JP2014190694A - 抗アレルゲン性能の測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
被験製品のスギ花粉由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能を測定する方法であって、スギ花粉由来のアレルゲンを含有する試験液を、被験製品の被測定面に供給する第1工程、試験液を供給した被験製品の被測定面を、少なくとも一の表面に両性イオン基を有する被覆部材を用いて、前記両性イオン基を有する面が前記被測定面と対向するよう覆い、試験液に含まれるスギ花粉由来のアレルゲンを被測定面に一定時間接触させる第2工程、及び接触後の試験液を回収し、接触後の試験液中のスギ花粉由来のアレルゲンの抗原性を測定する第3工程、を含むことを特徴とする、抗アレルゲン性能の測定方法。
【選択図】なし
Description
項1. 被験製品のスギ花粉由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能を測定する方法であって、
スギ花粉由来のアレルゲンを含有する試験液を、前記被験製品の被測定面に供給する第1工程、
前記試験液を供給した前記被験製品の被測定面を、少なくとも一の表面に両性イオン基を有する被覆部材を用いて、前記両性イオン基を有する面が前記被測定面と対向するよう覆い、前記試験液に含まれるスギ花粉由来のアレルゲンを前記被測定面に一定時間接触させる第2工程、及び
前記接触後の試験液を回収し、前記接触後の試験液中のスギ花粉由来のアレルゲンの抗原性を測定する第3工程、
を含むことを特徴とする、抗アレルゲン性能の測定方法。
項2. 前記両性イオン基が、ホスホベタイン基、カルボキシベタイン基、及びスルホベタイン基からなる群から選択された少なくとも1種である、項1に記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
項3. 前記両性イオン基が、ホスホリルコリン基である、項1または2に記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
項4. 前記被覆部材は、両性イオン基を有するポリマーで表面処理された被覆部材である、項1〜3のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
項5. 前記第3工程におけるスギ花粉由来のアレルゲンの抗原性の測定が酵素免疫法により行われる、項1〜4のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
項6. 前記被覆部材が、プラスチックまたはガラスにより構成されている、項1〜5のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
項7. 前記被覆部材が、フィルム状またはシート状である、項1〜6のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
項8. 前記被験製品が建材、又はプラスチック、ゴム、及びセラミックスよりなる群から選択された少なくとも1種を構成素材として含む板状部材である、項1〜7のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
項9. 前記被験製品が、その表面の少なくとも一部に抗アレルゲン剤を含有している、項1〜8のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
項10. 前記被験製品が、少なくとも基材層と表面層を含み、当該表面層が抗アレルゲン剤及び樹脂を含む樹脂組成物により形成されている積層体である、項1〜9のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
(1)スギ花粉由来のアレルゲンを含有する試験液を、被験製品の被測定面に供給する第1工程、
(2)試験液を供給した被験製品の被測定面を、少なくとも一の表面に両性イオン基を有する被覆部材を用いて、前記両性イオン基を有する面が前記被測定面と対向するよう覆い、試験液に含まれるスギ花粉由来のアレルゲンを被測定面に一定時間接触させる第2工程、及び
(3)接触後の試験液を回収し、接触後の試験液中のスギ花粉由来のアレルゲンの抗原性を測定する第3工程。
以下、本発明の測定方法について詳述する。
被験製品とは、本発明の測定方法においてスギ花粉由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能(以下、「スギ花粉由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能」を単に「抗アレルゲン性能」と表記することがある)の測定対象となる製品である。本発明の測定方法は、スギ花粉由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン剤(以下、「スギ花粉由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン剤」を単に「抗アレルゲン剤」と表記することがある)の添加の有無に拘わらず、被験製品の抗アレルゲン性能を評価できる。よって、本発明の測定方法に適用される被験製品は、スギ花粉由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン剤を含有している製品(以下、「スギ花粉由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン剤を含有している製品」を単に「抗アレルゲン剤含有製品」と表記することがある)、抗アレルゲン剤を含有していない製品、又は抗アレルゲン剤の含有の有無が不明な製品のいずれであってもよい。抗アレルゲン剤含有製品を被験製品とする場合には、当該製品の抗アレルゲン性能の優劣を定性的又は定量的に測定することができる。また、抗アレルゲン剤が添加されていない製品又は抗アレルゲン剤の添加の有無が不明な製品を被験製品とする場合には、当該製品の抗アレルゲン性能の有無ないし優劣を定性的又は定量的に測定することができる。
第1工程では、アレルゲンを含有する試験液を、被験製品の被測定面に供給する。
第2工程では、試験液を供給した被験製品の被測定面を、少なくとも一の表面に両性イオン基を有する被覆部材を用いて、前記両性イオン基を有する面が前記被測定面と対向するよう覆い、試験液に含まれるスギ花粉由来のアレルゲンを被測定面に一定時間接触させる。本発明においては、被測定面を、表面に両性イオン基を有する被覆部材で覆うことにより、試験液に含まれるスギ花粉由来のアレルゲンが被測定面と安定的に接触して抗アレルゲン反応を受ける。
第3工程では、試験液を回収し、試験液中のアレルゲンの抗原性を測定する。
1.実験材料
被験製品
[被験製品1]
被験製品1として、基材層/プライマー層/抗アレルゲン剤を含む表面保護層が順に積層された積層シート(5cm×5cmの四角形)を、常法に従って製造したものを使用した。なお、当該被験製品1における基材層は、厚さ60μmの透明ポリプロピレンフィルムに対して、厚さ80μmの着色ポリエチレンを押し出して形成した複層シート(厚さ140μm)を用いた。また、当該被験製品1におけるプライマー層は、「EBRプライマー」(DICグラフィックス株式会社製)で塗工量1.5g/m2として形成した。更に、当該被験製品1における表面保護層は、数平均分子量1200の4官能ウレタンアクリレートオリゴマー100質量部、抗アレルゲン剤(「アレルバスター、積水ポリマテック株式会社製)7質量部、及び平均粒径5μmの不定形シリカ16質量部を含む電離放射線硬化性樹脂組成物を、塗工量15g/m2として形成後、電子線(加速電圧165kV、照射量30kGy)を照射することで硬化させることにより形成した。
[被験製品2]
被験製品2として、基材層/プライマー層/抗アレルゲン剤を含まない表面保護層が順に積層された積層シートを、常法に従って製造したものを使用した。当該被験製品2の各層の組成、厚さ、形状、大きさ等については、表面保護層に抗アレルゲン剤を含まないこと以外は、被験製品1と同様である。
[被覆部材1]
被覆部材1として、角カバーグラス(松浪ガラス工業株式会社製、寸法30mm×40mm、厚さ120−170μm)を使用した。角カバーグラスを0.5質量%のリピジュア(登録商標)−CM5206(日油株式会社製)を含むエタノール溶液中に浸漬し、角カバーグラスの表面を、両性イオン基を有するポリマーで表面処理した。
[被覆部材2]
被覆部材2として、ポリエチレンフィルム(寸法30mm×40mm、厚さ130μm)を使用した。ポリエチレンフィルムを0.5質量%のリピジュア(登録商標)−CM5206(日油株式会社製)を含むエタノール溶液中に浸漬し、ポリエチレンフィルムの表面を、両性イオン基を有するポリマーにより表面処理した。
[被覆部材3]
被覆部材3として、ポリエチレンフィルム(寸法30mm×40mm、厚さ130μm)を使用した。ポリエチレンフィルムの表面処理は行わなかった。
[被覆部材4]
被覆部材4として、角カバーグラス(松浪ガラス工業株式会社製、寸法30mm×40mm、厚さ120−170μm)を使用した。角カバーグラスの表面処理は行わなかった。
[試験液1]
アレルゲン含有試験液1として、スギ花粉粗抽出液(東京環境アレルギー研究所)をCryj1アレルゲン濃度が5ng/mLとなるようにリン酸緩衝液(「Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline D8537」、シグマアルドリッチジャパン株式会社製)に溶解した試験液を使用した。
[試験液2]
アレルゲン含有試験液2として、ダニ粗抽出液(東京環境アレルギー研究所)をDerf1アレルゲン濃度が15ng/mLとなるようにリン酸緩衝液(「Dulbecco’s Phosphate Buffered Saline D8537」、シグマアルドリッチジャパン株式会社製)に溶解した試験液を使用した。
[実施例1]
抗アレルゲン剤含有被験製品のスギ花粉由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能の測定
被験製品1、被覆部材1、及び試験液1を使用して、抗アレルゲン性能を測定した。具体的には、以下の方法で抗アレルゲン性能を測定した。
被験製品1の表面保護層の上に試験液1を0.2ml滴下した。その上に、被覆部材1を被せて、被覆部材1の全面に液状試料が均一に広がる状態にして、被験製品1の表面保護層と被覆部材1との間に液状試料を挟持させた。この状態で、20℃、相対湿度90%で3時間静置し、抗アレルゲン反応を進行させた。次いで、ピペットを用いて試験液を回収し、Cryj1 ELISAキット(ニチニチ製薬株式会社製)を用いてアレルゲンCryj1量を定量した。
被験製品2、被覆部材1、及試験液1を使用して、抗アレルゲン性能を測定した。具体的には、被験製品1の代わりに、被験製品2を使用したこと以外は、上記抗アレルゲン剤含有被験製品の場合と同様条件で抗アレルゲン性能の測定を行った。
抗アレルゲン剤含有被験製品のスギ花粉由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能の測定
被験製品1、被覆部材2、及び試験液1を使用して、抗アレルゲン性能を測定した。具体的には、被覆部材1の代わりに、被覆部材2を使用したこと以外は、実施例1の抗アレルゲン剤含有被験製品の場合と同様条件で抗アレルゲン性能の測定を行った。
被験製品2、被覆部材2、及び試験液1を使用して、抗アレルゲン性能を測定した。具体的には、被験製品1及び被覆部材1の代わりに、被験製品2及び被覆部材2を使用したこと以外は、実施例1の抗アレルゲン剤含有被験製品の場合と同様条件で抗アレルゲン性能の測定を行った。
抗アレルゲン剤含有被験製品のスギ花粉由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能の測定
被験製品1、被覆部材3、及び試験液1を使用して、抗アレルゲン性能を測定した。具体的には、被覆部材1の代わりに、被覆部材3を使用したこと以外は、実施例1の抗アレルゲン剤含有被験製品の場合と同様条件で抗アレルゲン性能の測定を行った。
被験製品2、被覆部材3、及び試験液1を使用して、抗アレルゲン性能を測定した。具体的には、被験製品1及び被覆部材1の代わりに、被験製品2及び被覆部材3を使用したこと以外は、実施例1の抗アレルゲン剤含有被験製品の場合と同様条件で抗アレルゲン性能の測定を行った。
抗アレルゲン剤含有被験製品のダニ由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能の測定
被験製品1、被覆部材1、及び試験液2を使用して、ダニ由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能を測定した。具体的には、試験液1の代わりに、試験液2を使用し、Derf1 ELISAキット(ニチニチ製薬株式会社製)を用いてアレルゲンDerf1量を定量したこと以外は、実施例1の抗アレルゲン剤含有被験製品の場合と同様条件で抗アレルゲン性能の測定を行った。
被験製品2、被覆部材1、及び試験液2を使用して、ダニ由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能を測定した。具体的には、被験製品1及び試験液1の代わりに、被験製品2及び試験液2を使用し、Derf1 ELISAキット(ニチニチ製薬株式会社製)を用いてアレルゲンDerf1量を定量したこと以外は、実施例1の抗アレルゲン剤不含有被験製品の場合と同様条件で抗アレルゲン性能の測定を行った。
抗アレルゲン剤含有被験製品のダニ由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能の測定
被験製品1、被覆部材4、及び試験液2を使用して、ダニ由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能を測定した。具体的には、被覆部材1及び試験液1の代わりに、被覆部材4及び試験液2を使用し、Derf1 ELISAキット(ニチニチ製薬株式会社製)を用いてアレルゲンDerf1量を定量したこと以外は、実施例1の抗アレルゲン剤含有被験製品の場合と同様条件で抗アレルゲン性能の測定を行った。
被験製品2、被覆部材4、及び試験液2を使用して、ダニ由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能を測定した。具体的には、被験製品1、被覆部材1、及び試験液1の代わりに、被験製品2、被覆部材4、及び試験液2を使用し、Derf1 ELISAキット(ニチニチ製薬株式会社製)を用いてアレルゲンDerf1量を定量したこと以外は、実施例1の抗アレルゲン剤不含有被験製品の場合と同様条件で抗アレルゲン性能の測定を行った。
実施例1〜2及び比較例1で得られた結果を表1に示す。これらの結果から、表面に両性イオン基を有する被覆部材を用いた場合には、測定値のバラツキが少なく、被験製品のスギ花粉由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能を高精度に測定できることが明らかとなった(実施例1及び2)。一方、表面に両性イオン基を有する被覆部材を用いなかった場合(比較例1)、測定値のバラツキが大きくなり、被験製品の抗アレルゲン性能を正確に測定できていなかった。また、抗アレルゲン剤不含有被験製品に対する評価において、表面に両性イオン基を有する被覆部材を用いた場合(実施例1及び2)に比べ、表面に両性イオン基を有さない被覆部材を用いた場合(比較例1)には、試験後に残ったアレルゲン量Xiの各値が明らかに低く測定されていた。比較例1では、抗アレルゲン性能を有さない製品を用いたにも関わらず、一定のアレルゲン低減効果を発現しているような結果となってしまっていることから、比較例1の試験結果は信頼性に劣るものであった。
Claims (10)
- 被験製品のスギ花粉由来のアレルゲンに対する抗アレルゲン性能を測定する方法であって、
スギ花粉由来のアレルゲンを含有する試験液を、前記被験製品の被測定面に供給する第1工程、
前記試験液を供給した前記被験製品の被測定面を、少なくとも一の表面に両性イオン基を有する被覆部材を用いて、前記両性イオン基を有する面が前記被測定面と対向するよう覆い、前記試験液に含まれるスギ花粉由来のアレルゲンを前記被測定面に一定時間接触させる第2工程、及び
前記接触後の試験液を回収し、前記接触後の試験液中のスギ花粉由来のアレルゲンの抗原性を測定する第3工程、
を含むことを特徴とする、抗アレルゲン性能の測定方法。 - 前記両性イオン基が、ホスホベタイン基、カルボキシベタイン基、及びスルホベタイン基からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項1に記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
- 前記両性イオン基が、ホスホリルコリン基である、請求項1または2に記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
- 前記被覆部材は、両性イオン基を有するポリマーで表面処理された被覆部材である、請求項1〜3のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
- 前記第3工程におけるスギ花粉由来のアレルゲンの抗原性の測定が酵素免疫法により行われる、請求項1〜4のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
- 前記被覆部材が、プラスチックまたはガラスにより構成されている、請求項1〜5のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
- 前記被覆部材が、フィルム状またはシート状である、請求項1〜6のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
- 前記被験製品が建材、又はプラスチック、ゴム、及びセラミックスよりなる群から選択された少なくとも1種を構成素材として含む板状部材である、請求項1〜7のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
- 前記被験製品が、その表面の少なくとも一部に抗アレルゲン剤を含有している、請求項1〜8のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
- 前記被験製品が、少なくとも基材層と表面層を含み、当該表面層が抗アレルゲン剤及び樹脂を含む樹脂組成物により形成されている積層体である、請求項1〜9のいずれかに記載の抗アレルゲン性能の測定方法。
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WO2018092772A1 (ja) * | 2016-11-17 | 2018-05-24 | 東亞合成株式会社 | 抗アレルゲン性評価方法及びこの方法で用いる試験液並びに抗アレルゲン加工製品の製造方法 |
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