JP2014173083A - 画像形成方法、インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及びインク記録物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水、湿潤剤、色材を少なくとも含有するインクジェット用インクにおいて、湿潤剤として、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルのいずれか1つ以上のビニルエーテル基含有エチレングリコール誘導体を含有し、pH6.5〜7.5の範囲にあることを特徴とするインク。
【選択図】図1
Description
しかし、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルを含有するインクは、保存安定性に課題を抱えている。
このように、カールと画像品質の両立はできていないのが現状である。
即ち、前記課題を解決するための手段として、本発明は以下の「インク」、「インクメディアセット」、「インクカートリッジ」、「インクジェット記録方法」、「インクジェット記録装置」及び「インク記録物」を包含する。
(1)「水、湿潤剤、色材を少なくとも含有するインクジェット用インクにおいて、湿潤剤として、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルのいずれか1つ以上のビニルエーテル基含有エチレングリコール誘導体を含有し、pH6.5〜7.5の範囲にあることを特徴とするインク。」
このインクは、インクの粘度が低く抑えられるため、高溶剤量でも吐出安定性に優れ、保存安定性にも優れる。すなわち、インクの低粘度化に効果があり、高溶剤量でもインク粘度を低く抑えることができるため、吐出安定性が高く、かつ、カールを抑えることが可能であると共に、保存安定性にも優れる。
また、この本発明の記録用インクは、普通紙に対する画像品質、特に、画像濃度、彩度及び耐水性、耐光性等の画像堅牢性に優れた画像が得られ、乾燥速度、高速印字対応に優れ、ノズルからの吐出安定性が良好であり、高品位な画像形成が可能であり、インクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に好適に用いることができる。
(2)「前記ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルを合わせたインク中の総含有量が20〜50質量%であることを特徴とする前記(1)に記載のインク。」
このインクは、特に高溶剤量でも吐出安定性に優れる。
(3)「前記インク中の水分量が10〜25質量%であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のインク。」
このインクは、保存安定性に効果がある。
(4)「更に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、2−ピロリドンからなる群から選択された含窒素親水性有機溶媒を含有し、該含窒素親水性有機溶媒の含有量が5〜30質量%の範囲であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載のインク。」
このインクは、吐出安定性、オフセット性が良好である。
(5)「前記色材として、自己分散顔料を含有することを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のインク。」
このインクは、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルとの組合せによる粘度低減効果が高く、吐出性が良好である。
(6)「前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のインクジェット用インクに刺激を印加し、前記インクジェット用インクを飛翔させて記録用メディアに画像を形成するインク飛翔手段を有するインクジェット記録装置。」
本発明のインクジェット記録装置は、本発明の前記記録用インクに刺激(エネルギー)を印加し、該記録用インクを飛翔させて記録用メディアに画像を形成するインク飛翔手段を少なくとも有してなる。該インクジェット記録装置においては、前記インク飛翔手段が、本発明の前記記録用インクに刺激(エネルギー)を印加し、該記録用インクを飛翔させて記録用メディアに画像を形成する。その結果、普通紙に印字した際にも、顕著な彩度向上が図られ、カラーの発色性に優れる。更に、印刷用グロス紙のビーディング(濃度ムラ)が少なく、乾燥性にも優れ、乾燥速度、高速印字対応に優れ、ノズルからの吐出安定性が良好であり、鮮明で印刷物に近い画像が得られる。
(7)「記録用メディア上に、前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のインクジェット用インクにより形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。」
本発明のインク記録物は、記録用メディア上に本発明の前記記録用インク、又は本発明の前記インクメディアセットを用いて形成された画像を有してなる。
本発明のインク記録物においては、普通紙に印字すると、いわゆる白ポチ(画像の欠け)が改良され、画像濃度、彩度、及び画像堅牢性に優れた画像が得られ、更に、印刷用グロス紙のビーディング(濃度ムラ)が少なく、乾燥性にも優れ、乾燥速度、高速印字対応に優れ、ノズルからの吐出安定性が良好であり、鮮明で印刷物に近い画像が得られる。
また、本発明は、以下のような「インクジェット用インク」、「インクメディアセット」、「インクカートリッジ」及び「インクジェット記録方法」をも包含する。
(8)「ジオール類の含有量が20質量%以下であることを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のインク。」
(9)「前記(1)乃至(5)のいずれか又は前記(8)に記載の記録用インクと、記録用メディアとを有するインクメディアセットであって、前記記録用メディアが、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工された塗工層とを有してなり、かつ動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/m2であり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/m2であることを特徴とするインクメディアセット。」
このインクメディアセットは、その結果、ビーディング(濃度ムラ)が少なく、乾燥性にも優れ、印刷画質用の高品位な画像形成が可能である。
(10)「前記(1)乃至(5)のいずれか又は前記(8)に記載の記録用インクを容器中に収容してなるインクカートリッジ」。
該インクジェット記録方式によるプリンタ等に好適に使用される。該インクカートリッジに収容されたインクを用いて記録を行うと、普通紙に対する画像品質、特に、いわゆる白ポチ(画像の欠け)が改良され、顕著な彩度向上が図られ、カラーの発色性に優れる。
更に、印刷用グロス紙のビーディング(濃度ムラ)が少なく、乾燥性にも優れ、乾燥速度、高速印字対応に優れ、ノズルからの吐出安定性が良好であり、鮮明で印刷物に近い画像記録が可能である。
(11)「前記(1)乃至(5)のいずれか又は前記(8)に記載の記録用インクに刺激(エネルギー)を印加し、該記録用インクを飛翔させて記録用メディアに画像を形成するインク飛翔工程を少なくとも含んでなることを特徴とするインクジェット記録方法。」
該インクジェット記録方法においては、前記インク飛翔工程において、本発明の前記記録用インクに刺激(エネルギー)が印加され、該記録用インクが飛翔されて記録用メディアに画像が形成される。その結果、普通紙に印字した際にも、顕著な彩度向上が図られ、カラーの発色性に優れる。更に、印刷用グロス紙のビーディング(濃度ムラ)が少なく、乾燥性にも優れ、乾燥速度、高速印字対応に優れ、ノズルからの吐出安定性が良好であり、鮮明で印刷物に近い画像が得られる。
ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルのいずれか1つ又は2以上のモノビニルエーテルを含み、好ましくは、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルのいずれかと水酸基を持たない窒素含有親水性有機溶媒の組合せが良い。具体的には、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、2−ピロリドンとの組合せ、が挙げられる。
ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルの含有量は、20〜50質量%が好ましく、20〜30質量%がより好ましい。
前記含有量を20〜30質量%にすることで、インク粘度抑制効果が高く、間欠吐出性も良好になる。
水分量10質量%未満にするのは、分散体が水を含むためインクを作製することができなくなる。水分量25質量%よりも多くすると、保存安定性が悪くなることがある。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
その他の固体湿潤剤としては、糖類などが好ましい。
具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などが挙げられる。
ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(一般式:HOCH2(CHOH)nCH2OH(ただし、nは2〜5の整数を表す)で表わされる。)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。
これらの中でも、糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
前記インクジェット用インクは着色料すなわち色材(水分散性着色剤)として、耐候性の面から主として顔料が用いられるが、色調調製の目的で耐候性が劣化させない範囲内で染料を含有しても構わない。前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用、或いはカラー用の無機顔料や有機顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
1)第1形態では前記着色剤は、ポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョン(色材を含有させたポリマー微粒子の水分散物)を含有する。
2)第2形態では前記着色剤は、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性を示す顔料(以下、「自己分散性顔料」と称することもある)を含有する。
前記第1形態の水分散性着色剤としては、上記顔料に加え、ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンを使用することが好ましい。ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンとは、ポリマー微粒子中に顔料を封入したもの、又はポリマー微粒子の表面に顔料を吸着させたものである。この場合、全ての顔料が封入又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で該顔料がエマルジョン中に分散にしていてもよい。ポリマーエマルジョンを形成するポリマー(ポリマー微粒子におけるポリマー)としてはビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、及びポリウレタン系ポリマー等が挙げられるが、特に好ましく用いられるポリマーはビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーであり、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマーを使用することができる。
前記アニオン性親水基としては、例えば、−COOM、−SO3M、−PO3HM、−PO3M2、−SO2NH2、−SO2NHCOR(ただし、Mは、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。Rは、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表わす)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SO3Mがカラー顔料表面に結合されたものを用いることが好ましい。
他の原子団としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基が挙げられる。上記した親水基が他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合する場合の具体例としては、例えば、−C2H4COOM(ただし、Mは、アルカリ金属、又は第4級アンモニウムを表わす)、−PhSO3M(ただし、Phはフェニル基を表わす。Mは、アルカリ金属、又は第4級アンモニウムを表わす)等が挙げられる。
第1形態の水分散性着色剤としては、上記顔料に加え、ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンを使用することが好ましい。
ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンとは、ポリマー微粒子中に顔料を封入したもの、又はポリマー微粒子の表面に顔料を吸着させたものである。
この場合、全ての顔料が封入又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で該顔料がエマルジョン中に分散にしていてもよい。
これらの中でも、ジオクチルスルホコハク酸Na塩、ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテルスルホン酸NH4塩が特に好ましい。
これらの中でも、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテルが特に好ましい。
ただし、このような混練分散工程の後には粗大粒子が含まれていることが多く、インクジェットノズルや供給経路の目詰まりの原因となるため、フィルターや遠心分離器を用いて粒径1μm以上の粒子を除去する必要がある。
前記平均粒子径(D50)が150nmを超えると、急激に吐出安定性が低下し、ノズル詰まりやインクの曲がりが発生し易くなる。また、平均粒子径(D50)が100nm以下であれば、吐出安定性が向上し更に画像の彩度も向上する。
前記界面活性剤として、色材の種類や湿潤剤の組み合わせによって分散安定性を損なわず、表面張力が低く、浸透性、レベリング性の高いものが好ましく、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が特に好ましい。
これら界面活性剤は、1種を単独、又は2種以上を混合して用いることができる。
さらに好ましくは、下記一般式(3)で表されるフッ素系界面活性剤である。
・・・・・一般式(3)
(ただし、前記一般式(3)中、mは0〜10の整数を表す。nは1〜40の整数を表す。)
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
(I)アニオン系フッ素系界面活性剤
該市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越シリコーン株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社などから容易に入手できる。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(いずれも、信越化学工業株式会社製)、などが挙げられる。
本発明の記録用インクは、浸透剤として、炭素数8〜11のポリオール化合物又はグリコールエーテル化合物を少なくとも1種を含有することが好ましい。これらは、25℃の水中において0.2〜5.0質量%の間の溶解度を有するものが好ましい。これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0%(25℃)]が特に好ましい。
その他のポリオール化合物として、脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオールなどが挙げられる。
前記浸透剤の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、0.1〜4.0質量%が好ましい。0.1〜4.0質量%の範囲であれば、インクのメディアへの浸透性が良くなり、ドットの埋まりが良くなる。
pH調整剤としては、アルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩を一種類以上含むものが好ましい。
アルコールアミン類としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が、アンモニウム水酸化物としては、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物等が、ホスホニウム水酸化物としては、第4級ホスホニウム水酸化物が、アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
前記記録用インクの25℃での粘度は5〜15mPa・sが好ましい。前記インク粘度が5mPa・s以上とすることによって、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。一方、インク粘度を15mPa・s以下に抑えることで、吐出性を確保することができる。
ここで、前記粘度は、例えば、粘度計(RL−500、東機産業株式会社製)を使用して、25℃で測定することができる。
前記記録用メディアとしては、塗工層を持たない普通紙、支持体の少なくとも一方の面に塗工された塗工層とを有する塗工紙が好適に用いられ、一般的にコピー用紙として用いているサイズ度10S以上、透気度5〜50Sの普通紙が好ましい。
また、塗工紙である場合、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面に塗工された塗工層とを有してなり、かつ動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が2〜35ml/m2であり、かつ接触時間400msにおける純水の前記記録用メディアへの転移量が3〜40ml/m2である塗工紙が好ましい。
前記接触時間100msでの前記インク及び純水の転移量が少なすぎると、ビーディングが発生しやすくなることがあり、多すぎると、記録後のインクドット径が所望の径よりも小さくなりすぎることがある。
前記接触時間400msでの転移量が少なすぎると、乾燥性が不十分であるため、拍車痕が発生しやすくなることがあり、多すぎると、乾燥後の画像部の光沢が低くなりやすくなることがある。
ここで、前記動的走査吸収液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88〜92頁、空閑重則)は、極めて短時間における吸液量を正確に測定できる装置である。前記動的走査吸液計は、吸液の速度をキャピラリー中のメニスカスの移動から直読する、試料を円盤状とし、この上で吸液ヘッドをらせん状に走査する、予め設定したパターンに従って走査速度を自動的に変化させ、1枚の試料で必要な点の数だけ測定を行う、という方法によって測定を自動化したものである。紙試料への液体供給ヘッドはテフロン(登録商標)管を介してキャピラリーに接続され、キャピラリー中のメニスカスの位置は光学センサで自動的に読み取られる。具体的には、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水の転移量を測定した。接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めることができる。
本実施形態の画像形成方法は、前記インクジェット用インクに刺激を印加し、記録用媒体に、前記インクジェット用インクを飛翔させて画像を形成するインク飛翔工程を有する。
前記メディアに、画像濃度、裏抜け、にじみ等の画質向上のために、メディアへインクを付着させる前後のいずれか、または両方に、処理液を塗布する工程を有していても良い。
前記インク飛翔工程は、前記本発明の記録用インクに、刺激(エネルギー)を印加し、該記録用インクを飛翔させて記録用メディアに画像を形成する工程である。
前記インク飛翔手段は、前記本発明の記録用インクに、刺激(エネルギー)を印加し、該記録用インクを飛翔させて記録用メディアに画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。
図1に示すインクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装填され画像が形成(記録)された用紙をストックするための排紙トレイ103と、インクカートリッジ装填部104とを有する。インクカートリッジ装填部104の上面には、操作キーや表示器などの操作部105が配置されている。インクカートリッジ装填部104は、インクカートリッジ201の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161が配置されている。なお、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103が配されている。
両面給紙ユニット181は、搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度カウンタローラ152と搬送ベルト151との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット181の上面には手差し給紙部182が設けられている。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法により記録された記録物は、本発明のインク記録物である。
本発明のインク記録物は、記録用メディア上に、本発明の前記記録用インクを用いて形成された画像を有してなる。
また、本発明のインク記録物は、本発明の前記インクメディアセットにおける記録用メディア上に、本発明の前記インクメディアセットにおける記録用インクを用いて形成された画像を有してなる。
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、木材繊維主体の紙、木材繊維及び合成繊維を主体とした不織布のようなシート状物質などが挙げられる。
(1)離解は、古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
(2)除塵は、古紙に含まれる異物(プラスチックなど)及びゴミをスクリーン、クリーナー等により除去する。
(3)脱墨は、繊維より界面活性剤を用いて剥離された印刷インキをフローテーション法、又は洗浄法で系外に除去する。
(4)漂白は、酸化作用や還元作用を用いて、繊維の白色度を高める。
前記古紙パルプを混合する場合、全パルプ中の古紙パルプの混合比率は、記録後のカール対策から40%以下が好ましい。
前記塗工層は、顔料及びバインダー(結着剤)を含有してなり、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有してなる。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
[調整例1 (表面処理したカーボンブラック顔料分散液)]
以下に示すようにして、各顔料分散液を調製した。
調整例1において、CTAB比表面積が150m2/g、DBP吸油量100ml/100gのカーボンブラック90gを、2.5N規定の硫酸ナトリウム溶液3000mlに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させ酸化処理を行った。
この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行った。得られたカーボンブラックを水洗いし乾燥させ、30重量%となるよう純水中に分散させた。
調整例2において、イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー128を低温プラズマ処理しカルボン酸基を導入した顔料を作製した。これをイオン交換水に分散したものを、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度30%のイエロー顔料分散液とした。
調整例2の手順により、表面改質されたマゼンタ顔料を調製したが、C.I.ピグメントイエロー128の代わりに、ピグメントレッド122を用いた。上記の例と同様に、得られた表面改質された着色顔料は水性媒体中で攪拌時に容易に分散され、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度30質量%のマゼンタ顔料分散液とした。
調整例2の手順により、表面改質されたシアン顔料を調製したが、C.I.ピグメントイエロー128の代わりに、C.I.ピグメントシアン15:3を用いた。上記の例と同様に、得られた表面改質された着色顔料は水性媒体中で攪拌時に容易に分散され、限外濾過膜にて脱塩濃縮し顔料濃度30質量%のシアン顔料分散液とした。
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次にスチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。
反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを得た。
合成例1で作成したポリマー溶液28gとフタロシアニン顔料26g、1mol/Lの水酸化カリウム溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、イオン交換水30gを十分に攪拌した後、三本ローロミルを用いて混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトンおよび水を留去し、シアン色のポリマー微粒子分散体を得た。
合成例1のフタロシアニン顔料をピグメントレッド122に変更したほかは合成例1と同様にしてマゼンタ色のポリマー微粒子分散体を得た。
合成例1のフタロシアニン顔料をピグメントイエロー74に変更したほかは合成例1と同様にして黄色のポリマー微粒子分散体を得た。
合成例1のフタロシアニン顔料をカーボンブラックに変更したほかは合成例1と同様にして黒色のポリマー微粒子分散体を得た。
以下に本発明のインク製造例、インク製造例を表1、表2、表3に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、インク製造例に記載の各成分の量は質量基準である。
下記処方のインク用組成物を作成し、所定のpHになるように10%水酸化リチウム水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、実施例1〜実施例18、及び比較例1〜比較例9のインク組成物を得た。
上記表中の略号などは下記の意味を表わす。
*顔料分散液(上記記載の調製したもの)
*アクリル−シリコーン樹脂エマルジョン:昭和高分子株式会社製、ポリゾールROY6312、固形分40質量%、平均粒子径171nm、最低造膜温度(MFT)=20℃
*ポリウレタンエマルジョン:DIC社製、ハイドランAPX−101H、固形分45質量%、平均粒子径160nm、最低造膜温度(MFT)=20℃
*ユニダインDSN403N:パーフルオロアルキルポリエチレンオキシド付加反応物(ダイキン工業社製、成分99質量%以上)
*ソフタノールEP−7025:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(日本触媒株式会社製、成分100質量%)
*NIKKOL ECTD−3NEX:ポリオキシエチレン(3)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム(日光ケミカル株式会社製、成分98質量%以上)
*Proxel GXL:1,2−benzisothiazolin−3−oneを主成分とした防カビ剤(アビシア社製、成分20質量%、ジプロピレングリコール含有)
*KM−72F:自己乳化型シリコーン消泡剤(信越シリコーン株式会社製、成分100質量%)
pHは、pH METER MODEL HM−30R型(東亜ディーケーケー製)を使用して、25℃で測定した。
温湿度23℃、50%RHに調整された環境下、インクジェットプリンタ(IPSIO GXe5500、株式会社リコー製)を用い、インクの吐出量が均しくなるようにピエゾ素子の駆動電圧を変動させ、記録用メディアに同じ付着量のインクが付くように設定を行った。下記「吐出安定性」については、温湿度23℃、50%RH、温湿度10℃、15%RHに調整された環境下の2条件で評価を行った。
実施例及び比較例のインクを、65℃恒温槽内に4週間静置し、恒温槽へ静置前と静置後のインクの粘度変化率を測定した。
○ : 粘度変化5%未満
△ : 粘度変化5%以上10%未満
Microsoft Word2000にて作成した印刷範囲ぎりぎりに設定した「四角ベタ」チャートを記録メディアに打ち出し、印字後5秒以内に印字面を裏にして平らな面においたとき、記録メディアの4スミの平らな面からの高さを測定し、下記評価基準により判定した。印字モードはプリンタ添付のドライバで「普通紙―標準はやい」モード、カラーマッチングoffで印字した。
〔word2000の「塗りつぶし四角」部の色指定〕
Black: (R)0、(G)0、(B)0
Yellow: (R)255、(G)255、(B)0
Magenta: (R)255、(G)0、(B)255
Cyan: (R)0、(G)0、(B)255
○ : 35mm未満
△ : 35mm以上50mm未満
× : 50mm以上、もしくは丸まったもの
画像濃度と同様にチャートを記録用メディアに打ち出し、印字面の40mmの長さの「塗りつぶし四角」部に、印字後5秒以内に、直径40mmのポリエチレン製の円筒状のローラを加重5Nの強さで押し当てながら転がし、円筒状のローラから記録用メディアにインクが再転写した部分をX−Rite938にて測色し、下記評価基準により判定した。印字モードはプリンタ添付のドライバで「普通紙−標準きれい」モードカラーマッチングoffで印字した。
○ : 0.1未満
△ : 0.1以上0.15未満、
× : 0.15以上
Microsoft Word2000にて作成した3cm×3cmの「塗りつぶし四角」ベタ画像があるチャートを記録用メディアに打ち出し、温度23±1℃、湿度50±10%で24時間乾燥させ、印字面の「塗りつぶし四角」部をCM−1型クロックメータに両面テープで取り付けたJIS L 0803 綿3号を印字部位に当てるように5往復させた後、綿布へのインク付着汚れをX−Rite938にて測定し、綿布の地肌色を差し引いて汚れ部の濃度が下記評価基準により判定した。
〔word2000の「塗りつぶし四角」部の色指定〕
Black: (R)0、(G)0、(B)0
Yellow: (R)255、(G)255、(B)0
Magenta: (R)255、(G)0、(B)255
Cyan: (R)0、(G)0、(B)255
○ : 0.05未満
△ : 0.05以上0.15未満
× : 0.15以上
Microsoft Word2000にて作成した一色当りA4サイズ用紙の面積5%をベタ画像にて塗りつぶすチャートを連続200枚、MyPaper(株式会社NBSリコー製)に打ち出し、打ち出し後の各ノズルの吐出乱れから評価した。印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準速い」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。
○ : 吐出乱れなし
△ : 若干吐出乱れあり
× : 吐出しないところがある
以上の結果より、本発明は、オフセット性、カール特性に優れ,吐出安定性が優れるインクジェット記録用インクおよびインクジェット記録用インクセットの提供できるものであることがよく理解される。
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙積載部
142 用紙
144 分離パッド
151 搬送ベルト
152 再度カウンタローラ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 テンションローラ
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
Claims (7)
- 水、湿潤剤、色材を少なくとも含有するインクジェット用インクにおいて、湿潤剤として、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルのいずれか1つ以上のビニルエーテル基含有エチレングリコール誘導体を含有し、pH6.5〜7.5の範囲にあることを特徴とするインク。
- 前記ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルを合わせたインク中の総含有量が20〜50質量%であることを特徴とする請求項1に記載のインク。
- インク中の水分量が10〜25質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク。
- 更に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、2−ピロリドンからなる群から選択された含窒素親水性有機溶媒を含有し、該含窒素親水性有機溶媒の含有量が5〜30質量%の範囲であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインク。
- 前記色材として、自己分散顔料を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインク。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット用インクに刺激を印加し、前記インクジェット用インクを飛翔させて記録用メディアに画像を形成するインク飛翔手段を有するインクジェット記録装置。
- 記録用メディア上に、請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット用インクにより形成された画像を有してなることを特徴とするインク記録物。
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