JP2014173497A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加速運転時にノックの発生を抑制し、しかも円滑な加速感が得られる改良された内燃機関の点火時期制御装置を提供することにある。
【解決手段】実点火時期が要求点火時期とずれる過渡運転時においては、ノック判定閾値を下げることによって、あたかもノックが発生したと見做して実点火時期にノックによる遅角補正を行なうことで実点火時期を要求点火時期に近づけるようにした。ノック判定閾値を下げることによって、ノックが発生していない状態であってもノックが発生したと見做して、ノックによる遅角補正を実点火時期に行なうことで、要求点火時期に対して進角されている実点火時期を遅角側に補正することができるので、ノックの発生を効果的に抑制することができるようになる。
【選択図】図8
【解決手段】実点火時期が要求点火時期とずれる過渡運転時においては、ノック判定閾値を下げることによって、あたかもノックが発生したと見做して実点火時期にノックによる遅角補正を行なうことで実点火時期を要求点火時期に近づけるようにした。ノック判定閾値を下げることによって、ノックが発生していない状態であってもノックが発生したと見做して、ノックによる遅角補正を実点火時期に行なうことで、要求点火時期に対して進角されている実点火時期を遅角側に補正することができるので、ノックの発生を効果的に抑制することができるようになる。
【選択図】図8
Description
本発明は内燃機関の点火時期を制御する内燃機関の点火時期制御装置に係り、特に内燃機関の燃焼室内で発生するノックを検出して点火時期を補正する内燃機関の点火時期制御装置に関するものである。
内燃機関の燃焼室内の燃焼状態を把握する手段として内燃機関の振動を検出する振動検出型のノックセンサを用いることが知られている。このノックセンサは内燃機関の振動を検出するものであるが、間接的には燃焼室内の燃焼状態を検出しており、代表的には燃焼状態の変化によって燃焼室内の圧力が過剰に上昇したりして内燃機関が振動するのを検出している。
つまり、燃焼室内の燃焼ガスにより生じる衝撃波の圧力の伝達経路はシリンダヘッドとピストンが考えられるが、一般にシリンダヘッドの燃焼室壁面剛性はピストン系の剛性より高いため、伝達される振動エネルギーの大部分はピストン側からシリンダブロックへ流れており、これを振動センサであるノックセンサで検出しているものである。
一般に、内燃機関の運転中に、内燃機関の異常燃焼の一つであるノックが発生すると、内燃機関の構成やノックの振動モードに応じて、内燃機関に固有周波数帯の振動が発生することが知られている。このため、従来から内燃機関に発生するノックをノックセンサによって検出し、その検出値に基づいて内燃機関の燃焼状態を制御するようにした内燃機関の点火時期制御装置が提案されている。この点火時期制御装置は、内燃機関に発生した固有周波数帯の振動強度を測定することでノックを検出し、内燃機関の点火時期を遅角補正することでノックを抑制するようにしたものである。
内燃機関の固有周波数の振動強度を測定する具体的な方法としては、例えば、特開2002−357156号公報(特許文献1)にあるように、ノックセンサの出力をアナログ回路により構成されるバンドパスフィルタを介してピークホールド回路に入力し、ピークホールド回路により得たバンドパスフィルタ後のピークホールド値に基づいて振動強度を測定する方法や、特開平06−264813号公報(特許文献2)にあるように、ノックセンサの出力をFFT(高速フーリエ変換)等のデジタル信号処理を行い、固有周波数のスペクトル値により振動強度を測定する方法等が提案されている。
内燃機関の点火時期制御装置においては、一般にその点火時期は燃焼室に吸入される空気量と内燃機関のクランク軸の回転数から求められる負荷に基づいた基本点火時期値に、水温に基づいた水温補正値、回転数に基づいた回転数補正値、そして、ノックセンサによるノック補正値等による補正を加味して決められている。そして、このようにして決められた点火時期は点火コイルに流れている一次電流を遮断するために用いられるものである。尚、点火コイルの一次コイルに流れる電流は、負荷や回転数によって通電を始める通電開始角と点火エネルギーである一次電流の流入量を決める通電角で制御されている。
ところで、このような点火時期制御装置においては過渡運転時、特に加速運転を行なった時に強度のノックを生じるという現象が発生することがあった。
この現象を図9に基づき説明する。図9において、定常状態からアクセルペダルを踏み込んで加速運転するとスロットル弁が開かれて、スロットル開度(a)に示すようにその開度は大きく変化することになる。そして、スロットル弁が開かれるため、これに追従して吸入空気量(b)もその量が急速に多くなるように変化する。吸入空気量(b)は負荷を間接的に表し、吸入空気量(b)の変化に合わせて負荷TP(c)も増加方向に変化する。ここで、一般には負荷TPは吸入空気量を回転数で除した値として求められている。このようにして得られた負荷TPと回転数は、制御装置に設けられた、負荷TPと回転数でマッピングされた基本点火時期マップから現時点の基本点火時期値を読み出し、これに上述した各種の補正を行なって最終的な実点火時期値を求めている。
一方、内燃機関は加速運転されたことによって定常状態から加速状態へ素早く変化するようになり、その時点に要求される要求点火時期もこれに合わせて変化することになる。このため、この要求点火時期の変化に合わせて実際の実点火時期を決められれば効率の良い点火時期制御が実行できるようになる。
ところが、実際には吸入空気量を検出する空気量センサの検出遅れ、これに基づく負荷TPの演算遅れ、点火時期の演算遅れ等々の要因から、実際の実点火時期と要求点火時期の間にΔθAdvの乖離が往々にして生じるようになる。例えば、点火時期の演算(センサの検出遅れ等も含めて)が時間に同期した周期(所謂、タイマー割り込み)で行われていると、時間周期で行われている点火時期の演算の間で加速運転によって内燃機関の状態量が大きく異なるように変化し、前の周期の点火時期の演算で用いた状態量と、次の周期の点火時期の演算で用いる状態量と大きく異なるようになる。このため、前の周期で求めた点火時期では次の周期で要求される点火時期と異なるようになる。尚、この点火時期の乖離は演算による遅れだけではなく種々の要因も関与している。
実際の実点火時期と要求点火時期の乖離状態を点火時期(d)で示しているが、破線で示す点火時期が加速状態で要求される要求点火時期であり、実線で示す点火時期が実際に点火される実点火時期である。この点火時期(d)にあるように、加速運転においては破線で示す要求点火時期の変化に対して実点火時期は遅れて変化する挙動を呈するようになる。このように、要求点火時期に対して実点火時期が乖離しているため、特に要求点火時期より実点火時期が進角している状態では、強度のノックが生じるという現象があった。
そして、このノックが生じるとノックの発生、強度を表すノック指数(f)が大きくなり、このノック指数(f)がノック判定閾値(e)の値を越えると、ノック判定Flag(g)が「1」となりノックの発生を検出することになる。このノック判定Flag(g)の数が多いほどノックが頻繁に発生していることを示している。
したがって、このノックの発生によって点火時期は楕円の破線枠で示すように所定の遅角補正量で徐々に遅角側に補正されていき、ノックの発生がなくなると所定の進角補正量で徐々に進角されて通常の点火時期に復帰されるようになる。そして、このノックが発生した時の遅角補正量はノックを早期に回避するため比較的大きな値に設定されており、内燃機関の出力もこれに合わせて低下することになる。
このため、加速運転のような過渡運転時にノックが発生すると内燃機関の出力の低下を招くことで内燃機関の効率が低下すると共に、ノックを早期に回避するためのノック補正が実施されることによって本来要求される円滑な加速運転感を得られないといった現象が発生することになる。
このような加速運転時のノックを避けるためには、加速運転時にノックが生じないように最終の実点火時期の進角量を小さな値に設定するといったことが考えられるが、進角量を小さくすると加速運転時の内燃機関の出力が低下して十分な加速感が得られない課題がある。また、加速運転の検出と同時に最終の実点火時期を遅角側に移行させる制御も考えられるが、種々の運転状態の下での加速に対して遅角する時期とその遅角量を最適に合せることは非常に難しいという課題がある。つまり、或る運転領域からの加速運転で遅角する時期とその遅角量を満足しても、他の運転領域からの加速運転で遅角する時期とその遅角量を満足することができないものである。
本発明の目的は、加速運転時にノックの発生を抑制し、しかも円滑な加速感が得られる改良された内燃機関の点火時期制御装置を提供することにある。
本発明の特徴は、実点火時期が要求点火時期とずれる過渡運転時においては、ノック判定閾値を下げることによって、あたかもノックが発生したと見做して実点火時期に所定の遅角補正量を反映させる遅角補正を行なうことで実点火時期を要求点火時期に近づけるようにした、ところにある。更に好ましくは、所定の遅角補正量は実際のノックが生じた時に使用される遅角補正量より小さく設定されている、ところにある。
本発明によれば、ノック判定閾値を下げることによって、ノックが発生していない状態であってもあたかもノックが発生したと見做して、遅角補正を行うことで要求点火時期に対して進角されている実点火時期を遅角側に補正することができるようになってノックの発生を効果的に抑制することができるようになる。また、このときの所定の遅角補正量は出力低下が少なくなる値に設定されているので、円滑な加速感が得られるものである。
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
図1は本発明が適用される内燃機関の制御システムを示している。多気筒(ここでは4気筒)で構成される内燃機関1において、外部からの空気はエアクリーナ2を通過し、吸気管3、コレクタ4を経てシリンダー内に流入する。流入空気量はスロットル弁5により調節され、この調節された流入空気量が流量センサ6において検出される。また、図示しない吸気温センサで吸気温が検出される。スロットル弁5は電動機で駆動される電子スロットル弁でも良いものであり、最近ではこの電子スロットル弁が主流である。
クランク角センサ7ではリングギア8によってクランク軸の所定回転角、例えば10゜毎の信号と燃焼周期毎の信号が出力される。水温センサ30は内燃機関の冷却水温度を検出し、また、図示しないアクセル踏み込み量センサはアクセルの踏み込み量を検出し、それによって運転者の要求トルクを検出する。このアクセル踏み込み量センサの出力は制御装置18によって電子スロットル弁5の開度に変換され、これに基づいて電子スロットル弁5が制御される。
本実施例ではアクセル踏み込み量センサの信号を用いて加速運転の判断を行なうように構成されている。アクセル踏み込み量センサは運転者の運転操作の意図を最も早く反映させることができるので、加速運転の判断に用いるのが望ましいものである。
燃料タンク9内の燃料は、燃料ポンプ10によって、吸引、加圧された後、プレッシャーレギュレータ11を備えた燃料配管12を通って燃料噴射弁13の燃料入口に導かれると共に、余分な燃料は燃料タンク9に戻される。
内燃機関の燃焼状態を直接或いは間接的に把握(これは検知する概念も含む)するため、内燃機関の機械的振動を計測する振動検出型のノックセンサ14が内燃機関1の適宜位置(通常はシリンダブロック)に備えられている。このノックセンサ14は非共振型のノックセンサであり、広い周波数帯域にわたって振動を検出することができるものである。
排気系には三元触媒15が取り付けられており、排気ガスは三元触媒15で浄化された後に大気に排出される。三元触媒15の上流には上流側空燃比センサ16が設けられており、本実施例では上流側空燃比センサ16として空燃比に応じて連続的な検出信号を出力する空燃比センザ16が使用されている。また、三元触媒15の下流には下流側空燃比センサ17が設けられており、本実施例では下流側空燃比センサ17として理論空燃比近傍でスイッチ的な検出信号を出力するO2センサ17が設けられている。
スロットル弁5に取り付けられたスロットル開度センサ、流量センサ6、クランク角センサ7、アクセル踏み込み量センサ、吸気温センサ、水温センサ30、ノックセンサ14等のそれぞれの信号は後述の制御装置18に送られ、これらセンサ出力から内燃機関の運転状態を検出し、空気量、燃料噴射量、点火時期等の内燃機関の主要な操作量が適切に演算されるものである。
制御装置18内で演算された目標空気量は、目標スロットル開度から電子スロットル駆動信号に変換され、スロットル弁5を駆動する電動機に送られる。また、制御装置18内で演算された燃料噴射量は、開弁パルス信号に変換され、燃料噴射弁(インジェクタ)13に送られる。更に、制御装置18で演算された点火時期は、通電開始角と通電角に変換された点火信号として点火コイル19に送られ点火プラグ20で発火される。
そして、燃料噴射弁13から噴射された燃料は吸気マニホールドからの空気と混合され内燃機関1のシリンダー内に流入して混合気を形成する。混合気は点火プラグ20によって所定の点火時期で発生される火花により燃焼、爆発し、その燃焼圧によりピストンを押し下げて内燃機関の動力となる。爆発後の排気は排気管21を経て三元触媒15に送り込まれる。
三元触媒15の上流に設けた空燃比センサ16は触媒に流入する前の排気ガスの空燃比を検出し、三元触媒15の下流に設けたO2センサ17は触媒で浄化された排気ガスの空燃比を検出するものである。これによって検出された空燃比は燃料噴射弁13から噴射される燃料の量を補正するのに使用される。
制御装置18には、空気流量センサ6、触媒上流側の空燃比センサ16、触媒下流側のO2センサ17、アクセル踏み込み量センサ、水温センサ30、スロットル開度センサ、吸気温センサ、ノックセンサ14等の各センサ出力値がアナログ入力部22に入力されている。また、クランク角センサ7の角度信号等のディスクリート信号はデジタル入力部23に入力されている。
アナログ入力部22に入力されたセンサ信号はノイズ除去等の信号処理を行った後、A/D変換器24でA/D変換されてRAM25に保管される。同様にデジタル入力部23に入力された角度信号は入出力ポート26を介してこれもRAM25に保管される。RAM25に保管された検出信号はMPU27内で演算処理される。MPU27は各種の制御信号を生成するための演算を実行するものである。
演算処理の内容を記述した制御プログラムはROM28に予め書き込まれており、制御プログラムに従ってMPU27で演算された各アクチュエータの作動量を表す制御値はRAM25に保管された後、入出力ポート26に送られる。
点火プラグ20の作動信号は出力回路29内の点火制御部に送られ、一次側コイルの通流時はONとなり、非通流時はOFFとなるON-OFF信号がセットされる。点火制御部にセットされた点火信号は点火コイル19で点火プラグ20を発火させるのに必要なエネルギーに増幅され点火プラグ20に供給される。
また、燃料噴射弁13の駆動信号は出力回路29内の燃料制御部に送られ、開弁時ON、閉弁時OFFとなるON-OFF信号がセットされる。燃料制御部にセットされた噴射信号は燃料噴射弁13に送られる。その他の制御機器も同様にして駆動される。
以上のような制御システムは基本的には良く知られているものであるのでこれ以上の説明は省略するが、図1で示した制御装置18が実行する制御機能の内で、燃料制御機能と点火制御機能を実行する制御ブロックを図2に示している。
図2において、制御装置18には燃料噴射制御ブロック40と点火制御ブロック41とが設けられている。これらのブロックは実際には制御装置18に設けられたMPU27で実行される機能を表している。
燃料噴射制御ブロック40には冷却水温情報生成部42、負荷情報生成部43、空気量情報生成部44、回転数情報生成部45、クランク角度情報生成部46、気筒判別情報生成部47からの各情報が入力されている。この燃料噴射制御ブロック40はこれらの入力情報から予め定めた演算式に基づいて燃料噴射弁13から噴射される燃料の噴射量と噴射時期を演算し、燃料噴射弁13から吸気マニホールドに燃料を噴射するものである。
点火時期制御ブロック41には冷却水温情報生成部42、負荷情報生成部43、回転数情報生成部45、クランク角度情報生成部46、気筒判別情報生成部47からの各情報が入力されている。この点火時期制御ブロック41はこれらの入力情報から予め定めた演算式に基づいて、点火コイル19の一次電流を流し込む時期(通電開始時期)とその通電量(通電角)及び一時電流を遮断する点火時期を演算するものである。これらの通電開始時期と通電角及び点火時期によって点火コイル19の一次電流が制御されるようになっているものである。
更に、この点火時期制御ブロック41にはノック制御ブロック48からのノック補正情報が入力されており、これによってノックが生じた時に点火時期を遅角するように遅角補正が実行される。本実施例においては、ノック制御ブロック48にはノック情報生成部49、加速状態情報生成部50からの情報が入力されており、これらの入力に基づいてノック制御ブロック48でノックの発生を検出している。ノックが生じた時の遅角すべき遅角補正値は点火時期制御ブロックで演算している。この演算された遅角補正値は点火時期制御ブロック41で最終的な実点火時期の演算に使用されるようになる。ここで、ノック制御ブロック48と点火時期制御ブロック41とは分けて記載しているが、同一の機能ブロックとして扱っても良いものである。この点火時期制御ブロック41で演算される点火時期は、例えば次の演算式で求められる。すなわち、最終的な実点火時期値は、
『最終な実点火時期値=基本点火時期値+補正点火時期値』
で決められる。
『最終な実点火時期値=基本点火時期値+補正点火時期値』
で決められる。
そして、基本点火時期値は空気量センサ6で得られた空気量とクランク角センサ7から得られた回転数をもとに、制御装置18のROM28に格納された基本点火時期値マップから最適な基本点火時期値が選択されて得られるようになっている。また、補正点火時期値は、各種センサの検出信号によりその時の内燃機関の運転状態に応じて適切な補正進角値、或いは補正遅角値が求められるもので、これには各種の補正値がある。
この補正値として、例えば、暖機補正値があり、これは冷却水温が低いときは運転状態に応じて点火時期を進角して運転性を向上するものである。また、アイドル安定化補正があり、これはアイドル回転数が低くなると点火時期を進角し、回転数が高くなると遅角してアイドル回転数の安定化をはかるものである。また、フューエルカット復帰時補正値があり、これはフューエルカット復帰時に点火時期を遅角させてトルクショックを軽減するものである。更に、ノック遅角補正値があり、ノックが発生するとノックセンサからの信号により点火時期を遅角側に補正してノックを回避するものである。
そして、本発明が対象とするノック補正については図3〜図5にあるように特徴的なノック判定閾値と遅角補正値が準備されている。
図3に示すように、ノック判定閾値では(1)定常状態の運転時に使用される定常ノック判定閾値SL1であり、もう一つは(2)加速運転のような過渡状態の運転時に使用される過渡運転時のノック判定閾値(以下、これを過渡ノック判定閾値と呼ぶ)SL2、SL3である。過渡ノック判定閾値SL2は急加速の時に使用されるものであり、過渡ノック判定閾値SL3は緩加速の時に使用されるものである。ここで、定常状態の運転とは回転数や負荷が比較的安定して継続している状態を意味し、過渡状態の運転とは回転数や負荷が他の状態に移行する状態を意味している。
そして、この過渡ノック判定閾値SL2、SL3は実際に内燃機関ではノックを生じていないにも拘わらず、あたかもノックが発生していると擬似的に判断するためのノック判定閾値である。したがって、加速運転時に実際にノックが発生していないにも拘らずノックによる遅角補正が行われていると、この特徴的な制御が行われているとみなすことができる。
上述した定常ノック判定閾値SL1と過渡ノック判定閾値SL2、SL3は制御装置18のROM28にノック判定閾値テーブルSLTable1、SLTable2、及びSLTable3として記憶されており、夫々運転状態に応じて読み出されて使用されるものである。
これらのノック判定閾値テーブルSLTable1、SLTable2、及びSLTable3は回転数に対してノック判定閾値SL1〜SL3が大きくなるように決められている。つまり、回転数が高くなると内燃機関の機械的な振動が大きくなり、ノックの誤検出を生じる恐れがあるためである。このため、振動の増加、言い換えれば回転数の増加に合わせてノック判定閾値SL1〜SL3を大きくするようにしてノックの誤検出を回避するようにしている。
また定常ノック判定閾値SL1、過渡ノック判定閾値SL2、SL3は図4にあるように判定閾値の大きさが異なっており、定常ノック判定閾値SL1、過渡ノック判定閾値SL3、過渡ノック判定閾値SL2の順序でその大きさが決められている。
過渡ノック判定閾値SL2を最も小さくした理由は、急加速の時に実点火時期が要求点火時期より大きく進角する現象が生じてノックが発生し易いため、早期に点火時期に遅角補正を施す必要があるためである。これによって、効果的にノックの発生を事前に抑制することが可能となる。一方、過渡ノック判定閾値SL3を過渡ノック判定閾値SL2より大きくした理由は、緩加速の時では内燃機関の状態量変化がそれほど大きくないため、実点火時期が要求点火時期より大きく進角する現象がそれほど生じないからである。これによって、緩加速の時の遅角補正をできるだけ少なくして内燃機関の出力の低下を抑制することができる。
次に、遅角補正値は図5にあるように、(1)定常状態の運転時に使用される定常遅角補正値ΔθK1と、(2)加速運転のような過渡運転時に使用される過渡運転時の遅角補正値ΔθK2(以下、これを過渡遅角補正値と呼ぶ)が使用される。この過渡遅角補正値ΔθK2は実際に内燃機関でノックを生じている時に使用される定常遅角補正値ΔθK1に比べてその値が小さく設定されているものである。定常運転の時に使用される定常遅角補正値ΔθK1はノックを早期に抑制するために比較的大きな値に設定されているが、過渡運転時に使用される過渡遅角補正値ΔθK2は、そもそもノックが生じていない時にあたかもノックが生じていると判断して使用されるものであるため、出力の低下をできるだけ少なくするために小さな値に設定されている。上述した遅角補正値ΔθK1、ΔθK2は制御装置18のROM28に遅角補正値テーブルとして記憶されており、運転状態(定常状態或いは加速状態)に応じて読み出されて使用されるものである。
次に、上述したノック制御ブロック48の具体的な制御フローについて説明するが、図6A、図6Bに示すノック判定閾値選択フローは定常ノック判定閾値と過渡ノック判定閾値の切り換えを説明するものである。この切り替えられたノック判定閾値を用いてこの制御フローの中でノック判定及び点火時期制御を行っても良いし、また別に起動されるノック判定及び点火時期制御フローで、図6A、図6Bのノック判定閾値選択フローによって選択されたノック判定閾値を使用してノック判定及び点火時期を制御しても良いものである。本実施例では別に起動される図7A、図7Bにあるようなノック判定及び点火時期制御フローでノック判定閾値を使用して点火時期制御を行う場合を示している。
ここで、上述したように本実施例においてノック判定閾値は(1)定常ノック判定閾値SL1と、(2)急加速の時に使用される第1過渡ノック判定閾値SL2、(3)緩加速の時に使用される第2過渡ノック判定閾値SL3が用いられるもので、図3にあるような夫々のテーブルSLTableに記憶されている。そして、定常ノック判定閾値SL1はノック判定閾値テーブルSLTable1に記憶され、第1過渡ノック判定閾値SL2はノック判定閾値テーブルSLTable2に記憶され、第2過渡ノック判定閾値SL3はノック判定閾値テーブルSLTable3に記憶されているものとする。各ノック判定閾値の大きさは、定常ノック判定閾値>第2過渡ノック判定閾値>第1過渡ノック判定閾値の大小関係を与えられている。
また、本実施例において遅角補正値ΔθKは(1)定常遅角補正値ΔθK1と、(2)加速の時に使用される過渡遅角補正値ΔθK2が用いられるもので、図5にあるようなテーブルに記憶されている。そして、各遅角補正値ΔθKの大きさは、定常遅角補正値ΔθK1>過渡遅角補正値ΔθK2の大小関係を与えられている。
次に各ステップ毎にその説明を行うことにするが、このノック判定閾値選択フローは所定の時間周期で実行されるものとして説明するが、これに限らずクランクセンサ7によって生成される角度信号に同期して起動されるようにしても良いものである。そして、本実施例においては所定の時間が到来する毎に以下のステップが実行される。尚、ノック判定閾値選択フロー及び図7A、図7Bにあるようなノック判定及び点火時期制御フローによる、点火時期、ノック指数、ノック判定閾値等の時間的な変化については図8でまとめて説明することにする。
≪ステップS601≫
このステップS601では加速判定をしているかどうかを判断しており、加速判定していなければ定常状態の運転が継続しているとしてステップS602に進み、加速判定していれば加速状態に移行したとしてステップS603に進む。加速判定は、アクセル踏み込み量センサの踏み込み速度、スロットル弁5の開き速度、エアフローセンサ6の時間的変化量等から判定できるが、本実施例ではアクセル踏み込み量センサの踏み込み速度から加速判定を行っている。このようにアクセル踏み込み量センサの踏み込み速度を用いるのが最も早く運転者の意図を反映することができるので、制御の遅れに対して有効にこれを短くする効果が期待できるものである。尚、本実施例ではアクセル踏み込み量センサを使用しているが、これに限ることなく、上述したスロットル弁5の開き速度、エアフローセンサ6の時間的変化量等を用いても加速判定自体は行えるものである。要は加速判定ができれば良いものである。
このステップS601では加速判定をしているかどうかを判断しており、加速判定していなければ定常状態の運転が継続しているとしてステップS602に進み、加速判定していれば加速状態に移行したとしてステップS603に進む。加速判定は、アクセル踏み込み量センサの踏み込み速度、スロットル弁5の開き速度、エアフローセンサ6の時間的変化量等から判定できるが、本実施例ではアクセル踏み込み量センサの踏み込み速度から加速判定を行っている。このようにアクセル踏み込み量センサの踏み込み速度を用いるのが最も早く運転者の意図を反映することができるので、制御の遅れに対して有効にこれを短くする効果が期待できるものである。尚、本実施例ではアクセル踏み込み量センサを使用しているが、これに限ることなく、上述したスロットル弁5の開き速度、エアフローセンサ6の時間的変化量等を用いても加速判定自体は行えるものである。要は加速判定ができれば良いものである。
≪ステップS602≫
ステップS601で加速判定していないと判断されると、この状態は定常状態であるからノック判定閾値テーブルSLTable1から定常ノック判定閾値SL1を読み出し、ノック判定に利用される。このノック判定は後で説明する点火時期制御で行なわれる。この定常ノック判定閾値SL1は回転数によって値が異なっているので、この制御フローが起動された時の回転数によってノック判定閾値テーブルSLTable1から選択されるものである。
ステップS601で加速判定していないと判断されると、この状態は定常状態であるからノック判定閾値テーブルSLTable1から定常ノック判定閾値SL1を読み出し、ノック判定に利用される。このノック判定は後で説明する点火時期制御で行なわれる。この定常ノック判定閾値SL1は回転数によって値が異なっているので、この制御フローが起動された時の回転数によってノック判定閾値テーブルSLTable1から選択されるものである。
≪ステップS603≫
ステップS601で加速状態と判定されると、その加速状態がどの程度の加速状態であるかどうかをこのステップで判定している。この場合、アクセル踏み込み量センサの単位時間当たりの踏み込み量を検出し、この踏み込み量が所定の値以上かどうかで加速度合いを判定している。単位時間当たりの踏み込み量が第1の所定の値以上だと急加速と判断し、単位時間当たりの踏み込み量が第1の所定の値以下だと緩加速と判断するようにしている。この判断で緩加速と判断されればステップS604に進んで更に加速状態の判断がなされる。
ステップS601で加速状態と判定されると、その加速状態がどの程度の加速状態であるかどうかをこのステップで判定している。この場合、アクセル踏み込み量センサの単位時間当たりの踏み込み量を検出し、この踏み込み量が所定の値以上かどうかで加速度合いを判定している。単位時間当たりの踏み込み量が第1の所定の値以上だと急加速と判断し、単位時間当たりの踏み込み量が第1の所定の値以下だと緩加速と判断するようにしている。この判断で緩加速と判断されればステップS604に進んで更に加速状態の判断がなされる。
≪ステップS604≫
このステップS604は、ステップS603で緩加速と判断されたが、この緩加速が本当に緩加速かどうかを判断している。このため、単位時間当たりの踏み込み量が第2の所定の値以上だと最終的に緩加速と判断し、単位時間当たりの踏み込み量が第2の所定の値以下だと加速状態にないと判断してステップS602に進む。ステップS603で使用した第1の所定の値と、このステップで使用した第2の所定の値の関係は、第1の所定の値>第2の所定の値の関係を有している。
このステップS604は、ステップS603で緩加速と判断されたが、この緩加速が本当に緩加速かどうかを判断している。このため、単位時間当たりの踏み込み量が第2の所定の値以上だと最終的に緩加速と判断し、単位時間当たりの踏み込み量が第2の所定の値以下だと加速状態にないと判断してステップS602に進む。ステップS603で使用した第1の所定の値と、このステップで使用した第2の所定の値の関係は、第1の所定の値>第2の所定の値の関係を有している。
≪ステップS605≫
このステップS605は、急加速状態の時に使用されるノック判定閾値を選択するものであり、ステップS604で急加速と判断されるとこの処理が実行されるものである。図3に示されるノック判定閾値テーブルSLTable2から第1過渡ノック判定閾値SL2を選択してノック判定に利用されるようになる。この第1過渡ノック判定閾値SL2は回転数によって値が異なっているので、この制御フローが起動された時の回転数によってノック判定閾値テーブルSLTable2から選択されるものである。
このステップS605は、急加速状態の時に使用されるノック判定閾値を選択するものであり、ステップS604で急加速と判断されるとこの処理が実行されるものである。図3に示されるノック判定閾値テーブルSLTable2から第1過渡ノック判定閾値SL2を選択してノック判定に利用されるようになる。この第1過渡ノック判定閾値SL2は回転数によって値が異なっているので、この制御フローが起動された時の回転数によってノック判定閾値テーブルSLTable2から選択されるものである。
この第1過渡ノック判定閾値SL2は実際にはノックは発生していないにも拘わらず、急加速時にあたかもノックが生じていると擬似的に判定するものである。もちろん、この場合、第1過渡ノック判定閾値SL2は実際にノックが生じる前の振動を評価するように、また頻繁にノックを検出して過剰な遅角補正が行われないように適切な値に設定されている。これによって、急加速時の実際のノックの発生を予防し、かつ出力の低下をできるだけ少なくすることができるようになる。また、この第1過渡ノック判定閾値SL2は急加速時の所定の期間の間だけ使用されるようになっている。この所定期間については後述する。
≪ステップS606≫
このステップS606は、緩加速状態の時に使用されるノック判定閾値を選択するものであり、ステップS604で緩加速と判断されるとこの処理が実行されるものである。図3に示されるノック判定閾値テーブルSLTable3から第2過渡ノック判定閾値SL3を選択してノック判定に利用される。この第2過渡ノック判定閾値SL3も回転数によって値が異なっているので、この制御フローが起動された時の回転数によってノック判定閾値テーブルSLTable3から選択されるものである。
このステップS606は、緩加速状態の時に使用されるノック判定閾値を選択するものであり、ステップS604で緩加速と判断されるとこの処理が実行されるものである。図3に示されるノック判定閾値テーブルSLTable3から第2過渡ノック判定閾値SL3を選択してノック判定に利用される。この第2過渡ノック判定閾値SL3も回転数によって値が異なっているので、この制御フローが起動された時の回転数によってノック判定閾値テーブルSLTable3から選択されるものである。
また、この第2過渡ノック判定閾値SL3も第1過渡ノック判定閾値SL2と同様に、実際にノックが生じる前の振動を評価するように、また頻繁にノックを検出して過剰な遅角補正が行われないように適切な値に設定されている。これによって、緩加速時の実際のノックの発生を予防し、かつ出力の低下をできるだけ少なくすることができるようになる。また、この第2過渡ノック判定閾値SL3は緩加速時の所定の期間の間だけ使用されるようになっている。この所定期間については後述する。
≪ステップS607≫
このステップS607は、第1過渡ノック判定閾値SL2を使用する第1の所定の期間を設定するものである。この所定の期間を設定した理由は、急加速運転中の全域に亘って第1過渡ノック判定閾値SL2を使用すると、ノック判定閾値の値が低いので絶えずノック検出を行なうことになってしまうことで、点火時期が遅れ方向に移行して適正な出力が出せず円滑な加速感が得られなくなるという現象を回避するためである。このため、急加速の開始から所定の期間だけ遅角補正を行なうことで、ノックの発生を事前に予防し、その後の出力の低下を無くして出力の確保を図るようにしている。このため、ステップS607では所定の期間だけ第1過渡ノック判定閾値SL2を用いるようにしている。この所定の期間は加速開始からの積算時間であっても良いし、点火の積算回数であっても良いものである。このステップS607で所定の期間が経過するとステップ609に進むようになる。この第1の所定期間は後述する第2の所定期間より長い値に設定されている。このように急加速ほど実点火時期と要求点火時期の乖離している期間が長くなるのでこのような設定を行っている。これによって、効果的にノックの発生を事前に抑制することが可能となる
≪ステップS608≫
このステップS608は、第2過渡ノック判定閾値SL3を使用する第2の所定の期間を設定するものである。この所定の期間を設定した理由は、ステップS607と同様に緩加速運転中の全域に亘って第2過渡ノック判定閾値SL3を使用すると、判定閾値が低いので絶えずノック検出を行なうことになってしまうことで、点火時期が遅れ方向に移行して適正な出力が出せず円滑な加速感が得られなくなるという現象を回避するためである。
このステップS607は、第1過渡ノック判定閾値SL2を使用する第1の所定の期間を設定するものである。この所定の期間を設定した理由は、急加速運転中の全域に亘って第1過渡ノック判定閾値SL2を使用すると、ノック判定閾値の値が低いので絶えずノック検出を行なうことになってしまうことで、点火時期が遅れ方向に移行して適正な出力が出せず円滑な加速感が得られなくなるという現象を回避するためである。このため、急加速の開始から所定の期間だけ遅角補正を行なうことで、ノックの発生を事前に予防し、その後の出力の低下を無くして出力の確保を図るようにしている。このため、ステップS607では所定の期間だけ第1過渡ノック判定閾値SL2を用いるようにしている。この所定の期間は加速開始からの積算時間であっても良いし、点火の積算回数であっても良いものである。このステップS607で所定の期間が経過するとステップ609に進むようになる。この第1の所定期間は後述する第2の所定期間より長い値に設定されている。このように急加速ほど実点火時期と要求点火時期の乖離している期間が長くなるのでこのような設定を行っている。これによって、効果的にノックの発生を事前に抑制することが可能となる
≪ステップS608≫
このステップS608は、第2過渡ノック判定閾値SL3を使用する第2の所定の期間を設定するものである。この所定の期間を設定した理由は、ステップS607と同様に緩加速運転中の全域に亘って第2過渡ノック判定閾値SL3を使用すると、判定閾値が低いので絶えずノック検出を行なうことになってしまうことで、点火時期が遅れ方向に移行して適正な出力が出せず円滑な加速感が得られなくなるという現象を回避するためである。
このため、緩加速の開始から所定の期間だけ遅角補正を行なうことで、ノックの発生を事前に予防し、その後の出力の低下を無くして出力の確保を図るようにしている。このため、ステップS608では所定の期間だけ第2過渡ノック判定閾値SL3を用いるようにしている。この所定の期間は加速開始からの積算時間であっても良いし、点火の積算回数であっても良いものである。このステップS608で所定の期間が経過するとステップ610に進むようになる。また、ステップS607で説明したように、第2の所定期間は第1の所定期間より短い値に設定されている。このように緩加速では状態量の変化がそれほど大きくないので実点火時期と要求点火時期の乖離している期間が短くなるのでこのような設定を行っている。
≪ステップS609≫
このステップ609は、ステップ608で所定の期間が経過した後に実行されるもので、今まで設定されていた第1過渡ノック判定閾値SL2を定常ノック判定閾値SL1に置き換える処理であり、ノック判定閾値テーブルSLTable1から定常ノック判定閾値SL1を選択するものである。この処理を行うことによって、所定の期間後は通常の点火時期制御を実行できるようになる。これによって本来のノック補正が行われるようになり、点火時期が遅れ方向に移行して適正な出力が出せず円滑な加速感が得られなくなるという現象を回避することができるようになる。
このステップ609は、ステップ608で所定の期間が経過した後に実行されるもので、今まで設定されていた第1過渡ノック判定閾値SL2を定常ノック判定閾値SL1に置き換える処理であり、ノック判定閾値テーブルSLTable1から定常ノック判定閾値SL1を選択するものである。この処理を行うことによって、所定の期間後は通常の点火時期制御を実行できるようになる。これによって本来のノック補正が行われるようになり、点火時期が遅れ方向に移行して適正な出力が出せず円滑な加速感が得られなくなるという現象を回避することができるようになる。
≪ステップS610≫
このステップ610は、ステップ609で所定の期間が経過した後に実行されるもので、今まで設定されていた第2過渡ノック判定閾値SL3を定常ノック判定閾値SL1に置き換える処理であり、ノック判定閾値テーブルSLTable1から定常ノック判定閾値SL1を選択するものである。ステップS609と同様に、この処理を行うことによって、所定の期間後は通常の点火時期制御を実行できるようになる。これによって本来のノック補正が行われるようになり、点火時期が遅れ方向に移行して適正な出力が出せず円滑な加速感が得られなくなるという現象を回避することができるようになる。
このステップ610は、ステップ609で所定の期間が経過した後に実行されるもので、今まで設定されていた第2過渡ノック判定閾値SL3を定常ノック判定閾値SL1に置き換える処理であり、ノック判定閾値テーブルSLTable1から定常ノック判定閾値SL1を選択するものである。ステップS609と同様に、この処理を行うことによって、所定の期間後は通常の点火時期制御を実行できるようになる。これによって本来のノック補正が行われるようになり、点火時期が遅れ方向に移行して適正な出力が出せず円滑な加速感が得られなくなるという現象を回避することができるようになる。
以上に説明した制御フローによってノック判定に使用される、定常運転時の定常ノック判定閾値SL1、第1過渡ノック判定閾値SL2、第2ノック判定閾値SL3の設定が行われるようになる。
次に、上述したノック判定閾値を使用してノック判定及び点火時期を制御する点火時期制御フローを図7A、図7Bを用いて説明する。この制御フローは所定の時間周期、例えば10msで実行されるものとして説明する。
≪ステップS701≫
このステップS701は、内燃機関に設けられた各種センサから内燃機関の作動に起因する状態量を検出するものであり、検出された状態量はMPU27によって各種の制御機能の演算に使用される。このステップでは点火時期を求めるために必要な状態量を検出しており、代表的には冷却水温情報、空気流量情報、回転数情報、クランク角情報、気筒判別情報等がある。
このステップS701は、内燃機関に設けられた各種センサから内燃機関の作動に起因する状態量を検出するものであり、検出された状態量はMPU27によって各種の制御機能の演算に使用される。このステップでは点火時期を求めるために必要な状態量を検出しており、代表的には冷却水温情報、空気流量情報、回転数情報、クランク角情報、気筒判別情報等がある。
≪ステップS702≫
このステップS702ではステップS701で得られた空気量と回転数とから負荷TPを求め、この負荷TPと回転数とから基本点火時期値θAdvを求めるものである。基本点火時期値θAdvは負荷TPと回転数を軸とする基本点火時期マップから選択して求められるものであり、この基本点火時期値θAdvに対して各種の補正が行われるものである。
このステップS702ではステップS701で得られた空気量と回転数とから負荷TPを求め、この負荷TPと回転数とから基本点火時期値θAdvを求めるものである。基本点火時期値θAdvは負荷TPと回転数を軸とする基本点火時期マップから選択して求められるものであり、この基本点火時期値θAdvに対して各種の補正が行われるものである。
≪ステップS703≫
このステップS703は、ステップ701で検出された各種センサの検出情報から基本点火時期値θAdvを補正する補正値ΔθHoseiを求めるものである。この補正値ΔθHoseiとして、例えば、暖機補正値があり、これは冷却水温が低いときは運転状態に応じて点火時期を進角して運転性を向上するものである。また、アイドル安定化補正があり、これはアイドル回転数が低くなると点火時期を進角し、回転数が高くなると遅角してアイドル回転数の安定化を計るものである。また、フューエルカット復帰時補正値があり、これはフューエルカット復帰時に点火時期を遅角させてトルクショックを軽減するものである。これらの補正値ΔθHoseiは最終的に基本点火時期値θAdvに加算されて最終的な実点火時期として用いられる。
このステップS703は、ステップ701で検出された各種センサの検出情報から基本点火時期値θAdvを補正する補正値ΔθHoseiを求めるものである。この補正値ΔθHoseiとして、例えば、暖機補正値があり、これは冷却水温が低いときは運転状態に応じて点火時期を進角して運転性を向上するものである。また、アイドル安定化補正があり、これはアイドル回転数が低くなると点火時期を進角し、回転数が高くなると遅角してアイドル回転数の安定化を計るものである。また、フューエルカット復帰時補正値があり、これはフューエルカット復帰時に点火時期を遅角させてトルクショックを軽減するものである。これらの補正値ΔθHoseiは最終的に基本点火時期値θAdvに加算されて最終的な実点火時期として用いられる。
≪ステップS704≫
このステップS704は、加速状態がどの程度の加速状態であるかどうかを判断している。この場合、アクセル踏み込み量センサの単位時間当たりの踏み込み量を検出し、この踏み込み量が所定の値以上かどうかで加速度合いを判定している。単位時間当たりの踏み込み量が第1の所定の値以上だと急加速と判断し、単位時間当たりの踏み込み量が第1の所定の値以下だと緩加速と判断するようにしている。この判断で緩加速と判断されればステップS705に進んで更に加速状態の判断がなされる。このステップは図6Aに示したステップS603と兼用しても良く、点火時期制御フロー或いはノック判定制御フローの一方で加速状態を検出して記憶しておき、他方の制御フローで用いるようにしても良い。
このステップS704は、加速状態がどの程度の加速状態であるかどうかを判断している。この場合、アクセル踏み込み量センサの単位時間当たりの踏み込み量を検出し、この踏み込み量が所定の値以上かどうかで加速度合いを判定している。単位時間当たりの踏み込み量が第1の所定の値以上だと急加速と判断し、単位時間当たりの踏み込み量が第1の所定の値以下だと緩加速と判断するようにしている。この判断で緩加速と判断されればステップS705に進んで更に加速状態の判断がなされる。このステップは図6Aに示したステップS603と兼用しても良く、点火時期制御フロー或いはノック判定制御フローの一方で加速状態を検出して記憶しておき、他方の制御フローで用いるようにしても良い。
≪ステップS705≫
このステップS705は、ステップS704で緩加速と判断されたが、この緩加速が本当に緩加速かどうかを判断している。このため、単位時間当たりの踏み込み量が第2の所定の値以上だと最終的に緩加速と判断し、単位時間当たりの踏み込み量が第2の所定の値以下だと加速状態にないと判断してステップS706に進む。ステップS705で使用した第1の所定の値と、このステップで使用した第2の所定の値の関係は、第1の所定の値>第2の所定の値の関係を有していることはいうまでもない。このステップも図6Aに示したステップS604と兼用しても良く、点火時期制御フロー或いはノック判定制御フローの一方で加速状態を検出して記憶しておき、他方の制御フローで用いるようにしても良い。
このステップS705は、ステップS704で緩加速と判断されたが、この緩加速が本当に緩加速かどうかを判断している。このため、単位時間当たりの踏み込み量が第2の所定の値以上だと最終的に緩加速と判断し、単位時間当たりの踏み込み量が第2の所定の値以下だと加速状態にないと判断してステップS706に進む。ステップS705で使用した第1の所定の値と、このステップで使用した第2の所定の値の関係は、第1の所定の値>第2の所定の値の関係を有していることはいうまでもない。このステップも図6Aに示したステップS604と兼用しても良く、点火時期制御フロー或いはノック判定制御フローの一方で加速状態を検出して記憶しておき、他方の制御フローで用いるようにしても良い。
≪ステップS706≫
ステップS705で加速状態にないと判断されると、この状態は定常状態であることからステップS706では、図6Aのステップ602で読みだされたノック判定閾値テーブルSLTable1の定常ノック判定閾値SL1をノック判定用のノック判定閾値として用いるようにする。この定常ノック判定閾値SL1はノック指数と比較して実際のノックの発生を検出するものである。
ステップS705で加速状態にないと判断されると、この状態は定常状態であることからステップS706では、図6Aのステップ602で読みだされたノック判定閾値テーブルSLTable1の定常ノック判定閾値SL1をノック判定用のノック判定閾値として用いるようにする。この定常ノック判定閾値SL1はノック指数と比較して実際のノックの発生を検出するものである。
≪ステップS707≫
ステップ704で急加速状態にあると判断されると、図6Aのステップ605で読みだされたノック判定閾値テーブルSLTable2の第1過渡ノック判定閾値SL2をノック判定用のノック判定閾値として用いるようにする。この第1過渡ノック判定閾値SL2はノック指数と比較されて擬似的にノックの発生を検出するものである。つまり、実際にはノックは発生していないが、あたかもノックが発生しているように見做すためのノック判定閾値である。また、この第1過渡ノック判定閾値SL2は図6BのステップS607で設定される所定の期間だけ使用されるものである。
ステップ704で急加速状態にあると判断されると、図6Aのステップ605で読みだされたノック判定閾値テーブルSLTable2の第1過渡ノック判定閾値SL2をノック判定用のノック判定閾値として用いるようにする。この第1過渡ノック判定閾値SL2はノック指数と比較されて擬似的にノックの発生を検出するものである。つまり、実際にはノックは発生していないが、あたかもノックが発生しているように見做すためのノック判定閾値である。また、この第1過渡ノック判定閾値SL2は図6BのステップS607で設定される所定の期間だけ使用されるものである。
≪ステップS708≫
ステップ705で緩加速状態にあると判断されると、図6Aのステップ606で読みだされたノック判定閾値テーブルSLTable3の第2過渡ノック判定閾値SL3をノック判定用のノック判定閾値として用いるようにする。第1過渡ノック判定閾値SL2と同様に、この第2過渡ノック判定閾値SL3はノック指数と比較されて擬似的にノックの発生を検出するものである。つまり、実際にはノックは発生していないが、あたかもノックが発生しているように見做すためのノック判定閾値である。また、この第2過渡ノック判定閾値SL3は図6BのステップS608で設定される所定の期間だけ使用されるものである。
ステップ705で緩加速状態にあると判断されると、図6Aのステップ606で読みだされたノック判定閾値テーブルSLTable3の第2過渡ノック判定閾値SL3をノック判定用のノック判定閾値として用いるようにする。第1過渡ノック判定閾値SL2と同様に、この第2過渡ノック判定閾値SL3はノック指数と比較されて擬似的にノックの発生を検出するものである。つまり、実際にはノックは発生していないが、あたかもノックが発生しているように見做すためのノック判定閾値である。また、この第2過渡ノック判定閾値SL3は図6BのステップS608で設定される所定の期間だけ使用されるものである。
≪ステップS709≫
このステップS709は、ステップS706で設定された定常ノック判定閾値SL1とノック指数を比較し、この定常ノック判定閾値SL1をノック指数が越えると実際にノックが発生したと判断するものである。
このステップS709は、ステップS706で設定された定常ノック判定閾値SL1とノック指数を比較し、この定常ノック判定閾値SL1をノック指数が越えると実際にノックが発生したと判断するものである。
≪ステップS710≫
このステップS710は、ステップS709で実際にノックが発生したと判断されるとノック補正のための遅角補正値ΔθKを遅角補正テーブルから読み出すものである。この遅角補正値ΔθKは図5にある遅角補正テーブルの定常状態の定常遅角補正値ΔθK1が使用される。ステップS709では実際にノックが発生していることを検出しているため、早期にノックを解消することが必要である。このため、定常遅角補正値ΔθK1はノックを早期に抑制するために比較的大きな値に設定されている。
このステップS710は、ステップS709で実際にノックが発生したと判断されるとノック補正のための遅角補正値ΔθKを遅角補正テーブルから読み出すものである。この遅角補正値ΔθKは図5にある遅角補正テーブルの定常状態の定常遅角補正値ΔθK1が使用される。ステップS709では実際にノックが発生していることを検出しているため、早期にノックを解消することが必要である。このため、定常遅角補正値ΔθK1はノックを早期に抑制するために比較的大きな値に設定されている。
≪ステップS711≫
このステップS710は、ステップS707で設定された第1過渡ノック判定閾値SL2とノック指数を比較し、この第1過渡ノック判定閾値SL2をノック指数が越えると擬似的にノックが発生したと判断するものである。繰り返して述べるが、この状態ではノックは実際には発生しておらず、急加速時にノックが実際に発生するのを事前に回避するべく点火時期を遅らせるためのものである。
このステップS710は、ステップS707で設定された第1過渡ノック判定閾値SL2とノック指数を比較し、この第1過渡ノック判定閾値SL2をノック指数が越えると擬似的にノックが発生したと判断するものである。繰り返して述べるが、この状態ではノックは実際には発生しておらず、急加速時にノックが実際に発生するのを事前に回避するべく点火時期を遅らせるためのものである。
≪ステップS712≫
このステップS712は、ステップS711で擬似的なノックが発生したと判断されるとノック補正のための遅角補正値ΔθKを遅角補正テーブルから読み出すものである。この遅角補正値ΔθKは図5にある遅角補正テーブルの過渡状態の過渡遅角補正値ΔθK2が使用される。過渡遅角補正値ΔθK2は実際に内燃機関でノックを生じている時に使用される定常遅角補正値ΔθK1に比べてその値が小さく設定されているものである。過渡運転時に使用される過渡遅角補正値ΔθK2は、そもそもノックが生じていない時にあたかもノックが生じていると判断して使用されるものであるため、出力の低下をできるだけ少なくするために小さな値に設定されている。
このステップS712は、ステップS711で擬似的なノックが発生したと判断されるとノック補正のための遅角補正値ΔθKを遅角補正テーブルから読み出すものである。この遅角補正値ΔθKは図5にある遅角補正テーブルの過渡状態の過渡遅角補正値ΔθK2が使用される。過渡遅角補正値ΔθK2は実際に内燃機関でノックを生じている時に使用される定常遅角補正値ΔθK1に比べてその値が小さく設定されているものである。過渡運転時に使用される過渡遅角補正値ΔθK2は、そもそもノックが生じていない時にあたかもノックが生じていると判断して使用されるものであるため、出力の低下をできるだけ少なくするために小さな値に設定されている。
≪ステップS713≫
このステップS713は、ステップS708で設定された第2過渡ノック判定閾値SL3とノック指数を比較し、この第2過渡ノック判定閾値SL3をノック指数が越えると擬似的にノックが発生したと判断するものである。この状態ではノックは実際には発生しておらず、緩加速時にノックが実際に発生するのを回避するべく点火時期を遅らせるためのものである。
このステップS713は、ステップS708で設定された第2過渡ノック判定閾値SL3とノック指数を比較し、この第2過渡ノック判定閾値SL3をノック指数が越えると擬似的にノックが発生したと判断するものである。この状態ではノックは実際には発生しておらず、緩加速時にノックが実際に発生するのを回避するべく点火時期を遅らせるためのものである。
≪ステップS714≫
このステップS712は、ステップS711で擬似的なノックが発生したと判断されるとノック補正のための遅角補正値ΔθKを遅角補正テーブルから読み出すものである。この遅角補正値ΔθKは図5にある遅角補正テーブルの過渡状態の過渡遅角補正値ΔθK2が使用される。過渡遅角補正値ΔθK2は実際に内燃機関でノックを生じている時に使用される定常遅角補正値ΔθK1に比べてその値が小さく設定されているものである。過渡運転時に使用される過渡遅角補正値ΔθK2は、そもそもノックが生じていない時にあたかもノックが生じていると判断して使用されるものであるため、出力の低下をできるだけ少なくするために小さな値に設定されている。
このステップS712は、ステップS711で擬似的なノックが発生したと判断されるとノック補正のための遅角補正値ΔθKを遅角補正テーブルから読み出すものである。この遅角補正値ΔθKは図5にある遅角補正テーブルの過渡状態の過渡遅角補正値ΔθK2が使用される。過渡遅角補正値ΔθK2は実際に内燃機関でノックを生じている時に使用される定常遅角補正値ΔθK1に比べてその値が小さく設定されているものである。過渡運転時に使用される過渡遅角補正値ΔθK2は、そもそもノックが生じていない時にあたかもノックが生じていると判断して使用されるものであるため、出力の低下をできるだけ少なくするために小さな値に設定されている。
ここで、ステップS712とステップS714で使用する過渡遅角補正値ΔθK2は同じ値であるが、ステップS714ではステップS712で使用した過渡遅角補正値ΔθK2とは異なる過渡遅角補正値ΔθK3を用いるようにしても良い。そして、過渡遅角補正値ΔθK2と過渡遅角補正値ΔθK3の間には、過渡遅角補正値ΔθK2<過渡遅角補正値ΔθK3の大小関係が与えられている。つまり、ステップS714では第2過渡ノック判定閾値SL3を使用してフィードバック制御しているため、第1過渡遅角補正値ΔθK2を使用した場合より進角側での点火時期に制御されている。このため、ノックが発生し易い環境となっているので、ノック指数が第2過渡ノック判定閾値SL3を越えると過渡遅角補正値ΔθK3を用いてノックが発生し難い環境の方に移行するようにするものである。
≪ステップS715≫
このステップS715は、最終的な実点火時期を求める演算を行うものであり、ステップS709、ステップS711、及びステップS713でノックが発生していないと判断された後に実行されるものである。最終的な実点火時期は、ステップS702で求めた基本点火時期値θAdvにステップS703で求めた補正値ΔθHoseiを加算することで求められる。
このステップS715は、最終的な実点火時期を求める演算を行うものであり、ステップS709、ステップS711、及びステップS713でノックが発生していないと判断された後に実行されるものである。最終的な実点火時期は、ステップS702で求めた基本点火時期値θAdvにステップS703で求めた補正値ΔθHoseiを加算することで求められる。
≪ステップS716≫
このステップS716は、最終的な実点火時期を求める演算を行うものであり、ステップS709、ステップS711、及びステップS713でノックが発生していると判断された後に実行されるものである。最終的な実点火時期は、ステップS702で求めた基本点火時期値θAdvに、ステップS703で求めた補正値ΔθHoseiと、ステップS710、ステップS712、ステップS714のいずれかで求めたノック補正のための遅角補正値(ΔθK1、ΔθK2或いはΔθK3)を加算することで求められる。
このステップS716は、最終的な実点火時期を求める演算を行うものであり、ステップS709、ステップS711、及びステップS713でノックが発生していると判断された後に実行されるものである。最終的な実点火時期は、ステップS702で求めた基本点火時期値θAdvに、ステップS703で求めた補正値ΔθHoseiと、ステップS710、ステップS712、ステップS714のいずれかで求めたノック補正のための遅角補正値(ΔθK1、ΔθK2或いはΔθK3)を加算することで求められる。
≪ステップS717≫
このステップS717は、最終的に求められた実点火時期を出力回路29にセットするもので、これによって、点火コイルの一次側コイルの通流時はONとなり、非通流時はOFFとなるON-OFF信号がセットされる。出力回路29にセットされた点火信号は点火コイル19で点火プラグ20を発火させるのに必要なエネルギーに増幅され点火プラグ20に供給される。
このステップS717は、最終的に求められた実点火時期を出力回路29にセットするもので、これによって、点火コイルの一次側コイルの通流時はONとなり、非通流時はOFFとなるON-OFF信号がセットされる。出力回路29にセットされた点火信号は点火コイル19で点火プラグ20を発火させるのに必要なエネルギーに増幅され点火プラグ20に供給される。
以上のような点火時期制御フローを実行した時の点火時期、ノック指数、ノック判定閾値等の時間的な変化について図8を用いて説明する。尚、スロットル開度(a)、吸入空気量(b)、負荷TP(c)の変化は図9と同じであるので説明は省略する。
図8において、加速度合いにあるように定常状態においてノック判定閾値は定常ノック判定閾値SL1が使用され、この定常ノック判定閾値SL1とノック指数(f)が比較される。この時に実際にノックが発生したと判断されれば、図7BのステップS709、ステップS710に示すように定常遅角補正値ΔθK1によってノックが回避されるように点火時期を遅角補正する。
一方、アクセルペダルを踏み込んで加速運転するとスロットル弁が開かれて、スロットル開度(a)に示すようにその開度は大きく変化することになる。そして、その加速度合いが急加速であれば、ノック判定閾値は第1過渡ノック判定閾値SL2が使用され、この第1過渡ノック判定閾値SL2とノック指数(f)が比較される。この時に擬似的にノックが発生したと判断されれば、図7BのステップS711、ステップS712に示すように過渡遅角補正値ΔθK2によって擬似的なノックが回避されるように点火時期を遅角補正する。そして、この場合、第1過渡ノック判定閾値SL2によるノック判定は第1の所定の期間だけ実行されるものである。
また、その後にアクセルペダルを踏み込んで加速運転するとスロットル弁が開かれて、スロットル開度(a)に示すようにその開度は変化するが、先の急加速ほど大きくはない。このため、加速度合いが緩加速と判断されてノック判定閾値は第2過渡ノック判定閾値SL3が使用され、この第2過渡ノック判定閾値SL3とノック指数(f)が比較される。この時に擬似的にノックが発生したと判断されれば、図7BのステップS713、ステップS714に示すように過渡遅角補正値ΔθK2によって擬似的なノックが回避されるように点火時期を遅角補正する。この場合、第2過渡ノック判定閾値SL3によるノック判定は第2の所定の期間だけ実行されるものである。
そして、点火時期(d)の変化状況であるが、吸入空気量を検出する空気量センサの検出遅れ、これに基づく負荷TPの演算遅れ、点火時期の演算遅れ等々の要因から、実際の実点火時期と要求点火時期の間に乖離が生じることが起こる。加速運転においては要求点火時期の変化に対して実点火時期は遅れて変化する。このため、要求点火時期に対して実点火時期が進角した状態となる。
しかしながら、本実施例においては急加速、或いは緩加速を行なった場合では第1過渡ノック判定閾値SL2、或いは第2過渡ノック判定閾値SL3が設定されるため、ノック指数(f)が早期に第1過渡ノック判定閾値SL2、或いは第2過渡ノック判定閾値SL3を越えてノック判定Flag(g)が「1」になる。この場合、実際にはノックは発生していないが、点火時期は過渡遅角補正値ΔθK2だけ遅れ側に補正されることになる。この結果、実点火時期を要求点火時期に近づけることができるようになってノックの発生を事前に抑制することが可能となる。また、過渡遅角補正値ΔθK2はノックを回避するための定常遅角補正値ΔθK1より小さい値に設定されているので、遅角補正による出力の低下は少ないものである。
上述した点火時期制御はノックセンサを用いた遅角補正制御を利用しているので、ノックが発生し難い始動時やアイドリング時には本発明のようなノック判定閾値を適用しなくて良いものである。更に、高回転、高負荷の運転状態では内燃機関の状態量がそれほど変化しないこと、不要な遅角制御をしないで出力を確保するといった理由から通常のノック制御をおこなうことが望ましいものである。
尚、上述した実施形態から把握することができる請求項以外の技術的思想は種々あるが、代表的なものを以下に記載する。
(1)内燃機関の点火時期制御装置において、内燃機関の加速状態は急加速状態と緩加速状態を含み、過渡ノック判定閾値は急加速状態で使用される第1過渡ノック判定閾値と、緩加速状態で使用される第2過渡ノック判定閾値とを有し、第1過渡ノック判定閾値は第2過渡ノック判定閾値より小さい値に設定されていることを特徴とする。
(2)内燃機関の点火時期制御装置において、遅角補正値は、定常ノック判定閾値とノックセンサからの検出信号からノックの発生を検出した時に求められる定常遅角補正値と、過渡ノック判定閾値とノッセンサからの検出信号から擬似的なノックの発生を検出した時に求められる過渡遅角補正値とを有し、過渡遅角補正値は定常遅角補正値より小さい値に設定されていることを特徴とする。
(3)内燃機関の点火時期制御装置において、内燃機関の加速状態は急加速状態と緩加速状態を含み、過渡ノック判定閾値は急加速状態で使用される第1過渡ノック判定閾値と、緩加速状態で使用される第2過渡ノック判定閾値とを有し、第1過渡ノック判定閾値は第2過渡ノック判定閾値より低い値に設定され、更に過渡遅角補正値は、第1過渡ノック判定閾値とノッセンサからの検出信号から擬似的なノックの発生を検出した時に求められる第1過渡遅角補正値と、第2過渡ノック判定閾値とノッセンサからの検出信号から擬似的なノックの発生を検出した時に求められる第2過渡遅角補正値を有し、第2過渡遅角補正値は第1過渡遅角補正値より大きい値に設定されていることを特徴とする。
(4)内燃機関の点火時期制御装置において、内燃機関の加速状態は急加速状態と緩加速状態を含み、過渡ノック判定閾値は急加速状態で使用される第1過渡ノック判定閾値と、緩加速状態で使用される第2過渡ノック判定閾値とを有し、第1過渡ノック判定閾値と第2過渡ノック判定閾値が用いられる所定の期間は異なっていることを特徴とする。
(5)内燃機関の点火時期制御装置において、第1過渡ノック判定閾値が用いられる所定の期間は、第2過渡ノック判定閾値が用いられる所定の期間より長い期間に設定されていることを特徴とする。
(6)内燃機関の点火時期制御装置において、上記所定の期間は、所定の積算時間或いは所定の積算点火回数であることを特徴とする。
(7)内燃機関の点火時期制御方法において、点火時期制御部は、内燃機関が定常状態にある時は定常ノック判定閾値と前記ノックセンサからの検出信号から実際のノックの発生を検出し、内燃機関が過渡状態にある時は前記定常ノック判定閾値より小さい値の過渡ノック判定閾値と前記ノッセンサからの検出信号から擬似的なノックの発生を検出することを特徴とする。
(8)内燃機関の点火時期制御方法において、点火時期制御部は、定常ノック判定閾値とノックセンサからの検出信号から実際のノックの発生を検出した時の遅角補正値に対して、過渡ノック判定閾値と前記ノッセンサからの検出信号から擬似的なノックの発生を検出した時の遅角補正値を小さくして基本点火時期値を補正することを特徴とする。
以上説明した通り、実点火時期が要求点火時期とずれる過渡運転時において、本発明ではノック判定閾値を下げることによって、あたかもノックが発生したと見做して実点火時期に所定の遅角補正量を反映させる遅角補正を行なうことで実点火時期を要求点火時期に近づけるようにしている。このため、実点火時期に遅角補正を行うことで、要求点火時期に対して進角されている実点火時期を遅角側に補正することができるようになってノックの発生を効果的に抑制することができるようになる。また、このときの所定の遅角補正量は出力低下ができるだけ少なくなる値に設定されているので、円滑な加速感が得られるものである。
2…エアクリーナ、5…スロットル弁、6…流量検出装置、7…回転数検出手段、8…プレートまたはリングギア、9…燃料タンク、10…燃料ポンプ、11…プレッシャーレギュレータ、12…燃料管、13…燃料噴射装置、15…三元触媒、16…空燃比センサ、17…O2センサ、18…内燃機関の制御装置、19…点火装置、40…燃料噴射制御ブロック、41…点火制御ブロック、48…ノック制御ブロック。
Claims (3)
- 少なくとも内燃機関の負荷状態に対応した基本点火時期値と、ノックセンサからの検出信号を所定のノック判定閾値と比較することでノックの発生を検出して遅角補正値とを求め、前記基本点火時期値に前記遅角補正値を反映した最終的な実点火時期を求める点火時期制御部を備え、前記点火時期制御部で求められた実点火時期に基づいて出力回路部で点火コイルの一次電流を制御する内燃機関の点火時期制御装置において、
前記ノック判定閾値は、前記内燃機関が定常状態にある時に設定される定常ノック判定閾値と、前記内燃機関が過渡状態にある時に設定される、前記定常ノック判定閾値より小さい過渡ノック判定閾値とを有し、
前記点火時期制御部は、前記内燃機関が定常状態にある時は前記定常ノック判定閾値と前記ノックセンサからの検出信号からノックの発生を検出し、前記内燃機関が過渡状態にある時は前記過渡ノック判定閾値と前記ノッセンサからの検出信号から擬似的なノックの発生を検出することを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項1に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
前記内燃機関の前記過渡状態は加速状態であり、前記内燃機関が前記加速状態にある時は前記過渡ノック判定閾値と前記ノッセンサからの検出信号から擬似的なノックの発生を検出することを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。 - 請求項2に記載の内燃機関の点火時期制御装置において、
前記過渡ノック判定閾値は加速開始から加速期間中の所定の期間の間に亘って用いられ、その後は前記定常ノック判定閾値が用いられることを特徴とする内燃機関の点火時期制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013047005A JP2014173497A (ja) | 2013-03-08 | 2013-03-08 | 内燃機関の点火時期制御装置 |
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CN108397302A (zh) * | 2017-02-06 | 2018-08-14 | 罗伯特·博世有限公司 | 用于调节内燃机的燃烧的方法和装置 |
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- 2013-03-08 JP JP2013047005A patent/JP2014173497A/ja active Pending
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CN116447060B (zh) * | 2023-04-28 | 2024-04-19 | 东风汽车集团股份有限公司 | 一种发动机的控制方法及控制系统 |
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