JP2014177910A - 油圧ポンプの容量制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 傾転アクチュエータで斜板を大傾転側に駆動するときの応答性を向上でき、オペレータの操作フィーリングを良好にすることができるようにする。
【解決手段】 弁板15の切換ランド15Dには、シリンダブロック5の回転に伴って各ピストン7が吐出行程から吸入行程に切換わる途中でシリンダ6内に残った圧力をタンク17に排出する開放穴31を設ける。タンク通路33の途中には、開弁時に開放穴31をタンク17に連通させ、閉弁時に開放穴31をタンク17に対して遮断する切換弁34を設ける。制御圧通路26の途中には、切換弁34の開,閉弁を制御するため、パイロットポンプ16から傾転アクチュエータ12に向けて傾転制御圧を供給するときに油液の流れを絞り、切換弁34の油圧パイロット部34Aに供給するパイロット圧を変化させる固定絞り36を設ける。
【選択図】 図2

Description

本発明は、例えば油圧ショベル等の建設機械に設けられ、可変容量型斜板式油圧ポンプの容量制御を行うのに好適に用いられる油圧ポンプの容量制御装置に関する。
一般に、可変容量型斜板式油圧ポンプは、油圧ショベルに代表される建設機械の油圧源をタンクと共に構成し、吸入ポート側からシリンダブロックの各シリンダ内に吸込んだ油液を吐出ポート側から圧油として吐出するものである。この種の油圧ポンプは、筒状のケーシング内に傾転可能に設けた斜板を、外部からレギュレータを介して給排される傾転制御圧により傾転駆動する傾転アクチュエータを備えている(例えば、特許文献1参照)。
シリンダブロックの各シリンダ内には、複数(一般的には奇数個)のピストンがそれぞれ摺動可能に挿嵌され、該各ピストンは、シリンダブロックの回転に伴って夫々のシリンダ内を往復動し、吸入行程と吐出行程とを繰返す。この場合、斜板には、高圧側の吐出ポートに連通している各シリンダ内の圧力がピストンを介して作用する。このときの圧力は合力の着力点(ピストン推力の合計着力中心点)として「∞」マークにより表示することが知られている。
実開平5-42678号公報(実用新案登録第2588939号公報)
ところで、従来技術による可変容量型斜板式油圧ポンプでは、斜板に働く合力の着力点「∞」が斜板の傾転中心に対し上死点側にずれて作用する。このため、斜板には傾転角を小さくする方向の復帰モーメントが生じる。即ち、油圧ポンプの吐出容量を小容量と大容量との間で可変に制御するときには、前記復帰モーメントの影響を受けることにより、傾転アクチュエータで斜板を大傾転側に駆動しようとするときに動作速度が遅くなり、逆に、斜板を小傾転側に駆動しようとするときには動作速度が速くなる傾向がある。
しかし、油圧ショベルのオペレータは、ブーム、アームおよびバケットからなる作業装置を駆動操作するときに操作レバーを傾転操作しても、油圧ポンプの容量が小容量から大容量に変化(即ち、傾転アクチュエータで斜板を大傾転側に駆動)するときに、前記復帰モーメントの影響で動作速度が遅くなるため、操作性が悪いという評価を下すことがある。即ち、オペレータにとっては、レバー操作を開始したときに作業装置の動き出し、応答性が遅く感じられるため、オペレータにある種の「もたつき感」を与えるという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、傾転アクチュエータで斜板を大傾転側に駆動するときの応答性を向上でき、オペレータの操作フィーリングを良好にすることができるようにした油圧ポンプの容量制御装置を提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明は、筒状のケーシングと、該ケーシングに回転可能に設けられた回転軸と、該回転軸と一体に回転するように前記ケーシング内に設けられ周方向に離間して軸方向に延びる複数のシリンダを有したシリンダブロックと、該シリンダブロックの各シリンダに往復動可能に挿嵌された複数のピストンと、前記各シリンダから突出する該各ピストンの突出端側に装着された複数のシューと、前記ケーシング内に傾転可能に設けられ前記各シューを摺動可能に案内する斜板と、前記ケーシングに設けられ外部から傾転制御圧が給排されることにより該斜板を傾転駆動する傾転アクチュエータと、前記シリンダブロックを挟んで前記斜板とは軸方向の反対側に位置して前記ケーシング内に設けられ前記シリンダブロックに摺接する弁板とを備え、該弁板には前記各シリンダと間欠的に連通する吸入ポートと吐出ポートとが一対の切換ランドを挟んで形成されている可変容量型斜板式の油圧ポンプと、パイロット油圧源と前記傾転アクチュエータとの間に設けられ前記パイロット油圧源から傾転アクチュエータに給排される前記傾転制御圧を可変に制御するレギュレータとからなる油圧ポンプの容量制御装置に適用される。
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記弁板に形成した前記一対の切換ランドのうち前記ピストンが吐出行程から吸入行程に切換わる位置にある切換ランドには、前記吐出行程の最後で前記シリンダ内に残った圧力をタンク側に開放するための開放穴を設け、該開放穴をタンクに接続する通路の途中には、開弁時に前記開放穴をタンクに連通させ、閉弁時には前記開放穴をタンクに対して遮断する切換弁を設け、該切換弁は、前記レギュレータにより前記斜板の傾転角が小さくなるように前記傾転アクチュエータを駆動するときに閉弁され、前記斜板の傾転角が大きくなるように前記傾転アクチュエータを駆動するときには開弁される構成としたことにある。
また、請求項2の発明によると、前記切換弁は前記傾転制御圧が油圧パイロット部にパイロット圧として供給されることにより開,閉弁される油圧パイロット式の切換弁によって構成し、前記パイロット油圧源から傾転アクチュエータに前記傾転制御圧を給排する制御圧通路の途中には、前記パイロット油圧源から傾転アクチュエータに向けて前記傾転制御圧を供給するときに油液の流れを絞る流量制限部を設け、該流量制限部は、前記油液の流れに応じて前記油圧パイロット部に供給するパイロット圧を変化させることにより前記切換弁の開,閉弁を制御する構成としている。
一方、請求項3の発明によると、前記切換弁は油圧パイロット部に供給されるパイロット圧により開,閉弁される油圧パイロット式の切換弁によって構成し、前記パイロット油圧源をタンクと共に構成するパイロットポンプの吐出側には、前記傾転制御圧を予め決められたリリーフ設定圧以下の圧力に抑えるリリーフ弁を設け、該リリーフ弁を前記タンクに接続するタンク通路の途中には、前記リリーフ弁からタンクに排出される油液の流れを絞る流量制限部と、該流量制限部と前記リリーフ弁との間で前記タンク通路に接続され該流量制限部の上流側圧力を前記パイロット圧として前記切換弁の油圧パイロット部に導くパイロット管路とを設ける構成としている。
また、請求項4の発明は、前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される油圧アクチュエータと、該油圧アクチュエータと前記油圧ポンプとの間に設けられ前記油圧ポンプから油圧アクチュエータに供給する圧油をパイロット圧に応じて制御する油圧パイロット式の方向制御弁と、操作レバーの操作に従って前記パイロット油圧源から該方向制御弁の油圧パイロット部に供給するパイロット圧を可変に制御するパイロット操作弁とを備え、前記レギュレータは、前記操作レバーの操作量に応じて前記斜板の傾転角が漸次大きくなるように前記パイロット油圧源から傾転アクチュエータに給排される前記傾転制御圧を可変に制御する構成としている。
上述の如く、請求項1の発明によれば、レギュレータにより斜板の傾転角が小さくなるように傾転アクチュエータを駆動するときには、開放穴をタンクに接続する通路の途中に設けた切換弁を閉弁することにより、吐出行程の最後でシリンダブロックの各シリンダ内に残った圧力をタンク側に開放するのを遮断し、従来技術と同様の復帰モーメントを斜板に作用させることができ、斜板を小傾転側に駆動しようとするときの動作速度を速くできる。
一方、レギュレータにより斜板の傾転角が大きくなるように傾転アクチュエータを駆動するときには前記切換弁を開弁することにより、吐出行程の最後でシリンダブロックの各シリンダ内に残った圧力をタンク側に開放して逃がすことができ、斜板に働く合力の着力点「∞」が斜板の傾転中心に対し上死点側にずれて作用するのを抑えることができる。このため、斜板の傾転角を大きくする場合にも、傾転角を小さくする方向の復帰モーメントが斜板に生じるのを抑制でき、斜板を大傾転側に駆動しようとするときの動作速度を速くし、ポンプ容量を大容量側に増やすときの応答性を向上することができる。
また、請求項2の発明によると、制御圧通路の途中に設けた流量制限部は、パイロット油圧源から傾転アクチュエータに向けて傾転制御圧を供給するときに油液の流れを絞ることにより、斜板の傾転角を大きくするときには切換弁の油圧パイロット部に供給するパイロット圧を低下させることができ、前記切換弁を開弁することができる。これによって、弁板の切換ランドに形成した開放穴をタンクに連通することができ、斜板の傾転角を大きくする場合にも、傾転角を小さくする方向の復帰モーメントが斜板に生じるのを抑制できる。
一方、請求項3の発明によると、パイロットポンプの吐出側に設けたリリーフ弁をタンクに接続するタンク通路には、流量制限部の上流側圧力をパイロット圧として切換弁の油圧パイロット部に導くパイロット管路を接続しているので、リリーフ弁からタンク側に排出される油液の流量が大きいときには流量制限部により上流側圧力を高くして、切換弁の油圧パイロット部に供給するパイロット圧を増圧することができ、これにより切換弁を閉弁して弁板の開放穴をタンクに対し遮断することができる。リリーフ弁からタンク側に排出される油液の流量が減少するときには、流量制限部の上流側圧力が低下するので、切換弁の油圧パイロット部に供給するパイロット圧を低下させることができる。これにより、切換弁は開弁して弁板の開放穴をタンクに連通させ、傾転角を小さくする方向の復帰モーメントが斜板に生じるのを抑制することができる。
また、請求項4の発明によると、パイロット油圧源と傾転アクチュエータとの間に設けられたレギュレータは、パイロット操作弁の操作レバーを傾転操作したときに、その操作量に応じて斜板の傾転角が漸次大きくなるようにパイロット油圧源から傾転アクチュエータに給排される傾転制御圧を制御する。このとき、パイロット操作弁から方向制御弁にはパイロット圧が供給されるため、リリーフ弁からタンクに向けて排出される油液の流量は減少し、これに伴って流量制限部の上流側圧力が低下するので、切換弁の油圧パイロット部に供給するパイロット圧を低下させることができる。これにより、切換弁は開弁して弁板の開放穴をタンクに連通させ、傾転角を小さくする方向の復帰モーメントが斜板に生じるのを抑制することができる。
本発明の第1の実施の形態による可変容量型斜板式の油圧ポンプを示す縦断面図である。 第1の実施の形態による油圧ポンプの容量制御装置を油圧シリンダの駆動用油圧回路に適用した場合をエンジン停止の初期状態で示す回路構成図である。 図2中のエンジンを稼働して油圧ポンプとパイロットポンプとを回転駆動すると共に、レギュレータにより傾転アクチュエータを用いて斜板を小容量側に傾転している状態を示す回路構成図である。 図3中の方向制御弁を切換えると共にレギュレータにより傾転アクチュエータを用いて斜板を大容量側に傾転駆動している状態を示す回路構成図である。 容量制御を行うコントローラの制御ブロック図である。 レバー操作量と電磁比例弁の制御信号(ポンプ容量)との関係を示す特性線図である。 エンジン、油圧ポンプ、パイロットポンプ、パイロット操作弁、電磁比例弁、容量制御弁、傾転アクチュエータおよび切換弁の動作特性を示す特性線図である。 第2の実施の形態による油圧ポンプの容量制御装置を油圧シリンダの駆動用油圧回路に適用した場合をエンジン停止の初期状態で示す回路構成図である。 図8中のエンジンを稼働して油圧ポンプとパイロットポンプとを回転駆動すると共に、傾転アクチュエータにより斜板を小容量側に傾転している状態を示す回路構成図である。
以下、本発明の実施の形態による油圧ポンプの容量制御装置を、油圧ショベルに代表される建設機械に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図7は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は可変容量型斜板式の油圧ポンプで、該油圧ポンプ1は、後述のケーシング2、回転軸4、シリンダブロック5、複数のシリンダ6、ピストン7、シュー8、斜板支持体10、斜板11、傾転アクチュエータ12および弁板15等によって構成されるものである。油圧ポンプ1は、例えば油圧ショベルの原動機(後述のエンジン18)によって回転駆動され、後述のタンク17内から吸込んだ作動油を高圧の圧油として吐出するものである。
2は油圧ポンプ1の外殻となる筒状のケーシングで、該ケーシング2は、図1に示すように、筒状のケーシング本体2Aと、該ケーシング本体2Aの両端側を閉塞したフロントケーシング2B、リヤケーシング2Cとから構成されている。なお、ケーシング本体2Aは、フロントケーシング2Bまたはリヤケーシング2Cのいずれか一方と一体に形成する構成としてもよいものである。
ケーシング本体2Aの一側に位置するフロントケーシング2Bには、後述の斜板支持体10が斜板11の裏面側に対向して設けられている。また、ケーシング本体2Aの他側に位置するリヤケーシング2Cには、一対の給排通路3A,3Bが設けられている。該給排通路3A,3Bのうち一方の給排通路3Aは、低圧側の吸入通路となって後述のタンク17に接続され、他方の給排通路3Bは、吐出通路となって後述する高圧側の吐出管路20(図2参照)に接続されるものである。
4はケーシング2内に回転可能に設けられた回転軸で、該回転軸4は、フロントケーシング2Bとリヤケーシング2Cとにそれぞれ軸受を介して回転可能に支持されている。回転軸4の一端側は、フロントケーシング2Bから軸方向に突出する突出端4Aとなり、この突出端4Aには後述のエンジン18が動力伝達機構(図示せず)等を介して連結されるものである。
5は回転軸4と一体的に回転するようにケーシング2内に設けられたシリンダブロックで、該シリンダブロック5には、その周方向に離間して軸方向に延びる複数のシリンダ6が設けられている。シリンダブロック5に設けるシリンダ6の個数は、例えば7個または9個となるように通常は奇数個である。シリンダブロック5の各シリンダ6には、後述する弁板15の吸入ポート15A、吐出ポート15Bと間欠的に連通するシリンダポート6Aが形成されている。
7はシリンダブロック5の各シリンダ6内にそれぞれ摺動可能に挿嵌された複数のピストンである。これらのピストン7は、シリンダブロック5の回転に伴ってシリンダ6内を往復動し、吸入行程と吐出行程とを繰返す。このため、後述の斜板11には、高圧側の吐出ポート15Bに連通している各シリンダ6内の圧力がピストン7を介して作用する。これは合力の着力点(ピストン推力の合計着力中心点)として、例えば図2〜図4中に示すように「∞」マークにより表示されるものである。
また、各ピストン7には、シリンダ6から突出する突出端側にシュー8がそれぞれ揺動可能に設けられている。これらのシュー8は、後述する斜板11の平滑面11Bに対しピストン7からの押付力(油圧力)により押付けられ、この状態でシュー押え9等を介して保持される。各シュー8は、この状態で回転軸4、シリンダブロック5およびピストン7と一緒に回転することにより、リング状の円軌跡を描くように後述の平滑面11B上を摺動変位するものである。
10はケーシング2のフロントケーシング2Bに設けられた斜板支持体で、該斜板支持体10は、図1に示す如く、回転軸4の周囲に位置して斜板11の裏面側に配置され、ケーシング2のフロントケーシング2Bに固定されている。斜板支持体10には、回転軸4を挟んで左,右方向(または、上,下方向)に離間した一対の傾転支持部10Aが設けられ、該傾転支持部10Aは、斜板11を傾転可能に支持するために凹湾曲状の円弧面を有している。
11はケーシング2内に斜板支持体10を介して傾転可能に設けられた斜板である。この斜板11の裏面側には、斜板支持体10の各傾転支持部10Aに向けて凸湾曲状に突出した一対の脚部11Aが設けられている。斜板11の各脚部11Aは、回転軸4を挟んで例えば左,右方向(または、上,下方向)に離間し、凹湾曲状をなす斜板支持体10の傾転支持部10Aに摺動可能に嵌合されるものである。
一方、斜板11の表面側は、各シュー8を摺動可能に案内する平滑面11Bとなっている。また、斜板11には、その板厚方向に貫通して延びる貫通穴11Cが設けられ、該貫通穴11C内には、一対の脚部11A間に位置して回転軸4が隙間をもって挿通されている。斜板11は、図1中に示す矢示A,B方向に後述の傾転アクチュエータ12(サーボピストン13,14)を用いて傾転駆動される。油圧ポンプ1の吐出容量(圧油の吐出流量)は、斜板11の傾転角に応じて可変に制御されるものである。
12は斜板11を傾転駆動する傾転アクチュエータで、該傾転アクチュエータ12は、図1に示すように、シリンダブロック5の径方向で互いに対向して位置するように、ケーシング2のケーシング本体2Aに設けられた一対のサーボピストン13,14により構成されている。ここで、該サーボピストン13,14は、シリンダブロック5の径方向外側に位置してケーシング本体2Aに形成されたシリンダ穴13A,14Aと、該シリンダ穴13A,14A内に摺動可能に挿嵌され、該シリンダ穴13A,14Aとの間に液圧室13B,14Bを画成した傾転ピストン13C,14Cと、液圧室13B,14B内に配設され傾転ピストン13C,14Cを斜板11側に向けて常時付勢するばね13D,14Dとを含んで構成されている。
傾転アクチュエータ12(サーボピストン13,14)の液圧室13B,14Bには、図2〜図4に示す後述の制御圧通路26を通じて外部から傾転制御圧が給排される。この場合、サーボピストン13のシリンダ穴13A、傾転ピストン13Cは、サーボピストン14のシリンダ穴14A、傾転ピストン14Cよりも小径に形成されている。これにより、サーボピストン14の傾転ピストン14Cは、サーボピストン13の傾転ピストン13Cよりも傾転制御圧に対する受圧面積が大きくなっている。
このため、傾転アクチュエータ12の液圧室13B,14Bに対して等しい圧力の傾転制御圧を供給するときには、両者間の受圧面積差によって傾転ピストン14Cがシリンダ穴14A内から伸長し、サーボピストン13の傾転ピストン13Cがシリンダ穴13A内に縮小する。これにより、斜板11は傾転ピストン13Cによって矢示A方向(即ち、傾転角が小さくなる方向)に傾転駆動される。
一方、図4に示すように、傾転制御圧を液圧室13Bに供給し、液圧室14B内の圧力を後述の容量制御弁29を通じてタンク17側に排出するときには、傾転ピストン13Cがシリンダ穴13A内から伸長し、傾転ピストン14Cがシリンダ穴14A内へと縮小する。これにより、斜板11は傾転ピストン13Cによって矢示B方向(即ち、傾転角が大きくなる方向)に傾転駆動される。このように、斜板11は、傾転アクチュエータ12の液圧室13B,14Bに給排される傾転制御圧に従って矢示A,B方向に傾転駆動されるものである。
15はケーシング2内に位置してリヤケーシング2Cとシリンダブロック5との間に設けられた弁板である。この弁板15は、シリンダブロック5を挟んで斜板11とは軸方向の反対側となる位置に配置されている。弁板15は、回転軸4と一体に回転するシリンダブロック5を回転可能にリヤケーシング2Cと一緒に支持し、この状態でシリンダブロック5の端面に摺接している。
図2ないし図4に示すように、弁板15には、一対の眉形状をなす給排ポート、即ち吸入ポート15Aと吐出ポート15Bとが一対の切換ランド15C,15Dを挟んで形成されている。ここで、吸入ポート15Aは、リヤケーシング2Cの給排通路3A,3Bのうち低圧側となる給排通路3Aに常時連通し、吐出ポート15Bは、高圧側となる給排通路3Bと常時連通している。
弁板15の吸入ポート15Aと吐出ポート15Bとは、シリンダブロック5の回転時に各シリンダ6のシリンダポート6Aと間欠的に連通する。このとき、各シリンダ6内を往復するピストン7は、その吸入行程で低圧側の給排通路3Aから吸入ポート15Aを介して各シリンダ6内に作動油を吸込みつつ、吐出行程では各シリンダ6内で高圧状態となった圧油を吐出ポート15Bを介して高圧側の給排通路3Bに向けて吐出させる。
弁板15に形成した一対の切換ランド15C,15Dのうち一方の切換ランド15Cは、ピストン7が吸入行程から吐出行程に切換わる位置(即ち、下死点BDC側の位置)に配置され、他方の切換ランド15Dは、ピストン7が吐出行程から吸入行程に切換わる位置(即ち、上死点TDC側の位置)に配置されている。また、弁板15の吐出ポート15Bには、ノッチ15Eが切換ランド15C側に向けて三角形状に延びる切欠きとして形成されている。
16はタンク17と共にパイロット油圧源を構成するパイロットポンプで、該パイロットポンプ16は、原動機としてのエンジン18によりメインの油圧ポンプ1と一緒に回転駆動されるものである。パイロットポンプ16の吐出側には、タンク17との間に低圧リリーフ弁19が設けられ、該低圧リリーフ弁19は、パイロットポンプ16の吐出圧(傾転制御圧を含む圧力)を予め決められたリリーフ設定圧以下の圧力に抑えるものである。
ここで、低圧リリーフ弁19は、図2に示すようにパイロットポンプ16(即ち、エンジン18)の停止時に閉弁している。一方、図3、図4に示す如くエンジン18によりパイロットポンプ16が回転されると、その吐出側のパイロット圧を前記リリーフ設定圧以下の圧力に抑えるために、低圧リリーフ弁19は開弁するものである。
メインの油圧ポンプ1には、その吐出管路20とタンク17との間に高圧リリーフ弁21が設けられている。該高圧リリーフ弁21は、油圧ポンプ1に過剰圧が発生するのを防ぐため油圧ポンプ1の吐出圧を予め決められたリリーフ設定圧以下の圧力に抑える。このリリーフ設定圧は、低圧リリーフ弁19よりも十分に高い圧力に設定されるものである。メインの油圧ポンプ1は、タンク17と共にメインの油圧源を構成している。
22は油圧アクチュエータを構成する油圧シリンダで、この油圧シリンダ22は、例えば油圧ショベルの作業装置(図示せず)に設けられるブームシリンダ、アームシリンダまたはバケットシリンダ等を構成するものである。なお、油圧アクチュエータとしては、油圧シリンダ22に限らず、例えば旋回、走行用の油圧モータ等を用いることができる。
23は油圧ポンプ1、タンク17と油圧シリンダ22との間に設けられた方向制御弁で、該方向制御弁23は、例えば6ポート3位置の油圧パイロット式方向制御弁からなり、左,右両側には油圧パイロット部23A,23Bが設けられている。方向制御弁23は、後述の操作弁24から油圧パイロット部23A,23Bにパイロット圧が供給されることにより、中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)のいずれかに切換えられるものである。このとき、油圧ポンプ1から油圧シリンダ22に給排される圧油の流量は、方向制御弁23のストローク量(即ち、後述する操作レバー24Aの傾転操作量)に対応して可変に制御される。
24は油圧シリンダ22を遠隔操作する減圧弁型のパイロット操作弁(以下、操作弁24という)である。この操作弁24は、例えば油圧ショベルの運転室(図示せず)内に設けられ、オペレータによって傾転操作される操作レバー24Aを有している。操作弁24は、そのポンプポートがパイロットポンプ16に接続され、タンクポートがタンク17に接続されている。操作弁24の出力ポートは、パイロット管路25A,25Bを介して方向制御弁23の油圧パイロット部23A,23Bに接続されている。
操作弁24は、オペレータが操作レバー24Aを傾転操作したときに、その操作量に対応したパイロット圧をパイロット管路25A,25Bを通じて方向制御弁23の油圧パイロット部23A,23Bに供給する。これにより、方向制御弁23は、中立位置(イ)から切換位置(ロ),(ハ)のいずれか一方に操作レバー24Aの操作量に対応したストローク量で切換え制御されるものである。
26は傾転アクチュエータ12とパイロットポンプ16との間に設けられた制御圧通路で、該制御圧通路26は、図2〜図4に示すように、一側がパイロットポンプ16と低圧リリーフ弁19との間でパイロットポンプ16の吐出側に接続された第1通路26Aと、該第1通路26Aの他側に位置する接続点27で2つに分岐した第2,第3通路26B,26Cとを含んで構成されている。制御圧通路26の第2通路26Bは、傾転アクチュエータ12の液圧室13Bに接続され、第3通路26Cは液圧室14Bに接続されるものである。
28は制御圧通路26の第2通路26Bと第3通路26Cの途中に設けられた傾転制御用のレギュレータである。このレギュレータ28は、パイロットポンプ16から傾転アクチュエータ12の液圧室13B,14Bに給排される傾転制御圧を可変に制御するものである。レギュレータ28は、第3通路26Cの途中に設けられ傾転制御圧の供給位置(a)と排出位置(b)とに切換えられる容量制御弁29と、該容量制御弁29を切換え制御する電磁比例弁30とを含んで構成されている。
レギュレータ28の容量制御弁29は、油圧パイロット部29Aを有する油圧パイロット式の制御弁を用いて構成されている。容量制御弁29の油圧パイロット部29Aには、電磁比例弁30を介してパイロット圧が供給され、このパイロット圧に従って容量制御弁29は供給位置(a)と排出位置(b)とに切換えられる。
ここで、電磁比例弁30には、図6に示す特性線40に従って後述のコントローラ38から制御信号(電流信号)が出力される。この制御信号は操作レバー24Aの傾転操作量に比例または対応して電流値が増減され、電磁比例弁30は、制御信号の電流値に比例して低圧位置(c)から昇圧位置(d)へと漸次切換えられる。このため、容量制御弁29の油圧パイロット部29Aには、図6の特性線40に対応したパイロット圧が供給される。これにより、容量制御弁29は、供給位置(a)から排出位置(b)へと操作レバー24Aの傾転操作量に対応して切換えられる。
図4に示すように、傾転アクチュエータ12の液圧室14Bは、容量制御弁29が供給位置(a)から排出位置(b)へと切換わるに応じて内部の圧力が低下する。一方、液圧室13Bには制御圧通路26の第2通路26Bから傾転制御圧が供給される。これによって、傾転ピストン13Cは漸次伸長し、傾転ピストン14Cは漸次縮小する。この結果、油圧ポンプ1の吐出容量は、図6の特性線40に沿うように操作レバー24Aの傾転操作量に対応して可変に制御される。このような制御は、一般的にポジティブコントロールと呼ばれている。
31,32は弁板15の切換ランド15Dに設けられた小径の開放穴で、該開放穴31,32は、シリンダブロック5の回転に伴って各ピストン7が吐出行程から吸入行程に切換わる途中で該当するシリンダ6内に残った圧力をタンク17に排出(開放)するものである。このとき、シリンダブロック5は、弁板15に対して矢示C方向に回転しており、一方の開放穴31は、他方の開放穴32よりもシリンダブロック5の回転方向(矢示C方向)の前側に配置されている。換言すると、一方の開放穴31は、切換ランド15Dのうち上死点TDCよりも前側となる位置に配置され、他方の開放穴32は、上死点TDCよりも後側となる位置に配置されている。
33は開放穴31をタンク17に接続する通路(以下、タンク通路33という)、34は該タンク通路33の途中に設けられた油圧パイロット式の切換弁である。この切換弁34は、油圧パイロット部34Aとばね34Bとを有し、常時は図2に示す如くばね34Bにより開弁位置(e)に切換えた状態に保持されている。しかし、図3に示すように、パイロット管路35からのパイロット圧がばね34Bの設定圧よりも高くなると、切換弁34はばね34Bの付勢力に抗して開弁位置(e)から閉弁位置(f)に切換わる。開弁位置(e)にある切換弁34は、一方の開放穴31をタンク17に連通させる。しかし、閉弁位置(f)に切換わったときに切換弁34は、一方の開放穴31をタンク17に対して遮断するものである。
ここで、パイロット管路35は、第1,第2通路26A,26B間の接続点27と切換弁34の油圧パイロット部34Aとの間に設けられ、接続点27の位置での傾転制御圧をパイロット圧として切換弁34の油圧パイロット部34Aに供給する。即ち、切換弁34は、このときのパイロット圧がばね34Bの設定圧よりも高くなると、開弁位置(e)から閉弁位置(f)に切換わり、ばね34Bの設定圧よりもパイロット圧が低下したときには開弁位置(e)に切換わるものである。
他方の開放穴32は、常にタンク17に連通するように接続されている。このため、一方の開放穴31が切換弁34によりタンク17に対して遮断されている場合でも、他方の開放穴32はタンク17に連通している。これにより、各ピストン7が吐出行程から吸入行程に切換わるときには、該当するシリンダ6内に残圧があったとしても、この圧力は開放穴32側からタンク17に排出(開放)される。この結果、シリンダブロック5の回転に伴って吸入行程を迎える各シリンダ6内は、吐出行程時の残圧をなくしタンク17と同等の圧力状態に保たれるものである。
開放穴31,32の穴径は、これまでの試験データ、経験値に基づいて設定される。両者の穴径は、開放穴31の方が開放穴32よりも大きく形成するのがよい。場合によっては、開放穴32を廃止し、開放穴31のみを形成する構成としてもよい。この場合でも、開放穴31は、切換弁34によりタンク17に対して連通,遮断する構成とするものである。
36は制御圧通路26の第1通路26Aに設けられた流量制限部としての固定絞りで、該固定絞り36は、第1通路26Aと第2通路26Bとの接続点27に近い位置に配置され、パイロットポンプ16から第1,第2通路26A,26Bに向けて傾転制御圧を供給するときに油液の流れを絞るものである。ここで、パイロットポンプ16からの傾転制御圧を第1通路26Aから第2通路26Bに向けて供給するときには、このときの油液の流れが固定絞り36により絞られる。このため、パイロットポンプ16から供給される傾転制御圧は、固定絞り36の下流側(即ち、接続点27側)で圧力降下し、これに伴ってパイロット管路35内のパイロット圧も低下する。
即ち、容量制御弁29、電磁比例弁30からなるレギュレータ28は、斜板11の傾転角を大きくしポンプ容量を増大させるときに、傾転アクチュエータ12を図4中の矢示B方向に駆動する。このため、レギュレータ28は、パイロットポンプ16からの傾転制御圧を第1通路26Aから第2通路26Bに向けて供給させると共に、液圧室14B内の圧油を容量制御弁29を介してタンク17側に排出させる。
このとき、パイロットポンプ16から吐出された油液(傾転制御圧)は、第1通路26Aから第2通路26Bに向けて供給される。この油液の流れは、固定絞り36により絞られるため、傾転制御圧は接続点27側で圧力降下し、これに伴ってパイロット管路35内のパイロット圧も低下する。切換弁34は、このようにパイロット圧が低下したときにばね34Bにより閉弁位置(f)から開弁位置(e)に切換えられる。
一方、斜板11の傾転角が小さくなるように傾転アクチュエータ12を図3中の矢示A方向に駆動するときには、パイロットポンプ16からの傾転制御圧が第1通路26A、第3通路26Cから容量制御弁29を介して液圧室14Bに供給されると共に、液圧室13B内の圧油が第2通路26Bに向けて排出される。このため、接続点27側の圧力は、固定絞り36でほとんど圧力降下されることなく、高い圧力状態(即ち、パイロットポンプ16からの傾転制御圧とほぼ同等な圧力状態)を保ち、パイロット管路35内のパイロット圧も高くなる。切換弁34は、このようにパイロット圧が高い状態ではばね34Bに抗して開弁位置(e)から閉弁位置(f)に切換えられる。
37は低圧リリーフ弁19とタンク17との間に設けられたタンク通路で、該タンク通路37は、パイロットポンプ16の吐出圧が低圧リリーフ弁19の設定圧以上に上昇すると、このときの過剰圧を低圧リリーフ弁19の開弁に伴ってタンク17側にリリーフさせるものである。
38は電磁比例弁30に制御信号を出力する制御手段としてのコントローラである。図5に示すように、該コントローラ38は、その入力側に操作量検出器39が接続され、出力側には電磁比例弁30が接続されている。操作量検出器39は、操作弁24(操作レバー24A)のレバー操作量を検出するもので、その検出信号をコントローラ38に出力する。
コントローラ38は、ROM,RAM,不揮発性メモリ等の記憶部38Aを有し、この記憶部38Aには、図6に示す特性線40が特性マップとして更新可能に格納されている。この特性線40は、前述したポジティブコントロールにより油圧ポンプ1の容量制御を行うために、コントローラ38から電磁比例弁30に出力する制御信号を操作レバー24Aの操作量に対応して比例するように増減させる特性に設定されている。
なお、電磁比例弁30は、図6に示す特性線40のように操作レバー24Aの操作量に基づいて制御信号の電流値が可変に制御される構成であればよく、必ずしもコントローラ38を用いる必要はない。例えば、ポテンショメータ等の可変抵抗器を用いて、電磁比例弁30をレバー操作量に応じて低圧位置(c)から昇圧位置(d)に漸次切換える構成としてもよい。
第1の実施の形態による可変容量型斜板式の油圧ポンプ1と当該油圧ポンプ1の容量制御装置は、上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
まず、油圧ショベルの運転室に搭乗したオペレータが、図7に示す特性線41の如く時間T1でエンジン18を始動して回転させると、油圧ポンプ1の回転軸4がシリンダブロック5と一緒に回転駆動され、例えば時間T1〜T6の間で油圧ポンプ1は特性線42の如く回転される。このとき、エンジン18によってパイロットポンプ16も特性線43の如く回転駆動される。このため、パイロットポンプ16から制御圧通路26に向けて傾転制御圧が供給され、接続点27からはパイロット管路35に向けてパイロット圧が供給される。
ここで、図2に示す油圧ポンプ1の容量制御装置は、エンジン18が始動前で停止している初期状態(図7中の時間T1以前の状態)にあり、パイロットポンプ16が停止しているため、低圧リリーフ弁19は閉弁している。しかし、図3に示すように、エンジン18を稼働して油圧ポンプ1とパイロットポンプ16とを回転駆動している状態(図7中の時間T1〜T6の状態)では、低圧リリーフ弁19が開弁して制御圧通路26内の圧力(傾転制御圧)をほぼ一定のリリーフ設定圧に調整(設定)している。
一方、切換弁34は、図7中の特性線44の如く、エンジン18の始動前(時間T1以前)の段階でばね34Bにより開弁位置(e)に保持されている(図2参照)。しかし、時間T1を過ぎた段階で、切換弁34は、図3に示す如く、油圧パイロット部34Aに供給されるパイロット圧(即ち、制御圧通路26内の傾転制御圧)により、開弁位置(e)から閉弁位置(f)に切換えられる。
次に、時間T2〜T3でオペレータが操作弁24の操作レバー24Aを特性線45の如く中立位置からフル操作位置まで傾転操作すると、操作弁24から方向制御弁23の油圧パイロット部23A,23Bのいずれかにパイロット圧が供給される。油圧パイロット部23Bにパイロット圧を供給した場合を例に挙げると、図4に示すように、方向制御弁23は中立位置(イ)から切換位置(ハ)に漸次切換えられる。このため、油圧ポンプ1からの圧油は、方向制御弁23を介して油圧シリンダ22に供給され、該油圧シリンダ22を伸長方向に駆動することができる。
また、操作弁24の操作レバー24Aを中立位置からフル操作位置へと傾転操作したときには、例えばコントローラ38から電磁比例弁30に、図6に示す特性線40に沿ってレバー操作量に対応した制御信号が出力される。このため、電磁比例弁30は、図7中に示す特性線46の如く操作弁24の操作量に対応して低圧位置(c)から昇圧位置(d)へと漸次切換わる。これにより、容量制御弁29の油圧パイロット部29Aには、図6の特性線40に対応したパイロット圧が電磁比例弁30を介して供給され、容量制御弁29は、図7に示す特性線47の如く時間T2〜T3で、供給位置(a)から排出位置(b)へと操作弁24の操作量にほぼ比例して切換えられる。
この結果、傾転アクチュエータ12は、液圧室14B内の圧油が容量制御弁29を介してタンク17側に排出され、液圧室13B内には制御圧通路26内の傾転制御圧が第2通路26Bを介して供給される。これにより、傾転ピストン13Cは漸次伸長し、傾転ピストン14Cは漸次縮小する。このため、傾転アクチュエータ12は、特性線48の如く時間T2〜T3で小容量(Min)側から大容量(Max)側に漸次切換わり、油圧ポンプ1の斜板11を矢示B方向に傾転駆動する。このとき、油圧ポンプ1の吐出容量は、図6の特性線40に沿うように操作レバー24Aの傾転操作量に対応して可変に制御される。
このように、油圧ポンプ1の容量が小容量から大容量に切換わるときには、パイロットポンプ16からの傾転制御圧が第1通路26Aから第2通路26Bに向けて供給されると共に、このときの油液の流れは固定絞り36により絞られる。このため、傾転制御圧は接続点27側で圧力降下し、これに伴ってパイロット管路35内のパイロット圧も低下することになる。
換言すると、傾転アクチュエータ12の液圧室13Bは、傾転ピストン13Cが矢示B方向に変位するときに、固定絞り36の下流側位置で第2通路26B内の油液を吸込むように動作する。これにより、制御圧通路26内の圧力(傾転制御圧)は、固定絞り36よりも下流側に位置する接続点27側で圧力降下し、これに伴ってパイロット管路35内のパイロット圧も低下する。この結果、切換弁34は、ばね34Bにより開弁位置(e)に切換えられる。
図7に示す特性線44のように、時間T2〜T3で切換弁34が開弁すると、弁板15の切換ランド15Dに設けられた開放穴31は、タンク通路33を介してタンク17に連通する。このため、開放穴31は、シリンダブロック5の回転により各ピストン7が吐出行程から吸入行程に切換わる途中(即ち、上死点TDC側の位置)で該当するシリンダ6内に残った圧力をタンク17に排出(開放)することができる。
一方、時間T3以降では、油圧ポンプ1の容量が傾転アクチュエータ12により大容量状態に保持され、パイロットポンプ16から制御圧通路26に向けて油液を供給することなく、傾転制御圧は維持されている。このため、接続点27側の圧力は高い圧力状態を保ち、パイロット管路35内のパイロット圧も高くなる。この結果、切換弁34は、このときのパイロット圧によりばね34Bに抗して開弁位置(e)から閉弁位置(f)に切換えられる。
これにより、弁板15の開放穴31は、切換弁34によりタンク17に対して遮断される。しかし、弁板15の切換ランド15Dには、開放穴31よりもシリンダブロック5の回転方向(矢示C方向)の後側に位置して他方の開放穴32を形成している。このため、各ピストン7が吐出行程から吸入行程に切換わるときには、該当するシリンダ6内に残圧があったとしても、この圧力は開放穴32側からタンク17に排出(開放)することができる。
次に、図7に示す時間T4〜T5で、オペレータが操作弁24の操作レバー24Aを特性線45の如くフル操作位置から中立位置へと戻すときには、方向制御弁23は中立位置(イ)へと漸次復帰するように動作する。また、操作弁24が中立位置に戻されるに従って、電磁比例弁30は特性線46の如く時間T4〜T5で昇圧位置(d)から低圧位置(c)へと漸次切換わる。
これにより、容量制御弁29は、油圧パイロット部29Aに電磁比例弁30を介して供給されるパイロット圧が漸次低下するので、特性線47の如く時間T4〜T5で、排出位置(b)から供給位置(a)へと漸次戻るように動作する。このため、傾転アクチュエータ12は、液圧室14B内に容量制御弁29を介して傾転制御圧が供給され、受圧面積の差により、傾転ピストン14Cは漸次伸長し、傾転ピストン13Cは漸次縮小する。
この結果、傾転アクチュエータ12は、特性線48の如く時間T4〜T5で大容量(Max)側から小容量(Min)側に漸次切換わり、油圧ポンプ1の斜板11を矢示A方向に傾転駆動する。このとき、油圧ポンプ1の吐出容量は、操作弁24の操作レバー24Aを中立位置に戻すのに対応して漸次小さくなるように可変に制御される。
このように、油圧ポンプ1の容量を小さくするように傾転アクチュエータ12を図3中の矢示A方向に駆動するときには、パイロットポンプ16からの傾転制御圧が第1通路26A、第3通路26Cから容量制御弁29を介して液圧室14Bに供給されると共に、液圧室13B内の圧油が第2通路26Bに向けて排出される。このため、接続点27側の圧力は、固定絞り36でほとんど圧力降下されることなく、高い圧力状態を保ち、パイロット管路35内のパイロット圧も高くなる。
この結果、切換弁34は、このときのパイロット圧によりばね34Bに抗して閉弁位置(f)に切換えられた状態に保持され、弁板15の開放穴31は、切換弁34によりタンク17に対して遮断されている。従って、弁板15の開放穴31は、油圧ポンプ1の容量を小容量、中間の容量または大容量を含むほぼ一定の容量に保持している間、さらには大容量から小容量に切換えるときに、切換弁34が閉弁することによりタンク17に対して遮断される。しかし、油圧ポンプ1の容量を小容量から大容量に切換えるときには、切換弁34が時間T2〜T3のように開弁されることにより、開放穴31はタンク17に連通される。
一方、図7中の時間T6でエンジン18を停止し、油圧ポンプ1およびパイロットポンプ16を停止したときには、パイロット管路35内のパイロット圧がタンク17内と同等に低圧になる。このため、図2に示すように、切換弁34は、ばね34Bにより閉弁位置(f)から開弁位置(e)に戻され、特性線44の如くエンジン18の始動前(時間T1以前)と同様に開弁位置(e)に保持されることになる。
ここで、可変容量型斜板式の油圧ポンプ1は、シリンダブロック5の各シリンダ6内に複数(一般的には奇数個)のピストン7がそれぞれ摺動可能に挿嵌され、これらのピストン7は、シリンダブロック5の回転に伴って夫々のシリンダ6内を往復動し、吸入行程と吐出行程とを繰返す。このため、斜板11には、高圧側の吐出ポート15Bに連通している各シリンダ6内の圧力が夫々のピストン7を介して作用し、これは合力の着力点(ピストン推力の合計着力中心点)として、例えば図3中に「∞」マークで示すように変動するものである。
ところで、斜板11は傾転アクチュエータ12により図3中に示す傾転中心の軸O−Oを支点として傾転駆動される。このとき、斜板11に働く合力の着力点「∞」は、斜板11の傾転中心の軸O−Oに対し上死点TDC側にずれて作用する。このため、斜板11には傾転角を常に小さくする方向の復帰モーメントが生じる。即ち、油圧ポンプ1の容量を小容量と大容量との間で可変に制御するときには、前記復帰モーメントの影響を受けることにより、傾転アクチュエータ12で斜板11を大傾転側に駆動しようとするときに動作速度が遅くなり、逆に、斜板11を小傾転側に駆動しようとするときには動作速度が速くなる傾向がある。
しかし、油圧ショベルのオペレータは、ブーム、アームおよびバケットからなる作業装置を駆動操作するときに操作レバー24Aを傾転操作しても、油圧ポンプ1の容量が小容量から大容量に変化(即ち、傾転アクチュエータ12で斜板11を大傾転側に駆動)するときに、前記復帰モーメントの影響で動作速度が遅くなるため、操作性が悪いという評価を下すことがある。
そこで、第1の実施の形態では、弁板15の切換ランド15Dに小径の開放穴31,32を設け、これらの開放穴31,32により、シリンダブロック5の回転に伴って各ピストン7が吐出行程から吸入行程に切換わる途中で該当するシリンダ6内に残った圧力をタンク17に排出(開放)する構成としている。このうち一方の開放穴31は、シリンダブロック5の回転方向(図3、図4中の矢示C方向)に対して他方の開放穴32よりも前側に配置している。
また、一方の開放穴31をタンク17に接続するタンク通路33の途中には、常時はばね34Bにより開弁位置(e)に保持され、パイロット管路35からのパイロット圧がばね34Bの設定圧よりも高くなったときに開弁位置(e)から閉弁位置(f)にばね34Bに抗して切換わる油圧パイロット式の切換弁34を設けている。この切換弁34は、開弁位置(e)にあるときに一方の開放穴31をタンク17に連通させ、閉弁位置(f)に切換わったときには一方の開放穴31をタンク17に対して遮断する構成としている。
また、パイロットポンプ16から傾転アクチュエータ12に傾転制御圧を給排する制御圧通路26の途中には、パイロットポンプ16から傾転アクチュエータ12に向けて傾転制御圧を供給するときに油液の流れを絞る流量制限部としての固定絞り36を設け、該固定絞り36は、前記油液の流れに応じて切換弁34の油圧パイロット部34Aに供給するパイロット圧を変化させることにより切換弁34の開,閉弁を制御する構成としている。
即ち、制御圧通路26の途中に設けた固定絞り36は、パイロットポンプ16から傾転アクチュエータ12の液圧室13Bに向けて傾転制御圧を供給するときに油液の流れを絞ることにより、斜板11の傾転角を大きくするときには切換弁34の油圧パイロット部34Aに供給するパイロット圧を低下させる。これによって、切換弁34を開弁することができ、弁板15の切換ランド15Dに形成した開放穴31をタンク17に連通することができる。
このように、傾転制御用のレギュレータ28により斜板11の傾転角を大きくする方向に傾転アクチュエータ12を駆動するときには、切換弁34を開弁することにより、吐出行程の最後でシリンダブロック5の各シリンダ6内に残った圧力をタンク17側に開放して逃がすことができる。このため、斜板11に働く合力の着力点「∞」は、図4に示す如く斜板11の傾転中心の軸O−Oに近付く方向(即ち、下死点BDC側にシフトする方向)に移動するようになり、合力の着力点「∞」が図3に示すように、傾転中心の軸O−Oに対し上死点TDC側にずれて作用するのを抑えることができる。
従って、第1の実施の形態によれば、斜板11の傾転角を小さくする方向の復帰モーメントが、従来技術のように働くのを抑制することができ、斜板11を傾転角が大きくなる方向(即ち、ポンプ容量を小容量から大容量)に駆動しようとするときの動作速度を速くすることができる。これにより、油圧ポンプ1の容量を小容量から大容量に増やすときの応答性を高めることができ、オペレータの操作フィーリングを向上することができる。
また、これ以外で油圧ポンプ1が回転している場合(即ち、ポンプ容量を小容量、中間の容量または大容量を含むほぼ一定の容量に保った場合、あるいは大容量側から小容量側に制御する場合)には、切換弁34を閉弁して開放穴31がタンク17に連通するのを阻止できる。このため、吐出行程の最後でシリンダブロック5の各シリンダ6内に残った圧力が必要以上にタンク17側に排出されるのを抑制でき、油圧ポンプ1の容積効率が開放穴31によって低下するのを抑えることができる。
さらに、傾転制御用のレギュレータ28により、斜板11の傾転角が小さくなるように傾転アクチュエータを駆動するときには、切換弁34を閉弁することにより開放穴31をタンク17に対して遮断する。このため、従来技術とほぼ同様に復帰モーメントを斜板11に作用させることが可能となり、この場合には、斜板11を小傾転側に駆動しようとするときの動作速度を速くすることができる。
次に、図8および図9は本発明の第2の実施の形態を示し、第2の実施の形態の特徴は、低圧リリーフ弁をタンクに接続するタンク通路の途中に、前記リリーフ弁からタンクに排出される油液の流れを絞る流量制限部と、該流量制限部の上流側圧力をパイロット圧として切換弁の油圧パイロット部に導くパイロット管路とを設ける構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、51は第2の実施の形態で採用した流量制限部としての固定絞りで、該固定絞り51は、第1の実施の形態で述べた固定絞り36に替えてタンク通路37の途中に設けられている。固定絞り51は、低圧リリーフ弁19からタンク通路37を介してタンク17に排出される油液の流量(リリーフ流量)を絞ることにより、後述のパイロット管路52内に発生するパイロット圧を変化させるものである。
ここで、図8に示す油圧ポンプ1の容量制御装置は、エンジン18が始動前で停止している初期状態にあり、パイロットポンプ16が停止しているため、低圧リリーフ弁19は閉弁している。しかし、図9に示すように、エンジン18を稼働して油圧ポンプ1とパイロットポンプ16とを回転駆動している状態では、低圧リリーフ弁19が開弁してタンク通路37には油液がタンク17に向けて排出されている。
このとき、低圧リリーフ弁19からタンク通路37を介してタンク17に排出されるリリーフ流量は、操作弁24のレバー操作量を大きくするときに漸次減少し、逆に、操作レバー24Aを中立位置に戻したときに、リリーフ流量は最大となるように増加する。しかも、所謂ポジティブコントロールを行う場合、油圧ポンプ1の容量は、操作弁24のレバー操作量に応じて、図6に示す特性線40の如く増減される。
換言すると、操作弁24のレバー操作量を大きくし、油圧ポンプ1の容量を小容量から大容量に増大させるときには、低圧リリーフ弁19のリリーフ流量が漸次小さくなるように減少する。逆に、操作弁24のレバー操作量を中立側に戻すように小さくし、油圧ポンプ1の容量を大容量から小容量側に変化させるときには、低圧リリーフ弁19のリリーフ流量が漸次大きくなるように増加する。
このため、タンク通路37の途中に設けられた固定絞り51は、低圧リリーフ弁19からのリリーフ流量を絞ることにより、その上流側圧力(低圧リリーフ弁19と固定絞り51との間の圧力)を操作弁24のレバー操作量に対し、例えば逆比例するように増減させることができる。
52は低圧リリーフ弁19と固定絞り51との間でタンク通路37に接続されたパイロット管路である。このパイロット管路52は、その先端側が切換弁34の油圧パイロット部34Aに接続され、固定絞り51の上流側圧力をパイロット圧として切換弁34の油圧パイロット部34Aに導くものである。パイロット管路52内のパイロット圧は、前記リリーフ流量が大きいときには相対的に高い圧力となり、逆にリリーフ流量が減少すると相対的に低い圧力となる。
即ち、操作弁24のレバー操作量を小さくし、油圧ポンプ1の容量を大容量から小容量側に変化させるとき、または油圧ポンプ1の容量をほぼ一定に保っているときには、低圧リリーフ弁19のリリーフ流量が大きくなるので、パイロット管路52内のパイロット圧は、切換弁34のばね34Bによる設定圧よりも高くなる。このため、切換弁34は、ばね34Bに抗して開弁位置(e)から閉弁位置(f)に切換えられ、開放穴31をタンク17に対して遮断した状態に保つことができる。
一方、操作弁24のレバー操作量を大きくし、油圧ポンプ1の容量を小容量から大容量に増大させるときには、低圧リリーフ弁19のリリーフ流量が小さくなるので、パイロット管路52内のパイロット圧は低下し、切換弁34のばね34Bによる設定圧よりも低い圧力となる。このため、切換弁34は、ばね34Bにより閉弁位置(f)から開弁位置(e)へと切換えられ、開放穴31をタンク17に対して連通させることができる。
かくして、このように構成される第2の実施の形態でも、油圧ポンプ1の容量を小容量から大容量に増大させるときには、切換弁34を開弁して弁板15の開放穴31をタンク17に連通することができ、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
なお、前記第1の実施の形態では、レギュレータ28の電磁比例弁30をレバー操作量に応じて所謂ポジティブコントロールで制御する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばネガティブコントロールにより油圧ポンプの容量制御を行う構成としてもよい。
また、前記第1の実施の形態では、弁板15の切換ランド15Dに2つの開放穴31,32を設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば一方の開放穴31のみを設け、他方の開放穴32は省略する構成であってもよい。この点は、第2の実施の形態についても同様である。
一方、前記第1の実施の形態では、レギュレータ28を、容量制御弁29と電磁比例弁30とにより構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばレギュレータを容量制御弁のみで構成し、電磁比例弁を省略する構成としてもよい。この場合、容量制御弁を電気的に制御する弁で構成することにより、例えば図6に示す特性線40の如く、レバー操作量に対応してポンプ容量を可変に制御することができる。この点は、第2の実施の形態についても同様である。
また、前記各実施の形態では、油圧ポンプ1の容量制御装置を油圧ショベルに適用する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン、ホイールローダ等の建設機械に適用してもよいものである。
1 油圧ポンプ
2 ケーシング
3A,3B 給排通路
4 回転軸
5 シリンダブロック
6 シリンダ
7 ピストン
8 シュー
10 斜板支持体
11 斜板
12 傾転アクチュエータ
13B,14B 液圧室
13C,14C 傾転ピストン
15 弁板
15A 吸入ポート
15B 吐出ポート
15C,15D 切換ランド
16 パイロットポンプ(パイロット油圧源)
17 タンク
18 エンジン
19 低圧リリーフ弁(リリーフ弁)
22 油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)
23 方向制御弁
24 パイロット操作弁
24A 操作レバー
26 制御圧通路
28 レギュレータ
29 容量制御弁
30 電磁比例弁
31 開放穴
33 タンク通路(通路)
34 切換弁
34A 油圧パイロット部
36,51 固定絞り(流量制限部)
37 タンク通路
52 パイロット管路

Claims (4)

  1. 筒状のケーシングと、該ケーシングに回転可能に設けられた回転軸と、該回転軸と一体に回転するように前記ケーシング内に設けられ周方向に離間して軸方向に延びる複数のシリンダを有したシリンダブロックと、該シリンダブロックの各シリンダに往復動可能に挿嵌された複数のピストンと、前記各シリンダから突出する該各ピストンの突出端側に装着された複数のシューと、前記ケーシング内に傾転可能に設けられ前記各シューを摺動可能に案内する斜板と、前記ケーシングに設けられ外部から傾転制御圧が給排されることにより該斜板を傾転駆動する傾転アクチュエータと、前記シリンダブロックを挟んで前記斜板とは軸方向の反対側に位置して前記ケーシング内に設けられ前記シリンダブロックに摺接する弁板とを備え、該弁板には前記各シリンダと間欠的に連通する吸入ポートと吐出ポートとが一対の切換ランドを挟んで形成されている可変容量型斜板式の油圧ポンプと、
    パイロット油圧源と前記傾転アクチュエータとの間に設けられ前記パイロット油圧源から傾転アクチュエータに給排される前記傾転制御圧を可変に制御するレギュレータとからなる油圧ポンプの容量制御装置において、
    前記弁板に形成した前記一対の切換ランドのうち前記ピストンが吐出行程から吸入行程に切換わる位置にある切換ランドには、前記吐出行程の最後で前記シリンダ内に残った圧力をタンク側に開放するための開放穴を設け、
    該開放穴をタンクに接続する通路の途中には、開弁時に前記開放穴をタンクに連通させ、閉弁時には前記開放穴をタンクに対して遮断する切換弁を設け、
    該切換弁は、前記レギュレータにより前記斜板の傾転角が小さくなるように前記傾転アクチュエータを駆動するときに閉弁され、前記斜板の傾転角が大きくなるように前記傾転アクチュエータを駆動するときには開弁される構成としたことを特徴とする油圧ポンプの容量制御装置。
  2. 前記切換弁は前記傾転制御圧が油圧パイロット部にパイロット圧として供給されることにより開,閉弁される油圧パイロット式の切換弁によって構成し、
    前記パイロット油圧源から傾転アクチュエータに前記傾転制御圧を給排する制御圧通路の途中には、前記パイロット油圧源から傾転アクチュエータに向けて前記傾転制御圧を供給するときに油液の流れを絞る流量制限部を設け、
    該流量制限部は、前記油液の流れに応じて前記油圧パイロット部に供給するパイロット圧を変化させることにより前記切換弁の開,閉弁を制御する構成としてなる請求項1に記載の油圧ポンプの容量制御装置。
  3. 前記切換弁は油圧パイロット部に供給されるパイロット圧により開,閉弁される油圧パイロット式の切換弁によって構成し、
    前記パイロット油圧源をタンクと共に構成するパイロットポンプの吐出側には、前記傾転制御圧を予め決められたリリーフ設定圧以下の圧力に抑えるリリーフ弁を設け、
    該リリーフ弁を前記タンクに接続するタンク通路の途中には、前記リリーフ弁からタンクに排出される油液の流れを絞る流量制限部と、該流量制限部と前記リリーフ弁との間で前記タンク通路に接続され該流量制限部の上流側圧力を前記パイロット圧として前記切換弁の油圧パイロット部に導くパイロット管路とを設ける構成としてなる請求項1に記載の油圧ポンプの容量制御装置。
  4. 前記油圧ポンプから吐出された圧油により駆動される油圧アクチュエータと、該油圧アクチュエータと前記油圧ポンプとの間に設けられ前記油圧ポンプから油圧アクチュエータに供給する圧油をパイロット圧に応じて制御する油圧パイロット式の方向制御弁と、操作レバーの操作に従って前記パイロット油圧源から該方向制御弁の油圧パイロット部に供給するパイロット圧を可変に制御するパイロット操作弁とを備え、
    前記レギュレータは、前記操作レバーの操作量に応じて前記斜板の傾転角が漸次大きくなるように前記パイロット油圧源から傾転アクチュエータに給排される前記傾転制御圧を可変に制御する構成としてなる請求項1,2または3に記載の油圧ポンプの容量制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017180391A (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 日立建機株式会社 可変容量型斜板式油圧ポンプの容量制御装置

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