JP2014172849A - I型コラーゲン産生促進剤 - Google Patents

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正一郎 島田
Yuuko Matsuura
有宇子 松浦
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Abstract

【課題】新しい植物で新たなI型コラーゲン産生促進効果を奏する植物のさらなる開発が求められている。新たな優れたI型コラーゲン産生促進作用を有するI型コラーゲン産生促進剤を提供する。
【解決手段】 サツマイモ(Ipomoea batatas L.)の茎もしくは、葉もしくは、その両方から得られる抽出物(以下、サツマイモ茎葉抽出物)を含み、さらにはジカフェオイルキナ酸を含有するものとすることを特徴とするI型コラーゲン産生促進剤。
【選択図】図2

Description

本発明はサツマイモ(Ipomoea batatas L.)の茎もしくは、葉もしくは、その両方から得られる抽出物を含むI型コラーゲン産生促進剤に関するものである。
皮膚は外側から角層、表皮層、基底膜及び真皮より構成されており、真皮はその中でも最も領域の広い部分である。膠原線維、弾性線維、糖タンパク質、プロテオグリカンが複合的に三次元状に広がった不均一の構造をしており、それぞれの構造物は液相を保有したゲル状態にある。膠原線維は主にコラーゲンからなり、その中でもI型コラーゲンが全体の80%を占める。I型コラーゲンのほかにはIII、V、XII及びXIV型コラーゲンの存在が知られている。老化皮膚に見られるしわ・たるみの発生は、外見上の加齢変化の主たるものであり、多くの中高年齢者にとって切実な問題となっている。しわ・たるみの成因の一つは、皮膚組織が加齢に伴ない菲薄化することによる。老化した皮膚において、真皮の主要なマトリックス成分であるI 型コラーゲン線維の減少が著しく、このことが皮膚の厚さが減少する主たる原因となっている可能性が高い。従って、I型コラーゲンの産生を促進させてI型コラーゲン量を維持することが、しわ・たるみの予防・改善に有効であると考えられる。また、さらにI型コラーゲンの産生促進は皮膚の創傷治癒の改善にも有効である。
従来、I型コラーゲンの産生を促進させることで皮膚の加齢変化を予防・改善する天然物由来の成分としては、例えば、ダイゼイン、ダイズジン、ゲニスタイン、およびゲニスチンから選ばれるイソフラボン化合物、フィトステロールや(特許文献1参照)、特定の植物プランクトンの抽出物(特許文献2参照)、さらにラクトフェリン(特許文献5参照)が報告されている。
特開2001−39849号公報 特開2007−186471号公報 WO2006/014028公報 特開2011−10659号公報 特開2004−331564号公報
このように、I型コラーゲン産生促進作用を有するものとして従来より植物由来の抽出物が、その安全性や皮膚への刺激の穏やかさを期待して種々開発されているが、今までに該効果を奏することが見出されていなかった新しい植物で新たなI型コラーゲン産生促進効果を奏する植物のさらなる開発が求められている。
本発明はこのような従来の事情に対処してなされたもので、新しい植物由来のI型コラーゲン産生促進剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、このような現状に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定の植物抽出物に優れたI型コラーゲン産生促進作用がありI型コラーゲン産生促進剤として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、サツマイモ(Ipomoea batatas L.)の茎もしくは、葉もしくは、その両方から得られる抽出物(以下、サツマイモ茎葉抽出物)を含むことを特徴とするI型コラーゲン産生促進剤である。
また本発明は、サツマイモ茎葉抽出物由来のジカフェオイルキナ酸を含有することを特徴とするI型コラーゲン産生促進剤である。
本発明のI型コラーゲン産生促進剤は、I型コラーゲン産生を促進する効果に優れ、かつ安全なものである。よって本発明のI型コラーゲン産生促進剤によれば、I型コラーゲンの産生を促進して、I型コラーゲン量を維持することができ、コラーゲン不足に起因する種々の症状の改善に有効である。また、天然物由来の成分を用いていることから、人又は動物に対して内服又は外用しても安全なものである。
表1記載の被検物質のnormalの I 型コラーゲン産生量 表2記載の細胞のviabilityで補正したnormalの真の I 型コラーゲン産生量
本発明で用いられるサツマイモ(Ipomoea batatas L.)は、ヒルガオ科サツマイモ属に属する植物のことをいい、この属であれば如何なる品種のものを用いることもでき、例としてシロユタカ、コガネセンガン、SUKUH、種子島紫、シモンイモ等が挙げられる。 特許文献3では、サツマイモ茎葉から得られるポリフェノール含有水溶性サツマイモ茎葉抽出物、その製造方法、上記サツマイモ茎葉抽出物を含有する機能性食品、機能性素材、抗酸化剤、肝保護剤、チロシナーゼ阻害剤、糖吸収抑制剤、中性脂肪吸収抑制剤が記載されている。特許文献4ではコラーゲンと甘藷茎葉の加工物とを含む食品組成物でコラーゲンの高吸収性の食品組成物に関するものであることが記載されている。
このように、上記した各植物の植物体または植物抽出物にI型コラーゲン産生促進作用があるという報告はこれまでになく、本発明者らによって初めて見出されたものである。
尚、本発明で使用する各植物の植物体又はその抽出物とは、サツマイモ茎葉抽出物とは、サツマイモ属サツマイモ(Ipomoea batatas L.)の茎葉を適当な溶媒で抽出して得られる抽出物、もしくは、圧搾して得られる搾汁液、もしくは、それらを乾燥させた乾燥物である。本発明のサツマイモ茎葉抽出物はジカフェオイルキナ酸を含むものである。さらにはジカフェオイルキナ酸を抽出物中に0.001%以上含まれるサツマイモ茎葉抽出物は、例えば、「ポリフェミン」(晨星興産株式会社製)等として市販されており、これら市販品を利用してもよい。
抽出物の場合、抽出に用いられる抽出溶媒は通常抽出に用いられる溶媒であれば何でもよく、特にメタノール、エタノールあるいは1,3−ブチレングリコール等のアルコール類、含水アルコール類、アセトン、酢酸エチルエステル等の有機溶媒を単独あるいは組み合わせて用いることができ、このうち特に、アルコール類、含水アルコール類が好ましく、特にメタノール、エタノール、1,3−ブチレングリコール、含水エタノールまたは含水1,3−ブチレングリコールが好ましい。また前記溶媒は、室温乃至溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
抽出方法は特に制限されるものはないが、通常、常温から、常圧下での溶媒の沸点の範囲であれば良く、抽出後は濾過又はイオン交換樹脂を用い、吸着・脱色・精製して溶液状、ペースト状、ゲル状、粉末状とすれば良い。更に多くの場合は、そのままの状態で利用できるが、必要ならば、その効果に影響のない範囲で更に脱臭、脱色等の精製処理を加えても良く、脱臭・脱色等の精製処理手段としては、活性炭カラム等を用いれば良く、抽出物質により一般的に適用される通常の手段を任意に選択して行えば良い。
本発明のI型コラーゲン産生促進剤は前記各植物体又はその抽出物からなるものであることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲において他の種々の成分を含有することが出来る。
本発明のI型コラーゲン産生促進剤は、 I 型コラーゲン産生促進剤として販売することできる他、各種組成物に配合することができる。例えば、皮膚外用剤に配合してヒトおよび動物に用いることや、各種飲食品、飼料(ペットフード等)に配合して摂取させることができる。また医薬製剤としてヒトおよび動物に投与することができる。この際、皮膚外用剤、飲食品などの剤型・形態により乾燥、濃縮又は希釈などを任意に行い調整すれば良い。
本発明のI型コラーゲン産生促進剤を皮膚外用剤に配合する場合、各植物体の抽出物が好ましく、その配合量(乾燥質量)は外用剤全量中、概ね0.0001〜10質量%が好ましい。
本発明を皮膚外用剤に適用する場合、上記成分に加えて、さらに必要により、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば酸化防止剤、油分、紫外線防御剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
さらに、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属イオン封鎖剤、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、カリンの果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、MMP発現抑制やIL−6発現抑制で知られる海藻エキス・クレマティスエキス・シモツケソウエキス・スギナエキス・セイヨウキズタエキスの混合物、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類なども適宜配合することができる。
またこの皮膚外用剤は、外皮に適用される化粧料、医薬部外品等、特に好適には化粧料に広く適用することが可能であり、その剤型も、皮膚に適用できるものであればいずれでもよく、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系、軟膏、化粧水、ゲル、エアゾール等、任意の剤型が適用される。
使用形態も任意であり、例えば化粧水、乳液、クリーム、パック等のフェーシャル化粧料やファンデーション、口紅、アイシャドウ等のメーキャップ化粧料、芳香化粧料、浴用剤等に用いることができる。
また、メーキャップ化粧品であれば、ファンデーション等、トイレタリー製品としてはボディーソープ、石けん等の形態に広く適用可能である。さらに、医薬部外品であれば、各種の軟膏剤等の形態に広く適用が可能である。そして、これらの剤型および形態に、本発明のI型コラーゲン産生促進剤の採り得る形態が限定されるものではない。
本発明のI型コラーゲン産生促進剤、を飲食品や飼料等に配合する場合、植物体またはその抽出物の配合量(乾燥質量)は、0.0001〜70質量%配合でき、好ましくは0.0005〜50質量%、さらに好ましくは0.001〜30質量%配合できる。それらの種類、目的、形態、利用方法などに応じて、適宜決めることができる。成人一日当たり植物またはその抽出物の摂取量が約1〜1,000mg程度になるように調製することが好ましい。特に、保健用飲食品等として利用する場合には、本発明の有効成分を所定の効果が十分発揮されるような量で含有させることが好ましい。
飲食品や飼料の形態としては、例えば、顆粒状、粒状、ペースト状、ゲル状、固形状、または、液体状に任意に成形することができる。これらには、飲食品等に含有することが認められている公知の各種物質、例えば、結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、矯味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤やpH調製剤などの賦形剤を適宜含有させることができる。
本発明のI型コラーゲン産生促進剤を医薬製剤として用いる場合、該製剤は経口的にあるいは非経口的(静脈投与、腹腔内投与、等)に適宜に使用される。剤型も任意で、例えば錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等の経口用固形製剤や、内服液剤、シロップ剤等の経口用液体製剤、または、注射剤などの非経口用液体製剤など、いずれの形態にも公知の方法により適宜調製することができる。これらの医薬製剤には、通常用いられる結合剤、崩壊剤、増粘剤、分散剤、再吸収促進剤、矯味剤、緩衝剤、界面活性剤、溶解補助剤、保存剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤やpH調整剤などの賦形剤を適宜使用してもよい。
本発明のI型コラーゲン産生促進剤を、皮膚外用剤、飲食品、医薬製剤等として用いる場合、優れたI型コラーゲン産生促進作用により、ヒト皮膚の老化防止、皮膚のはりや弾力保持、関節炎等の予防・治療、熱傷の初期の治療等に有効に用いられる。食品に添加した場合には、かかる食品を摂取することで、I型コラーゲン産生促進効果を内から発揮することが期待される。
また上記症状や病態等の治療、予防、改善等の生理機能をコンセプトとして、その旨を表示した皮膚外用剤、機能性飲食品、特定保健用食品等に応用することができる。
尚、本発明のI型コラーゲン産生促進剤の皮膚外用剤又は飲食品などへの添加の方法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれによりなんら限定されるものではない。配合量は特記しない限り質量%で示す。
I型コラーゲン産生促進効果に関する試験方法とその結果について説明する。
I型コラーゲン産生促進効果試験方法およびその結果
試料は晨星興産株式会社のポリフェミンHを試験試料として用い、次の方法でI型コラーゲン産生促進効果を測定・評価した。
サツマイモ茎葉抽出物について、正常ヒト線維芽細胞株を用いた実験によりコラーゲン産生促進作用を調べた。10容量%ウシ胎児血清(以下FBS)含有DMEM培地を用いて、正常ヒト線維芽細胞株を5×10個/ウェル/0.5mlとなるように24ウェルプレートに播種して、5%炭酸ガス、飽和水蒸気下、37℃でサブコンフルエントになるまで培養した。細胞をサブコンフルエントまで培養後、サツマイモ茎葉抽出物を0.01質量%含有した0.5容量%FBS含有DMEM培地0.5mlに置換し、そのまま3日間培養した。3日間培養後、培地上清を回収し、回収した培地中のI型コラーゲン量をELISA(Procollagen Type I C−peptide
EIA Kit,TaKaRa製)で測定した。また、培地上清回収後の細胞を、10容量%濃度のAlamarBlueを含有した10容量%FBS含有DMEM 0.5mlに置換し、3時間培養した。3時間培養後、培養上清の蛍光強度(ex. 544nm、em. 590nm)から細胞のviabilityを測定した。
結果は試験物質を含まないnormalの I 型コラーゲン産生量を100%とした時の相対値で表した。また、コラーゲン産生量を細胞のviabilityで補正することで細胞増殖に由来しない真のコラーゲン産生量についても算出した。
なお、対照として既にコラーゲン産生促進効果が知られている(特許文献5)ラクトフェリンを同濃度で用いて同様の検討を行った。
normalの I 型コラーゲン産生量を100%とした時の相対値
(表1)
コラーゲン産生量
被検物質 | %of normal
――――――――――――――――――――――――――――――――
(A)normal | 100.0±7.3
(B)ラクトフェリン | 192.4±11.7
(C)サツマイモ茎葉抽出物 | 316.2±24.1

Data were expressed as means±SD(n=8)
(A)vs(B) P<0.01
(A)vs(C) P<0.01
(B)vs(C) P<0.05
表1、図1から分かるように、サツマイモ茎葉抽出物は、試験物質を含まないnormalに比べて3倍程度の有意なコラーゲン産生量を示した。また、その効果は既にコラーゲン産生促進効果が知られているラクトフェリンよりも1.5倍程度、有意に強いものだった。
このことからサツマイモ茎葉抽出物はヒト皮膚繊維芽細胞に対して強いコラーゲン産生促進作用を示すことが明らかとなった。
細胞のviabilityで補正したnormalの真の I 型コラーゲン産生量を100%とした時の相対値
(表2)
コラーゲン産生量
被検物質 | %of normal
――――――――――――――――――――――――――――――――
(A)normal | 100.0±33.3
(B)ラクトフェリン | 118.7±10.8
(C)サツマイモ茎葉抽出物 | 233.0±22.0

Data were expressed as means±SD(n=8)
(A)vs(C) P<0.01
(B)vs(C) P<0.01
細胞増殖に由来しない真の I 型コラーゲン産生能を検討するため、コラーゲン産生量を細胞のviabilityで補正して比較した。その結果、 表2、図2から分かるように、サツマイモ茎葉抽出物は、試験物質を含まないnormalに比べて2倍程度の有意なコラーゲン産生量を示した。また、細胞のviabilityで補正すると、既にコラーゲン産生促進効果が知られているラクトフェリンにはコラーゲン産生能が見られず、サツマイモ茎葉抽出物にのみコラーゲン産生能が見られた。
このことからサツマイモ茎葉抽出物の I 型コラーゲン産生作用は細胞増殖や細胞の活性を上げるのではなく、 I 型コラーゲン産生能自体を亢進していることが明らかとなった。

Claims (2)

  1. サツマイモ(Ipomoea batatas L.)の茎もしくは、葉もしくは、その両方から得られる抽出物を含むことを特徴とするI型コラーゲン産生促進剤。
  2. サツマイモ(Ipomoea batatas L.)の茎もしくは、葉もしくは、その両方から得られる抽出物由来のジカフェオイルキナ酸を含有することを特徴とする請求項1に記載のI型コラーゲン産生促進剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016216374A (ja) * 2015-05-14 2016-12-22 株式会社東洋新薬 美容組成物
JP2018138533A (ja) * 2017-02-24 2018-09-06 共栄化学工業株式会社 毛髪化粧料

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