JP2014188639A - ワーク押さえ機構及びワーク押さえ機構を有するルーター加工装置並びに当該ルーター加工装置による加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】排気ダクト16を有するワーク押さえ機構Aにおいて、第1のエア噴射ノズル22からの、ワーク加工部近傍に対する高速の第1の噴射エア流18の吹き付けによって、ワーク加工部において発生した切粉が吹き飛ばされて排気ダクト16から確実に回収されるとともに、工具3とその周辺の切粉に生ずる熱を除去することにより、工具の寿命を延伸させることができる。また、該ワーク押さえ機構Aを有するルーター加工装置の使用に際しては、最初に一定長以上の開始孔46を形成するものである。
【選択図】図1
Description
尚、本明細書においては、穴明け加工とは加工用スピンドルの工具をドリルとしてシート状の加工対象物に対してドリル径の穴明けを行う加工のことであり、穴明け装置とは、その穴明け加工を行う装置のことである。また、ルーター加工装置とは、加工用スピンドルを使用して前記穴明け加工以外のパターン加工等の加工を加工対象物に対して行う加工装置のことである。そして、パターン加工とは、穴明け加工による穴以外の、指定された形状に加工対象物の内側をくりぬきパターン孔を形成することであり、パターン孔とはその指定されたくりぬき形状を言う。
このように、特に加工対象物がプリプレグの場合、それを重ねたワーク本体を加工すると、工具刃面の切粉融着および加工部の溶融が著しい上、プリプレグに弾性がないため、切粉回収用の集塵バキューム及び工具の切削推力によって重ねられた個々のプリプレグが浮き上がり、ワーク内に隙間が生じ、その隙間に切粉が侵入して正常な切削加工が行われなくなるという悪循環に陥り、加工部の品質を一層低下させるという課題があることから、プリプレグ効率的な加工の障壁となっていた。
尚、同様のものは後記特許文献1にも記載されている。
すなわち、図16は加工対象物に対して四隅にアールを有する略長方形のパターン孔Qを形成する際の、従来例のワーク押え機構Bを有するルーター加工装置βによる上面視方向からみた加工工程模式図であり、図17は、該従来例のルーター加工装置βの加工状況の模式図であって、図17(a)は図16(a)の側面視方向からの穴あけ状況、図17(b)は図16(b)の側面視方向からのルート加工開始直後の状況、図17(c)は図17(b)の上面視をそれぞれ示している。
先ず、図16(a)は、当板106、ワーク本体105、下板107で形成されるワーク105’に、切粉排出部110に到達する貫通孔を形成する貫通孔形成工程であり、P1’はパターン孔Q内の加工開始時点すなわち貫通孔形成開始時点における工具(ここではカッター)103の軸心位置であって、ルート加工開始時点の軸心位置でもある。そして、工具103内の矢印は工具103の回転方向を示し、工具103の外に描かれた円周は、工具103の回転角方向の発熱範囲を示すための指示線であり、Lha’は後述するように発熱範囲である。
図16(b)は、ワーク本体105に工具径と同幅の孔(ルートr・1)を形成するルート加工工程(尚、ルート加工とは、工具としてカッターが使用され、1つの工程によって,その工具径と加工によって形成された孔幅とが等しい加工である。図16ではルートr・1がルート加工工程による加工位置である。)である。P1’はルート加工開始時点における工具103の軸心位置であり、P2’はルート加工終了且つシフト粗加工開始時点における工具103の軸心位置である。
図16(c)は、ルート加工に引き続いて、ワーク105’に仕上げ加工のための仕上げシロ47(例えば300μm)を残して、製品仕様であるパターン孔Qよりも1回り小さなパターン孔を形成するシフト粗加工工程である(尚シフト粗加工において行われる加工はシフト加工であり、シフト加工とは、工具としてカッターが使用され、先に形成された孔と一部重合することから、その工具径よりもその加工によって新たに形成された孔幅が狭い加工である。)。ルートr・2乃至r・10は、シフト粗加工工程が渦巻き状に行われることを示している。そして、P3’はルートr・10のシフト粗加工終了且つ仕上げ加工移行時点における工具103の軸心位置である。尚、ルート加工においては、回転する工具103によるワーク105’に対して加工が行われることによる発熱範囲と、加工進行方向後方の、加工が行われない切粉排出範囲(すなわちワーク105’と接することがなく冷却範囲となる。)との長さが等しくなるのに対し、シフト粗加工は発熱範囲より冷却範囲の長さが長くなる。そのため、ルート加工工程としてのルート加工のなされるルートr・1は、パターン孔Qの長尺方向に直線状に形成され、シフト粗加工工程としてシフト粗加工のなされるルートr・2は、ルートr・1に対してパターン孔Qの短尺方向に屈曲しており、以下、ルートr・3はルートr・1とは逆方向に再度直線状に形成され、ルートr・4はルートr・2とは逆方向に屈曲するというようにして、パターン孔Qの仕上げシロ47を残した状態までシフト粗加工工程としてのシフト粗加工によりワーク105’が切削加工される。尚、加工工程におけるルートは前述のように直線と屈曲を繰り返すことから、1個のパターン孔を形成するまでに要するルート加工工程とシフト粗加工工程における直線状の加工と屈曲しての加工との回数を合計して、ルート数と言う。
図16(d)は、シフト粗加工工程において残された仕上げシロ47を除去して、製品仕様として要求される加工面粗さを形成する仕上げ加工工程を示している。P4’は仕上げ加工の加工開始時点における工具103の軸心位置であり、ルートr・1’乃至r・4’へと加工が進展し、工具103の軸心位置はP4’へ戻って来る。
すなわち、図16(a)に示す貫通孔形成工程においては、(a)に示すLha’は工具103が実質的にワーク105’に対して加工を行っている円周方向の範囲、すなわち工具刃面に加工によって生じた切粉が蓄積されて加工部が温度上昇する範囲(発熱範囲という)であるところ、貫通孔形成工程時の発熱範囲は全周となる。そのため、工具103は発熱した切粉およびワーク105’加工部壁面と接触状態にあるため、熱伝導により工具刃面の温度が上昇し、ワーク本体105’の加工部の温度も時間とともに上昇することとなる。その際、加工部の発熱量は切削除去量すなわち工具切込み量(=切込み速度/工具回転数)、および工具103とワーク105’の接触長/時間と比例関係にあるため、切込み深さが深くなるほど、また、工具回転数が高くなるほどワーク本体105’の加工部の温度が上昇することとなる。
そのため、貫通孔形成工程において該温度上昇を抑える手段として、図17(a)に示すように、一回の切込みにおいて切粉とワーク本体105’の加工部が軟化溶融しない切込み深さZn’を設定するとともに、加工可能な範囲でできるだけ低いスピンドル回転数を設定し、更に、一回の切込み深さZn’まで穴明けした後、工具103先端を当板106表面から一定の距離ZM’上昇させた位置まで引き上げて、切粉を振り払い冷却し、再度その一回の切込み深さZn’だけ穴明けを行う工程を繰り返すというステップ加工法が採用されて来た(尚、1個の貫通孔を形成するために必要となる切込み回数を「切込みステップ数」と言う。)。しかし、特にプリプレグのシートを加工対象物とする場合、現在、仕様として最低でも200μm以下の加工面粗さおよび溶融巾が要求されることから、許容されるコストとの関係からもプリプレグのシートを20枚重ねてワーク本体として加工するのが限度であるが、その際でも、貫通孔形成工程における貫通孔形成加工においては、スピンドル101の工具103の回転数は10乃至15krpmであり、切込速度が1mm/s以下、一回の切込深さZn’が約0.2mm以下に制約されるため加工時間が長くなり、第1の生産性低下要因となっていた。
そのため、ルート加工工程においては、温度上昇を抑える手段として、切粉時間とワーク本体105の加工部が軟化溶融しない低速回転数および加工速度を適用して、加工部の温度上昇を押えて来た。しかしここでも、プリプレグのシートを20枚重ねてワーク本体105としてルート加工を行う際、スピンドル101の工具103の回転数は10乃至15krpmであり、加工速度も2mm/s以下に制約されるため加工が長くなり、第2の生産性低下要因となっていた。
シフト粗加工工程においては発熱範囲は冷却範囲よりも短く、ワーク本体105の加工部の温度上昇はルート加工工程よりも少ないものの、発熱範囲Lhc’はルートシフト量Srの大小に比例している。ところで、前述のように仕上げ加工後の加工対象物の加工面粗さを少なくとも200μm以下とすることが製品仕様として求められていることから、シフト粗加工工程における該加工面粗さを300μm以下に維持する必要があるところ、プリプレグのシートを20枚重ねてワーク本体105としてシフト粗加工を行う場合、該加工面の粗さを300μm以下に維持するためには、ルートシフト量Srは0.4mm以下に、また加工速度も2mm/s以下に制約される。しかも、通常シフト粗加工長(ルートr・2乃至r・10)は長いため、その加工速度では加工時間が長くかかることとなって、第3の生産性低下要因となっていた。
前記シフト粗加工工程と比較して、シフト量Sfはルートシフト量Srより小さいことから、仕上げ加工工程においては、ワーク本体105の加工部の温度上昇はシフト粗加工工程におけるよりも少なくはなるものの、前述の通り、仕上げ加工後の加工対象物の加工面の粗さを200μm以下とすることが製品仕様として求められていることから、プリプレグのシートを20枚重ねてワーク本体105として仕上げ加工を行う場合、加工速度が2乃至5mm/s(パターン孔Qの幅が広い場合には、5mm/s程度まで加工速度を上げて加工できるが、パターン孔Qの幅が狭い場合には、切粉の排出性が悪いことから、加工速度を2mm/sまで下げて加工する必要がある。)以下に制約されるため、加工時間が長くかかることとなって、第4の生産性低下要因となっていた。
第1の要因は、ワーク押え機構B自体の切粉除去性能にある。従来のバキュームダクト115による負圧集塵方式の場合、吸入圧力が0.18MPa、口径50mmのダクトの場合、最大吸入流量は約6?/minであり、エア流118の流速が50m/s以下と低く、該エアのもつ運動エネルギーが小さいことから、加工時のエア流118による工具103刃面上の切粉除去効果が少なく、加工対象物の重ね枚数が多くなると加工工程における切粉の発生量が増大して、一旦工具103の刃面と切粉排出溝に切粉が融着すると、正常な切削(鋭利な切刃による切削)が行われなくなる。そして、一旦正常な切削がなされなくなると、工具103の刃面とワーク105’の加工部との摩擦による加工熱の発生が飛躍的に増える熱的悪循環(熱暴走状態)に陥るためである。
第2の要因は、ワーク押え機構Bのワーク押え性能にある。すなわち、リングブラシ117が当板106を介してワーク本体105を加圧した状態で、スピンドル101とワーク105’が相対移動して加工が行われるが、所定のパターン孔Q通りに正確に加工するために、リングブラシ117の押圧力によるワーク105’の変形を避けねばならないことから、リングブラシ117による加圧力を約3kg以下の低い値に設定する必要がある。その一方で、リングブラシ117は可撓性を有することから、工具交換スペースとして直径約20mm程度の大きなキャビティ104が必要となり、キャビティ中央の加工部に近い位置ではワーク105’を押えられないため、加工中に切粉を集塵するバキューム(負圧)によって当板106とワーク本体105が吸上げられて、ワーク本体105を形成する重ねられた加工対象物間や、ワーク本体105と当板106あるいは下板107間に隙間が生じ、高温化した切粉が該隙間に侵入してワーク105’の加工部に融着して、前記同様の熱的悪循環に陥るためである。
第3の要因は、積極的な冷却という視点の欠如である。すなわち、従来のバキュームダクト115による負圧集塵方式においては、切粉を吸い上げて除去するということに主眼が置かれ、回転する工具103やワーク105’の加工部を積極的に冷却するという視点を欠いていた。そのため、加工開始位置での貫通孔形成工程、またその後の各工程においても、工具103及びワーク105’の加工部を積極的に冷却することがなく、加工速度を上げると熱的悪循環に陥り易い状況となっていた。
1.ワーク表面よりも高い開始位置から工具が下降して、ワーク本体表面に浅穴を形成する穿孔工程。
2.穿孔工程に連続して、当該浅穴の深さを保持した状態で、工具とワークが所定の開始孔の長さから工具径を減じた距離だけ直線的に相対移動する移動加工工程。
3.移動加工工程に連続して、工具が開始位置へ戻る工具戻り工程。
を複数回採るものである。
1.ワーク表面よりも高い開始位置から工具が下降して、ワーク本体表面に浅穴を形成する第1穿孔工程。
2.第1穿孔工程に連続して、当該浅穴の深さを保持した状態で、工具とワークが所定の開始孔の長さから工具径を減じた距離だけ直線的に相対移動する第1移動加工工程。
3.第1移動加工工程に連続して、当該相対移動した位置から開始位置と同じ高さまで戻る第1工具上昇工程。
4.第1工具上昇工程に連続して、当該上昇位置から工具が下降して、前記2の相対移動した位置に、更に浅穴を形成する第2穿孔工程。
5.第2穿孔工程に連続して、第2穿孔工程により穿たれた浅穴の深さを保持した状態で、工具とワークが所定の開始孔の長さから工具径を減じた距離だけ移動加工工程と逆方向に相対移動する第2移動加工工程。
6.第2移動加工工程に連続して、当該逆方向に相対移動した位置から開始位置まで戻る第2工具上昇工程。
を複数回採るものである。
A
1.ワーク表面よりも高い開始位置から工具が下降して、ワーク本体表面に浅穴を形成する穿孔工程。
2.穿孔工程に連続して、当該浅穴の深さを保持した状態で、工具とワークが所定の開始孔の長さから工具径を減じた距離だけ直線的に相対移動する移動加工工程。
3.移動加工工程に連続して、工具が開始位置へ戻る工具戻り工程。
B
1.ワーク表面よりも高い開始位置から工具が下降して、ワーク本体表面に浅穴を形成する第1穿孔工程。
2.第1穿孔工程に連続して、当該浅穴の深さを保持した状態で、工具とワークが所定の開始孔の長さから工具径を減じた距離だけ直線的に相対移動する第1移動加工工程。
3.第1移動加工工程に連続して、当該相対移動した位置から開始位置と同じ高さまで戻る第1工具上昇工程。
4.第1工具上昇工程に連続して、当該上昇位置から工具が下降して、前記2の相対移動した位置に、更に浅穴を形成する第2穿孔工程。
5.第2穿孔工程に連続して、第2穿孔工程により穿たれた浅穴の深さを保持した状態で、工具とワークが所定の開始孔の長さから工具径を減じた距離だけ第1移動加工工程と逆方向に相対移動する第2移動加工工程。
6.第2移動加工工程に連続して、当該逆方向に相対移動した位置から開始位置まで戻る第2工具上昇工程。
そして、実際の使用に際しては、NC装置(図示せず)からの指令により、移動部12が矢印D方向に駆動され、ワーク押さえ部11のワーク押さえ面15がワーク5’に近接しても、後述するように第2のエア噴射ノズル36からのワーク5’表面に対する高速のエアの噴射によって、ワーク押え面15とそれに対向するワーク5’表面との間にエア層が形成され、ワーク押さえ面15は非接触にて一定の間隔をもってワーク5’を押圧することとなる。16は加工によって生じた切粉をバキューム(図示せず)で吸引して回収するための排気ダクトである。尚、ワーク押さえ面15の外径は50mm、内径は10mmに設定されている。
尚、本実施例とは異なり、エア供給量の増加を問題としないのであれば、例えば第1の高圧エア17をワーク押さえ本体10内に導くエア供給通路19を1箇所とし、その代わりに、第1のエア噴射ノズル22a乃至22dに到るエア供給通路20を連絡させて、そこからそれぞれ4つのエア供給通路21を分岐させて構成してもよい。
尚、本実施例においては、第2のエア噴射ノズル36の数を外側8個、内側4個としたが、大きなワ−ク押え圧を必要としない場合には内側4個のみでも、第2の噴射エア流28によるワーク5’に対する押し圧として容易に5kg以上の押し圧を得ることが可能であり、その場合、ワーク押さえ部11の底面に段差を設ける等して、ワーク押さえ面15の外形を小さくすれば、より効率よくワーク5’を押圧することができる。
更に、第1のエア噴射ノズル22から噴射される第1の噴射エア流18の温度は直近のエア供給通路21と第1のエア噴射ノズル22の各直径の比に依存しており、エア供給通路21の径長を第1のエア噴射ノズル22のノズル直径の10倍にすると、第1の高圧エア17が室温で導入されても、断熱膨張効果により第1のエア噴射ノズル22から噴射される第1の噴射エア流18の温度は当該室温よりも20℃以上低下させることができる。
一方、第2のエア噴射ノズル34は、前記第1の実施例の場合と同様に放射線状に外側に8個、内側に4個、合計12個設けられているが、前記第1の実施例の場合と異なり、内側の4個の第2のエア噴射ノズル34は環状のエア供給通路33によって連結されるのではなく、それぞれ、外側の第2のエア噴射ノズル34を連絡する環状のエア供給通路31から直接に水平エア供給通路32を介して第2の高圧エア27の供給を受け、第2の噴射エア流28を噴射する。
また、図(b)に示すものは、図15に示す従来のリングブラシ117をワーク押さえとして利用するものであって、その四方に切欠部44を設けて、そこにそれぞれエア供給通路42を設置して、その先端に第1エア噴射ノズル43をそれぞれ設けてなるものである。
これらの構造をとることによって、ワーク5’に対する押圧の面では限度があるものの、工具3に対する切粉の融着防止には十分な効果を奏するものである。
先ず、図7乃至図9は実施例1記載のルーター加工装置α1を用いた請求項9記載の発明であるパターン加工の加工方法を示すものであり、ワーク本体5に対してパターン孔Rを形成するパターン加工の加工工程を示す。図7(a)は開始孔穿孔工程における穿孔工程とそれに連続する第1移動加工工程の開始状況を示す模式図であり、図7(b)は開始孔穿孔工程と、それに引き続き行なわれる切削加工工程の一部であるルート加工工程の開始状況を示す模式図であり、図7(c)は切削加工工程の一部であるシフト粗加工工程の加工中の状況を示す模式図であり、図7(d)は切削加工工程の一部である仕上げ加工工程の加工中の状況を示す模式図である。また、図8(a)乃至(d)及び(n)は、図7(a)及び(b)に対応する開始孔穿孔工程からルート加工工程開始時までの平面視における工程模式図であり、図9(a)乃至(d)及び(n)は図8(a)乃至(d)及び(n)にそれぞれ対応する側面視における工程模式図である。
図7(b)は、第1移動加工工程及びそれに引き続くルート加工工程の開始状況を示し、P2は第1移動加工工程終了時点及び第2穿孔加工時点並びに第2移動加工開始時点におけるとともに、それら開始孔穿孔工程に引き続くルート加工工程の開始時点における工具3の各軸心位置である。46は開始孔穿孔工程により形成される開始孔であり、この長さは切粉を吹き飛ばし、また、工具3自体を冷却するためにも4mm以上必要であるが、この長さを長くすれば、後述のように生産効率が低下することから、必要最小限度の長さとすれば足りる。そして、工具3の外に描かれた円周は、工具3の回転での加工による発熱範囲を示すための指示線であり、Lcbは後述するように冷却範囲であり、Lhbは発熱範囲である。
図7(c)は、ルート加工工程に引き続く、ワーク5に仕上げ加工のための仕上げシロ47を残して、仕様として要求されたパターン孔Rよりも1回り小さな孔を形成するシフト粗加工工程である。r・1はルート加工のルートを示し、r・2乃至r・4はシフト粗加工の各ルートを示す。ルート加工のなされるルートr・1はパターン孔Rの長尺方向に直線状に形成されるものであり、シフト粗加工となるルートr・2乃至r・4は、発熱範囲Lhcが冷却範囲Lccよりも小さくなっている。
図7(d)は、仕上げシロ47を除去する仕上げ加工工程を示している。P3は仕上げ加工の加工開始時点における工具3の軸心位置であり、r・1’乃至r・4’は仕上げ加工のルートであって、工具3の軸心位置はP3へ戻って来る。
第2に、上記第1穿孔工程に引き続き、回転する工具3は深さZ1を保った状態で、当板6からワーク本体5を貫通して下板7に到る長さLEを4mm以上とする直線状の開始孔46を形成するために、回転する工具3とワーク5’が一定速度で相対移動し、浅穴45位置から長さがLE、深さがZ1の第1孔48を形成する第1移動加工工程が行われる。この時、開始孔46の長さLEは、第1のエア噴射ノズル22からの第1の噴射エア流18によって切粉を吹き飛ばすとともに工具3を冷却するに足りる長さとして4mm以上、また、直線的に形成される必要がある。すなわち、図9(n)に示すように、工具3の近傍に吹き付けられた第1の噴射エア流18は開始孔46が存在することによって、工具3に直接吹き付けることとなる。しかしその一方、開始孔46の長さLEを長く設定すると、開始孔穿孔工程に時間を要して、全体のパターン加工に要する時間が長時間となることから、実際上、開始孔46の長さも合理的な範囲として6mm程度までに限定されることとなる。そのためここでは開始孔の長さLEを5mmとして穿孔した。図7(b)に示すP2は、第1移動加工工程が終了した際の工具3の軸心位置であり、工具3は第1移動加工工程において、P1の位置から、開始孔46の長さLEから工具径長を減じた距離だけ移動したこととなる。
第3に、上記第1移動加工工程に引き続き第1工具上昇工程として、回転する工具3は軸心位置P2を変動させることなく、一旦そのままワーク5’表面からの距離をZMとする位置まで垂直に上昇させられる。工具3がワーク5’表面から離れることによって、工具3は冷却される。この時、工具3には第1の噴射エア流18は直接吹き付けなくなるものの、工具3自体が回転している上、その第1の噴射エア流18による低温の空気の激しい動きが工具3を冷却する。
第4に、第1工具上昇工程に引き続き、工具3はワーク5’表面からの距離をZMとする位置から回転しながら下降して、図9(b)に示すように、深さZ1となっている第1孔48内の軸心位置P2に重合するとともに、更に深さをZ2とする浅穴45を形成する第2穿孔工程が行われる。尚、Z2もZ1と同じく0.25mmに設定されており、以下穴の深さZnはいずれも0.25mmである。
第5に、第2穿孔工程に引き続き、回転する工具3は深さZ2を保った状態で、回転する工具3とワーク5’が一定速度で相対移動し、第1穿孔工程における工具3の軸心位置P1まで前記第1移動加工工程と逆方向に移動して、第1孔48を深さZ2に掘り下げた第2孔49を形成する第2移動加工工程を行う。
第6に、第2移動加工工程に引き続き第2工具上昇工程として、回転する工具3は軸心位置P1を変動させることなく、一旦そのままワーク5’表面からの距離をZMとする位置まで上昇させられる。第1工具上昇行程と同じく、工具3がワーク5’表面から離れることによって、工具3は冷却される。
以下、上記第1乃至第6の工程を繰り返して、ワーク本体5を貫通し、下板7に到る開始孔46を形成する。このように1回の穿孔工程によって、0.25mmずつ穿孔するとともに、複数回の移動加工工程を経ることにより、長さLE5mmの開始孔46を穿孔した(尚、開始孔穿孔工程において必要となる穿孔回数を「切込み工程数」という。)。
加工速度の増加が切粉の融着との間で相関関係を有していても、工具3は回転しており冷却されることで切粉の融着が防止されることから、その冷却範囲の拡大は加工速度の増加を可能とする。そのため、ルート加工工程(ルートr・1)における加工速度(工具3のワーク5’に対する相対移動速度)よりもシフト粗加工工程(ルートr・2乃至r・4)における加工速度を速くすることが可能であり、更に、シフト粗加工工程における加工速度よりも仕上げ加工工程(ルートr・1’乃至r・4’)における加工速度を速くすることができる。
それ故、従来のルーター加工装置βと比べて、加工品質を向上させつつ、加工速度も増加させ加工効率を向上させることができるものである。
すなわち、ワーク5’は、厚さ0.05mmのプリプレグ25枚重ねをワーク本体5とし、フェノール製当板6、フェノール製下板7を使用した。各厚さは以下の通りである。(図10参照)
ワーク本体厚 Tw : 1.25mm (0.05mm×25)、
当板厚 Te : 0.4mm、
下板切込み量 Td : 0.3mm、
総加工深さ H : 1.95mm、
一方、ルーター加工装置α1の設定は以下の通りである。(尚、複数の数値が記載されたものは、その複数の数値のそれぞれに設定を変化させて、実験したものである。これは以下の記載においても同様である。)
工具3(2枚刃カッター)径D : 2mm、1.5mm、1.0mm、
第1のエア噴射ノズル22からの第1の噴射エア流18の噴射速度V : 800m/s、600m/s、400m/s、200m/s、
第1のエア噴射ノズル22の数 : 2、 4、 8、
各第1のエア噴射ノズル22からの第1の噴射エア流18の流量 : 6Lit/min、4.6Lit/min、3Lit/min、1.6Lit/min、
第2のエア噴射ノズル36からの第2噴射エア流28によるワーク5押し圧 : 5kg、10kg、
第1のエア噴射ノズル22からのワーク5’表面への第1の噴射エア流18の吹き付け角度θ(俯角) : 30°、45°、60°、
第1のエア噴射ノズル22からのワーク5’表面への第1の噴射エア流18の吹き付け位置Px : 工具3外周から0mm、1mm、2mm、
穿孔工程における切込み深さZn : 0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、
開始孔穿孔工程における切込み速度(穿孔速度) : 1mm/s、5mm/s、10mm/s、15mm/s、20mm/s、
穿孔工程開始位置且つ工具上昇工程における引上げ高さZM : 1mm、
開始孔46長さ LE : 3.5mm、4mm、4.5mm、5mm、
加工速度Va : 5mm/s、10mm/s、15mm/s、20mm/s、25mm/s、30mm/s、
工具回転数 : 10krpm、12.5krpm、15krpm、25krpm,30krpm,37.5krpm,45krpm,60krpm、
上記設定の下で、
第1に、穿孔工程における切込み深さZn、すなわち浅穴45の深さを0.2mmから0.5mmへ段階的に増加させるとともに、切込み速度や工具回転数その他の要素をそれぞれ変化させて、穿孔工程の加工を行った結果、0.5mmになると工具3に若干の切粉が付着しており、切込み深さは0.5mmが限界であることが判った。
第2に、開始孔46長さLEを5mmとして、開始孔穿孔工程における切込み速度、工具回転数、加工速度Vaその他の要素等をそれぞれ変化させて開始孔穿孔工程の加工を行った結果、いずれも工具3刃面への切粉融着やワーク5’加工部の溶融、下板7加工面での切粉残はなかった。
第3に、開始孔穿孔工程における切込み速度、工具回転数、加工速度Vaその他の要素等をそれぞれ変化させるとともに、前記開始孔46長さLEを3.5mmから5mmへ段階的に増加させ、更にその後、ルート加工を開始孔穿孔工程における加工速度と同じ速度で5mm行い、その時点における切粉の融着状況等を比較した。すると工具3径Dとも関連するが、開始孔46長さLEを3.5mmとするとワーク5’加工部の溶融、下板7加工面での切粉残りが若干生じ、開始孔41長さLEを4mm及び5mmとした場合には、工具3刃面への切粉融着がないことはもとより、ワーク5’加工部の溶融、下板7加工面での切粉残はなかった。このことから、開始孔穿孔工程に引き続きルート加工を行うのが通常であることから、開始孔46長さLEは4mm以上必要であることが判った。
第4に、第1のエア噴射ノズル22からの第1の噴射エア流18の吹き付け位置Pxを工具3外周から0mm、1mm及び2mmと変化させつつ、上記設定の範囲内で諸条件を変化させて開始孔穿孔工程を行ったところ、該エア流18の吹き付け位置Pxを工具3外周から2mmと設定した場合に、ワーク本体5加工部の溶融、下板7加工面での切粉残りが若干生じ、工具3外周から0mmあるいは1mmに設定した場合には、ワーク本体5加工部の溶融、下板7加工面での切粉残はなかった。このことから、第1のエア噴射ノズル22からの該エア流18の吹き付け位置Pxを工具3外周から1mmの範囲内とするのが適切であることが判った。
第5に、開始孔穿孔工程、ル−ト加工工程及びシフト粗加工工程においては、工具3の径に拘わらずその回転数を10乃至15krpmとすることが最も適正であり、また、仕上げ加工工程においては、工具3の径が1.0mmあるいは1.5mmの場合には工具3の回転数を45乃至60krpmし、また工具3の径が2.0mmの場合には30乃至45krpmとすることが最も適正であることが判った。
工具3(2枚刃カッター)径D : 2mm、
第1のエア噴射ノズル36、37からの第1の噴射エア流38、39の噴射速度V : 800m/s、
第1のエア噴射ノズル36、37の数 : 8(2×4)、
第1のエア噴射ノズル36、37からの第1の噴射エア流38、39の流量 : 6Lit/min、
第2のエア噴射ノズル34からの第2の噴射エア流28によるワーク5押し圧 : 10kg、
第1のエア噴射ノズル36、37からのワーク5’表面への第1の噴射エア流38、39の吹き付け角度θ(俯角) : 45°、
第1のエア噴射ノズル36、37からのワーク5’表面への第1の噴射エア流39、39の吹き付け位置Px : 工具3外周から0mm、
穿孔工程における切込み深さZn : 0.25mm、
切込み速度(穿孔速度) : 10mm/s、
穿孔工程開始位置且つ工具上昇工程における引上げ高さZM : 1mm、
開始孔46長さ LE : 5mm、
開始孔穿孔工程における加工速度 Va : 10mm/s、
開始孔穿孔工程における工具回転数 : 12.5krpm、
以上の設定の上で、更に、ルート加工工程の加工速度と工具回転数を以下の通り変化させて、図7(c)に示すように10mmのルート加工(ルートr・1)を行った。
ケース1
加工速度Vb : 5mm/s、10mm/s、15mm/s、20mm/s、25mm/s、30mm/s、
工具回転数Rs : 12.5krpm、
ケース2
加工速度Vb : 同上
工具回転数Rs : 25krpm、
ケース3
加工速度Vb : 同上
工具回転数Rs : 37.5krpm、
その結果、図12に示すグラフに記載のように、加工速度15mm/s以下の範囲では、いずれの工具回転数であっても、ワーク本体5の1枚目の加工面の粗さは50μm以下であり、25枚目でも加工面の粗さ125μm以下という結果が得られ、また、その際、いずれも工具3刃面への切粉の融着はみられなかった。現在、ワーク本体5の加工に際して要求される加工面の粗さは200μm以下であり、該ルーター加工装置α2においては、その実用限界値となる加工面の粗さは200μmに対して十分な余裕を持った数値を得ることができた。また、加工速度15mm/s以上の範囲では、いずれの工具回転数Rsにおいても工具3刃面への切粉の融着はみられないが、工具回転数Rsが37.5krpmになると、工具3への切粉付着が僅かであるがみられるとともに、ワーク本体5の1枚目の加工面の粗さは50μm以下で変わらないものの、加工速度が20mm/s以上では、25枚目の加工面の粗さが150μmに達した。また、工具回転数Rsが25krpmでは、同じくワーク本体5の1枚目の加工面粗さは50μm以下で変わらないものの、加工速度が25mm/s以上では25枚目の加工面の粗さが150μmに達した。しかし、それでも実用限界値である200μm以下であり、仕上げ加工の必要はないこととなる。以上の結果、実施例2に記載のルーター加工装置α2を使用して開始孔穿孔工程に引き続きルート加工工程を行った場合、ワーク本体5として25枚のプリプレグを重ねた上で、それを加工すると、重ねられた全部について、仕上げ加工を必要としない程度の加工品質を得ることができ、また、加工速度を向上させることができることが明かとなった。
ちなみに、従来のルーター加工装置βにおいては、ワーク本体5の形成としてプリプレグを20枚重ねて加工するのが加工限度であり、しかもその場合に工具に切粉の融着のない加工速度は2mm/sが限度であった。しかもその場合であっても、仕上げ加工前における加工部の面粗さが300μmに達したり、ワーク本体5の加工部が溶融したりすることもあり、加工品質が一定しなかった。
加工速度Vc : 10mm/s、
工具回転数Rs : 12.5krpm、
ルートシフト量Sr : 0.6mm、0.8mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、
その結果、図13に示すグラフに記載のように、ルートシフト量Srが1.4mm以下の範囲で、ワーク本体5の1枚目の加工面の粗さは50μm以下であり、25枚目でも加工面の粗さ125μm以下という結果が得られ、またその際、いずれも工具3に切粉詰りや融着はみられず、ワーク本体5の加工部での溶融もみられなかった。一方、ルートシフト量Srを1.6mmとすると、ワーク本体5の1枚目の加工面の粗さは50μm以下で変わらないものの、25枚目の加工面の粗さは150μmとなり、更にルートシフト量Srを1.8mmとすると、25枚目の加工面の粗さは200μmとなった。その結果、前述のように現在ワーク本体5の加工に対して要求される加工面の粗さは200μm以下であって、実用においてはその加工面の粗さ200μmという数値に対して一定の余裕が必要であることから、ルートシフト量Srは1.6mm以下が実用における適正な範囲ということが判る。
ちなみに、従来のルーター加工装置βにおいては、シフト粗加工工程終了時点でワーク本体5の加工面の面粗さを200μm以下にするためには、シフト粗加工の加工速度は10mm/sに、またルートシフト量Srは0.4mm以下に制約されるため、上記の結果からすれば、ルートシフト量を4倍まで拡大できる上、加工速度も増大できることから、加工時間が大幅に短縮できることとなる。更に、工具3に切粉の詰まりや切粉の融着がなく、工具3自体の摩耗も大幅に減少することから、加工コストの低減も図ることができる。
ルート加工工程及びシフト粗加工工程の設定
加工速度Vb、Vc : 10mm/s、
工具回転数Rs : 12.5krpm、
シフト粗加工におけるルートシフト量Sr : 1.0mm、
仕上げ加工工程の設定
加工速度Vd : 5mm/s、
工具回転数Rs : 45krpm、
仕上げシフト量Sf : 0.025mm、0.05mm、0.075mm、0.100mm、0.125mm、0.15mm、
その結果、図14に示すグラフに記載のように、仕上げシフト量Sfが0.025乃至0.100mmの範囲では、ワーク本体5として重ねられたプリプレグの25枚目の加工面の粗さは、仕上げ加工前が125μmであったところ、仕上げシフト量Sfの増加に応じて小さくなり、仕上げシフト量Sfが0.100〜0.15mmの範囲では、重ねられたプリプレグの25枚目の加工面の粗さは50μm以下となることが判った(尚、いずれの場合においても、重ねられたプリプレグの1枚目の加工面の粗さは、既にシフト粗加工終了時点で50μm以下となっており、仕上げシフト量Sfが0.100〜0.15mmの範囲では、重ねられたプリプレグの1枚目から25枚目までの全てについて、加工面の粗さを50μm以下とすることができることになる。)。また、この仕上げ加工後においても、工具3の刃面に切粉詰りや融着はなく、また、ワーク本体5の加工部にも溶融はなかった。また、加工速度Vdが10mm/sの場合にも同様の結果がえられた。
従って、仕上げシフト量Sfを0.100〜0.15mmに設定すれば、パターン加工の加工精度を50μm以下の誤差の範囲にすることができ、精度のよい内蔵部品の実装が可能となる。
それ故、第1のエア噴射ノズル36、37の作動を加工の進行方向に応じて電磁弁35によって切り換えることにより、エア消費量を2分の1以下に低減させることができる。
記
・第2実施例記載のルーター加工装置α2においては、
ワーク本体厚 Tw : 1.25mm (0.05mm×25枚)、
当板厚 Te : 0.4mm(フェノール製)、
下板切込み量 Td : 0.3mm(フェノール製)、
総加工深さ H : 1.95mm、
・従来のルーター加工装置βにおいては、
ワーク本体厚 Tw : 1.00mm (0.05mm×20枚)、
(従来のルーター加工装置βにおいては、仕上げ加工後の加工面粗さを200μm以下に仕上げるためには、プリプレグの重ね枚数を20枚以下とする必要があるため、ここでは20枚重ねとした。)
当板厚 Te : 0.4mm(フェノール製)、
下板厚 : 1.0mm(フェノール製)、
そのそれぞれに、下記2種類のパターン孔を、
パターン孔R1: 15mm×3.6mmの略長方形のパターン孔、
パターン孔R2: 15mm×3.4mmの略長方形のバターン孔、
従来のルーター加工装置βを用いて従来のパターン加工工程により形成するのに要する時間と、第2実施例記載のルーター加工装置α2を用いて実施例4に記載のパターン加工工程により形成するのに要する時間とを比較した。尚、いずれも工具3は2枚刃カッターで、直径は2mmとした。
記
・貫通孔形成工程において、
切込み速度 : 1mm/s、
工具回転数Rsa’ : 12.5krpm、
切込み深さ : 0.2mm、
切込みステップ数 : 11
・ルート加工工程において、
加工速度Vb : 1mm/s、
工具回転数Rsb’ : 12.5Krpm、
ルート加工長 : 11.4mm、
・シフト粗加工工程において、
加工速度Vc : 2mm/s、
工具回転数Rsc’ : 12.5krpm、
ルートシフト量Sr’ : 0.35mm、
シフト粗加工長 : 54mm、
(パターン孔R1におけるル−ト数 : 9)
・仕上げ加工工程において、
加工速度Vd : 5mm/s、
工具回転数Rsd’ : 30krpm、
仕上げシフト量Sf’ : 0.10mm、
仕上げ加工長 : 29.2mm、
尚、これらの加工速度、工具回転数及び(ルート及び仕上げ)シフト量は、工具3への切粉の融着を阻止しつつ、仕上げ加工後の加工対象物たるブリプレグの加工面粗さを実用限界値である200μm以下とし、しかも最速で加工するための限界値である。
その結果、パターン加工工程の総所要時間は69.5秒であり、個々の工程に要した時間は以下の通りであった。
貫通孔形成工程 : 25.3秒、
ルート加工工程 : 11.4秒、
シフト粗加工工程 : 27秒、
仕上げ加工工程 : 5.8秒、
記
シフト粗加工工程におけるルートシフト量Sr’を0.4mm(パターン孔R2のル−ト数 : 7)とする以外は、パターン孔R1を形成する場合と同じ。(このルートシフト量の変更は、パターン孔の短尺方向の変化に伴うものである。すなわち、パターン孔の短尺方向の寸法から仕上げシフト量の2倍を減じた寸法が短尺方向におけるルート加工工程及びシフト粗加工工程による加工寸法であり、ルートシフト量はルーター加工装置の作動を制御するNC装置によって事前に設定され、一連の加工工程においては、装置の作動を停止しない限り変更が不可能となっている。そのため、パターン孔を形成するに際しては、最も合理的な設定として、ルートシフト量の整数倍と工具径の合計が当該加工寸法となるようにルートシフト量が設定されることとなる。但し、200μm以下という仕様として要求される加工面粗さを従来のルーター加工装置βにおいて充足するためには、ルートシフト量は0.4mm以下に限定されることから、本件ではその範囲内でのパターン孔R1とパターン孔R2それぞれにおける最大のルートシフト量を設定したものである。また、ルートシフト量の変更によって、当然にルート数も変更となる。)
その結果、パターン加工の総所要時間は63.9秒であり、個々の工程に要した時間は以下の通りであった。
貫通孔形成工程 : 25.3秒、
ルート加工工程 : 12秒、
シフト粗加工工程 : 20.8秒、
仕上げ加工工程 : 5.8秒、
記
第1のエア噴射ノズル36、37からの第1の噴射エア流38、39の噴射速度V : 各800m/s、
第1のエア噴射ノズル36、37の数 : 8(2×4)、
第1のエア噴射ノズル36、37からの第1の噴射エア流38、39の流量 : 60Lit/min 、
第2のエア噴射ノズル34からの第2の噴射エア流28によるワーク5’押し圧 : 10kg
第1のエア噴射ノズル36、37からのワーク5’表面への第1の噴射エア流 38、39の吹き付け角度θ(俯角) : 45°
第1のエア噴射ノズル36、37からのワーク5’表面への第1の噴射エア流38、39の吹き付け位置Px : 工具3外周から0mm、
上部エア噴射ノズル36と下部エア噴射ノズル37の距離LN : 1mm、
・開始孔穿孔工程において、
穿孔工程における切込み深さZn : 0.25mm、
穿孔工程における切込み速度 : 10mm/s、
穿孔工程開始位置且つ工具上昇工程における引上げ高さZM : 1mm、
開始孔46長さ LE : 5mm、
加工速度Va : 10mm/s、
工具回転数Rsa : 12.5krpm、
切込み工程数 : 8、
・ルート加工工程において、
加工速度Vb : 10mm/s、
工具回転数Rsb : 12.5Krpm、
ルート加工長 : 9.8mm、
・シフト粗加工工程において、
加工速度Vc : 10mm/s、
工具回転数Rsc : 12.5krpm、
ルートシフト量Sr : 1.4mm、
シフト粗加工長 : 15.6mm、
・仕上げ加工工程において、
加工速度Vd : 10mm/s、
工具回転数Rsd : 45krpm、
仕上げシフト量Sf : 0.10mm、
仕上げ加工長 : 29.2mm、
その結果、パターン加工の総所要時間は10.2秒であり、個々の工程に要した時間は以下の通りであった。
開始孔穿孔工程 : 4.7秒、
ルート加工工程 : 1.0秒、
シフト粗加工工程 : 1.6秒、
仕上げ加工工程 : 2.9秒、
記
シフト粗加工工程におけるシフト量Srを1.2mmとする以外は、パターン孔R1を形成する場合と同じ。(このシフト量の変更は、パターン孔の短尺方向の変更に伴うものである。)
その結果、パターン加工の総所要時間は10.1秒であり、個々の工程に要した時間は以下の通りであった。
穿孔工程 : 4.7秒、
ルート加工工程 : 1.0秒、
シフト粗加工工程 : 1.5秒、
仕上げ加工工程 : 2.9秒、
2 ロータシャフト
3 工具
4 加工部キャビティ
5 ワーク本体
5’ ワーク
6 当板
7 下板
8 ワーク加工済部
9 リング
10 ワーク押さえ本体
11 ワーク押さえ部
12 移動部
13 エアシリンダ
14 ガイドロッド
15 ワーク押さえ面
16 排気ダクト
17、17a、17b、17c、17d、 第1の高圧エア
18 第1の噴射エア流
19、19a、19b、19c、19d、 エア供給通路
20 エア供給通路
21 エア供給通路
21’拡幅されたエア供給通路
22、22a、22b、22c、22d、 第1のエア噴射ノズル
23 リングブラシ
24 第2のキャビティ
25 窓
26 エア流
27 第2の高圧エア
28 第2の噴射エア流
29 エア供給通路
30 エア供給通路
31 環状のエア供給通路
32 水平エア供給通路
33 エア供給通路
34 第2のエア噴射ノズル
35 電磁弁
36 上部エア噴射ノズル
37 下部エア噴射ノズル
38 第1の噴射エア流
39 第1の噴射エア流
40 ワーク押さえリング
41 切欠部
42 エア供給通路
43 第1エア噴射ノズル
44 切欠部
45 浅穴
46 開始孔
47 仕上げシロ
48 第1孔
49 第2孔
101 スピンドル
102 ローターシャフト
103 工具
104 加工部キャビティ
105 ワーク本体
105’ ワーク
106 当板
107 下板
108 リング
109 台板
110 切粉排出部
111 ワーク加工済部
112 移動部
113 エアシリンダ
114 ガイドロッド
115 バキュームダクト
116 ワーク押さえ本体
117 リングブラシ
118 エア流
A ワーク押さえ機構
B (従来の)ワーク押さえ機構
α1 ルーター加工装置
α2 ルーター加工装置
β (従来の)ルーター加工装置
P1、P2、P3 軸心位置
P1’、P2’、P3’ 軸心位置
R パターン孔
Q パターン孔
記
第1のエア噴射ノズル36、37からの第1の噴射エア流38、39の噴射速度V : 各800m/s、
第1のエア噴射ノズル36、37の数 : 8(2×4)、
第1のエア噴射ノズル36、37からの第1の噴射エア流38、39の流量 : 60Lit/min 、
第2のエア噴射ノズル34からの第2の噴射エア流28によるワーク5’押し圧 : 10kg
第1のエア噴射ノズル36、37からのワーク5’表面への第1の噴射エア流 38、39の吹き付け角度θ(俯角) : 45°
第1のエア噴射ノズル36、37からのワーク5’表面への第1の噴射エア流38、39の吹き付け位置Px : 工具3外周から0mm、
上部エア噴射ノズル36と下部エア噴射ノズル37の距離LN : 1mm、
・開始孔穿孔工程において、
穿孔工程における切込み深さZn : 0.25mm、
穿孔工程における切込み速度 : 10mm/s、
穿孔工程開始位置且つ工具上昇工程における引上げ高さZM : 1mm、
開始孔46長さ LE : 5mm、
加工速度Va : 10mm/s、
工具回転数Rsa : 12.5krpm、
切込み工程数 : 8、
・ルート加工工程において、
加工速度Vb : 10mm/s、
工具回転数Rsb : 12.5Krpm、
ルート加工長 : 9.8mm、
・シフト粗加工工程において、
加工速度Vc : 10mm/s、
工具回転数Rsc : 12.5krpm、
ルートシフト量Sr : 1.4mm、
シフト粗加工長 : 15.6mm、
・仕上げ加工工程において、
加工速度Vd : 10mm/s、
工具回転数Rsd : 45krpm、
仕上げシフト量Sf : 0.10mm、
仕上げ加工長 : 29.2mm、
その結果、パターン加工の総所要時間は11.1秒であり、個々の工程に要した時間は以下の通りであった。
開始孔穿孔工程 : 5.6秒、
ルート加工工程 : 1.0秒、
シフト粗加工工程 : 1.6秒、
仕上げ加工工程 : 2.9秒、
記
シフト粗加工工程におけるシフト量Srを1.2mmとする以外は、パターン孔R1を形成する場合と同じ。(このシフト量の変更は、パターン孔の短尺方向の変更に伴うものである。)
その結果、パターン加工の総所要時間は11.0秒であり、個々の工程に要した時間は以下の通りであった。
開始孔穿孔工程 : 5.6秒、
ルート加工工程 : 1.0秒、
シフト粗加工工程 : 1.5秒、
仕上げ加工工程 : 2.9秒、
Claims (11)
- 加工用スピンドルの組み込まれたルーター加工装置もしくは穴明け装置における、排気ダクトを有して、該スピンドルの軸心と平行方向に移動自在、且つワークに対して押圧自在となるワーク押さえ機構であって、加工用スピンドルに把持された工具の外周近傍のワーク表面に対して高速のエアを吹き付ける第1のエア噴射ノズルを有する第1のエア噴射機構を設け、該第1のエア噴射ノズルが、平面視において、少なくとも加工用スピンドル先端に把持された工具を中心とする直線上に1対設けられてなるワーク押さえ機構。
- 各第1のエア噴射ノズル毎にエアを噴射及び停止自在とする機構を設けてなる請求項1記載のワーク押さえ機構。
- 第1のエア噴射ノズルから噴射されるエアを超音速としてなる請求項1あるいは請求項2のいずれかに記載のワーク押さえ機構。
- 第1のエア噴射機構を構成するエア供給通路の径を、それに続く第1のエア噴射ノズルの径の10倍以上としてなる、請求項1から請求項3のいずれかに記載のワーク押さえ機構。
- ワークに向けて高速のエアを吹き付ける第2のエア噴射機構を有し、該第2のエア噴射機構を構成する第2のエア噴射ノズルをワーク対向面に複数設けて、そのワークに吹き付けるエアにより形成されるエア層を介してワーク押さえ部を形成してなる請求項1から請求項4のいずれかに記載のワーク押さえ機構。
- 平面視において、ワーク押さえ機構の底面を円形とし、ワーク押さえ機構を構成するワーク押さえ部を環状に設けてその内側に加工用スピンドルの工具が作動する加工部キャビティを設けるとともに、ワーク押さえ部の外側に環状にブラシを設けて、ワーク押さえ部との間に第2のキャビティを設け、該第2のキャビティに面して複数の換気孔を設けてなる請求項5記載のワーク押さえ機構。
- 請求項1から請求項6のいずれかに記載のワーク押さえ機構を有するルーター加工装置もしくは穴明け装置。
- 請求項7記載のルーター加工装置を用いた、長尺方向長さが4mmを超えるパターン孔を形成するパターン加工の加工方法であって、工具となるカッターを作動させて、第1に、ワーク本体を貫通するとともに、平面視において4mm以上且つ当該パターン孔の長尺方向長さより短い長さの直線状の開始孔をワークのパターン孔形成位置内に穿つ開始孔穿孔工程を行い、第2に、該開始孔の長尺方向先端部にカッターがワーク本体を貫通した状態から、ワークの切削加工を行う切削加工工程を行うものであって、開始孔穿孔工程として下記加工工程を複数回採るパターン加工の加工方法。
記
1.ワーク表面よりも高い開始位置から工具が下降して、ワーク本体表面に浅穴を形成する穿孔工程。
2.穿孔工程に連続して、当該浅穴の深さを保持した状態で、工具とワークが所定の開始孔の長さから工具径を減じた距離だけ直線的に相対移動する移動加工工程。
3.移動加工工程に連続して、工具が開始位置へ戻る工具戻り工程。 - 請求項8記載の開始孔穿孔工程に代えて、下記加工工程を複数回採るパターン加工の加工方法。
記
1.ワーク表面よりも高い開始位置から工具が下降して、ワーク本体表面に浅穴を形成する第1穿孔工程。
2.第1穿孔工程に連続して、当該浅穴の深さを保持した状態で、工具とワークが所定の開始孔の長さから工具径を減じた距離だけ直線的に相対移動する第1移動加工工程。
3.第1移動加工工程に連続して、当該相対移動した位置から開始位置と同じ高さまで戻る第1工具上昇工程。
4.第1工具上昇工程に連続して、当該上昇位置から工具が下降して、前記2の相対移動した位置に、更に浅穴を形成する第2穿孔工程。
5.第2穿孔工程に連続して、第2穿孔工程により穿たれた浅穴の深さを保持した状態で、工具とワークが所定の開始孔の長さから工具径を減じた距離だけ第1移動加工工程と逆方向に相対移動する第2移動加工工程。
6.第2移動加工工程に連続して、当該逆方向に相対移動した位置から開始位置まで戻る第2工具上昇工程。 - 請求項7記載のルーター加工装置を用いた、長尺方向長さが4mm以下のパターン孔を形成するパターン加工の加工方法であって、工具となるカッターを作動させて、少なくとも、ワーク本体を貫通するとともに、平面視において当該パターン孔の長尺方向長さと等しい長さの直線状の開始孔をワークのパターン孔形成位置内に穿つ開始孔穿孔工程を有し、該開始孔穿孔工程として下記AあるいはBのいずれかの加工工程を複数回採るパターン加工の加工方法。
A
1.ワーク表面よりも高い開始位置から工具が下降して、ワーク本体表面に浅穴を形成する穿孔工程。
2.穿孔工程に連続して、当該浅穴の深さを保持した状態で、工具とワークが所定の開始孔の長さから工具径を減じた距離だけ直線的に相対移動する移動加工工程。
3.移動加工工程に連続して、工具が開始位置へ戻る工具戻り工程。
B
1.ワーク表面よりも高い開始位置から工具が下降して、ワーク本体表面に浅穴を形成する第1穿孔工程。
2.第1穿孔工程に連続して、当該浅穴の深さを保持した状態で、工具とワークが所定の開始孔の長さから工具径を減じた距離だけ直線的に相対移動する第1移動加工工程。
3.第1移動加工工程に連続して、当該相対移動した位置から開始位置と同じ高さまで戻る第1工具上昇工程。
4.第1工具上昇工程に連続して、当該上昇位置から工具が下降して、前記2の相対移動した位置に、更に浅穴を形成する第2穿孔工程。
5.第2穿孔工程に連続して、第2穿孔工程により穿たれた浅穴の深さを保持した状態で、工具とワークが所定の開始孔の長さから工具径を減じた距離だけ第1移動加工工程と逆方向に相対移動する第2移動加工工程。
6.第2移動加工工程に連続して、当該逆方向に相対移動した位置から開始位置まで戻る第2工具上昇工程。 - ワーク本体がプリプレグのシートの重ね層からなり、開始孔穿孔工程における各浅穴の深さを0.5mm以下としてなる請求項8から請求項10のいずれかに記載のパターン加工の加工方法。
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