JP2014173898A - マスターリングゲージ - Google Patents

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Abstract

【課題】リングゲージの底面のみが温度管理された定盤の表面に直接接触することになり、準備作業としての温度慣らし時間の短縮化を図ることができるマスターリングゲージを提供する。
【解決手段】各種の測定器の基準となる基準ゲージ穴2を有するリングゲージ1の外周部に保護リング3を配置してなり、リングゲージの底面1aのみが温度管理された定盤の表面に直接接触するように、リングゲージの底面を保護リングの底面3aより突出配置してなる。
【選択図】図4

Description

本発明は、例えば、シリンダーゲージ、内側マイクロメーター、内側ダイヤルコンパレーター等の各種の測定器の零点調整や校正等に用いられるマスターリングゲージに関するものである。
従来、この種のマスターリングゲージとして、日本精密測定機器工業会規格JMAS4008−1988に示された構造のものが知られている。
しかして、零点調整時や校正時においては、その準備作業として、例えば、温度20℃±1℃で、湿度50%±5%〜湿度60%±5%の設定恒温環境下の測定検査室内に零点調整や校正作業すべき測定器を配置すると共に同じ測定検査室内の温度管理された定盤上にマスターリングゲージを置き、測定器とマスターリングゲージとの温度差を最小値にして測定誤差を最小にすべく、例えば、8時間〜12時間程度の温度慣らしを行うようにしている。
又、リングゲージの外周部に保護リングを配置した構造のものも知られており、保護リングを配置したことで、素手で掴んでも、手の汚れがリングゲージに付着することが無く、また、不測の落下衝突に伴う外力から保護リングがリングゲージを保護し、リングゲージの欠けや損傷、基準ゲージ穴の損傷を防ぎ、あるいは、零点調整時や校正時等において、手を介して、体温が直接リングゲージに伝わることを防ぐことになる。
実用新案登録3125109号 実開昭60−113501号
しかしながら上記従来構造の場合、上記リングゲージの底面と上記保護リングの底面とは面一状態に形成されており、上記温度慣らし下の定盤の表面にはリングゲージの底面と保護リングの底面とが同時に直接接触することなり、このため、温度管理された定盤の表面からリングゲージ及び保護リングの両者に温度が伝わることになり、リングゲージと保護リングとの材質の違いなどもあり、定盤の表面からリングゲージへの温度の伝わりが遅くなり、リングゲージの温度慣らしに時間が掛かることがあるという不都合を有している。
本発明はこれらの不都合を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、請求項1記載の発明は、各種の測定器の基準となる基準ゲージ穴を有するリングゲージの外周部に保護リングを配置してなり、上記リングゲージの底面のみが温度管理された定盤の表面に直接接触するように、該リングゲージの底面を上記保護リングの底面より突出配置してなることを特徴とするマスターリングゲージにある。
又、請求項2記載の発明は、上記リングゲージの表面を上記保護リングの表面より没入配置してなることを特徴とするものであり、又、請求項3記載の発明は、上記保護リングの表面に上記基準ゲージ穴の内径値としての呼び寸法、該呼び寸法と実寸法との誤差値及び該実寸法の測定軸線の方向と位置を示す測定指標を表示してなることを特徴とするものである。
又、請求項4記載の発明にあっては、上記保護リングはアルミニウム合金からなることを特徴とするものであり、又、請求項5記載の発明は、上記リングゲージは合金工具鋼、超硬合金、又は、セラミックスからなることを特徴とするものである。
本発明は上述の如く、請求項1記載の発明にあっては、リングゲージの底面を上記保護リングの底面より突出配置しているから、リングゲージの底面のみが温度管理された定盤の表面に直接接触することになり、温度管理された定盤の表面の温度がリングゲージに素早く伝わることになり、それだけ、準備作業としての温度慣らし時間の短縮化を図ることができ、ひいては、各種の測定器の零点調整や校正作業の迅速化を図ることができる。
又、請求項2記載の発明にあっては、上記リングゲージの表面を上記保護リングの表面より没入配置しているから、上記定盤上にリングゲージを逆反転状態に倒置したとしても、リングゲージの表面及び基準ゲージ穴は定盤に触れることがなく、リングゲージの表面及び基準ゲージ穴の損傷を防ぐことができ、取り扱い性を向上することができ、又、請求項3記載の発明にあっては、上記保護リングの表面に上記基準ゲージ穴の内径値としての呼び寸法、呼び寸法と実寸法との誤差値及び実寸法の測定軸線の方向と位置を示す測定指標を表示してなるから、各種の測定器の零点調整等における基準ゲージ穴の実寸法の写し込み位置を容易に認識することができ、零点調整精度、校正精度の向上を図ることができる。
又、請求項4記載の発明にあっては、上記保護リングはアルミニウム合金からなるので、軽量化を図ることができると共に耐食性を向上することができ、又、請求項5記載の発明にあっては、上記リングゲージは、合金工具鋼、超硬合金、又は、セラミックスからなり、合金工具鋼製のリングゲージにあっては、耐衝撃用等に優れ、超硬合金製のリングゲージにあっては、耐摩耗性及び長寿命化を図ることができると共に熱膨張係数が小さいので温度による変化が少なく、高硬度のため、表面に傷がつき難く、ゲージの管理が容易となり、セラミックス製のリングゲージにあっては、鋼に比べて耐摩耗性に優れ、経年変化に強く、これにより寸法変化がなく、腐食等の心配がなく、非磁性体のため磁気をおびることがなく、傷や打痕による塑性変化が少なく、軽量で測定や保守管理が容易となる。
本発明の実施の第一形態例の斜視図である。 本発明の実施の第一形態例の分解斜視図である。 本発明の実施の第一形態例の平面図である。 本発明の実施の第一形態例の断面図である。 本発明の実施の第一形態例の拡大断面図である。 本発明の実施の第二形態例の斜視図である。 本発明の実施の第二形態例の平面図である。 本発明の実施の第二形態例の断面図である。
図1乃至図8は本発明の実施の形態例を示し、図1乃至図5は第一形態例、図6乃至図8は第二形態例である。
図1乃至図5の第一形態例において、1はリングゲージであって、各種の測定器の基準となる基準ゲージ穴2を有するリング状に形成され、合金工具鋼(JIS記号:SKSやSKT)等の鋼材、超硬合金、又は、ジルコニア等のセラミックスにより製作され、リングゲージ1の外周部に保護リング3が配置され、この場合、保護リング3はアルミニウム合金により製作され、着色アルマイト仕上げされ、保護リング3に嵌合凹部3cを形成し、嵌合凹部3cの内周面にリングゲージ1の外周面を、例えば、接着剤により接着固定している。
そして、図4、図5の如く、上記リングゲージ1の底面1aのみが温度管理された定盤Jの表面に直接接触するように、上記保護リング3の底面3aを上記リングゲージ1の底面1aより、例えば、0.1mm〜0.5mmの微少な突出量H分を突出配置して構成している。
また、この場合、図1の如く、上記リングゲージ1の表面1bを上記保護リング3の表面3bより没入配置している。
又、この場合、図1の如く、上記保護リング3の表面3bに基準ゲージ穴2の内径値Dとしての呼び寸法Mが表示され、この場合、内径値Dが10mmのため呼び寸法Mは「呼10」と表示され、かつ、呼び寸法Mと実寸法との誤差値Nが表示され、この場合、実寸法は9.9991mmであるため誤差値Nは「実−0.0009」と表示されている。
Fは測定指標であって、この場合、図1の如く、黒塗り三角印形状のマークに形成され、レーザー印字加工等により形成され、上記保護リング3の表面3bに上記実寸法の測定軸線Xの方向と位置を表示するようにしている。
この場合、図1、図2の如く、上記保護リング3の外周面に、保護リング3を掴持して持ち上げたとき保護リング3の滑り落下を防ぐ二条の環状の滑止凹凸条部4を形成し、滑止凹凸条部4の頂部4a及び底部4bは弧面に形成され、かつ、保護リングの外周面に、定盤J上に載置された保護リング3の外周面を親指及び人差し指で挟むように掴持したとき環状の滑止凹凸条部4の存在による保護リング3の基準ゲージ穴2の軸線方向と直交する水平方向Sの水平滑り飛び出しを防ぐ滑止掴み部5を複数個、この場合、60度の等配上に六個形成している。
この実施の第一形態例は上記構成であるから、図4、図5の如く、リングゲージ1の底面1aを上記保護リング3の底面3aより突出配置しているから、リングゲージ1の底面1aのみが温度管理された定盤Jの表面に直接接触することになり、測定検査室内の温度管理された定盤Jの表面の温度がリングゲージ1に素早く伝わることになり、それだけ、準備作業としての温度慣らし時間の短縮化を図ることができ、リングゲージ1の温度のばらつきを抑えることもでき、ひいては、各種の測定器の零点調整や校正作業の迅速化を図ることができる。
この場合、図1の如く、上記リングゲージ1の表面1bを上記保護リング3の表面3bより没入配置しているから、上記定盤J上にリングゲージ1を逆反転状態に倒置したとしても、リングゲージ1の表面1b及び基準ゲージ穴2は定盤Jに触れることがなく、リングゲージ1の表面1b及び基準ゲージ穴2の損傷を防ぐことができ、取り扱い性を向上することができる。
又、この場合、上記保護リング3の表面3bに上記基準ゲージ穴2の内径値Dとしての呼び寸法M、呼び寸法Mと実寸法との誤差値N及び実寸法の測定軸線Xの方向と位置を示す測定指標Fを表示してなるから、各種の測定器の零点調整等における基準ゲージ穴2の実寸法の写し込み位置を容易に認識することができ、それだけ、零点調整精度、校正精度の向上を図ることができる。
又、この場合、図1の如く、上記保護リング3はアルミニウム合金からなるので、軽量化を図ることができると共に耐食性を向上することができ、また、アルマイト仕上げをすることによって、耐食性及び耐摩耗性の向上並びに装飾性を付加することができる。
又、この場合、上記リングゲージ1は、合金工具鋼、超硬合金、又は、セラミックスからなり、合金工具鋼製のリングゲージ1にあっては、耐衝撃用等に優れ、超硬合金製のリングゲージ1にあっては、耐摩耗性及び長寿命化を図ることができると共に熱膨張係数が小さいので温度による変化が少なく、高硬度のため、表面に傷がつきにくく、ゲージの管理が容易となり、セラミックス製のリングゲージ1にあっては、鋼に比べて耐摩耗性に優れ、経年変化に強く、これにより寸法変化がなく、腐食等の心配がなく、非磁性体のため磁気をおびることがなく、傷や打痕による塑性変化が少なく、軽量で測定や保守管理が容易となる。
この場合、図1、図2の如く、上記保護リング3の外周面に、保護リング3を掴持して持ち上げたとき保護リング3の滑り落下を防ぐ二条の環状の滑止凹凸条部4を形成し、かつ、保護リングの外周面に、定盤J上に載置された保護リング3の外周面を親指及び人差し指で挟むように掴持したとき環状の滑止凹凸条部4の存在による保護リング3の基準ゲージ穴2の軸線方向と直交する水平方向の水平滑り飛び出しを防ぐ滑止掴み部5を複数個形成しているから、保護リング3を掴持して持ち上げたとき、滑止凹凸条部4により保護リング3の滑り落下を防ぐことができ、さらに、複数個の滑止掴み部5を掴持することにより、滑止凹凸条部4の存在による保護リング3の水平滑り飛び出しを防ぐことができる。
この場合、図1、図2の如く、上記滑止凹凸条部4の頂部4a及び底部4bは弧面に形成されているから、滑止凹凸条部4を手で安全に掴持することができ、又、この場合、上記滑止掴み部5は滑止凹凸条部4を凹弧状に切欠した六個の凹弧面6により形成されているから、凹弧面6が指に掛かって掴持し易く、保護リング3を掴持したとき、滑止凹凸条部4の存在による水平滑り飛び出しを確実に防ぐことができる。
図6乃至図8の第二形態例は別例構造を示し、この場合、上記第一形態例の滑止掴み部5にあっては、頂部5a及び底部5bからなる弧面に形成されているのに対し、この場合、図7、図8の如く、上記滑止凹凸条部4を平面状に切欠した八個の平坦面7に形成されている。
この第二形態例にあっては、上記第一形態例と同様な作用効果を得ることができると共に、上記滑止凹凸条部4は平面状に切欠した八個の平坦面7により形成されているので、複数個の滑止凹凸条部4を容易に形成することができる。
尚、本発明は上記実施の形態例に限られるものではなく、リングゲージ1の材質や大きさ、基準ゲージ穴2の大きさ、保護リング3の材質や大きさ、リングゲージ1の底面の上記保護リングの底面からの突出量H、測定指標F、呼び寸法M及び誤差値Nの形態等は適宜変更して設計される。
以上、所期の目的を充分達成することができる。
J 定盤
D 内径値
M 呼び寸法
N 誤差値
F 測定指標
X 測定軸線
1 リングゲージ
1a 底面
1b 表面
2 基準ゲージ穴
3 保護リング
3a 底面
3b 表面
そして、図4、図5の如く、上記リングゲージ1の底面1aのみが温度管理された定盤Jの表面に直接接触するように、上記リングゲージ1の底面1aを上記保護リング3の底面3aより、例えば、0.1mm〜0.5mmの微少な突出量H分を突出配置して構成している。

Claims (5)

  1. 各種の測定器の基準となる基準ゲージ穴を有するリングゲージの外周部に保護リングを配置してなり、上記リングゲージの底面のみが温度管理された定盤の表面に直接接触するように、該リングゲージの底面を上記保護リングの底面より突出配置してなることを特徴とするマスターリングゲージ。
  2. 上記リングゲージの表面を上記保護リングの表面より没入配置してなることを特徴とする請求項1記載のマスターリングゲージ。
  3. 上記保護リングの表面に上記基準ゲージ穴の内径値としての呼び寸法、該呼び寸法と実寸法との誤差値及び該実寸法の測定軸線の方向と位置を示す測定指標を表示してなることを特徴とする請求項1又は2記載のマスターリングゲージ。
  4. 上記保護リングは、アルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマスターリングゲージ。
  5. 上記リングゲージは、合金工具鋼、超硬合金、又は、セラミックスからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマスターリングゲージ。
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