JP2014187625A - 音声信号処理装置、音響装置、音声信号処理装置の制御方法、およびプログラム - Google Patents
音声信号処理装置、音響装置、音声信号処理装置の制御方法、およびプログラム Download PDFInfo
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Abstract
【課題】聴覚上、音質へ影響を及ぼすことなく、安定した省電力化を実現可能な音声信号処理装置、音響装置、音声信号処理装置の制御方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】音声信号の振幅エンベロープの極大点P01より、音声信号の単位時間当たりの変化量である第1の変化量から単位時間当たりの変化量である第2の変化量を算出し、算出した第2の変化量が負の領域から正の領域へ変化した時点を開始点P02として、音声信号の振幅を低減する低減区間を決定する低減区間決定部22と、低減区間決定部22により決定された低減区間に対し、音声信号の振幅低減制御を行う振幅制御部25と、振幅制御部25により処理された音声信号を出力する音声信号出力部26と、を備える。
【選択図】図2
【解決手段】音声信号の振幅エンベロープの極大点P01より、音声信号の単位時間当たりの変化量である第1の変化量から単位時間当たりの変化量である第2の変化量を算出し、算出した第2の変化量が負の領域から正の領域へ変化した時点を開始点P02として、音声信号の振幅を低減する低減区間を決定する低減区間決定部22と、低減区間決定部22により決定された低減区間に対し、音声信号の振幅低減制御を行う振幅制御部25と、振幅制御部25により処理された音声信号を出力する音声信号出力部26と、を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、スピーカーアンプの消費電力を低減するための音声信号処理を行う音声信号処理装置、音響装置、音声信号処理装置の制御方法、およびプログラムに関するものである。
近年、国内外を問わず、音響装置をワイヤレスで使用する要望が高い。しかしながら、その反面バッテリーの駆動時間において満足を得るものがないという現状がある。そこで、バッテリーの駆動時間の延長を図るべく、スピーカーアンプの消費電力を低減するための技術が各種提案されている。例えば、特許文献1では、オーディオ信号を増幅するスピーカー駆動用アンプと、スピーカー駆動用アンプの出力により駆動されるスピーカーと、を備え、オーディオ信号からスピーカーが再生可能な周波数帯域外のオーディオ信号をカットし、スピーカーの再生可能な周波数帯域に制限されたオーディオ信号をスピーカー駆動用アンプへ入力するように構成したスピーカシステムが提案されている。特許文献1では、このようにスピーカーの再生可能周波数帯域に合わせてオーディオ信号を帯域制限することで、スピーカーの無駄な駆動を抑え、消費電力を低減している。
ところが、昨今の電池駆動されるアクティブ・スピーカシステムでは、スピーカーの再生可能周波数帯域に合わせ、元々オーディオ信号を帯域制限してからアンプに入力している場合が多い。このような場合、上記特許文献1の技術では、効果を発揮することができない。また、特許文献1以外にも、消費電力の低減を図る技術が各種提案されているが、音質を犠牲にしてしまうなどの課題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑み、聴覚上、音質へ影響を及ぼすことなく、安定した省電力化を実現可能な音声信号処理装置、音響装置、音声信号処理装置の制御方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
本発明の音声信号処理装置は、音声信号の振幅エンベロープの極大点より、音声信号の単位時間当たりの変化量である第1の変化量から単位時間当たりの変化量である第2の変化量を算出し、算出した第2の変化量が負の領域から正の領域へ変化した時点を開始点として、音声信号の振幅を低減する低減区間を決定する低減区間決定部と、低減区間決定部により決定された低減区間に対し、音声信号の振幅低減制御を行う振幅制御部と、振幅制御部により処理された音声信号を出力する音声信号出力部と、を備えることを特徴とする。
上記の音声信号処理装置において、低減区間および低減区間における振幅低減量は、振幅エンベロープの極大点と開始点とのレベル差により決定されることを特徴とする。
上記の音声信号処理装置において、低減区間決定部は、開始点から所定時間経過後の時点を低減区間の終了点とすることを特徴とする。
上記の音声信号処理装置において、振幅制御部は、振幅エンベロープの振幅値が、極大点の振幅値から所定値以下の値まで下がった時点が存在する場合、振幅低減制御を行うことを特徴とする。
上記の音声信号処理装置において、音声信号を周波数分割する帯域分割部をさらに備え、低減区間決定部は、帯域分割部により分割された周波数帯域ごとに低減区間を決定し、振幅制御部は、周波数帯域ごとに分割された低減区間のそれぞれに対して、振幅低減制御を行うことを特徴とする。
本発明の音響装置は、上記の音声信号処理部における各部と、振幅制御部による振幅低減制御後の音声信号を増幅する増幅部と、を備えたことを特徴とする。
本発明の音声信号処理装置の制御方法は、音声信号の振幅エンベロープの極大点より、音声信号の単位時間当たりの変化量である第1の変化量から単位時間当たりの変化量である第2の変化量を算出し、算出した第2の変化量が負の領域から正の領域へ変化した時点を開始点として、音声信号の振幅を低減する低減区間を決定する低減区間決定ステップと、低減区間決定ステップにより決定された低減区間に対し、所定の振幅低減量に基づいて音声信号の振幅低減制御を行う振幅低減ステップと、を実行することを特徴とする。
本発明のプログラムは、コンピューターに、上記の音声信号処理装置の制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
[第1実施形態]
以下、本発明の一実施形態に係る音声信号処理装置、音響装置、音声信号処理装置の制御方法、およびプログラムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、第1実施形態に係る音響装置1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、音響装置1は、入力端子11、音声信号処理部12、パワーアンプ部13(増幅部)、電源部14およびスピーカー15を備えている。
以下、本発明の一実施形態に係る音声信号処理装置、音響装置、音声信号処理装置の制御方法、およびプログラムについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、第1実施形態に係る音響装置1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、音響装置1は、入力端子11、音声信号処理部12、パワーアンプ部13(増幅部)、電源部14およびスピーカー15を備えている。
入力端子11は、プレーヤーまたはパーソナルコンピューター等の外部機器から、音声信号を入力する。なお、USBメモリーまたはSDメモリーカード等の外部記憶媒体から、音声信号を取得可能な構成としても良い。
音声信号処理部12は、入力された音声信号に対し、解析処理および信号処理を行う。請求項における「音声信号処理装置」は、当該音声信号処理部12に相当する。
パワーアンプ部13は、信号処理された音声信号を増幅する。本実施形態では、当該パワーアンプ部13における電力消費量を低減(抑制)することを課題としている。そのため、上記の音声信号処理部12は、音声信号の振幅値(振幅レベル(信号レベル))を低減するための振幅低減制御を行う。詳細については、後述する。
電源部14は、音声信号処理部12およびパワーアンプ部13に対し、電力供給を行う。なお、電源部14は、電池(バッテリー)であっても良いし、商用電源からの電力を供給するものであっても良い。また、音声信号処理部12およびパワーアンプ部13のみならず、スピーカー15に対しても電力供給を行う構成としても良い。
スピーカー15は、増幅された音声信号を出力する。なお、スピーカー15としては、アンプ内蔵型のアクティブ・スピーカーを用いても良い。また、スピーカー15に代えて、ヘッドフォンまたはイヤフォンを用いても良い。
次に、図2を参照し、音声信号処理部12の構成について、詳細に説明する。なお、本実施形態では、音声信号処理部12により、入力された音声信号に対して解析処理を行い、その解析結果に基づいてリアルタイムに信号処理を行うものとする。つまり、これらの解析処理および信号処理を、スピーカー15による音声信号の再生と同期しながら行うものとする。
同図に示すように、音声信号処理部12は、音声信号取得部21と、低減区間決定部22と、アッテネーション係数算出部23と、ディレイ部24と、振幅制御部25と、音声信号出力部26と、から成る。音声信号取得部21は、入力端子11から入力された音声信号を取得する。また、音声信号出力部26は、後述の振幅制御部25による振幅低減制御後の音声信号をパワーアンプ部13に出力する。
低減区間決定部22は、音声信号取得部21により取得した音声信号の振幅エンベロープに基づいて、振幅低減の対象となる低減区間を決定するものであり、振幅検出部31、極大検出部32、振幅低減可否判定部33、低減区間開始決定部34および低減区間終了決定部35を含む。なお、本実施形態では、聴覚心理現象の1つであるマスキング現象、具体的には、経時マスキングの順向マスキング(forward masking)を利用して振幅低減制御を行う。よって、低減区間決定部22では、振幅エンベロープにおいて振幅値(振幅レベル)が大きい部分(マスカー)の後に続く、振幅値が相対的に小さく聴感上知覚されにくい部分(マスキー)を低減区間として決定し、この低減区間に対して振幅低減制御を行う。
振幅検出部31は、音声信号の振幅を検出する。なお、「振幅を検出する」とは、振幅値および振幅エンベロープを検出することを意味する。また、「振幅エンベロープ」とは、振幅波形W(図3参照)の絶対値を指す。つまり、振幅のマイナス値について反転させて、振幅のプラス値と合わせ、その最大値を結んだ曲線を指す。
極大検出部32は、振幅エンベロープの極大点、および極大点における振幅値(以下、「極大値」ともいう)を検出する。なお、「極大点」とは、振幅エンベロープの、時間軸上における極大位置を指す。例えば、図3に示す振幅エンベロープ(図示、実線太線)の場合、極大検出部32は、振幅エンベロープが極大となるポイントP01と、その振幅値を検出する。
振幅低減可否判定部33は、振幅低減制御を実行するか否かを判定する。具体的には、振幅エンベロープにおいて、振幅値が極大値から6dB(所定値)以下の値まで下がった時点が存在する場合、後述する低減区間開始決定部34および低減区間終了決定部35により決定される低減区間に対して振幅低減制御を実行すると判定する。一方、振幅エンベロープにおいて、振幅値が極大点の振幅値から6dB(所定値)以下の値まで下がった時点が存在しない場合は振幅低減制御を実行しないと判定する。すなわち、振幅低減可否判定部33により振幅低減制御を実行すると判定した場合のみ、以下で説明する低減区間開始決定部34、低減区間終了決定部35、アッテネーション係数算出部23、ディレイ部24および振幅制御部25の処理が実行される。なお、振幅低減の実行可否を判定するための閾値である所定値は、上記の6dBに限らず、任意に設定可能である。
低減区間開始決定部34は、振幅低減制御の対象となる低減区間の開始点を決定する。この開始点の決定は、振幅エンベロープの極大点より音声信号の単位時間当たりの変化量(以下、「第1の変化量」と称す)を算出し、算出した第1の変化量から単位時間当たりの変化量(以下、「第2の変化量」と称す)を算出する。そして、算出した第2の変化量が負の領域から正の領域に変化した時点を開始点(変曲点)として決定する。すなわち、振幅エンベロープにおける2次微分値(2階微分値)の変化量が負から正に変化した時点、言い換えれば、振幅エンベロープが極大点から徐々に下降していき、極大点以降でその勾配が最初に緩んだ時点を開始点として決定する。図3に示す例の場合、ポイントP02を、低減区間の開始点として決定する。
低減区間終了決定部35は、振幅低減制御の対象となる低減区間の終了点を決定する。この低減区間終了決定部35は、振幅低減制御を実行する時間(以下、「振幅低減時間」と称す)を算出することで低減区間の終了点を決定する。すなわち、低減区間開始決定部34で決定された開始点から振幅低減時間経過後の時点を低減区間の終了点として決定する。図3に示す例の場合、ポイントP03を、低減区間の終了点として決定する。
この振幅低減時間は、極大点と開始点の振幅レベル(振幅値)のレベル差に基づいて算出される。具体的には、計算式(1)により算出される。
振幅低減時間[ms]
=16×SQRT(極大点と開始点の振幅レベルの差)・・・(1)
すなわち、極大点と開始点との振幅レベルのレベル差が大きければ大きい程、振幅低減時間は長くなり、レベル差が小さければ小さい程、振幅低減時間は短くなる。但し、計算式(1)で算出した振幅低減時間が200ms(所定時間)を超える場合、低減区間終了決定部35は、開始点から振幅低減時間が200ms経過後の時点を終了点として決定する(言い換えれば、振幅低減時間を200msに制限する)。これは、一般的に順向マスキングの効果時間の限度が200ms程度であるからである。
振幅低減時間[ms]
=16×SQRT(極大点と開始点の振幅レベルの差)・・・(1)
すなわち、極大点と開始点との振幅レベルのレベル差が大きければ大きい程、振幅低減時間は長くなり、レベル差が小さければ小さい程、振幅低減時間は短くなる。但し、計算式(1)で算出した振幅低減時間が200ms(所定時間)を超える場合、低減区間終了決定部35は、開始点から振幅低減時間が200ms経過後の時点を終了点として決定する(言い換えれば、振幅低減時間を200msに制限する)。これは、一般的に順向マスキングの効果時間の限度が200ms程度であるからである。
アッテネーション係数算出部23は、低減区間に対して音声信号の振幅値を低減するために乗算するアッテネーション係数(振幅低減量)を算出する。この振幅低減量は、極大点と開始点の振幅レベル(振幅値)のレベル差に基づいて算出される。具体的には、計算式(2)により算出される。
振幅低減量[dB]
=20×LOG10(SQRT(極大点と開始点の振幅レベルの差))・・・(2)
すなわち、極大点と開始点との振幅レベルのレベル差が大きければ大きい程、振幅低減量は大きくなり、レベル差が小さければ小さい程、振幅低減量は小さくなる。
振幅低減量[dB]
=20×LOG10(SQRT(極大点と開始点の振幅レベルの差))・・・(2)
すなわち、極大点と開始点との振幅レベルのレベル差が大きければ大きい程、振幅低減量は大きくなり、レベル差が小さければ小さい程、振幅低減量は小さくなる。
ディレイ部24は、低減区間決定部22の振幅検出部31による処理から、アッテネーション係数算出部23までの処理に要する時間分だけ、音声信号取得部21により取得した音声信号を遅延させる。
振幅制御部25は、ディレイ部24による遅延後の音声信号に対して、アッテネーション係数算出部23の算出結果に基づいて振幅低減制御を行う。つまり、低減区間決定部22で決定した低減区間において「振幅低減制御後の振幅値=振幅低減制御前の振幅値×振幅低減量(アッテネーション係数)」として振幅低減制御後の振幅値を決定し、振幅低減制御を実行する。この結果、図3に示すように、振幅低減制御前の振幅エンベロープ(図示、実線太線)が、振幅低減制御後の振幅エンベロープ(図示、点線太線)に補正され、図示斜線部分の消費電力(パワーアンプ部13における消費電力)を削減することができる。
以上説明したとおり、本実施形態の音響装置1は、振幅エンベロープの極大点を検出し、極大点以降において振幅エンベロープの勾配が最初に緩んだ点を低減区間の開始点として振幅低減制御を実行する。つまり、振幅値(振幅レベル)の大きい区間(極大点近傍の区間)の振幅を変えず、その直後の振幅レベルが相対的に小さい区間を低減区間として振幅を低減する。このように、聴覚上、マスキング現象(順向マスキング)により音質や音量感に影響がでにくい区間を低減区間として決定し、低減区間以外の区間は振幅値を可変しないため、音質や音量感を損なうことなく、消費電力の低減を図ることができる。また、昨今の電池駆動されるアクティブ・スピーカシステムのように、スピーカー15の再生可能周波数帯域に帯域制限した音声信号をパワーアンプ部13に入力している場合でも、省電力効果を発揮することができる。
また、上記のように消費電力の低減を図ることで、商用電源を使用する音響装置1の場合、電気料金の低減効果が期待できる。一方、電池(バッテリー)で駆動する音響装置1の場合は、その駆動時間を延長することができるため、より効果的である。
なお、振幅検出部31からアッテネーション係数算出部23までの処理に要する時間が短時間で済む場合は(すなわち、振幅制御部25の処理において音声信号を遅延させる必要がない場合は)、ディレイ部24を設けない構成とすることも可能である。
また、上記の実施形態では、振幅低減時間および振幅低減量を、計算式(1)および計算式(2)に基づいて算出(決定)したが、あくまでも一例であり、これに限るものではない。振幅低減時間および振幅低減量を、極大点と開始点の振幅レベルの差(振幅値の差)に基づいて算出できれば、その算出方法は問わない。
また、上記の実施形態では、音声信号処理部12により、入力された音声信号に対して解析処理を行い、その解析結果に基づいてリアルタイムに信号処理を行い、スピーカー出力するものとしたが、事前解析を行っても良い。例えば、楽曲単位で解析を行い、その結果得られた低減区間および振幅低減量(アッテネーション係数)を示す省電力化情報を、楽曲識別情報に関連付けて不図示の不揮発性メモリーに記憶しておく。そして、楽曲を再生する際に、再生対象となる楽曲の楽曲識別情報に関連付けられた省電力化情報を読み出して、振幅低減制御を行う、といった構成でも良い。
[第2実施形態]
次に、図4を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、音声信号の周波数帯域を複数個に分割した分割帯域ごとに、低減区間の決定および振幅低減制御を行うことを特徴とする。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
次に、図4を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、音声信号の周波数帯域を複数個に分割した分割帯域ごとに、低減区間の決定および振幅低減制御を行うことを特徴とする。以下、第1実施形態と異なる点のみ説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の構成部分については同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、第1実施形態と同様の構成部分について適用される変形例は、本実施形態についても同様に適用される。
図4は、第2実施形態に係る音声信号処理部12の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る音声信号処理部12は、周波数帯域を、低域、中域、高域に分割する帯域分割部50と、各分割帯域に対する低減区間を決定する3つの低減区間決定部61a,61b,61cと、各分割帯域の低減区間に対する振幅低減量(アッテネーション係数)を算出する3つのアッテネーション係数算出部62a,62b,62cと、各分割帯域の音声信号を遅延させる3つのディレイ部63a,63b,63cと、各分割帯域の低減区間に対して振幅低減制御を行う3つの振幅制御部64a,64b,64cと、振幅低減制御後における各分割帯域の音声信号を加算する加算部65と、から成る。
帯域分割部50は、周波数帯域分割するために、カットオフ周波数が3dB減衰するButterworthフィルタを2つ縦続接続したLinkwitz-Rileyフィルタを用いる。具体的には、低域分割用フィルタとしてfc=200Hz,2次のLPF(Low pass filter)を2段縦続接続した第1のLinkwitz-Rileyフィルタ51を用いる。また、中域分割用フィルタとして、fc=200Hz,2次のHPF(High pass filter)を2段縦続接続した第2のLinkwitz-Rileyフィルタ52と、fc=2kHz,2次のLPFを2段縦続接続した第3のLinkwitz-Rileyフィルタ53を用いる。さらに、高域分割用フィルタとして、fc=2kHz,2次のHPFを2段縦続接続した第4のLinkwitz-Rileyフィルタ54を用いる。
このように、Linkwitz-Rileyフィルタを用いることで、周波数帯域分割後、加算部65により合成した場合に、周波数振幅特性がフラットになる。つまり、加算部65で合成された出力信号の周波数振幅特性は、音声信号処理部12に入力された入力信号の周波数振幅特性と一致する。
また、各低減区間決定部61a,61b,61cは、第1実施形態の低減区間決定部22と同様に機能し、各分割帯域の音声信号からそれぞれ低減区間を決定する。また、各アッテネーション係数算出部62a,62b,62cは、第1実施形態のアッテネーション係数算出部23と同様に機能し、各分割帯域において決定された各低減区間に対する振幅低減量(アッテネーション係数)を算出する。また、各ディレイ部63a,63b,63cは、第1実施形態のディレイ部24と同様に機能し、各分割帯域の音声信号を遅延させる。また、各振幅制御部64a,64b,64cは、第1実施形態の振幅制御部25と同様に機能し、各分割帯域において決定された各低減区間に対し、振幅低減制御を行う。さらに、加算部65は、各振幅制御部64a,64b,64cによる振幅低減制御後の音声信号を合成する。
以上説明したとおり、本実施形態の音響装置1は、周波数帯域分割後、低減区間の決定および振幅低減制御を行う。これにより、分割帯域ごとに低減区間が異なり、時間軸上で振幅低減効果が分散されるため、振幅低減制御による聴覚上の影響を、より少なくすることができる。
なお、上記の第2実施形態では、低域、中域、高域の3つに帯域分割したが、さらにそれぞれの分割帯域を複数個の帯域に分割するなど、分割数および分割周波数は任意に設定可能である。また、分割数および分割周波数をユーザーが設置・変更可能としても良いし、音声信号の解析結果に応じて、これらを可変設定しても良い。
以上、2つの実施形態を示したが、各実施形態に示した音響装置1の各構成要素をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュメモリー等)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを音響装置1の各構成要素として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれる。
また、上記の実施形態では、音声信号処理部12を音響装置1に適用した場合を例示したが、各種電子楽器、コンピューター(PCアプリケーション)、クラウドコンピューティングなどに適用しても良い。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
1…音響装置 11…入力端子 12…音声信号処理部 13…パワーアンプ部 14…電源部 15…スピーカー 21…音声信号取得部 22…低減区間決定部 23…アッテネーション係数算出部 24…ディレイ部 25…振幅制御部 26…音声信号出力部 31…振幅検出部 32…極大検出部 33…振幅低減可否判定部 34…低減区間開始決定部 35…低減区間終了決定部 50…帯域分割部 51〜54…Linkwitz-Rileyフィルタ 61a〜61c…低減区間決定部 62a〜62c…アッテネーション係数算出部 63a〜63c…ディレイ部 64a〜64c…振幅制御部 65…加算部 W…振幅波形
Claims (8)
- 音声信号の振幅エンベロープの極大点より、前記音声信号の単位時間当たりの変化量である第1の変化量から単位時間当たりの変化量である第2の変化量を算出し、算出した前記第2の変化量が負の領域から正の領域へ変化した時点を開始点として、前記音声信号の振幅を低減する低減区間を決定する低減区間決定部と、
前記低減区間決定部により決定された前記低減区間に対し、前記音声信号の振幅低減制御を行う振幅制御部と、
前記振幅制御部により処理された前記音声信号を出力する音声信号出力部と、を備えることを特徴とする音声信号処理装置。 - 前記低減区間および前記低減区間における振幅低減量は、前記振幅エンベロープの極大点と前記開始点とのレベル差により決定されることを特徴とする請求項1に記載の音声信号処理装置。
- 前記低減区間決定部は、
前記開始点から所定時間経過後の時点を前記低減区間の終了点とすることを特徴とする請求項2に記載の音声信号処理装置。 - 前記振幅制御部は、
前記振幅エンベロープの振幅値が、前記極大点の振幅値から所定値以下の値まで下がった時点が存在する場合、前記振幅低減制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の音声信号処理装置。 - 前記音声信号を周波数分割する帯域分割部をさらに備え、
前記低減区間決定部は、前記帯域分割部により分割された周波数帯域ごとに前記低減区間を決定し、
前記振幅制御部は、
前記周波数帯域ごとに分割された前記低減区間のそれぞれに対して、前記振幅低減制御を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の音声信号処理装置。 - 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の音声信号処理装置における各部と、前記振幅制御部による振幅低減制御後の音声信号を増幅する増幅部と、を備えたことを特徴とする音響装置。
- 音声信号の振幅エンベロープの極大点より、前記音声信号の単位時間当たりの変化量である第1の変化量から単位時間当たりの変化量である第2の変化量を算出し、算出した前記第2の変化量が負の領域から正の領域へ変化した時点を開始点として、前記音声信号の振幅を低減する低減区間を決定する低減区間決定ステップと、
前記低減区間決定ステップにより決定された前記低減区間に対し、所定の振幅低減量に基づいて前記音声信号の振幅低減制御を行う振幅低減ステップと、を実行することを特徴とする音声信号処理装置の制御方法。 - コンピューターに、請求項7に記載の音声信号処理装置の制御方法における各ステップを実行させるためのプログラム。
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2013
- 2013-03-25 JP JP2013062327A patent/JP2014187625A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113095559A (zh) * | 2021-04-02 | 2021-07-09 | 京东数科海益信息科技有限公司 | 出雏时刻预测方法、装置、设备及存储介质 |
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