JP2014172793A - 強化ガラス板および強化ガラス板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低ダメージで高強度化された強化ガラス板を提供する。
【解決手段】窒素を含むガス雰囲気で発生させた大気圧プラズマの照射により強化層が形成された強化ガラス板であって、上記強化層における表面から深さ2μmまでの窒素原子数が1×1013個/cm2以上であり、かつ、上記窒素原子数が上記表面で最大値を示す、強化ガラス板。
【選択図】図1
【解決手段】窒素を含むガス雰囲気で発生させた大気圧プラズマの照射により強化層が形成された強化ガラス板であって、上記強化層における表面から深さ2μmまでの窒素原子数が1×1013個/cm2以上であり、かつ、上記窒素原子数が上記表面で最大値を示す、強化ガラス板。
【選択図】図1
Description
本発明は、強化ガラス板および強化ガラス板の製造方法に関する。
近年、強化ガラスの需要が高まっており、例えば、特許文献1,2には、従来の化学強化ガラスを代替するものとして、イオンビームを用いて強化された強化ガラスが開示されている。
イオンビームを用いることで、例えば、特許文献1の段落[0022]に記載されているように、ガラス板に窒素を注入して「ケイ素−窒素結合を形成することが可能」となり、「ガラスの強度を向上させる」ことができる。
しかしながら、イオンビームは打ち込みエネルギーが高いため、ガラス板の内部に窒素が激しく打ち込まれ、ガラス板にダメージを与えてしまうことがある。
しかしながら、イオンビームは打ち込みエネルギーが高いため、ガラス板の内部に窒素が激しく打ち込まれ、ガラス板にダメージを与えてしまうことがある。
ここで、本発明者らは、イオンビームを用いて強化したガラス板にについてさらに検討を行なった。
図7は、イオンビームを用いた場合の窒素原子数分布を示す概念図である。より詳細には、図7は、イオンビームを用いてガラス板に形成された強化層について、表面から内部への深さ方向の窒素原子数(単位は、個/cm2)を示している。
図7に示すように、イオンビームを用いた場合においては、表面よりも深いところに窒素原子数のピークが存在する。これは、打ち込みエネルギーが高いイオンビームによって、ガラス板の内部に窒素が激しく打ち込まれているためと考えられる。このような激しい打ち込みのため、ガラス板の内部にはダメージが与えられる。
図7は、イオンビームを用いた場合の窒素原子数分布を示す概念図である。より詳細には、図7は、イオンビームを用いてガラス板に形成された強化層について、表面から内部への深さ方向の窒素原子数(単位は、個/cm2)を示している。
図7に示すように、イオンビームを用いた場合においては、表面よりも深いところに窒素原子数のピークが存在する。これは、打ち込みエネルギーが高いイオンビームによって、ガラス板の内部に窒素が激しく打ち込まれているためと考えられる。このような激しい打ち込みのため、ガラス板の内部にはダメージが与えられる。
本発明は、以上の点を鑑みてなされたものであり、低ダメージで高強度化された強化ガラス板を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、大気圧プラズマを用いることで、与えるダメージを低減しつつ、ガラス板を高強度化できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(8)を提供する。
(1)窒素を含むガス雰囲気で発生させた大気圧プラズマの照射により強化層が形成された強化ガラス板であって、上記強化層における表面から深さ2μmまでの窒素原子数が1×1013個/cm2以上であり、かつ、上記窒素原子数が上記表面で最大値を示す、強化ガラス板。
(2)上記強化層が、希ガス原子を含む、上記(1)に記載の強化ガラス板。
(3)上記強化層が、端面を含む端部に形成されている、上記(1)または(2)に記載の強化ガラス板。
(4)上記端部がC面取りされている、上記(3)に記載の強化ガラス板。
(5)2層の圧縮応力層の間に1層の引張応力層を有し、上記端面に上記引張応力層が露出しており、当該露出した端面を含む上記端部に上記強化層が形成されている、上記(3)に記載の強化ガラス板。
(1)窒素を含むガス雰囲気で発生させた大気圧プラズマの照射により強化層が形成された強化ガラス板であって、上記強化層における表面から深さ2μmまでの窒素原子数が1×1013個/cm2以上であり、かつ、上記窒素原子数が上記表面で最大値を示す、強化ガラス板。
(2)上記強化層が、希ガス原子を含む、上記(1)に記載の強化ガラス板。
(3)上記強化層が、端面を含む端部に形成されている、上記(1)または(2)に記載の強化ガラス板。
(4)上記端部がC面取りされている、上記(3)に記載の強化ガラス板。
(5)2層の圧縮応力層の間に1層の引張応力層を有し、上記端面に上記引張応力層が露出しており、当該露出した端面を含む上記端部に上記強化層が形成されている、上記(3)に記載の強化ガラス板。
(6)ガラス板に、窒素を含むガス雰囲気下で発生させた温度500K以下の大気圧プラズマを照射して、強化ガラス板を得る、強化ガラス板の製造方法。
(7)上記ガス雰囲気が、さらに、希ガスを含む、上記(6)に記載の強化ガラス板の製造方法。
(8)上記ガラス板に化学強化処理を施した後、任意の形状に切断し、切断により露出した端面を含む端部に上記大気圧プラズマを照射する、上記(6)または(7)に記載の強化ガラス板の製造方法。
(7)上記ガス雰囲気が、さらに、希ガスを含む、上記(6)に記載の強化ガラス板の製造方法。
(8)上記ガラス板に化学強化処理を施した後、任意の形状に切断し、切断により露出した端面を含む端部に上記大気圧プラズマを照射する、上記(6)または(7)に記載の強化ガラス板の製造方法。
本発明によれば、低ダメージで高強度化された強化ガラス板を提供することができる。
以下、本発明の強化ガラス板について説明するとともに、併せて、本発明の強化ガラスの製造方法についても説明を行う。
図1は、本発明の強化ガラス板の第1の実施形態を模式的に示す断面図である。本発明の強化ガラス板1においては、後述する大気圧プラズマの照射によって、強化層2が形成されている。照射される大気圧プラズマが窒素を含むことで、強化層2においては、窒素が注入されて、ケイ素−窒素結合が形成され、これにより、ガラス板が強化されている。
なお、ここでいう「強化」とは、破壊靭性(破壊するときの亀裂先端での応力拡大係数KICで表され、クラックの進展しやすさを示す)を向上させることを意味する。破壊靭性の向上により、広い面においては高い耐擦傷性が得られ、端面においては欠けにくくなる等の効果が得られる。
また、本発明の強化ガラス板においては、表面(図1における主面3または端面4)から深さ2μmまでの上記強化層における窒素原子数が1×1013個/cm2以上である。上記窒素原子数が1×1013個/cm2より少ないと、所望の強化の効果が得られない。
一方、上記窒素原子数の上限値としては、特に限定されないが、多すぎると窒素が注入されていない部位との屈折率違いにより光学特性が変化するという理由から、5×1015個/cm2以下が好ましく、1×1015個/cm2がより好ましく、5×1014個/cm2がさらに好ましい。
一方、上記窒素原子数の上限値としては、特に限定されないが、多すぎると窒素が注入されていない部位との屈折率違いにより光学特性が変化するという理由から、5×1015個/cm2以下が好ましく、1×1015個/cm2がより好ましく、5×1014個/cm2がさらに好ましい。
そして、本発明においては、上記窒素原子数が、上記表面で最大値を示す。
図2は、本発明の強化ガラス板の窒素原子数分布を示す概念図である。より詳細には、図2は、本発明の強化ガラス板の強化層について、表面から内部への深さ方向の窒素原子数(単位は、個/cm2)の分布を示している。
図2に示すように、本発明の強化ガラス板においては、イオンビームを用いた場合(図7参照)とは異なり、最表面に窒素原子数のピークが存在している。すなわち、イオンビームを用いた場合と比較して、窒素がガラス板の内部に激しく打ち込まれておらず、ダメージを抑えつつ、ガラス板表面の高強度化が実現されていることが分かる。
図2は、本発明の強化ガラス板の窒素原子数分布を示す概念図である。より詳細には、図2は、本発明の強化ガラス板の強化層について、表面から内部への深さ方向の窒素原子数(単位は、個/cm2)の分布を示している。
図2に示すように、本発明の強化ガラス板においては、イオンビームを用いた場合(図7参照)とは異なり、最表面に窒素原子数のピークが存在している。すなわち、イオンビームを用いた場合と比較して、窒素がガラス板の内部に激しく打ち込まれておらず、ダメージを抑えつつ、ガラス板表面の高強度化が実現されていることが分かる。
なお、窒素原子数は、X線光電子分光分析装置(商品名:QuanteraSXM、アルバック・ファイ社製)を用いて測定した。XPS分析により検出される元素のそれぞれのピーク強度から、窒素原子濃度のプロファイルを求めた。
また、後述するように、照射される大気圧プラズマは、窒素のほか、プラズマ安定化の観点から、希ガスを含んでいるのが好ましい。そのため、このような大気圧プラズマの照射により形成された上記強化層は、希ガス原子を含んでいてもよい。
上記強化層が希ガス原子を含むことは、たとえ同じ窒素を含む強化層であっても、イオンビームを用いて形成されたものではなく、大気圧プラズマの照射により形成されたものであることの証拠となり得る。
上記強化層が希ガス原子を含むことは、たとえ同じ窒素を含む強化層であっても、イオンビームを用いて形成されたものではなく、大気圧プラズマの照射により形成されたものであることの証拠となり得る。
なお、上記強化層に含まれる希ガス原子としては、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等が挙げられ、ガラス板の処理中にアーキングを抑制し、ガラス板へのダメージを防ぐことができるという理由から、ヘリウム、アルゴンが好ましい。
また、上記強化層に含まれる希ガス原子の量は特に限定されないが、例えば、ヘリウムを含む場合、その原子数は、1×1014〜1×1015個/cm2が好ましく、1×1014〜5×1014個/cm2がより好ましい。
同様に、アルゴンを含む場合、その原子数は、1×1014〜1×1015個/cm2が好ましく、1×1014〜5×1014個/cm2がより好ましい。
なお、希ガス原子の測定方法は、窒素原子の測定方法と同様である。
また、上記強化層に含まれる希ガス原子の量は特に限定されないが、例えば、ヘリウムを含む場合、その原子数は、1×1014〜1×1015個/cm2が好ましく、1×1014〜5×1014個/cm2がより好ましい。
同様に、アルゴンを含む場合、その原子数は、1×1014〜1×1015個/cm2が好ましく、1×1014〜5×1014個/cm2がより好ましい。
なお、希ガス原子の測定方法は、窒素原子の測定方法と同様である。
次に、大気圧プラズマについて説明する。大気圧プラズマは、大気圧下で発生させたプラズマである。ここでいう「大気圧」とは、大気圧近傍の圧力であってもよく、具体的には、例えば、1.0×104〜1.5×105Paの圧力が挙げられる。
大気圧プラズマは、低圧プラズマ(真空プラズマ)とは異なって、真空装置が不要であるため処理コストが低く、簡単な装置構成ですむという利点がある。また、連続処理に向いており、生産性も高い。
そして、大気圧プラズマにより大面積処理が可能となるため、処理面積が狭いイオンビームを用いた場合と比較しても、処理コストの低減を図ることができる。
大気圧プラズマは、低圧プラズマ(真空プラズマ)とは異なって、真空装置が不要であるため処理コストが低く、簡単な装置構成ですむという利点がある。また、連続処理に向いており、生産性も高い。
そして、大気圧プラズマにより大面積処理が可能となるため、処理面積が狭いイオンビームを用いた場合と比較しても、処理コストの低減を図ることができる。
本発明においては、例えば、大気圧下で、窒素を含むガス雰囲気中で、対向する電極間に高周波電圧を印加して放電させることにより、プラズマを発生させ、これをガラス板の任意の部位に照射する、大気圧プラズマ装置を用いることができる。
プラズマをガラス板に照射する方法としては、例えば、対向する電極間で発生したプラズマ中にガラス板を配置する方法、発生したプラズマをガス流等によりガラス板に吹き出す方法(リモートプラズマともいう)等が挙げられる。なお、リモートプラズマであれば、プラズマが生成する部位とガラス板とが離れるため、例えば、ガラス板の放電損傷が少ない、ガラス板の形状や種類に応じてプラズマの安定度が変化しない等のメリットがあるため、好ましい。
プラズマをガラス板に照射する方法としては、例えば、対向する電極間で発生したプラズマ中にガラス板を配置する方法、発生したプラズマをガス流等によりガラス板に吹き出す方法(リモートプラズマともいう)等が挙げられる。なお、リモートプラズマであれば、プラズマが生成する部位とガラス板とが離れるため、例えば、ガラス板の放電損傷が少ない、ガラス板の形状や種類に応じてプラズマの安定度が変化しない等のメリットがあるため、好ましい。
図3は、大気圧プラズマ装置を概略的に示す模式図である。図3中、11はガラス板、21は電源、22および23は電極、24はガス導入管を、それぞれ示す。図3において、ガスは矢印方向にガス導入管から電極どうしの間の放電空間に導入され、電極間に電界を印加することによりプラズマを発生させ、発生したプラズマをガラス板11に照射する。すなわち、図3に示す装置は、リモートプラズマ方式である。このとき、ガラス板11を移動させることにより、任意の部位に、プラズマが照射される。
本発明に用いられる大気圧プラズマ装置としては、特に限定されず、例えば、特開2008−041429号公報、特開2009−082796号公報などの文献に記載された従来公知のプラズマ装置を用いることができる。
本発明においては、大気圧プラズマをガラス板に照射するが、このとき、ガラス板のダメージをより軽減する観点から、大気圧プラズマの温度は、500K以下が好ましく、400K以下がより好ましく、300〜350Kがさらに好ましい。
また、大気圧プラズマの流束は、ガラス板の単位面積に対して、原子数に換算して、1×1016〜1×1017個/cm2/秒となるように照射するのが好ましく、2×1016〜1×1017個/cm2/秒がより好ましい。
このとき、大気圧プラズマの照射時間は、10〜100秒間が好ましく、10〜50秒間がより好ましい。
このとき、大気圧プラズマの照射時間は、10〜100秒間が好ましく、10〜50秒間がより好ましい。
大気圧プラズマを発生させるガス雰囲気としては、少なくとも窒素(窒素ガス)を含むものであって、窒素の割合が多いほど好ましい。実用的な観点から、窒素含有量は、30体積%以上であるのが好ましく、50体積%以上であるのがより好ましい。
また、本発明においては、上述したように、プラズマを安定化させる観点から、大気圧プラズマを発生させるガス雰囲気が、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスを含んでいるのが好ましい。
上記ガス雰囲気が希ガスを含む場合、その含有量は、50体積%以下が好ましく、30体積%以下がより好ましい。
上記ガス雰囲気が希ガスを含む場合、その含有量は、50体積%以下が好ましく、30体積%以下がより好ましい。
図4は、本発明の強化ガラス板の第2の実施形態を模式的に示す断面図である。強化層2が形成される部位は特に限定されず、例えば、図1に示すように、主面3および端面4からなる全表面を含む部位に形成されていてもよいし、図4に示すように、端面4を含む端部のみに形成されていてもよい。
図5は、本発明の強化ガラス板の第3の実施形態を模式的に示す断面図である。図5に示す強化ガラス1は、例えば、建築用のガラス板であって、その端部がC面取りされている。
図5は、本発明の強化ガラス板の第3の実施形態を模式的に示す断面図である。図5に示す強化ガラス1は、例えば、建築用のガラス板であって、その端部がC面取りされている。
一般的に、ガラス板の端部は、その鋭利な形状から強い衝撃を受けやすく、割れ起点になりやすいが、図4および図5に示すように、本発明の強化ガラス板においては、端面を含む端部に上記強化層が形成されているため、割れ起点になりやすい端部が強化されている。
本発明に用いられるガラス板の全幅(図1中、左右方向の距離)および厚さ(図1中、上下方向の距離)は、特に限定されず、本発明の強化ガラス板が適用される用途に応じて、適宜選択できる。
例えば、例えば、携帯機器に使用されるとき、全幅は、15〜300mmが好ましく、20〜250mmがより好ましい。また、厚さは、0.2〜1.1mmが好ましく、0.4〜0.9mmがより好ましい。
なお、LCDやPDP等のディスプレイ装置に使用される場合には、全幅は、2500mm以下が好ましく、2000mm以下がより好ましい。また、厚さは、1.1mm以下が好ましく、0.9mm以下がより好ましい。
例えば、例えば、携帯機器に使用されるとき、全幅は、15〜300mmが好ましく、20〜250mmがより好ましい。また、厚さは、0.2〜1.1mmが好ましく、0.4〜0.9mmがより好ましい。
なお、LCDやPDP等のディスプレイ装置に使用される場合には、全幅は、2500mm以下が好ましく、2000mm以下がより好ましい。また、厚さは、1.1mm以下が好ましく、0.9mm以下がより好ましい。
本発明に用いられるガラス板のガラス組成は特に限定されない。また、加熱融着等により積層された複数枚のガラス板からなるものであってもよく、その場合、各ガラス板のガラス組成は、同一であっても互いに異なっていてもよい。
もっとも、大気圧プラズマが照射される前のガラス板に、化学強化処理が施されていてもよい。その場合、ガラス板としては、アルカリ成分を含有するガラスを選択する必要があり、ソーダライムガラスやアルカリアルミノシリケートガラスが好ましい。
もっとも、大気圧プラズマが照射される前のガラス板に、化学強化処理が施されていてもよい。その場合、ガラス板としては、アルカリ成分を含有するガラスを選択する必要があり、ソーダライムガラスやアルカリアルミノシリケートガラスが好ましい。
図6は、本発明の強化ガラス板の第4の実施形態を模式的に示す断面図である。
図6(a)は、未処理のガラス板11を示す断面図であり、このような未処理のガラス板11に対して、後述する化学強化処理が施される。
図6(b)は、化学強化処理が施されたガラス板11を示す断面図である。ガラス板11の表面(主面3および端面4)を含む部位には、化学強化処理が施されて、圧縮応力が発生した化学強化層41が形成されている。このとき、化学強化処理が施されていないガラス板11の内部には、総体的に引張応力が発生し、引張応力層42が形成されている。
なお、化学強化層41の深さは特に限定されず、例えば、15〜50μmが挙げられ、その圧縮応力も特に限定されず、例えば、600〜2000MPaが挙げられる。
また、引張応力層42の引張応力も特に限定されず、例えば、30〜100MPaが挙げられる。
図6(a)は、未処理のガラス板11を示す断面図であり、このような未処理のガラス板11に対して、後述する化学強化処理が施される。
図6(b)は、化学強化処理が施されたガラス板11を示す断面図である。ガラス板11の表面(主面3および端面4)を含む部位には、化学強化処理が施されて、圧縮応力が発生した化学強化層41が形成されている。このとき、化学強化処理が施されていないガラス板11の内部には、総体的に引張応力が発生し、引張応力層42が形成されている。
なお、化学強化層41の深さは特に限定されず、例えば、15〜50μmが挙げられ、その圧縮応力も特に限定されず、例えば、600〜2000MPaが挙げられる。
また、引張応力層42の引張応力も特に限定されず、例えば、30〜100MPaが挙げられる。
化学強化処理は、概略的には、ガラス板に存在するアルカリ成分(例えば、Liイオン、Naイオン等のアルカリ金属イオンであり、以下「小径アルカリ成分」ともいう)を、イオン半径がより大きいアルカリ成分(例えば、Kイオン等のアルカリ金属イオンであり、以下「大径アルカリ成分」ともいう)で置換する、いわゆるイオン交換処理である。
そのため、化学強化層41における大径アルカリ成分の濃度は、引張応力層42のそれよりも高い。すなわち、大径アルカリ成分の濃度の違いによって、化学強化層41と引張応力層42とを、明確に区別することができる。
そのため、化学強化層41における大径アルカリ成分の濃度は、引張応力層42のそれよりも高い。すなわち、大径アルカリ成分の濃度の違いによって、化学強化層41と引張応力層42とを、明確に区別することができる。
化学強化処理の方法としては、具体的には、例えば、ガラス板を硝酸カリウム(KNO3)溶融塩に15分〜5時間浸漬させる方法が挙げられる。化学強化処理は、浸漬の前処理として、ヒータ等を用いて予熱する予熱処理を含んでいてもよい。化学強化処理(予熱処理を含む)の温度としては、例えば、550℃以下が挙げられる。
図6(b)に示すガラス板11は、次に、所定の寸法となるように、端面4を含む端部が切断される。このとき、切断方法としては、特に限定されず、公知の切断方法が用いられ、例えば、ダイヤモンドカッターで切断線を刻設した後に折り割りする方法や、ダイシング装置で切断する方法などが挙げられる。
図6(c)は、端部が切断されたガラス板11を示す断面図である。図6(c)のガラス板11は、端部が切断されたことにより、2層の圧縮応力層41の間に、1層の引張応力層42を有する。そして、上記切断により、図6(c)のガラス板11には、新たに端面4が現れ、この端面4には、引張応力層42が露出している。引張応力層42が端面4に露出すると、ガラス板11の端面強度が弱くなり、割れの原因となる場合がある。
そこで、引張応力層42が露出した端面4に、大気圧プラズマを照射して、端面4を含む端部を強化する。
そこで、引張応力層42が露出した端面4に、大気圧プラズマを照射して、端面4を含む端部を強化する。
図6(d)は、大気圧プラズマの照射による強化層2が端部に形成された強化ガラス板1を示す断面図である。図6(d)に示す強化ガラス板1においては、端部に強化層2が形成されているため、端面4からの引張応力層42の露出が抑制され、端面強度に優れる。したがって、図6(d)に示す強化ガラス板1においては、例えば、携帯使用されるため端面に衝撃を受けやすい携帯機器(例えば、スマートフォンやタブレットPC等)に搭載されるカバーガラスとして好適に用いられる。
なお、図6(d)では、引張応力層42にのみ強化層2が形成されているが、圧縮応力層41を含む端部の全体に強化層2が形成されるようにしてもよい。
なお、図6(d)では、引張応力層42にのみ強化層2が形成されているが、圧縮応力層41を含む端部の全体に強化層2が形成されるようにしてもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
図3の大気圧プラズマ装置を用いた。電極間の放電空間にガス導入管から、大気圧下で、混合ガス(窒素:50体積%、アルゴン:50体積%)を導入して、駆動周波数13.56MHzのRF電源によって、環境温度300Kのプラズマを発生させた。発生したプラズマを、後述する図8に示すようにガラス板に照射して、強化ガラス板を得た。
図8は、発生したプラズマをガラス板に照射している状態を示す斜視図である。図8中、30は発生したプラズマを示す。電極からガラス板(商品名:AN100、旭硝子社製)までの距離を2mmに維持しながら、ガラス板を5cm/分の速度で、図8中矢印で示す方向に移動させて、プラズマをガラス板に照射した。このとき、プラズマの流束は、照射されるガラス板に対して、1×1016個/cm2/秒となるように調整した。
図8は、発生したプラズマをガラス板に照射している状態を示す斜視図である。図8中、30は発生したプラズマを示す。電極からガラス板(商品名:AN100、旭硝子社製)までの距離を2mmに維持しながら、ガラス板を5cm/分の速度で、図8中矢印で示す方向に移動させて、プラズマをガラス板に照射した。このとき、プラズマの流束は、照射されるガラス板に対して、1×1016個/cm2/秒となるように調整した。
得られた強化ガラス板について、X線光電子分光分析装置(商品名:QuanteraSXM、アルバック・ファイ社製)を使用して、注入された窒素原子数を測定した。X線光電子分光分析(以下、「XPS分析」ともいう)の測定条件としては、X線源に単色化AlKα線を25Wで用い、ラスターサイズを3mm角、パスエネルギーを140eVとし、スパッタイオンにはArイオンを用いた。XPS分析により検出される元素のそれぞれのピーク強度から、窒素原子濃度のプロファイルを求めた。
その結果、表面から深さ2μmまでの窒素原子数の平均値は2.5×1015個/cm2であり、表面で最大値(5×1015個/cm2)を示した。
同様にしてアルゴン原子数を測定したところ、アルゴン原子数の平均値は、1×1014個/cm2であった。
その結果、表面から深さ2μmまでの窒素原子数の平均値は2.5×1015個/cm2であり、表面で最大値(5×1015個/cm2)を示した。
同様にしてアルゴン原子数を測定したところ、アルゴン原子数の平均値は、1×1014個/cm2であった。
また、得られた強化ガラス板について、JIS R 1601:2008に準じて4点曲げ強度試験を行った結果、250MPaとなり、大気圧プラズマを照射する処理を施さない場合の強度(120MPa)に比べて、ガラスの強化が実現できた。
1 強化ガラス板
2 強化層
3 主面
4 端面
11 ガラス板
21 電源
22 電極
23 電極
24 ガス導入管
30 プラズマ
41 圧縮応力層
42 引張応力層
2 強化層
3 主面
4 端面
11 ガラス板
21 電源
22 電極
23 電極
24 ガス導入管
30 プラズマ
41 圧縮応力層
42 引張応力層
Claims (8)
- 窒素を含むガス雰囲気で発生させた大気圧プラズマの照射により強化層が形成された強化ガラス板であって、前記強化層における表面から深さ2μmまでの窒素原子数が1×1013個/cm2以上であり、かつ、前記窒素原子数が前記表面で最大値を示す、強化ガラス板。
- 前記強化層が、希ガス原子を含む、請求項1に記載の強化ガラス板。
- 前記強化層が、端面を含む端部に形成されている、請求項1または2に記載の強化ガラス板。
- 前記端部がC面取りされている、請求項3に記載の強化ガラス板。
- 2層の圧縮応力層の間に1層の引張応力層を有し、前記端面に前記引張応力層が露出しており、当該露出した端面を含む前記端部に前記強化層が形成されている、請求項3に記載の強化ガラス板。
- ガラス板に、窒素を含むガス雰囲気下で発生させた温度500K以下の大気圧プラズマを照射して、強化ガラス板を得る、強化ガラス板の製造方法。
- 前記ガス雰囲気が、さらに、希ガスを含む、請求項6に記載の強化ガラス板の製造方法。
- 前記ガラス板に化学強化処理を施した後、任意の形状に切断し、切断により露出した端面を含む端部に前記大気圧プラズマを照射する、請求項6または7に記載の強化ガラス板の製造方法。
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JPWO2021044924A1 (ja) * | 2019-09-03 | 2021-09-27 | 興亜硝子株式会社 | 無機組成物及び無機組成物の製造方法 |
WO2022031463A1 (en) * | 2020-08-04 | 2022-02-10 | Lyten, Inc. | Toughened carbon-containing glass materials |
-
2013
- 2013-03-11 JP JP2013047953A patent/JP2014172793A/ja active Pending
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