以下、図面を用いて実施形態を説明する。
図1は、充放電試験システムの製造ラインの一例を示す。図1に示した充放電試験システム100は、完成された二次電池150の充放電試験を行うシステムである。充放電試験システム100は、例えば試験内容別に複数の充放電試験装置101が配置される。図1の例では、充放電試験システム100は、モードAの試験を行う試験ラインA、モードBの試験を行う試験ラインB、モードCの試験を行う試験ラインCの三種類の試験ラインを有する。ここで、モードA、モードBおよびモードCの各試験は、例えば充電電流の大きさや充電パターン、放電電流の大きさや放電パターンなどの試験内容が異なる。例えば、試験内容は、モードAが充電と放電を繰り返すトリクル充電、モードBが急速充電、モードCが連続放電、などである。
図1において、試験ラインAは、充放電試験装置101a1、充放電試験装置101a2、充放電試験装置101a3・・・などの複数の試験装置を有し、例えば充放電試験装置101a1は、二次電池150_1に対してモードAの試験を行う。また、試験ラインBは、充放電試験装置101b1、充放電試験装置101b2、充放電試験装置101b3・・・などの複数の試験装置を有し、例えば充放電試験装置101b2は、二次電池150_2に対してモードBの試験を行う。同様に、試験ラインCは、充放電試験装置101c1、充放電試験装置101c2、充放電試験装置101c3・・・などの複数の試験装置を有する。そして、例えば充放電試験装置101c1は、二次電池150_3に対して、充放電試験装置101c2は二次電池150_4に対して、それぞれモードCの試験を行う。
ここで、本実施形態において、各ブロックに付ける符号は、以下の方法で付与する。図1において、充放電試験装置101a1、101a2、101a3、101b1、101b2、101b3、101c1、101c2および101c3は、試験モードの選択が可能な同一又は同様の機能を有する試験装置である。以降の説明において、これらの試験装置に共通の内容を説明する場合、試験装置の符号は、アルファベットのa*,b*,c*(*は数字)を除いて、例えば充放電試験装置101と表記される。また、モードAの試験を行うグループの試験装置に対して共通の内容を説明する場合、試験装置の符号は、グループ内で異なる番号を付加して、例えば充放電試験装置101aと表記される。尚、モードBおよびモードCの試験装置の符号は、アルファベットの符号が異なり、例えば充放電試験装置101b、充放電試験装置101cと表記される。そして、特定の充放電試験装置101を指す場合、試験装置の符号は、例えば充放電試験装置101c1と表記される。二次電池や校正ユニットなどについても同様の考え方で表記し、二次電池の符号は、例えば複数の二次電池に共通の場合は二次電池150と表記され、特定の二次電池150を指す場合は「_数字」を付加して「二次電池150_3」のように表記される。同様に、校正ユニットの符号は、複数の校正ユニットに共通の場合は校正ユニット102と表記され、特定の校正ユニット102を指す場合は「_数字」を付加して「校正ユニット102_2」のように表記される。
ここで、保守者は、充放電試験装置101が二次電池150を試験する時の電気的特性を定期的に検査し、検査結果が予め決められた仕様を満たしていない場合、充放電試験装置101が仕様を満たすように電気的特性を調整する。
例えば、保守者は、二次電池150の充電試験を行う時の充電電流が予め決められた規定範囲内にあるか否かを測定する。そして、保守者は、充電電流が規定範囲から外れている場合、充電電流が規定範囲の例えば中央値になるように充放電試験装置101を調整する。ここで、充電電流が規定範囲から外れている場合、その充放電試験装置101で過去に試験された二次電池150の再試験を行うことになるため、保守者は、規定範囲から外れかけている場合でも規定範囲から大きく外れないように調整を行って管理する。尚、詳細な調整方法については、後で説明する。このように、充放電試験装置101の校正作業は、時間やコストがかかる。また、校正作業中の充放電試験装置101は、二次電池150の試験を行えないので、二次電池150の生産効率も低下する。
そこで、本実施形態における充放電試験システム100では、保守者は、二次電池150の代わりに二次電池150の筐体と同一又は同様のサイズの校正ユニット102を各試験ラインに流しておけば、充放電試験装置101の校正は自動的に行われる。
図2は、充放電試験装置101と校正ユニット102および二次電池150との接続例を示す。
図2(a)は、充放電試験装置101に二次電池150を接続する様子を示す。図2(a)において、充放電試験装置101の試験用の端子117は、二次電池150の端子151と一対一に対応するように配置されている。そして、試験時に、端子117は端子151に接触した状態になり、充放電試験装置101は、二次電池150の試験を開始する。
図2(b)は、充放電試験装置101に校正ユニット102を接続する様子を示す。校正ユニット102は、二次電池150と同一又は同様のサイズの筐体であり、二次電池150の端子151と同一又は同様の配置の端子118を有する。そして、校正時に、充放電試験装置101の端子117は、校正ユニット102の端子118に接触し、校正ユニット102は、充放電試験装置101の電気的特性を計測する。
尚、図1において、二次電池150や校正ユニット102の試験ライン内での移動は、作業者が手動で行ってもよいし、コンベヤーやロボットなどで自動的に移動するようにしてもよい。また、校正ユニット102は、同じ試験モードのグループ内を移動するようにしてもよいし、異なる試験モードのグループ間を移動するようにしてもよい。さらに、校正ユニット102は、試験ラインに流さない場合、待機ラック160などに置いておく。この場合、校正ユニット102は、作業者またはコンベヤーやロボットなどで待機ラック160に移動され、校正時に再び試験ラインに流される。尚、校正スケジュールは、製造工程や製造検査項目に応じて予め決められており、校正スケジュールに従って充放電試験装置101の校正を行う。また、校正を自動的に行う場合、試験管理装置103は、校正スケジュールに従って校正ユニット102をコンベヤーやロボットなどで試験ラインに流し、各充放電試験装置101の校正を行う。ここで、試験管理装置103は、校正ユニット102が接続されている充放電試験装置101、待機ラック160および試験ラインなど工場内における校正ユニット102の位置を取得できる。尚、校正ユニット102の位置を取得する方法ついては、後で説明する。
図3は、充放電試験システム100の一例を示す。充放電試験システム100において、充放電試験装置101は、校正ユニット102に接続され、試験管理装置103によって制御および管理される。充放電試験装置101は、試験管理装置103と例えばLAN(Local Area Network)で接続される。尚、試験管理装置103は、同じ試験グループの充放電試験装置101を管理してもよいし、複数の試験グループの充放電試験装置101を共通に管理してもよい。また、図3では、充放電試験装置101と試験管理装置103とを別の装置として分離したが、充放電試験装置101に試験管理装置103の機能を含めて充放電試験装置101としてもよい。
図3において、充放電試験装置101は、例えば、充放電回路111と、制御部112と、電源部113とを有する。ここで、充放電試験システム100は、二次電池150や校正ユニット102が製造ラインを流れて充放電試験装置101のところに来たことを検出するために、例えばRFID(Radio Frequency IDentification)機能を有する。RFID機能は、RFIDタグ191に予め記憶された情報をRFIDリーダ192で読み取って、RFIDタグ191が取り付けられた物品を認識する技術である。図3の例では、二次電池150や校正ユニット102にRFIDタグ191を取り付けておき、RFIDリーダ192は、RFIDタグ191が数センチメートルの近距離に近づいた時にRFIDタグ191の情報を読み取る。読み取った情報は、制御部112または試験管理装置103の制御パソコン133で解析される。尚、RFIDタグ191に予め記憶される情報は、固有の識別情報で、例えば、二次電池150や校正ユニット102の識別情報でもよいし、二次電池150や校正ユニット102との対応が分かっていれば、RFIDタグ191自身の識別番号や識別符号などでもよい。この識別情報により、試験管理装置103は、二次電池150や校正ユニット102がどの充放電試験装置101に接続されているのかを知ることができる。さらに、製造ラインのコンベヤーや待機ラック160にRFIDリーダ192を設置しておくことで、試験管理装置103は、二次電池150や校正ユニット102の製造ライン上の位置を知ることができる。尚、RFID機能ではなく、識別情報をバーコードなどの符号に印刷して二次電池150や校正ユニット102に添付しておき、充放電試験装置101に設けたバーコードリーダで読み取るようにしてもよい。
充放電回路111は、二次電池150や校正ユニット102を接続するための端子117を有する。図3の例では、端子117は、ch01からch10までの10組のチャネルを有するが、10組でなくてもよい。尚、各組は、プラス(+)端子と、マイナス(−)端子とを有する。充放電回路111は、制御部112によって充電電流の大きさや充電時間、放電電流の大きさや放電時間などが制御される。また、充放電回路111は、二次電池150のインピーダンス特性や電圧および温度などを計測して制御部112に出力する。尚、二次電池150は、複数のセルが積層され、セル毎に充放電試験装置101の端子に接続され、セル毎に電気的特性が試験される。充放電試験装置101は、校正ユニット102が接続されると、充放電試験装置101は、ch01からch10までの10組の接続端子のうち予め決められた接続端子(例えばch10)から校正ユニット102を動作させるための電源を供給する。例えば、制御部112は、充放電回路111の出力電圧を制御して、ch10から定電圧電源(DC(Direct Current)5Vなど)を校正ユニット102に供給する。
制御部112は、LANインターフェース回路を有し、試験管理装置103に接続され、予め設定された試験モード、或いは試験管理装置103から指示される試験内容に従って充放電回路111を制御する。
電源部113は、商用電源(AC(Alternating Current)100Vなど)に接続され、充放電回路111および制御部112の動作に求められる電力を供給する。
また、図3において、試験管理装置103は、例えば、HUB131と、無線親機132と、制御パソコン133とを有する。
HUB131は、複数の充放電試験装置101と、無線親機132と、制御パソコンとをLANで接続するためのネットワーク装置である。
無線親機132は、複数の校正ユニット102と無線で接続され、校正ユニット102との間で制御情報を送受信したり、校正ユニット102の状態や計測結果などを受信する。
制御パソコン133は、同じ試験グループ内の充放電試験装置101、または複数の試験グループの充放電試験装置101を制御し、試験前には試験内容の設定、試験中は試験状態のモニタ、試験後は試験結果の取得および管理などを行う。
図3において、校正ユニット102は、例えば、制御部120と、マルチメータ装置121と、無線子機122と、電圧変換部123と、バッテリ124と、切替回路141とを有する。また、校正ユニット102は、先に説明したように、自ユニットの識別情報などが記憶されたRFIDタグ191を有し、充放電試験装置101は、RFIDリーダ192によりRFIDタグ191の情報を読み出す。さらに、校正ユニット102は、充放電試験装置101の端子117に接続される端子118を有する。
制御部120は、CPU(Central Processing Unit)などで実現され、CPU内部に記憶されたプログラムに従って校正ユニット102全体の動作を制御する。例えば、制御部120は、マルチメータ装置121や無線子機122とLANで通信を行って、マルチメータ装置121で計測した結果を無線子機122から試験管理装置103の無線親機132に送信する。また、制御部120は、切替回路141を制御して、充放電試験装置101とマルチメータ装置121の各チャネルchを接続したり、充放電試験装置101のチャネルchの一部を電圧変換部123に接続する。
マルチメータ装置121は、計測回路125と、計測制御回路126とを有する。尚、マルチメータ装置121の詳細については、後で詳しく説明する。計測回路125は、充放電試験装置101と接続される端子118の各チャネルの電流特性、電圧特性、或いはインピーダンスなどを計測する。計測制御回路126は、計測回路125の計測内容を制御したり、計測回路125の計測データを読み出す。また、計測制御回路126は、LANで制御部120と接続され、制御部120からの指令に基づいて計測を実行したり、計測結果を制御部120に出力する。
無線子機122は、試験管理装置103の無線親機132との間で無線回線(例えば無線LAN回線)を確立し、校正ユニット102の情報(計測データ、ユニット情報など)やアラームなどの制御情報を試験管理装置103との間で送受信する。
電圧変換部123は、充放電試験装置101から切替回路141を介して供給される電源をマルチメータ装置121や無線子機122の動作に要する電圧に変換する。図3の例において、電圧変換部123は、充放電試験装置101から供給されるDC5Vの電圧を商用電源と同じAC100Vに変換してマルチメータ装置121に供給する。また、電圧変換部123は、DC5Vの電圧をDC24Vに変換して無線子機122および制御部120に供給する。
バッテリ124は、マルチメータ装置121の中の一部の回路に電源を供給するための小型の蓄電池である。尚、バッテリ124は、マルチメータ装置121全体を駆動する電源容量は無く、マルチメータ装置121の一部の回路に、少なくとも予め決められた校正間隔よりも長い時間、電源を供給できる電源容量があればよい。また、バッテリ124は、充放電試験装置101から校正ユニット102に電源が供給されている期間、電圧変換部123から充電されながら、マルチメータ装置121の中の一部の回路に電源を供給する。また、バッテリ124は、充放電試験装置101から校正ユニット102に電源が供給されていない期間もマルチメータ装置121の中の一部の回路に電源を供給する。これにより、マルチメータ装置121の中の一部の回路は、電源が継続して供給されるので、電源のオンオフに伴って回路の動作が不安定になるのを防止できる。尚、バッテリ124が電源を供給するマルチメータ装置121の回路は、後で詳しく説明する。
切替回路141は、充放電試験装置101から校正ユニット102に電源を供給するチャネルchを切り替えるためのスイッチを有し、制御部120によりスイッチが制御される。例えばch10からDC5Vの電源を供給する場合、制御部120は、充放電試験装置101に接続されるch10をマルチメータ装置121側から電圧変換部123側に切り替える。
このように、校正ユニット102は、商用電源に接続するための電源コードが無く、製品の二次電池150と同様に、スタンドアロンで扱うことができ、試験ライン上の二次電池150に混ぜて流すことができる。尚、図3に示した校正ユニット102は、マルチメータ装置121として計測精度が保証された市販品を搭載するので、電圧変換部123から商用電源と同じAC100Vを供給するようにした。例えば、マルチメータ装置121の代わりに専用の計測器を開発して使用する場合、専用の計測器の電源は、充放電試験装置101から供給されるDC5Vを直接、利用してもよい。また、制御部120、無線子機122およびバッテリ124についてもDC5Vを用いるようにすれば、校正ユニット102は、電圧変換部123を搭載せずに済む。いずれの場合であっても、本実施形態に係る校正ユニット102は、二次電池150と同一又は同様のサイズの筐体および端子118を持ち、二次電池150の端子151と同一又は同様の配置の端子118を有する。そして、校正ユニット102は、充放電試験装置101に接続されている期間は充放電試験装置101から電源が供給され、充放電試験装置101に接続されていない期間はマルチメータ装置121の一部の回路にバッテリ124から電源が供給される。
図4は、校正ユニット102の一例を示す。尚、図4において、図3と同符号のブロックは、同一又は同様の機能を有する。図4において、マルチメータ装置121は、計測回路125と、計測制御回路126と、電源回路127と、表示回路128とを有する。
計測回路125は、計測制御回路126の制御に基づいて、切替回路141および端子118を介して接続される充放電試験装置101の各chの電気的特性を計測し、計測制御回路126に出力する。
計測制御回路126は、制御部120から指示される計測内容に従って計測回路125を制御し、計測した充放電試験装置101の電気的特性を制御部120に出力する。
電源回路127は、電圧変換部123から供給されるAC100Vの交流電圧を直流電圧に変換して、計測制御回路126および表示回路128と、計測回路125の一部の回路とに供給する。
表示回路128は、例えば液晶表示パネルを有し、計測制御回路126により、マルチメータ装置121の設定パラメータや計測結果が表示される。尚、本実施形態では、マルチメータ装置121は、校正ユニット102の筐体内部に格納されているが、液晶表示パネルの表示内容を校正ユニット102の筐体外部から確認できるようにしてもよい。
図4において、計測回路125は、アナログ回路401と、デジタル回路402とを有する。アナログ回路401は、A/D変換器(図4ではA/Dと表記)411、OPアンプ(図4ではAMPと表記)412およびリファレンス電圧回路(図4ではRefと表記)413などを有する。そして、アナログ回路401は、充放電試験装置101の電気的特性(充電電圧、充電電流、放電電圧、放電電流、インピーダンスなど)を計測するための回路である。そして、アナログの計測値は、A/D変換器411でデジタルデータに変換され、アナログ回路401は、デジタルの計測値をデジタル回路402に出力する。デジタル回路402は、発振回路414やロジック回路を有し、計測値の保持や数値のカウント、計測結果のデコードやエンコードなどを行って、最終的な計測値(電圧値、電流値、抵抗値など)を計測制御回路126に出力する。
ここで、アナログ回路401のA/D変換器411、OPアンプ412およびリファレンス電圧回路413などは、電源の投入から一定時間以上、通電した状態にしてヒートランを行い、回路の動作を安定させることが求められる。このために、本実施形態に係る校正ユニット102は、小型のバッテリ124から直接、計測回路125のアナログ回路401に電源を供給している。尚、デジタル回路402は、バッテリ124ではなく電源回路127から電源が供給される。ここで、バッテリ124が無い場合の問題点について説明する。
図5は、バッテリが無い場合の校正ユニット102aの一例を示す。図5において、図4と異なるのは、バッテリ124が無く、計測回路125のアナログ回路401は、電源回路127から電源が供給されている。このため、校正ユニット102aが充放電試験装置101に接続されていない期間、電圧変換部123は、充放電試験装置101から電源が供給されないので、計測回路125(アナログ回路401やデジタル回路402)に電源が供給されない。従って、校正ユニット102aは、次の充放電試験装置101に接続されて電源の供給が開始された時に、アナログ回路401の動作が安定するまで、一定期間、計測を行わずに通電した状態にすることが求められる。このため、校正ユニット102aが充放電試験装置101を校正するための時間が長くなり、校正試験の効率が悪くなるという問題が生じる。
これに対して、図4で説明した本実施形態に係る校正ユニット102は、充放電試験装置101に接続されていない期間において、バッテリ124から計測回路125のアナログ回路401に電源が供給されている。これにより、校正ユニット102は、次の充放電試験装置101に接続されて電源の供給が開始された時に、アナログ回路401の動作は既に安定した状態になっているので、直ぐに計測を行うことができ、校正試験の効率を向上することができる。
図6は、バッテリで動作する校正ユニットの一例を示す。図5に示した校正ユニット102aは、充放電試験装置101から供給される電源で動作するので、充放電試験装置101に接続されていない期間、計測回路125のアナログ回路401に電源が供給されないという問題があった。これに対して、図6に示した校正ユニット102bは、大型のバッテリ141を搭載し、充放電試験装置101から電源の供給を受けずに、校正ユニット102b全体に電源を供給するので、独立して動作することができる。このため、計測回路125のアナログ回路401は、バッテリ141から常に電源が供給されている。これにより、校正ユニット102bは、次の充放電試験装置101に接続された時に、アナログ回路401の動作は既に安定した状態になっているので、直ぐに計測を行うことができる。ところが、校正ユニット102bは、定期的に試験ラインから外して、バッテリ141を充電することが求められ、校正ユニット102bの使用効率が低下し、保守作業が増えるという問題が生じる。
これに対して、図4に示した本実施形態に係る校正ユニット102は、充放電試験装置101に接続された時に電圧変換部123からバッテリ124に充電するので、バッテリ124を定期的に充電しなくてもよい。また、バッテリ124は、容量が小さい小型のもので済む。さらに、校正ユニット102は、試験ラインから外して充電せずに済むので、校正ユニット102の使用効率が向上し、保守作業を軽減できる。
図7は、校正ユニット102のその他の例を示す。図4の校正ユニット102では、バッテリ124は、計測回路125のアナログ回路401に電源を供給する場合を示したが、デジタル回路402の一部の回路にも電源を供給するようにしてもよい。例えば、図7の校正ユニット102cにおいて、バッテリ124は、アナログ回路401と、デジタル回路402cの発振回路414とに電源を供給する。発振回路414は、発振周波数が安定するまで時間が掛かる場合があるので、バッテリ124から通電しておくことにより、発振周波数を安定した状態にしておくことができる。尚、デジタル回路402cは、発振回路414に電源を供給する配線と、発振回路414以外の回路に電源を供給する配線とを有する。
また、バッテリ124は、アナログ回路401の中のA/D変換器411に電源を供給するようにしてもよい。或いは、充放電試験装置101に接続されていない時間に応じて、バッテリ124から電源を供給する箇所を適宜、変えるようにしてもよい。例えば、充放電試験装置101に接続されていない時間(待機時間)が30分以下の場合、30分から5時間までの場合、5時間以上の場合、に分けて、校正ユニット102は、バッテリ124から電源を供給する部分を切り替えるようにしてもよい。例えば、バッテリ124は、待機時間が30分以下の場合は計測回路125全体に電源を供給し、30分から5時間までの場合はアナログ回路401以外に電源を供給せず、5時間以上の場合はA/D変換器411以外に電源を供給しないようにする。いずれの場合においても、校正ユニット102は、充放電試験装置101に接続されてから校正を開始するまでの時間を短縮することができる。
図8は、充放電試験装置101の処理を示す。
ステップS101において、充放電試験装置101の制御部112は、二次電池150(または校正ユニット102)が接続されたか否かを検出し、接続されるまで待機する。
尚、接続の有無は、例えば、図3で説明したRFIDリーダ192で校正ユニット102(または二次電池150)に取り付けられたRFIDタグ191の情報を読み取ることにより、検出できる。
ステップS151において、充放電試験装置101の制御部112は、接続された装置が校正ユニット102であるか否かを判別する。そして、制御部112は、校正ユニット102である場合、ステップS152の処理に進み、二次電池150である場合、ステップS102の処理に進む。
尚、校正ユニット102であるか二次電池150であるかの判別は、RFIDリーダ192がRFIDタグ191から読み取った情報により行うことができる。例えば、充放電試験装置101または試験管理装置103は、試験ラインを流れている校正ユニット102や二次電池150の識別情報を予め登録したテーブルを有する。そして、充放電試験装置101または試験管理装置103は、RFIDリーダ192で読み取った識別情報とテーブルに登録された識別情報とを比較して、接続されている校正ユニット102(または二次電池150)の個体識別を行うことができる。或いは、RFIDリーダ192は、二次元バーコードのような印刷符号を読み取るスキャナーで代用してもよい。そして、充放電試験装置101は、スキャナーで校正ユニット102(または二次電池150)の印刷符号を読み取って、校正ユニット102(または二次電池150)の個体識別を行ってもよい。
ステップS152において、充放電試験装置101の制御部112は、接続された装置が校正ユニット102なので、校正試験の準備を行う。例えば、制御部112は、予め決められた指定chへの電源供給を開始する。例えば、図3において、校正ユニット102が切替回路141によってch10(他のchでもよい)を電圧変換部123側に切り替えている場合、充放電試験装置101の充放電回路111は、ch10にDC5Vの定電圧電源の供給を行う。尚、ステップS152において、充放電試験装置101の制御部112は、校正ユニット102が接続されたことを試験管理装置103の制御パソコン133にLANを介して通知する。
ステップS153において、充放電試験装置101の制御部112は、試験管理装置103から校正試験を開始するように指令される。尚、試験管理装置103は、校正ユニット102の制御部120から起動が完了したことを無線子機122および無線親機132を介して通知されている。そして、試験管理装置103は、校正ユニット102に対しても校正試験の開始を指令する。この後、充放電試験装置101の制御部112は、校正ユニット102に電源を供給しているch以外の各chに対して、予め設定された校正試験を行う。例えばch10でDC5Vの定電圧電源を供給している場合、校正ユニット102は、充放電試験装置101のch01からch09までの各chで充電試験や放電試験を行う。ここで、校正試験において、マルチメータ装置121の計測回路125は、例えば充放電試験装置101が二次電池150を試験する時の充電電圧や充電電流などの値を計測し、計測結果は、適宜、制御部120から試験管理装置103に無線で通知される。
ステップS154において、充放電試験装置101の制御部112は、校正試験が終了したか否かを判別し、終了するまでステップS153の動作を継続する。そして、校正試験が終了した場合は、制御部112は、次のステップS155の処理に進む。尚、一連の処理は、校正ユニット102の処理および試験管理装置103の処理と連携して行われ、例えば試験管理装置103は、充放電試験装置101に充電試験を指示し、校正ユニット102に充電試験時の電気的特性を計測するよう指示する。
ステップS155において、充放電試験装置101の制御部112は、ch01からch10までのchに対する校正試験が終了したか否かを判別し、終了していない場合はステップS156の処理に進み、終了した場合はステップS157の処理に進む。尚、一連の処理は、校正ユニット102の処理および試験管理装置103の処理と連携して行われ、試験管理装置103は、校正ユニット102の切替回路141の状態や充放電試験装置101から校正ユニット102に電源を供給しているchなどを管理する。
ステップS156において、充放電試験装置101の制御部112は、試験管理装置103からの指令に基づいて、校正ユニット102に電源を供給しているchを校正試験が終了した他のchに切り替える。先の例の場合、充放電試験装置101は、ch10から校正ユニット102に電源を供給していたので、校正試験が終了したch09(ch01からch08でもよい)に電源供給を切り替える。尚、この時、充放電試験装置101は、ch10への電源供給を切る前にch09から電源供給を開始し、ch09からの電源供給が完了してからch10への電源供給を停止する。これにより、校正ユニット102は、ch09およびch10から時間的にオーバーラップして電源が供給されるので、動作が中断されない。尚、試験管理装置103は、充放電試験装置101の動作と並行して、校正ユニット102に対しても、電圧変換部123に接続するchをch10からch9に切り替えるように指令する。そして、ステップS153に戻って、充放電試験装置101および校正ユニット102は、校正試験が終了していないch10の校正試験を同様に行う。
ステップS157において、充放電試験装置101の制御部112は、試験管理装置103から各chの校正試験が終了したことが通知されると、校正ユニット102への電源供給を停止する。先の例では、ch09への電源供給を停止し、充放電回路111のch09の設定を二次電池150の充放電試験用に戻しておく。これにより、充放電試験装置101は、校正ユニット102の次に二次電池150が充放電試験装置101に接続された場合に、二次電池150の充放電試験を直ぐに行うことができる。そして、充放電試験装置101、校正ユニット102および試験管理装置103は、一連の校正試験を終了する。
次に、ステップS151において、充放電試験装置101が二次電池150の接続を検出した場合、充放電試験装置101は、次のように処理を行う。
ステップS102において、充放電試験装置101の制御部112は、予め設定された試験モードで二次電池150の充放電試験を行う。例えば、制御部112は、最初の30分間を充電電流2Aで充電し、次の30分間を充電電流1Aで充電する場合の電圧変化と温度変化とを試験する。
ステップS103において、充放電試験装置101の制御部112は、試験が終了したか否かを判別し、終了するまでステップS102の動作を継続する。そして、制御部112は、試験が終了した場合は、次のステップに進む。
ステップS104において、充放電試験装置101の制御部112は、二次電池150の識別情報と試験結果とをLANを介して試験管理装置103の制御パソコン133の通知する。
このようにして、充放電試験装置101は、二次電池150が接続された場合は二次電池150の充放電試験、校正ユニット102が接続された場合は校正ユニット102による校正試験、をそれぞれ行うことができる。
ここで、ステップS153の校正試験および充放電試験装置101の調整を行う処理について説明する。試験管理装置103の制御パソコン133は、充放電試験装置101の制御部112に対して、充電電圧や充電電流などを指定する。そして、充放電回路111は、指定された条件で充電電圧や充電電流を校正ユニット102に供給する。一方、校正ユニット102は、計測回路125で充電電圧や充電電流などを計測し、計測結果を校正ユニット102の無線子機122から試験管理装置103の無線親機132に送信して、制御パソコン133に通知する。制御パソコン133は、計測結果が充放電試験装置101の試験仕様を満たしているか否かを確認する。例えば、制御パソコン133は、充放電試験装置101に指定した試験電圧や試験電流の計測値が規定範囲内あるか否かを確認する。そして、制御パソコン133は、計測結果に応じて充放電試験装置101の調整を行うか否かを判断する。
例えば、制御パソコン133は、計測結果が規定範囲内に収まっていて余裕がある場合、計測結果が規定範囲内に収まっているが余裕がない場合、計測結果が規定範囲内に収まっていない場合、のどれに該当するかを判断する。ここで、制御パソコン133は、余裕があるか否かの判断を例えば規定範囲の50%の範囲内に計測結果が収まっているか否かにより判定する。そして、制御パソコン133は、計測結果が規定範囲内に収まっていて余裕がある場合、その充放電試験装置101は合格とする。また、制御パソコン133は、計測結果が規定範囲内に収まっていて余裕がない場合(例えば、規定範囲の50%の範囲を超えている場合)、充放電試験装置101の制御部112に指令して、充放電回路111の設定を調整する。例えば、ch1の充電電圧が規定範囲の50%を超えて低くなっている場合、制御パソコン133は、充放電試験装置101の制御部112にch1の充電電圧を規定範囲の中央値まで電圧を上げるように指令する。この後、制御パソコン133は、校正ユニット102に指令して、ch1の充電電圧を計測させ、計測結果が規定範囲内に収まっていて余裕があるか否かを確認する。そして、未だ余裕がない場合、制御パソコン133は、計測結果に余裕が出るまで同様の動作を繰り返す。一方、制御パソコン133は、計測結果が規定範囲内に収まっていない場合、その充放電試験装置101は不合格として、アラームメッセージを制御パソコン133の画面に表示する。この時、制御パソコン133は、アラーム音を発生してもよい。これにより、作業者は、充放電試験装置101の異常を認識することができる。そして、作業者は、前回の校正後に、この充放電試験装置101で試験を行った二次電池150の製造番号のリストを制御パソコン133で確認し、これらの二次電池150の再試験を行う。尚、制御パソコン133は、充放電試験装置101がRFIDリーダ192で読み取った二次電池150の識別情報とその二次電池150の試験結果とを関連付けて管理する。
このようにして、充放電試験装置101は、校正ユニット102により自動的に校正され、二次電池150の充放電試験の品質を保つことができる。
図9は、校正ユニット102の処理を示す。
ステップS201において、校正ユニット102は、充放電試験装置101が接続されたか否かを検出し、接続されるまで待機する。実際には、校正ユニット102は、充放電試験装置101から電源が供給されるまで動作しないので、充放電試験装置101および試験管理装置103は、校正ユニット102が起動されるまで待機する。ここで、校正ユニット102の起動は、充放電試験装置101の接続の検出と等価であるが、校正ユニット102は、確認のために起動後に給電予定のch(例えばch10)の給電電圧がDC5Vであるか否かを確認してもよい。或いは、校正ユニット102は、マルチメータ装置121の端子118が充放電試験装置101の端子117に接続された時の端子間のインピーダンスの変化により接続の有無を検出してもよい。また、校正ユニット102は、端子118が充放電試験装置101の端子117に押し付けられる動作を検出する機械的なスイッチを備えてもよい。
ステップS202において、校正ユニット102は、充放電試験装置101が行う充放電試験の電流や電圧を計測し、計測結果を無線子機122に出力する。
ステップS203において、校正ユニット102は、計測結果を無線子機122から試験管理装置103の無線親機132に送信する。尚、校正ユニット102は、計測結果を試験管理装置103に送信するときに、校正ユニット102自身の識別情報を計測結果と併せて試験管理装置103に送信する。試験管理装置103は、制御パソコン133で校正ユニット102から受信する識別情報と、充放電試験装置101のRFIDリーダ192により読み取った識別情報とを用いて、どの充放電試験装置101をどの校正ユニット102で校正したのかを管理する。
ステップS204において、校正ユニット102は、校正試験が終了したか否かを判別し、終了するまでステップS202の動作を継続する。そして、校正ユニット102は、計測が終了した場合、次のステップの処理に進む。尚、一連の処理は、充放電試験装置101の処理および試験管理装置103の処理と連携して行われ、校正ユニット102は、試験管理装置103から計測の終了が通知される。
ステップS251において、校正ユニット102は、試験管理装置103からの指令に基づいて、切替回路141により、電源供給chを校正試験が終了した他のchに切り替える。例えばch10から電源供給を受けてch01からch09までの校正試験を終了した場合、校正ユニット102は、試験管理装置103からの指示により、例えばch09から電圧変換部123に電源を供給するように切替回路141を切り替える。また、校正ユニット102は、電源供給を受けていたch10を電圧変換部123側から計測回路125側に切り替える。尚、この時、制御部120は、先に説明した充放電回路111と同様に、ch09およびch10からの電源供給を時間的にオーバーラップするように、切替回路141を切り替える。
ステップS252において、校正ユニット102は、ch01からch10までの各chに対する校正試験が終了したか否かを判別し、終了していない場合はステップS202の処理に戻り、終了した場合はステップS205の処理に進む。尚、一連の処理は、充放電試験装置101の処理および試験管理装置103の処理と連携して行われ、校正ユニット102は、試験管理装置103から充放電試験装置101の全chの計測が終了したことを通知される。
ステップS205において、校正ユニット102は、校正ユニット102内の校正試験の処理が終了したことを試験管理装置103に通知する。尚、試験管理装置103は、充放電試験装置101からも校正試験の終了通知を受けるので、校正ユニット102は、試験管理装置103への試験終了の通知を省略してもよい。
ステップS253において、校正ユニット102は、充放電試験装置101から電源供給を受けるchをデフォルトのchに戻しておく。先の例では、最初に電源供給を受けるデフォルトのchはch10なので、校正ユニット102は、切替回路141によりch10を電圧変換部123側に切り替え、ch01からch09までを計測回路125側に切り替えておく。尚、校正ユニット102は、ステップS252で校正試験の終了を試験管理装置103側に通知後、速やかにステップS253の処理を実行する。これは、試験管理装置103は、校正ユニット102(または充放電試験装置101)から校正試験終了の通知を受け取ると、充放電試験装置101の充放電回路111から校正ユニット102へ供給する電源を停止するため、この前に切り替えを終了しておく。尚、試験管理装置103は、校正ユニット102から校正試験終了の通知を受け取ってから、充放電試験装置101に校正ユニット102への電源供給を停止するように指示してもよい。また、切替回路141が機械的なスイッチではなく、電気的に切り替えを行う電子スイッチである場合は、切替回路141は、起動時にデフォルトの状態に切り替えられるので、デフォルトの状態に戻さなくてもよい。
ここで、切替回路141の切り替え例について、詳しく説明する。
図10は、バッテリ124の充電時間の一例を示す。図10において、校正ユニット102に電源を供給しないch01からch09の校正時間Trは、タイミングt0からタイミングt10までの期間である。尚、ch10は、校正を開始するタイミングt0より少し前のタイミングtsから校正ユニット102に電源を供給している。そして、ch01からch09の校正時間Trが終了したタイミングt10からタイミングt11の期間は、電源の供給をch10からch09に切り替える時の重複期間である。充放電試験装置101は、この重複期間において、ch09とch10の両方から校正ユニット102に電源を供給する。そして、タイミングt11において、切替回路141はch10をマルチメータ装置121側に切り替えて、校正ユニット102は、タイミングt20までの期間(校正期間Tr)、充放電試験装置101のch10の校正を行う。
このようにして、校正ユニット102は、充放電試験装置101のch01からch10までの校正を終了する。そして、タイミングteで充放電試験装置101は校正ユニット102への電源供給を終了し、校正ユニット102の端子118は充放電試験装置101の端子117から離れて、校正ユニット102は次の充放電試験装置101の位置まで移動する。図10の例では、タイミングtsからタイミングteまでの期間がバッテリ124の充電期間である。
尚、先の例では、電源供給は、ch09およびch10の2つのchで行ったが、例えばch01からch08までのchで行ってもよい。また、電源供給は、3つ以上のchを用いて、順番に切り替えるようにしてもよい。或いは、1つのchで校正ユニット102を動作させるのに十分な容量の電源の供給が難しい場合は、複数のchから並列に電源を供給するようにしてもよい。例えば、校正ユニット102を駆動するための電源容量がDC5Vで2Aである場合に、充放電回路111の1つのchから供給できる電源容量がDC5Vで1Aの時、電源は、2つのchから並列に供給する。尚、並列にするch数は、2つのchではなく、3つ以上の複数のchを並列にしてもよい。
次に、試験管理装置103の動作例について説明する。
図11は、試験管理装置103の処理を示す。尚、図11のフローチャートは、制御パソコン133が行う校正時の処理である。制御パソコン133は、校正時の処理以外にも二次電池150の製造管理処理(二次電池150のシリアル番号毎に試験結果や試験日時を管理するなど)を行ったり、充放電試験装置101の校正日程や校正結果などを管理する処理を行う。
以下、試験管理装置103の校正時の処理について、順番に説明する。尚、校正ユニット102は、充放電試験装置101に接続された状態にあり、充放電試験装置101は、予め設定された試験モードによる充放電試験の校正を開始し、これに合わせて校正ユニット102は、校正用の計測を開始した状態になっている。また、制御パソコン133は、先に説明したように、充放電試験装置101および校正ユニット102の識別情報を接続時に取得している。
ステップS301において、制御パソコン133は、校正ユニット102から計測値を受信するまで待機する。尚、実際には、制御パソコン133は、無線親機132による割り込みによって処理するので、待機中は他の処理を行っている。そして、制御パソコン133は、校正ユニット102から計測値を受信すると、次のステップS302の処理に進む。
ステップS302において、制御パソコン133は、ステップS301で受信した計測値と、充放電試験装置101に予め設定されている出力設定値(二次電池150の試験値)とを比較する。そして、比較結果が予め設定された出力設定値からずれている場合はステップS303の処理に進み、出力設定値からずれていない場合はステップS304の処理に進む。
ここで、充放電試験装置101が端子117のch01から出力する充電電圧の校正を行う場合を例に挙げて説明する。充放電試験装置101から出力される充電電圧の規定範囲が試験仕様で例えば18V±0.5Vに決められている場合、試験管理装置103は、校正ユニット102が計測した端子118のch01の電圧が規定範囲内に収まっているか否かを確認する。実際には、先に説明したように、試験管理装置103は、計測電圧が例えば規定範囲の50%(18V±0.25V)を外れた値(例えば17.6Vなど)の場合、ステップS303の処理に進む。ここで、先に説明したように、校正ユニット102の計測値が二次電池150の試験仕様の規定範囲を超えている場合(例えば、計測値が19Vや17V)、製造者は、その充放電試験装置101で試験した過去の二次電池150の再試験を行うことが求められる。尚、校正ユニット102の計測値が二次電池150の試験仕様の規定範囲を超えている場合、図11のステップS302の処理において、試験管理装置103の制御パソコン133は、アラーム音を発生したり、警報メッセージを表示するようにしてもよい。これにより、製造管理者は、二次電池150の試験不良を知ることができる。
ステップS303において、制御パソコン133は、ステップS302の比較結果に応じて充放電試験装置101の端子117のch01の出力電圧を調整する。先の例では、制御パソコン133は、HUB131を介して充放電試験装置101の制御部112にch01の出力電圧(17.6V)を18Vに上げるように指令する。これを受けた充放電試験装置101の制御部112は、充放電回路111のch01の出力電圧を0.4Vだけ上げるように充放電回路111を制御する。そして、制御パソコン133は、調整後の計測値を校正ユニット102に要求し、校正ユニット102は、ch01を再び計測して、制御パソコン133に送信する。制御パソコン133は、再計測値が規定範囲内に調整されているか否かを確認する。尚、調整が不十分な場合(例えばch01の出力電圧が17.6Vから17.7Vにしか上がらなかった場合)、制御パソコン133は、ch01の出力電圧が規定範囲内に収まるまで、ステップS302およびステップS303の処理を繰り返す。
ステップS304において、制御パソコン133は、充放電試験装置101の校正試験の項目(充電電圧や充電電流など)を終了したか否かを判別し、終了していない項目がある場合は、ステップS301の処理に戻って、校正試験を継続する。尚、校正が正常に終了しなかった場合、制御パソコン133は、例えば画面に充放電試験装置101の識別情報と共に校正エラーを表示し、保守管理者に当該充放電試験装置101の使用停止を促す。ここで、校正が正常に終了しなかった場合の一例として、例えば、ステップS303の調整で正常な値に設定できなかった場合や計測値が規定範囲を超えていた場合などがある。
ステップS305において、制御パソコン133は、充放電試験装置101の校正試験の結果をパソコン内のハードディスクなどに記録して管理する。以下は、記録される情報の一例である。
・充放電試験装置101:識別情報=1112
・校正日時:2013年2月3日 6:00
・校正ユニット:識別情報=0033
・校正結果:正常
このようにして、本実施形態に係る充放電試験システム100は、充放電試験装置101、校正ユニット102および試験管理装置103により、二次電池150の充放電試験を行いながら、自動的に充放電試験装置101の校正を行うことができる。
以上、説明したように、製造者は、二次電池150と同一又は同様の形状の校正ユニット102を試験ラインに流すだけで、充放電試験装置101の校正を自動的に行うことができる。また、本実施形態に係る校正ユニット102は、小型のバッテリ124を搭載して計測回路125全体または一部の回路に通電しているので、ステップS201で充放電試験装置101に接続されて起動した後、直ぐに校正用の計測を行うことができる。これにより、保守者が手動で充放電試験装置101の校正作業を行う場合に比べて、迅速に校正を行うことができる。この結果、充放電試験装置101の稼働率が高くなり、二次電池の生産効率を向上することができる。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずである。したがって、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
一つの観点によれば、充放電試験システムは、二次電池の充放電試験を行う充放電試験装置と、充放電試験装置を校正するための校正ユニットとを有する充放電試験システムにおいて、校正ユニットは、充放電試験装置が二次電池の充放電試験を行う時の電気的特性を計測する計測部と、計測部の一部の回路に電源を供給する蓄電池とを有し、計測部は、アナログ回路と、デジタル回路とを備え、蓄電池は、アナログ回路に電源を供給することを特徴とする。
一つの観点によれば、校正ユニットは、二次電池の充放電試験に使用する充放電試験装置を校正するための校正ユニットにおいて、充放電試験装置が二次電池の充放電試験を行う時の電気的特性を計測する計測部と、計測部の一部の回路に電源を供給する蓄電池とを有し、計測部は、アナログ回路と、デジタル回路とを備え、蓄電池は、アナログ回路に電源を供給することを特徴とする。