JP2014174536A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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下川俊彦
Takayuki Seki
関貴之
Yuji Arai
荒井裕司
Ryuichi Minbu
民部隆一
Yoshinori Yamaguchi
山口嘉紀
Toshitaro Tamaki
田巻俊太郎
Yutaka Ikebuchi
池淵豊
Kazuya Saito
齋藤一哉
Shutaro Yuasa
湯淺周太郎
Hiroshi Yoshinaga
吉永洋
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Abstract

【課題】ウォームアップ時間が短く、省エネルギー性が高く、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮することが可能で、更に部品の熱溶融などが発生せずに目標寿命まで安定して使用することができる定着装置を提供する。
【解決手段】回転可能な定着部材201と、定着部材を内部から加熱する熱源202と、定着部材とニップ部を形成する加圧部材203と、定着部材内部で加圧部材と対向してニップ部を形成するニップ形成部材206と、定着部材の軸方向両端部を保持する一対の保持部材208と、保持部材が取り付けられた一対の側板212と、を備え、未定着画像を担持した記録媒体をニップ部に搬送して、記録媒体に未定着画像を定着する定着装置200において、熱源からの光を受ける金属筒部材214が保持部材の内側に設けられ、金属筒部材は側板に接続している。
【選択図】図13

Description

本発明は複写機やファクシミリ、プリンタなどの画像形成装置に使用される定着装置に関し、より具体的には無端状の定着部材と加圧部材間にニップを形成し、該ニップを通る記録媒体に対し定着処理を行う定着装置、及びその定着装置を搭載した画像形成装置に関するものである。
プリンタ・複写機・ファクシミリなどの画像形成装置に対し、近年、省エネルギー化・高速化についての市場要求が強くなってきている。
画像形成装置では、電子写真記録・静電記録・磁気記録等の画像形成プロセスにより、未定着トナー画像が、画像転写方式もしくは直接方式により記録材シート・印刷紙・感光紙・静電記録紙などの記録材に形成される。未定着トナー画像を定着させるための定着装置としては、熱ローラ方式、フィルム加熱方式、電磁誘導加熱方式等の接触加熱方式の定着装置が広く採用されている。
このような定着装置の一例として、ベルト方式の定着装置(例えば特許文献1)やセラミックヒータを用いたサーフ定着(フィルム定着)の定着装置(例えば特許文献2)が知られている。
近年、ベルト方式の定着装置では、電源投入時などに常温状態から印刷可能な所定の温度(リロード温度)に達するまでに要する時間であるウォームアップ時間や、印刷要求を受けた後に印刷準備を経て印字動作を行い排紙が完了するまでの時間であるファーストプリント時間の更なる短縮化が望まれている(課題1)。また、画像形成装置の高速化に伴い、単位時間当たりの通紙枚数が増え、必要熱量が増大しているため、特に連続印刷のはじめに熱量が不足する、所謂温度落ち込みも問題となっている(課題2)。
前記課題1の問題を解決する方法として、セラミックヒータを用いたサーフ定着が提案されており、この方式により、ベルト方式の定着装置に比べ、低熱容量化、小型化が可能となった。しかし、ニップ部のみを局所加熱しているため、その他の部分では加熱されておらず、ニップの用紙などの入口においてベルトは最も冷えた状態にあり、定着不良が発生しやすくなる。特に、高速機においては、ベルトの回転が速く、ニップ部以外でのベルトの放熱が多くなるため、より定着不良が発生しやすくなるという問題がある(課題3)。
以上のような課題1〜3を解決するために、無端ベルトを用いる構成において、そのベルト全体を温めることを可能にし、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮することができ、かつ高速回転時の熱量不足を解消して、高生産の画像形成装置に搭載されても良好な定着性を得ることができるようにした定着装置が提案されている(例えば特許文献3)。
図15は、特許文献3に記載の定着装置の概略図である。
無端ベルト81の移動をガイドすることができるように、パイプ状の金属熱伝導体82を無端ベルト81の内部に固定し、金属熱伝導体82内の熱源83により金属熱伝導体82を介して無端ベルト81を加熱する。さらに、無端ベルト81を介して金属熱伝導体82に接してニップ部Nを形成する加圧ローラ84を備え、該加圧ローラ84の回転に連れ回りするようにして無端ベルト81を周方向に移動させる。加圧ローラは芯金85と弾性ゴム層86からなる。この構成により、定着装置を構成する無端ベルト全体を温めることを可能にし、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮することができ、かつ高速回転時の熱量不足を解消することが可能となっている。
しかしながら、更なる省エネルギー化及びファーストプリントタイム向上のためには熱効率を更に向上させる必要があり、無端ベルトを金属熱伝導体を介して間接的に加熱する構成から、無端ベルトを金属熱伝導体を介さずに直接加熱する構成が発展的に考案された。この構成では、伝熱効率が大幅に向上して消費電力が低減すると共に、加熱待機時からのファーストプリントタイムを更に短縮することが実現できる。また、金属熱伝導体を要しないためコストダウンが可能となる。
無端ベルトを直接加熱する構成とすることで、省エネルギー性が高く、加熱待機時からのファーストプリントタイムを更に短縮することが可能となった。だが、無端ベルト内部の加熱パイプなどの部品を取り除いたため、熱源からの直射光による、無端ベルトの両端を支持している樹脂性のフランジへの熱負荷が、樹脂の耐熱温度を超えてしまうという問題が発生した。
また、後述する図4のような遮光部材210を定着ベルト201内部に介在させた場合、レイアウトスペースの制約上、フランジ208と遮光部材210のギャップが十分に確保できないので、遮光部材210からの伝熱によってフランジ208が溶けてしまうという問題も発生した。
そこで本発明は、ウォームアップ時間が短く、省エネルギー性が高く、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮することが可能で、更に部品の熱溶融などが発生せずに目標寿命まで安定して使用することができる定着装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
この課題は、回転可能な定着部材と、前記定着部材を内部から加熱する熱源と、前記定着部材とニップ部を形成する加圧部材と、前記定着部材内部で前記加圧部材と対向してニップ部を形成するニップ形成部材と、前記定着部材の軸方向両端部を保持する一対の保持部材と、前記保持部材が取り付けられた一対の側板と、を備え、未定着画像を担持した記録媒体を前記ニップ部に搬送して、前記記録媒体に未定着画像を定着する定着装置において、前記熱源からの光を受ける金属筒部材が前記保持部材の内側に設けられ、前記金属筒部材は前記側板に接続していることにより解決される。
本発明によれば、保持部材の内部に金属筒部材が設けられ、熱源の直射光が当っても金属筒部材の熱は熱容量の大きい側板等の固定部材から排出されるため、保持部材が溶けることがない。また、遮光部材が保持部材に摺接する場合でも保持部材が溶けることがない。
実施形態に係る定着装置を用いる画像形成装置の構成を説明するための模式図である。 実施形態に係る定着装置を示す模式図である。 別の実施形態に係る定着装置を示す模式図である。 別の実施形態に係る定着装置を示す模式図である。 遮光部材の一実施形態を示す模式図である。 遮光部材の動作の一実施形態を示す模式図である。 遮光部材の駆動機構を示す斜視図である。 定着装置の斜視図である。 定着ベルトの支持構造を示す斜視図である。 フランジ及びスライド部材の斜視図である。 フランジにスライド部材を重ねた状態を示す正面図である。 フランジの支持構造を示す斜視図である。 金属筒部材を備えた定着装置を示す模式図である。 金属筒部材の変形例を示す概略図である。 従来構成の定着装置の例を示す模式図である。
先ず、図1を用いて実施形態に係る定着装置を適用する画像形成装置の構成を説明する。
図1に示した画像形成装置は、複数の色画像を形成する画像形成部がベルトの展張方向に沿って並置されたタンデム方式を用いるカラープリンタあるが、本発明はこの方式に限られず、プリンタだけではなく複写機やファクシミリ装置などを対象とすることも可能である。
画像形成装置100では、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkを並設したタンデム構造が採用されている。
図示の構成の画像形成装置100では、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに形成された可視像が、1次転写行程の実行により、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対峙しながら矢印A1方向に移動可能な無端ベルトが用いられる中間転写体(以下、転写ベルトという)11に対して重畳転写され、その後、中間転写体上の画像は記録シートなどが用いられる記録媒体Sに対して2次転写行程の実行により一括転写されるようになっている。
各感光体ドラムの周囲には、感光体ドラムの回転に従い画像形成処理するための装置が配置されている。ブラック画像形成を行う感光体ドラム20Bkを例として説明すると、感光体ドラム20Bkの回転方向に沿って、画像形成処理を行う帯電装置30Bk、現像装置40Bk、1次転写ローラ12Bk及びクリーニング装置50Bkが配置されている。感光体ドラムの帯電後に行われる書き込みには、光書込装置8が用いられる。
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに形成された可視像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるように、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対向して配設された1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像をそれぞれ形成するための画像ステーションに備えられている。
画像形成装置100は、色毎の画像形成処理を行う4つの画像ステーションと、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkの上方に対向して配設され、転写ベルト11及び1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkを備えた転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に従動し、連れ回りする転写部材としての転写ローラである2次転写ローラ5と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11上をクリーニングする中間転写ベルトクリーニング装置13と、これら4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置としての光書込装置8とを有している。
光書込装置8は、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、折り返しミラー及び偏向手段としての回転多面鏡などを装備しており、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに対して色毎に対応した書き込み光Lb(図1では便宜上、ブラック画像の画像ステーションのみを対象として符号が付けてあるが、その他の画像ステーションも同様である)を出射して感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkに静電潜像を形成するように構成されている。
画像形成装置100には、感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkと転写ベルト11との間に向けて搬送される記録媒体Sを積載した給紙カセットとしてのシート給送装置61と、シート給送装置61から搬送されてきた記録媒体Sを、画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20Bkと転写ベルト11との間の転写部に向けて繰り出すレジストローラ対4と、記録媒体Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサとが設けられている。
また、画像形成装置100には、トナー像が転写された記録媒体Sにトナー像を定着させるためのローラ定着方式の定着装置200と、トナー像の定着済みの記録媒体Sを画像形成装置100の本体外部に排出する排紙ローラ7と、画像形成装置100の本体上部に配設されて排紙ローラ7により画像形成装置100の本体外部に排出された記録媒体Sを積載する排紙トレイ17と、排紙トレイ17の下側に位置し、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9C、9M、9Bkとが備えられている。
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkの他に、転写ベルト11が掛け回されている駆動ローラ72及び従動ローラ73を有している。
従動ローラ73は、転写ベルト11に対する張力付勢手段としての機能も備えており、このために、従動ローラ73にはスプリングなどを用いた付勢手段が設けられている。このような転写ベルトユニット10と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12Bkと、2次転写ローラ5と、クリーニング装置13とで、転写装置71が構成されている。
シート給送装置61は、画像形成装置100の本体下部に配設されており、最上位の記録媒体Sの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ3を有しており、給送ローラ3が反時計回りに回転駆動されることにより、最上位の記録媒体Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
転写装置71に装備されているクリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。
クリーニング装置13はまた、転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための図示しない排出手段を有している。
図2は実施形態に係る定着装置を示す断面図である。
定着装置200は、定着部材としての定着ベルト201と加圧部材としての加圧ローラ203を有している。定着ベルト201内には熱源であるハロゲンヒータ202が設けられ、これにより定着ベルト201が内周側から輻射熱で直接加熱される。また、定着ベルト201内の加圧ローラ203に対向する側に、定着ベルト201を介して加圧ローラ203とニップを形成するニップ形成部材206が配設され、定着ベルト内面と直接若しくは図示しない摺動シートを介して間接的に摺動するようになっている。
図2の構成ではニップ部の形状は平坦であるが、凹形状やその他の形状であっても良い。凹形状のニップを形成することで、記録媒体先端の排出方向がより加圧ローラ寄りになり、記録媒体の定着ベルトに対する分離性が向上するのでジャムの発生が抑制される。
定着ベルト201は、ニッケルやSUSなどの金属ベルトやポリイミドなどの樹脂材料を用いた無端ベルト(若しくはフィルム)とする。ベルトの表層は、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)又は四フッ化エチレン樹脂(PTFE)からなる離型層を有し、トナーが付着しないように離型性を持たせている。ベルトの基材とPFA又はPTFE層の間にはシリコーンゴムの層などで形成する弾性層があっても良い。シリコーンゴム層がない場合は熱容量が小さくなり、定着性が向上するが、ニップ部にて未定着画像を押し潰して定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部にユズ肌状の光沢ムラ(ユズ肌画像)が残るという不具合が生じる。これを改善するにはシリコーンゴム層を100μm以上設ける必要がある。シリコーンゴム層の変形により、微小な凹凸が吸収され、ユズ肌画像が改善する。
また、定着ベルト201の内部には、ニップ部を支持するための支持部材であるステー207を設け、加圧ローラ203により圧力を受けるニップ形成部材206の撓みを防止し、軸方向(紙面垂直方向)で均一なニップ幅を得られるようにしている。ステー207は剛性を確保するために金属材料でできている。このステー207は軸方向両端部で側板に保持固定され、位置決めされている。ニップ形成部材206は、形状が複雑なため、耐熱樹脂の射出成形品が望ましく、耐熱樹脂の種類としてはLCP(耐熱温度330℃程度)、PEK(耐熱温度350℃程度)などが望ましい。また、ハロゲンヒータ202とステー207の間に反射部材209を備え、これがハロゲンヒータ202からの輻射熱などを反射することで、輻射熱などによりステー207が加熱されてしまうことによるエネルギー浪費を抑制している。
ここで、反射部材209を備える代わりに、ステー207の表面に断熱処理若しくは鏡面処理を行っても同様の効果を得ることができる。熱源としては図示したハロゲンヒータでも良いが、抵抗発熱体、カーボンヒータ等であっても良い。
加圧ローラ203は、芯金205、芯金に設けられた弾性ゴム層204、離型性を得るために表面に設けられた離型層(PFA又はPTFE層)からなる。加圧ローラ203は、画像形成装置100に設けられたモータなどの駆動源からギヤを介して駆動力が伝達されて回転する。また、加圧ローラ203は、図示しないスプリングなどにより定着ベルト201側に押し付けられており、弾性ゴム層204が押し潰されて変形することにより、所定のニップ幅を有している。
加圧ローラ203は中空ローラであっても良く、加圧ローラ203内部にハロゲンヒータなどの熱源を有していても良い。弾性ゴム層204はソリッドゴムでも良いが、加圧ローラ203内部にヒータが無い場合は、スポンジゴムを用いても良い。スポンジゴムを使用すると、断熱性が高まり定着ベルト201の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。
定着ベルト201は、加圧ローラ203により連れ回り回転する。図2の定着装置200の場合、加圧ローラ203は図示しない駆動源により回転し、ニップ部Nで定着ベルト201に駆動力が伝達されることにより定着ベルト201が回転する。定着ベルト201は、ニップ部Nで挟み込まれて回転し、ニップ部以外では両端部で保持部材(フランジ)208にガイドされ、走行する。記録媒体Sはニップ部Nを通る際に加熱・加圧され、定着処理が行われる。
上記のような構成により安価で、ウォームアップが速い定着装置を実現することが可能となる。
図3は、別の実施形態に係る定着装置を示す構成図である。
図2の定着装置では熱源が1本のハロゲンヒータ202で構成されているのに対し、本実施形態では熱源が3本のハロゲンヒータ202で構成されている。これにより、生産性を落とすことなく各種紙幅に対応することができる。
図4は、別の実施形態に係る定着装置を示す構成図である。
この定着装置200では、ハロゲンヒータ202と定着ベルト201の間で回動可能な遮光部材210が更に設けられている。遮光部材210は、ハロゲンヒータ202からの光を遮光して、定着ベルト201への熱供給量を調整する。図5に示すように、遮光部材210は各紙幅に合わせた遮光部を有する段付き形状となっている。すなわち、上段の透過光部はハガキサイズに対応し、中段の透過光部はB4サイズに対応し、下段の透過光部はA3サイズに対応する。ただし、段の数と各段に対応する用紙サイズなどはこの例に限られない。
図6は遮光部材210の回動位置を示す図である。図示のように、遮光部材210は、定着ベルト201の内側に沿って他の部材と非接触で回動することができ、各紙幅に対応した位置に回動して加熱に不必要な定着ベルト201の領域を遮光する。図6(a)の上図はA3サイズの用紙の通紙時における遮光部材210の回動位置であり、下図は上図における平面Xでの断面図である。この位置では、定着ベルト201に向かって発せられるハロゲンヒータ202からの光は、A3サイズの幅以外では遮光部材210により遮光される。図6(b)の上図はハガキサイズの用紙の通紙時における遮光部材210の回動位置であり、下図は上図における平面Xでの断面図である。この位置では、定着ベルト201に向かって発せられるハロゲンヒータ202からの光は、中央部のハガキサイズの幅以外では遮光部材210により遮光される。遮光部材によって、幅の狭い記録媒体を連続通紙した場合でも、非通紙領域が過昇温状態になることがなく、過昇温した非通紙領域を冷却するために生産性を落とすような制御を行う必要もない。またこれに伴い、ハロゲンヒータの本数は図3の3本から2本に低減することが可能となっている。
図7は、遮光部材210を正逆方向に回転駆動する駆動機構250を示す斜視図である。
図8に示すように、この駆動機構250は、遮光部材210の軸方向一端側(図8の左側)に配置されており、駆動源であるモータ261と、複数の伝達ギヤ262,263,264からなるギヤ列とを備える。ギヤ列のうち、一端側のギヤ262はモータ261の出力軸に連結される。また、他端側のギヤ264は、スライド部材241(後で詳細に述べる)の外周面に形成されたギヤ部415と噛み合っている。これにより、モータ261を正逆方向に駆動すると、その駆動力がギヤ列を介してスライド部材241に伝達され、遮光部材210が正逆方向に回転する。
図8は、定着ベルト201の支持構造を示す斜視図であり、図9は、遮光部材210の被駆動側の端部(図8の右側)での上記支持構造を上下反転させてニップ部N側から見た斜視図である。なお、以下の説明において、「軸方向」、「周方向」、「半径方向」の用語は、遮光部材210の回転軸を基準とした場合の各方向を意味する。例えば軸方向は遮光部材210の長手方向に一致する。
図8に示すように、定着ベルト201は、その軸方向両端に配置した一対のフランジ208の外周面で回転自在に支持される。図9に示すように、このフランジ208は、定着装置200の側板212にネジなどを用いて着脱可能に取り付けられている。
図7に示すように、遮光部材210は、フランジ208とスライド部材241とを有する支持構造で回転自在に支持される。
フランジ208は、図10に示すように、軸方向両側を開口させた中空形状をなし、軸方向に延びる受け部401と受け部401から半径方向に突出する顎部402とを一体に有する。受け部401は、周方向の一部領域に切欠403を有する部分円筒状に形成されている。この切欠403で形成された空間に、図9に示すようにニップ形成部材206が挿入されている。ニップ形成部材206の端部は、顎部402の内周を経て側板212に固定されている。図9には現れていないが、定着ベルトの内部に配置されたハロゲンヒータ202及びステー207の各端部も、受け部401の内周及び顎部402の内周を経てそれぞれ側板212に固定されている。
図10に示すように、スライド部材241は、定着ベルト201の装着側と軸方向反対側の領域で、フランジ208と軸方向で対向させて配置される。以下の説明では、フランジ208のうち、スライド部材241と軸方向で対向する対向面404をフランジ208の外側面と称し、スライド部材241のうち、フランジ208と軸方向で対向する対向面411をスライド部材241の内側面と称する。
スライド部材241は、フランジ208側から見て円弧状の形態を備えており、その内側面411には、雄部として周方向に延びる突条412が形成されている。また、スライド部材241の内周面には、盛り上がり部413が形成されている。この盛り上がり部413の内周面には、遮光部材210の周方向に延びる円弧状の孔部414が形成されている。この孔部414には、遮光部材210の端部に設けられた突起210aが挿入され(図12参照)、これにより遮光部材210とスライド部材241が結合されて両者が一体に回転可能となっている。
フランジ208とスライド部材241は軸方向で互いに密着した状態で定着装置200に組み付けられる。図11は、この組み付け状態のフランジ208及びスライド部材241を示す正面図である。
同図に示すように、フランジ208の外側面404には、雌部として周方向に延びるガイド溝405が形成されている。このガイド溝405には、スライド部材241の突条412が嵌合される。ガイド溝405の周方向長さは、突条412の周方向長さよりも長い。なお、フランジ208において、ガイド溝405が形成された領域と受け部401が形成された領域とは軸方向で略一致している。
以上に述べたフランジ208及びスライド部材241は、いずれも樹脂の射出成形で形成することができる。この際、フランジ208及びスライド部材241は、耐熱性と摺動性に富む樹脂材料、例えば液晶ポリマーやポリイミド等で形成することができる。また、両者を同種の樹脂で形成するほか、異種の樹脂で形成しても構わない。加工コストを考慮すると、フランジ208及びスライド部材241の双方で樹脂の射出成形品とするのが望ましいが、この点が問題にならなければ、フランジ208及びスライド部材241のうち、どちらか一方又は双方を金属で形成することもできる。
図9〜11では、遮光部材210の軸方向両端の支持構造のうち、駆動機構250が配置されていない被駆動側端部の支持構造、及び当該支持構造を構成するフランジ208、スライド部材241を図示している。これに対し、図7及び図12に示すように、駆動機構250が配置された駆動側端部の支持構造も基本的に被駆動側の支持構造と共通の構成を有する。なお、駆動側端部の支持構造では、スライド部材241の外周面に駆動機構250のギヤ264と噛み合うギヤ部415が設けられており、この点でそのようなギヤ部を有しない被駆動側端部の支持構造のスライド部材241と異なる構成になっている。
次に、図13を用いて金属筒部材を備えた定着装置について説明する。
図13は、記録媒体Sの搬送方向から見た定着装置200の各部材の配置を示す断面図である。図示のように、保持部材であるフランジ208の内面に、ハロゲンヒータ202からの光を受ける金属筒部材214が配置されていて、この金属筒部材214は、各部材を位置決め固定する金属製の側板212に接続されている。金属筒部材214はフランジ208と同程度の長さを有するか、それよりも長い。不図示の他方の端部も同様に構成されている。この構成によれば、ハロゲンヒータ202からの光がフランジ内面に到達しても、光は先ず金属筒部材214に当たるため、金属筒部材214の外側にある樹脂製のフランジ表面がすぐに昇温することがない。また、金属筒部材214が側板212に接続されているので、金属筒部材214に溜まった熱は側板212へと順次伝導していく。側板212は定着装置全体を繋ぐ部品であって、大きい熱容量を有するので、側板212に接続された金属筒部材214は低温を維持することができる。結局、金属筒部材214が過度に蓄熱して昇温し、フランジ208が溶けるといった不具合は発生しない。
また図示しないが、図4などに示す遮光部材を備えた定着装置の場合、金属筒部材214は遮光部材よりも内側に設けられる。このとき、遮光部材は金属筒部材214の外周面を摺擦してもよい。これにより、遮光によって蓄えられた遮光部材の熱量の一部は、金属筒部材214から側板212に伝熱していくため、フランジ208が溶けることはない。金属筒部材214は側板212などの固定部材により排熱されるため、遮光部材がフランジ208の内周面に摺接しても、遮光部材からの伝熱によってフランジが溶けることはない。また、遮光部材を設けることにより、幅の狭い記録媒体を連続通紙した場合でも、非通紙領域が過昇温状態になることがなく、過昇温領域を冷却するために生産性を落とすなどの制御を行う必要もない。
図14は、金属筒部材の変形例を示す概略図である。
図示のように、フランジ208に係合する側板212の部分が絞り加工により円筒状に形成され、フランジ内部まで入り込んでいる。この構成では、側板自体が金属筒部材としての機能を有している。よって、ハロゲンヒータ202の光が側板212に当っても、側板自体の熱容量が大きく、排熱され易いため、取り付けられた樹脂性のフランジ208が溶けることがない。また、金属筒部材を別個に設ける必要がないため、部品点数が減少して低コストとなり、かつ伝熱ロスも低減されるためより効率的となる。
この構成は、図4などのように定着ベルト内部に遮光部材を備える定着装置にも適用することができる。この場合、側板212の絞り部分は遮光部材よりも内側に設けられる。このとき、遮光部材は側板212の絞り部分の外周面を摺擦してもよい。レイアウトスペースの制約上、フランジ208と遮光部材の十分なギャップを確保し難いが、この構成によれば遮光によって蓄えられた遮光部材の熱量の一部は側板212に伝熱していくため、フランジ208が過昇温によって溶けることはない。
フランジ208は、定着ベルト201を両端で保持しつつ、記録媒体の分離性向上のために定着ベルトの周方向の形状を定めている。このためにフランジ208は、複数の曲線を繋いだ形状をしており、耐熱性樹脂により形成される。また、樹脂で形成されたフランジ208は、定着ベルト201を側板212などから断熱して、定着ベルト内部に熱を留める機能も有している。一方、金属筒部材によりフランジ208の溶融が防止されるため、フランジ208の耐熱温度を下げることができる。よって、フランジ208のために摺動性に長けた耐熱樹脂の選定も可能となる。例えば、固体潤滑剤を配合した、摺動性のポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)(耐熱温度240℃程度)、摺動性のポリアミドイミド樹脂(PAI)(耐熱温度280℃程度)、摺動性のポリエーテルケトン(PEK)(耐熱温度350℃程度)が挙げられる。
また、画像形成装置100に上記定着装置200を搭載することで、ウォームアップ時間が短く、省エネルギー性が高く、加熱待機時からのファーストプリントタイムを短縮することが可能で、更に部材の熱溶融などが発生せずに目標寿命まで安定して使用することができる画像形成装置が得られる。
200 定着装置
201 定着ベルト(定着部材)
202 ハロゲンヒータ(熱源)
203 加圧ローラ(加圧部材)
206 ニップ形成部材
208 フランジ(保持部材)
210 遮光部材
212 側板
214 金属筒部材
N ニップ部
S 記録媒体
特開2004−286922号公報 特許第2861280号公報 特開2007−334205号公報

Claims (6)

  1. 回転可能な定着部材と、前記定着部材を内部から加熱する熱源と、前記定着部材とニップ部を形成する加圧部材と、前記定着部材内部で前記加圧部材と対向してニップ部を形成するニップ形成部材と、前記定着部材の軸方向両端部を保持する一対の保持部材と、前記保持部材が取り付けられた一対の側板と、を備え、未定着画像を担持した記録媒体を前記ニップ部に搬送して、前記記録媒体に未定着画像を定着する定着装置において、
    前記熱源からの光を受ける金属筒部材が前記保持部材の内側に設けられ、前記金属筒部材は前記側板に接続していることを特徴とする定着装置。
  2. 前記側板の部分が、前記保持部材の内部に入り込んでおり、前記金属筒部材として機能することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記熱源からの光を遮光して、前記定着部材への熱供給量を調整する遮光部材が前記定着部材の内部に更に備えられることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
  4. 前記金属筒部材は前記遮光部材よりも内側に設けられ、前記遮光部材は前記金属筒部材の外周面を摺擦することを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 前記保持部材が耐熱性樹脂で形成されることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の定着装置。
  6. 前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、該画像形成部にて画像が形成された前記記録媒体に対して定着処理を行う定着部とを備えた画像形成装置において、該定着部として請求項1〜5のいずれか1項に記載の定着装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
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