JP2014187030A - 固体二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高出力で大容量な固体二次電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の固体二次電池1は、一面上に複数の縦穴12Hが形成された第1活物質層12と、第1活物質層12に形成された複数の縦穴12Hの底面及び内壁面に接して形成された固体電解質層13と、固体電解質層13に接して形成された第2活物質層14と、を備え、第1活物質層12及び第2活物質層14のいずれか一方は固体二次電池の正極側の活物質として機能し、いずれか他方は負極側の活物質として機能し、第1活物質層12と第2活物質層14とは接することなく、第1活物質層12と第2活物質層14との間に固体電解質層13を有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、固体二次電池、固体二次電池の製造方法に関するものである。
携帯電話機やモバイルコンピューター等の電源として、繰り返し充電が可能な二次電池の開発が進められている。このような二次電池の中には、有機電解液を用いたものが知られているが、有機電解液を用いた二次電池は、副反応が多く、また、液漏れや発火の危険性があり、安全面への配慮が必要とされていた。
脱電解液化の試みとして、固体電解質を用いた二次電池(固体二次電池)が報告されている(例えば、特許文献1,2)。例えば、固体電解質を用いたリチウムイオン二次電池の場合、電池反応によって電解質中を移動するイオンがリチウムイオンだけになるので、副反応が殆どなく、可燃性の有機溶液を含まず、さらに、液封止構造が必要ないので、小型・薄型化が可能となる。
特開2006−277997号公報 特開2004−179158号公報
しかしながら、特許文献1の固体二次電池のように、固体電解質粉を電極活物質粉とともに圧粉成形する方法では、固体電解質粉と電極活物質粉との界面や固体電解質粉同士の界面で界面接触が不十分となり、高い電池出力が得られいという問題があった。また、充放電サイクルに伴う体積変化によって界面接触が不安定になり、サイクル寿命が劣化するという問題もあった。
一方、特許文献2の固体二次電池のように、スパッタリングなどの気相薄膜堆積法を用いて正極薄膜と固体電解質薄膜と負極薄膜とを順次積層するものも報告されている。このように薄膜を積層する方法では、電極と固体電解質との界面接触が良好であり、且つ、活物質層や固体電解質層の厚さを小さくすることができるので、高い電池出力と良好なサイクル寿命特性が得られる。
しかしながら、この方法では、各層の膜厚が小さくなるので、単位面積当たりの活物質層の総厚が小さくなり、容量の大きな二次電池を提供することができなかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、高出力で大容量な固体二次電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明の第1の形態の固体二次電池は、一面上に複数の縦穴が形成された第1活物質層と、前記第1活物質層に形成された複数の前記縦穴の底面及び内壁面に接して形成された固体電解質層と、前記固体電解質層に接して形成された第2活物質層と、を備え、前記第1活物質層及び前記第2活物質層のいずれか一方は前記固体二次電池の正極側の活物質として機能し、いずれか他方は負極側の活物質として機能し、前記第1活物質層と前記第2活物質層とは接することなく、前記1活物質層と前記第2活物質層との間に前記固体電解質層を有することを特徴とする。
この構成によれば、縦穴の底面及び内壁面に活物質と固体電解質の界面が形成されるため、特許文献2のように、単に平面上に正極薄膜、固体電解質薄膜、負極薄膜を積層していく場合に比べて、単位面積当たりの電池容量を飛躍的に向上させることができる。また、固体電解質は縦穴の底面及び内壁面に沿って薄膜状に形成されるため、活物質と固体電解質との界面接触が良好であり、且つ、固体電解質層の厚さを小さくすることができるので、高い電池出力と良好なサイクル寿命特性が得られる。
本発明の第1の形態の固体二次電池において、前記第2活物質層は、前記固体電解質層を介して、前記複数の縦穴の各々の内部を埋めるように充填されていることが望ましい。
この構成によれば、第2活物質層が、縦穴を埋めるように縦穴の内部全体に形成されるので、高い電池出力が得られる。
本発明の第2の形態の固体二次電池は、一面上に複数の第1の縦穴と複数の第2の縦穴を有する固体電解質層と、前記複数の第1の縦穴の内部表面に接して形成された第1活物質層と、前記複数の第2の縦穴の内部表面に接して形成された第2活物質層と、を備え、前記第1活物質層及び前記第2活物質層のうちのいずれか一方は前記固体二次電池の正極側の活物質として機能し、いずれか他方は負極側の活物質として機能し、前記複数の第1の縦穴と前記複数の第2の縦穴とは、隣接して配置されていることを特徴とする。
この構成によれば、縦穴の底面及び内壁面に活物質と固体電解質の界面が形成されるため、特許文献2のように、単に平面上に正極薄膜、固体電解質薄膜、負極薄膜を積層していく場合に比べて、単位面積当たりの電池容量を飛躍的に向上させることができる。また、電池として機能する部分の固体電解質の厚みは、隣接する活物質層間の距離によって決まるため、この距離を短くすることで、高い電池出力と良好なサイクル寿命特性が得られる。
本発明の第2の形態の固体二次電池において、前記第1活物質層は、前記複数の第1の縦穴の各々の内部全体に充填され、前記第2活物質層は、前記複数の第2の縦穴の各々の内部全体に充填されていることが望ましい。
この構成によれば、第1活物質層と第2活物質層が、それぞれ縦穴を埋めるように縦穴の内部全体に形成されるため、高い電池出力が得られる。
本発明の第2の形態の固体二次電池において、前記一面上の第1方向と、前記一面上の前記第1方向と交差する第2の方向において、前記複数の第1の縦穴の各々と前記複数の第2の縦穴の各々とが交互に、かつ、周期的に配置されていることが望ましい。
この構成によれば、1つの第1活物質層(又は第2活物質層)の周囲に多くの第2活物質僧(又は第1活物質層)を配置することができる。そのため、単位面積当たりの電池容量を向上することができ、高出力な固体二次電池が提供できる。
本発明の第1の形態の固体二次電池の製造方法は、第1活物質層と第2活物質層とを有し、前記第1活物質層及び前記第2活物質層のうちいずれか一方は正極側の活物質として機能し、いずれか他方は負極側の活物質として機能する固体二次電池の製造方法であって、一面上に複数の縦穴を有する前記第1活物質層を形成する第1の工程と、前記複数の縦穴の各々の内側の表面及び前記一面の表面に固体電解質層を形成する第2の工程と、前記固体電解質層の表面に前記第2活物質層を形成する第3の工程と、を備え、前記第1の工程は、表面に複数の突起が形成された成形型に、前記第1活物質層を形成するための第1の液体材料を塗布する第1の副工程と、前記第1の液体材料を固化し、前記第1活物質層とする第2の副工程と、前記第1活物質層と前記成形型とを分離する第3の副工程と、を含むことを特徴とする。
この方法によれば、縦穴の底面及び内壁面に活物質と固体電解質の界面が形成されるため、特許文献2のように、単に平面上に正極薄膜、固体電解質薄膜、負極薄膜を積層していく場合に比べて、単位面積当たりの電池容量を飛躍的に向上させることができる。また、固体電解質は縦穴の底面及び内壁面に沿って薄膜状に形成されるため、活物質と固体電解質との界面接触が良好であり、且つ、固体電解質薄膜の厚さを小さくすることができるので、高い電池出力と良好なサイクル寿命特性が得られる。
本発明の第1の形態の固体二次電池の製造方法において、前記成形型は、LIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)法を用いて形成されたものであることが望ましい。
この方法によれば、高いアスペクト比の縦穴を形成することができるため、単位面積当たりの電池容量を飛躍的に向上させることができる。また、成形型を用いて縦穴を形成するため、同一の性能を持った固体二次電池を再現性良く作製することができる。
本発明の第1の形態の固体二次電池の製造方法において、前記第2の副工程を熱処理で行う場合、前記成形型を樹脂で形成し、前記熱処理で前記成形型を焼散させることで、前記第2の副工程と前記第3の副工程とを1つの工程として行うことが望ましい。
この方法によれば、第1の液体材料の固化と成形型の除去を同時に行うことができるので、製造プロセスが簡略化される。
本発明の第1の形態の固体二次電池の製造方法において、前記第2の工程において、前記固体電解質層は、気相堆積法又はゾルゲル法によって形成されることが望ましい。
この方法によれば、固体電解質層と第1活物質層との界面接触を良好なものとすることができる。また、固体電解質層をサブミクロンレベルまで薄くすることができるので、固体電解質層におけるイオン伝導による抵抗を大幅に減少させることができ、高出力化が図られる。
本発明の第1の形態の固体二次電池の製造方法において、前記第3の工程は、前記第2活物質層を形成するための第2の液体材料を、前記固体電解質薄層の表面に塗布する第4の副工程を含むことが望ましい。
この方法によれば、第2活物質層を、縦穴を埋めるように縦穴の内部全体に形成することができるため、高い電池出力が得られる。
本発明の第2の形態の固体二次電池の製造方法は、第1活物質層と第2活物質層とを有し、前記第1活物質層及び前記第2活物質層のうちいずれか一方は正極側の活物質として機能し、いずれか他方は負極側の活物質として機能する固体二次電池の製造方法であって、一面上に複数の縦穴が形成された固体電解質層を形成する第1の工程と、前記複数の縦穴の各々を第1の縦穴又は第2の縦穴のいずれかに分別し、複数の前記第1の縦穴の各々において内部表面に接するように第1活物質層を形成する第2の工程と、複数の前記第2の縦穴の各々において内部表面に接するように第2活物質層を形成する第3の工程と、を備え、前記第1の工程は、表面に複数の突起が形成された成形型に前記固体電解質層の第1の液体材料を塗布する第1の副工程と、前記第1の液体材料を固化し、前記固体電解質層とする第2の副工程と、前記固体電解質層と前記成形型とを分離する第3の副工程と、を含み、前記第2の工程における前記複数の縦穴の各々の分別は、前記第1の縦穴と前記第2の縦穴とが隣接するようになされることを特徴とする。
この方法によれば、縦穴の底面及び内壁面に活物質と固体電解質の界面が形成されるため、特許文献2のように、単に平面上に正極薄膜、固体電解質薄膜、負極薄膜を積層していく場合に比べて、単位面積当たりの電池容量を飛躍的に向上させることができる。また、電池として機能する部分の固体電解質の厚みは、隣接する活物質層間の距離によって決まるため、この距離を短くすることで、高い電池出力と良好なサイクル寿命特性が得られる。
本発明の第2の形態の固体二次電池の製造方法において、前記成形型は、LIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)法を用いて形成されたものであることが望ましい。
この方法によれば、高いアスペクト比の縦穴を形成することができるため、単位面積当たりの電池容量を飛躍的に向上させることができる。また、成形型を用いて縦穴を形成するため、同一の性能を持った固体二次電池を再現性良く作製することができる。
本発明の第2の形態の固体二次電池の製造方法において、前記第2の副工程を熱処理で行う場合、前記成形型を樹脂で形成し、前記熱処理で前記成形型を焼散させることで、前記第2の副工程と前記第3の副工程を1つの工程として行うことが望ましい。
この方法によれば、第1の液体材料の固化と成形型の除去を同時に行うことができるので、製造プロセスが簡略化される。
本発明の第2の形態の固体二次電池の製造方法において、前記第2の工程は、前記第1活物質層を形成する液体材料を前記第1の縦穴の内部に充填する第4の副工程を含み、前記第3の工程は、前記第2活物質層を形成する液体材料を前記第2の縦穴の内部に充填する第5の副工程を含むことが望ましい。
この方法によれば、第1活物質層と第2活物質層を、それぞれ縦穴を埋めるように縦穴の内部全体に形成することができるため、高い電池出力が得られる。
本発明の第2の形態の固体二次電池の製造方法において、前記第4の副工程及び前記第5の副工程において、インクジェット法を用いることが望ましい。
この方法によれば、縦穴の直径が数十μm程度のものでも選択的に且つ効率的に液体材料を充填することができる。
第1実施形態の固体二次電池の製造方法の説明図である。 図1に続く製造工程の説明図である。 図2に続く製造工程の説明図である。 図3に続く製造工程の説明図である。 図4に続く製造工程の説明図である。 図5に続く製造工程の説明図である。 第2実施形態の固体二次電池の製造方法の説明図である。 図7に続く製造工程の説明図である。 図8に続く製造工程の説明図である。 図9に続く製造工程の説明図である。 図10に続く製造工程の説明図である。 図11に続く製造工程の説明図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係を説明する。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。
図1〜図6は、本発明の第1実施形態の固体二次電池の製造方法の説明図である。本実施形態では、まず、図1に示すように、基材10の表面に複数の柱状の突起11が形成された成形型Aを用意する。成形型Aは、例えば、板状の基材10上に板面と垂直な複数の円柱状の突起11を備えたものである。突起11は、X方向及びY方向にそれぞれ一定の間隔で周期的に配置されている。本実施形態の場合、突起11の高さは1200μmであり、突起11の直径は120μmであり、突起11の間隔(円柱の中心同士の間隔)は180μmである。
成形型Aは、例えばLIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)法を用いて形成される。LIGA法は、X線リソグラフィと電鋳およびモールディングを組み合わせ、アスペクト比の大きな微細な形状を作製する方法である。具体的には、厚さ100μm以上のレジストに直進性の良いシンクロトロン放射光装置から発生するX線を照射し、X線マスクを介してパターンを転写することにより、100μm以上の深さ(高さ)で横方向に任意の形状を持った超精密部品を製造するものである。シンクロトロン放射光の代わりに、紫外光でレジストパターンを形成するUV−LIGA法も知られており、LIGA法やUV−LIGA法で作製された形状を原型として複製型を作製し、電鋳物を形成する方法も知られている。
LIGA法で成形型Aを作成する場合、例えば、金属基板上に厚さ1200μmのレジスト層(ポリメチルメタクリレート(PMMA))を形成し、シンクロトロン放射光(X線)を照射し、マスク上のX線吸収体のパターンをレジスト層に転写する。レジスト層のX線露光部分は、高分子の連鎖が切れて分子量が減少し現像液に溶解する。未露光部分は変化せずにそのまま残る。この結果、X線吸収体のパターンと同一形状のレジストの微細構造体が形成される。
次に、めっきによって、レジスト層の溶解した部分に金属(例えば、ニッケル)を堆積させ金属構造体を作製する(電鋳)。そして、未露光部分のレジスト層を除去し、前記金属構造体からなる金型(モールド)を作製する。この金型は、成形型Aの突起11に対応した高アスペクト比の縦穴を有する板状体である。この金型に樹脂を鋳込み、成形型Aを作製する。
成形型Aを作製したら、図2に示すように、成形型Aの突起11が形成された面に正極活物質のゾルを塗布し、該ゾルを固化して成形型Aを除去する(ゾルゲル法)。これにより、正極活物質からなる板状の正極活物質層(第1活物質層)12が得られる。
なお、成形型Aとして、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の樹脂を用いた場合、ゾルを固化するための高温の熱処理によって成形型Aは焼散するので、成形型Aを除去するための新たな工程は不要である。
正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、チタン酸リチウム(LiTi12)等を用いることができる。例えば、正極活物質としてコバルト酸リチウムを用いた場合には、ゾル原料として、水酸化リチウム(または酢酸リチウム)、酢酸コバルト、酢酸をイソプロピルアルコール(またはメタノール、エタノール)に溶解させた溶液を用いることができる。正極活物質としてニッケル酸リチウムを用いた場合には、ゾル原料として、水酸化リチウム(または酢酸リチウム)、酢酸ニッケル、酢酸をイソプロピルアルコール(またはメタノール、エタノール)に溶解させた溶液を用いることができる。正極活物質としてマンガン酸リチウムを用いた場合には、ゾル原料として、水酸化リチウム(または酢酸リチウム)、酢酸マンガン、酢酸、クエン酸をイソプロピルアルコール(またはメタノール、エタノール)に溶解させた溶液を用いることができる。正極活物質としてチタン酸リチウムを用いた場合には、ゾル原料として、水酸化リチウム(または酢酸リチウム)、チタン酸イソプロピル、酢酸をイソプロピルアルコール(またはメタノール、エタノール)に溶解させた溶液を用いることができる。
図3は、成形型Aを除去した後の正極活物質層12の断面図である。正極活物質層12は、表面に成形型Aの複数の突起11に対応した複数の縦穴12Hを有する。縦穴12Hは、X方向及びY方向に一定の間隔で周期的に配置されている。
正極活物質層12を作製したら、図4に示すように、正極活物質層12の縦穴12Hが形成された面に接して固体電解質を配置し、正極活物質層12の上面12a、縦穴12Hの底面12b及び内壁面12cを覆う薄膜状の固体電解質層13を形成する。
固体電解質層13の形成方法としては高アスペクト比の縦穴12Hの底面及び内壁面に均一な厚みの薄膜を形成できるものであれば、どのようなものでも良い。例えば、CVD法等の気相堆積法やゾルゲル法などを用いることができる。ゾルゲル法で形成する場合には固体電解質としてLi0.35La0.55TiOを用いることができる。ゾル原料としては、水酸化リチウム(または酢酸リチウム)、酢酸ランタン、チタン酸イソプロピル、酢酸をイソプロピルアルコール(またはメタノール、エタノール)に溶解させた溶液を用いることができる。
固体電解質層13は、厚みが例えば100nm〜1μmの薄膜状に形成される。そのため、固体電解質層13によって縦穴12Hが埋没することはない。
固体電解質層13を形成したら、図5に示すように、固体電解質層13の正極活物質層12上で露出する部位をと接して負極活物質層(第2活物質層)14を形成する。負極活物質層14は、縦穴12Hの底面及び内壁面に形成された固体電解質層13を覆って、正極活物質層12の上面全体を覆うように形成される。負極活物質層14と正極活物質層12とは互いに接することなく、負極活物質層14と正極活物質層12との間に固体電解質層13を挟持する。
負極活物質層14の形成方法としては、高アスペクト比の縦穴12Hの底面及び内壁面に負極活物質を配置できるものであれば、どのようなものでも良い。例えば、CVD法等の気相堆積法や、ゾルゲル法或いはインクジェット法等の液体プロセスを用いることができる。液体プロセスを用いた場合には、縦穴12Hの内部を埋めるように厚い負極活物質層を形成できるので、望ましい。
液体プロセスで負極活物質層14を形成する場合には、負極活物質として、リチウムや、リチウムを固溶しかつ低融点の金属(インジウム、スズ、ウッドメタルなど)を用いることができる。これらの材料は融点が低いので、溶融して液体材料としてから固体電解質層13上に塗布することができる。
負極活物質としては、チタン酸リチウム(LiTi12)を用いることもできる。この場合、ゾルゲル法で形成することになるが、ゾル原料としては、水酸化リチウム(または酢酸リチウム)、チタン酸イソプロピル、酢酸をイソプロピルアルコール(またはメタノール、エタノール)に溶解させた溶液を用いることができる。この材料は標準電極電位が低いので、負極としても使えるというメリットがある。
液体プロセスで負極活物質層14を形成した場合、負極活物質層14は縦穴12Hの内部を埋めるように形成される。そのため、負極活物質層14は、固体電解質を介して縦穴12Hの内部に埋め込まれた柱状の構造体を有するものとなる。
負極活物質層14を形成したら、図6に示すように、必要に応じて、正極活物質層12の裏面(縦穴12Hが形成された面とは反対側の面)に正極集電層15と正極配線層(図示略)を形成し、負極活物質層14の表面(固体電解質層13と接する面とは反対側の面)に負極集電層16と負極配線層(図示略)を形成する。これにより、固体二次電池1が完成する。
本実施形態の固体二次電池1によれば、縦穴12Hの底面12b及び内壁面12cに活物質と固体電解質の界面が形成されるため、特許文献2のように、単に平面上に正極薄膜、固体電解質薄膜、負極薄膜を積層していく場合に比べて、単位面積当たりの電池容量を飛躍的に向上させることができる。また、固体電解質は縦穴の底面及び内壁面に沿って薄膜状に形成されるため、活物質と固体電解質との界面接触が良好であり、且つ、固体電解質の厚さを小さくすることができるので、高い電池出力と良好なサイクル寿命特性が得られる。
なお、本実施形態の固体二次電池1では、縦穴12HのZ方向から見た平面形状を円形とし、縦穴12HをX方向とY方向に周期的に配置したが、縦穴12Hの平面形状はこれに限らず、種々の形状をとることができる。例えば、縦穴12Hの平面形状を正方形とし、隣接する縦穴同士の間隔を可能な範囲で短くすることで、縦穴の内壁面の面積を最大限広げることもできる。この場合、固体電解質と活物質との接触界面が大きくなるので、大容量の固体二次電池が提供できる。また、縦穴12Hの平面形状を正六角形とし、六角柱状の縦穴12Hが正極活物質層12の表面に最密充填されるようにしても良い。この場合も、同じような効果が得られる。
また、本実施形態の固体二次電池1では、正極活物質を活物質層12の材料として用いたが、負極活物質を活物質層12の材料として用いることもできる。この場合、負極活物質のゾルを成形型Aに塗布し、該ゾルを固化して負極活物質層を形成する。そして、負極活物質層に形成された縦穴の底面及び内壁面を覆って薄膜状の固体電解質層を形成し、固体電解質層の負極活物質層上で露出する部位を覆って正極活物質層を形成する。正極活物質層は、薄膜状に形成しても良いし、縦穴の内部を埋めるように、固体電解質層を介して縦穴の内部全体に充填されても良い。この構成によっても、固体電解質と活物質との接触界面を大きくすることができるので、大容量且つ高出力の固体二次電池がえられる。
図7〜図12は、本発明の第2実施形態の固体二次電池の製造方法の説明図である。本実施形態では、まず、図7に示すように、基材20の表面に複数の柱状の突起21が形成された成形型Bを用意する。成形型Bは、例えば、板状の基材20上に板面と垂直な複数の円柱状の突起21を備えたものである。突起21は、X方向及びY方向にそれぞれ一定の間隔で周期的に配置されている。本実施形態の場合、突起21の高さは1200μmであり、突起21の直径は60μmであり、突起21の間隔(円柱の中心同士の間隔)は120μmである。成形型Bは、例えばLIGA法を用いて形成される。
そして、図8に示すように、成形型Bの突起21が形成された面に固体電解質のゾルを塗布し、該ゾルを固化して成形型Bを除去する(ゾルゲル法)。これにより、固体電解質からなる板状の固体電解質層22が得られる。固体電解質としては、前述したLi0.35La0.55TiO等を用いることができる。
なお、成形型Bとして、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の樹脂を用いた場合、ゾルを固化するための高温の熱処理によって成形型Bは焼散するので、成形型Bを除去するための新たな工程は不要である。
図9は、成形型Bを除去した後の固体電解質層22の断面図である。固体電解質層22は、表面に成形型Bの複数の突起21に対応して形成された複数の縦穴22Hを有する。
縦穴22Hは、X方向及びY方向に一定の間隔で周期的に配置されている。
固体電解質層22を作製したら、図10に示すように、複数の縦穴22Hのうちの一部の縦穴に正極活物質を配置し、該縦穴22Hの底面及び内壁面に接して正極活物質層(第1活物質層)23を形成する。また、図11に示すように、負極活物質層23が形成された縦穴以外の縦穴22Hに負極活物質を配置し、該縦穴22Hの底面及び内壁面に接して負極活物質層(第2活物質層)24を形成する。
活物質層23,24の形成方法としては、高アスペクト比の縦穴22Hの底面及び内壁面に活物質を配置できるものであれば、どのようなものでも良い。例えば、CVD法等の気相堆積法や、ゾルゲル法或いはインクジェット法等の液体プロセスを用いることができる。液体プロセスを用いた場合には、縦穴22Hの内部を埋めるように厚い活物質層を形成できるので、望ましい。特にインクジェット法を用いた場合には、吐出する液体材料の位置や量を精密に制御することができるため、正極活物質と負極活物質の塗りわけを確実に行うことができる。
ゾルゲル法で活物質層23を形成する場合には、正極活物質及び負極活物質として、前述のものを用いることができる。すなわち、正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)、チタン酸リチウム(LiTi12)等を用いることができ、負極活物質としては、チタン酸リチウム(LiTi12)等を用いることができる。
正極活物質層23と負極活物質層24は、どちらを先に形成してもよく、両方同時に形成することもできる。正極活物質層23と負極活物質層34は、X方向とY方向の双方において交互に且つ周期的に配置される。
正極活物質層23と負極活物質層24を形成したら、図12に示すように、必要に応じて、正極活物層23の縦穴22Hから露出する部分に正極集電層25と正極配線層(図示略)を形成し、負極活物質層14の縦穴22Hから露出する部分に負極集電層26と負極配線層(図示略)を形成する。これにより、固体二次電池2が完成する。
本実施形態の固体二次電池2によれば、縦穴22Hの底面及び内壁面に活物質と固体電解質の界面が形成されるため、特許文献2のように、単に平面上に正極薄膜、固体電解質薄膜、負極薄膜を積層していく場合に比べて、単位面積当たりの電池容量を飛躍的に向上させることができる。また、電池として機能する部分の固体電解質の厚みは、隣接する活物質層間の距離によって決まるため、この距離を短くすることで、高い電池出力と良好なサイクル寿命特性が得られる。
なお、本実施形態の固体二次電池2では、縦穴22HのZ方向から見た平面形状を円形とし、縦穴22HをX方向とY方向に周期的に配置したが、縦穴22Hの平面形状はこれに限らず、種々の形状をとることができる。例えば、縦穴22Hの平面形状を正方形とし、隣接する縦穴同士の間隔を可能な範囲で短くすることで、縦穴の内壁面の面積を最大限広げることもできる。この場合、固体電解質と活物質との接触界面が大きくなるので、大容量の固体二次電池が提供できる。また、縦穴22Hの平面形状を正六角形とし、六角柱状の縦穴22Hが固体電解質層22の表面に最密充填されるようにしても良い。この場合も、同じような効果が得られる。
1,2…固体二次電池、11…突起、12…正極活物質層(第1活物質層)、12H…縦穴、13…固体電解質層、14…負極活物質層(第2活物質層)、21…突起、22…固体電解質層、22H…縦穴、23…正極活物質層(第1活物質層)、24…負極活物質層(第2活物質層)、A,B…成形型
本発明は、固体二次電池に関するものである。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、高出力で大容量な固体二次電池を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するため、本発明は、第1の面に複数の第1の縦穴及び複数の第2の縦穴を有する固体電解質層と、前記複数の第1の縦穴の各々の内部を埋めた第1活物質と、前記複数の第2の縦穴の各々の内部を埋めた第2活物質と、複数の前記第1活物質を接続した第1電極と、複数の前記第2活物質を接続した第2電極と、を含むことを特徴とする固体二次電池である。
前記複数の第1の縦穴の各々と前記複数の第2の縦穴の各々とが交互に配置されていることとしてもよい。
前記第1活物質及び前記第2活物質のいずれか一方が正極側の活物質として機能し、いずれか他方が負極側の活物質として機能することとしてもよい。
本発明の第1の形態の固体二次電池は、一面上に複数の縦穴が形成された第1活物質層と、前記第1活物質層に形成された複数の前記縦穴の底面及び内壁面に接して形成された固体電解質層と、前記固体電解質層に接して形成された第2活物質層と、を備え、前記第1活物質層及び前記第2活物質層のいずれか一方は前記固体二次電池の正極側の活物質として機能し、いずれか他方は負極側の活物質として機能し、前記第1活物質層と前記第2活物質層とは接することなく、前記1活物質層と前記第2活物質層との間に前記固体電解質層を有することを特徴とする。

Claims (15)

  1. 固体二次電池であって、
    一面上に複数の縦穴が形成された第1活物質層と、
    前記第1活物質層に形成された複数の前記縦穴の底面及び内壁面に接して形成された固体電解質層と、
    前記固体電解質層に接して形成された第2活物質層と、を備え、
    前記第1活物質層及び前記第2活物質層のいずれか一方は前記固体二次電池の正極側の活物質として機能し、いずれか他方は負極側の活物質として機能し、
    前記第1活物質層と前記第2活物質層とは接することなく、前記1活物質層と前記第2活物質層との間に前記固体電解質層を有することを特徴とする固体二次電池。
  2. 前記第2活物質層は、前記固体電解質層を介して、前記複数の縦穴の各々の内部を埋めるように充填されていることを特徴とする請求項1に記載の固体二次電池。
  3. 固体二次電池であって、
    一面上に複数の第1の縦穴と複数の第2の縦穴を有する固体電解質層と、
    前記複数の第1の縦穴の内部表面に接して形成された第1活物質層と、
    前記複数の第2の縦穴の内部表面に接して形成された第2活物質層と、を備え、
    前記第1活物質層及び前記第2活物質層のうちのいずれか一方は前記固体二次電池の正極側の活物質として機能し、いずれか他方は負極側の活物質として機能し、
    前記複数の第1の縦穴と前記複数の第2の縦穴とは、隣接して配置されていることを特徴とする固体二次電池。
  4. 前記第1活物質層は、前記複数の第1の縦穴の各々の内部全体に充填され、
    前記第2活物質層は、前記複数の第2の縦穴の各々の内部全体に充填されていることを特徴とする請求項3に記載の固体二次電池。
  5. 前記一面上の第1方向と、前記一面上の前記第1方向と交差する第2の方向において、前記複数の第1の縦穴の各々と前記複数の第2の縦穴の各々とが交互に、かつ、周期的に配置されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の固体二次電池。
  6. 第1活物質層と第2活物質層とを有し、前記第1活物質層及び前記第2活物質層のうちいずれか一方は正極側の活物質として機能し、いずれか他方は負極側の活物質として機能する固体二次電池の製造方法であって、
    一面上に複数の縦穴を有する前記第1活物質層を形成する第1の工程と、
    前記複数の縦穴の各々の内側の表面及び前記一面の表面に固体電解質層を形成する第2の工程と、
    前記固体電解質層の表面に前記第2活物質層を形成する第3の工程と、を備え、
    前記第1の工程は、
    表面に複数の突起が形成された成形型に、前記第1活物質層を形成するための第1の液体材料を塗布する第1の副工程と、
    前記第1の液体材料を固化し、前記第1活物質層とする第2の副工程と、
    前記第1活物質層と前記成形型とを分離する第3の副工程と、を含むことを特徴とする固体二次電池の製造方法。
  7. 前記成形型は、LIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)法を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項6に記載の固体二次電池の製造方法。
  8. 前記第2の副工程を熱処理で行う場合、
    前記成形型を樹脂で形成し、前記熱処理で前記成形型を焼散させることで、前記第2の副工程と前記第3の副工程とを1つの工程として行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の固体二次電池の製造方法。
  9. 前記第2の工程において、前記固体電解質層は、気相堆積法又はゾルゲル法によって形成されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の固体二次電池の製造方法。
  10. 前記第3の工程は、前記第2活物質層を形成するための第2の液体材料を、前記固体電解質薄層の表面に塗布する第4の副工程を含むことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の固体二次電池の製造方法。
  11. 第1活物質層と第2活物質層とを有し、前記第1活物質層及び前記第2活物質層のうちいずれか一方は正極側の活物質として機能し、いずれか他方は負極側の活物質として機能する固体二次電池の製造方法であって、
    一面上に複数の縦穴が形成された固体電解質層を形成する第1の工程と、
    前記複数の縦穴の各々を第1の縦穴又は第2の縦穴のいずれかに分別し、複数の前記第1の縦穴の各々において内部表面に接するように第1活物質層を形成する第2の工程と、
    複数の前記第2の縦穴の各々において内部表面に接するように第2活物質層を形成する第3の工程と、を備え、
    前記第1の工程は、
    表面に複数の突起が形成された成形型に前記固体電解質層の第1の液体材料を塗布する第1の副工程と、
    前記第1の液体材料を固化し、前記固体電解質層とする第2の副工程と、
    前記固体電解質層と前記成形型とを分離する第3の副工程と、を含み、
    前記第2の工程における前記複数の縦穴の各々の分別は、前記第1の縦穴と前記第2の縦穴とが隣接するようになされることを特徴とする固体二次電池の製造方法。
  12. 前記成形型は、LIGA(Lithographie Galvanoformung Abformung)法を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項11に記載の固体二次電池の製造方法。
  13. 前記第2の副工程を熱処理で行う場合、
    前記成形型を樹脂で形成し、前記熱処理で前記成形型を焼散させることで、前記第2の副工程と前記第3の副工程を1つの工程として行うことを特徴とする請求項11又は12に記載の固体二次電池の製造方法。
  14. 前記第2の工程は、前記第1活物質層を形成する液体材料を前記第1の縦穴の内部に充填する第4の副工程を含み、
    前記第3の工程は、前記第2活物質層を形成する液体材料を前記第2の縦穴の内部に充填する第5の副工程を含むことを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の固体二次電池の製造方法。
  15. 前記第4の副工程及び前記第5の副工程において、インクジェット法を用いることを特徴とする請求項14に記載の固体二次電池の製造方法。
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