JP2014181577A - 排気浄化システムおよびこれを備えた船舶 - Google Patents

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Abstract

【課題】最終NOx排出量N(m)をNOx制限値Nlim以下に低減しつつエンジン1の運転状態や排気浄化システム10の状態に応じてNOxを低減する手段である燃料噴射弁4の噴射角θ(i)と尿素水の尿素水噴射量U(n)との組み合わせを選択することができる排気浄化システム10の提供を目的とする。
【解決手段】エンジン1の回転速度Vと噴射量Qとに基づいてエンジン1の燃料噴射弁4の噴射角θ(i)に対するNOx排出量Nθ(i)を算出し、エンジンの回転速度Vと噴射量Q(i)とに基づいて尿素水噴射量U(n)に対するNOx還元量NU(m)を算出し、NOx排出量Nθ(i)とNOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下となる噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせのうち、噴射量Q(i)が最小になる組み合わせと尿素水噴射量U(n)が最小になる組み合わせとを算出する。
【選択図】図2

Description

本発明は、排気浄化システムに関する。
従来、内燃機関から排出される排気に含まれるNOx(窒素酸化物)を低減するために、排気管の内部に選択還元型のNOx触媒を配置し、アンモニア等の還元剤によって、NOxを窒素と水とに還元する排気浄化装置が知られている。排気管の内部に配置される尿素水噴射ノズルから尿素水(ユリア水)を排気中に供給し、排気の熱によって尿素水からアンモニアを生成することでNOxを窒素と水に還元するものである。
このような排気浄化装置を備えるエンジンにおいて、還元剤によってNOxを還元するとともに、エンジンにおいて燃料噴射時期を遅角させてNOxの生成を抑制する排気浄化システム(エンジンの制御装置)がある。燃料噴射時期の遅角によってNOxの生成を抑制する割合と還元剤によってNOxを還元させる割合とを燃料の単価と還元剤の単価とに基づいて決定するものである。エンジンの制御装置は、燃料の単価または還元剤の単価が想定単価よりも高くなった場合、ランニングコストが設定値を下回るように噴射時期の遅角量または供給する還元剤の供給量を制御する。例えば特許文献1のごとくである。
しかし、特許文献1に記載されているエンジンの制御装置は、ランニングコストを基準として燃料噴射時期と還元剤の噴射量とを決定している。このため、燃料の単価と還元剤の単価との比率に基づいて燃料または還元剤のうち一方の消費量が大幅に増大するように制御が行われることがある。つまり、このエンジンの制御装置は、燃料または還元剤のうち任意に選択した一方の消費を抑制しつつNOxを低減させることが困難である場合があった。
特開2007−255303号公報
本発明は係る課題を鑑みてなされたものであり、排出されるNOx量をNOx制限値以下に低減しつつ、エンジンの運転状態や排気浄化システムの状態に応じてNOxを低減する手段の組み合わせを選択することができる排気浄化システムおよびこれを備えた船舶の提供を目的とする。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、エンジンの排気管内に還元触媒を設けたエンジンの排気浄化システムにおいて、エンジンの運転状態に基づいてエンジンのNOx低減手段の操作量に対するNOx排出量を算出し、エンジンの運転状態に基づいて還元剤の噴射量に対するNOx還元量を算出し、NOx排出量とNOx還元量との差がNOx制限値以下となるNOx低減手段の操作量と還元剤の噴射量との組み合わせのうち、燃料の消費量が最小になる組み合わせと還元剤の噴射量が最小になる組み合わせとを算出するものである。
即ち、請求項2においては、前記NOx低減手段として燃料の噴射角を制御し、前記エンジンの運転状態に基づいて燃料の噴射角を変更することにより増減する燃料の消費量を算出するものである。
即ち、請求項3においては、前記NOx低減手段として排気の一部をEGRガスとして吸気管に還流させるEGR装置を更に設け、前記エンジンの運転状態に基づいてEGR弁の開度を変更することにより増減する燃料の消費量を算出するものである。
即ち、請求項4においては、前記NOx低減手段として吸気管に吸気絞り弁を更に設け、前記エンジンの運転状態に基づいて吸気絞り弁の開度を変更することにより増減する燃料の消費量を算出するものである。
即ち、請求項5においては、GPS受信機を更に備え、受信したGPS信号から算出された位置情報に基づいて前記NOx制限値を切り替えるものである。
即ち、請求項6においては、請求項1から請求項5に記載の排気浄化システムを備えた船舶である。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1に係る発明によれば、NOxを低減する手段の構成割合が異なる組み合わせが算出される。これにより、外気に排出されるNOx量をNOx制限値以下に低減しつつ、エンジンの運転状態や排気浄化システムの状態に応じてNOxを低減する手段の組み合わせを選択することができる。
請求項2に係る発明によれば、NOxを低減させる手段である燃料噴射弁の遅角量と尿素水の尿素水噴射量との構成割合が異なる組み合わせが算出される。算出される。これにより、外気に排出されるNOx量をNOx制限値以下に低減しつつ、エンジンの運転状態や排気浄化システムの状態に応じてNOxを低減する手段の組み合わせを選択することができる。
請求項3に係る発明によれば、NOxを低減させる手段であるEGR装置のEGR弁の開度と尿素水の尿素水噴射量との構成割合が異なる組み合わせが算出される。これにより、外気に排出されるNOx量をNOx制限値以下に低減しつつ、エンジンの運転状態や排気浄化システムの状態に応じてNOxを低減する手段の組み合わせを選択することができる。
請求項4に係る発明によれば、NOxを低減させる手段である吸気絞り弁の絞り弁開度と尿素水の尿素水噴射量との構成割合が異なる組み合わせが算出される。算出される。これにより、外気に排出されるNOx量をNOx制限値以下に低減しつつ、エンジンの運転状態や排気浄化システムの状態に応じてNOxを低減する手段の組み合わせを選択することができる。
請求項5に係る発明によれば、エンジンの所在に応じたNOx制限値が設定される。これにより、外気に排出されるNOx量をNOx制限値以下に低減しつつ、エンジンの運転状態や排気浄化システムの状態に応じてNOxを低減する手段の組み合わせを選択することができる。
請求項6に係る発明によれば、船舶がどのようなNOx規制値が設定された海域を航行していても、NOxを低減する手段の構成割合が異なる組み合わせが算出される。これにより、外気に排出されるNOx量をNOx制限値以下に低減しつつ、エンジンの運転状態や排気浄化システムの状態に応じてNOxを低減する手段の組み合わせを選択することができる。
本発明に係る排気浄化システムを備える船舶の構成を示す概略図。 本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの構成を示す概略図。 (a)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置におけるNOx制限値を算出する態様を示す概念図(b)同じく噴射量を算出する態様を示す概念図。 (a)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置におけるNOx排出量を算出する態様を示す概念図(b)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出したNOx排出量の表を示す図。 (a)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置におけるNOx還元量を算出する態様を示す概念図(b)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出したNOx還元量の表を示す図。 (a)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置における最終NOx排出量を算出する態様を示す概念図(b)本発明の第一実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出した最終NOx排出量の表を示す図(c)同じく制御装置が算出した組み合わせの表を示す図。 本発明の第二実施形態に係る排気浄化システムの構成を示す概略図。 (a)本発明の第二実施形態に係る排気浄化システムの制御装置における噴射量を算出する態様を示す概念図(b)同じくNOx排出量を算出する態様を示す概念図(c)同じくNOx還元量を算出する態様を示す概念図。 (a)本発明の第二実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出した最終NOx排出量を算出する態様を示す概念図(b)本発明の第二実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出した組み合わせの表を示す図。 本発明の第三実施形態に係る排気浄化システムの構成を示す概略図。 (a)本発明の第三実施形態に係る排気浄化システムの制御装置における噴射量を算出する態様を示す概念図(b)同じくNOx排出量を算出する態様を示す概念図(c)同じくNOx還元量を算出する態様を示す概念図。 本発明の第三実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出した最終NOx排出量を算出する態様を示す概念図。(b)本発明の第三実施形態に係る排気浄化システムの制御装置が算出した組み合わせの表を示す図。
まず、図1を用いて本発明に係る排気浄化システム10を具備する船舶の一実施形態である船舶100の全体概要及び構成について説明する。なお、図1の船舶100は、いわゆる二軸推進方式の船舶を示している。但し、推進軸の数はこれに限定されるものではなく、単数または複数の軸を有するものであればよい。
図1に示すように、船舶100は、アクセルレバー102の操作に応じてエンジン1の運転状態が制御され、アウトドライブ装置106の推進用プロペラ107によって推進するものである。また、船舶100は、操舵ハンドル103及びジョイスティックレバー104によってアウトドライブ装置106の方向が変更されて進路変更するものである。船舶100は、船体101に二機のエンジン1、二台のアウトドライブ装置106、及び操船制御装置108が具備される。なお、本実施形態において、船舶100は二機のエンジン1を具備しているがこれに限定されるものではない。なお、エンジン1に対するアウトドライブ装置106の台数は、本実施形態に限定されるものではない。また、ドライブ装置は、本実施例のアウトドライブ装置106に限定されるものではなく、エンジンによって直接的又は間接的にプロペラが駆動されるものやPOD式のものでもよい。
操船制御装置108は、アクセルレバー102、操舵ハンドル103及びジョイスティックレバー104等からの検出信号に基づいてエンジン1及びアウトドライブ装置106を制御するものである。なお、操船制御装置108は、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)からの情報に基づいて自らの位置と設定された目的地とから航路を算出して自動で操船を行なう、いわゆる自動航法を可能に構成されてもよい。
操船制御装置108は、エンジン1及びアウトドライブ装置106の制御を行うための種々のプログラムやデータが格納される。ECU6は、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。
操船制御装置108は、アクセルレバー102、操舵ハンドル103及びジョイスティックレバー104等と接続され、アクセルレバー102、操舵ハンドル103及びジョイスティックレバー104等からの制御信号を取得することが可能である。
操船制御装置108は、各エンジン1のECU6と接続され、各エンジン1の運転状況や各種信号を取得することが可能である。
操船制御装置108は、モニタ105に接続され、モニタ105に操舵ハンドル103及びジョイスティックレバー104等の操作状況、各ECU6から取得した各種信号に基づく各エンジン1の状況、算出した船舶100の対水速度等を表示することが可能である。
次に、図2から図6を用いて本発明の第一実施形態に係る排気浄化システム10を具備するエンジン1について説明する。なお、本実施形態における「上流側」とは流体の流れ方向における上流側を示し、「下流側」とは流体の流れ方向における下流側を示す。
図2に示すように、エンジン1は、軽油若しくは重油を燃料とするディーゼルエンジン1であり、本実施形態においては、四つの気筒を有する直列四気筒エンジン1である。エンジン1は、吸気管2を介して供給される外気と、各燃料噴射弁4・4・・から供給される燃料とを混合して燃焼させることで発生する動力をアウトドライブ装置106に伝達する(図1参照)。エンジン1は、燃料の燃焼により発生する排気を、排気管3を介して外部へ排出する。エンジン1は、出力軸の回転速度Vを検出する回転速度センサ5を具備する。なお、エンジン1は、ディーゼルエンジン1に限定されるものではない。
ECU6は、エンジン1を制御するものである。ECU6には、エンジン1の制御を行うための種々のプログラムやデータが格納される。ECU6は、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。
ECU6は、燃料噴射弁4・4・・と接続され、燃料噴射弁4・4・・を制御することが可能である。
ECU6は、回転速度センサ5に接続され、回転速度センサ5が検出する回転速度Vを取得することが可能である。
次に、本発明の第一実施形態に係る排気浄化システム10について説明する。本発明に係る排気浄化システム10は、主にプレジャーボート等の小型船舶に搭載されるものであるが、小型船舶のみならずタンカー船などの大型船舶にも適用可能である。
排気浄化システム10は、エンジン1から排出されるNOxを低減するものである。排気浄化システム10は、尿素水噴射ノズル11、尿素水供給ポンプ16、切替弁17、NOx触媒18、GPS受信機19、入力装置20、制御装置21等を具備する。なお、本実施形態において、排気浄化システム10をエアレス方式としたがこれに限定されるものではない。
尿素水噴射ノズル11は、還元剤である尿素水を排気管3の内部に供給するものである。尿素水噴射ノズル11は、管状部材から構成され、その一側(下流側)を排気管3の外部から内部へ挿通するようにして設けられる。
尿素水供給ポンプ16は、尿素水を供給する。尿素水供給ポンプ16は、尿素水タンク15内の尿素水を所定の流量で尿素水噴射ノズル11に供給する。なお、尿素水供給ポンプ16は、本実施形態において、特に限定するものではなく、尿素水を所定の流量で供給できるものであればよい。
切替弁17は、尿素水の流路を切り替える。切替弁17は、電磁弁で構成され制御装置21に接続される。切替弁17は、スプールを摺動させることにより位置Xおよび位置Yに切り換えることが可能である。
切替弁17が位置Xの状態にある場合、尿素水噴射ノズル11に尿素水が供給されない。切替弁17が位置Yの状態にある場合、尿素水噴射ノズル11に尿素水が供給される。
入力装置20は、排気浄化システム10の運転モードを入力するものである。入力装置20は、制御装置21に接続される。入力装置20は、作業者によって、燃料消費低減モードと還元剤消費低減モードのうち、任意のモードを入力可能に構成される。
GPS受信機19は、全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)からの情報であるGPS信号を受信するものである。GPS受信機19は、制御装置21に接続される。
制御装置21は、尿素水供給ポンプ16、切替弁17およびECU6を介して燃料噴射弁4を制御する。制御装置21には、尿素水供給ポンプ16、切替弁17および燃料噴射弁4等を制御するための種々のプログラム、GPS信号に基づいて自らの位置Pを算出するプログラムやデータが格納される。制御装置21は、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。また、制御装置21は、エンジン1を制御するECU6と一体的に構成することも可能である。
制御装置21は、海域毎におけるNOx制限値Nlimに関する規制情報が記憶されている。制御装置21は、この規制情報とGPS受信機19から取得したGPS信号に基づいて算出した自らの位置Pとから、当該地域におけるNOx制限値Nlimに切り替えるためのNOx制限値マップM1、取得した回転速度Vと燃料の噴射量Qとから、燃料噴射弁4の各噴射角θ(i)において標準噴射角θsでのエンジン出力を維持するために必要な燃料の各噴射量Q(i)を算出するための噴射角別噴射量マップM2、取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とから、各噴射角θ(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量Nθ(i)を算出するための噴射角別NOx排出量マップM3、取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とから、各噴射角θ(i)での各尿素水噴射量U(n)において還元されるNOx還元量NU(m)を算出するためのNOx還元量マップM4等を記憶する(図3、図4(a)、図5(a)参照)。
制御装置21は、尿素水供給ポンプ16に接続され、尿素水供給ポンプ16を制御することが可能である。
制御装置21は、切替弁17に接続され、切替弁17を制御することが可能である。
制御装置21は、GPS受信機19に接続され、GPS受信機19が受信するGPS信号を取得することが可能である。
制御装置21は、入力装置20に接続され、入力装置20から入力された排気浄化システム10の運転モードを取得することが可能である。
制御装置21は、ECU6に接続され、ECU6からエンジン1に関する各種情報を取得し、ECU6にエンジン1の制御信号を送信することが可能である。具体的には、制御装置21は、ECU6を介してエンジン1の回転速度Vと燃料噴射弁4が燃料を噴射する標準噴射角θs、噴射量Q、噴射角θ(i)および噴射量Q(i)を取得するとともに、ECU6に燃料噴射弁4を制御する信号を送信することが可能である。
制御装置21は、取得したGPS信号から自らの位置Pを算出し、算出した位置Pに基づいてNOx制限値マップM1から当該地域におけるNOx制限値Nlimに切り替えることが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと噴射量Qとに基づいて、噴射角別噴射量マップM2から予め設定されている各噴射角θ(i)においてエンジン出力を維持するために必要な各噴射量Q(i)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと噴射量Qとに基づいて、噴射角別NOx排出量マップM3から各噴射角θ(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量Nθ(i)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと各噴射量Q(i)とに基づいて、NOx還元量マップM4から予め設定されている各尿素水噴射量U(n)において還元されるNOx還元量NU(m)を算出することが可能である。
制御装置21は、算出したNOx排出量Nθ(i)と算出したNOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した排気浄化システム10の運転モードに基づいた噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)とを算出することが可能である。
NOx触媒18は、NOxの還元反応を促進させるものである。NOx触媒18は排気管3の内部であって、尿素水噴射ノズル11よりも下流側に配置される。NOx触媒18はハニカム状に構成され、尿素水が熱・加水分解されて生成されるアンモニアが排気に含まれるNOxを窒素と水とに還元する反応を促進させる。
以下では、図2を用いて、尿素水噴射ノズル11の動作態様について説明する。
図2に示すように、排気管3の内部に尿素水の供給(噴射)が開始される場合、制御装置21が切替弁17を位置Yとすることによって、尿素水が尿素水噴射ノズル11の尿素水供給ポート11aに供給され、尿素水噴射ノズル11の噴射口から噴射される。
図2に示すように、排気管3の内部への尿素水の供給(噴射)が停止される場合、制御装置21が切替弁17のポジションを位置Xとすることによって、尿素水噴射ノズル11の尿素水供給ポート11aへの尿素水の供給が停止される。
以下では、図3から図6を用いて、本発明の第一実施形態に係る排気浄化システム10の制御装置21によるエンジン1と排気浄化システム10とのNOxを低減する手段の構成割合を算出する制御態様について説明する。
始めに、図3(a)に示すように、制御装置21は、GPS受信機19から取得したGPS信号に基づいて自らの位置Pを算出する。そして、制御装置21は、規制情報と算出した自らの位置Pに基づいて、NOx制限値マップM1から当該地域におけるNOx制限値Nlimに切り替える。
次に、図3(b)に示すように、制御装置21は、ECU6から取得した回転速度Vと噴射量Qとに基づいて、噴射角別噴射量マップM2から各噴射角θ(i)において、標準噴射角θsでのエンジン出力を維持するために必要な各噴射量Q(i)を算出する。
次に、図4(a)に示すように、制御装置21は、ECU6から取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とに基づいて、噴射角別NOx排出量マップM3から各噴射角θ(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量Nθ(i)を算出する。
具体的には、図4(b)に示すように、制御装置21は、回転速度Vの場合に、噴射角θ(1)におけるNOx排出量Nθ(1)、噴射角θ(2)におけるNOx排出量Nθ(2)、噴射角θ(3)におけるNOx排出量Nθ(3)、噴射角θ(4)におけるNOx排出量Nθ(4)を算出する。
次に、図5(a)に示すように、制御装置21は、ECU6から取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とに基づいて、NOx還元量マップM4から各噴射角θ(i)において尿素噴射量が各尿素水噴射量U(n)である場合に還元されるNOx還元量NU(m)を算出する。
具体的には、図5(b)に示すように、制御装置21は、回転速度Vである場合に、NOx還元量マップM4から噴射角θ(1)において尿素水噴射量U(1)から尿素水噴射量U(4)であるときに還元されるNOx還元量NU(1)からNOx還元量NU(4)、噴射角θ(2)において還元されるNOx還元量NU(5)からNOx還元量NU(8)、噴射角θ(3)において還元されるNOx還元量NU(9)からNOx還元量NU(12)、噴射角θ(4)において還元されるNOx還元量NU(13)からNOx還元量NU(16)を算出する。
次に、図6(a)に示すように、制御装置21は、算出した各NOx排出量Nθ(i)と各NOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)を算出する。そして、制御装置21は、算出した最終NOx排出量N(m)が算出したNOx制限値Nlim以下になる噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する。
具体的には、図6(b)に示すように、制御装置21は、噴射角θ(1)におけるNOx排出量Nθ(1)と(図4(b)参照)、尿素水噴射量U(1)から尿素水噴射量U(4)におけるNOx還元量NU(1)からNOx還元量NU(4)と(図5(b)参照)、の差である最終NOx排出量N(1)から最終NOx排出量N(4)を算出する。同様にして、制御装置21は、噴射角θ(2)における最終NOx排出量N(5)から最終NOx排出量N(8)、噴射角θ(3)における最終NOx排出量N(9)から最終NOx排出量N(12)、噴射角θ(4)における最終NOx排出量N(13)から最終NOx排出量N(16)を算出する。
そして、制御装置21は、最終NOx排出量N(1)から最終NOx排出量N(16)のうち、NOx制限値Nlim以下になる最終NOx排出量N(m)の噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する(図6(b)網掛け部参照)。
次に、制御装置21は、最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下になる噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせにおいて、噴射量Q(i)が最小となる噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する。さらに、制御装置21は、最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下になる噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせにおいて、尿素水噴射量U(n)が最小となる噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせとを算出する。そして、制御装置21は、入力装置から取得した運転モードに基づいて噴射角θ(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する。
具体的には、図6(c)に示すように、最終NOx排出量N(7)、最終NOx排出量N(8)、最終NOx排出量N(10)から最終NOx排出量N(12)、最終NOx排出量N(14)および最終NOx排出量N(16)のうち、噴射量Q(i)が最小である組み合わせと尿素水噴射量U(n)が最小となる組み合わせとを算出する。
本実施形態において、NOx制限値Nlim以下である最終NOx排出量N(m)のうち、最終NOx排出量N(7)および最終NOx排出量N(8)における噴射量Q(2)が最小が噴射量である場合、制御装置21は、噴射角θ(2)と尿素水噴射量U(3)との組み合わせ、および噴射角θ(2)と尿素水噴射量U(4)との組み合わせとを算出する。さらに、NOx制限値Nlim以下である最終NOx排出量N(m)のうち、最終NOx排出量N(10)および最終NOx排出量N(14)における尿素水噴射量U(2)が最小の尿素噴射量である場合、制御装置21は、噴射角θ(3)と尿素水噴射量U(2)との組み合わせ、および噴射角θ(4)と尿素水噴射量U(2)との組み合わせとを算出する。
入力装置20から入力された排気浄化システム10の運転モードが燃料消費低減モードの場合、制御装置21は、燃料の消費を抑制するために最小の噴射量Q(2)の組み合わせである噴射角θ(2)と尿素水噴射量U(3)との組み合わせ、および噴射角θ(2)と尿素水噴射量U(4)との組み合わせとのうち、尿素水噴射量U(n)が最小の組み合わせである噴射角θ(2)と尿素水噴射量U(3)との組み合わせを算出する。つまり、制御装置21は、燃料の消費を最小にしつつ、尿素水の消費を抑制する。
また、排気浄化システム10の運転モードが還元剤消費低減モードの場合、制御装置21は、尿素水の消費を抑制するために最小の尿素水噴射量U(2)の組み合わせである噴射角θ(3)と尿素水噴射量U(2)との組み合わせ、および噴射角θ(4)と尿素水噴射量U(2)との組み合わせとのうち、噴射量Q(i)が最小の組み合わせである噴射角θ(3)と尿素水噴射量U(2)との組み合わせを算出する。つまり、制御装置21は、尿素水の消費を最小にしつつ、燃料の消費を抑制する。
制御装置21は、ECU6に、燃料の噴射角が算出した組み合わせにおける噴射角θ(i)になるように制御信号を送信する。合わせて、尿素水噴射量が尿素水噴射量U(n)になるように加圧空気弁14と切替弁17とを制御する(図2参照)。
具体的には、排気浄化システム10の運転モードが燃料消費低減モードの場合、制御装置21は、ECU6に、燃料の噴射角が算出した組み合わせにおける噴射角θ(2)になるように制御信号を送信する。合わせて、尿素水噴射量が尿素水噴射量U(3)になるように加圧空気弁14と切替弁17とを制御する。同様に、排気浄化システム10の運転モードが還元剤消費低減モードの場合、制御装置21は、ECU6に、燃料の噴射角が算出した組み合わせにおける噴射角θ(3)になるように制御信号を送信する。合わせて、尿素水噴射量が尿素水噴射量U(2)になるように加圧空気弁14と切替弁17とを制御する。
以上のごとく、本実施形態に係る排気浄化システム10は、エンジン1の排気管3内に還元触媒を設けたエンジン1の排気浄化システム10において、エンジン1の運転状態である回転速度Vと噴射量Qとに基づいてエンジン1のNOx低減手段である燃料噴射弁4・4・・の操作量である噴射角θ(i)に対するNOx排出量Nθ(i)を算出し、エンジンの回転速度Vと噴射量Q(i)とに基づいて還元剤である尿素水の尿素水噴射量U(n)に対するNOx還元量NU(m)を算出し、NOx排出量Nθ(i)とNOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下となる燃料噴射弁4・4・・の噴射角θ(i)と尿素水の尿素水噴射量U(n)との組み合わせのうち、燃料の消費量である噴射量Q(i)が最小になる組み合わせと還元剤の噴射量である尿素水噴射量U(n)が最小になる組み合わせとを算出するものである。
このように構成することにより、NOxを低減する手段である燃料噴射弁4の噴射角θ(i)と尿素水の尿素水噴射量U(n)との構成割合が異なる組み合わせが算出される。これにより、外気に排出される最終NOx排出量N(m)をNOx制限値Nlim以下に低減しつつ、エンジン1の運転状態や排気浄化システム10の状態に応じてNOxを低減する手段である燃料噴射弁4の噴射角θ(i)と尿素水の尿素水噴射量U(n)との組み合わせを選択することができる。
また、GPS受信機19を更に備え、受信したGPS信号から算出された位置Pに基づいてNOx制限値Nlimを切り替えるものである。
このように構成することにより、エンジン1の所在に応じたNOx制限値Nlimが設定される。これにより、外気に排出される最終NOx排出量N(m)をNOx制限値Nlim以下に低減しつつ、エンジン1と排気浄化システム10とのランニングコストC(m)を最小化することができる。
次に、図7から図9を用いて、本発明に係る排気浄化システム10の第二実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
以下に、本発明の第二実施形態に係る排気浄化システム10を具備するエンジン1について説明する。
図7に示すように、エンジン1は、EGR装置7を更に具備する。EGR装置7は、排気の一部を吸気に還流するものである。EGR装置7は、EGR管8、EGR弁9、加圧空気供給ポンプ12、加圧空気弁14等を具備する。
EGR管8は、排気を吸気管2に案内するための管である。EGR管8は、吸気管2と排気管3とを連通するように設けられる。これにより、排気管3を通過する排気の一部がEGR管8を通じて吸気管2に案内される(図9における網掛け矢印参照)。すなわち、排気の一部がEGRガスとして吸気に還流可能に構成される(以下、単に「EGRガス」と記す)。
EGR弁9は、EGR管8を通過するEGRガスの流量を制限するものである。EGR弁9は、電磁式流量制御弁から構成される。EGR弁9は、EGR管8の途中部に設けられる。EGR弁9は、制御装置21からの信号を取得してEGR弁9の開度であるEGR弁開度Vd(i)を変更することができる。
加圧空気供給ポンプ12は、加圧空気をエアタンク13に供給するものである。加圧空気供給ポンプ12は、空気を加圧(圧縮)して供給する。加圧空気供給ポンプ12は、エアタンク13の圧力が所定の圧力を下回った場合、空気をエアタンク13に供給し、エアタンク13の圧力が所定の圧力に達すると停止する。なお、加圧空気供給ポンプ12は、本実施形態において、特に限定するものではなく、エアタンク13の圧力を維持できるものであればよい。
加圧空気弁14は、加圧空気の流路を連通または遮断する。加圧空気弁14は、電磁弁で構成され制御装置21に接続される。加圧空気弁14は、スプールを摺動させることにより位置Zおよび位置Wに切り換えることが可能である。
加圧空気弁14が位置Zの状態にある場合、尿素水噴射ノズル11に加圧空気が供給されない。加圧空気弁14が位置Wの状態にある場合、尿素水噴射ノズル11に加圧空気が供給される。なお、加圧空気弁14は、電磁弁で構成されるが、特に限定するものではなく、駆動モータ等によって位置Z、または位置Wに保持する構成でもよい。
制御装置21は、加圧空気弁14、尿素水供給ポンプ16、切替弁17およびECU6を介して燃料噴射弁4を制御する。制御装置21には、加圧空気弁14、尿素水供給ポンプ16、切替弁17および燃料噴射弁4等を制御するための種々のプログラム、GPS信号に基づいて自らの位置Pを算出するプログラムやデータが格納される。
制御装置21は、取得した回転速度Vと噴射量Qとから、各EGR弁開度Vd(i)において、EGR弁が全閉状態でのエンジン出力を維持するために必要な各噴射量Q(i)を算出するためのEGR弁開度別噴射量マップM5、取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とから、各EGR弁開度Vd(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量NVd(i)を算出するためのEGR弁開度別NOx排出量マップM6、取得した回転速度Vと各EGR弁開度Vd(i)とから、各尿素水噴射量U(n)において還元されるNOx還元量NU(m)を算出するためのNOx還元量マップM7等を記憶する(図8参照)。
制御装置21は、EGR弁9に接続され、EGR弁9を制御することが可能である。
制御装置21は、加圧空気弁14に接続され、加圧空気弁14を制御することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと噴射量Qとに基づいて、EGR弁開度別噴射量マップM5から各EGR弁開度Vd(i)においてエンジン出力を維持するために必要な各噴射量Q(i)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とに基づいて、EGR弁開度別NOx排出量マップM6から各EGR弁開度Vd(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量NVd(i)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと各EGR弁開度Vd(i)とに基づいて、NOx還元量マップM7から各尿素水噴射量U(n)において還元されるNOx還元量NU(m)を算出することが可能である。
制御装置21は、算出したNOx排出量NVd(i)と算出したNOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)を算出することが可能である。
以下では、図9を用いて、尿素水噴射ノズル11の動作態様について説明する。
図9に示すように、排気管3の内部に尿素水の供給(噴射)が開始される場合、制御装置21が切替弁17を位置Yとすることによって、尿素水が尿素水噴射ノズル11の尿素水供給ポート11aに供給される。
この状態で、図9に示すように、制御装置21が加圧空気弁14を位置Wとすることによって、加圧空気が尿素水噴射ノズル11の気体供給ポート11bに供給される。この結果、尿素水は、尿素水噴射ノズル11の内部で加圧空気と衝突して霧化され、尿素水噴射ノズル11の噴射口から噴射される。
以下では、図8と図9とを用いて、本発明の第二実施形態に係る排気浄化システム10の制御装置21によるNOxを低減する手段の構成割合を算出する制御態様について説明する。
前述と同様に、図8(a)に示すように、制御装置21は、EGR弁開度別噴射量マップM5から各噴射量Q(i)を算出する。そして、図8(b)に示すように、制御装置21は、EGR弁開度別NOx排出量マップM6から各EGR弁開度Vd(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量NVd(i)を算出する。合わせて、図8(c)に示すように、NOx還元量マップM7から各EGR弁開度Vd(i)において各尿素水噴射量U(n)が噴射された場合に還元されるNOx還元量NU(m)を算出する。
次に、図9(a)に示すように、制御装置21は、各NOx排出量NVd(i)と各NOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)を算出する。そして、図9(b)に示すように、制御装置21は、算出した最終NOx排出量N(m)が算出したNOx制限値Nlim以下になるEGR弁開度Vd(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する(図9(b)網掛け部参照)。
次に、制御装置21は、最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下になるEGR弁開度Vd(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせにおいて、噴射量Q(i)が最小となるEGR弁開度Vd(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する。さらに、制御装置21は、最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下になるEGR弁開度Vd(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせにおいて、尿素水噴射量U(n)が最小となるEGR弁開度Vd(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する。そして、制御装置21は、入力装置から取得した運転モードに基づいてEGR弁開度Vd(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する。なお、EGR弁開度Vd(i)に加えて、燃料の噴射角θ(i)も合わせて制御してもよい。
制御装置21は、ECU6に、算出した組み合わせにおけるEGR弁開度Vd(i)になるように制御信号を送信する。合わせて、尿素水噴射量が尿素水噴射量U(n)になるように加圧空気弁14と切替弁17とを制御する(図9参照)。本実施形態において、制御装置21は、ECU6に、算出した組み合わせにおけるEGR弁開度Vd(3)になるように制御信号を送信する。合わせて、尿素水噴射量が尿素水噴射量U(2)になるように加圧空気弁14と切替弁17とを制御する。
以上のごとく、本実施形態に係る排気浄化システム10は、NOx低減手段として排気の一部をEGRガスとして吸気管に還流させるEGR装置7を更に設け、エンジン1の回転速度Vと噴射量Q(i)に基づいてEGR装置7のEGR弁開度Vd(i)を変更することにより増減する燃料の消費量である噴射量Q(i)を算出するものである。
このように構成することにより、NOxを低減させる手段であるEGR装置7のEGR弁開度Vd(i)と尿素水の尿素水噴射量U(n)との割合が異なる組み合わせが算出される。これにより、外気に排出される最終NOx排出量N(m)をNOx制限値Nlim以下に低減しつつ、エンジン1の運転状態や排気浄化システム10の状態に応じてNOxを低減する手段であるEGR装置7のEGR弁開度Vd(i)と尿素水の尿素水噴射量U(n)との組み合わせを選択することができる。
次に、図10から図12を用いて、本発明に係る排気浄化システム10の第三実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
以下に、本発明の第三実施形態に係る排気浄化システム10を具備するエンジン1について説明する。
エンジン1は、吸気絞り弁2aを更に具備する。吸気絞り弁2aは、エンジン1の吸気流量を制御するものである。吸気絞り弁2aは、電磁式流量制御弁から構成される。吸気絞り弁2aは、吸気管2の途中部に設けられる。吸気絞り弁2aは、制御装置21からの信号を取得して吸気絞り弁2aの開度である絞り弁開度Vi(i)を変更することができる。
制御装置21は、取得した回転速度Vと噴射量Qとから、各絞り弁開度Vi(i)において、絞り弁開度が全開でのエンジン出力を維持するために必要な各噴射量Q(i)を算出するための絞り弁開度別噴射量マップM8、取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とから、各絞り弁開度Vi(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量NVi(i)を算出するための絞り弁開度別NOx排出量マップM9、取得した回転速度Vと各絞り弁開度Vi(i)とから、各尿素水噴射量U(n)において還元されるNOx還元量NU(m)を算出するためのNOx還元量マップM10等を記憶する(図11参照)。
制御装置21は、吸気絞り弁2aに接続され、吸気絞り弁2aを制御することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと噴射量Qとに基づいて、絞り弁開度別噴射量マップM8から各絞り弁開度Vi(i)においてエンジン出力を維持するために必要な各噴射量Q(i)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと算出した各噴射量Q(i)とに基づいて、絞り弁開度別NOx排出量マップM9から各絞り弁開度Vi(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量NVi(i)を算出することが可能である。
制御装置21は、取得した回転速度Vと各絞り弁開度Vi(i)とに基づいて、NOx還元量マップM10から各尿素水噴射量U(n)において還元されるNOx還元量NU(m)を算出することが可能である。
制御装置21は、算出したNOx排出量NVi(i)と算出したNOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)を算出することが可能である。
以下では、図11と図12とを用いて、本発明の第三実施形態に係る排気浄化システム10の制御装置21によるNOxを低減する手段の構成割合を算出する制御態様について説明する。
前述と同様に、図11(a)に示すように、制御装置21は、絞り弁開度別噴射量マップM8から各噴射量Q(i)を算出する。そして、図11(b)に示すように、制御装置21は、絞り弁開度別NOx排出量マップM9から各絞り弁開度Vi(i)においてエンジン1が排出するNOx排出量NVi(i)を算出する。合わせて、図11(c)に示すように、NOx還元量マップM10から各絞り弁開度Vi(i)において各尿素水噴射量U(n)が噴射された場合に還元されるNOx還元量NU(m)を算出する。
次に、図12(a)に示すように、制御装置21は、各NOx排出量NVi(i)と各NOx還元量NU(m)との差である最終NOx排出量N(m)を算出する。そして、制御装置21は、算出した最終NOx排出量N(m)が算出したNOx制限値Nlim以下になる絞り弁開度Vi(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する(図12(b)網掛け部参照)。
次に、制御装置21は、最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下になる絞り弁開度Vi(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせにおいて、噴射量Q(i)が最小となる絞り弁開度Vi(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせとを算出する。さらに、制御装置21は、最終NOx排出量N(m)がNOx制限値Nlim以下になる絞り弁開度Vi(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせにおいて、尿素水噴射量U(n)が最小となる絞り弁開度Vi(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせとを算出する。そして、制御装置21は、入力装置から取得した運転モードに基づいて絞り弁開度Vi(i)と尿素水噴射量U(n)との組み合わせを算出する。なお、絞り弁開度Vi(i)に加えて、燃料の噴射角θ(i)やEGR装置を更に備えてEGR弁開度Vd(i)も合わせて制御してもよい。
以上のごとく、本実施形態に係る排気浄化システム10は、NOx低減手段として吸気管2に吸気絞り弁2aを更に設け、エンジン1の回転速度Vと噴射量Q(i)に基づいて吸気絞り弁2aの開度である絞り弁開度Vi(i)を変更することにより増減する燃料の消費量である噴射量Q(i)を算出するものである。
このように構成することにより、NOxを低減させる手段である吸気絞り弁2aの絞り弁開度Vi(i)と尿素水の尿素水噴射量U(n)との割合が異なる組み合わせが算出される。これにより、外気に排出される最終NOx排出量N(m)をNOx制限値Nlim以下に低減しつつ、エンジン1の運転状態や排気浄化システム10の状態に応じてNOxを低減する手段である吸気絞り弁2aの絞り弁開度Vi(i)と尿素水の尿素水噴射量U(n)との組み合わせを選択することができる。
また、本発明に係る船舶は、第一実施形態に係る排気浄化システム10、第二実施形態に係る排気浄化システム10、または第三実施形態に係る排気浄化システム10を備えるものである。
このように構成することにより、船舶100がどのようなNOx規制値Nlimが設定された海域を航行していても、NOxを低減する手段である燃料噴射弁4の噴射角θ(i)等と尿素水の尿素水噴射量U(n)との構成割合が異なる組み合わせが算出される。これにより、外気に排出される最終NOx排出量N(m)をNOx制限値Nlim以下に低減しつつ、エンジン1の運転状態や排気浄化システム10の状態に応じてNOxを低減する手段である燃料噴射弁4の噴射角θ(i)等と尿素水の尿素水噴射量U(n)との組み合わせを選択することができる。
1 エンジン
3 排気管
4 燃料噴射弁
V 回転速度
θ(i) 噴射角
Q(i) 噴射量
Nθ(i) NOx排出量
U(n) 尿素水噴射量
NU(m) NOx還元量
N(m) 最終NOx排出量
Nlim NOx制限値

Claims (6)

  1. エンジンの排気管内に還元触媒を設けたエンジンの排気浄化システムにおいて、
    エンジンの運転状態に基づいてエンジンのNOx低減手段の操作量に対するNOx排出量を算出し、
    エンジンの運転状態に基づいて還元剤の噴射量に対するNOx還元量を算出し、
    NOx排出量とNOx還元量との差がNOx制限値以下となるNOx低減手段の操作量と還元剤の噴射量との組み合わせのうち、燃料の消費量が最小になる組み合わせと還元剤の噴射量が最小になる組み合わせとを算出する排気浄化システム。
  2. 前記NOx低減手段として燃料の噴射角を制御し、前記エンジンの運転状態に基づいて燃料の噴射角を変更することにより増減する燃料の消費量を算出する請求項1に記載の排気浄化システム。
  3. 前記NOx低減手段として排気の一部をEGRガスとして吸気管に還流させるEGR装置を更に設け、前記エンジンの運転状態に基づいてEGR弁の開度を変更することにより増減する燃料の消費量を算出する請求項1または請求項2に記載の排気浄化システム。
  4. 前記NOx低減手段として吸気管に吸気絞り弁を更に設け、前記エンジンの運転状態に基づいて吸気絞り弁の開度を変更することにより増減する燃料の消費量を算出する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の排気浄化システム。
  5. GPS受信機を更に備え、受信したGPS信号から算出された位置情報に基づいて前記NOx制限値を切り替える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の排気浄化システム。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の排気浄化システムを備えた船舶。
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