JP2014179493A - 有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高発光効率、低駆動電圧かつ長寿命の有機EL素子を提供する。また、該有機EL素子を備えた表示装置及び照明装置を提供する。
【解決手段】基板上に設けられた一対の電極と該一対の電極間に配置される発光層とを備える有機EL素子であって、前記発光層は、発光ドーパント及び、下記一般式(1)で共に表される構造を有する二種のホスト化合物Aとホスト化合物Bとを少なくとも含有し、一般式(1)において、前記ホスト化合物Aに含まれる3環〜5環が縮合した、芳香族炭化水素環と芳香族複素環の総数が、前記ホスト化合物Bのそれ以上であり、かつ前記ホスト化合物Aにおける置換基R〜Rとして含まれる単環又は2環が縮合した芳香族炭化水素環と芳香族複素環との総数が、前記ホスト化合物Bのそれより少ないことを特徴とする。
Figure 2014179493

【選択図】なし

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置に関する。より詳しくは、高発光効率、低駆動電圧かつ長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子、それが具備されている表示装置及び照明装置に関する。
従来、発光型の電子ディスプレイデバイスとして、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)が知られている。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子(無機EL素子)や有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)が挙げられる。
無機EL素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
一方、有機EL素子は、発光する化合物を含有する発光層を、陰極と陽極とで挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子である。数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、さらに自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、また、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。さらには、有機EL素子は面光源であるという特徴も有している。
この特性を有効に活用できる用途として、照明用光源や様々なディスプレイのバックライトが挙げられる。特に近年では、需要の増加が著しい液晶フルカラーディスプレイのバックライトとして好適に用いられている。
有機EL素子をこのような照明用光源やディスプレイのバックライトとして使用する場合、発光色が白色又はいわゆる電球色(以下、総合して白色と称す。)を呈する光源として用いることになる。
白色発光を得るためには、B(青色)/G(緑色)/R(赤色)の3層の発光層を積層したり、B(青色)/Y(黄色)のように補色関係にある2層の発光層を積層したりする方法(例えば、特許文献1参照。)、多色の発光画素、例えば、青・緑・赤の3色を塗り分け、同時に発光させ、混色して白色を得る方法、色変換色素を用いて白色を得る方法(例えば、青色発光ドーパント化合物と色変換蛍光色素の組み合わせ。)、一つの素子中に発光波長の異なる複数の発光ドーパント化合物を調製し混色により白色を得る方法等が考えられ、これらの方法により白色発光を達成することができる。
実用化に向けた有機EL素子の開発としては、M.A.Baldo et al.,nature、395巻、151〜154ページ(1998年)により、プリンストン大より、励起三重項からのリン光発光を用いる有機EL素子の報告がされて以来、M.A.Baldo et al.,nature、403巻、17号、750〜753頁(2000年)、米国特許第6097147号明細書により、室温でリン光を示す材料の研究が活発になってきている。
更に、最近発見されたリン光発光を利用する有機EL素子では、以前の蛍光発光を利用する素子に比べ原理的に約4倍の発光効率が実現可能であることから、その材料開発を初めとし、発光素子の層構成や電極の研究開発が世界中で行われている。
例えば、S.Lamansky et al.,J.Am.Chem.Soc.,123巻、4304頁(2001年)に記載の研究では、イリジウム錯体系等重金属錯体を中心に、多くの化合物の合成検討がなされている。
このように、リン光発光方式は大変ポテンシャルの高い方式であるが、リン光発光を利用する有機EL素子においては、蛍光発光を利用する有機EL素子とは大きく異なり、発光中心の位置をコントロールする方法、とりわけ発光層の内部で再結合を行い、いかに発光を安定に行わせることができるかが、素子の効率・寿命を捕らえる上で重要な技術的な問題となっている。
そこで、近年、発光層に隣接する形で、発光層の陽極側に位置する正孔輸送層と発光層の陰極側に位置する電子輸送層を備えた多層積層型の素子が良く知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
特に、青色リン光発光を利用するにあたっては、青色リン光発光材料自身の励起三重項エネルギーが大きいため、励起子の隣接層への漏れを極力抑制することや発光層の内部における精密な発光中心の制御が強く求められている。前者は隣接層材料の励起三重項エネルギーを大きくすることなどで比較的容易に達成されるが、発光層内で再結合しきらない正孔や電子が存在すると隣接層で再結合して発光効率が落ちるため、後者の発光中心の制御がとりわけ重要な問題となる。
さらに、発光波長の短波化と寿命はトレードオフの関係にあり、青色リン光発光素子の長寿命化も大きな問題であり、高発光効率で、低電圧駆動かつ長寿命の有機EL素子が望まれている。
これらの問題を解決するため、ホスト化合物からのアプローチとして、例えばリン光発光材料を含有する発光層においては、ホスト化合物としてジベンゾチオフェン誘導体を用いる技術(例えば、特許文献2参照。)や、正孔注入成分及び/又は発光成分として、ジベンゾチオフェン誘導体やジベンゾフラン誘導体を用いる技術(例えば、特許文献3参照。)、また、ホスト化合物としてジベンゾチオフェンやジベンゾフランを構成する炭素原子の一部が窒素原子に置換した環に、カルバゾリル基がN位で結合した誘導体を用いる技術(例えば、特許文献4参照。)などが開示されている。
このような多環芳香族縮合環を有するホスト化合物を用いて発光効率を上げることは可能であるが、発光効率を上げるため多環芳香族縮合環を有するホスト化合物を多用すると、ホスト化合物同士が凝集するため発光ドーパントが偏在して分散性が崩れてしまい、発光効率は上がらず寿命も伸びないという問題があった。
二種以上のホスト化合物を発光層に用いた例として、共蒸着法により二種以上のホスト化合物を発光層に用いた例がある。例えば、特許文献5及び特許文献6では、異なるLUMO(最低空軌道)若しくは異なるHOMO(最高非占軌道)を持つ二つ以上のホスト化合物を用いて最適化し、ドーパント上での再結合確率向上及び隣接層からの注入効率向上により、高発光効率化を図っている。しかし、蒸着による製膜方法は、大量生産を考えた場合、発光素子の大面積化や連続生産に対して設備コストが増大する問題がある。また、二つ以上の材料を共蒸着する場合には、製膜レートを精密に制御することが困難であり、信頼性に欠ける問題もあり、より簡便で信頼性の高い製膜方法で発光素子を作製する方法が望まれている。
これら大面積化、低コスト化、高生産性に対する要求から、ウェットプロセスに対する期待が大きい。また、真空プロセスでの製膜に比して低温で製膜可能であるため、有機物材料へのダメージを低減でき、蒸着では使用が困難な材料へと選択幅が広がることからも大きな期待が寄せられている。
ウェットプロセスを用いて、上記のような複数のホスト化合物を用いた詳細な例は少なく、例えば特許文献7には、少なくとも二種以上のホスト化合物で第2のホスト化合物が正孔輸送性の芳香族アミンである有機EL素子の例が示されている。しかし、ウェットプロセスを用いた例は述べられておらず、ウェットプロセス特有の膜密度の低下や素材の結晶化による効率低下、低耐久性等の問題が改善された素子を作製するには不十分であり、より高発光効率で、低電圧駆動かつ長寿命の有機EL素子が望まれている。
特開平7−041759号公報 特開2007−126403号公報 特開2005−112765号公報 米国特許2009/0134784号明細書 特開2006−156942号公報 特開2006−135295号公報 特開2009−130142号公報
有機ELハンドブック P−198、リアライズ理工センター、2004年発刊
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、高発光効率、低駆動電圧かつ長寿命の有機EL素子を提供することである。また、該有機EL素子を備えた表示装置及び照明装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において多環芳香族縮合環を複数有する特定構造のホスト化合物において、多環芳香族縮合環の総数と置換基に含まれる単環又は2環が縮合した芳香族縮合環の総数を特定した二種のホスト化合物Aとホスト化合物Bとを発光層に用いることで、有機EL素子の発光効率及び寿命を大きく改善できることを見出し本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.基板上に設けられた一対の電極と該一対の電極間に配置される発光層とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層は、発光ドーパント及び、下記一般式(1)で共に表される構造を有する二種のホスト化合物Aとホスト化合物Bとを少なくとも含有し、
一般式(1)において、前記ホスト化合物Aに含まれる3環〜5環が縮合した、芳香族炭化水素環と芳香族複素環の総数が、前記ホスト化合物Bに含まれる3環〜5環が縮合した、芳香族炭化水素環と芳香族複素環の総数以上であり、かつ前記ホスト化合物Aにおける置換基R〜Rとして含まれる単環又は2環が縮合した芳香族炭化水素環と芳香族複素環との総数が、前記ホスト化合物Bにおける置換基R〜Rとして含まれる単環又は2環が縮合した芳香族炭化水素環と芳香族複素環との総数より少ないことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
Figure 2014179493
〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボニル基、アミノ基、シリル基、ヒドロキシ基、チオール基、ホスフィンオキシド基、非芳香族炭化水素環、非芳香族複素環、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、更に置換基を有していても良い。ただし、少なくともホスト化合物Bは、R〜Rのうち少なくとも一つは、下記一般式(2)で表される基である。R〜Rがそれぞれ複数存在する場合は、各々のR〜Rは、同じであっても異なっていても良く、更に互いに結合して環を形成してもいても良い。n1は、0〜8の整数を表し、n2は、0〜3の整数を表し、n3は、0〜4の整数を表す。ただし、n1+n2+n3は、1以上である。Cbzは、カルバゾール環を表す。Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。〕
Figure 2014179493
〔式中、*は、前記一般式(1)で表される構造との結合部位を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。Rは、置換基を表す。Rは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボニル基、シリル基、ホスフィンオキシド基、非芳香族炭化水素環、非芳香族複素環、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、更に置換基を有していても良く、置換基同士が互いに結合して環を形成しても良い。R及びRがそれぞれ複数存在する場合は、各々のR及びRは、同じであっても異なっていても良い。n4は、0〜4の整数を表し、n5は、0〜5の整数を表す。mは、1〜10の整数を表す。〕
2.前記一般式(1)においてXが、酸素原子を表すことを特徴とする第1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
3.前記一般式(1)において、前記ホスト化合物Aに含まれるカルバゾール環の総数が、前記ホスト化合物Bに含まれるカルバゾール環の総数より多いことを特徴とする第1項又は第2項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
4.前記発光層中の前記ホスト化合物Aの含有量が、全ホスト化合物の70質量%以上であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
5.前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、白色発光することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
6.前記発光層が、ウェットプロセスにより形成された層であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする表示装置。
8.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする照明装置。
本発明の上記手段により、高発光効率、低駆動電圧かつ長寿命の有機EL素子を提供することができる。また、該有機EL素子を備えた表示装置及び照明装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
多環芳香族縮合環を複数有する特定構造のホスト化合物を用いる際、多環芳香族縮合環を有する特定構造のホスト化合物Aと、ホスト化合物Aに対し平面性の高い多環芳香族縮合環の数を同数以下に減らし、フレキシブルなベンゼン環を増やしたホスト化合物Bとを混合して発光層を形成することでバルクの高密度は維持し、異なる分子を混ぜることでホスト化合物の結晶化(凝集)が抑制され発光ドーパントがすき間に入り込んで分散しやすくなり、高発光効率、低駆動電圧かつ長寿命になるものと推定している。
本発明の有機EL素子の概略構成を示す断面図。 有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図 図2における表示部Aの模式図 画素の回路図 パッシブマトリクス方式フルカラー表示装置の模式図 照明装置の概略図 照明装置の模式図 有機ELフルカラー表示装置の概略構成図
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板上に設けられた一対の電極と該一対の電極間に配置される発光層とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層は、発光ドーパント及び、前記一般式(1)で共に表される構造を有する二種のホスト化合物Aとホスト化合物Bとを少なくとも含有し、一般式(1)において、前記ホスト化合物Aに含まれる3環〜5環が縮合した、芳香族炭化水素環と芳香族複素環総数が、前記ホスト化合物Bに含まれる3環〜5環が縮合した、芳香族炭化水素環と芳香族複素環の総数以上であり、かつ前記ホスト化合物Aにおける置換基R〜Rとして含まれる単環又は2環が縮合した芳香族炭化水素環と芳香族複素環との総数が、前記ホスト化合物Bにおける置換基R〜Rとして含まれる単環又は2環が縮合した芳香族炭化水素環と芳香族複素環との総数より少ないことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項8までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記一般式(1)においてXが、酸素原子を表すことが好ましい。また、前記一般式(1)において、前記ホスト化合物Aに含まれるカルバゾール環の総数が、前記ホスト化合物Bに含まれるカルバゾール環の総数より多いことが好ましい。
さらに、本発明においては、前記発光層中の前記ホスト化合物Aの含有量が、全ホスト化合物の70質量%以上であることが好ましい。前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、白色発光することが好ましい。
また、前記発光層がウェットプロセスにより形成された層であることが好ましい。これにより、塗布液の安定性が増し析出が抑制される。また、塗布ムラが低減し発光時の輝度ムラを少なくすることができる。
本発明の有機EL素子は、表示装置及び照明装置に好適に具備され得る。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《有機EL素子の構成》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、基板上に設けられた一対の電極と該一対の電極間に配置される発光層とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層は、発光ドーパント及び、前記一般式(1)で共に表される構造を有する二種のホスト化合物Aとホスト化合物Bとを少なくとも含有している。
図を用いて具体的に説明する。図1は本発明の有機EL素子の概略構成を示す断面図である。図1に示すとおり、有機EL素子100は、支持基板31上に、陽極32、有機機能層50、陰極38が順次積層され、構成されている。
有機機能層50は、有機化合物を含有する各層からなり、正孔注入層33、正孔輸送層34、発光層35、電子輸送層36、電子注入層37を有している。
その他、正孔阻止層や電子阻止層等の有機化合物層が設けられていてもよい。
陽極32、有機機能層50、陰極38は、封止接着剤39を介して、封止部材40によって封止されている。
なお、有機EL素子100のこれらの層構造は単に好ましい具体例を示したものであり、本発明はこれらに限定されない。
例えば、有機EL素子100は(i)又は(ii)の層構造を有していてもよい。
(i)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ii)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/電子注入層/陰極
また、有機EL素子100のこれらの層構造は電子注入層上に電荷発生層を介して更に有機機能層を繰り返し製膜したタンデム構造(マルチフォトン構造)を有していても良い。
本発明の有機EL素子100としては白色発光層であることが好ましく、これらを用いた照明装置であることが好ましい。その際は、有機EL素子は、素子全体として白色発光層を形成していればよく、有機機能層の繰り返し単位が別々の発光色で発光するように構成されていても良い。
白色発光を得るために、B(青色)/G(緑色)/R(赤色)の3色の光を用いる場合、有機EL素子においては、青色発光ドーパント化合物の発光極大波長は430〜480nmの範囲内にあるものが好ましく、緑色発光ドーパント化合物は発光極大波長が510〜550nmの範囲内、赤色発光ドーパント化合物は発光極大波長が600〜640nmの範囲にあることが好ましく、これらを用いた有機エレクトロルミネッセンス素子であることが好ましい。また、これらの少なくとも3色の発光層を積層して白色発光層としたものであってもよいし、同一層に複数の発光色を混ぜても良い。さらに、発光層間には非発光性の中間層を有していてもよい。
塗布方式で製膜する場合、コストと簡易性の観点から発光層が、同一層に複数の発光ドーパントを混ぜた白色発光層であることが好ましい。例えば、発光層が、B/G/Rのそれぞれに発光する3種の発光ドーパントを混ぜた白色発光層であることや、補色の関係にある光(例えば青色と黄色)を発光する2種の発光ドーパントを含有した白色発光層であることが好ましい。
本発明の有機EL素子100を構成する各層について説明する。
《発光層》
本発明に係る発光層は、電極、又は電子輸送層及び正孔輸送層から注入される電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層の層厚の総和は特に制限はないが、膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、かつ、駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2nm〜5μmの範囲に調整することが好ましく、さらに好ましくは2〜200nmの範囲に調整され、特に好ましくは、10〜100nmの範囲である。
本発明に係る発光層には、発光ドーパント、ホスト化合物A及びホスト化合物Bが少なくとも含まれる。
(1)ホスト化合物
ホスト化合物は、その励起状態から発光性化合物へエネルギー移動や電子移動が起こり、その結果、その発光ドーパントを発光させる化合物である。また発光層において発光ドーパントを安定に分散させる機能も有している。
従来、多環芳香族縮合環を有するホスト化合物を用いて発光効率を上げることは可能であるが、発光効率を上げるため多環芳香族縮合環を有するホスト化合物を多用すると、ホスト化合物同士が凝集するため発光ドーパントが偏在して分散性が崩れてしまい、発光効率は上がらず寿命も伸びないという問題があった。
即ち発光層の製膜においては寿命を良くするホスト化合物による膜高密度化と高効率化のための発光分子を安定に分散する方法がトレードオフとなる問題があり、単純にトレードオフ関係を調整した中間の化合物を用いた場合でも性能向上に限界があった。高効率と長寿命を両立するには、ホスト化合物による膜高密度化は維持し、かつドーパントを分散する必要がある。
本発明者は、多環芳香族縮合環を複数有する特定構造のホスト化合物において、多環芳香族縮合環の総数と置換基に含まれる単環又は2環が縮合した芳香族縮合環の総数を特定した二種のホスト化合物Aとホスト化合物Bとを発光層に用いることで、有機EL素子の発光効率、寿命を大きく改善できることを見出し本発明に至った。
詳細な作用機構は不明であるが、多環芳香族縮合環を複数有する特定構造のホスト化合物を用いる際、多環芳香族縮合環を有する特定構造の上記ホスト化合物Aと、ホスト化合物Aに対して、平面性が高く析出しやすい多環芳香族縮合環の数をホスト化合物A以下に減らし、かつフレキシブルな単環又は2環が縮合した芳香族縮合環の数を増やしたホスト化合物Bを混合して発光層を形成することで発光層が密にパッキングされ、類似した構造のホスト化合物Aとホスト化合物Bとを混ぜて使用することでホスト化合物の結晶化(凝集)が抑制され、発光ドーパントが、ホスト化合物のすき間に入り込んで分散しやすくなるものと推定している。
更に、精査していくなかで、上記二種のホスト化合物を混合することで結晶化が抑制され、ウェットプロセスによる発光層生産時の塗布液の析出や未溶解物による塗布不良を低減できることが分かった。
《一般式(1)で表されるホスト化合物A及びホスト化合物B》
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層は、前記一般式(1)で共に表される構造を有する二種のホスト化合物Aとホスト化合物Bとを少なくとも含有し、
一般式(1)において、前記ホスト化合物Aに含まれる3環〜5環が縮合した、芳香族炭化水素環と芳香族複素環の総数が、前記ホスト化合物Bに含まれる3環〜5環が縮合した、芳香族炭化水素環と芳香族複素環の総数以上であり、かつ前記ホスト化合物Aにおける置換基R〜Rとして含まれる単環又は二環が縮合した芳香族炭化水素環と芳香族複素環との総数が、前記ホスト化合物Bにおける置換基R〜Rとして含まれる単環又は二環が縮合した芳香族炭化水素環と芳香族複素環との総数より少ないことを特徴としている。
3環〜5環が縮合した、芳香族炭化水素環と芳香族複素環の総数は、ホスト化合物Aでは2〜5の範囲が好ましい。より好ましくは3〜5の範囲で、さらに好ましくは3又は4である。3環〜5環が縮合した、芳香族炭化水素環と芳香族複素環の総数は、ホスト化合物Bでは0〜3が好ましい。より好ましくは1又は2である。
単環又は二環が縮合した芳香族炭化水素環と芳香族複素環との総数は、ホスト化合物Aでは1〜3の範囲が好ましい。より好ましくは1〜2の範囲で、さらに好ましくは1である。単環又は二環が縮合した芳香族炭化水素環と芳香族複素環との総数は、ホスト化合物Bでは3〜5が好ましい。より好ましくは4〜5である。
また、ホスト化合物Aに含まれるカルバゾール環の総数が、前記ホスト分子Bに含まれるカルバゾール環の総数より多いことが好ましい。
ホスト化合物Aを単独で用いた場合、多環芳香族縮合環の数が多くなると、ホスト化合物Aの凝集が起きやすくなる。ホスト化合物Bを用いた場合、単環又は二環が縮合した数が多くなると、発光ドーパントの分散性が向上する。二種のホスト化合物Aとホスト化合物Bとを用いることにより、有機EL素子の発光効率及び寿命を大きく改善できる。
さらに、発光層中の前記ホスト化合物Aの含有量が、全ホスト化合物の70質量%以上であることが好ましい。ホスト化合物Bに対するホスト化合物Aの質量比率は、90/10〜70/30が好ましく、より好ましくは、90/10〜80/20の範囲内である
本発明に係る発光層に含まれるホスト化合物A及びホスト化合物Bは下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2014179493
一般式(1)において、Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。好ましくは、Xは、酸素原子を表す。
一般式(1)において、Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
で表される2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アルケニレン基、エーテル基、チオエーテル基、エステル基、カルボニル基、アミノ基、アミド基、シリル基、ホスフィンオキシド基、芳香族炭化水素環から導出される2価の連結基、芳香族複素環から導出される2価の連結基、非芳香族炭化水素環から導出される2価の連結基、非芳香族複素環から導出される2価の連結基、又はこれらの組み合わせから導出される2価の連結基等が挙げられる。
ここで、芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、トリフェニレン環、インデン環、フルオレン環等が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。芳香族複素環としては、例えば、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾフラノインドール環、インドロインドール環等が好ましく、ピリジン環、ピラジン環、イミダゾール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾフラノインドール環、インドロインドール環がより好ましい。非芳香族炭化水素環としては、例えば、シクロプロパン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘキサジエン環、テトラヒドロナフタレン環、ジヒドロインデン環等が挙げられる。非芳香族複素環としては、例えば、ピペリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
以下に一般式(1)において、Lで表される2価の連結基の具体例を示す。以下に例示される連結基は、更にほかの置換基を有していても良い。また、本発明はこれらの例に限定されるものではない。連結基が有していても良い置換基としては、後述のR〜Rが有していても良い置換基と同様の基が挙げられる。
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボニル基、アミノ基、シリル基、ヒドロキシ基、チオール基、ホスフィンオキシド基、非芳香族炭化水素環、非芳香族複素環、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、更に置換基を有していても良い。R〜Rがそれぞれ複数存在する場合は、各々のR〜Rは、同じであっても異なっていても良く、更に互いに結合して環を形成しても良い。
〜Rで表される基としては、好ましくはシリル基、芳香族炭化水素環、芳香族複素環が挙げられ、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環としては、好ましくはベンゼン環、カルバゾール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピラジン環、インドロインドール環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イミダゾール環又はトリアジン環が好ましく用いられる。
〜Rが有していても良い置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボニル基、アミノ基、シリル基、ヒドロキシ基、チオール基、ホスフィンオキシド基、非芳香族炭化水素環、非芳香族複素環、芳香族炭化水素環、芳香族複素環、ホスフィノ基、スルホニル基、ニトロ基等が挙げられ、更に置換されていても良い。
一般式(1)において、n1は、0〜8の整数を表し、n2は、0〜3の整数を表し、n3は、0〜4の整数を表す。ただし、n1+n2+n3は、1以上である。
n1は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。n2及びn3は、好ましくは少なくとも一方が1であり、より好ましくは各々0又は1であり、更に好ましくはn2+n3が1である。
一般式(1)において、Cbzは、カルバゾール環を表し、一般式(1)におけるL及びRは、カルバゾール環の結合可能ないずれの部位に結合していても良い。
一般式(1)において、少なくともホスト化合物Bは、R〜Rのうち少なくとも一つは、下記一般式(2)で表される基を表す。
Figure 2014179493
一般式(2)において、*は、上記した一般式(1)で表される構造との結合部位を表す。
一般式(2)において、Rは、置換基を表す。Rで表される置換基としては、前述のR〜Rが有していても良い置換基と同様の基が挙げられる。
一般式(2)において、Rは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボニル基、シリル基、ホスフィンオキシド基、非芳香族炭化水素環、非芳香族複素環、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、更に置換基を有していても良く、置換基同士が互いに結合して環を形成しても良い。
非芳香族炭化水素環、非芳香族複素環、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環は一般式(1)で挙げたものと同じである。
が有していても良い置換基としては、前述のR〜Rが有していても良い置換基と同様の基が挙げられる。
及びRがそれぞれ複数存在する場合は、各々のR及びRは、同じでも異なっていても良いが、R同士が互いに結合して環を形成することはない。
一般式(2)において、n4は、0〜4の整数を表し、より好ましくは0又は1であり、更に好ましくは0である。
一般式(2)において、n5は、0〜5の整数を表し、より好ましくは0又は1であり、更に好ましくは0である。
一般式(2)において、Lは、単結合又は2価の連結基を表す。
で表される2価の連結基としては、上記した一般式(1)においてLで表される2価の連結基と同様のものが挙げられる。
一般式(2)において、mは、1から10の整数を表す。
また、上記した一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014179493
一般式(3)において、R、R、R、R12′及びR12″は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボニル基、アミノ基、シリル基、ヒドロキシ基、チオール基、ホスフィンオキシド基、非芳香族炭化水素環、非芳香族複素環、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、更に置換基を有していても良い。R、R、R12′及びR12″がそれぞれ複数存在する場合は、各々のR、R、R12′及びR12″は同じであっても異なっていても良く、更に互いに結合して環を形成しても良い。
、R、R、R12′及びR12″で表される好ましい基としては、前述のR〜Rで好ましく用いられる基と同様の基が挙げられる。
、R、R、R12′及びR12″が有していても良い置換基としては、前述のR〜Rが有していても良い置換基と同様の基が挙げられる。
一般式(3)において、n2及びn1dは、0〜3の整数を表し、n3及びn1cは、0〜4の整数を表し、n2+n3+n1c+n1dは1以上である。
n2及びn3は、好ましくは少なくとも一方が1であり、より好ましくは各々0又は1であり、更に好ましくはn2+n3が1である。n1c及びn1dは、好ましくは0又は1であり、より好ましくはn1c+n1dが1である。
一般式(3)において、L及びXは、一般式(1)におけるL及びXと同義である。
一般式(3)において、R、R、R、R12′及びR12″のうち少なくとも一つは、前記一般式(2)で表される基を表す。
さらに、前記一般式(3)で表される化合物は、下記一般式(4)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014179493
一般式(4)において、R、R、R、R12′、R12″、n2、n3、n1c、n1d、X及びLは、前記一般式(3)におけるR、R、R、R12′、R12″、n2、n3、n1c、n1d、X及びLと同義である。
また、上記した一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(5)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014179493
一般式(5)において、R、R、R′及びR″は、それぞれ独立に、重水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボニル基、アミノ基、シリル基、ヒドロキシ基、チオール基、ホスフィンオキシド基、非芳香族炭化水素環、非芳香族複素環、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、更に置換基を有していても良い。R、R、R′及びR″がそれぞれ複数存在する場合は、各々のR、R、R′及びR″は、同じであっても異なっていても良く、更に互いに結合して環を形成しても良い。
、R、R′及びR″で表される好ましい基としては、前述の一般式(1)におけるR〜Rで好ましく用いられる基と同様の基が挙げられる。
、R、R′及びR″が有していても良い置換基としては、前述の一般式(1)におけるR〜Rが有していても良い置換基と同様の基が挙げられる。
一般式(5)において、n2は、0〜3の整数を表し、n3、n1a及びn1bは、それぞれ独立に0〜4の整数を表し、n2+n3+n1a+n1bは、1以上である。
n2及びn3は、好ましくは少なくとも一方が1であり、より好ましくは各々0又は1であり、更に好ましくはn2+n3が1である。n1a及びn1bは、好ましくは0又は1であり、より好ましくはn1a+n1bが1である。
一般式(5)において、L及びXは、一般式(1)におけるL及びXと同義である。
一般式(5)において、R、R、R′及びR″のうち少なくとも一つは、前記一般式(2)で表される基を表す。
前記一般式(5)で表される化合物は、下記一般式(6)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2014179493
一般式(6)において、R、R、R′、R″、n2、n3、n1a、n1b、X及びLは、前記一般式(5)におけるR、R、R′、R″、n2、n3、n1a、n1b、X及びLと同義である。
また、上記した一般式(2)で表される基は、下記一般式(7)で表される基であることが好ましい。
Figure 2014179493
一般式(7)において、*は、上記した一般式(1)、(3)、(4)(5)、又は(6)で表される構造との結合部位を表す。
一般式(7)おいて、L、m、R、R、n4及びn5は、前記一般式(2)における、L、m、R、R、n4及びn5と同義である。
一般式(7)で表される基は、芳香環がメタ位で連結した構造であり、ほかの連結構造に比べ、フレキシビリティーがより高い。特に、一般式(7)で表される基を有する化合物をホスト化合物Bとして用いた場合、発光ドーパントと相互作用により、発光ドーパントの分散性が良好でとなり密なパッキングを形成し、発光層の非晶質性をより大きく向上させることができると推定される。
ここで、上記した一般式(2)又は(7)において、Lが単結合であることが好ましい。
これは、化合物中に占める一般式(2)又は(7)で表される基の割合が高いほど、ドーパントとの相互作用力が向上し、好ましい分散状態を与えるためである。これにより、有機EL素子の発光効率及び発光寿命を向上させることができる。その他の要因として、連結基が単結合である場合が、最も電気的堅牢性が高いという点も推定される。
また、上記した一般式(2)又は(7)におけるmは、1〜10の整数を表す。mは2から5の整数であることが好ましい。mが1以上である場合には、一般式(2)又は一般式(7)で表される基が有するフレキシビリティーにより、発光層の薄膜形成能に優れ、高温、高湿下で保存しても結晶化し難いなど、薄膜のモルフォロジーが変化し難くなり、結果、素子性能が低下し難い。
一方で、mが10を超えると、化合物全体の分子量が増大しすぎるため、蒸着時に高熱がかかり、化合物が分解しやすくなってしまう。更に、溶剤溶解性についても著しく低下してしまい、塗布ムラが発生しやすくなってしまう。したがって、mが1〜10である場合が適切なフレキシビリティーを有するが、フレキシビリティー、蒸着適性及び溶剤溶解性の観点から、mが2〜5の範囲にあることが最も有効である。
また、上記した一般式(1)、(3)、(4)、(5)又は(6)において、Lが単結合であることも好ましい。
また、同じく上記した一般式(1)、(3)、(4)、(5)又は(6)において、Xは、酸素原子を表すことが好ましい。これにより、Xが硫黄原子を表す場合と比較して、各一般式で表される化合物の堅牢性が向上し、発光寿命がより長寿命化すると推定している。
また、経時安定性や、素子作製時の生産適性の点からホスト化合物のTg(ガラス転移温度)は高い方が好ましく、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは120℃以上であり、更に好ましくは130℃以上である。
また、上記した一般式(1)で表される化合物が、後述するリン光発光性化合物と同時に用いられる場合には、一般式(1)で表される化合物が当該リン光発光性化合物よりも高い最低励起三重項エネルギー(T)を有することが好ましく、Tが2.7eV以上であることがより好ましく、Tが2.75eV以上であることが更に好ましく、Tが2.8eV以上であることが特に好ましい。
以下に一般式(1)〜(7)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
また、以下に、一般式(1)〜(7)で表される化合物の合成例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。一般式(1)〜(7)で表される化合物として、上記した化合物H−437及びH−486〜H−492を例にとってその合成方法を説明する。
まず、化合物H−486の合成方法について説明する。
Figure 2014179493
化合物H−486は、以下のスキームで合成可能である。
Figure 2014179493
中間体Aは、非特許文献(The journal of organic chemistry 2009 4490−4498)を参考に合成された。
中間体Bは、非特許文献(The journal of organic chemistry 1997 1348−1355)を参考に合成された。
中間体Cは、以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに中間体Aを3.32g、中間体Bを2.47g、S−phos(2−Dicyclohexylphosphino−2′,6′−dimethoxybiphenyl)を1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、200mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
また、中間体Dは、特許文献EP23041926を参考に合成された。
化合物H−486は、中間体Cと中間体Dを用いて、以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに中間体Cを4.98g、中間体Dを3.5g、S−phosを1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、100mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
次に、化合物H−487の合成方法について説明する。
Figure 2014179493
化合物H−487は、以下のスキームで合成可能である。
Figure 2014179493
中間体Gは、以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Eを2.07g、中間体Fを1.4g、S−phosを1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、100mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
中間体Hは、以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Gを2.22g加え、100mlのDMFに溶解し、氷冷した。得られた溶液に1.8gのNBSを加え、室温で撹拌した。目的物の生成を確認した後、100mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
中間体Iは、以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Iを2.8g加え、100mlのテトラヒドロフランに溶解し、氷冷した。得られた溶液に0.3gのソジウムヒドリドを加え、室温で撹拌した。目的物の生成を確認した後、100mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
中間体Kは、以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された100mlの3口フラスコに中間体Iを2.81g、カルバゾールを1.67g、S−phosを1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、100mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
中間体Lは、EP2301926を参考に合成された。
化合物H−487は、中間体Kと中間体Lを用いて、以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Kを3.67g、中間体Lを2.74g、S−phosを1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、100mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
次に、化合物H−488の合成方法について説明する。
Figure 2014179493
化合物H−488は、以下のスキームで合成可能である。
Figure 2014179493
中間体Nは、中間体Lを合成した手法を応用して合成された。
中間体Oは、以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Mを2.46g、中間体Nを4.32g、S−phosを1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、200mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
化合物H−488は、中間体Bと中間体Oを用いて、以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Oを4.7g、中間体Bを2.47g、S−phosを1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、200mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
次に、化合物H−489の合成方法について説明する。
Figure 2014179493
化合物H−489は、以下のスキームで合成可能である。
Figure 2014179493
中間体Pは、特許文献(US2009/131673)を参考に合成された。
中間体Qは、特許文献(US2010/76201)を参考に合成された。
中間体Rは、以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Pを3.73g、中間体Qを2.43g、S−phosを1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、200mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
中間体Sは、中間体Lを合成した手法を応用して合成された。
化合物H−489は、中間体Rと中間体Sを用いて、以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Rを4.88g、中間体Sを6.60g、S−phosを1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、200mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
次に、化合物H−490の合成方法について説明する。
Figure 2014179493
化合物H−490は、以下のスキームで合成可能である。
Figure 2014179493
中間体Tは、中間体Lを合成した手法を応用して合成された。
化合物H−490は、中間体Rと中間体Tを用いて以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Rを4.88g、中間体Tを5.84g、S−phosを1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、200mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
次に、化合物H−437の合成方法について説明する。
Figure 2014179493
化合物H−437は、以下のスキームで合成可能である。
Figure 2014179493
化合物H−437は、中間体Rと中間体Nを用いて以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Rを4.88g、中間体Nを4.32g、S−phosを1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、200mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
次に、化合物H−491の合成方法について説明する。
Figure 2014179493
化合物H−491は、以下のスキームで合成可能である。
Figure 2014179493
中間体Vは、中間体Lを合成した手法を応用して合成された。
化合物H−491は、中間体Rと中間体Vを用いて以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Rを4.88g、中間体Vを3.56g、S−phosを1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、200mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
次に、化合物H−492の合成方法について説明する。
Figure 2014179493
化合物H−492は、以下のスキームで合成可能である。
Figure 2014179493
中間体Wは、Angewandte Chemie International Edition 2010 10214−10216を参考にして合成された。
中間体Xは、以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Wを2.47g、カルバゾールを1.67g、S−phosを1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、200mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
中間体Yは、以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Xを3.33g加え、100mlのDMFに溶解し、氷冷した。得られた溶液に1.8gのNBSを加え、室温で撹拌した。目的物の生成を確認した後、100mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
中間体Uは、中間体Lを合成した手法を応用して合成された。
化合物H−492は、中間体Yと中間体Uを用いて以下のようにして合成された。
十分に窒素置換された200mlの3口フラスコに中間体Yを4.12g、中間体Uを4.32g、S−phosを1.64g、酢酸パラジウムを0.224g、リン酸三カリウムを6.3g加え、100mlのトルエンに溶解した。得られた溶液を加熱還流した。目的物の生成を確認した後、200mlの水を加え、トルエンにて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加え10分間撹拌した。不溶物を濾過で除き、溶媒を減圧留去して得られた残渣をカラムクロマトグラフィーで生成することで目的物を得た。
(1.2)他のホスト化合物との併用
また、本発明に係るホスト化合物は、三種以上のホスト化合物を併用して用いてもよい。複数種のホスト化合物を用いることにより、電荷(正孔及び/又は電子)の移動度(移動量)を調整することができ、有機EL素子100の発光効率を向上させることができる。
一般式(1)で表されるホスト化合物と併用してもよいホスト化合物としては、公知のホスト化合物を用いることができる。
本発明において、併用することができるホスト化合物としては、特に制限はなく、従来有機EL素子で用いられる化合物を用いることができる。代表的にはカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物等の基本骨格を有するもの、又は、カルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体(ここで、ジアザカルバゾール誘導体とは、カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の少なくとも一つの炭素原子が窒素原子で置換されているものを表す。)等が挙げられる。
本発明に用いることができる公知のホスト化合物としては正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ、発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。
また、本発明に係るホスト化合物と併用して用いられるホスト化合物としては、低分子化合物でも、繰り返し単位を持つ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性ホスト化合物)でもよく、このような化合物を二種又は三種以上用いてもよい。
具体的には、ホスト化合物の分子内において、カルバゾール骨格、トリアリールアミン骨格、チオフェン骨格、フラン骨格、カルボリン骨格、ジアザカルバゾール骨格を有するのが好ましく、カルバゾール骨格、チオフェン骨格、フラン骨格を有するのがより好ましい。
公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載の化合物が挙げられる。
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
発光層中には低分子化合物が含有されることが好ましく、分子量3000以下の繰り返し単位を含まない低分子化合物であることが素材合成の簡便性や膜形成時の溶媒含有量の観点から好ましい。より好ましくは200〜2000の範囲であり、さらに好ましくは400〜1500の範囲である。分子量が3000より大きい場合、素材合成が複雑となり製造コストが上がるだけでなく、分子間の空隙に溶媒を取り込みやすくなって発光が不安定となり、駆動時の発熱や保存時の温度の影響により発光の信頼性が損なわれる。
ここでいう「分子量」とは、従来公知の質量スペクトルを用いて得られるが、高分子(例えば、分子量が10000以上のもの)については、従来公知のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定したものである。
(2)発光ドーパント
本発明に係る発光ドーパントとしては、蛍光発光ドーパント、リン光発光ドーパン(リン光性化合物、リン光発光性化合物等ともいう。)を用いることができるが、リン光発光ドーパントであることが好ましい。
(2.1)リン光発光ドーパント
発光ドーパントとしては、高い発光効率が得られることからリン光発光ドーパントが好ましい。リン光発光ドーパントとは励起三重項からの発光が観測される化合物であり、リン光量子収率が25℃において0.01以上の化合物である。好ましくは0.1以上である。
なお、発光層中におけるホスト化合物とリン光発光ドーパントの割合は、発光層全体に含まれる化合物の質量を100%とすると、各々の化合物で1〜99質量%の間であればどのような割合でもよいが、好ましくはリン光発光ドーパントよりもホスト化合物の割合が大きい方がよく、より好ましくはリン光発光ドーパントの割合は1〜30質量%である。
上記リン光量子収率は、第4版実験化学講座7の分光IIの398ページ(1992年版、丸善)に記載の方法により測定できる。溶液中でのリン光量子収率は種々の溶媒を用いて測定できるが、本発明に用いられるリン光発光ドーパントとは、任意の溶媒のいずれかにおいて上記リン光量子収率が達成される化合物である。
リン光発光ドーパントの発光原理としては二種挙げられ、一つはキャリアが輸送されるホスト化合物上でキャリアの再結合が起こってホスト化合物の励起状態が生成し、このエネルギーをリン光発光ドーパントに移動させることでリン光発光ドーパントからの発光を得るというエネルギー移動型である。もう一つはリン光発光ドーパントがキャリアトラップとなり、リン光発光ドーパント上でキャリアの再結合が起こりリン光発光ドーパントからの発光が得られるというキャリアトラップ型である。いずれの場合においても、リン光発光ドーパントの励起状態のエネルギーはホスト化合物の励起状態のエネルギーよりも低いことが条件である。
リン光発光ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができるが、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、さらに好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、又は白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
本実施形態に係る発光層は、青色リン光材料を含むものが好ましい。またより好ましくは少なくとも一種の青色リン光材料と、当該青色リン光材料よりもバンドギャップエネルギーが低い少なくとも二つのリン光材料とを、含むものである。
以下に、本発明において、発光層の材料として用いることのできるリン光発光ドーパントについて説明する。
本発明で用いることのできるリン光発光ドーパントとしては、下記一般式(A)で表されることが好ましい。
Figure 2014179493
一般式(A)中、環Am、環An、環Bm及び環Bnは5員又は6員の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、Arは芳香族炭化水素環、芳香族複素環、非芳香族炭化水素環又は非芳香族複素環を表す。R1m、R2m、R1n及びR2nはそれぞれ独立に炭素数2以上のアルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表し、更に置換基を有していても良い。Ra、Rb及びRcはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表し、更に置換基を有していても良く、RaはArと環を形成していても良い。na及びncは1又は2を表し、nbは1〜4の整数を表す。mは1又は2を表し、nは1又は2を表し、m+nは3である。なお、Irに配位している三つの配位子の構造が全て同じであることはない。
一般式(A)において、環An、環Am、環Bn及び環Bmで表される5員又は6員の芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環が挙げられる。
一般式(A)において、環An、環Am、環Bn及び環Bmで表される5員又は6員の芳香族複素環としては、例えば、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環等が挙げられる。
好ましくは環Bn及び環Bmの少なくとも一方がベンゼン環であり、より好ましくは環An及び環Amの少なくとも一方がベンゼン環である。
一般式(A)において、Arで表される芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ビフェニル環、ナフタレン環、アズレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、クリセン環、ナフタセン環、トリフェニレン環、o−テルフェニル環、m−テルフェニル環、p−テルフェニル環、アセナフテン環、コロネン環、フルオレン環、フルオラントレン環、ナフタセン環、ペンタセン環、ペリレン環、ペンタフェン環、ピセン環、ピレン環、ピラントレン環、アンスラアントレン環等が挙げられる。
一般式(A)において、Arで表される芳香族複素環としては、例えば、シロール環、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、ピロール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、オキサジアゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズオキサゾール環、キノキサリン環、キナゾリン環、フタラジン環、チエノチオフェン環、カルバゾール環、アザカルバゾール環(カルバゾール環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わったものを表す)、ジベンゾシロール環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ベンゾチオフェン環やジベンゾフラン環を構成する炭素原子の任意の一つ以上が窒素原子で置き換わった環、ベンゾジフラン環、ベンゾジチオフェン環、アクリジン環、ベンゾキノリン環、フェナジン環、フェナントリジン環、フェナントロリン環、サイクラジン環、キンドリン環、テペニジン環、キニンドリン環、トリフェノジチアジン環、トリフェノジオキサジン環、フェナントラジン環、アントラジン環、ペリミジン環、ナフトフラン環、ナフトチオフェン環、ナフトジフラン環、ナフトジチオフェン環、アントラフラン環、アントラジフラン環、アントラチオフェン環、アントラジチオフェン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、ジベンゾカルバゾール環、インドロカルバゾール環、ジチエノベンゼン環等が挙げられる。
一般式(A)において、Arで表される非芳香族炭化水素環としては、例えば、シクロアルカン(例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環等)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、シクロヘキシルアミノスルホニル基、テトラヒドロナフタレン環、9,10−ジヒドロアントラセン環、ビフェニレン環等が挙げられる。
一般式(A)において、Arで表される非芳香族複素環としては、例えば、エポキシ環、アジリジン環、チイラン環、オキセタン環、アゼチジン環、チエタン環、テトラヒドロフラン環、ジオキソラン環、ピロリジン環、ピラゾリジン環、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、テトラヒドロチオフェン環、スルホラン環、チアゾリジン環、ε−カプロラクトン環、ε−カプロラクタム環、ピペリジン環、ヘキサヒドロピリダジン環、ヘキサヒドロピリミジン環、ピペラジン環、モルホリン環、テトラヒドロピラン環、1,3−ジオキサン環、1,4−ジオキサン環、トリオキサン環、テトラヒドロチオピラン環、チオモルホリン環、チオモルホリン−1,1−ジオキシド環、ピラノース環、ジアザビシクロ[2,2,2]−オクタン環、フェノキサジン環、フェノチアジン環、オキサントレン環、チオキサンテン環、フェノキサチイン環等が挙げられる。
一般式(A)において、Arで表されるこれらの環は、置換基を有していてもよく、さらに当該置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(A)において、Arは、好ましくは芳香族炭化水素環又は芳香族複素環であり、より好ましくは芳香族炭化水素環であり、さらに好ましくはベンゼン環である。
一般式(A)において、R1m及びR2mで表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、トリフルオロメチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルヘキシル基、ペンチル基、アダマンチル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
一般式(A)において、R1m及びR2mで表される芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基としては、上述の一般式(A)においてArで表される芳香族炭化水素環、芳香族複素環、非芳香族炭化水素環又は非芳香族複素環から導出される1価の基が挙げられる。
一般式(A)において、R1m及びR2mで表される炭素数2以上のアルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基がさらに有していても良い置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基、非芳香族複素環基等が挙げられる。
一般式(A)においては、R1m及びR2mが共に炭素原子数2以上のアルキル基又はシクロアルキル基であることが好ましく、また、R1m及びR2mのいずれか一方が炭素原子数3以上の分岐アルキル基であることも好ましい。また、R1m及びR2mが共に炭素原子数3以上の分岐アルキル基であることがさらに好ましい。
一般式(A)において、R1n及びR2nは、上述の一般式(A)におけるR1m及びR2mと同義である。
一般式(A)において、Ra、Rb及びRcで表されるアリール基及びヘテロアリール基としては、上述の一般式(A)においてArで表される芳香族炭化水素環及び芳香族複素環から導出される1価の基が挙げられる。
一般式(A)において、Ra、Rb及びRcで表される非芳香族炭化水素環基及び非芳香族複素環基としては、上述の一般式(A)においてArで表される非芳香族炭化水素環及び非芳香族複素環から導出される1価の基が挙げられる。
上記一般式(A)で表されるイリジウム錯体化合物は、下記一般式(B)で表されることが好ましい。
Figure 2014179493
一般式(B)中、Arは芳香族炭化水素環、芳香族複素環、非芳香族炭化水素環又は非芳香族複素環を表す。R1m、R2m、R1n及びR2nはそれぞれ独立に炭素数2以上のアルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表し、更に置換基を有していても良い。Ra及びRcはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表し、更に置換基を有していても良く、RaはArと環を形成していても良い。na及びncは1又は2を表す。mは1又は2を表し、nは1又は2を表し、m+nは3である。なお、Irに配位している三つの配位子の構造が全て同じであることはない。
一般式(B)において、Ar、R1m、R2m、R1n、R2n、Ra、Rc、na、nc、m及びnは、一般式(A)におけるAr、R1m、R2m、R1n、R2n、Ra、Rc、na、nc、m及びnと同義である。
また、本発明で好ましく用いられる一般式(A)、(B)で各々表されるイリジウム錯体化合物は、国際公開第2006/121811号等に記載の公知の方法を参照することにより合成可能である。
上記一般式(B)で表されるイリジウム錯体化合物は、下記一般式(C)で表されることが好ましい。
Figure 2014179493
一般式(C)中、R1m、R2m、R1n及びR2nはそれぞれ独立に炭素数2以上のアルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表し、更に置換基を有していても良い。Ra、Rc及びRaはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表し、更に置換基を有していても良い。na及びncは1又は2を表し、nR3は1〜5の整数を表す。mは1又は2を表し、nは1又は2を表し、m+nは3である。なお、Irに配位している三つの配位子の構造が全て同じであることはない。
一般式(C)において、R1m、R2m、R1n、R2n、Ra、Rc、na、nc、m及びnは、一般式(B)におけるR1m、R2m、R1n、R2n、Ra、Rc、na、nc、m及びnと同義である。
一般式(C)において、Raは、一般式(A)におけるRa、Rb及びRcと同義である。
上記一般式(A)で表されるイリジウム錯体化合物は、下記一般式(D)で表されることが好ましい。
Figure 2014179493
一般式(D)中、R1m、R2m、R1n及びR2nはそれぞれ独立に炭素数2以上のアルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表し、更に置換基を有していても良い。Ra、Rc及びRaはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表し、更に置換基を有していても良い。na及びncは1又は2を表し、nR3は1〜4の整数を表す。XはO、S、SiRz1Rz2、NRz1又はCRz1Rz2を表し、Rz1及びRz2はアルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表す。mは1又は2を表し、nは1又は2を表し、m+nは3である。
一般式(D)において、R1m、R2m、R1n、R2n、Ra、Rc、na、nc、m及びnは、一般式(A)におけるR1m、R2m、R1n、R2n、Ra、Rc、na、nc、m及びnと同義である。
一般式(D)において、Raは、一般式(A)におけるRa、Rb及びRcと同義である。
一般式(D)におけるXにおいて、Rz1及びRz2で表される芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基としては、上記一般式(A)においてArで表される芳香族炭化水素環、芳香族複素環、非芳香族炭化水素環又は非芳香族炭化水素環から導出される1価の基が挙げられる。
上記一般式(A)で表されるイリジウム錯体化合物は、下記一般式(E)で表されることが好ましい。
Figure 2014179493
一般式(E)中、R1m、R2m、R1n及びR2nはそれぞれ独立に炭素数2以上のアルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表し、更に置換基を有していても良い。Ra、Rc及びRaはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アミノ基、シリル基、アリールアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表し、更に置換基を有していても良い。na及びncは1又は2を表し、nR3は1〜4の整数を表す。XはO、S、SiRz1Rz2、NRz1又はCRz1Rz2を表し、Rz1及びRz2はアルキル基、芳香族炭化水素環基、芳香族複素環基、非芳香族炭化水素環基又は非芳香族複素環基を表す。mは1又は2を表し、nは1又は2を表し、m+nは3である。
一般式(E)において、R1m、R2m、R1n、R2n、Ra、Rc、na、nc、m及びnは、一般式(A)におけるR1m、R2m、R1n、R2n、Ra、Rc、na、nc、m及びnと同義である。
一般式(E)において、Raは、一般式(A)におけるRa、Rb及びRcと同義である。
一般式(E)において、Xは、一般式(D)におけるXと同義である。
以下に、本発明で用いることのできるリン光発光ドーパントの具体的な化合物を例示する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
(1.2)他の発光ドーパントとの併用
また、本発明に係る発光ドーパントは、複数種の化合物を併用して用いてもよく、構造の異なるリン光ドーパント同士の組み合わせや、リン光ドーパントと蛍光ドーパントを組み合わせて用いてもよい。
ここで、発光ドーパントとして、一般式(1)で表されるイリジウム錯体化合物と併用して用いてもよい従来公知の発光ドーパントの具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2014179493
Figure 2014179493
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Figure 2014179493
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Figure 2014179493
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Figure 2014179493
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Figure 2014179493
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Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
Figure 2014179493
(3)ウェットプロセス
本発明に係る発光層はウェットプロセスで形成されることにより、発光ドーパントが均一に含有された層となる。また、発光層はウェットプロセスにより形成された層であることが好ましい。これにより、塗布液の安定性が増し析出が抑制される。また、塗布ムラが低減し発光時の輝度ムラを少なくすることができる。本発明において、ウェットプロセスは、スピンコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法等の塗布法による製膜が好ましい。
本発明に係る有機EL素子材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の非フッ化アルコール類、トリフルオロエタノール(TFEO)、テトラフルオロプロパノール(TFPO)、ヘキサフルオロプロパノール(HFPO)等のフッ化アルコール類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができるが、素子中の含まれる溶媒量を抑制する点から、沸点が50℃〜180℃の範囲の溶媒が好適に用いられる。また分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
本発明において、有機EL素子中に含まれる溶媒含有量としては、0.01〜1μg/cmの範囲である。0.01μg以下の場合には、有機膜が疎となるため素子駆動時の高電圧化を引き起こし、1μg/cm以上の場合には素子駆動時の物質拡散や発光材料の凝集を引き起こし、低効率、低駆動寿命となってしまう。これらの溶媒含有量は昇温脱離ガス分光法により求めることができる。
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層若しくは複数層を設けることができる。
電子輸送層は陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していれば良く、電子輸送層の構成材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択し併用することも可能である。
電子輸送層に用いられる従来公知の材料(以下、電子輸送材料という)の例としては、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレン等の多環芳香族炭化水素、複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルボリン誘導体、若しくは該カルボリン誘導体のカルボリン環を構成する炭化水素環の炭素原子の少なくとも一つが窒素原子で置換されている環構造を有する誘導体、又はヘキサアザトリフェニレン誘導体等が挙げられる。
更に、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引性基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も電子輸送材料として用いることができる。
これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、又はこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga又はPbに置き替わった金属錯体も電子輸送材料として用いることができる。
その他、メタルフリー若しくはメタルフタロシアニン、又はそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも電子輸送材料として用いることができる。また、n型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、湿式法(ウェットプロセスともいい、例えば、スピンコート法、キャスト法、ダイコート法、ブレードコート法、ロールコート法、インクジェット法、印刷法、スプレーコート法、カーテンコート法、LB法(ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett法)等を挙げることが
できる。))等により、薄膜化することにより形成することが好ましい。
電子輸送層の層厚については特に制限はないが、通常は5〜5000nm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。この電子輸送層は上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であっても良い。
また、金属錯体やハロゲン化金属など金属化合物等のn型ドーパントをドープして用いても良い。
以下、有機EL素子の電子輸送層の形成に好ましく用いられる従来公知の化合物(電子輸送材料)の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
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《注入層:正孔注入層、電子注入層》
注入層には、電子注入層(陰極バッファー層)と正孔注入層(陽極バッファー層)とがあり、上記のように正孔注入層は陽極と発光層又は正孔輸送層の間、電子注入層は陰極と発光層又は電子輸送層との間に設けることができる。
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されている。
正孔注入層(陽極バッファー層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
電子注入層(陰極バッファー層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)は極薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその層厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。特に好ましくは20〜100nmの範囲内である。
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記のように有機化合物薄膜の基本構成層のほかに必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。
有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
正孔阻止層には、後述のホスト化合物として挙げるカルバゾール誘導体、またカルボリン誘導体やジアザカルバゾール誘導体を含有することが好ましい。
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の層厚としては、好ましくは3〜100nmの範囲内であり、さらに好ましくは5〜30nmの範囲内である。
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層又は複数層設けることができる。
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、上記正孔注入層で適用するのと同様の化合物を使用することができるが、さらには、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、さらには、米国特許第5061569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが三つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
さらに、これらの材料を高分子鎖に導入した、又はこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
また、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、特開2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)、特表2003−519432号公報に記載されているような、いわゆるp型半導体的性質を有するとされる正孔輸送材料を用いることもできる。
正孔輸送層は、上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の層厚は、特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmの範囲内である。この正孔輸送層は上記材料の一種又は二種以上からなる一層構造であってもよい。
以下、正孔輸送材料に好ましく用いられる高分子化合物の具体的な化合物を例示する。ただし、これらに限定されるものではない。
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なお、上記例示化合物に記載のnは重合度を表し、重量平均分子量が50,000〜200,000の範囲となる整数を表す。重量平均分子量がこの範囲未満では、溶媒への溶解性の高さから製膜時にほかの層と混合する懸念がある。また製膜できたとしても、低い分子量では発光効率が上がらない。重量平均分子量がこの範囲より大きい場合は、合成、精製の難しさにより問題が生じる。分子量分布が大きくなるとともに、不純物の残存量も増加するため、有機EL素子の発光効率、電圧、寿命は悪化する。
正孔輸送層は、上記正孔輸送性化合物のほか、各種の発光材料、電子輸送性化合物、バインダー樹脂、界面活性剤をはじめとする塗布性改善剤等を含有していても良い。
また、架橋性基を有し、塗布製膜後に架橋させることによって網目状高分子化合物を形成するような、架橋性化合物を含む層であっても良い。
架橋性基としては、エポキシ、オキセタンなどの環状エーテル基、ビニル基、トリフルオロビニル基、スチリル基、アクリル基、メタクリロイル、シンナモイル等の不飽和二重結合基、ベンゾシクロブテン基などが挙げられる。
架橋性化合物は、モノマー、オリゴマー、ポリマーいずれであっても良く、二種以上を任意の組み合わせ比率で有していても良い。また、架橋反応を促進する添加物を含んでいても良い。
架橋性化合物としては、架橋性基を有する正孔輸送性化合物を用いることが好ましい。正孔輸送性化合物は、例えば、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、カルバゾール誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体等の窒素含有芳香族化合物誘導体、トリフェニルアミン誘導体、シロール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、縮合多環芳香族誘導体、金属錯体などが挙げられる。
以下、正孔輸送材料に好ましく用いられる架橋性化合物の具体的な化合物を例示する。ただし、これらに限定されるものではない。
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架橋性化合物は、例えば、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の湿式製膜法により、薄膜化することにより形成することができる。
架橋性化合物を含む正孔輸送層を下層(通常は正孔注入層)上に製膜後、熱エネルギー又は光等の電磁エネルギー照射により、架橋性化合物を架橋させて正孔輸送層を形成する。これらのエネルギー付与は二つ以上の方法を組み合わせて架橋させても良い。
これらの高分子化合物は、Makromol.Chem.,193,909頁(1992)等に記載の公知の方法で合成することができる。
《陽極》
有機EL素子における陽極としては、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。このような電極物質の具体例としては、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度を余り必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。あるいは、有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式製膜法を用いることもできる。
この陽極より発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましく、また陽極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましい。さらに膜厚は材料にもよるが、通常は、10〜1000nmの範囲であり、好ましくは10〜200nmの範囲である。
《陰極》
陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する。)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。
陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μmの範囲内、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極又は陰極のいずれか一方が透明又は半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
また、陰極に上記金属を1〜20nmの範囲内の厚さで作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
《支持基板》
本発明の有機EL素子に用いることのできる支持基板(以下、基体、基板、基材、支持体等ともいう。)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。支持基板側から光を取り出す場合には、支持基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な支持基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい支持基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜又はその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が1×10−2g/(m・24h)以下のバリアー性フィルムであることが好ましく、さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3cm/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度が1×10−3g/(m・24h)以下の高バリアー性フィルムであることが好ましく、前記の水蒸気透過度が1×10−5g/(m・24h)以下であることがさらに好ましい。
バリアー膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
バリアー膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
不透明な支持基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
《封止》
本発明に用いられる封止手段としては、例えば、封止部材40と電極、支持基板とを封止接着剤39で接着する方法を挙げることができる。(図1参照。)
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属又は合金からなるものが挙げられる。
本発明においては、素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。さらには、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3cm/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が1×10−3g/(m・24h)以下のものであることが好ましい。
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
また、有機層を挟み支持基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、支持基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を用いることができる。さらに該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。これらの膜の形成方法については、特に限定はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
《保護膜、保護板》
有機層を挟み支持基板と対向する側の封止膜、あるいは封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量かつ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
《光取り出し》
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1の範囲内程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光のうち15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4774435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、さらに高輝度あるいは耐久性に優れた素子を得ることができる。
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚さで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7の範囲内程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、さらに1.35以下であることが好ましい。
また、低屈折率媒質の厚さは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚さが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む層厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
全反射を起こす界面若しくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が一次の回折や二次の回折といったいわゆるブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光のうち層間での全反射等により外に出ることができない光を、いずれかの層間若しくは、媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な一次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がさほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
回折格子を導入する位置としては前述のとおり、いずれかの層間若しくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。
このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍の範囲内程度が好ましい。
回折格子の配列は正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、二次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
《集光シート》
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、あるいはいわゆる集光シートと組み合わせることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光したりすることにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を二次元に配列する。一辺は10μm〜100μmの範囲内が好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚さが厚くなり好ましくない。
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム社製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基材に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法を説明する。
まず適当な基体上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの範囲内の膜厚になるように、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ陽極を作製する。
次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の有機化合物薄膜を形成させる。
これら各層の形成方法としては、蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法、スプレー法)等がある。
また、ほかの有機機能層においても、均質な膜が得られやすく、素材が任意の比率で混合でき、かつピンホールが生成しにくい等の点から、ウェットプロセスで形成されることが好ましく、中でも、スピンコート法、インクジェット法、印刷法、スプレー法等の塗布法による製膜が好ましい。
本発明に係る有機EL素子材料を溶解又は分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の非フッ化アルコール類、トリフルオロエタノール(TFEO)、テトラフルオロプロパノール(TFPO)、ヘキサフルオロプロパノール(HFPO)等のフッ化アルコール類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒を用いることができる。また分散方法としては、超音波、高剪断力分散やメディア分散等の分散方法により分散することができる。
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは、50nm〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
また作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40Vの範囲内程度を印加すると発光が観測できる。また交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
《用途》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイなどの表示装置や、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
本発明の有機EL素子においては、必要に応じて製膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタオプティクス社製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がx=0.33±0.12、Y=0.33±0.1の領域内にあることをいう。
《表示装置》
本発明の表示装置について説明する。本発明の表示装置は、本発明の有機EL素子を具備したものである。本発明の表示装置は単色でも多色でも良いが、ここでは多色表示装置について説明する。
多色表示装置の場合は発光層形成時のみシャドーマスクを設け、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で膜を形成できる。
発光層のみパターニングを行う場合、その方法に限定はないが、好ましくは蒸着法、インクジェット法、スピンコート法、印刷法である。
表示装置に具備される有機EL素子の構成は、必要に応じて上記の有機EL素子の構成例の中から選択される。
また、有機EL素子の製造方法は、上記の本発明の有機EL素子の製造の一態様に示したとおりである。
このようにして得られた多色表示装置に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として電圧2V〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、逆の極性で電圧を印加しても電流は流れずに発光は全く生じない。更に交流電圧を印加する場合には、陽極が+、陰極が−の状態になったときのみ発光する。なお、印加する交流の波形は任意で良い。
多色表示装置は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。表示デバイス、ディスプレイにおいて、青、赤、緑色発光の3種の有機EL素子を用いることによりフルカラーの表示が可能となる。
表示デバイス、ディスプレイとしては、テレビ、パソコン、モバイル機器、AV機器、文字放送表示、自動車内の情報表示等が挙げられる。特に静止画像や動画像を再生する表示装置として使用しても良く、動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでも良い。
発光光源としては家庭用照明、車内照明、時計や液晶用のバックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
以下、本発明の有機EL素子を有する表示装置の一例を図面に基づいて説明する。
図2は有機EL素子から構成される表示装置の一例を示した模式図である。有機EL素子の発光により画像情報の表示を行う、例えば、携帯電話等のディスプレイの模式図である。
ディスプレイ1は複数の画素を有する表示部A、画像情報に基づいて表示部Aの画像走査を行う制御部B等からなる。制御部Bは表示部Aと電気的に接続され、複数の画素それぞれに外部からの画像情報に基づいて走査信号と画像データ信号を送り、走査信号により走査線毎の画素が画像データ信号に応じて順次発光して画像走査を行って画像情報を表示部Aに表示する。
図3は図2における表示部Aの模式図である。
表示部Aは基板上に、複数の走査線5及びデータ線6を含む配線部と複数の画素3等とを有する。表示部Aの主要な部材の説明を以下に行う。
図3においては、画素3の発光した光が白矢印方向(下方向)へ取り出される場合を示している。
配線部の走査線5及び複数のデータ線6はそれぞれ導電材料からなり、走査線5とデータ線6は格子状に直交して、直交する位置で画素3に接続している(詳細は図示していない)。
画素3は走査線5から走査信号が印加されると、データ線6から画像データ信号を受け取り、受け取った画像データに応じて発光する。発光の色が赤領域の画素、緑領域の画素、青領域の画素を適宜同一基板上に並置することによって、フルカラー表示が可能となる。
次に、画素の発光プロセスを説明する。図4は画素の回路図である。画素は有機EL素子10、スイッチングトランジスタ11、駆動トランジスタ12、コンデンサー13等を備えている。複数の画素に有機EL素子10として、赤色、緑色、青色発光の有機EL素子を用い、これらを同一基板上に並置することでフルカラー表示を行うことができる。
図4において、制御部Bからデータ線6を介してスイッチングトランジスタ11のドレインに画像データ信号が印加される。そして、制御部Bから走査線5を介してスイッチングトランジスタ11のゲートに走査信号が印加されると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオンし、ドレインに印加された画像データ信号がコンデンサー13と駆動トランジスタ12のゲートに伝達される。
画像データ信号の伝達により、コンデンサー13が画像データ信号の電位に応じて充電されるとともに、駆動トランジスタ12の駆動がオンする。駆動トランジスタ12は、ドレインが電源ライン7に接続され、ソースが有機EL素子10の電極に接続されており、ゲートに印加された画像データ信号の電位に応じて電源ライン7から有機EL素子10に電流が供給される。
制御部Bの順次走査により走査信号が次の走査線5に移ると、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフする。しかし、スイッチングトランジスタ11の駆動がオフしてもコンデンサー13は充電された画像データ信号の電位を保持するので、駆動トランジスタ12の駆動はオン状態が保たれて、次の走査信号の印加が行われるまで有機EL素子10の発光が継続する。順次走査により次に走査信号が印加されたとき、走査信号に同期した次の画像データ信号の電位に応じて駆動トランジスタ12が駆動して有機EL素子10が発光する。
即ち、有機EL素子10の発光は、複数の画素それぞれの有機EL素子10に対して、アクティブ素子であるスイッチングトランジスタ11と駆動トランジスタ12を設けて、複数の画素3それぞれの有機EL素子10の発光を行っている。このような発光方法をアクティブマトリクス方式と呼んでいる。
ここで、有機EL素子10の発光は複数の階調電位を持つ多値の画像データ信号による複数の階調の発光でも良いし、2値の画像データ信号による所定の発光量のオン、オフでも良い。また、コンデンサー13の電位の保持は次の走査信号の印加まで継続して保持しても良いし、次の走査信号が印加される直前に放電させても良い。
本発明においては、上述したアクティブマトリクス方式に限らず、走査信号が走査されたときのみデータ信号に応じて有機EL素子を発光させるパッシブマトリクス方式の発光駆動でも良い。
図5はパッシブマトリクス方式による表示装置の模式図である。図5において、複数の走査線5と複数の画像データ線6が画素3を挟んで対向して格子状に設けられている。順次走査により走査線5の走査信号が印加されたとき、印加された走査線5に接続している画素3が画像データ信号に応じて発光する。パッシブマトリクス方式では画素3にアクティブ素子が無く、製造コストの低減が計れる。
《照明装置》
本発明の照明装置について説明する。本発明の照明装置は、本発明の有機EL素子を具備したものである。本発明の有機EL素子に共振器構造を持たせた有機EL素子として用いても良く、このような共振器構造を有した有機EL素子の使用目的としては、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるが、これらに限定されない。また、レーザー発振をさせることにより上記用途に使用しても良い。
また、本発明の有機EL素子は照明用や露光光源のような一種のランプとして使用しても良いし、画像を投影するタイプのプロジェクション装置や、静止画像や動画像を直接視認するタイプの表示装置(ディスプレイ)として使用しても良い。動画再生用の表示装置として使用する場合の駆動方式は、単純マトリクス(パッシブマトリクス)方式でもアクティブマトリクス方式でもどちらでも良い。また、異なる発光色を有する本発明の有機EL素子を2種以上使用することにより、フルカラー表示装置を作製することが可能である。
また、本発明の有機EL材料は照明装置として、実質白色の発光を生じる有機EL素子に適用できる。複数の発光材料により複数の発光色を同時に発光させて混色により白色発光を得る。複数の発光色の組み合わせとしては、赤色、緑色、青色の三原色の三つの発光極大波長を含有させたものでも良いし、青色と黄色、青緑と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有したものでも良い。
また複数の発光色を得るための発光材料の組み合わせは、複数のリン光又は蛍光で発光する材料を複数組み合わせたもの、蛍光又はリン光で発光する発光材料と、発光材料からの光を励起光として発光する色素材料との組み合わせたもののいずれでも良いが、本発明に係る白色有機EL素子においては、発光ドーパントを複数組み合わせ混合するだけで良い。
発光層、正孔輸送層あるいは電子輸送層等の形成時のみマスクを設け、マスクにより塗り分ける等単純に配置するだけで良く、他層は共通であるのでマスク等のパターニングは不要であり、一面に蒸着法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法等で例えば電極膜を形成でき、生産性も向上する。この方法によれば、複数色の発光素子をアレー状に並列配置した白色有機EL装置と異なり、素子自体が発光白色である。発光層に用いる発光材料としては特に制限はなく、例えば、液晶表示素子におけるバックライトであれば、CF(カラーフィルター)特性に対応した波長範囲に適合するように、本発明に係る金属錯体、また公知の発光材料の中から任意のものを選択して組み合わせて白色化すれば良い。
《本発明の照明装置の一態様》
本発明の有機EL素子を具備した、本発明の照明装置の一態様について説明する。
本発明の有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材として、エポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを陰極上に重ねて透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して、硬化させて、封止し、図6及び図7に示すような照明装置を形成することができる。
図6は、照明装置の概略図を示し、本発明の有機EL素子101はガラスカバー102で覆われている(なお、ガラスカバーでの封止作業は、有機EL素子101を大気に接触させることなく窒素雰囲気下のグローブボックス(純度99.999%以上の高純度窒素ガスの雰囲気下)で行った。)。
図7は、照明装置の断面図を示し、図7において、105は陰極、106は有機EL層、107は透明電極付きガラス基板を示す。なお、ガラスカバー102(図6参照)内には窒素ガス108が充填され、捕水剤109が設けられている。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
[実施例1]
《有機EL素子の作製》
(1)試料No.1の有機EL素子の作製
(1.1)ガスバリアー性の支持基板(可撓性フィルム)の作製
支持基板として、ポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン社製フィルム、以下、PENと略記する)の陽極を形成する側の全面に、特開2004−68143号公報に記載の構成からなる大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、連続してPEN上に、SiOxからなる無機物のガスバリアー膜を厚さ500nmとなるように形成し、酸素透過度1×10−3cm/(m・24h・atm)以下、水蒸気透過度1×10−3g/(m・24h)以下のガスバリアー性の可撓性フィルムを作製した。
(1.2)陽極の形成
準備したガスバリアー性の可撓性フィルム上に厚さ120nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により製膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、陽極を形成した。
なお、パターンは発光面積が50mm平方になるようなパターンとした。
(1.3)正孔注入層の形成
パターニング後のITO基板をイソプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行った。この基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSSと略記、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を用い、3000rpm、30秒の条件でスピンコート法により薄膜を形成した後、200℃にて1時間乾燥し、層厚30nmの正孔注入層を設けた。
(1.4)正孔輸送層の形成
この基板を、窒素ガス(グレードG1)を用いた窒素雰囲気下に移し、下記組成の正孔輸送層組成物を用い、1500rpm、30秒の条件でスピンコート法により薄膜を形成した後、160℃で30分間保持し、層厚30nmの正孔輸送層を設けた。
<正孔輸送層組成物>
正孔輸送材料(例示化合物(60))(重量平均分子量Mw=80000)
5質量部
クロロベンゼン 1000質量部
(1.5)発光層の形成
次いで、下記組成の発光層組成物を用い、1500rpm、30秒の条件でスピンコート法により薄膜を形成した後、120℃で30分間保持し層厚50nmの発光層を設けた。
<発光層組成物>
ホスト化合物S−57 8.34質量部
ホスト化合物H−441 0.44質量部
リン光発光ドーパントDP−1 3.01質量部
リン光発光ドーパントD−67 0.05質量部
リン光発光ドーパントD−75 0.05質量部
酢酸イソプロピル 2000質量部
(1.6)電子輸送層の形成
続いて、20mgの例示化合物ET−11を、4mlのテトラフルオロプロパノール(TFPO)に溶解した溶液を、1500rpm、30秒でスピンコート法により製膜し、120℃で30分間保持し、層厚30nmの電子輸送層とした。
(1.7)電子注入層、陰極の形成
続いて、基板を大気に曝露することなく真空蒸着装置へ取り付けた。また、モリブデン製抵抗加熱ボートにフッ化ナトリウム及びフッ化カリウムをそれぞれ入れたものを真空蒸着装置に取り付け、真空槽を4×10−5Paまで減圧した後、前記ボートに通電して加熱してフッ化ナトリウムを0.02nm/秒で前記電子輸送層上に蒸着させて層厚1nmの薄膜を形成し、続けて同様にフッ化カリウムを0.02nm/秒で当該薄膜上に蒸着させて、層厚1.5nmの電子注入層を設けた。
引き続き、電子注入層上にアルミニウムを蒸着して厚さ100nmの陰極を設け、試料No.1の有機EL素子を作製した。
(2)試料No.2〜43の有機EL素子の作製
試料No.1の有機EL素子の作製において、発光層のホスト化合物及び添加比率を表1及び表2に記載のとおりに変更した。なお、ホスト化合物の添加総量は同一とした。
それ以外は試料No.1の有機EL素子の作製と同様にして、試料No.2〜43の有機EL素子を作製した。
(3)試料の作製の用いた化合物
以上の試料作製に用いた化合物の構造を以下に示す。
Figure 2014179493
《有機EL素子の評価》
得られた試料No1〜43の有機EL素子を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚さ300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して硬化させて封止し、図6及び図7に示すような照明装置を作製して評価した。
このようにして作製した各試料について下記の評価を行った。
(1)析出性評価
試料No.1〜43の有機EL素子の作製に用いられた発光層組成物(塗布液)について、調製直後の材料の溶解性、及び1時間、1日静置後の材料の析出について、目視による塗布液の析出性の評価を行った。
評価結果を表1及び表2に示す。なお、表1及び表2に示す評価結果は、以下の判断基準に基づいて行ったものである。
◎:無色透明であり溶け残り及び析出が全くない
○:溶解直後は無色透明であり溶け残りは無いが、1日静置後に塗布液が白濁する
△:溶解直後は無色透明であり溶け残りは無いが、1時間静置後に塗布液が白濁する
×:塗布液が白濁する
(2)輝度ムラの評価
各試料に対し、室温(25℃)で、1000cd/mの定輝度条件下による点灯を行い、発光の輝度ムラを目視評価し、下記基準の4段階でランク付けを行った。その評価結果を表1及び表2に示す。
◎:輝度ムラなし
○:輝度ムラがごく僅かに確認されるレベル
△:輝度ムラが確認されるが0.3m以上離れると識別できないレベル
×:輝度ムラが確認され、0.3m以上離れても認識されるレベル
(3)駆動電圧及び発光効率の測定
試料No.1〜43の有機EL素子に対し、室温(25℃)で、2.5mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタオプティクス社製)を用いて、各素子の発光輝度を測定し、当該電流値における駆動電圧及び発光効率(外部取り出し効率)を求めた。
評価結果を表1及び表2に示す。
なお、駆動電圧及び発光効率は試料No.11の有機EL素子の駆動電圧及び発光効率を100とする相対値で表した。
表1及び表2中、駆動電圧の数値が小さいほど、また、発光効率の数値が大きいほど、低電力駆動、高効率であり優れていることを示している。
(4)寿命の評価
試料No.1〜43の有機EL素子を連続駆動させ、上記分光放射輝度計CS−2000を用いて輝度を測定し、測定した輝度が半減する時間(半減寿命)を寿命の尺度として求めた。駆動条件は、連続駆動開始時に4000cd/mとなる電流値とした。
評価結果を表1及び表2に示す。
なお、半減寿命は試料No.11の有機EL素子の半減寿命を100とする相対値で表した。表1及び表2中、数値が大きいほど、連続駆動安定性に優れている(長寿命である)ことを示している。
(5)白色光の評価
作製した試料No.1〜43の各有機EL素子に通電し、発光した光を分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタオプティクス(株)製)で測定した結果、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がx=0.33±0.12、y=0.33±0.1の領域内にあり、白色の光が得られることが分かった。
なお表中、3環〜5環が縮合した、芳香族炭化水素環と芳香族複素環の総数は「3〜5環の数」、単環又は2環が縮合した芳香族炭化水素環と芳香族複素環との総数は「1〜2環の数」と略記した。
Figure 2014179493
Figure 2014179493
表1及び表2に示すとおり、本発明の有機EL素子は、比較例の有機EL素子と比較して、駆動電圧、発光効率、寿命、析出性及び輝度ムラにおいて、優れていることが明らかである。
[実施例2]
《有機EL素子の作製》
(1)試料No.51の有機EL素子の作製
実施例1に記載の試料No.1の有機EL素子の作製において、発光層を、以下のように蒸着により形成した。それ以外は試料No.1の有機EL素子の作製と同様にして、試料No.51の有機EL素子を作製した。
(1.2)発光層の形成
それぞれ別のモリブデン製抵抗加熱ボートにホスト化合物として例示化合物S−57とH−441とを200mg入れ、それぞれ別のモリブデン製抵抗加熱ボートに発光ドーパントとしてDP−1とD−75とを200mg入れ、真空蒸着装置に取り付けた。
実施例1に記載の試料No.1の有機EL素子の作製において、正孔輸送層まで形成した後に、正孔輸送層上に蒸着により発光層を形成した。
S−57、H−441、DP−1及びD−75の入った前記加熱ボートに通電して加熱し、それぞれ蒸着速度0.09nm/秒、0.01nm/秒、0.020nm/秒及び0.001nm/秒で、前記正孔輸送層上に共蒸着し、層厚40nmの発光層を設けた。
(2)試料No.52〜66の有機EL素子の作製
試料No.51の有機EL素子の作製において、上記蒸着速度比と発光層中のホスト化合物の添加比率とを同じ比率にすることで、表3に記載のとおりにホスト化合物の添加比率を変更した。それ以外は試料No.51同様にして、試料No.52〜66の有機EL素子を作製した。
《有機EL素子の評価》
得られた試料No.51〜66の有機EL素子を評価するに際しては、作製後の各有機EL素子の非発光面をガラスケースで覆い、厚み300μmのガラス基板を封止用基板として用いて、周囲にシール材としてエポキシ系光硬化型接着剤(東亞合成社製ラックストラックLC0629B)を適用し、これを上記陰極上に重ねて前記透明支持基板と密着させ、ガラス基板側からUV光を照射して硬化させて封止し、図6及び図7に示すような照明装置を作製して評価した。
このようにして作製した各試料について実施例1と同様にして発光効率、駆動電圧及び寿命の評価を行った。なお、発光効率、駆動電圧及び寿命は試料No.60の値を100とする相対値で表した。
結果を表3に示す。
Figure 2014179493
表3に示すとおり、発光層が蒸着により形成された本発明の有機EL素子は、比較例の有機EL素子と比較して、発光効率、駆動電圧及び寿命優れていることが明らかである。
[実施例3]
《有機ELフルカラー表示装置の作製》
図8に示す有機ELフルカラー表示装置を作製した。図8は、有機ELフルカラー表示装置の概略構成図を示す。
ガラス基板201上に、陽極としてITO透明電極202を100nm製膜した基板(NHテクノグラス社製NA45)に100μmのピッチでパターニングを行った後(図8(a)参照)、このガラス基板201上であってITO透明電極202の間に非感光性ポリイミドの隔壁203(幅20μm、厚さ2.0μm)をフォトリソグラフィーで形成した(図8(b)参照)。
ITO電極202上であって隔壁203同士の間に下記組成の正孔注入層組成物を、インクジェットヘッド(エプソン社製;MJ800C)を用いて吐出注入し、紫外光を200秒間照射し、60℃、10分間の乾燥処理により、層厚40nmの正孔注入層204を設けた(図8(c)参照)。
この正孔注入層204上に、各々下記組成の青色発光層組成物、緑色発光層組成物、赤色発光層組成物を同様にインクジェットヘッドを使用して吐出注入し、60℃、10分間乾燥処理し、各色の発光層205B、205G、205Rを設けた(図8(d)参照)。
(正孔注入層組成物)
化合物74:20質量部
シクロヘキシルベンゼン:50質量部
イソプロピルビフェニル:50質量部
(青色発光層組成物)
S−57:0.63質量部
H−441:0.07質量部
DP−1:0.04質量部
シクロヘキシルベンゼン:50質量部
イソプロピルビフェニル:50質量部
(緑色発光層組成物)
S−57:0.63質量部
H−441:0.07質量部
D−67:0.04質量部
シクロヘキシルベンゼン:50質量部
イソプロピルビフェニル:50質量部
(赤色発光層組成物)
S−57:0.63質量部
H−441:0.07質量部
D−75:0.04質量部
シクロヘキシルベンゼン:50質量部
イソプロピルビフェニル:50質量部
次に、各発光層205B、205G、205Rを覆うように電子輸送材料を蒸着して層厚20nmの電子輸送層(図示略)を設け、更にフッ化リチウムを蒸着して層厚0.6nmの電子注入層(図示略)を設け、Alを蒸着して層厚130nmの陰極206を設けて有機EL素子を作製した(図8(e)参照)。
作製した有機EL素子はそれぞれ電極に電圧を印加することにより青色、緑色、赤色の発光を示し、フルカラー表示装置として利用できることがわかった。また、発光した光を分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタオプティクス(株)製)で測定した結果、1000cd/mでのCIE1931表色系における色度がx=0.33±0.12、y=0.33±0.1の領域内にあり、白色の光が得られることが分かった。
1 ディスプレイ
3 画素
5 走査線
6 データ線
7 電源ライン
10 有機EL素子
11 スイッチングトランジスタ
12 駆動トランジスタ
13 コンデンサー
31 支持基板
32 陽極
33 正孔注入層
34 正孔輸送層
35 発光層
36 電子輸送層
37 電子注入層
38 陰極
39 封止接着剤
40 封止部材
50 有機機能層
100、101 有機EL素子
102 ガラスカバー
105 陰極
106 有機EL層
107 透明電極付きガラス基板
108 窒素ガス
109 捕水剤
201 ガラス基板
202 ITO透明電極
203 隔壁
204 正孔注入層
205B、205G、205R 発光層
206 陰極
A 表示部
B 制御部

Claims (8)

  1. 基板上に設けられた一対の電極と該一対の電極間に配置される発光層とを備える有機エレクトロルミネッセンス素子であって、前記発光層は、発光ドーパント及び、下記一般式(1)で共に表される構造を有する二種のホスト化合物Aとホスト化合物Bとを少なくとも含有し、
    一般式(1)において、前記ホスト化合物Aに含まれる3環〜5環が縮合した、芳香族炭化水素環と芳香族複素環の総数が、前記ホスト化合物Bに含まれる3環〜5環が縮合した、芳香族炭化水素環と芳香族複素環の総数以上であり、かつ前記ホスト化合物Aにおける置換基R〜Rとして含まれる単環又は2環が縮合した芳香族炭化水素環と芳香族複素環との総数が、前記ホスト化合物Bにおける置換基R〜Rとして含まれる単環又は2環が縮合した芳香族炭化水素環と芳香族複素環との総数より少ないことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    Figure 2014179493
    〔式中、R〜Rは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボニル基、アミノ基、シリル基、ヒドロキシ基、チオール基、ホスフィンオキシド基、非芳香族炭化水素環、非芳香族複素環、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、更に置換基を有していても良い。ただし、少なくともホスト化合物Bは、R〜Rのうち少なくとも一つは、下記一般式(2)で表される基である。R〜Rがそれぞれ複数存在する場合は、各々のR〜Rは、同じであっても異なっていても良く、更に互いに結合して環を形成してもいても良い。n1は、0〜8の整数を表し、n2は、0〜3の整数を表し、n3は、0〜4の整数を表す。ただし、n1+n2+n3は、1以上である。Cbzは、カルバゾール環を表す。Xは、酸素原子又は硫黄原子を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。〕
    Figure 2014179493
    〔式中、*は、前記一般式(1)で表される構造との結合部位を表す。Lは、単結合又は2価の連結基を表す。Rは、置換基を表す。Rは、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、カルボニル基、シリル基、ホスフィンオキシド基、非芳香族炭化水素環、非芳香族複素環、芳香族炭化水素環又は芳香族複素環を表し、更に置換基を有していても良く、置換基同士が互いに結合して環を形成しても良い。R及びRがそれぞれ複数存在する場合は、各々のR及びRは、同じであっても異なっていても良い。n4は、0〜4の整数を表し、n5は、0〜5の整数を表す。mは、1〜10の整数を表す。〕
  2. 前記一般式(1)においてXが、酸素原子を表すことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記一般式(1)において、前記ホスト化合物Aに含まれるカルバゾール環の総数が、前記ホスト分子Bに含まれるカルバゾール環の総数より多いことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記発光層中の前記ホスト化合物Aの含有量が、全ホスト化合物の70質量%以上であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、白色発光することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記発光層が、ウェットプロセスにより形成された層であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 請求項1から6までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする表示装置。
  8. 請求項1から6までのいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子が具備されていることを特徴とする照明装置。
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US11700767B2 (en) 2017-12-20 2023-07-11 Samsung Electronics Co., Ltd. Condensed cyclic compound, composition including the condensed cyclic compound, and organic light-emitting device including the composition

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