<第1実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明に係るペット用姿勢保持器具の実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るペット用姿勢保持器具1Aを示す斜視図である。図2は、ペット用姿勢保持器具1Aの側面図である。図3は、器具本体10の平面図である。なお、図1等において、符号F、Re、RおよびLは、それぞれの前、後、右および左を示している。ただし、これらの方向は説明の便宜上のものに過ぎず、ペット用姿勢保持器具1A等の構造や使用方法等を何ら限定するものではない。
図1に示すように、本実施形態に係るペット用姿勢保持器具1A(以下、姿勢保持器具1Aという。)は、飼い主がペットPを洗う際に、ペットPが逃げ回ったり暴れたりしないようにペットPの姿勢を一定に保持する器具であると共に、高齢となったペットPの自立または自立歩行の支援をするための器具である。ペットPの種類は特に限定されないが、例えば、犬または猫等の四足歩行動物である。姿勢保持器具1Aを用いてペットPを洗う場所は特に限定されず、例えば、浴室内であってもよく、庭であってもよい。浴室の洗い場であってもよく、浴室の浴槽内であってもよい。姿勢保持器具1Aは、器具本体10と、器具本体10を支持する脚部30と、を備えている。
器具本体10は、ペットPの姿勢を保持するためのものである。本実施形態では、器具本体10は、水平に配置されている。ただし、器具本体10の一部または全部が、前後方向または/および左右方向に傾いて配置されていてもよい。器具本体10は、枠体14と、枠体14に支持された姿勢保持手段の一例としての線状体20とを備えている。
図2に示すように、本実施形態に係る枠体14は水平に配置されている。側方から見て、枠体14は板状に形成されている。枠体14の内側には空間が形成されており(図1参照)、姿勢保持器具1Aの使用時に、ペットPは枠体14の内側に入れられる。言い換えると、使用時に姿勢保持器具1Aの枠体14は、ペットPを囲むようにして配置される。図3に示すように、本実施形態では枠体14は、平面視において、内部に空間を有する四角形状である。しかし、枠体14の形状は特に限定されない。枠体14は、ペットPの全周囲を囲む他の形状を有していてもよい。例えば、枠体14は、平面視において、内部に空間を有する楕円形状等であってもよい。また、枠体14は必ずしもペットPの全周囲を囲んでいなくてもよく、ペットPの周囲の一部のみを囲んでいてもよい。例えば、枠体14の一部にスリットが形成されていてもよい。枠体14がペットPの全周囲を囲むように形成されている場合、枠体14の強度を高めることができる。そのため、ペットPが暴れても、ペットPの姿勢を十分に保持することができる。一方、枠体14がペットPの周囲の一部のみを囲むように形成されている場合、枠体14の軽量化を図ることができる。本実施形態では、枠体14は、前枠14F、後枠14Re、右枠14Rおよび左枠14Lによって構成されている。なお、本実施形態では、前枠14F、後枠14Re、右枠14Rおよび左枠14Lは、一体成形されているが、別体で形成されていてもよい。枠体14の材料は特に限定されず、例えば、樹脂であってもよく、アルミニウムまたはステンレス等の金属であってもよい。
姿勢保持手段は、ペットPを支えることで、ペットPの姿勢を一定に保持するものである。姿勢保持手段は、ペットPの体に接触するように構成されており、ペットPの胴体の一部を支える。本実施形態では、姿勢保持手段は、主にペットPの胴体のうち腹部を支えるように構成されている。犬等のように四足歩行動物には、腹部を支えるとおとなしくなる性質を有するものがある。このような四足歩行動物に対しては、腹部を支えることによって姿勢を保持するだけでなく、おとなしくさせるという効果も期待することができる。本実施形態では、姿勢保持手段は、格子状に交差した複数の線状体20から構成されている。
図3に示すように、線状体20は、枠体14内に架け渡されており、互いに格子状に交差するように枠体14内に張設されている。各線状体20は、枠体14に固定されている。詳しくは、前後に延びる線状体20は、枠体14の前枠14Fと後枠14Reとに架け渡されており、線状体20の前端部は前枠14Fの内側部分に固定され、線状体20の後端部は後枠14Feの内側部分に固定されている。左右に延びる線状体20は、枠体14の右枠14Rと左枠14Lとに架け渡されており、線状体20の右端部は右枠14Rの内側部分に固定され、線状体20の左端部は左枠14Lの内側部分に固定されている。このように、本実施形態では、複数の線状体20は、前後方向および左右方向に延びるようにして枠体14内に張設されている。しかし、線状体20の延びる方向、および交差する角度は特に限定されない。例えば、線状体20は、右前から左後方向および左前から右後方向に延びるようにして枠体14内に架け渡されていてもよい。すなわち、複数の線状体20は、平面視において、斜め方向に延びていてもよく、90度未満または90度よりも大きな角度で互いに交差するように枠体14内に張設されていてもよい。
本実施形態では、複数の線状体20は等間隔に配置されており、隣り合う線状体20の間、および、線状体20と枠体14との間には複数の孔22が形成されている。この複数の孔22の一部は、ペットPの脚を通すための孔として利用可能である(図2参照)。等間隔に複数の孔22が形成されているので、ペットPの大きさに応じた孔22を適宜選択することができ、様々な大きさのペットPを無理なく好適に保持することができる。また、他の孔22は、ペットPの腹部等を洗うときに下方から水やブラシ等を通すための孔として利用することができる。図4は、図3の器具本体10における中央部分の拡大図である。図4に示すように、前後に隣り合う線状体20の間隔L1と、左右に隣り合う線状体20の間隔L2とは、同じであってもよいし異なっていてもよい。本実施形態では、間隔L1と間隔L2とは同じである。また、本実施形態では、各線状体20の幅Wは同一である。しかし、一部の線状体20の幅Wは、他の線状体20の幅Wと異なっていてもよい。
図4に示すように、枠体14内の中央部分において、隣り合う線状体20の間隔L1および間隔L2は、線状体20の幅Wよりも大きい。また、図3に示すように本実施形態では、枠体14内の中央部分に限らず、それ以外の部分においても、隣り合う線状体20の間隔は線状体20の幅Wよりも大きい。ただし、線状体20の間隔は必ずしも一定でなくてもよく、場所によって異なっていてもよい。例えば、線状体20は、枠体14の中央部分に向かう程、互いの間隔が広くなるように枠体14内に配置されていてもよいし、枠体14の中央部分に向かう程、互いの間隔が狭くなるように枠体14内に配置されていてもよい。枠体14内の中央部分以外の部分において、隣り合う線状体20の間隔が線状体20の幅W以下であってもよい。なお、枠体14内の中央部分とは、例えば、枠体14の前端から後方に向かって枠体14の前後長の1/4〜3/4の部分であって、かつ、枠体14の左端から右方に向かって枠体14の左右長の1/4〜3/4の部分をいう。ただし、枠体14の形状や寸法等に応じて、枠体14内の中央部分は適宜設定することができる。
線状体20の合計の平面視の面積は特に限定されないが、枠体14内の面積の1/2以下であることが好ましい。換言すると、平面視において、線状体20の面積は、枠体14内のうち線状体20を除く面積よりも小さい方が好ましい。以下の各実施形態においても同様である。
線状体20は、伸縮自在であり、弾性を備えている。本実施形態では、線状体20はゴム製である。しかし、線状体20はゴム製に限られない。線状体20が伸縮自在であることにより、ペットPの腹部が線状体20の上に載ったときに、線状体20はペットPの腹部に応じて変形する。また、線状体20が弾性を備えていることにより、線状体20の変形に伴って復元力が発生し、その復元力によりペットPの腹部を柔らかく持ち上げることができる。そのため、ペットPを安定して支持することができる。
図1に示すように、本実施形態の姿勢保持器具1Aは、持運び用グリップ16を備えている。持運び用グリップ16は、器具本体10上に設けられている。本実施形態では、持運び用グリップ16は、枠体14の上に位置している。詳しくは、本実施形態では、持運び用グリップ16は2つあり、一方の持運びグリップ16は、枠体14の右枠14Rにおける上面の中央部分に位置し、他方の持運びグリップ16は、枠体14の左枠14Lにおける上面の中央部分に位置している。枠体14の右枠14Rと左枠14Lとの間隔は、前枠14Fと後枠14Reとの間隔よりも狭い。そのため、持運び用グリップ16を右枠14Rおよび左枠14Lに配置することにより、使用者は両腕を大きく広げることなく両持運び用グリップ16をつかむことができる。よって、姿勢保持器具1Aを容易に持ち上げることができる。また、持運びグリップ16は右枠14Rおよび左枠14Lの中央部分に設けられているので、使用者は姿勢保持器具1Aをバランス良く持ち上げることができる。
ただし、持運び用グリップ16の個数は特に限定されるものではなく、1つであってもよい。また、持運び用グリップ16の位置は、特に限定されるものではない。例えば、持運び用グリップ16は、枠体14の前枠14Fおよび後枠14Reの上面に位置していてもよい。持運び用グリップ16を枠体14の上面に設けることにより、使用者は姿勢保持器具1Aを容易に持ち上げることができる。一方、持運び用グリップ16は、枠体14の右枠14Rおよび左枠14Lの側面に位置していてもよく、前枠14Fおよび後枠14Reの側面に位置していてもよい。この場合、持運び用グリップ16が枠体14の上方に突出することを避けることができる。
本実施形態では、持運び用グリップ16は、外縁および内縁が湾曲している。そして、持運び用グリップ16と枠体14の右枠14Rおよび左枠14Lとの間には隙間が形成されている。飼い主は、その隙間に手を入れて持運び用グリップ16を握ることで把持することが可能となる。ただし、持運び用グリップ16の構成は特に限定されるものではなく、把持可能なその他の構成であってもよい。また、本実施形態の持運び用グリップ16は、器具本体10の枠体14と一体成形されているが、持運び用グリップ16と枠体14とが別体であって、持運び用グリップ16が枠体14に着脱可能に取り付けられていてもよい。
脚部30は、器具本体10に取り付けられている。本実施形態では、脚部30は4つあり、それぞれの脚部30は、器具本体10の枠体14の下面に取り付けられている。詳しくは、4つの脚部30は、枠体14の角近傍の下面にそれぞれ取り付けられている。脚部30は棒状である。しかし、脚部30の位置、個数および形状は特に限定されない。例えば、脚部30は、枠体14の側面に取り付けられていてもよい。また、例えば、脚部30は2つあり、2つの脚部30は、それぞれ枠体14の右枠14Rおよび左枠14Lの長さ方向に延びるような板状のものであってもよい。左右の棒状の脚部30同士が、横に延びる連結バーによって連結されていてもよい。本実施形態では、脚部30は、枠体14から真下に延びている。しかし、脚部30は、枠体14から外側に広がるように多少斜めに延びていてもよい。
脚部30は、長さ調整が自在に構成されている。本実施形態では、脚部30は伸縮自在である。脚部30は、筒状の上側筒状部30aおよび下側筒状部30bと、上側筒状部30aと下側筒状部30bとを固定する脚部固定具32と、から構成されている。上側筒状部30aおよび下側筒状部30bは、互いに嵌め込まれている。そして、脚部固定具32を上側筒状部30aおよび下側筒状部30bの軸線回りに回すことによって、上側筒状部30aと下側筒状部30bとを固定している。本実施形態では、上側筒状部30aと下側筒状部30bとの重なり長さ(嵌め込み長さ)を調節して、脚部固定具32によって上側筒状部30aと下側筒状部30bとを固定することで、脚部30を伸縮自在にしている。しかし、この脚部30を伸縮自在にする構成は、特に限定されない。例えば、脚部30の上側筒状部30aおよび下側筒状部30bには、複数の孔が形成されており、上側筒状部30aと下側筒状部30bとを嵌め込む際、上側筒状部30aおよび下側筒状部30bの孔が重なるようにし、上記孔に棒状の脚部固定具を挿入して、上側筒状部30aと下側筒状部30bとを固定することで、脚部30を伸縮自在にしてもよい。この場合、脚部30の長さを段階的に調節することができる。伸縮自在な脚部30として、公知の各種の脚部構造を利用することができる。
また、脚部30は、互いに折り畳み可能な複数の脚部材によって構成されていてもよい。この場合、脚部材を折り畳むほど脚部の長さは短くなり、逆に、脚部材を展開するほど脚部の長さは長くなる。また、脚部30は、互いに着脱可能な複数の脚部材によって構成されていてもよい。この場合、連結させる脚部材の本数を少なくするほど脚部の長さは短くなり、逆に、連結させる脚部材の本数を多くするほど脚部の長さは長くなる。脚部の長さを調整する機構として、公知の各種機構を利用することができる。
脚部30は、折り畳み機構を有している。この脚部30の折り畳み機構の構成も特に限定されるものではなく、公知の各種構成を利用することができる。図5は、本実施形態の脚部30が器具本体10に対して折り畳まれている状態を示す図である。図5に示すように、本実施形態では、脚部30の上側筒状部30aは、器具本体10の枠体14の下面に、軸芯34によって取り付けられている。脚部30は、いわゆるヒンジ機構によって、器具本体10に対し折り畳み可能に取り付けられている。詳しくは、枠体14の下面には、ブラケット15が形成されている。ブラケット15および脚部30の上側筒状部30aの上部には、孔が形成されている。上記孔に軸芯34を挿入することで、軸芯34を軸にして、脚部30は前後方向に折り畳み可能になっている。
図1に示すように、本実施形態では、脚部30には、滑り止めキャップ36が取り付けられている。脚部30の一端は、上述のように器具本体10に取り付けられ、脚部30の他端には、滑り止めキャップ36が取り付けられている。滑り止めキャップ36は、姿勢保持器具1Aが床面に対して滑らないようにするためのものである。この滑り止めキャップ36の構成は特に限定されない。本実施形態では、滑り止めキャップ36は、ゴム製であり、脚部30の下側筒状部30bの下端部に沿うような形状をしている。滑り止めキャップ36は、4つの脚部30における下側筒状部30bの下端部にそれぞれ取り付けられている。なお、滑り止めキャップ36の下面には、吸盤(図示せず)が形成されていてもよい。本実施形態では、この滑り止めキャップ36が本発明における滑り止め手段を構成している。
図6は、トレイ70内に姿勢保持器具1Aを設置した状態を示す斜視図である。図7は、トレイ70内に姿勢保持器具1Aを収納した状態を示す図である。図6に示すように、姿勢保持器具1Aはトレイ70と共に使用してもよい。また、図7に示すように、姿勢保持器具1Aはトレイ70に収容可能になっていてもよい。トレイ70は、姿勢保持器具1Aを収容するための専用の収容トレイであってもよいが、本実施形態では、ペットPの浴槽として利用可能な入浴トレイである。トレイ70は、ペット用の浴槽として利用可能である。すなわち、図6に示すように、姿勢保持器具1Aをトレイ70内に設置し、その姿勢保持器具1AにペットP(図6では図示せず。図2参照)を入れることにより、姿勢保持器具1Aを利用しつつペットPをトレイ70内にて洗うことができる。ペットPを洗うときに、ペットPの体毛が抜けることが多い。ペットPをトレイ70内で洗うことにより、抜けた毛をトレイ70に回収することができ、姿勢保持器具1Aの周囲にペットPの毛が飛散することを防止することができる。姿勢保持器具1Aおよびトレイ70の全体は、ペット用入浴器具100を構成している。
トレイ70の具体的形状は何ら限定されないが、本実施形態に係るトレイ70は、底板72と、底板72の端部から立ち上がった側板74と、を有している。本実施形態では、トレイ70を使用する際、脚部30はトレイ70の底板72の上面上に置かれる。トレイ70の底板72は、平面視において、姿勢保持器具1Aの枠体14よりも大きい。トレイ70の底板72は、平面視において四角形状である。ただし、トレイ70の大きさなどは特に限定されるものではなく、姿勢保持器具1AにペットPを載せた状態で、ペットPが入ることができる大きさであればよい。例えば、一部または全部の脚部30がトレイ70の外部に位置していてもよい。上述の通り、本実施形態におけるトレイ70は、姿勢保持器具1Aを収納するための収納容器としても使用することが可能である。図7に示すように、脚部30を器具本体10の前後方向に折り畳んだ状態で、トレイ70の中に器具本体10および脚部30を収納することが可能である。そのため、トレイ70の高さは、脚部30を折り畳んだ状態で収納できる程の高さであることが好ましい。トレイ70は姿勢保持器具1Aを収容可能な大きさに形成されていることが好ましい。
本実施形態では、図6に示すように、トレイ70の側板74に水抜き孔76が形成されており、水抜き孔76には、着脱可能な水抜き栓77が取り付けられている。水抜き栓77を水抜き孔76から取り外すことで、水抜き孔76を通して、トレイ70の中に溜まった水をトレイ70の外部へ流すことが可能となる。本実施形態では、水抜き孔76の形状は、円形状であるが、その形状は特に限定されない。また、水抜き孔76は、トレイ70の底板72に形成されていてもよい。水抜き栓77は必ずしも必要ではなく、省略してもよい。前述したように、ペットPを洗う際にペットPの体毛が抜けることが多い。そこで、水抜き孔76には、ペットPの毛等を捕捉するフィルター75が設けられていてもよい。フィルター75は、トレイ70の内側に配置されていてもよく、トレイ70の外側に配置されていてもよい。
次に、姿勢保持器具1Aを利用してペットPを洗う方法について説明する。まず、姿勢保持器具1Aを用いて自宅の浴室の洗い場でペットPを洗う方法について説明する。始めに、浴室の洗い場に姿勢保持器具1Aを配置する。次に、図2に示すように、飼い主は、姿勢保持器具1AにペットPを載せる。詳しくは、ペットPの脚を器具本体10の隣り合う線状体20の間の孔22に入れる。前述の通り、器具本体10には複数の孔22が形成されているので、ペットPの脚の位置に応じた孔に脚を挿入することにより、ペットPを自然な姿勢で姿勢保持器具1Aに載せることができる。このとき、ペットPの腹部が線状体20に接触すると共に、ペットPの足が床面に付くようにすることが好ましい。足が床面から離れていると、ペットPは不安に思い、暴れやすいからである。また、ペットPの腹部が線状体20に接触しているとペットPは安心し、おとなしくなりやすいからである。ペットPの腹部が線状体20に接触していない場合、または床面にペットPの足が付かない場合は、脚部30の長さを調節する。
このような状態で、飼い主は、ペットPを洗うことができる。図2に示すように、ペットPの頭部、背部、および脚部は露出しているので、容易に洗うことができる。一方、ペットPの腹部には線状体20が接触している。しかし、前述の通り、線状体20の間には孔22が形成されているので、ペットPの腹部の大部分は露出している。そのため、飼い主はペットPの腹部も容易に洗うことができる。また、本実施形態では、線状体20は伸縮自在であるので、飼い主は線状体20の位置を容易にずらすことができる。そのため、飼い主は、洗っている最中に線状体20を順次ずらすことにより、結果的にペットPの腹部の全体を露出させることができる。したがって、ペットPの腹部の全体を洗うことができる。
トレイ70を利用してペットPを洗う場合には、図6に示すように、姿勢保持器具1Aをトレイ70の中に入れた状態にて、ペットPを姿勢保持器具1Aに載せる。その後は、上述の方法と同様の方法にて、ペットPの全身を洗うことができる。この場合、トレイ70の中に水が溜まったときには、水抜き栓77を水抜き孔76から取り外すことにより、水抜き孔76を通して、トレイ70内の水をトレイ70の外部へ流すことができる。水抜き孔76にフィルター75が設けられている場合、抜けたペットPの毛をフィルター75によって捕捉することができるので、ペットPの毛が外部に流出することが防止される。例えば浴室内でペットPを洗う場合、ペットPの毛がトレイ70の外部に流出すると、その毛が浴室の排水口に詰まるおそれがある。しかし、フィルター75を備えることにより、そのような事態を防止することができる。
姿勢保持器具1Aは、ペットPを洗うとき以外にも利用可能である。姿勢保持器具1Aは、脚の力が弱った高齢のペットPの自立を支援する器具としても利用可能である。ペットPを姿勢保持器具1Aの中に入れておけば、立っているペットPがバランスを崩した場合には線状体20がペットPの体を支え、ペットPの姿勢を保持するので、ペットPが転倒してしまうことを避けることができる。一方、ペットPが疲れて、立った状態を維持できなくなった場合には、線状体20がペットPの体を支えるので、ペットPは自らの脚で体重を支える必要がない。したがって、ペットPは線状体20の上で休むことができる。疲れが回復した後、ペットPが再び自らの脚で立ち上がることが容易となる。このように、立った状態と休んだ状態とが繰り返されることにより、ペットPの自立を支援することができる。
なお、ペットPが立ったときに線状体20が支える力は、脚部30の長さを調整することによって調整することができる。すなわち、脚部30の長さを長くすると、線状体20は相対的に上方に位置するので、より多くの体重を支えることになる。逆に、脚部30の長さを短くすると、線状体20は相対的に下方に位置するので、線状体20が支える体重は少なくなる。ペットPが立ったときに線状体20がペットPの腹部に接触しないようにした場合、線状体20が支える体重は零となる。脚部30の長さを適宜調整することにより、ペットPの体調や自立能力の程度に応じた柔軟な自立支援が可能となる。
以上のように、本実施形態に係る姿勢保持器具1Aによれば、図2に示すように、飼い主がペットPを洗う際、姿勢保持手段の一例である線状体20がペットPの胴体の少なくとも一部を支えるので、ペットPの姿勢を一定に保持することができる。そのため、飼い主は、自らの手でペットPの姿勢を保持する必要がなく、また、両手でペットPを洗うことができるため、ペットPを容易に洗うことができる。また、線状体20がペットPを支えているため、洗った後に、濡れたペットPが暴れることなく、ペットPを乾かすことができる。また、本実施形態に係る姿勢保持器具1Aによれば、脚部30の長さを自由に調節することができる。そのため、様々な大きさのペットPに対して、本姿勢保持器具1Aを利用することができる。また、脚部30の長さを調整することにより、線状体20でペットPを支えつつ、ペットPの足を床面に付かせることができる。よって、ペットPのストレスを緩和することができる。
本実施形態では、図3に示すように、ペットPの胴部の少なくとも一部を支える姿勢保持手段は、互いに格子状に交差するように枠体14内に張設された複数の線状体20によって構成されている。姿勢保持手段としてこのような複数の線状体20を用いることにより、ペットPの姿勢を安定して保持することができる。また、ペットPにとって束縛感が少なく、ペットPのストレスを軽減することができる。更に本実施形態によれば、図4に示すように、枠体14内の中央部分において、隣り合う線状体20の間の間隔L1および間隔L2は、線状体20の幅Wよりも大きい。そのため、飼い主は、ペットPを線状体20の上に載せた状態で、ペットPの腹部を下から洗うことができる。
また、本実施形態では、線状体20は伸縮自在である。線状体20の上にペットPを載せたとき、ペットPの腹部の一部は線状体20によって隠れるが、飼い主は線状体20をずらしながらペットPの腹部の全体を洗うことができる。
本実施形態では、図3に示すように、姿勢保持手段である線状体20は、少なくとも枠体14の左枠14Lの内側部分および右枠14Rの内側部分に固定され、少なくとも枠体14の前枠14Fの内側部分および後枠14Reの内側部分に固定されている。このことによって、四隅部のみが固定されるハンモック状の姿勢保持手段と異なり、線状体20は枠体14に十分な強度をもって固定される。ペットPが多少暴れても、線状体20が左右に揺れることが少ない。そのため、ペットPの姿勢をより安定して保持することができる。
本実施形態では、図1に示すように、脚部30には、滑り止め手段の一例である滑り止めキャップ36が設けられている。ペットPを洗う際、滑り止めキャップ36によって、ペットPが暴れて姿勢保持器具1Aが動くことを防ぐことができる。よって、飼い主は、ペットPを容易に洗うことができる。
また、本実施形態では、図5に示すように、脚部30は、いわゆるヒンジ機構からなる折り畳み機構を有している。枠体14の下面のブラケット15および脚部30の上側筒状部30aの上部に形成された孔に軸芯34を挿入することで、軸芯34を軸にして、脚部30は器具本体10に対して前後方向に折り畳むことができる。このことによって、本実施形態の姿勢保持器具1Aはコンパクトになるため、持ち運びが容易となる。また、狭いスペースに姿勢保持器具1Aを収納することができる。
本実施形態では、図6に示すように、姿勢保持器具1Aは、トレイ70と共にペット用入浴器具100を構成することができる。トレイ70は、器具本体10の下に配置される底板72と、底板72の端部から立ち上がった側板74と、を有している。トレイ70をペット用の浴槽として利用することができる。また、脚部30を折り畳むことで、トレイ70の中に器具本体10および脚部30が収納可能である。本実施形態の姿勢保持器具1Aは、コンパクトに収納することができる。このように、本実施形態のトレイ70は、ペット用の浴槽としての役割の他に、姿勢保持器具1Aを収納するための容器としての役割を果たすことができる。
以上、第1実施形態に係る姿勢保持器具1Aについて説明したが、本発明に係るペット用姿勢保持器具は、第1実施形態に係る姿勢保持器具1Aに限らず、他の種々の形態で実施することができる。次に、他の実施形態について簡単に説明する。なお、以下の説明では、既に説明した構成と同様の構成には同じ符号を使用し、その説明は省略することとする。
<第2実施形態>
第1実施形態は、本発明に係るペット用姿勢保持器具を主にペットを洗う用途に適した形態で実施したものであった。第1実施形態では、洗っているときにペットが移動してしまわないように、脚部30には、滑り止め手段の一例である滑り止めキャップ36が設けられていた。一方、第2実施形態は、本発明に係るペット用姿勢保持器具をペットの自立歩行を支援する用途に適した形態で実施したものである。図8は、第2実施形態に係る姿勢保持器具1Bの斜視図である。姿勢保持器具1Bは移動可能に構成されている。
図8に示すように、本実施形態では、脚部30の下側筒状部30bにキャスタ40が取り付けられている。キャスタ40には、公知の任意のキャスタを用いることができる。キャスタ40は、脚部30に対して水平軸回りに回転可能であるとともに、鉛直軸回りに回動自在である。そのため、キャスタ40によって、姿勢保持器具1Bは前後方向および左右方向に動くことが可能となる。なお、本実施形態では、4本の脚部30のそれぞれにキャスタ40が取り付けられているが、後側の2本の脚部30には、キャスタ40の代わりにローラ、すなわち鉛直軸回りに回動不能な車輪が取り付けられていてもよい。あるいは、前側の2本の脚部30に鉛直軸回りに回動不能な車輪が取り付けられ、後側の2本の脚部30に鉛直軸回りに回転可能な車輪(すなわちキャスタ)が取り付けられていてもよい。キャスタ40は、姿勢保持器具1Bの走行を可能にする走行手段の一例に過ぎず、走行手段はキャスタ40以外の車輪によって構成されていてもよく、車輪以外の手段(例えば、キャタピラ等)で構成されていてもよい。
キャスタ40には、キャスタ40の回転をロックするロック機構が設けられている。ロック機構には、公知の各種ロック機構を用いることができ、その詳細な構造は省略する。本実施形態では、ロック機構は、キャスタ40のカバーに取り付けられたロックボタン42と、そのロックボタン42の裏側に形成された図示しない押圧体とを備えている。使用者がロックボタン42を押すと、押圧体がキャスタ40に押し当てられ、キャスタ40の回転が阻止される。これにより、キャスタ40の回転がロックされる。ロックされた状態で使用者がロックボタン42を押すと、押圧体は元の位置に戻り、キャスタ40から離れる。これにより、キャスタ40のロックは解除される。このように、使用者がロックボタン42を操作することによって、キャスタ40のロックおよびロックの解除が可能である。本実施形態では、ロック機構は、4本の脚部30にそれぞれ取り付けられているが、前側の2本の脚部30のみにロック機構が取り付けられていてもよいし、後側の2本の脚部30のみにロック機構が取り付けられていてもよい。
本実施形態の姿勢保持器具1Bは、移動用グリップ18を備えている。飼い主は移動用グリップ18を押すまたは引くことにより、姿勢保持器具1Bを移動させることができる。移動用グリップ18は、枠体14の右枠14Rおよび左枠14Lの後部に取り付けられている。移動用グリップ18は、器具本体10に対して垂直に立ち上がった縦棒と、両縦棒をつなぐ横棒とを備えている。移動用グリップ18は、後方から見て略コの字状に形成されている。ただし、移動用グリップ18の形状はこれに限定されない。また、枠体14に対する移動用グリップ18の取付位置も何ら限定されない。飼い主の身長に応じて移動用グリップ18の位置が変更可能なように、移動用グリップ18は高さ調整自在に形成されていてもよい。また、移動用グリップ18は必ずしも必要ではなく、適宜省略することが可能である。移動用グリップ18は、器具本体10に対して着脱自在であってもよい。
ペットPの自立歩行を支援するときには、キャスタ40のロック機構を解除することで、姿勢保持器具1Bを走行可能な状態とする。これにより、ペットPは、姿勢保持器具1Bの線状体20に支えられながら歩行することが可能となる。線状体20がペットPの体重の一部を支えるので、ペットPの歩行に要する力を軽減することができ、ペットPの自立歩行を十分に支援することができる。また、本実施形態の姿勢保持器具1Bは移動用グリップ18を備えているので、飼い主が移動用グリップ18を押したり引いたりすることで、ペットPの動きを誘導することも可能である。キャスタ40のロック機構をロックすることにより、ペットPが動かないようにすることもできる。
以上のように、本実施形態では、脚部30に車輪の一例であるキャスタ40が設けられており、姿勢保持器具1BにペットPを載せることで、ペットPが歩くことを好適に支援することができる。また、飼い主は、姿勢保持器具1Bを持ち上げて運ぶ必要がなく、姿勢保持器具1Bを押すまたは引くことで容易に移動させることができる。
また、本実施形態では、キャスタ40に、キャスタ40をロックするロック機構が設けられている。ロック機構をロックすることにより、姿勢保持器具1Bが動かないようにすることができる。そのため、第1実施形態の姿勢保持器具1Aと同様、本実施形態の姿勢保持器具1Bは、ペットPを洗う用途にも好適に利用することができる。また、ペットの自立歩行の支援として姿勢保持器具1Bを使用する際、その場にペットを留まらせたいことがある。そのとき、ロック機構をロックすることで、ペットPが勝手に移動することを防ぐことができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る姿勢保持器具1Cについて説明する。図9は、第3実施形態に係る姿勢保持器具1Cの斜視図である。本実施形態の姿勢保持器具1Cは、線状体20の交換が容易に構成されている。
図9に示すように、姿勢保持器具1Cの枠体14は、第1枠体14aと第2枠体14bとから構成されている。平面視において、第1枠体14aと第2枠体14bとは略同じ大きさである。また、第1枠体14aと第2枠体14bとは別体であり、本実施形態では、第2枠体14bは第1枠体14aの上面に着脱可能に取り付けられている。第1枠体14aと第2枠体14bとの取付構造は何ら限定されず、公知の各種の取付構造を採用することができる。本実施形態では、第2枠体14bの外側には、係止部材17が形成されている。係止部材17は、第1枠体14aに対して嵌め込むものであり、第1枠体14aに嵌め込み可能な形状をしている。ここでは、第1枠体14aの上面に第2枠体14bを載せ、係止部材17を第1枠体14aの外側に嵌め込むことで、第2枠体14bは第1枠体14aに対して固定される。このように、係止部材17を第1枠体14aに嵌め込むことにより、第2枠体14bを第1枠体14aに取り付けることができる。一方、係止部材17を第1枠体14aから取り外すことで、第2枠体14bを第1枠体14aから取り外すことができる。本実施形態では、線状体20は第2枠体14b内に架け渡されている。脚部30は、第1枠体14aの下面に取り付けられている。
本実施形態では、第2枠体14bは第1枠体14aに対して取り外すことが可能である。すなわち、第2枠体14b内に架け渡された姿勢保持手段である線状体20は、第1枠体14aに対して取り外すことが可能である。そのため、第2枠体14bと共に線状体20を取り換えることで、1つの姿勢保持器具1Cで、様々な種類の姿勢保持手段を使用することができる。例えば、本実施形態では、図9に示すように、線状体20の間隔は等間隔であるが、この線状体20に代えて、隣り合う線状体20の間隔が第2枠体14bの中央部分につれて広くなるような構成の線状体20に交換することが可能である。また、線状体20によって構成された姿勢保持手段を、他の構成の姿勢保持手段(例えば、後述する各実施形態の姿勢保持手段)に交換することが可能である。
また、本実施形態によれば、線状体20が汚れたときに、線状体20を第2枠体14bと共に取り外し、清掃した後、再び第1枠体14aに取り付けることができる。そのため、線状体20のメンテナンス作業が容易である。また、線状体20が劣化または壊れたとき、新しい線状体20に容易に交換することができる。そのため、飼い主は、姿勢保持器具1Cの全体を買い替える必要がない。
上述の通り、第3実施形態では、第2枠体14bは、第1枠体14aの上面に載せた状態で、係止部材17によって第1枠体14aに取り付けられていた。しかし、第1枠体14aと第2枠体14bとの取付構造は、他の取付構造であってもよい。図10は、他の姿勢保持器具1Cの器具本体10の平面図である。図10に示すように、他の姿勢保持器具1Cの枠体14は、第1枠体の一例である外枠14aと第2枠体の一例である内枠14bとから構成されている。ここでは、内枠14bは外枠14aの内側に着脱可能に取り付けられている。本変形例では、外枠14aの内側に、外枠14aの上面から下方に1段下がった段差部14aaが形成されている。内枠14bを外枠14aの内側に嵌め込むと、内枠14bの下面の外周部が段差部14aa上に載り、内枠14bは段差部14aaに支持される。このように、内枠14bを段差部14aaに載せることにより、内枠14bを外枠14aに取り付けることができる。一方、内枠14bを持ち上げることにより、内枠14bを外枠14aから取り外すことができる。本変形例では、線状体20は内枠14b内に張設されている。図示はしていないが、脚部30(図1参照)は、外枠14aの下面に取り付けられている。本変形例において、第3実施形態と同様の効果が得られる。
<第4実施形態>
上記各実施形態では、脚部30は、器具本体10に対して折り畳み可能に構成されていた。脚部30を折り畳むことにより、姿勢保持器具1A,1B,1Cをコンパクトにすることができ、収納が容易であった。しかし、脚部30は必ずしも折り畳み可能でなくてもよい。第4実施形態に係る姿勢保持器具1Dは、脚部30が器具本体10に対し着脱可能に構成されたものである。図11は、第4実施形態に係る姿勢保持器具1Dの器具本体10の一部および脚部30の側面図である。図12は、図11に示す脚部30を後方から見た図である。
本実施形態では、図11に示すように、脚部30は器具本体10に対して着脱可能である。図12に示すように、脚部30の上側筒状部30aの上部には、係合凸部31が形成されている。係合凸部31は、図示しないばねによって、上側筒状部30aから突出する向き(言い換えると、上側筒状部30aの径方向外向き)に常時付勢されているが、上側筒状部30aに対して押し込むことが可能なものである。そして、図11に示すように、器具本体10のブラケット15には、係合孔15aが形成されている。係合孔15aは、脚部30の係合凸部31と係合可能である。本実施形態では、係合孔15aは円形状であり、係合凸部31は円筒状であるが、係合孔15aおよび係合凸部31が係合可能であれば、係合孔15aおよび係合凸部31の形状は特に限定されない。
本実施形態では、器具本体10のブラケット15に脚部30の上側筒状部30aを嵌め込み、係合孔15aと係合凸部31とを係合させることで、脚部30を器具本体10に取り付けることができる。また、係合凸部31を押し込み、係合孔15aと係合凸部41との係合状態を解除させることで、脚部30を器具本体10から取り外すことができる。ただし、脚部30を器具本体10に対して着脱可能にする構成は、上述した構成に限定されず、その他の従来公知の構成であってもよい。例えば、脚部30の上側筒状部30aの上端部に雄ねじが形成され、器具本体10に雌ねじが形成され、上側筒状部30aを器具本体10に対してねじ込むことによって着脱可能になっていてもよい。
以上のように、本実施形態では、脚部30は、器具本体10に着脱可能に取り付けられている。脚部30を器具本体10から取り外すことによって、収納時に姿勢保持器具1Dをコンパクトにすることができる。そのため、姿勢保持器具1Dを狭いスペースに収納することができる。また、本実施形態に係る姿勢保持器具1Dは、脚部30を器具本体10から取り外すことで、図6に示したようなトレイ70の中に姿勢保持器具1Dが収納可能となる。
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、姿勢保持手段である線状体20の張力を調節することが可能である。図13は、第5実施形態に係る姿勢保持器具1Eの器具本体10の側面拡大図であり、線状体20の張力を調節する手段を示す図である。
本実施形態では、図13に示すように、枠体14の左枠14Lには、幅方向に貫通する貫通孔54が形成されている。そして、貫通孔54に線状体20が通されている。本実施形態では、線状体20の一部は枠体14の外側にはみ出している。貫通孔54および枠体14の外側にはみ出した線状体20の一部を覆うようにして、固定具52が枠体14に取り付けられている。固定具52によって、線状体20が枠体14に対して固定されている。なお、固定具52は枠体14に対して着脱可能であり、本実施形態では、ピン53によって、固定具52が枠体14に取り付けられているが、その構成は特に限定されない。特に図示していないが、枠体14の前枠、後枠および右枠にも、幅方向に貫通する貫通孔54が形成されており、貫通孔54に線状体20を通し、固定具52によって線状体20が枠体14に対して固定されている。
本実施形態では、枠体14の外側にはみ出す線状体20の長さを変えることで、枠体14内における線状体20の張力を変化させることができる。言い換えると、固定具52によって固定される線状体20の位置を変更することによって、枠体14内における線状体20の張力を変化させることができる。なお、本実施形態では、固定具52、ピン53および貫通孔54によって、張力調整手段が構成されている。ただし、本発明の張力調整手段の構成は、上記構成に限定される訳ではない。
以上のように、本実施形態では、姿勢保持手段である線状体20の張力を調節する張力調節手段を備えている。このことによって、ペットPの大きさや体重にあわせて線状体20の張力を調節することができる。そのため、様々な大きさまたは体重のペットPに対して、ペットPの姿勢を一定に保持することができる。
<第6実施形態>
上記各実施形態では、姿勢保持手段は線状体20であった。しかし、本発明に係る姿勢保持手段は、線状体20に限定されない。第6実施形態に係る姿勢保持器具は、線状体20と異なる姿勢保持手段を備えたものである。図14は、第6実施形態に係る姿勢保持器具1Fの斜視図である。
図14に示すように本実施形態では、上記各実施形態と同様に、器具本体10は枠体14を備えている。枠体14は、前枠14F、後枠14Re、右枠14Rおよび左枠14Lから構成されている。本実施形態では、右枠14Rおよび左枠14Lは、棒状であり金属製である。右枠14Rおよび左枠14Lの一端は前枠14Fに嵌め込まれており、右枠14Rおよび左枠14Lの他端は後枠14Reに嵌め込まれている。前枠14Fおよび後枠14Reは樹脂製である。ただし、前枠14F、後枠14Re、右枠14R、および左枠14Lの材料は特に限定されない。
本実施形態の姿勢保持手段は、保持板80aである。なお、ここでいう「保持板」は、ペットPの胴体の少なくとも一部を支える薄い部材(すなわち、厚みが前後長さおよび左右長さよりも小さい部材)の総称であり、その平面視の形状は長方形に限られず、特に限定されない。保持板80aは硬い物に限定される訳ではなく、可撓性を有するものであってもよい。保持板80aは、枠体14内に配置されている。詳しくは、保持板80aは、枠体14の右枠14Rおよび左枠14Lに架け渡されるようにして、右枠14Rおよび左枠14Lに固定されている。本実施形態では、2つの保持板80aが前後方向に並ぶようにして枠体14内に配置されている。2つの保持板80aの右部には、水平方向に貫通する支持孔81Rが形成されており、2つの保持板80aの左部には、水平方向に貫通する支持孔81Lが形成されている。支持孔81Rには右枠14Rが挿入されており、支持孔81Lには左枠14Lが挿入されている。本実施形態では、2つの保持板80aは、右枠14Rおよび左枠14Lに沿って、前後方向にスライド可能に構成されている。
保持板80aの合計の平面視の面積は特に限定されないが、枠体14内の面積の1/2以下であることが好ましい。換言すると、平面視において、保持板80aの面積は、枠体14内のうち、保持板80aを除く面積よりも小さい方が好ましい。以下の各実施形態においても同様である。
保持板80aは伸縮自在である。保持板80aの材質は特に限定されず、例えばゴム製である。保持板80aの形状は特に限定されないが、本実施形態では、平面視において、保持板80aは左右両端から中央に向かうにつれて前後方向に広がるような形状に形成されている。
各保持板80aには、2つの孔82が形成されている。孔82は、ペットPの脚を通すための孔である。詳しくは、2つの保持板80aのうち、前側の保持板80aの孔82は、ペットPの前脚を通すための孔であり、後側の保持板80aの孔82は、ペットPの後脚を通す孔である。この孔82の形状はペットPの脚を通すことができるような形状であればよく、本実施形態では円形状である。また、本実施形態では、各保持板80aに形成されている2つの孔82は、それぞれ同じ大きさであるが、それらは異なっていてもよい。それらの形状が異なっていてもよい。また、前側の保持板80aの孔82の形状と後側の保持板80aの孔82の形状とが異なっていてもよく、それらの大きさが異なっていてもよい。本実施形態では、前側および後側の各保持板80aに2つの孔82が形成されており、ペットPの脚の本数と同数の孔82が設けられている。しかし、各保持板80aに1つの孔を形成しておき、1つの孔に2本の脚を通すようにすることも可能である。すなわち、前側の保持板80aの1つの孔にペットPの左右の前脚を通し、後側の保持板80aの1つの孔にペットPの左右の後脚を通すようにしてもよい。
前側の保持板80aと後側の保持板80aとの間には、隙間が設けられている。前側の保持板80aと後側の保持板80aとは、前後に離間している。そのため、ペットPを姿勢保持器具1Fに載せたときに、ペットPの腹部は保持板80aに隠されず、露出することになる。
本実施形態では、脚部30の上部が枠体14の右枠14Rまたは左枠14Lに挿入されることによって、脚部30が器具本体10に対して取り付けられている。本実施形態では、脚部30は、右枠14Rまたは左枠14Lを軸にして、左右方向に折り畳むことが可能である。ただし、上記各実施形態のように、脚部30が枠体14の下面に取り付けられていてもよい。また、本実施形態の脚部30は、上記各実施形態と同様に伸縮自在である。
本実施形態では、ペットPの前脚と後脚との間隔と、2つの保持板80aの間隔とが異なる場合、すなわちペットPの脚を保持板80aの孔82に好適に通すことができない場合は、保持板80aを前後方向にスライドさせればよい。これにより、2つの保持板80aの間隔をペットPの大きさに合わせて調整することができる。
前述の通り、本実施形態においては、前側の保持板80aと後側の保持板80aとの間に隙間が空けられているので、ペットPを姿勢保持器具1Fに載せた状態において、ペットPの腹部を露出させることができる。そのため、飼い主は、2つの保持板80aの間に手やブラシを入れることで、ペットPの腹部を容易に洗うことが可能である。
また、本実施形態に係る姿勢保持器具1Fも、高齢となったペットPに対して、自立または自立歩行の支援をするための器具として使用することができる。自立歩行の支援をする場合、脚部30に図8のキャスタ40等を取り付けるとよい。
以上のように、本実施形態では、姿勢保持手段は伸縮自在な保持板80aである。そして、保持板80aには、垂直方向に貫通するように複数の孔82が形成されている。孔82にペットPの脚を通し、保持板80aでペットPの脚の周りの胴体を支えることで、ペットPの姿勢を一定に保持することができる。その結果、飼い主は、上記各実施形態と同様に、手でペットPを支えることなく、また、両手でペットPを洗うことができるため、ペットPを容易に洗うことができる。
本実施形態では、平面視において、保持板80aの面積は、枠体14内の面積の1/2以下である。このことによって、枠体14内には空洞部分が多い。そのため、飼い主は、その空洞部分から手を通すことでペットPを洗うことができる。よって、飼い主は、ペットPの全身を容易に洗うことができる。
上述の通り、第6実施形態では、姿勢保持手段である保持板80aは、枠体14に2つ配置されていた。しかし、姿勢保持器具1Fは、必ずしも2つの保持板80aを備えていなくてもよい。図15は、他の姿勢保持器具1Fの斜視図である。図15に示すように、この変形例では、保持板80aは1つ配置されている。保持板80aには、2つの孔82が形成されている。本変形例では、保持板80aの孔82にはペットPの後脚が通される。一般的に、ペットPは前脚よりも後脚の方が脚力が強い。その分、高齢化したときに補助の必要性が高いのは後脚の方である。そのため、保持板80aの孔82にペットPの後脚を通すことで、より好適にペットPを支えることが可能である。しかし、保持板80aの孔82は、ペットPの前脚を通す孔であってもよい。保持板80aの孔82にペットPの前脚を通すことで、ペットPは座った姿勢をとることができる。飼い主は、ペットPを座らせて洗うことができる。なお、保持板80aを前後にスライドさせて位置を調整することにより、孔82に通す脚として前脚および後脚のいずれか一方を任意に選択可能としてもよい。
<第7実施形態>
次に、第7実施形態に係る姿勢保持器具1Gについて説明する。本実施形態に係る姿勢保持器具1Gは、姿勢保持手段として、第6実施形態とは異なる保持板を備えたものである。図16は、第7実施形態に係る器具本体10を示す平面図である。
本実施形態では図16に示すように、上記各実施形態と同様に、器具本体10は枠体14を備えている。枠体14は、前枠14F、後枠14Re、右枠14Rおよび左枠14Lから構成されている。本実施形態では、前枠14F、後枠14Re、右枠14Rおよび左枠14Lは一体で形成されているが、それらが別体で形成されていてもよい。枠体14は、樹脂製である。ただし、枠体14の材料は特に限定されず、例えば金属製であってもよい。
姿勢保持器具1Gは、姿勢保持手段として保持板80cを備えている。保持板80cは、枠体14内に配置され、平面視十字状に形成されている。保持板80cの前部、後部、右部、左部は、それぞれ前枠14F、後枠14Re、右枠14Rおよび左枠14Lに固定されている。保持板80cは伸縮自在である。保持板80cの材料は特に限定されないが、例えばゴムを好適に用いることができる。保持板80cと枠体14との間には、ペットPの脚を通すための孔82が形成されている。本実施形態では、器具本体10の前部および後部に2つずつ、合計4つの孔82が形成されている。なお、本実施形態にあっても、平面視において、保持板80cの面積は枠体14内の面積の1/2以下であることが好ましい。
保持板80cは伸縮自在であるので、飼い主は、保持板80cの位置をずらすことにより、ペットPの腹部を洗うことができる。ただし、ペットPの腹部をより大きく露出させることができるよう、保持板80cには、透水孔の一例として開口(図示せず)またはスリット84が形成されているとよい。ここでいう開口とは、保持板80cが伸びていないときにも開いている孔であり、スリットとは、保持板80cが伸びることによって開く孔である。スリット84は、保持板80cの中央部分に位置している。スリット84があることにより、保持板80cの中央部分は垂直方向に透水可能となっている。本実施形態では、スリット84は、保持板80cの中央部分において、前後左右に4箇所形成されている。それら4つのスリット84はつながっている。ただし、スリット84の位置および形状等は特に限定されない。
本実施形態の脚部30は、上記各実施形態と同様に伸縮自在である。その構成は上記各実施形態と同様のため、説明は省略する。
本実施形態においても、飼い主は、ペットPを姿勢保持器具1Gに載せた状態でペットPを洗うことができる。本実施形態では、飼い主は、保持板80cのスリット84の下から手を入れることで、ペットPの腹部を洗うことが可能である。
また、本実施形態に係る姿勢保持器具1Gは、第6実施形態と同様に、高齢となったペットに対して、自立や自立歩行の支援をするための器具として使用することができる。この場合、脚部30に図8のキャスタ40等を取り付けるとよい。
本実施形態では、保持板80cの中央部分にスリット84が形成されており、保持板80cの中央部分は水を下方に通す透水機能を有している。そのため、保持板80cの中央部分の上面には水が溜まりにくい。したがって、ペットPの腹部に水が溜まりにくく、ペットPの腹部を洗いやすい。また、腹部に水が溜まりにくいので、洗っているときのペットPのストレスを軽減することができる。また、洗った後、保持板80cに載せられたペットPを容易に乾かすことができる。
また、スリット84を通じてペットPの腹部の一部が下方に開放される。そのため、飼い主は、ペットPの腹部を容易に洗うことができる。
第7実施形態では、姿勢保持手段である保持板80cは、平面視において十字状であり、保持板80cと枠体14との間にペットPの脚を通すための孔82が4つ形成されていた。しかし、保持板80cの代わりに他の形状の保持板を用いることもできる。図17は、姿勢保持器具1Gの変形例に係る器具本体10の平面図である。
図17に示すように、本変形例に係る保持板80dは、平面視において、略円形状の中央部80d1と、中央部80d1から枠体14に向かって略放射状に延びる複数の線状部80d2とを備えている。線状部80d2の先端部は枠体14に固定されている。保持板80dと枠体14との間には、ペットPの脚を通すための複数の孔82が形成されている。ここでは、8つの孔82が保持板80dと枠体14との間に形成されている。ただし、本実施形態において、孔82の数は特に限定されず、少なくともペットPの前脚または後脚を通すために2つ以上形成されていればよい。孔82は、ペットPの前脚および後脚を通すために4つ以上形成されていることが好ましい。また、本実施形態では、8つの孔82はそれぞれが異なる形状をしているが、全て同じ形状であってもよいし、一部の孔82が同じ形状であってもよい。また、本実施形態において、保持板80dの中央部には、スリット84が形成されているとよい。
本実施形態では、飼い主がペットPを洗う際、8つの孔82のうち、何れかの孔82にペットPの脚を通すことで、ペットPの姿勢を一定に保持することができる。保持板80dは、枠体14内の中央部分に位置する中央部80d1を備えているので、中央部80d1によってペットPの胴部を安定して支えることができる。また、飼い主は、スリット84から手を入れることで、ペットPの腹部を洗うことができる。
<第8実施形態>
次に、第8実施形態について説明する。図18は、第8実施形態に係る姿勢保持器具1Hの斜視図である。図19は、第8実施形態に係る器具本体10の平面図である。
図18に示すように、器具本体10は、枠体14と、保持板としてのベルト90とを備えている。本実施形態では、ベルト90が姿勢保持手段を構成している。枠体14は、前枠14F、後枠14Re、右枠14Rおよび左枠14Lから構成されている。右枠14Rおよび左枠14Lには、ベルト90を前後方向に移動させるための移動孔92が形成されている。移動孔92は、右枠14Rおよび左枠Lの長さ方向に延びるようにして、右枠14Rおよび左枠Lの上面に形成されている。本実施形態では、前枠14F、後枠14Re、右枠14Rおよび左枠14Lは、一体で形成されているが、それらが別体で形成されていてもよい。枠体14は樹脂製である。ただし、枠体14の材料は特に限定されず、金属であってもよい。
ベルト90は、枠体14に架け渡されている。本実施形態では、1本のベルト90が枠体14に架け渡されている。ただし、ベルト90の本数は限定されない。ベルト90は、枠体14のうち右枠14Rおよび左枠14Lに架け渡されている。本実施形態では、ベルト90を枠体14に対して支持するための支持部材91によって、ベルト90と右枠14Rおよび左枠14Lとを固定している。支持部材91は、移動孔92に嵌め込むことが可能な形状に形成されている。本実施形態では、2つの支持部材91によって、ベルト90と右枠14Rとを固定しており、2つの支持部材91によって、ベルト90と左枠14Lとを固定している。また、ベルト90の幅方向(図18の前後方向)における両端部に支持部材91が位置している。よって、右枠14Rまたは左枠14Lに配置されている2つの支持部材91の間隔を変えることで、ベルト90は、平面視における幅方向の長さを調節可能となる。また、支持部材91に対するベルト90の固定位置を変えることで、枠体14内のベルト90の長さを調節することが可能である。枠体14内のベルト90の長さを調整することにより、ベルト90の張力を調整することができる。また、支持部材91の右枠14Rおよび左枠14Lの移動孔92に対する位置を変えることで、ベルト90の前後方向の位置を調節することが可能である。
ベルト90は、伸縮自在である。ベルト90は、例えばゴム製である。ベルト90を前後に引っ張ることにより、ベルト90の前後方向の長さを調整することができる。なお、ベルト90は、蛇腹状に前後に折り畳まれていてもよい。この場合、ベルト90を前後に引っ張ることによりベルト90が展開され、ベルト90の前後方向の長さを調整することができる。また、ベルト90は、その一部が左右に延びる軸に巻かれていてもよい。この場合、ベルト90の一部を前方または後方に引っ張ることにより、ベルト90の一部が上記軸から繰り出され、ベルト90の前後方向の長さを調整することができる。
本実施形態では、ベルト90は透水性を有している。透水性を有する材料でベルト90を形成してもよく、ベルト90にスリット等を設けることによって構造的に透水性を備えさせてもよい。また、ベルト90の幅(すなわち前後方向の長さ)は特に限定されないが、ペットPの腹部を安定して支えることが可能な幅が好ましい。
図19に示すように、ベルト90と枠体14との間には、ペットPの脚を通すための孔94が形成されている。本実施形態では、孔94は、ベルト90よりも前方および後方に形成されている。この2つの孔94の大きさは、ベルト90の前後方向の位置を調節することで様々な大きさに変えることができる。
なお、本実施形態の脚部30も、上記各実施形態と同様に伸縮自在である。その構成は、上記各実施形態と同様のため説明は省略する。
次に、飼い主が本実施形態の姿勢保持器具1Hを使用してペットPを洗う際の方法について簡単に説明する。飼い主がペットPを洗う際には、ベルト90と枠体14との間の孔94にペットPの脚を通す。詳しくは、ベルト90より前方に位置する孔94にペットPの前脚を通し、ベルト90よりも後方に位置する孔94にペットPの後脚を通す。本実施形態では、ペットPの左右の前脚が同一の孔94に通され、左右の後脚が同一の孔94に通される。このとき、ベルト90は、ペットPの胴体のうち腹部を支える。なお、脚部30の長さを調節することでペットPの足を床面に付けることができ、ベルト90をペットPの腹部に接触させることができることは、前記各実施形態と同様である。飼い主は、このようにペットPを姿勢保持器具1Hに載せた状態で、ペットPを洗うことができる。ベルト90は伸縮自在なため、飼い主は、ペットPの腹部とベルト90との間に手を入れることで、ペットPの腹部を洗うことが可能である。
また、前記各実施形態と同様、本実施形態に係る姿勢保持器具1Hも、高齢となったペットPに対して、自立や自立歩行の支援をするための器具として使用することができる。この場合、脚部30に図8のキャスタ40等を取り付けるとよい。
本実施形態では、姿勢保持手段は、枠体14に架け渡されたベルト90である。そして、枠体14とベルト90との間には、孔94が2つ形成されている。このことによって、枠体14とベルト90との間にペットPの脚を通し、ベルト90でペットPの腹部を支えることで、ペットPの姿勢を一定に保持することができる。その結果、飼い主は、上記各実施形態と同様に、手でペットPを支えることなく、両手でペットPを洗うことができるため、ペットPを容易に洗うことができる。
また、本実施形態では、ベルト90は伸縮自在である。ベルト90の上にペットを載せたとき、ペットの腹部の一部がベルト90に接しているが、ベルト90が伸縮自在なため、ベルト90をずらしながらペットの腹部を洗うことができる。また、本実施形態の姿勢保持器具1Hに載せられた状態でペットが歩行するとき、ベルト90が必要に応じて伸縮するため、ペットが歩行し易い。
本実施形態では、ベルト90は、平面視における幅方向の長さが調節可能に構成されている。このように、ベルト90の幅を調節することで、様々な大きさのペットに対して、姿勢保持器具1Hを使用することができる。
<他の実施形態>
本発明に係るペット用姿勢保持器具において、脚部の長さ調整を自在にする機構は、以下のようなものであってもよい。図20は、他の実施形態に係る脚部30を示す図である。図21は、脚部30の上側筒状部30aおよび下側筒状部30bを固定する脚部固定具32を示す図であり、図21(a)は、脚部固定具32の平面図であり、図21(b)は、脚部固定具32の正面図である。図22は、脚部30の上側筒状部30aおよび下側筒状部30bが脚部固定具32によって固定された状態を示す図である。図23は、図22のXXIII−XXIII線における断面図である。
図20に示すように、この脚部30は、上側筒状部30aと、下側筒状部30bと、脚部固定具32(図21(a)参照)と、から構成されている。下側筒状部30bは、上側筒状部30aに嵌め込まれる。上側筒状部30aには、固定孔33aが形成されている。下側筒状部30bには、固定孔33bが形成されている。本実施形態では、上下方向に並ぶように3つの固定孔33bが下側筒状部30bに形成されているが、その個数は特に限定されない。固定孔33aおよび固定孔33bは、同じ形状かつ同じ大きさであり、本実施形態では、共に四角形状である。なお、固定孔33aおよび固定孔33bは、後述する貫通板32aが貫通できる孔であればよい。また、図示はしていないが、上側筒状部30aにおいて固定孔33aと対向する位置に同様の固定孔33aが形成されており、下側筒状部30bにおいて、固定孔33bと対向する位置に同様の固定孔33bが形成されている。
本実施形態では、図21(a)に示すように、脚部固定具32は、支持部32bと貫通板32aとから構成されている。支持部32bは、平面視においてC字状であり、一部が開口している。支持部32bは樹脂製である。図21(b)に示すように、貫通板32aは、支持部32bの開口している部分と対向する支持部32bの内側部分に取り付けられており、支持部32bの開口している部分に延びている。本実施形態では、貫通板32aは金属製である。
本実施形態では、図22に示すように、脚部30の上側筒状部30aに下側筒状部30bを嵌め込む。そして、上側筒状部30aの固定孔33aと下側筒状部30bの何れかの固定孔33bとを重ね合わせる。その後、重ね合わせた固定孔33aおよび固定孔33bに脚部固定具32の貫通板32aを貫通させる。このとき、図23に示すように、脚部固定具32の支持部32bが脚部30の上側筒状部30aおよび下側筒状部30bに嵌め込まれ、脚部固定具32が上側筒状部30aと下側筒状部30bとを固定する。また、上側筒状部30aの固定孔33aと重ね合わせる下側筒状部30bの固定孔33bを変更することによって、脚部30の高さを調節することができる。本実施形態では、下側筒状部30bに上下方向に3つ並ぶように固定孔33bが形成されているため、脚部30の高さを3段階にわたって調節することが可能である。
<変形例>
姿勢保持手段は、枠体14の左枠14Lと右枠14Rとの間に架け渡された複数の線状体からなっていてもよい。平行に配置された複数の線状体のうち、何れかの線状体の間にペットPの前脚および/または後脚を通すことにより、ペットPは床面に足をつけることができると共に、前脚と後脚との間に位置する複数の線状体によってペットPの胴部を支えることができる。
本発明に係るペット用姿勢保持器具は、器具本体の上に配置される水切り板と共に用いられてもよい。上記水切り板は、ペットを当該水切り板の上に載せてペットを乾かすための板である。上記水切り板には、水を上記水切り板の上から下へ流すための複数の透水孔が形成されているとよい。
また、本発明に係るペット用姿勢保持器具は、器具本体の下に配置される滑り防止板と共に用いられてもよい。あるいは、ペット用姿勢保持器具は、そのような滑り防止板を備えていてもよい。上記滑り防止板は、ペットの足が滑ることを防止するための板である。上記滑り防止板の表面には、複数のゴム製の凸部が形成されているとよい。この凸部によって、ペットの足が滑ることを防止する。
なお、前記実施形態は、それらの一部を適宜組み合わせて実施することが可能である。例えば、第1実施形態の持運び用グリップ16を第7実施形態に適用する等、前記実施形態を組み合わせた他の実施形態も可能である。