JP2014172078A - 結晶金属体と金属ガラス体の接合体とその製造方法及び溶接用治具 - Google Patents
結晶金属体と金属ガラス体の接合体とその製造方法及び溶接用治具 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】中実な結晶金属体1と金属ガラス体2を円形の突き合わせ面で高エネルギービームを照射することにより溶接接合する。結晶金属体1と金属ガラス体2の突き合わせ面側に凹部と凸部を設け、それらを嵌合させた状態で溶接するとより良い。また、結晶金属体1からなる本体部先端側の斜面部の一部にリング状の凹部を形成し、そのリング状の凹部に固定される金属ガラス体2のリング状部に高エネルギービーム5を照射することにより溶接接合する。
【選択図】図3
Description
このことからも、ディーゼルエンジンは環境対応内燃機関である。日本のハイブリッド車はガソリンエンジンと電気モーターの組み合わせであるが、これを世界一厳しい日本の規制をクリアするディーゼルエンジンを開発し、ハイブリッドとすることによって、さらにCO2排出量の削減が可能となる。
さらに、特許文献1には、ニードルバルブの先端部を金属ガラスで、基部をSUS316Lのような鍛造合金鋼で作成し、先端部の金属ガラスと基部の鍛造合金鋼(結晶金属)とを接合する点及びその接合に際しては、特許文献2や特許文献3に開示された高エネルギービームによる継ぎ手のような接合技術を適用することが開示されている。
そして、先端部の金属ガラスと基部の鍛造合金鋼(結晶金属)との具体的な接合の方法として、結晶金属からなる基部側に切欠空間を形成するとともに、金属ガラスからなる先端部の側に高エネルギービームの照射位置をシフトして行う旨説明している(図2及び段落0021〜0023)。
とりわけ、前記金属ガラス体又は前記結晶金属体の突き合わせ面の中央には、前記金属ガラス体又は前記結晶金属体と同軸の平面視が円形の凹部が形成されるとともに、前記金属ガラス体又は前記結晶金属体と溶接接合される結晶金属体又は金属ガラス体の突き合わせ面の中央には、前記凹部と同形状の凸部を形成しておくと、凹部に凸部が嵌入して固定され、かつ溶接接合面の面積が広がるため、より強固に溶接接合された接合体を得ることができる。なお、結晶金属体の中央に前記凹部を設けた場合には、接合する金属ガラス体に凸部を設ける代わりに前記凹部を別の金属ガラス体で埋めた上で溶接接合するものとしても、高エネルギービームを照射した時に2つの金属ガラス体が境界部で溶けて融合した上で固化するため、溶接接合後の強度にそれほど大きな差は生じない。
そして、これらの接合体を製造するための溶接接合方法は、次の工程からなる。
a.結晶金属体の突き合わせ面と金属ガラス体の突き合わせ面を、両者の中心軸を合致させ突き合わせた状態で前記中心軸の両側から押し付けて保持
b.結晶金属体と金属ガラス体を保持した状態で、両者を前記中心軸の回りに同期して回転
c.結晶金属体と金属ガラス体を同期して回転させながら、金属ガラス体の突き合わせ面より金属ガラス体寄りに高エネルギービームを照射して結晶金属体と金属ガラス体を溶接接合
そして、この接合体を製造するための溶接接合方法は、次の工程からなる。
a.結晶金属体の斜面部の凹部にリング状の金属ガラス体又はワイヤ状の金属ガラス体を嵌入した状態で保持
b.その結晶金属体の凹部にリング状の金属ガラス体又はワイヤ状の金属ガラス体を保持した状態で、両者を結晶金属体の中心軸の回りに回転
c.リング状又はワイヤ状の金属ガラス体の上面側から高エネルギービームを照射して結晶金属体と金属ガラス体を溶接接合
そして、この接合体を製造するための溶接接合方法は、次の工程からなる。
a.前記結晶金属体の基端部の上面に前記金属ガラス体を保持
b.前記結晶金属体の基端部の上面に、前記金属ガラス体を保持した状態で、両者を前記結晶金属体の中心軸の回りに回転
c.前記基端部の上面と前記金属ガラス体の下面との接合面より前記金属ガラス体寄りに側方から高エネルギービームを照射して前記基端部の上面と前記金属ガラス体の下面を溶接接合するとともに、前記金属ガラス体の中心の穴より前記金属ガラス体寄りに上方から高エネルギービームを照射して前記突起の側面と前記穴の内側面を溶接接合
a.突き合わせ面が円形である中実の円柱状、円錐台状又はそれらを組み合わせた形状の結晶金属体を水平方向(y軸方向)に保持できる第1の支持体
b.突き合わせ面が円形である中実の円柱状、円錐台状、円錐状又はそれらを組み合わせた形状の金属ガラス体をy軸方向に保持できる第2の支持体
c.一対の支持体を、それぞれy軸を中心に同期して回転させる回転駆動機構
d.一対の支持体の中間部において、y軸上の一点に向けて高エネルギービームを照射する照射装置
e.一対の支持体をそれぞれy軸方向に移動させる位置調整機構
f.一対の支持体又は照射装置をz軸方向に移動させる焦点調整機構
a.突き合わせ面が円形である中実の円柱状、円錐台状又はそれらを組み合わせた形状の結晶金属体を鉛直方向(z軸方向)に保持できる第1の支持体
b.突き合わせ面が円形である中実の円柱状、円錐台状、円錐状又はそれらを組み合わせた形状の金属ガラス体をz軸方向に保持できる第2の支持体
c.一対の支持体を、それぞれz軸を中心に同期して回転させる回転駆動機構
d.一対の支持体の中間部において、z軸上の一点に向けて高エネルギービームを照射する照射装置
e.一対の支持体をそれぞれz軸方向に移動させる位置調整機構
f.一対の支持体又は照射装置をy軸方向に移動させる焦点調整機構
a.先端部が円錐状又は円錐台状の結晶金属体を保持できる水平な上面を有する支持体
b.前記支持体を、鉛直軸を中心に回転させる回転駆動機構
c.前記支持体の上方の一点に向けて高エネルギービームを照射する照射装置
d.支持体を水平方向に移動させる水平位置調整機構
e.支持体を鉛直方向に移動させる鉛直位置調整機構
a.円柱状又は円錐台状の基端部の上面に、該基端部より径が小さく該基端部と同じ中心軸を有する平面視が円形状の突起が形成されている結晶金属体を保持できる水平な上面を有する支持体
b.支持体を、鉛直軸を中心に回転させる回転駆動機構
c.支持体の側方から鉛直軸上の一点に向けて高エネルギービームを照射する第1の照射装置と、支持体の上方の一点に向けて高エネルギービームを照射する第2の照射装置
d.支持体を水平方向に移動させる水平位置調整機構
e.支持体を鉛直方向に移動させる鉛直位置調整機構
そして、金属ガラスは鍛造合金鋼と比較して、高強度、高弾性変形能、高耐摩耗性、高耐食性、超精密鋳造性といった優れた特性を有している。具体的には、ステンレス鋼(SUS316L)の引張り強度が650MPaであるのに対し、金属ガラスの引張り強さは1700MPa、ヤング率はステンレス鋼のヤング率が204GPaであるのに対し、金属ガラスのヤング率は86GPaである。
そのため、金属ガラスをインジェクションノズルのニードルバルブ先端部に適用することによって、ニードルバルブ先端部にゴムのような弾力を持たせることができるので、燃料噴射圧力の高圧化に耐えつつ、高い応答性とシール性とを併せ持たせることができる。
さらに、結晶金属体の一部のみに金属ガラス体を溶接接合した接合体をニードルバルブ先端部に適用すれば、少量の金属ガラス体によって、良い特性のニードルバルブを作成することができるので経済的である。
そして、高性能のインジェクションノズルを実現することで、我が国におけるディーゼル車の排ガス規制をクリアすることが可能となり、ディーゼルエンジンハイブリッド車の普及にも貢献できる。
結晶金属体1にはSKH51鋼を用い、金属ガラス体2にはZr67.9Nb6.1Cu12.8Ni9.7Al3.5を用いた。
また、結晶金属体1の突き合わせ面の周囲には、高エネルギービームを照射したとき結晶金属体1が溶融して金属ガラス体2と混ざり合わないようにするため、開先空間が形成されている。
結晶金属体1からなる基部と金属ガラス体2からなる先端部は、図3に示すように、いずれも中実であり、結晶金属体1の突き合わせ面側の中央には、結晶金属体1と同軸の円筒形の凹部3が形成され、金属ガラス体2の突き合わせ面側の中央には、金属ガラス体2と同軸の円筒形の凸部4が形成されている。
円筒形の凹部3と凸部4は同形状であり、結晶金属体1の突き合わせ面と金属ガラス体2の突き合わせ面を突き合わせた時、凸部4が凹部3に嵌り込むようになっている。
結晶金属体1及び金属ガラス体2の突き合わせ面は、直径が3〜6mm、凹部3と凸部4は、直径が0.5〜2mmである。
そして、一定の速度で回転させながら、結晶金属体1と金属ガラス体2の接合部より金属ガラス体2寄りに高エネルギービーム5を照射して結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接接合する。
具体的には、分速5〜50回転(5〜50rpm)で、0.1〜0.2mm金属ガラス体2寄りに(シフト量0.1〜0.2mmで)、出力0.3〜1kWの連続的な電子ビーム若しくはレーザービーム、又は出力1〜1.5kW、パルス幅1〜5ミリ秒(1〜5msec)、周波数5〜20Hzのパルス状レーザービームを照射して、結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接接合する。より好ましくは、15〜25rpm、シフト量0.13〜0.17mmで、出力0.5〜0.7kWの連続的な電子ビーム若しくはレーザービーム、又は出力1.1〜1.3kW、パルス幅2〜4msec、周波数8〜12Hzのパルス状レーザービームを照射して、結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接接合する。
このうち、パルス状レーザービームを照射して、結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接接合したものにおいては、連続的な電子ビーム若しくはレーザービームを照射して接合したものに比べて、より低入熱で急熱急冷できるため、結晶化が生じない溶接を実現でき、引っ張り試験及び曲げ試験を行った結果、より高い強度が得られることを確認できた。
図6〜8においては、水平の前後方向をx軸、水平の左右方向をy軸、上下方向(鉛直方向)をz軸として説明する。
そのため、この回転治具は、2つの被溶接体6をそれぞれ片側から支持することのできる左右一対の支持体と、その一対の支持体を、それぞれy軸を中心に同期して一方向に回転させることのできる回転駆動機構と、一対の支持体の中間部においてy軸上の一点に向けて高エネルギービームを照射することのできる照射装置と、一対の支持体をそれぞれy軸方向に移動させることのできる位置調整機構と、一対の支持体又は照射装置をz軸方向に移動させる焦点調整機構とを備えている。
また、高エネルギービームは、通常は回転治具の上方に設置されている照射装置から回転治具のほぼ中央に真下に向かって照射されるが、被溶接体6への入射角度をyz平面において10度程度変化させることができるようになっている。
この角度変化によって、高エネルギービームの照射経路を被溶接体6の表面付近では突き合わせ面から離し、被溶接体6の中心付近では突き合わせ面に近接するように調整することができるので、突き合わせ面の表面から中心まで均一な溶接接合状態が得られる。
なお、高エネルギービームは上方からに限らず下方から照射しても良いし、前方又は後方(x軸方向)から照射しても良いが、上方から照射した方が溶けた金属ガラスが重力によって落ちにくいので好ましい。
図7においては、金属ガラス体と結晶金属体を上下方向(z軸方向)から押し付けて保持し、中心軸(z軸)の回りに回転させ、高エネルギービームを右方(y軸方向)から照射する。
高エネルギービームは右方からに限らず左方から照射しても良いし、前方又は後方(x軸方向)から照射しても良い。なお、図7においては、どの方向から照射しても重力の影響は同じなので、他の装置との兼ね合い等を考慮して適宜の位置を選択すれば良い。
その他の構成は、図6のものに対して、y軸方向とz軸方向が入れ替わっているだけであり、基本的な構成は全く同じである。
実施例1と同様、結晶金属体にはSKH51鋼を用い、金属ガラス体にはZr67.9Nb6.1Cu12.8Ni9.7Al3.5を用いた。
結晶金属体からなる本体部の斜面部には図4に示すような浅いリング状の凹部又は図5に示すような深い円錐台状の凹部が形成され、図4の場合は凹部の深さより若干厚いリング状の金属ガラス体2が嵌入して固定されるようになっており、図5の場合は結晶金属体1先端部の凸部に挿入可能な中心に円筒状の穴を有する円錐台形状の金属ガラス体2が深い円錐台状の凹部から少しはみ出すように固定されるようになっている。
結晶金属体1は、その基端側の直径が3〜6mm、リング状の凹部は、上端側の直径が1〜2mm、下端側の直径が2〜4mm、深さが0.4〜0.8mm、リング状の金属ガラス体2は、リング状の凹部とほぼ同形状で、厚さが0.5〜1mm、円筒状の穴を有する円錐台形状の金属ガラス体2は、円筒状の穴の直径が1〜2mm、上面の直径が1.2〜2.4mm、下面の直径が2〜4mm、厚さが1〜2mmである。
そして、一定の速度で回転させながら、リング状の金属ガラス体2の場合、金属ガラス体2の表面側から上面に高エネルギービーム5をほぼ垂直に照射して金属ガラス体2と結晶金属体1を溶接接合した。
具体的には、出力1〜2kWの連続的な電子ビーム若しくはレーザービームを、その集光位置が金属ガラス体2の表面より5〜12mm高い位置になるように設定して(デフォーカス量−5〜−12mmで)照射しつつ、金属ガラス体2を周方向に線速度毎秒50〜150mm(溶接速度50〜150mm/sec)で回転させて、結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接接合するか、出力1.5〜2.5kW、パルス幅1〜5msec、周波数5〜20Hzのパルス状レーザービームをデフォーカス量−2〜−8mmで照射しつつ、金属ガラス体2を溶接速度1〜5mm/secで回転させて、結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接接合する。より好ましくは、出力1.3〜1.7kWの連続的な電子ビーム若しくはレーザービームを、デフォーカス量−6〜−10mmで照射しつつ、金属ガラス体2を溶接速度80〜120mm/secで回転させて、結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接接合するか、出力1.8〜2.2kW、パルス幅2〜4msec、周波数8〜12Hzのパルス状レーザービームをデフォーカス量−4〜−6mmで照射しつつ、金属ガラス体2を溶接速度2〜4mm/secで回転させて、結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接接合する。
また、円錐台形状の金属ガラス体2の場合、金属ガラス体2の下面と結晶金属体1との接合部より金属ガラス体2寄りにy軸方向から高エネルギービーム5を照射するとともに、金属ガラス体2中心の穴の内面と結晶金属体1の凸部との接合部より金属ガラス体2寄りにz軸方向から高エネルギービーム5を照射して結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接接合する。
具体的には、実施例1の場合と同様に、5〜50rpm、シフト量0.1〜0.2mmで、出力0.3〜1kWの連続的な電子ビーム若しくはレーザービーム、又は出力1〜1.5kW、パルス幅1〜5msec、周波数5〜20Hzのパルス状レーザービームを照射して、結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接接合する。より好ましくは、15〜25rpm、シフト量0.13〜0.17mmで、出力0.5〜0.7kWの連続的な電子ビーム若しくはレーザービーム、又は出力1.1〜1.3kW、パルス幅2〜4msec、周波数8〜12Hzのパルス状レーザービームを照射して、結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接接合する。
図8に示す高エネルギービーム溶接用回転治具は、金属ガラス体2を固定した結晶金属体1を支持体上に載置して保持しながら、支持体の下方側にある駆動装置により一方向に回転させることができるようになっている。
そのため、この回転治具は、被溶接部材を保持できる水平な上面を有する支持体と、その支持体を、z軸を中心に一方向に回転させることのできる回転駆動機構と、その支持体をy軸方向に移動させる水平位置調整機構と、その支持体をz軸方向に移動させる鉛直位置調整機構とを備えている。
また、高エネルギービームは、回転治具の上方及び側方に設置されている高エネルギービーム照射装置から、それぞれほぼ真下及び支持体の中心軸に向かって照射されるが、上方の高エネルギービームは被溶接体6への入射角度をyz平面において10度程度変化させることができるようになっており、側方の高エネルギービームはyz平面において80度程度変化させることができるようになっている。
上方の高エネルギービームについては、この角度変化によって高エネルギービームの照射経路を被溶接体6の表面付近では突き合わせ面から離し、被溶接体6の中心付近では突き合わせ面に近接するように調整することができるので、突き合わせ面の表面から中心まで均一な溶接接合状態が得られる。
側方の高エネルギービームについては、この角度変化によって上方の高エネルギービームと同様の調整ができるだけでなく、リング状の金属ガラス体の上面に高エネルギービームをほぼ垂直に照射することができる。
(1)実施例1においては、結晶金属体1の突き合わせ面の周囲に、開先空間が形成されているが、高エネルギービーム5の被溶接体6への入射角度を変化させ、高エネルギービーム5の照射経路を被溶接体6の表面付近では突き合わせ面から離すことで、結晶金属体1の溶融を避けることができるので、必ずしも必要ない。
(2)実施例1においては、結晶金属体1の突き合わせ面側の中央に結晶金属体1と同軸の円筒形の凹部3が形成され、金属ガラス体2の突き合わせ面側の中央には、金属ガラス体1と同軸の円筒形の凸部4が形成されているが、これらの凹部3及び凸部4はなくても高エネルギービーム5の強度や入射角度を最適化することで、結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接接合することができる。
具体的には、パルス状レーザービームを照射して、結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接接合した実施例1のものと、凹部3のない結晶金属体1と凸部4のない金属ガラス体2に、実施例1と同様の条件でパルス状レーザービームを照射して溶接接合したものについて、引っ張り試験及び曲げ試験を行った結果、引っ張り試験ではその強度は変わらず、曲げ試験では5%ほど強度は下がるものの十分な強度が得られることを確認できた。
また、金属ガラス体2には円筒形の凸部を形成せず、結晶金属体1に形成した凹部を別の金属ガラス体で埋めて、結晶金属体1と金属ガラス体2を突き合わせて同様に高エネルギービームを照射すれば、2つの金属ガラス体が境界部で溶けて融合した上で固化するため、良好に溶接接合することができる。
さらに、結晶金属体1の突き合わせ面側の中央に結晶金属体1と同軸の円筒形の凸部を形成し、金属ガラス体2の突き合わせ面側の中央に金属ガラス体と同軸の円筒形の凹部を形成しても良い。
(3)実施例1においては、結晶金属体1と金属ガラス体2を溶接する際に、図6又は図7に示す高エネルギービーム溶接用回転治具を用いたが、結晶金属体1及び金属ガラス体2の一方に凹部、他方に凸部を形成した場合、凸部が凹部に嵌入することで溶接前から両者が固定されるので、図8に示す高エネルギービーム溶接用回転治具も利用可能である。
(4)実施例2においては、凹部より若干厚いリング状の金属ガラス体2を用いたが、ワイヤ状の金属ガラス体の固定と、表面側からの高エネルギービーム5の照射による溶接接合を繰り返してリング状の凹部を金属ガラス体で埋めても良い。
また、粉状の金属ガラス体をリング状の凹部に流し込む工程と、表面側から高エネルギービーム5を照射する工程を繰り返してリング状の凹部を金属ガラス体で埋めても良い。
(5)実施例2において、リング状の金属ガラス体に表面側から高エネルギービームを照射するに際して、ビームの周囲に不活性ガスを流して溶接接合すると接合強度が向上する。
(6)実施例1及び2においては、結晶金属材として、強度が高く金属ガラスとの溶接も行いやすいSKH51鋼を用いたが、この材質に限らず、SKH51鋼以外のハイス鋼や、SUS316L鋼等のステンレス鋼も利用可能である。
また、金属ガラス材として、Zr67.9Nb6.1Cu12.8Ni9.7Al3.5を用いたが、この材質に限らず、Zr41Be23Ti14Cu12Ni10やZr55Al10Ni5Cu30等も利用可能である。
(7)高エネルギービーム5を照射する際の具体的条件の最適値については、その回転速度、シフト量、デフォーカス量、出力、パルス幅、周波数ともに、結晶金属体1と金属ガラス体2の大きさ、厚さ、材質等によって、それぞれ異なる。
また、高エネルギービームも電子ビーム及びレーザービームに限らず、イオンビーム等も利用可能である。
(8)実施例1及び2においては、結晶金属体1と金属ガラス体2を一定の速度で回転させながら高エネルギービーム5を照射したが、結晶金属体1と金属ガラス体2を間歇的に回転させながら高エネルギービーム5を照射しても良い。その場合、間歇的な回転とパルス状レーザービームの照射タイミングを関連づけても良い。
(9)実施例1及び2においては、結晶金属体1と金属ガラス体2を直接突き合わせて溶接接合したが、両者の接合部にZrをコーティングした上で高エネルギービーム5を照射すると、溶接接合状態を向上させることができる。
2 金属ガラス体
3 凹部
4 凸部
5 高エネルギービーム
Claims (17)
- 突き合わせ面が円形である中実の円柱状、円錐台状又はそれらを組み合わせた形状の結晶金属体と、
突き合わせ面が円形である中実の円柱状、円錐台状、円錐状又はそれらを組み合わせた形状の金属ガラス体を、
両者の突き合わせ面で溶接接合してなる接合体。 - 前記結晶金属体の突き合わせ面側の中央には、該結晶金属体と同軸の平面視が円形の凹部又は凸部が形成され、
前記金属ガラス体の突き合わせ面側の中央には、該金属ガラス体と同軸の平面視が円形の凸部又は凹部が形成され、
前記結晶金属体の凹部と前記金属ガラス体の凸部又は前記結晶金属体の凸部と前記金属ガラス体の凹部が嵌合可能となっていることを特徴とする請求項1に記載の接合体。 - 前記結晶金属体の突き合わせ面の周囲に開先空間が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の接合体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の接合体を製造する方法であって、
前記結晶金属体の突き合わせ面と前記金属ガラス体の突き合わせ面を、両者の中心軸を合致させ突き合わせた状態で前記中心軸の両側から押し付けて保持する工程、
前記結晶金属体と前記金属ガラス体を保持した状態で、両者を前記中心軸の回りに同期して回転させる工程、
前記結晶金属体と前記金属ガラス体を同期して回転させながら、前記金属ガラス体の突き合わせ面より前記金属ガラス体寄りに高エネルギービームを照射して、前記結晶金属体と前記金属ガラス体を溶接接合する工程よりなる製造方法。 - 前記結晶金属体の突き合わせ面又は前記金属ガラス体の突き合わせ面にZrコーティングを施す工程を含む請求項4に記載の製造方法。
- 高エネルギービームを照射するに際して、不活性ガスによるシールドを施す工程を含む請求項4又は5に記載の製造方法。
- 突き合わせ面が円形である中実の円柱状、円錐台状又はそれらを組み合わせた形状の結晶金属体を水平方向又は鉛直方向に保持できる第1の支持体と、
突き合わせ面が円形である中実の円柱状、円錐台状、円錐状又はそれらを組み合わせた形状の金属ガラス体を水平方向又は鉛直方向に保持できる第2の支持体と、
前記第1及び第2の支持体を、それぞれ水平軸又は鉛直軸を中心に同期して回転させる回転駆動機構と、
前記第1及び第2の支持体の中間部において、前記水平軸又は鉛直軸上の一点に向けて高エネルギービームを照射する照射装置と、
前記第1及び第2の支持体をそれぞれ水平方向又は鉛直方向に移動させる位置調整機構と、
前記第1及び第2の支持体又は前記照射装置を、鉛直方向又は水平方向に移動させる焦点調整機構とを備える高エネルギービーム溶接用回転治具。 - 先端部が円錐状又は円錐台状の結晶金属体の斜面部に該結晶金属体と中心軸が一致するリング状の凹部が形成され、該凹部に嵌入可能なリング状の金属ガラス体又は複数のワイヤ状の金属ガラス体と前記結晶金属体を溶接接合してなる接合体。
- 請求項8記載の接合体を製造する方法であって、
前記結晶金属体の斜面部の凹部にリング状の金属ガラス体又はワイヤ状の金属ガラス体を嵌入した状態で保持する工程、
前記結晶金属体の凹部に前記リング状の金属ガラス体又はワイヤ状の金属ガラス体を保持した状態で、両者を前記結晶金属体の中心軸の回りに回転させる工程、
前記リング状の金属ガラス体又はワイヤ状の金属ガラス体の上面側から高エネルギービームを照射して、前記結晶金属体と前記リング状の金属ガラス体又はワイヤ状の金属ガラス体を溶接接合する工程よりなる製造方法。 - 前記結晶金属体の凹部又は前記リング状の金属ガラス体若しくは複数のワイヤ状の金属ガラス体にZrコーティングを施す工程を含む請求項9に記載の製造方法。
- 高エネルギービームを照射するに際して、不活性ガスによるシールドを施す工程を含む請求項9又は10に記載の製造方法。
- 先端部が円錐状又は円錐台状の結晶金属体を保持できる水平な上面を有する支持体と、
前記支持体を、鉛直軸を中心に回転させる回転駆動機構と、
前記支持体の上方の一点に向けて高エネルギービームを照射する照射装置と、
前記支持体を水平方向に移動させる水平位置調整機構と、
前記支持体を鉛直方向に移動させる鉛直位置調整機構とを備える高エネルギービーム溶接用回転治具。 - 円柱状又は円錐台状の基端部の上面に、該基端部より径が小さく該基端部と同じ中心軸を有する平面視が円形状の突起が形成されている結晶金属体と、中心に前記突起を嵌合挿入可能な穴を有する円錐台形状の金属ガラス体を前記基端部の上面と前記金属ガラス体の下面との接合面及び前記突起の側面と前記穴の内側面との接合面において溶接接合してなる接合体。
- 請求項13記載の接合体を製造する方法であって、
前記結晶金属体の基端部の上面に、前記金属ガラス体を保持する工程、
前記結晶金属体の基端部の上面に、前記金属ガラス体を保持した状態で、両者を前記結晶金属体の中心軸の回りに回転させる工程、
前記基端部の上面と前記金属ガラス体の下面との接合面より前記金属ガラス体寄りに側方から高エネルギービームを照射して前記基端部の上面と前記金属ガラス体の下面を溶接接合するとともに、前記金属ガラス体の中心の穴より前記金属ガラス体寄りに上方から高エネルギービームを照射して前記突起の側面と前記穴の内側面を溶接接合する工程よりなる製造方法。 - 前記基端部の上面と前記突起の側面又は前記金属ガラス体の下面と前記穴の内側面にZrコーティングを施す工程を含む請求項14に記載の製造方法。
- 高エネルギービームを照射するに際して、不活性ガスによるシールドを施す工程を含む請求項14又は15に記載の製造方法。
- 円柱状又は円錐台状の基端部の上面に、該基端部より径が小さく該基端部と同じ中心軸を有する平面視が円形状の突起が形成されている結晶金属体を保持できる水平な上面を有する支持体と、
前記支持体を、鉛直軸を中心に回転させる回転駆動機構と、
前記支持体の側方から前記鉛直軸上の一点に向けて高エネルギービームを照射する第1の照射装置と、前記支持体の上方の一点に向けて高エネルギービームを照射する第2の照射装置と、
前記支持体を水平方向に移動させる水平位置調整機構と、
前記支持体を鉛直方向に移動させる鉛直位置調整機構を備える高エネルギービーム溶接用回転治具。
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