JP2014188844A - 印刷装置および印刷方法 - Google Patents

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拓司 加藤
Yasuyuki Wada
康之 和田
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Abstract

【課題】高粘度の印刷材料であっても、スループットを低下させることなく印刷処理を可能な印刷技術を提供することを目的とする。
【解決手段】印刷装置1では、第1塗布工程に先立って加熱部111を能動化することで、スリットノズル11の内部流路IRを流れる印刷材料Pを加熱し、第1塗布工程時の印刷材料Pの粘度を低下しておく。これにより、インキングローラ12を比較的速く回転した場合であってもその外周面12bに均一性の高い塗布膜P1を形成することができる。印刷処理における版胴14の回転動作およびステージ22の移動動作はインキングローラ12の回転動作と同期されているので、印刷材料Pの加熱によって第1塗布工程時におけるインキングローラ12の回転速度を速めることで、版胴の回転速度およびステージの移動速度も合わせて速めることができ、スループットの向上につながる。
【選択図】図2

Description

本発明は、基板に所定のパターンを形成する技術に関する。特に、印刷版から有機ELディスプレイ用基板、有機EL照明用基板、カラーフィルタ用基板、太陽電池用基板又は各種電子デバイス用基板など(以下、単に「基板」と呼ぶ)に印刷材料が転写されることで、基板上にパターンを形成する印刷装置及び印刷方法に関する。
有機ELデバイスが照明又はディスプレイに利用される機会が増えてきている。有機EL材料は、ポリマー状の分子を用いた高分子材料とそれ以外の分子を用いた低分子材料とに分けられる。いずれの発光材料も下地膜の制約などからフォトリソグラフィ法を用いたパターン形成が困難である。従って、低分子材料を用いたパターン形成は、基板上に低分子材料を真空蒸着させる方法を用いて行われる。また、高分子材料を用いたパターン形成は、凸版印刷法、又は凹版印刷法などの各種印刷法を用いて行われる。
例えば、特許文献1に記載の印刷装置は、長尺状の吐出口を有し、所定の供給源から供給される印刷材料(例えば、有機ELの高分子発光材料)を吐出口より吐出するスリットノズルと、スリットノズルより吐出される印刷材料をその外周面に塗布されるインキングローラと、外周面に印刷版を装着しインキングローラより当該印刷版に塗布液を供給される版胴と、印刷対象の基板を保持するステージを版胴に対して相対的に移動させるステージ移動機構と、を有する。
この種の印刷装置では、スリットノズルから塗布液を供給した状態で、インキングローラの回転動作、版胴の回転動作、ステージ移動機構によるステージの移動動作を同期するように制御部によって各部を制御することにより、ステージ上に保持される基板に印刷版が押し当てられ、印刷版に形成される印刷パターンに沿って印刷材料が基板上に転写される。
具体的には、スリットノズルからインキングローラに印刷材料を供給する際には、インキングローラはスリットノズルの長手方向に伸びる軸周りに一定速度で回転しており、これによってインキングローラの外周面に均一な塗布膜が形成される。
版胴は、その外周面に装着される印刷版がインキングローラの上記塗布膜と接触する位置に、インキングローラと平行に設けられる。このため、インキングローラと版胴とが同期して回転されることで、インキングローラから印刷版上に印刷材料が供給される。
そして、版胴の回転によって回転される印刷版と被処理基板の表面とが接触するように基板を保持するステージが版胴と相対移動されることによって、当該基板上に印刷材料が塗布される。
特開2012−209155号公報
上述したように、スリットノズルからインキングローラに印刷材料を供給する際には、インキングローラはその軸周りに一定速度で回転しており、これによってインキングローラの外周面に塗布膜が形成される。塗布膜の膜厚均一性は、製造される基板の品質に影響を与える因子となるため一定の精度が要求される。また、一般に、印刷材料が低粘度である場合にはインキングローラが比較的速く回転されることによって、印刷材料が高粘度である場合にはインキングローラが比較的遅く回転されることによって、インキングローラ上に膜厚均一性の高い塗布膜が形成されることが知られている。
このため、特許文献1に記載の技術では、高粘度の印刷材料を利用する場合、インキングローラ上に形成される塗布膜の膜厚均一性を確保する目的でインキングローラの回転速度を落とすことに起因して、これと同期制御される版胴の回転速度およびステージの移動速度も落とされ、スループットの低下が引き起こされていた。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、高粘度の印刷材料であっても、スループットを低下させることなく印刷処理を可能な印刷装置及び印刷方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、(a)印刷処理の対象となる基板を保持する保持手段と、(b)長尺状の吐出口を有し、所定の供給源から所定の供給経路を通して供給される粘性液状の印刷材料を当該吐出口から吐出するノズルと、(c)前記供給源から前記供給経路を通って前記ノズルの前記吐出口から吐出されるまでの印刷材料の流路に相当する第1区間のうち少なくともその一部で前記印刷材料を加熱する加熱部と、(d)前記吐出口の長手方向に伸びる第1の軸を有し当該第1の軸周りに回転可能であって、前記吐出口から印刷材料を吐出された状態で前記第1の軸周りに回転することで、その外周面に印刷材料の塗布膜が形成される第1のローラと、(e)前記吐出口の長手方向に伸びる第2の軸を有し当該第2の軸周りに回転可能なローラであって、その外周面に所定の印刷パターンが形成された印刷版を装着され、当該ローラと前記第1のローラとがともに回転することで、前記第1のローラの塗布膜と前記印刷版とが接触し、前記印刷版に前記印刷材料が塗布される第2のローラと、(f)前記保持手段を前記第2のローラに対して相対的に移動させる移動機構と、前記第1のローラの回転動作と、前記第2のローラの回転動作と、前記第2のローラに対する前記保持手段の相対的移動動作とを同期制御することで、前記印刷版に塗布された前記印刷材料を前記保持手段に保持される前記基板の表面に転写させ、当該基板の表面にパターン形成を行わせる制御部と、を備えることを特徴とする印刷装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印刷装置であって、前記加熱部は前記ノズルに設けられており、当該加熱部が前記ノズルを加熱することによってその内部を流れる前記印刷材料を加熱することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、(g)前記第1のローラに塗布されてから前記基板に転写されるまでの第2区間を送られる前記印刷材料に対して作用することにより、当該印刷材料の粘度を上昇させる粘度上昇手段、をさらに備えることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の印刷装置であって、前記粘度上昇手段は、前記第2区間を送られる前記印刷材料に前記作用として気体を吹き付けることによって、前記印刷材料の粘度を上昇させる気体供給手段であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷装置であって、前記基板の前記表面が凹凸パターン形状となっており、前記印刷版に塗布された前記印刷材料が、前記基板の前記表面における凹部に転写されることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の印刷装置であって、前記印刷材料は、20℃において60cP以上の粘度を有する印刷材料であることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、所定の供給源から所定の供給経路を通して供給され、ノズルの長尺状の吐出口より吐出される粘性液状の印刷材料を、第1のローラと、その外周面に印刷版を装着された第2のローラとを介して、所定の基板に塗布する印刷方法であって、前記供給源から前記供給経路を通って前記ノズルの前記吐出口から吐出されるまでの印刷材料の流路に相当する第1区間のうち少なくともその一部で前記印刷材料を加熱し、前記印刷材料の粘度を低下させる加熱工程と、前記第1のローラを回転させた状態で前記印刷材料を前記ノズルの前記吐出口から吐出し、前記第1ローラの外周面に前記印刷材料の塗布膜を形成する第1塗布工程と、前記第1および第2のローラを同期回転させた状態で、前記第1のローラの前記外周面に形成された前記塗布膜と前記第2のローラの外周面に装着された前記印刷版とを接触させることによって、前記印刷版に前記印刷材料を塗布する第2塗布工程と、前記基板を前記印刷版と接触させつつ、前記第2のローラの回転と同期して前記基板を前記第2のローラに対して相対的に移動することで、前記印刷版に形成される所定のパターンを前記基板の表面に転写する転写工程と、を備えることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の印刷方法であって、前記加熱工程では、前記ノズルを加熱することによってその内部を流れる前記印刷材料を加熱することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項7または請求項8に記載の印刷方法であって、前記第1塗布工程が行われてから前記転写工程が行われるまでの期間に、前記印刷材料に対して作用することにより、当該印刷材料の粘度を上昇させる粘度上昇工程、をさらに備えることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の印刷方法であって、前記粘度上昇工程では、前記期間に、前記印刷材料に前記作用として気体を吹き付けることによって、前記印刷材料の粘度を上昇させることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の印刷方法であって、前記基板の前記表面が凹凸パターン形状となっており、前記転写工程では、前記印刷版に塗布された前記印刷材料が、前記基板の前記表面における凹部に転写されることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の印刷方法であって、前記印刷材料は、20℃において60cP以上の粘度を有する印刷材料であることを特徴とする。
請求項1ないし請求項12に記載の発明では、供給源からノズルの吐出口までの第1区間のうち少なくともその一部で印刷材料が加熱される。一般に流体の粘度はその温度が高くなるほど低下するため、印刷材料がノズルの吐出口から吐出され第1のローラの外周面に塗布されるタイミングでは、上記加熱により当該印刷材料の粘度が加熱されない場合に比べて低い状態となっている。
そして、印刷材料が低粘度になっている状態で第1のローラへの塗布が実行されるので、第1のローラの回転速度が速い場合でも第1のローラ上に膜厚均一性の高い塗布膜を形成することができる。その結果、第1のローラの回転動作に同期される第2のローラの回転動作および基板の相対移動動作についても、上記加熱を行わない場合に比べて速く動作することが可能となり、印刷処理のスループットの向上につながる。
このように、本発明における印刷材料の加熱は、第1のローラの回転速度を速めスループットを向上する目的によるものである。このため、吐出される印刷材料の粘度がノズルの吐出可能域(典型的には、数cP〜100cP程度)の範囲内であっても、その粘度を低下させることで上記目的を達成できる。この点で、インクジェットの分野などで従来より知られている、塗布液を加熱してその粘度を吐出可能域まで下げる発明とは、その技術的意義が異なる。
特に、請求項3および請求項9に記載の発明では、第1のローラに塗布されてから基板に転写されるまでの第2区間を送られる印刷材料に対して所定の作用が与えられ、当該印刷材料の粘度が上昇される。このため、印刷材料の粘度は、第2のローラから基板上に転写されるタイミングでは上記作用によって上昇されている。したがって、請求項3および請求項9に記載の発明は、基板上に高膜厚の塗布膜を形成する場合や、基板上に形成される溝部分に塗布液を供給する場合など、基板への転写時に印刷材料が高粘度である場合に適する種々の印刷処理に有効に利用できる。
請求項6および請求項12に記載の発明では、20℃において60cP以上の粘度を有する印刷材料を利用する。このような比較的粘度が高い印刷材料であれば、上記第1区間で当該印刷材料の加熱を行うことで、第1のローラへの塗布時の粘度を加熱を行わない場合に比べて顕著に低下させることができる。その結果、印刷処理において有効にスループットを向上できる。
第1実施形態にかかる印刷装置1の構成を示す斜視図である。 第1実施形態にかかる印刷処理の動作過程を示す、転写部10およびステージ22の側面図である。 第1実施形態にかかる印刷処理の動作過程を示す、転写部10およびステージ22の側面図である。 第1実施形態にかかる印刷処理の動作過程を示す、転写部10およびステージ22の側面図である。 第1実施形態にかかる印刷処理の動作過程を示す、転写部10およびステージ22の側面図である。 第1実施形態にかかる制御部90の電気的構成を示すブロック図である。 第1実施形態にかかる印刷材料Pの粘度の温度依存性を示す図である。 第1実施形態において、基板Wの表面S1に印刷材料Pが供給された様子を示す側面図である。 第2実施形態にかかる印刷装置1A(転写部10A)の構成を概略的に示す側面図である。 変形例にかかるスリットノズル11および加熱部111Aの構成を概略的に示す側面図である。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
<1 第1実施形態>
<1.1 印刷装置1の概略構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る印刷装置1の斜視図である。図2〜図5は、印刷装置1の要部構成の概略側面図であり、印刷処理の流れを示す。なお、図1および以降の各図にはそれらの方向関係を明確にするためZ方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。また、理解容易の目的で、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
印刷装置1は、主たる構成として、基台20と、X方向に伸びる長尺状の吐出口11aを有するスリットノズル11と、吐出口11aより吐出される粘性液状の印刷材料Pをその外周面12bに塗布されるインキングローラ12(第1のローラ)と、印刷版17をその外周面14bに有する版胴14(第2のローラ)と、印刷処理の対象となる基板Wをその上面に保持するステージ22とを備える。
また、印刷装置1は、装置の各動作機構を制御して印刷処理を実行させる制御部90を備える。このため、制御部90に予めインストールされたプログラムに従って印刷装置1の各部の動作が制御されることによって、スリットノズル11から吐出された印刷材料Pが、インキングローラ12および印刷版17を介して、ステージ22上に保持される基板Wに転写され、所定の印刷パターンが基板Wの表面S1に形成される(印刷処理)。
また、本実施形態では、説明を具体化するために、印刷材料Pとしての有機EL用緑色ポリマーインクを、複数の溝(バンク)が形成された有機ELディスプレイ用のパネル(基板W)の表面S1に所定の印刷パターンに沿って供給する(印刷する)場合について説明する(図8)。なお、本明細書中で、基板Wの表面S1とは、基板Wの両主面のうち印刷材料が塗布される側の主面を意味し、基板Wの裏面とは他方の主面を意味する。
<1.2 印刷装置1の各部の構成>
以下、印刷装置1の各部について説明する。
基台20上には、一対の直動ガイド32、これらの直動ガイド32の間に配設されたリニアモータ31、及び図示しないリニアスケールが設置されている。直動ガイド32及びリニアモータ31は、その長手方向が版胴14の回転軸14aに直交する方向(Y方向)に沿うように配設されている。
また、直動ガイド32及びリニアモータ31には、アライメントテーブル51が連結されており、アライメントテーブル51上には基板Wを保持する保持手段としてのステージ22が配設されている。アライメントテーブル51は、リニアモータ31の駆動を受けてステージ22とともに版胴14の回転軸14aに直交する方向(Y方向)に沿って直線移動する。また、アライメントテーブル51にはステージ22の位置調整を行う位置調整機構(図示省略)が内蔵されており、位置調整機構を能動化することで、ステージ22をアライメントテーブル51に対してX方向及びY方向にスライド移動、又は回転移動させることができる。
支持側板24は基台20の±X側の両面に固設されている。そして、一対のガイド部材25が、支持側板24に対して、鉛直方向(Z方向)に沿って配設されている。昇降テーブル21は、このような計4本のガイド部材25に案内されて昇降可能とされている。
昇降テーブル21は、スリットノズル11、インキングローラ12、及び版胴14を支持している。これらの各部分は、昇降モータ26の駆動によって昇降テーブル21とともに一体的に昇降する。また、本明細書中では、スリットノズル11、インキングローラ12、及び版胴14を有し、基板Wへの印刷処理にかかる構成を特に、「転写部10」と呼ぶ。
以下、主として図2〜図5を参照しつつ、転写部10およびステージ22の構成について説明する。
スリットノズル11は、インキングローラ12の回転軸12aおよび版胴14の回転軸14aと平行(X方向)に延びる長尺状の吐出口11aを有するノズル(本実施形態では、アルミニウム製ノズル)である。スリットノズル11は、インキングローラ12の上方に設けられており、その吐出口11aが下方に位置するインキングローラ12の外周面12bと対向するよう配される。また、スリットノズル11には、供給経路SR(具体的には供給管)を通じて印刷材料P(例えば、有機ELの高分子材料)を送給する供給源110が連結されている。
このため、図示しないポンプによって供給源110からスリットノズル11に向けて印刷材料Pが送給されると、当該印刷材料Pは、スリットノズル11の吐出口11aから下方に向けて吐出され、インキングローラ12の外周面12bに塗布される(図2)。なお、本実施形態ではインキングローラ12の外周面12bに印刷材料Pを塗布可能なノズルとしてスリットノズル11を採用しているが、スリットノズル11の他にも公知の種々のノズルを利用できる。
また、スリットノズル11の±Y側の側面にはそれぞれ、加熱部111(本実施形態では、シート状のラバーヒータ)が設けられている(図2〜図5参照。図1では図示省略。)。このため、制御部90によって加熱部111を能動化することで、スリットノズル11を加熱し、これに伴ってその内部流路IRを流れる印刷材料Pを加熱することができる。加熱部111の役割の詳細については、後述する。
インキングローラ12(第1のローラ)は、円筒形状のローラであり、X方向に延設された回転軸12a(第1の軸)を中心にして、モータ13(図1)の駆動によって回転可能である。インキングローラ12は、時計回り及び反時計回りのいずれの方向にも回転可能であるが、以下の説明では、図2〜図5の矢印AR12方向(図示反時計回り)に回転する場合について説明する。
したがって、図2および図3に示すように、インキングローラ12を矢印AR12方向に回転させた状態で印刷材料Pをスリットノズル11の吐出口11aから吐出することで、インキングローラ12の外周面12bに印刷材料Pの塗布膜P1が形成される。
版胴14は、インキングローラ12と同様、円筒形状のローラであり、X方向に延設された回転軸14aを中心にして、モータ15(図1)の駆動によって回転可能である。版胴14は時計回り及び反時計回りのいずれの方向にも回転可能であるが、以下の説明では、図2〜図5の矢印AR14方向(図示時計回り)に回転する場合について説明する。
また、版胴14の外周面14bには、その外周面14b全体を覆うように、所定の印刷パターンが形成されたスリーブ状(円筒状)の印刷版17が装着されている。
印刷版17は、凸部がパターン領域を構成する樹脂層(ポリエステル系樹脂又はゴムなど)と、樹脂層を支持するベース層とを有する凸版であり、クランプ機構によって版胴14の外周面に固定される(いずれも図示せず)。また、印刷版17のうち、その印刷パターンが形成されている側の主面を特にパターン形成部17bと呼ぶ。
なお、本実施形態のようにスリーブ状(円筒状)の印刷版17の内部を版胴14が貫通して両者が固定される構成とは別の態様として、版胴14の外周面14bの一部に印刷版17が固定される構成(例えば、特許文献1)であってもよい。
図2に示すように、インキングローラ12および版胴14は、インキングローラ12の外周面12bとパターン形成部17bとが所定の間隔Dを開けるよう隣接配置されている。この間隔Dは、例えば、インキングローラ12の回転によりその外周面12bに形成される塗布膜P1が−Y側に位置したタイミングで、パターン形成部17bと塗布膜P1とが接触する間隔よりも20μm(マイクロメートル)短い間隔となるよう定めることができる(図3)。
このように間隔Dが定められると、インキングローラ12および版胴14を制御部90にて同期して回転させることによって、インキングローラ12の外周面12bに形成された塗布膜P1と版胴14の外周面14bに装着された印刷版17のパターン形成部17bとが接触し、より具体的には、パターン形成部17bが20μm(マイクロメートル)ほど塗布膜P1に押し込まれ、パターン形成部17bに印刷材料Pが塗布される(図2、図3)。
ステージ22は、その上面(+Z側)に、基板Wを水平姿勢に保持するための部分である基板載置部221を有する。基板載置部221には、複数の図示しない吸引孔が形成されており、この吸引孔に負圧(吸引圧)を与えることによって、基板載置部221上に基板Wを固定保持することができる。
また、ステージ22と版胴14との相対的な高さ関係は、版胴14に装着される印刷版17の最も下方位置において、印刷版17のパターン形成部17bと基板載置部221に保持される基板Wとが接触するように定められる(図4)。
このため、版胴14の回転に同期して、直動ガイド32及びリニアモータ31によってステージ22(および、これに保持される基板W)が+Y方向に駆動されることで、印刷材料Pが塗布された印刷版17がステージ22上に保持される基板Wの表面S1に接触し、印刷版17に形成される所定のパターンが基板Wに転写される(図4、図5)。このように、直動ガイド32及びリニアモータ31は、ステージ22(保持手段)を版胴14に対して相対的に移動させる移動機構として機能する。
図6には、制御部90のハードウェア構成が示されている。制御部90のハードウェアとしての構成は、一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部90は、各種演算処理を行うCPU91、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるRОM92、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAM93及び制御用ソフトウェア、又はデータなどを記憶しておく磁気ディスク94をバスライン99に接続して構成されている。また、入力手段としてキーボード95及びマウス96がバスライン99に接続されている。
さらに、バスライン99には、モータ13,15、昇降モータ26、リニアモータ31、供給源110、加熱部111、リニアスケール(図6にのみ図示)、ステージ22の位置調整を行う位置調整機構(図6にのみ図示)などが電気的に接続されている。
上記の構成以外にも印刷装置1は、版胴14及びインキングローラ12をそれぞれ洗浄する洗浄機構、ならびに、スリットノズル11とインキングローラ12との距離、インキングローラ12と印刷版17との距離および印刷版17と基板Wとの距離をそれぞれ調整する機構等を備えている。
したがって、スリットノズル11より印刷材料Pを吐出した状態で、制御部90が、モータ13の駆動によるインキングローラ12の回転動作と、モータ15の駆動による版胴14の回転動作と、リニアモータ31の駆動によるステージ22の移動動作とを同期制御することで、印刷版17に塗布された印刷材料Pがステージ22に保持される基板Wの表面S1に転写され、当該基板Wの表面S1にパターン形成が行われる。
<1.3 印刷装置1における処理の流れ>
次に、印刷装置1による基板Wの表面S1へのパターン形成処理(印刷処理)について詳細に説明する。
印刷処理においては、まず、供給源110から供給経路SRを通ってスリットノズル11まで印刷材料Pが送液される。そして、この供給源110からスリットノズル11の吐出口11aまでの印刷材料Pの流路に相当する区間(第1区間)のうち、少なくともその一部(本実施形態では、スリットノズル11の内部流路IR)で、加熱部111によって印刷材料Pが加熱され、印刷材料Pの粘度が低下する(加熱工程)。
図7は、本実施形態の印刷材料Pにおける、粘度の温度依存性を示すグラフである。図7に示すように、一般に液体(懸濁液を含む)では、その物性のうち温度のみが変化した場合、高温になるほど粘度が低下することが知られている。
本実施形態では、加熱部111によってスリットノズル11の内部流路IRを通過する印刷材料Pを約70℃まで加熱し、その粘度を30cP(cPはセンチポアズを意味する。以下同様。)に減粘する場合について説明する。なお、30cPは、SI単位系で表現すると、0.03Pa・s(パスカル・秒)となる。加熱部111による印刷材料Pの加熱はスリットノズル11の内部流路IRで行われるため、この加熱時には印刷材料Pの溶剤成分の気化等は起きにくく、図7に示すように高温になるにつれてその粘度が低下する。
なお、本実施形態の加熱工程において加熱によるスリットノズル11の線膨張が起こりうるが、当該スリットノズル11が単一の素材(本実施形態においてはアルミニウム)で形成されていれば、複合素材(例えば、アルミニウムとSUS)で形成される場合に比べてその吐出精度が低下し難い。
そして、図2に示すように、インキングローラ12を回転させた状態で印刷材料Pをスリットノズル11の吐出口11aから吐出し、インキングローラ12の外周面12bに印刷材料Pの塗布膜P1を形成する(第1塗布工程)。
既述の通り、第1塗布工程においては、印刷材料Pが低粘度である場合にはインキングローラ12が比較的速く回転されることによって、印刷材料Pが高粘度である場合にはインキングローラ12が比較的遅く回転されることによって、インキングローラ12の外周面12bに膜厚均一性の高い塗布膜P1が形成される。
このため、本実施形態のように第1塗布工程に先立って加熱部111を能動化し、第1塗布工程時の印刷材料Pの粘度を低下しておけば、インキングローラ12を比較的速く回転した場合であってもその外周面12bに均一性の高い塗布膜P1を形成することができる。
なお、加熱工程において内部流路IRを流れる印刷材料Pの温度を70℃とする(印刷材料Pの粘度を30cP=0.03Pa・sとする)ための加熱部111の制御温度を特定する方法としては、予め、加熱部111を所定温度としてインキングローラ12を所定の回転速度(印刷材料Pの粘度が30cP=0.03Pa・sである場合の回転速度)で回転させて印刷処理を行い、この印刷結果と上記所定温度との関係を、所望の印刷結果が得られるまで複数の加熱温度について取得する方法が挙げられる。また、制御温度の別の特定方法としては、スリットノズル11の材質(本実施形態では、アルミニウム)における熱伝導率と、スリットノズル11の設計値(各部の長さなど)と、内部流路IRを流れる印刷材料Pの粘度の温度依存性(図7)とに基づいて、理論値として加熱部111の加熱温度を特定する方法であってもよい。
そして、図3に示すように、外周面12bに塗布膜P1が形成された状態でインキングローラ12が矢印AR12方向に回転され、これと同期して版胴14が矢印AR14方向に回転されることによって、インキングローラ12の外周面12bに形成された塗布膜P1と版胴14の外周面14bに装着された印刷版17のパターン形成部17bとが接触する。この結果、印刷版17のパターン形成部17bに印刷材料Pが塗布される(第2塗布工程)。
図2〜図5に示すように、第1塗布工程および第2塗布工程における、インキングローラ12および版胴14の回転動作と同期して、基板Wが保持されたステージ22のリニアモータ31による+Y方向移動動作(相対的移動動作)が実行される。また、上述したように、ステージ22と版胴14との相対的な高さ関係は、版胴14に装着される印刷版17の最も下方位置で、印刷版17のパターン形成部17bと基板載置部221に保持される基板Wとが接触するように定められている(図4)。
このため、図4および図5に示すように、印刷材料Pが塗布された印刷版17のパターン形成部17bがステージ22上に保持される基板Wの表面S1に接触した状態で、版胴14の回転動作と上記相対的移動動作とが引き続き実行されることで、パターン形成部17bに形成される所定のパターンが基板Wの表面S1に転写される(転写工程)。
なお、本実施形態の印刷装置1では、この転写工程時において、印刷材料Pの粘度が第1塗布工程時よりも高くなっている。この主な理由としては、
1)加熱部111による加熱で高温(本実施形態では70℃)になっていた印刷材料Pが、スリットノズル11の吐出口11aより吐出され、インキングローラ12および印刷版17によって送られる過程で、印刷材料Pのうち溶剤成分や水分が外気に触れて気化すること、
2)加熱部111による加熱で高温(本実施形態では70℃)になっていた印刷材料Pが、スリットノズル11の吐出口11aより吐出され、インキングローラ12および印刷版17によって送られる過程で、印刷材料Pの温度が低下すること、
の2つが挙げられる。なお、転写工程時において第1塗布工程時より印刷材料Pの粘度が高くなっていることの効果については、後述する<1.4 転写工程時の印刷材料Pの粘度と歩留まりとの関係>で詳細に説明する。
こうして、1枚の基板Wの印刷処理が終了すると、所定の搬送装置または装置の使用者によって基板Wがステージ22上から搬出され、次の処理工程に搬送される。また、ステージ22は次に印刷処理を行われる基板Wを基板載置部221に載置させるために、直動ガイド32の原点位置に向かって移動する。言い換えると、ステージ22は、印刷処理が実行される際の基板Wの搬送方向とは逆方向(−Y方向)に移動する。そして、次に印刷処理を施される新たな基板Wが、所定の搬送装置または装置の使用者によってステージ22上に搬入される。
以上の動作を繰り返すことによって、印刷装置1は、基板W1枚ごと順次に印刷処理を実行することができる。
まとめると、本実施形態の印刷装置1では、第1塗布工程に先立って加熱部111を能動化することで、スリットノズル11の内部流路IRを流れる印刷材料Pを加熱し、第1塗布工程時の印刷材料Pの粘度を低下しておく。これにより、インキングローラ12を比較的速く回転した場合であってもその外周面12bに均一性の高い塗布膜P1を形成することができる。印刷処理における版胴14の回転動作およびステージ22の移動動作はインキングローラ12の回転動作と同期されているので、本実施形態のように印刷材料Pの加熱によって第1塗布工程時におけるインキングローラ12の回転速度を速めることで、版胴の回転速度およびステージの移動速度も合わせて速めることができ、スループットの向上につながる。
特に、図7に示した印刷材料P(有機EL用緑色ポリマーインク)のように20℃において60cP(0.06Pa・s)以上の粘度を有する印刷材料であれば、加熱部111による加熱を行うことで、加熱を行わない場合に比べて第1塗布工程時の粘度を顕著に低下させることができるので、本実施形態の印刷装置1を有効に利用できる。
<1.4 転写工程時の印刷材料Pの粘度と歩留まりとの関係>
図8は、転写工程によって所定の印刷パターンに沿って印刷材料Pが供給された基板Wの一部を拡大した縦断面図である。図8に示すように、本実施形態の印刷対象となる基板Wの表面S1には複数の溝(バンク)が形成されている。以下の説明では、この凹凸パターン形状のうち、凹形状の部分を「凹部S11」、凸形状の部分を「凸部S12」と呼ぶ。
転写工程では、印刷版17のパターン形成部17bに塗布された印刷材料Pが、基板Wの各凹部S11(「セル」とも呼ぶ)に供給される。この結果、各凹部S11(セル)では、当該セルに供給された印刷材料Pが凸部S12と接する部分では高位となりセルの中心側の部分(隣り合う凸部S12から最も遠い部分)では低位となる凹型メニスカスが形成される。
図8(a)は、比較的高い粘度(例えば、60cP=0.06Pa・s)の印刷材料Pが基板Wに供給された様子を示し、図8(b)は、比較的低い粘度(例えば、20cP=0.02Pa・s)の印刷材料Pが基板Wに供給された様子を示す。
図8に示すように、セル内に供給された印刷材料Pの凹型メニスカスの高低差Daについては、粘度の高い印刷材料Pにおける高低差Da1が、粘度の低い印刷材料Pにおける高低差Da2より小さくなることが知られている。そして、このセル内の印刷材料Pの高低差Daが大きいセル、言い換えると、セル内の膜厚均一性が低いセルは、最終製品における不良部分となることが多い。このため、基板Wの凹部S11に印刷材料Pを供給する転写工程時においては、セル内の膜厚均一性を高くし歩留まりを向上するという観点から、供給される印刷材料Pが高粘度であることが望ましい。
既述の通り、本実施形態の印刷装置1においては、スリットノズル11の吐出口11aより吐出された印刷材料Pがインキングローラ12および印刷版17を介して基板Wまで送られる過程で、印刷材料Pのうち溶剤成分や水分が外気に触れて気化し、かつ、印刷材料Pの温度が低下する。このため、転写工程時には第1塗布工程時より印刷材料Pの粘度が高くなっている。この結果、複数の溝(バンク)が形成された基板Wに印刷材料Pを供給する際に、セル内の印刷材料Pの膜厚均一性を確保することができる。
以上まとめると、本実施形態の印刷装置1では、スループット向上の観点から第1塗布工程時に印刷材料Pの粘度を低下させるが、印刷材料Pの温度低下およびこれに含まれる溶剤成分等の気化によって、転写工程時にはその粘度が上昇されている。このため、転写工程時に印刷材料Pの粘度が低いことに起因する歩留まりの低下を防止しつつ、スループットの向上を実現できる。
<2 第2実施形態>
<2.1 第2実施形態に係る転写部10Aの構成>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態にかかる印刷装置1Aのうち、転写部10Aおよびステージ22の構成を概略的に示す側面図である。なお、図9は、第1実施形態の図3(第2塗布工程時の転写部10の側面図)と対応している。図9および以降の各図において、第1実施形態と同一の要素については同一の符号を付し、重複説明を省略する。
図9に示すように、第2実施形態の転写部10Aは、第1実施形態の転写部10の各部に加え、インキングローラ12の外周面12bに形成される塗布膜P1(印刷材料P)に空気を供給するエア供給部18(気体供給手段)を備えた構成となっている。また、印刷装置1A全体としても、エア供給部18をさらに備えることを除けば印刷装置1と同様である。
エア供給部18は、エア供給源180と、X方向に延びる開口181aを有するエア供給ノズル181とを有する。
エア供給源180は、例えば、室温に相当する20℃の空気を供給経路TRを通じてエア供給ノズル181に供給する部分である。
エア供給ノズル181は、エア供給源180より供給されてその開口181aより噴出する空気が、スリットノズル11より吐出されてから印刷版17に塗布されるまでの区間を送られる塗布膜P1(印刷材料P)に対して、その進行方向(インキングローラ12のYZ断面における円の接線方向)と直交する方向から当たるよう配置される(図9)。また、その開口181aのX方向幅は、インキングローラ12の外周面12bに形成される塗布膜P1のX方向幅より長い。
このような構成となっているため、エア供給ノズル181の開口181aより噴出される空気が、インキングローラ12の外周面12bに形成された塗布膜P1に対してほぼ均一に吹き付けられる。この結果、インキングローラ12上の塗布膜P1について、印刷材料Pの溶剤成分等の気化、および印刷材料Pの温度の低下が促され、当該印刷材料Pの粘度が上昇する。
次に、第2実施形態の印刷装置1Aによる基板Wの表面S1へのパターン形成処理(印刷処理)について説明する。
印刷処理においては、まず、供給源110からスリットノズル11まで印刷材料Pが送液される。そして、この供給源110から所定の供給経路SRを通ってスリットノズル11の吐出口11aから吐出されるまでの印刷材料Pの流路に相当する区間(第1区間)のうち、少なくともその一部(本実施形態では、スリットノズル11の内部流路IR)で加熱部111によって印刷材料Pが加熱され、その粘度が低下される(加熱工程)。
そして、スリットノズル11から印刷材料Pを吐出し、インキングローラ12を矢印AR12方向に回転することで、インキングローラ12の外周面12bに塗布膜P1が形成される(第1塗布工程)。
さらに、このとき、第2実施形態の印刷装置1Aでは、エア供給源180からエア供給ノズル181に空気が供給され、エア供給ノズル181の開口181aより噴出される空気がインキングローラ12の外周面12bに形成された塗布膜P1に対してほぼ均一に吹き付けられる。この結果、インキングローラ12上の塗布膜P1について、印刷材料Pの溶剤成分等の気化、および印刷材料Pの温度の低下が促され、当該印刷材料Pの粘度が上昇する(粘度上昇工程)。
そして、インキングローラ12と同期して版胴14が回転することで、インキングローラ12の外周面12bに形成された塗布膜P1と版胴14の外周面14bに装着された印刷版17のパターン形成部17bとが接触し、印刷版17のパターン形成部17bに印刷材料Pが塗布される(第2塗布工程)。
また、第1塗布工程および第2塗布工程における、インキングローラ12および版胴14の回転動作と同期して、基板Wが保持されたステージ22のリニアモータ31による+Y方向移動動作(相対的移動動作)が実行される。この結果、印刷材料Pが塗布された印刷版17のパターン形成部17bがステージ22上に保持される基板Wの表面S1に接触し、パターン形成部17bに形成される所定のパターンが基板Wに転写される(転写工程)。
以上説明したように、第2実施形態の印刷装置1Aは、スループット向上の観点から第1塗布工程時に先立って加熱工程を行い、印刷材料Pの粘度を低下させる点では第1実施形態の印刷装置1と同様である。
他方、第1塗布工程が行われてから転写工程が行われるまでの期間(本実施形態では、第1塗布工程から第2塗布工程までの期間)に、印刷材料Pに対してその粘度を上昇させるための作用として空気が吹き付けられる点で、第1実施形態とは異なる。
このように、転写工程に先立って粘度上昇工程が行われることで、第1実施形態よりもさらに転写工程時での粘度が上昇されている。このため、転写工程時に複数の溝(バンク)が形成された基板Wに印刷材料Pを供給するときに、セル内の印刷材料Pの膜厚均一性をより向上させることができる。
<3 変形例>
以上、本発明の第1実施形態および第2実施形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
上記実施形態の印刷装置1,1Aでは、加熱工程において、供給源110から供給経路SRを通ってスリットノズル11の吐出口11aから吐出されるまでの印刷材料Pの流路に相当する区間(第1区間)のうち、スリットノズル11の内部流路IRで、加熱部111によって印刷材料Pの加熱を行う態様であったが、これに限られるものではない。
第1区間のうち少なくともその一部で印刷材料Pの加熱を行えば、第1塗布工程時の印刷材料Pの粘度を低下することは可能であるので、上記実施形態とは別の態様として、供給源110にて印刷材料Pを加熱する態様、或いは供給源110からスリットノズル11までの供給経路SR(典型的には供給管)にて印刷材料Pを加熱する態様を採用してもよい。なお、上記実施形態のようにスリットノズル11を介してその内部流路IRを流れる印刷材料Pを加熱する態様であれば、吐出口11a付近で印刷材料Pを加熱できるため、これらの変形例に比べて、第1塗布工程時の印刷材料Pの加熱を効率的に行うことができる。
図10は、上記実施形態にかかる加熱部111の変形例である加熱部111Aとスリットノズル11との位置関係を示す概略図である。図10(a),(b)はそれぞれ、+X方向,+Y方向から見た場合の、加熱部111Aおよびスリットノズル11の概略図を示す。図10に示すように、加熱部としては、複数の(本変形例では4本ずつ計8本の)コードヒータをスリットノズル11の±Y側の側面に取り付ける態様であっても構わない。このように公知の種々の加熱機構を本発明の加熱部として利用できる。
また、上記実施形態の印刷装置1,1Aでは、転写工程において版胴14とステージ22との相対的な移動動作を行うための構成として、ステージ22をY方向に沿って移動させるための直動ガイド32及びリニアモータ31を採用していたがこれに限られるものではない。例えば、版胴14をY方向に沿って移動させる構成であってもよい。
上記実施形態では、基板Wの表面S1に溝構造が形成されておりその凹部S11に印刷材料Pが供給される場合について説明をしたが、これは、転写工程時に印刷材料Pの粘度が高粘度であることが望ましい場合の典型例に過ぎない。すなわち、上記実施形態の他にも、基板W上に印刷材料Pを膜厚に塗布する態様など、転写工程時に印刷材料Pが高粘度であることが望まれる様々な場合において、上記実施形態の印刷装置1,1A(特に第2実施形態の印刷装置1A)を好適に利用できる。
また、上記第2実施形態の印刷装置1Aでは、インキングローラ12に塗布されてから基板Wに転写されるまでの区間(第2区間)を送られる印刷材料Pに対して、その粘度を上昇させるための作用として20℃の空気を吹き付けるエア供給部18(気体供給手段)を備えていたが、これに限られるものではない。
印刷材料Pに供給される気体は、空気以外にも例えば窒素など活性の低い気体(不活性ガスなど)を採用することができる。また、供給される気体の温度も20℃に限られるものではない。ただし、インキングローラ12の測方には版胴14が隣接配置されており、版胴14の外周面14bに装着される印刷版17のパターン形成部17bは樹脂製である(温度によって伸縮しやすい)ことを考慮すると、供給される気体は常温(5℃〜35℃)であることが望ましい。
また、第2区間を送られる印刷材料Pに対して所定の作用を与えることにより、当該印刷材料Pの粘度を上昇させる粘度上昇手段としては、上記気体供給手段(典型的にはエア供給部18)以外の態様であっても構わない。例えば、インキングローラ12の外周面12bを加熱する加熱部をインキングローラ12の内部に設け、当該外周面12bを介して塗布膜P1を加熱する態様を採用することができる。この場合、インキングローラ12上の塗布膜P1(印刷材料P)は、当該加熱部によって加熱される(作用される)ことでその溶剤成分等が気化する。この結果、印刷材料Pの粘度が上昇する。
また、粘度上昇手段によって印刷材料Pの粘度が上昇されるのは、インキングローラ12に塗布されてから基板Wに転写されるまでの第2区間であればよく、例えば、印刷版17上の印刷材料Pに粘度上昇手段が作用する構成であってもよい。ただし、印刷版17のパターン形成部17bが樹脂製であることを考慮すると、印刷版17上の印刷材料Pよりもむしろ、インキングローラ12上の印刷材料Pに対して所定の作用(典型的には空気の供給や加熱など)を与えることが望ましい。
また、上記実施形態の印刷装置1,1Aでは、+Y方向に向けて片道搬送される基板Wに対して印刷処理が実行される態様について説明したが、これに限られるものではない。印刷装置1,1Aが、1枚の基板Wに対して印刷処理を複数回行う(基板Wが往復搬送される)態様であってもよい。
また、上記実施形態の印刷装置1,1Aでは、印刷材料Pとしての有機EL用緑色ポリマーインクを複数の溝(バンク)が形成された有機ELディスプレイ用のパネル(基板W)の表面S1に所定の印刷パターンに沿って供給する(印刷する)態様について説明したが、本発明の印刷装置は、この他にも、銀や銅などの金属ペーストを所定の印刷パターンに沿って基材に印刷し電子回路を形成するプリンテッドエレクトロニクスなど、公知の種々の印刷処理に利用できる。
また、上記実施形態では、印刷版17が凸版である場合について説明したが、他にも凹版や平版など種々の印刷版について本発明を利用できる。
1,1A 印刷装置
10,10A 転写部
11 スリットノズル
11a 吐出口
12 インキングローラ
14 版胴
12a,14a 回転軸
12b,14b 外周面
13,15 モータ
17 印刷版
17b パターン形成部
18 エア供給部
22 ステージ
111 加熱部
AR12,AR14 矢印
Da,Da1,Da2 (セル内に供給された印刷材料Pの)高低差
IR 内部流路
P 印刷材料
P1 塗布膜
S1 表面
S11 凹部
S12 凸部
SR 供給経路
W 基板

Claims (12)

  1. (a)印刷処理の対象となる基板を保持する保持手段と、
    (b)長尺状の吐出口を有し、所定の供給源から所定の供給経路を通して供給される粘性液状の印刷材料を当該吐出口から吐出するノズルと、
    (c)前記供給源から前記供給経路を通って前記ノズルの前記吐出口から吐出されるまでの印刷材料の流路に相当する第1区間のうち少なくともその一部で前記印刷材料を加熱する加熱部と、
    (d)前記吐出口の長手方向に伸びる第1の軸を有し当該第1の軸周りに回転可能であって、前記吐出口から印刷材料を吐出された状態で前記第1の軸周りに回転することで、その外周面に印刷材料の塗布膜が形成される第1のローラと、
    (e)前記吐出口の長手方向に伸びる第2の軸を有し当該第2の軸周りに回転可能なローラであって、その外周面に所定の印刷パターンが形成された印刷版を装着され、
    当該ローラと前記第1のローラとがともに回転することで、前記第1のローラの塗布膜と前記印刷版とが接触し、前記印刷版に前記印刷材料が塗布される第2のローラと、
    (f)前記保持手段を前記第2のローラに対して相対的に移動させる移動機構と、前記第1のローラの回転動作と、前記第2のローラの回転動作と、前記第2のローラに対する前記保持手段の相対的移動動作とを同期制御することで、前記印刷版に塗布された前記印刷材料を前記保持手段に保持される前記基板の表面に転写させ、当該基板の表面にパターン形成を行わせる制御部と、
    を備えることを特徴とする印刷装置。
  2. 請求項1に記載の印刷装置であって、
    前記加熱部は前記ノズルに設けられており、当該加熱部が前記ノズルを加熱することによってその内部を流れる前記印刷材料を加熱することを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の印刷装置であって、
    (g)前記第1のローラに塗布されてから前記基板に転写されるまでの第2区間を送られる前記印刷材料に対して作用することにより、当該印刷材料の粘度を上昇させる粘度上昇手段、
    をさらに備えることを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項3に記載の印刷装置であって、
    前記粘度上昇手段は、前記第2区間を送られる前記印刷材料に前記作用として気体を吹き付けることによって、前記印刷材料の粘度を上昇させる気体供給手段であることを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記基板の前記表面が凹凸パターン形状となっており、
    前記印刷版に塗布された前記印刷材料が、前記基板の前記表面における凹部に転写されることを特徴とする印刷装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の印刷装置であって、
    前記印刷材料は、20℃において60cP以上の粘度を有する印刷材料であることを特徴とする印刷装置。
  7. 所定の供給源から所定の供給経路を通して供給され、ノズルの長尺状の吐出口より吐出される粘性液状の印刷材料を、第1のローラと、その外周面に印刷版を装着された第2のローラとを介して、所定の基板に塗布する印刷方法であって、
    前記供給源から前記供給経路を通って前記ノズルの前記吐出口から吐出されるまでの印刷材料の流路に相当する第1区間のうち少なくともその一部で前記印刷材料を加熱し、前記印刷材料の粘度を低下させる加熱工程と、
    前記第1のローラを回転させた状態で前記印刷材料を前記ノズルの前記吐出口から吐出し、前記第1ローラの外周面に前記印刷材料の塗布膜を形成する第1塗布工程と、
    前記第1および第2のローラを同期回転させた状態で、前記第1のローラの前記外周面に形成された前記塗布膜と前記第2のローラの外周面に装着された前記印刷版とを接触させることによって、前記印刷版に前記印刷材料を塗布する第2塗布工程と、
    前記基板を前記印刷版と接触させつつ、前記第2のローラの回転と同期して前記基板を前記第2のローラに対して相対的に移動することで、前記印刷版に形成される所定のパターンを前記基板の表面に転写する転写工程と、
    を備えることを特徴とする印刷方法。
  8. 請求項7に記載の印刷方法であって、
    前記加熱工程では、前記ノズルを加熱することによってその内部を流れる前記印刷材料を加熱することを特徴とする印刷方法。
  9. 請求項7または請求項8に記載の印刷方法であって、
    前記第1塗布工程が行われてから前記転写工程が行われるまでの期間に、前記印刷材料に対して作用することにより、当該印刷材料の粘度を上昇させる粘度上昇工程、
    をさらに備えることを特徴とする印刷方法。
  10. 請求項9に記載の印刷方法であって、
    前記粘度上昇工程では、前記期間に、前記印刷材料に前記作用として気体を吹き付けることによって、前記印刷材料の粘度を上昇させることを特徴とする印刷方法。
  11. 請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の印刷方法であって、
    前記基板の前記表面が凹凸パターン形状となっており、
    前記転写工程では、前記印刷版に塗布された前記印刷材料が、前記基板の前記表面における凹部に転写されることを特徴とする印刷方法。
  12. 請求項7ないし請求項11のいずれかに記載の印刷方法であって、
    前記印刷材料は、20℃において60cP以上の粘度を有する印刷材料であることを特徴とする印刷方法。
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