログラムの別実施形態を示す。なお、図10に示した構成要素のうち、図8に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図11に示した車載ユニットMUは、計測装置10と、通信処理部14とを含んでおり、通信処理部14は、計測装置10で得られた計測結果を集約装置2に送出する。
図11に示した計測装置10は、移動体1が移動する過程において、積算部12で得られた積算結果を時刻に対応して保持する蓄積部121を含んでいる。また、算出部13は、蓄積部121に蓄積された情報に基づいて、移動体1の移動経路における、単位時間当たりの特徴量として、線量率を求める。また、図11に示した算出部13は、線量率算出部132と、動き分析部133とを含んでいる。
動き分析部133は、例えば、数秒から数十秒程度の所定時間毎に、カーナビゲーションシステムNVから移動体1の速度を示す情報を受ける。また、動き分析部133は、受けた情報を比較することで、移動体1が移動経路に沿って移動する過程で、移動体1の速度に所定の変化が生じた箇所に対応する時刻を、区切りポイントとして特定する。また、動き分析部133は、例えば、移動体1の移動方向が所定値以上に変化した時刻や移動体1が停止あるいは移動を再開した時刻を特定し、特定した時刻を区切りポイントの一つとして特定してもよい。更に、動き分析部133は、例えば、移動体1の進行方向が、直前の進行方向に対して60度以上の変化があった場合や、移動体1の高度に100メートル程度の変化があった場合に、移動体1の移動方向に変化が生じたと判断してもよい。
動き分析部133は、区切りポイントとして特定した時刻により、蓄積部121に蓄積された積算結果のうち、線量率算出部132が線量率の算出の際に参照する範囲を区切ることで、移動経路を上述の区切りポイントで分割した区間毎に、線量率を算出させる。また、動き分析部133は、移動体1の速度の変化を検出した際に、カーナビゲーションシステムNVから、移動体1の位置を示す情報を区切りポイントを示す情報の一部として取得してもよい。また、動き分析部133は、区切りポイントを示す情報として取得した位置情報を、線量率算出部132で得られる線量率と対応付けて通信処理に14に渡してもよい。
図12は、図11に示した移動体1の移動経路の例を示す。図12に示した符号Qは、移動体1が、符号P0で示した第1の地点から、符号P1,P2で示した地点を経由して、第2の地点P3に至る移動経路の例である。また、図12において、符号HWは高速道路を示し、符号SAは、高速道路HW沿いのサービスエリアを示している。また、符号ICはインターチェンジを示し、符号NRは、国道などの一般道路を示している。
例えば、移動体1が、第1の地点P0から地点P1までほぼ一定の速度で移動し、地点P1で一旦停止した後に、ほぼ一定の速度での移動を再開し、その後、地点P2で移動方向を変えて、第2の地点P3まで移動した場合を考える。
上述のように移動体1が移動した場合に、図11に示した動き分析部133は、移動体1が移動経路Qに沿って移動する過程における区切りポイントとして、図12に示した地点P1への到達時刻,地点P1の出発時刻および地点P2への到達時刻を特定する。
また、動き分析部133によって特定された時刻に対応して蓄積部121に蓄積された積算結果に基づいて、線量率算出部132は、移動経路Qを上述の区切りポイントで分割した区間毎に、線量率を算出する。
例えば、線量率算出部132は、動き分析部133により、地点P1への到達時刻が特定された際に、特定された時刻より前に蓄積部121に蓄積された積算結果に基づいて、移動経路Qのうち、地点P0から地点P1までの区間についての線量率を算出する。また、線量率算出部132は、動き分析部133により、地点P1を出発した時刻が特定された際に、地点P1への到達時刻から地点P1の出発時刻までに対応して蓄積部121に蓄積された積算結果に基づき、地点P1で静止していた期間における線量率を算出する。また、線量率算出部132は、動き分析部133で地点P2への到達時刻が特定された際に、地点P1の出発時刻から地点P2への到達時刻までに対応して蓄積部121に蓄積された積算結果に基づき、地点P1から地点P2までの区間についての線量率を算出する。更に、線量率算出部132は、動き分析部133で地点P3への到達時刻が特定された際に、地点P2の出発時刻から地点P3への到達時刻までに対応して蓄積部121に蓄積された積算結果に基づき、地点P2から地点P3までの区間についての線量率を算出する。
図11に示した算出部13を有する計測装置10によれば、移動体1が通過する地域において線量率の変動があるか否かにかかわらず、例えば、移動方向が変化した地点などで移動経路を区切って得られる区間毎に、線量率の計測を行うことができる。
なお、動き分析部13は、移動体1の速度がほぼ一定である期間が所定時間以上にわたって継続した時点を区切りポイントとして検出し、検出した区切りポイントで区切った区間ごとに、線量率算出部133に線量率の算出を行わせてもよい。このような動き分析部13を有する計測装置10によれば、例えば、高速道路に沿って長距離を移動する過程で計測を行う際にも、高速道路における移動距離を複数に分割した区間毎に、当該区間における線量率を取得することができる。このように、長距離にわたる移動経路を複数の区間に分割して計測する場合に、個々の区間における線量率の変動は、移動経路全体を通しての変動に比べて小さい。したがって、図11に示した計測装置10によれば、移動体1が緩やかに線量率が変化している地域を通って移動する場合にも、個々の区間に対応する線量率として、移動経路について一括して線量率を求めた場合に比べて、誤差の少ない計測結果を得ることができる。
図11に示した通信処理部14は、例えば、線量率算出部132で上述の各区間に対応して得られる線量率とともに、動き分析部133を介して区切りポイントに対応する位置情報を受け、受けた情報を集約装置2に送出する。通信処理部14は、例えば、線量率算出部132から受けた線量率に対応する区間に対応して、線量率を受けた順番を示す区間番号を生成し、計測装置10による計測結果を示す情報の一部として集約装置2に送出してもよい。また、通信処理部14は、動き分析部133から、線量率算出部132で得られた線量率が、移動中の計測によって得られた計測結果か静止中の計測で得られた計測結果かを示す情報を受け、受けた情報を計測結果の一部として送出してもよい。また、通信処理部14は、車載ユニットMUに予め設定された装置番号を示す情報を、計測結果を示す情報に付加した上で集約装置2に送出することが望ましい。
図11に示した集約装置2は、通信処理部101と、制御部102と、計測結果蓄積部104と、表示処理部105と、地図情報データベース106とを含んでいる。
制御部102は、通信処理部101を介して車載ユニットMUからの計測結果を示す情報を受け、受けた情報に含まれる装置番号に基づいて、計測結果蓄積部104に計測結果を蓄積する。
図13は、図11に示した計測結果蓄積部104の例を示す。図13において、計測結果蓄積部104は、図10に示した例と同様に、装置番号に対応して、装置番号で示される車載ユニットMUから受けた計測結果を蓄積している。
図13において、符号Mbは、図11に示した車載ユニットMUを示す装置番号を示す。また、符号X0,Y0は、図12に示した地点P0の位置を示し、符号X1,Y1は、同じく図12に示した地点P1の位置を示している。同様に、符号X2,Y2は、図12に示した地点P2の位置を示し、符号X3,Y3は、同じく図12に示した地点P3の位置を示している。
図13に示した計測結果蓄積部104は、装置番号Mbで示される車載ユニットMUから受けた計測結果として、区間番号1,2,3,4のそれぞれで示される各区間の始点位置および終点位置と、線量率と、移動状態とを示す情報を含んでいる。
例えば、計測結果蓄積部104は、区間番号1で示される区間が始点位置(X0,Y0)から終点位置(X1,Y1)までの区間であり、この区間における移動中の計測結果として、線量率Db1マイクログレイ/時(μGy/h)が得られた旨の情報を蓄積している。同様に、計測結果蓄積部104は、区間番号2で示される区間が始点位置(X1,Y1)から終点位置(X1,Y1)までの区間であり、この区間における静止中の計測結果として、線量率Db2マイクログレイ/時(μGy/h)が得られた旨の情報を蓄積している。また、計測結果蓄積部104は、区間番号3で示される区間が始点位置(X1,Y1)から終点位置(X2,Y2)までの区間であり、この区間における移動中の計測結果として、線量率Db3マイクログレイ/時(μGy/h)が得られた旨の情報を蓄積している。また、計測結果蓄積部104は、区間番号4で示される区間が始点位置(X2,Y2)から終点位置(X3,Y3)までの区間であり、この区間における移動中の計測結果として、線量率Db4マイクログレイ/時(μGy/h)が得られた旨の情報を蓄積している。
また、上述の計測結果蓄積部104に蓄積された情報と図11に示した地図情報データベース106とに基づいて、表示処理部105は、各区間に対応する地図上の軌跡と計測された線量率との対応を示す表示情報を生成し、表示装置DSPを介して提示する。
なお、図11に示した計測装置10に含まれる算出部13は、集約装置2に含まれていてもよいし、また、算出部13は、図8に示した傾き分析部131と動き分析部133との双方を含んでいてもよい。また、車載ユニットMUと集約装置2との双方に算出部13を設けておき、例えば、車載ユニットMUと集約装置2との間の通信状態などに応じて、線量率を算出する処理を車載ユニットMUで実行するか集約装置2で実行するかを切り替えてもよい。
更に、例えば、算出部13で線量率を算出する際、あるいは集約装置2で計測結果蓄積部104に計測結果を蓄積する際に、計測結果として得られた線量率の単位をシーベルトなどに変換する処理を行ってもよい。このような変換を行えば、既存のモニタリングポストで得られる計測結果と同じ単位系で本件開示の計測装置10で得られる計測結果を示すことができるので、単位系が異なる場合に比べて、互いの比較を容易にすることができる。
以上に説明した本件開示の計測装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット型のパーソナルコンピュータなどの携帯端末を用いて実現することができる。同様に、図1,図8および図11に示した集約装置2は、パーソナルコンピュータやサーバ装置などのコンピュータ装置によって実現することができる。また、ネットワークを介して、スマートフォンなどの携帯端末によって実現された計測装置10とコンピュータ装置によって実現された集約装置2とを接続することで、本件開示の計測システム100を実現することも可能である。
図14は、計測装置10および計測システム100のハードウェア構成例を示す。なお、図14に示した構成要素のうち、図1,図8および図11に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
図14に示した計測システム100は、n(nは正の整数)個の計測装置10_1,…,10_nと集約装置2とを含んでおり、計測装置10_1,…,10_nと集約装置2とは、ネットワークNWを介して接続されている。なお、計測装置10_1,…,10_nは、いずれも同様の構成を有しており、図14においては、計測装置10_1に含まれる構成要素を示し、計測装置10_nに含まれる構成要素の図示、および他の計測装置の図示は省略している。また、以下の説明では、計測装置10_1,…,10_nを総称する際は、単に、計測装置10と称する。
図14に示した計測装置10は、スマートフォンやタブレット型のパーソナルコンピュータなどの携帯端末20と、図1、図8および図11に示したセンサ11に相当する放射線センサ111とを含んでいる。
図14に示した携帯端末20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ネットワークインタフェース(I/F:InterFace)23と、汎用インタフェース(I/F)24と、GPS(Global Positioning System)信号処理部25と、加速度センサ26とを含んでいる。プロセッサ21と、メモリ22と、ネットワークインタフェース23と、汎用インタフェース24と、GPS信号処理部25と、加速度センサ26とは、バスを介して互いに接続されている。また、携帯端末20は、汎用インタフェース24を介して、放射線センサ111に接続されている。
一方、集約装置2は、サーバ装置30に含まれるプロセッサ31、メモリ32、ハードディスク装置33およびネットワークインタフェース(I/F)34を含んでいる。サーバ装置30は、上述のプロセッサ31、メモリ32、ハードディスク装置33およびネットワークインタフェース(I/F)34に加えて、光学ドライブ装置35を含んでいてもよい。また、サーバ装置30において、プロセッサ31、メモリ32、ハードディスク装置33、ネットワークインタフェース(I/F)34および光学ドライブ装置35は、バスを介して互いに接続されている。上述の光学ドライブ装置35は、光ディスクなどのリムーバブルディスク36を装着可能であり、装着したリムーバブルディスク36に記録された情報の読出および記録を行う。
また、サーバ装置30は、ネットワークNWを介して地図情報サーバMAP,ウェブサーバWBS及びモニタリングシステムMONと接続されており、地図情報サーバMAP,ウェブサーバWBS及びモニタリングシステムMONとの間で情報の授受が可能である。
携帯端末20に含まれるメモリ22は、携帯端末20のオペレーティングシステムとともに、プロセッサ21が図4に示した計測方法による計測処理を実行するためのアプリケーションプログラムを格納している。上述した計測処理のためのアプリケーションプログラムは、例えば、ネットワークインタフェース23を介してネットワークNW上の他のサーバ装置からダウンロードすることで、メモリ22に格納させてもよい。
プロセッサ21は、メモリ22に格納された計測処理のためのアプリケーションプログラムを実行することにより、図1、図8及び図11に示した積算部12及び算出部13の機能を実現することができる。また、メモリ22に記憶領域の一部を用いて、図11に示した蓄積部121を実現することができる。
また、計測処理のためのアプリケーションプログラムは、ネットワークインタフェース23の機能を利用することで、図8及び図11に示した通信処理部14の機能を実現するための処理を含んでいてもよい。更に、計測処理のためのアプリケーションプログラムは、計測装置10において線量率の算出を自律的に実行する自律計測モードの処理と、集約装置2からの指示に応じて放射線量の積算値を通知する遠隔計測モードの処理との双方を含んでいてもよい。
また、サーバ装置30に含まれるメモリ32は、サーバ装置30のオペレーティングシステムとともに、プロセッサ31が、計測装置10_1,…,10_nで得られた計測結果を集約する処理を実行するためのアプリケーションプログラムを格納している。なお、上述の計測結果を集約する処理のためのアプリケーションプログラムは、例えば、光ディスクなどのリムーバブルディスク36に記録して頒布することができる。そして、このリムーバブルディスク36を光学ドライブ装置35に装着して読み込み処理を行うことにより、メモリ22あるいはハードディスク装置33に計測結果を集約する処理のためのアプリケーションプログラムを格納させてもよい。また、ネットワークNW上の他のサーバ装置から、ネットワークインタフェース34を介して、計測結果を集約する処理のためのアプリケーションプログラムをダウンロードすることで、メモリ32またはハードディスク装置33に格納させてもよい。
プロセッサ31は、メモリ32に格納された計測結果を集約する処理のためのアプリケーションプログラムを実行することにより、図8及び図11に示した制御部102及び表示処理部105の機能を実現することができる。また、図8に示した装置情報データベース103及び計測結果蓄積部104は、メモリ32またはハードディスク装置33の記憶領域の一部を用いて実現することができる。また、ネットワークインタフェース34を介して地図情報サーバMAPとの間で情報の授受を行うことにより、図8及び図11に示した地図情報データベース106を集約装置2の内部に含む場合と同等の機能を果たすことができる。
また、計測結果を集約する処理のためのアプリケーションプログラムは、ネットワークインタフェース34の機能を利用することで、図8及び図11に示した通信処理部101の機能を実現するための処理を含んでいてもよい。更に、計測結果を集約する処理のためのアプリケーションプログラムは、計測装置10において自律的に算出された線量率を受信する処理と、計測装置10から収集した放射線量の積算値に基づいて線量率を算出する処理との双方を含んでいてもよい。
図15は、図14に示した計測装置10の動作を示す。図15に示したステップS311〜ステップS323の各処理は、計測処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。また、これらのステップS311〜ステップS323の各処理は、携帯端末20に含まれるプロセッサ21によって実行される。
ステップS311において、プロセッサ21は、ネットワークインタフェース23を介して、集約装置2に計測を開始する旨を通知し、集約装置2から設定パラメータを取得する。ここで、設定パラメータとは、プロセッサ21が、図1、図8及び図11に示した積算部12及び算出部13の機能を果たす際に用いる各種のパラメータである。設定パラメータは、例えば、放射線量の積算結果や位置情報を含む測定データを蓄積する時間間隔を示す所定時間や、図6、図7および図12を用いて説明した区切りポイントを検出する際に用いる閾値などを含んでいる。また、プロセッサ21は、ステップS311の処理で、設定パラメータの一部として、自装置を示す装置番号と、プロセッサ21が、上述の自律計測モードで計測処理を行う場合に、集約装置2に計測結果を報告する間隔を示す情報を取得することが望ましい。また、ステップS311において、プロセッサ21は、放射線量の測定値を積算するための変数Sに初期値0を設定する。
ステップS312において、プロセッサ21は、図14に示した汎用インタフェース24を介して、放射線センサ111から取得した放射線量を示す測定値を、上述の変数Sに積算する。
ステップS313において、プロセッサ21は、計測を開始してから、あるいは、後述するステップS314で積算結果を示す変数Sを記録してから、設定パラメータで示された所定時間が経過したか否かを判定する。
経過時間が上述の所定時間未満である場合に(ステップS313の否定判定(NO))、プロセッサ21は、ステップS312の処理に戻り、放射線量を積算する処理を継続する。
一方、経過時間が上述の所定時間以上である場合に(ステップS313の否定判定(YES))、プロセッサ21は、ステップS314の処理に進む。
ステップS314において、プロセッサ21は、GPS信号処理部25から位置情報を取得し、取得した位置情報と放射線量の積算結果を示す変数Sの値とを現在の時刻に対応する測定データとして、メモリ22に設けた蓄積部121に蓄積する。更に、プロセッサ21は、加速度センサ26から、携帯端末20が受けている加速度を示す情報を受け、受けた情報に基づいて、携帯端末20が、静止中、移動中、移動から停止または停止から移動再開のいずれの状態であるかを示す移動状態情報を生成してもよい。また、プロセッサ21は、生成した移動状態情報を、現在の時刻に対応する測定データの一部として、上述の蓄積部121に蓄積することが望ましい。
ステップS315において、プロセッサ21は、自律計測モードで計測を行うか否かを判定する。プロセッサ21は、例えば、放射線量の計測の開始が指示された際に、携帯端末20の利用者から、自律計測モードでの計測または遠隔計測モードでの計測を指定する情報の設定を受け、設定された情報に基づいて、ステップS315の判定を行ってもよい。また、自律計測モードでの計測または遠隔計測モードでの計測を指定する情報は、メモリ22に予め設定されていてもよい。
自律計測モードで計測を行う旨が指示されていた場合に(ステップS315の肯定判定(YES))、プロセッサ21は、ステップS316〜ステップS320の処理を実行する。
ステップS316において、プロセッサ21は、それまでに、ステップS314の処理で蓄積した測定データに基づいて、図6、図7及び図12を用いて説明した区切りポイントを探索する処理を実行する。プロセッサ21は、図16を用いて後述するステップS331〜ステップS339の処理を実行することにより、ステップS316の処理を実現してもよい。
ステップS317において、プロセッサ21は、ステップS316の処理で、区切りポイントが検出できたか否かを判定し、区切りポイントが検出できた場合に(ステップS317の肯定判定(YES))、ステップS318の処理を実行する。
ステップS318において、プロセッサ21は、ステップS316の処理で検出された区切りポイントで移動経路を区切ることで得られる新規の区間について、図8〜図10及び図11、図12を用いて説明したようにして、線量率を算出する。例えば、プロセッサ21は、上述の蓄積部121から、新たに検出した区切りポイントと直前に検出された区切りポイントとのそれぞれに対応する時刻における積算結果を抽出し、抽出した積算結果の差分と、2つの区切りポイント間の時間とから線量率を算出する。また、プロセッサ21は、上述の蓄積部121から、新たに検出された区切りポイント及び直前に検出された区切りポイントのそれぞれに対応して蓄積された位置情報を、新規の区間の終点及び始点を示す情報として取得する。そして、プロセッサ21は、メモリ22内に計測結果を格納するために設けた領域に、新規の区間に対応する計測結果として、上述の区間の終点及び始点を示す情報と算出した線量率とを含む情報を蓄積する。なお、新規の区間に対応する計測結果を蓄積する際に、プロセッサ21は、新規の区間を示す区間番号を設定してもよい。また、プロセッサ21は、新規の区間の始点及び終点間の距離が所定値未満である場合に、新規の区間における計測結果に静止状態での計測である旨の情報を付加し、所定値以上である場合に、移動状態での計測である旨の情報を付加してもよい。その後、プロセッサ21は、ステップS319の処理に進む。
一方、ステップS316の処理で、区切りポイントが検出できなかった場合に(ステップS317の否定判定(NO))、プロセッサ21は、ステップS318の処理を実行せずに、ステップS319の処理に進む。
ステップS319において、プロセッサ21は、以前に集約装置2に計測結果を報告してからの経過時間に基づいて、報告タイミングが到来したか否かを判定する。
経過時間が、設定パラメータで示された報告タイミングの時間間隔以上である場合に、プロセッサ21は、報告タイミングが到来したと判定し(ステップS319の肯定判定(YES))、ステップS320の処理を実行する。
ステップS320において、プロセッサ21は、メモリ22に蓄積された計測結果を集約装置2に報告する処理を実行する。例えば、プロセッサ21は、メモリ22から、以前にステップS320の処理を実行した後に、上述のステップS318の処理によって蓄積された計測結果を読み出し、ネットワークインタフェース23を介して、読み出した計測結果を集約装置2に送出すればよい。また、ステップS320の処理の終了後に、プロセッサ21は、ステップS321の処理に進む。
一方、経過時間が、設定パラメータで示された報告タイミングの時間間隔未満である場合に(ステップS319の否定判定(NO))、プロセッサ21は、ステップS320の処理を行わずに、ステップS321の処理に進む。
また一方、放射線量の計測の開始が指示された際に、遠隔計測モードで計測を行う旨が指示された場合に(ステップS315の否定判定(NO))、プロセッサ21は、ステップS322及びステップS323の処理を実行する。
ステップS322において、プロセッサ21は、集約装置2から、ネットワークインタフェース23を介して、上述の蓄積部121に蓄積された測定データの送信を要求するデータ送信要求を受信したか否かを判定する。
データ送信要求をまだ受信していない場合に(ステップS322の否定判定(NO))、プロセッサ21は、ステップS323の処理を行わずに、ステップS321の処理に進む。
一方、データ送信要求を受信した場合に(ステップS322の肯定判定(YES))、プロセッサ21は、ステップS323の処理を実行する。
ステップS323において、プロセッサ21は、上述の蓄積部121に蓄積した測定データをネットワークインタフェース23に渡し、ネットワークNWを介して集約装置2に送信する処理を実行する。プロセッサ21は、例えば、以前のデータ送信要求を受信した後に、上述のステップS312の処理を所定時間毎に繰り返すことで蓄積した測定データをメモリ22から読み出し、読み出した測定データをネットワークインタフェース23の機能を利用して送出する。プロセッサ21は、ステップS323の処理の終了後に、ステップS321の処理に進む。
ステップS321において、プロセッサ21は、例えば、携帯端末20の利用者から線量率の計測を終了する旨の指示が入力されたか否かに基づき、計測を終了するか否かを判定する。
計測を終了する旨の指示が入力されていない場合に(ステップS321の否定判定(NO))、プロセッサ21は、ステップS312の処理に戻り、線量率の計測処理を続行する。一方、計測を終了する旨の指示が入力された場合に(ステップS321の肯定判定(YES))、プロセッサ21は、線量率の計測処理を終了する。
以上に説明したステップS311〜ステップS323の処理を携帯端末20のプロセッサ21が実行することにより、携帯端末20を利用して実現した計測装置10により、本件開示の計測方法による線量率の計測を自動的に実行することができる。
ここで、線量率の自動測定を可能にしたことで、携帯端末20を用いて計測装置10を実現した場合にも、携帯端末20の利用者の利便性を損なうことなく、線量率の計測を実現することが可能となる。つまり、携帯端末20を用いた計測装置10によれば、携帯端末20の利用者は、上述の自動計測機能を利用することで、従来の手動による計測を行う場合に比べて、手軽に線量率の計測を行うことができる。そして、携帯端末20の利用者が、携帯端末20を用いた計測装置10により、気軽に線量率の自動計測を行うようになれば、線量率を計測する対象となる移動経路が増える。
したがって、図14に示した計測装置10によれば、専用の計測装置10を移動体1に搭載する場合に比べて、更に容易に、空間における線量率などの特徴量の空間的な分布を網羅的に認識可能にするための計測結果を取得することが可能となる。
なお、図14に示した計測装置10は、例えば、計測装置10に含まれる携帯端末20と集約装置2に含まれるサーバ装置30との間の通信状態に応じて、自律計測モードと遠隔計測モードとを切り替えることもできる。
例えば、図15に示したステップS322の否定判定ルートにおいて、集約装置2からデータ送信要求を受信した間隔が予め設定した所定時間を超えたことを検出した場合に、プロセッサ21は、自律計測モードへの切り替えを行ってもよい。
図16は、図15に示した区切りポイントを探索する処理(ステップS316)を示す。図16に示したステップS331〜ステップS339の各処理は、計測処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理の一例である。また、これらのステップS331〜ステップS339の各処理は、携帯端末20に含まれるプロセッサ21によって実行される。
ステップS331において、プロセッサ21は、図6、図7を用いて説明したようにして、直近に区切りポイントが検出された後に得られた測定データについて、放射線量の積算結果の時間変化率が変動した箇所を検出する。プロセッサ21は、例えば、メモリ22内に設けられた蓄積部121に蓄積された測定データを参照し、所定時間刻みの時刻毎に蓄積された積算結果の差分のそれぞれを求める。また、プロセッサは、得られた差分を互いに比べることで、積算結果の時間変化率が変動した箇所を検出してもよい。
ステップS332において、プロセッサ21は、ステップS331の処理で検出された箇所における時間変化率の変動が、設定パラメータで示された閾値以上であるか否かを判定する。ステップS331の処理で変動した箇所が検出されなかった場合及び検出した箇所での変動の大きさが上述の閾値以下である場合に、プロセッサ21は、積算結果の時間変化率に着目した区切りポイントを検出できなかったと判断し、ステップS333の処理に進む。
ステップS333において、プロセッサ21は、直近に区切りポイントとして検出された時刻に対応して蓄積部121に蓄積された移動状態情報と、現在の時刻に対応する移動状態情報とに基づき、移動状態に変化があるか否かを判定する。プロセッサ21は、直近の区切りポイントに対応する移動状態情報と、現在の時刻に対応する移動状態情報とが一致する場合及び、直近の区切りポイントにおいて移行した状態が現在も継続している場合に、移動状態に変化がないと判定する。移動状態に変化がない場合に(ステップS337の否定判定(NO))、プロセッサ21は、ステップS334の処理に進む。
一方、直近の区切りポイントに対応する移動状態情報と、現在の時刻に対応する移動状態情報とが一致しない場合及び、直近の区切りポイントでの移動状態から別の状態に移行したことが示された場合に、移動状態に変化があったと判定する。移動状態に変化があった場合に(ステップS333の肯定判定(YES))、プロセッサ21は、計測装置10を所持した人物あるいは計測装置10を搭載した移動体の動きの変化に着目した区切りポイントを検出したと判断し、ステップS339の処理に進む。
ステップS334において、プロセッサ21は、直近に区切りポイントとして検出された時刻からの経過時間と、直近の区切りポイントに対応する位置からの移動距離と、直近の区切りポイントにおける移動方向と現在の移動方向との差を求める。プロセッサ21は、例えば、直近に区切りポイントとして検出された時刻と現在の時刻との差を、上述した経過時間として求めてもよい。ここで、ステップS334の処理は、上述のステップS333の否定判定ルートにおいて実行されるので、上述の経過時間は、移動中あるいは静止中の状態が継続している時間を示している。また、プロセッサ21は、直近に区切りポイントとして検出された時刻に対応して蓄積された位置情報で示される位置と、現在の時刻に対応して蓄積された位置情報で示される位置との距離として、上述の移動距離を求めてもよい。更に、プロセッサ21は、直近の区切りポイントの前後の時刻に対応して蓄積された位置情報に基づいて求めた移動方向と、現在の時刻における移動方向との差として、上述の移動方向の差を求めてもよい。
ステップS335において、プロセッサ21は、ステップS334で得られた経過時間が設定パラメータで指定された閾値以上であるか否かを判定する。ステップS333で得られた経過時間が、上述の閾値未満である場合に(ステップS335の否定判定(NO))、プロセッサ21は、移動中あるいは静止中の状態の継続時間に着目した区切りポイントを検出できなかったと判断し、ステップS336の処理に進む。
ステップS336において、プロセッサ21は、ステップS334で得られた移動距離が設定パラメータで指定された閾値以上であるか否かを判定する。ステップS334で得られた移動距離が、上述の閾値未満である場合に(ステップS336の否定判定(NO))、プロセッサ21は、移動距離の長さに着目した区切りポイントを検出できなかったと判断し、ステップS337の処理に進む。
ステップS337において、プロセッサ21は、ステップS334で得られた移動方向の変化量が設定パラメータで指定された閾値以上であるか否かを判定する。ステップS334で得られた移動方向の変化量が、上述の閾値未満である場合に(ステップS337の否定判定(NO))、プロセッサ21は、移動方向の変化に着目した区切りポイントを検出できなかったと判断し、ステップS338の処理に進む。
ここで、上述のステップS331及びステップS332の処理と、ステップS333〜ステップS337の処理とは、図16における順序とは別の順序で実行してもよい。また、ステップS335〜ステップS337の処理は、ステップS333及びステップS334の処理の後であれば、どのような順序で実行してもよい。
上述したステップS332、ステップS333、ステップS335、ステップS336及びステップS337の処理で着目したいずれの観点についても、区切りポイントが検出できないと判断した場合に、プロセッサ21は、ステップS338の処理を実行する。
ステップS338において、プロセッサ21は、区切りポイントを発見しない旨を探索結果として出力し、図15に示したステップS317の処理に進む。
一方、ステップS332、ステップS333、ステップS335、ステップS336及びステップS337のいずれかの肯定判定の場合に、プロセッサ21は、それぞれの観点から区切りポイントを検出したと判断し、ステップS339の処理を実行する。
ステップS339において、プロセッサ21は、検出した区切りポイントを示す情報として、例えば、区切りポイントとして検出された時刻を特定する情報を探索結果として出力し、図15に示したステップS317の処理に進む。
上述のステップS331〜ステップS339の処理をプロセッサ21が実行することにより、メモリ22に設けられた蓄積部121に蓄積された測定データから、様々な観点に着目した区切りポイントを漏れなく検出することができる。なお、上述のステップS335〜ステップS337の処理で用いる閾値は、図17及び図19を用いて後述する集約装置2の処理により、計測装置10の運用中にも変更することが可能である。
次に、図17から図19を用いて、図14に示した集約装置2の動作を説明する。集約装置2は、遠隔計測モードで動作する計測装置10から収集した測定データから計測結果を求める処理と、自律計測モードで動作する計測装置10から計測結果の報告を受ける処理と、計測結果を表示するとともに分析する処理とを並行して実行してもよい。
図17は、図14に示した集約装置2の動作を示す。図17に示したステップS341〜ステップS347の各処理は、計測結果を集約する処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理のうち、自律計測モードで動作する計測装置10から計測結果の報告を受ける処理の一例である。また、これらのステップS341〜ステップS347の各処理は、サーバ装置30に含まれるプロセッサ31によって実行される。
ステップS341において、プロセッサ31は、ネットワークインタフェース34を介して、計測装置10のいずれかによって送信された情報を受信する。
ステップS342において、プロセッサ31は、ステップS341で受信した情報が、計測を開始する旨の通知か否かを判定する。計測を開始する旨の通知を受信した場合に(ステップS342の肯定判定(NO))、プロセッサ31は、ステップS343の処理を実行する。
ステップS343において、プロセッサ31は、ハードディスク装置33などに設けた装置情報データベース103及び計測結果蓄積部104に、ステップS341で受信した情報の発信元の計測装置10を登録する。例えば、プロセッサ31は、発信元の計測装置10に、計測システム100内で一意の装置番号を割り当て、割り当てた装置番号に対応して、装置情報データベース103及び計測結果蓄積部104への登録を行ってもよい。また、プロセッサ31は、割り当てた装置番号及び自律計測モードと遠隔計測モードとの一方を指定する情報を含む設定パラメータを、ネットワークインタフェース34を介して、発信元の計測装置10に送出する。プロセッサ31は、装置情報データベース103及び計測結果蓄積部104に登録されている計測装置10の数などに基づいて、自律計測モードと遠隔計測モードとのどちらを新たに登録した計測装置10に通知するかを決定してもよい。例えば、登録済みの計測装置10の数が所定数よりも少ない場合に、新たに登録する計測装置10に遠隔計測モードで計測を行う旨を指示し、計測装置10の数が所定数よりも多い場合に、自律計測モードで計測を行う旨を指示してもよい。なお、プロセッサ31は、計測装置10に送出した設定パラメータを示す情報を、装置情報データベース103に、装置番号に対応して保持することが望ましい。ステップS343の処理の終了後に、プロセッサ31は、ステップS347の処理に進む。
一方、ステップS341で受信した情報が、計測を開始する旨の通知でない場合に(ステップS342の否定判定(NO))、プロセッサ31は、ステップS344の処理を実行する。
ステップS344において、プロセッサ31は、受け取った情報が、登録済みの計測装置10からの計測結果の報告であるか否かを判定する。受け取った情報が、登録済みの計測装置10からの計測結果を含んでいない場合に(ステップS344の否定判定(NO))、プロセッサ31は、ステップS345の処理に進む。
ステップS345において、プロセッサ31は、エラー処理として、ステップS341で受信した情報を破棄し、その後、ステップS347の処理に進む。
一方、登録済みの計測装置10からの計測結果を受信した場合に(ステップS344の肯定定判定(YES))、プロセッサ31は、ステップS346の処理を実行する。
ステップS346において、プロセッサ31は、ハードディスク装置33などに設けられた計測結果蓄積部104の装置番号に対応する領域に、受信した計測結果を蓄積し、その後、ステップS347の処理に進む。
ステップS347において、プロセッサ31は、計測を終了するか否かを判定する。例えば、図14に示したサーバ装置30の管理者などによって、計測システム100の運用を停止する旨を示す指示が入力された場合などに、プロセッサ31は、計測の終了が指示されたと判断する(ステップS347の肯定判定(YES))。この場合に、プロセッサ31は、計測結果の報告を受ける処理を終了する。
一方、計測システム100の運用を停止する旨を示す指示などが入力されない場合に(ステップS347の否定判定(NO))、プロセッサ31は、ステップS341の処理に戻り、新たな計測装置10の登録あるいは登録済みの計測装置10からの報告を待ち受ける。
図18は、図14に示した集約装置2の動作を示す。図18に示したステップS351〜ステップS359の各処理は、計測結果を集約する処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理のうち、遠隔計測モードで動作する計測装置10から測定データを収集する処理の一例である。
図18に示したステップS351〜ステップS359の各処理は、サーバ装置30に含まれるプロセッサ31によって、例えば、10分から20分程度の所定の時間間隔で実行される。なお、プロセッサ31が、ステップS351〜ステップS359の各処理を実行する時間間隔は、例えば、サーバ装置30の処理負荷の大きさや、通信回線の輻輳の程度などに応じて、上述した例よりも長い時間あるいは短い時間に設定されてもよい
ステップS351において、プロセッサ31は、ハードディスク装置33などに設けられた装置情報データベース103を参照し、設定パラメータの一部として、遠隔計測モードが指示された旨の情報が保持された計測装置10を特定する。
ステップS352において、プロセッサ31は、ステップS351の処理で特定した計測装置10のうち一つを注目装置として選択する。プロセッサ31は、例えば、ステップS351の処理で特定した計測装置10の中から、割り当てられた装置番号が若い順に、注目装置を選択してもよい。
ステップS353において、プロセッサ31は、ネットワークインタフェース34を介して、ステップS352で選択した注目装置に対してデータ送信要求を送出し、注目装置からの応答として返される測定データを収集する。プロセッサ31は、収集した測定データを、注目装置を示す装置番号に対応付けて、装置情報データベース103に蓄積してもよい。なお、ステップS353の処理の過程で、例えば、所定時間が経過しても注目装置から測定データを含む応答が返されない場合などに、プロセッサ31は、注目装置との間の伝送経路を切断するなどのエラー処理を行ってもよい。
ステップS354において、プロセッサ31は、図15に示したステップS316と同様にして、装置情報データベース103に蓄積された測定データに基づいて、区切りポイントを探索する。プロセッサ31は、ステップS354の処理を、図16に示したステップS331〜ステップS339の処理を実行することによって実現してもよい。
ステップS355において、プロセッサ31は、ステップS354の処理で、区切りポイントが検出されたか否かを判定する。区切りポイントが検出されなかった場合に(ステップS355の否定判定(NO))、プロセッサ31は、ステップS356の処理に進む。一方、区切りポイントが検出された場合に(ステップS355の肯定判定(YES))、プロセッサ31は、ステップS356〜ステップS358の処理を実行する。
ステップS356において、プロセッサ31は、図15に示したステップS318と同様にして、検出した区切りポイントに対応する区間について、線量率を算出する。
ステップS357において、プロセッサ31は、ステップS356で算出した線量率を含む計測結果を、注目装置を示す装置番号に対応付けて、ハードディスク装置33などに設けられた計測結果蓄積部104に蓄積する。プロセッサ31は、図10を用いて説明したように、注目装置による計測結果として、算出した線量率とともに線量率を算出した区間を示す情報を、注目装置を示す装置番号に対応付けて上述の計測結果蓄積部104に蓄積してもよい。
ステップS358において、プロセッサ31は、注目装置に対応して装置情報データベース103に蓄積された全ての測定データからの区切りポイントの探索が完了したかを判定する。未探索の測定データが残っている場合に(ステップS358の否定判定(NO))、プロセッサ31は、ステップS354の処理に戻り、直近に検出された区切りポイントに対応する時刻以降の時刻に対応して蓄積された測定データについての探索処理を再開する。
一方、注目装置に対応して蓄積された全ての測定データについての処理が完了した場合に(ステップS358の肯定判定(YES))、プロセッサ31は、ステップS359の処理に進む。
ステップS359において、プロセッサ31は、ステップS351の処理で特定された全ての計測装置10を注目装置として選択したかを判定する。未選択の計測装置10がある場合に(ステップS359の否定判定(NO))、プロセッサ31は、ステップS352の処理に戻り、未選択の計測装置10の一つを注目装置として選択し、選択した注目装置にについて、ステップS353以降の処理を実行する。
一方、ステップS351の処理で特定された全ての計測装置10が既に注目装置として選択されていた場合に(ステップS359の肯定判定(YES))、プロセッサ31は、遠隔計測モードが設定された計測装置10から測定データを収集する処理を終了する。
プロセッサ31が、図17に示した各ステップの処理と並行して、図18に示した各ステップの処理を所定時間毎に実行することで、自律計測モードで動作する計測装置10と遠隔計測モードで動作する計測装置10とを混在させた計測システムを実現できる。
図19は、図14に示した集約装置2の動作を示す。図19に示したステップS361〜ステップS371の各処理は、計測結果を集約する処理のためのアプリケーションプログラムに含まれる処理のうち、計測結果の表示及び分析のための処理の一例である。図19に示したステップS361〜ステップS371の各処理は、サーバ装置30に含まれるプロセッサ31によって、例えば、予め設定された所定の時間間隔で実行されてもよい。
ステップS361において、プロセッサ31は、例えば、装置番号順に計測装置10を選択し、選択した計測装置10に対応して、上述の計測結果蓄積部104に新たに蓄積された計測結果を抽出する。プロセッサ31は、例えば、以前に計測結果の表示及び分析のための処理を実行した後に、上述した計測結果蓄積部104に追加された計測結果を、新たな計測結果として抽出してもよい。
ステップS362において、プロセッサ31は、ステップS361の処理で抽出した計測結果のそれぞれに含まれる位置情報に基づいて、計測結果が取得された際に計測装置10が移動した移動経路を示す地図上の軌跡を特定する。プロセッサ31は、ステップS362の処理の過程で、計測結果に含まれる位置情報に基づいて、ネットワークインタフェース34を介して、図14に示した地図情報サーバMAPから計測結果に対応する地図上の軌跡を含む範囲の地図データを取得してもよい。また、プロセッサ31は、計測結果に含まれる位置情報と、地図データに含まれる道路などの位置情報とを照合することで、計測装置10の移動経路に対応する道路などを見つけ、見つけた道路などを地図上の軌跡として特定してもよい。
例えば、計測結果に含まれる位置情報で示される移動経路の始点及び終点の双方を含む道路を見つけた場合に、プロセッサ31は、見つけた道路を、計測装置10が処理対象の計測結果を取得する過程で移動した移動経路を示す地図上の軌跡として特定する。また、静止状態で取得された計測結果に含まれる位置情報に基づいて、プロセッサ31は、地図上のサービスエリアなどの施設を特定し、特定した施設などを、計測結果が取得された際の計測装置10の所在地として特定してもよい。
上述のステップS362の処理で特定された地図上の軌跡に基づいて、プロセッサ31は、ステップS363の処理及びステップS364〜ステップS371の処理を実行する。なお、プロセッサ31は、上述のステップS363の処理と、ステップS364〜ステップS371の処理とを、図19に示した順序とは逆の順序で実行してもよい。
ステップS363において、プロセッサ31は、ステップS361の処理で抽出した計測結果のそれぞれに含まれる線量率を地図上の軌跡と対応付けて表示するための表示情報を生成し、生成した表示情報を利用して、計測結果を利用者に提示する。プロセッサ31は、例えば、取得した地図データにおいて、計測結果に対応して特定された地図上の軌跡を表す線分を表示する際に用いる属性情報を、線量率に基づいて変更することで、線量率を地図上に表示するための表示情報を生成してもよい。例えば、プロセッサ31は、図5に示したように、地図データにおいて、上述のステップS362の処理で特定された道路を表す線分の太さや表示色を変更することで、計測で得られた線量率を地図上に表示するための表示情報を生成してもよい。また、静止状態で得られた線量率を含む計測結果について、プロセッサ31は、位置情報から特定した地図上の地点に、線量率を示す大きさの円などを表す表示情報を追加することで、線量率を地図上に表示するための表示情報を生成してもよい。
また、プロセッサ31は、ネットワークインタフェース34の機能を用いて、図14に示したウェブサーバWBSに生成した表示情報を送出し、ウェブサーバWBSにより、ネットワーク上で計測結果を示す表示情報を公開することで、計測結果を周知させてもよい。
上述のステップS362及びステップS363の処理をプロセッサ31が実行することにより、図14に示した各計測装置10で得られた計測結果を、地図上の道路などに対応付けることで、様々な地域に分散して得られた計測結果を集約して表示することができる。すなわち、図14に示したプロセッサ31が、図17および図18に示したようにして計測結果を収集し、上述のステップS362,S363の処理を実行することにより、図1、図8及び図11に示した集約装置2の機能を実現することができる。
また、図14に示した計測システム100に含まれる計測装置10のいずれかによって過去に取得された計測結果やモニタリングシステムMONで得られる固定地点の計測結果に基づいて、新たに得られた計測結果を分析することも可能である。
図19に示したステップS364〜ステップS371の処理は、ステップS361の処理で抽出した新たな計測結果を分析する処理の一例である。
ステップS364において、プロセッサ31は、地図データに基づいて、ステップS362の処理で、計測結果のそれぞれに対応付けられた地図上の軌跡の近傍に設置されたモニタリングポストがあるか否かを判定する。例えば、プロセッサ31は、計測結果に対応して特定された地図上の軌跡の少なくとも一部が、モニタリングポストのいずれかを中心とする所定の半径の円に含まれているか否かに基づいて、上述のステップS364の判定を行ってもよい。なお、モニタリングポストのそれぞれに対応する位置情報は、図14に示したモニタリングシステムMONから、予め取得しておいてもよい。
ステップS362の処理で特定された地図上の軌跡の一部が、上述の範囲に含まれている場合に(ステップS364の肯定判定(YES))、プロセッサ31は、ステップS365の処理を実行する。
ステップS365において、プロセッサ31は、近傍にあるとされたモニタリングポストで得られた線量率と処理対象の計測結果に含まれる線量率との差分から、処理対象の計測装置10による計測結果に適用する補正値を求め、設定パラメータに反映する。プロセッサ31は、例えば、モニタリングシステムMONに対して問い合わせを行うことで、ステップS364の処理で近傍にあるとされたモニタリングポストで得られた線量率を示す情報を取得することができる。ここで、モニタリングポストで得られる線量率は、個人向けに市販されている線量計などで得られる線量率に比べて精度が高い。したがって、モニタリングポストで得られた線量率を基準として補正値を求めることで、本件開示の計測装置10で得られる計測結果をモニタリングポストで得られる計測結果の精度に近づけることができる。なお、プロセッサ21は、モニタリングポストで得られた線量率と計測結果に含まれる線量率との差分を求める際に、例えば、計測結果に含まれる線量率の単位をモニタリングポストで得られる線量率の単位にあわせる変換処理を行うことが望ましい。また、プロセッサ31は、求めた補正値を、処理対象の計測装置10に対応する設定パラメータの一部として、装置情報データベース103に格納してもよい。ステップS365の処理の終了後に、プロセッサ31は、ステップS366の処理に進む。
一方、ステップS362の処理で特定された地図上の軌跡が、上述の範囲に含まれていない場合に(ステップS364の否定判定(NO))、プロセッサ31は、ステップS365の処理を行わずに、ステップS366の処理に進む。
ステップS366において、プロセッサ31は、それまでに蓄積された計測結果に含まれる静止状態で得られた計測結果の中に、処理対象の計測結果のいずれかについて特定された地図上の軌跡の近傍で得られた計測結果があるか否かを判定する。プロセッサ31は、ステップS366の処理に、それまでに得られた全ての計測結果を地図上の位置と対応付けて示す表示情報を用いてもよい。例えば、プロセッサ31は、上述の表示情報に基づいて、処理対象の計測結果に対応付けられた地図上の軌跡から所定の範囲内に、静止状態での計測で得られたことを示す属性情報を持つ図形があるか否かに基づいて、ステップS366の判定処理を行ってもよい。
処理対象の計測結果が取得された地図上の軌跡の近傍において、以前に静止状態で得られた計測結果が見つかった場合に(ステップS366の肯定判定(YES))、プロセッサ31は、ステップS367及びステップS368の処理を実行する。
ステップS367において、プロセッサ31は、上述のステップS366の処理を実行する過程で見つけた計測結果に含まれる線量率と、処理対象の計測結果に含まれる線量率とを比較し、差分が所定の閾値以上であるか否かを判定する。
ステップS367の処理で比較された二つの線量率の差分が閾値以上である場合に(ステップS367の肯定判定(YES))、プロセッサ31は、ステップS368の処理を実行する。
ここで、移動状態での計測結果と静止状態での計測結果との間の差分が、例えば、平均的な環境放射線量の2倍程度に設定した閾値以上である場合に、移動状態での計測の過程で移動した範囲の近傍に、局所的に線量率が変動している箇所がある可能性がある。一方、局所的に線量率が変動している箇所の近傍において計測を移動状態で行う場合でも、例えば、区切りポイントを頻繁に設けることで、個々の区間における移動範囲を小さくすれば、局所的な線量率の変動を反映した計測結果を取得できる可能性がある。
ステップS368において、プロセッサ31は、処理対象の計測装置10に対応する設定パラメータの中で、図16のステップS335〜ステップS337に示した区切りポイントを検出する処理に用いる閾値のそれぞれを、それまでよりも小さい値に変更する。例えば、移動距離に着目した区切りポイントや移動状態の継続時間に着目した区切りポイントを検出する処理で用いる閾値をそれまでの半分程度の値に変更すれば、それまでの半分程度の距離に対応する区間毎に計測結果を取得することができる。なお、プロセッサ31は、ハードディスク装置33などに設けられた装置情報データベース103において、処理対象の計測装置10に対応して保持された設定パラメータに含まれる閾値を変更することで、ステップS368の処理を行ってもよい。
上述のステップS368の処理が終了した後と、ステップS367の否定判定(NO)の場合、そして、上述のステップS366の否定判定(NO)の場合に、プロセッサ31は、ステップS369の処理に進む。
ステップS369において、プロセッサ31は、上述のステップS364〜ステップS368の処理を実行した過程で、処理対象の計測装置10に対応して装置情報データベース103に保持された設定パラメータを更新したか否かを判定する。
ステップS365の処理で補正値を設定パラメータに追加した場合と、ステップS368の処理で、区切りポイントを検出する処理に用いる閾値を変更した場合に、プロセッサ31は、設定パラメータを更新したと判断する(ステップS369の肯定判定(YES))。そして、この場合に、プロセッサ31は、ステップS370の処理を実行する。
ステップS370において、プロセッサ31は、更新した設定パラメータが対応付けられている計測装置10を宛先として、更新された設定パラメータをネットワークNWに送出し、計測装置10に通知する。
上述のステップS370の処理が終了した後及びステップS369の否定判定(NO)の場合に、プロセッサ31は、ステップS371の処理に進む。
ステップS371において、プロセッサ31は、全ての計測装置10について、上述のステップS361〜ステップS370の処理を実行したか否かを判定する。
未処理の計測装置10がある場合に(ステップS371の否定判定(NO))、プロセッサ31は、ステップS361の処理に戻り、未処理の計測装置10の中から選択した計測装置100で新たに得られた計測装置についての処理を実行する。
その後、全ての計測装置10についての処理が完了した場合に(ステップS371の肯定判定(YES))、プロセッサ31は、計測結果を地図上に表示するための処理及び計測結果を分析する処理を終了する。
上述のステップS364〜ステップS370の処理をプロセッサ31が実行することで、モニタリングポストによって得られる線量率や、本件開示の計測システム100により過去に得られた線量率を用いて、計測装置10の設定パラメータを調整することができる。
また、図14〜図19を用いて説明したように、本件開示の計測システム100は、複数の携帯端末20とサーバ装置30とをネットワークNWを介して接続することによって実現可能である。スマートフォンやタブレット型のパーソナルコンピュータなどの携帯端末は、近年、広く普及しているので、携帯端末を用いて本件開示の計測装置10を実現したことで、多数の利用者がそれぞれの移動の過程における線量率の自動計測を可能とすることができる。これにより、個人や有志の団体などが、可搬型の線量計を用いて観測地点毎に計測を行う場合に比べて、広い地域にわたって分布するさまざまな移動経路における線量率の計測が可能とり、得られた膨大な計測結果を容易に集積することができる。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点及び利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で、前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更を容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。