JP2014169775A - 防振装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小荷重が入力されたときに高い減衰性能を発揮させ、かつ大荷重が入力されたときにストッパの動ばね定数の急上昇を抑えること。
【解決手段】第1取付け部材11は、第2取付け部材12を少なくとも一方向Dに挟むように配置され、弾性体13は、両取付け部材11、12の間に一方向Dの隙間14が設けられるように両取付け部材11、12を連結し、隙間14に配設されたストッパ22は、一方向Dに直列に配置された第1弾性部23と第2弾性部24とが、両取付け部材11、12の間に挟み込まれてなり、第1弾性部23は、第2弾性部24よりもtanδが高く動ばね定数が低く、両取付け部材11、12が一方向Dに相対的に移動して最接近するまでに、第1弾性部23に設けられた空間部23cが一方向Dに押し潰され第1弾性部23が一方向Dに圧縮させられて、第2弾性部24の動ばね定数が第1弾性部23の動ばね定数よりも低くなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば自動車等に適用され、エンジン等の振動発生部の振動を吸収および減衰する防振装置に関する。
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような防振装置が知られている。この防振装置は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、これらの両取付け部材を連結する弾性体と、を備えている。第1取付け部材は、第2取付け部材を少なくとも一方向に挟むように配置されている。弾性体は、両取付け部材の間に前記一方向の隙間が設けられるように両取付け部材を連結している。前記一方向の隙間には、両取付け部材が前記一方向に相対的に移動して最接近したときに、両取付け部材の更なる移動を規制するストッパが配設されている。ストッパは、前記一方向に直列に配置された第1弾性部と第2弾性部とが、両取付け部材の間に挟み込まれてなる。
特開2007−247863号公報
ところで、前記従来の防振装置では、前記一方向に小荷重が入力されたときに高い減衰性能を発揮させることが望まれている。そこで、ストッパにおける両弾性部のtanδを高めることが考えられる。しかしながらこの場合、前記一方向に大荷重が入力されて両取付け部材が前記一方向に相対的に大きく移動して、両弾性部が前記一方向に圧縮させられたときに、ストッパの動ばね定数が急上昇するおそれがあった。なお、このように動ばね定数が急上昇すると、例えばこもり音などの騒音が発生し易くなる。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、小荷重が入力されたときに高い減衰性能を発揮させ、かつ大荷重が入力されたときにストッパの動ばね定数の急上昇を抑えることができる防振装置を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る防振装置は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、これらの両取付け部材を連結する弾性体と、を備え、前記第1取付け部材は、前記第2取付け部材を少なくとも一方向に挟むように配置され、前記弾性体は、前記両取付け部材の間に前記一方向の隙間が設けられるように前記両取付け部材を連結し、前記一方向の隙間には、前記両取付け部材が前記一方向に相対的に移動して最接近したときに、前記両取付け部材の更なる移動を規制するストッパが配設され、前記ストッパは、前記一方向に直列に配置された第1弾性部と第2弾性部とが、前記両取付け部材の間に挟み込まれてなる防振装置であって、前記第1弾性部には、前記両取付け部材が前記一方向に相対的に移動するときに当該第1弾性部が前記第2弾性部により弾性変形させられることで前記一方向に押し潰される空間部が設けられ、前記第1弾性部は、前記第2弾性部よりもtanδが高く、かつ動ばね定数が低く、これらの両弾性部は、前記両取付け部材が前記一方向に相対的に移動して最接近するまでに、前記空間部が前記一方向に押し潰され前記第1弾性部が前記一方向に圧縮させられて、前記第2弾性部の動ばね定数が前記第1弾性部の動ばね定数よりも低くなるように構成されていることを特徴とする。
この発明では、前記一方向に小荷重が入力され、空間部が前記一方向に押し潰されない範囲で、両取付け部材が前記一方向に相対的に小さく移動すると、両弾性部のうち、動ばね定数が低い第1弾性部が優先的に前記一方向に圧縮させられる。これにより、tanδが高い第1弾性部の減衰特性が発揮される。
また、前記一方向に大荷重が入力されて両取付け部材が前記一方向に相対的に大きく移動することで、空間部が前記一方向に押し潰されて第1弾性部が前記一方向に圧縮させられると、第2弾性部の動ばね定数が第1弾性部の動ばね定数よりも低くなる。これにより、第2弾性部が優先的に前記一方向に圧縮させられることとなり、第1弾性部の動ばね定数が急上昇したとしても、ストッパの動ばね定数の急上昇が抑えられる。
以上より、小荷重が入力されたときに高い減衰性能を発揮させ、かつ大荷重が入力されたときにストッパの動ばね定数の急上昇を抑えることができる。
また、前記第1取付け部材には、前記一方向に直交する他方向に延在し該他方向に前記第2取付け部材とずらされて配置された筒状の本体部と、前記本体部に連結されるとともに、前記第2取付け部材を少なくとも前記一方向に挟むように配置されたブラケット部と、が備えられ、前記弾性体は、前記第2取付け部材と前記ブラケット部との間に前記一方向の隙間が設けられるように、前記第2取付け部材と前記本体部とを連結し、前記本体部内には、前記弾性体を壁面の一部とし、液体が封入された受圧液室が形成され、該受圧液室が液圧変動することで振動を吸収および減衰してもよい。
この場合、前記他方向に振動が入力され、両取付け部材が、弾性体を前記他方向に弾性変形させつつ前記他方向に相対的に移動すると、主液室が拡縮して液圧変動することとなり、振動が吸収および減衰される。
このように、前記他方向の振動も吸収および減衰することができるので、前記一方向および前記他方向の両方向の振動を吸収および減衰することができる。
本発明に係る防振装置によれば、小荷重が入力されたときに高い減衰性能を発揮させ、かつ大荷重が入力されたときにストッパの動ばね定数の急上昇を抑えることができる。
本発明の一実施形態に係る防振装置の縦断面図である。 本発明の変形例に係る防振装置の縦断面図である。
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る防振装置を説明する。
図1に示すように、防振装置10は、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される第1取付け部材11、および他方に連結される第2取付け部材12と、これらの両取付け部材11、12を弾性的に連結する弾性体13と、を備えている。
ここで、第2取付け部材12および弾性体13は、平面視円形状であるとともに共通軸と同軸に配置されている。以下、この共通軸を軸線Oといい、軸線O方向(他方向)に沿った第2取付け部材12側を一方側といい、後述する本体部15側を他方側といい、前記軸線O回りに周回する方向を周方向という。
第2取付け部材12は、前記軸線O方向に延在する棒状に形成され、前記一方側に向けて開口するねじ穴が形成されている。第2取付け部材12における前記軸線O方向の中央部には、周方向の全周にわたって突出する鍔部12aが形成されている。
第1取付け部材11は、第2取付け部材12を少なくとも、前記軸線O方向に直交する直交方向(一方向)Dに挟むように配置されている。第1取付け部材11には、前記軸線O方向に延在し該軸線O方向に第2取付け部材12とずらされて配置された筒状の本体部15と、該本体部15に連結されるとともに、第2取付け部材12を少なくとも前記直交方向Dに挟むように配置されたブラケット部16と、が備えられている。
ブラケット部16は、第2取付け部材12において前記鍔部12aよりも前記一方側に位置する部分が挿通される挿通孔が形成された頂壁部16aと、頂壁部16aにおける前記直交方向Dの両側端から前記他方側に向けて延在する一対の脚部16bと、を備えている。脚部16bにおける前記他方側の端部は、前記直交方向Dの外側に屈曲している。
本体部15は、前記軸線Oと同軸に配置され、一対の脚部16bにより前記直列方向Dに挟持されている。本体部15における前記一方側の一端開口部内には、第2取付け部材12における前記他方側の他端部が配置されている。
弾性体13は、両取付け部材11、12の間に前記直交方向Dの隙間14が設けられるように両取付け部材11、12を連結している。図示の例では、弾性体13は、第2取付け部材12と、第1取付け部材11のブラケット部16と、の間に前記直交方向Dの隙間14が設けられるように、第2取付け部材12と、第1取付け部材11の本体部15と、を連結している。弾性体13は、第2取付け部材12における前記他端部の外周面と、本体部15の前記一端開口部の内周面と、に各別に加硫接着されている。弾性体13は、本体部15の一端開口部を閉塞している。
ここで前記本体部15内には、液体Lが封入された液室17が設けられている。本実施形態では、本体部15における前記他方側の他端開口部が、ダイヤフラム18により閉塞されており、液室17は、本体部15の内部のうち、ダイヤフラム18と弾性体13との間に位置する部分とされている。
ダイヤフラム18は、平面視円形状に形成されるとともに、前記他方側に向けて開口した逆椀状体となっている。ダイヤフラム18の外周縁部には、その全周にわたってリング板18aの内周面が加硫接着されている。リング板18aは、本体部15の前記他端開口部内に嵌合されている。
液室17は、ダイヤフラム18および弾性体13によって前記軸線O方向の両側から液密に閉塞されている。液室17は、仕切り部材19により、前記軸線O方向に沿って主液室17aと副液室17bとに区画されている。
仕切り部材19は、円環状に形成されるとともに本体部15内に嵌合された仕切り部材本体19aと、仕切り部材本体19a内に配設され仕切り部材本体19a内を閉塞する円板状のゴム部材19bと、を備えている。
主液室17aは、当該防振装置10への前記軸線O方向の振動の入力に伴って液圧が変動する。本実施形態では、主液室17aは、弾性体13を壁面の一部としており、前記軸線O方向の振動の入力時における弾性体13の変形により内容積が変化することで、液圧が変動する。
副液室17bは、ダイヤフラム18を壁面の一部としており、液圧変動に応じてダイヤフラム18が変形することにより拡縮する。
これらの主液室17aと副液室17bとは、オリフィス通路20を通して連通している。オリフィス通路20は、液体Lが流通することで液柱共振を生じさせる。オリフィス通路20の流路長および流路断面積は、オリフィス通路20の共振周波数が予め決められた周波数となるように設定(チューニング)されている。予め決められた周波数としては、例えばアイドル振動(例えば、周波数が15Hz〜40Hz、振幅が±0.5mm以下)の周波数や、アイドル振動よりも周波数が低いシェイク振動(例えば、周波数が14Hz以下、振幅が±0.5mmより大きい)の周波数などが挙げられる。
なおオリフィス通路20は、仕切り部材19の外周面側と、第1取付け部材11における本体部15の内周面側と、の間に、周方向に沿って延びるように形成されている。図示の例では、仕切り部材本体19aの外周面には周溝が形成されており、オリフィス通路20は、本体部15の内周面を被覆する被覆膜21によって前記周溝の開口部が閉塞されることで形成されている。なお被覆膜21は、弾性体13と一体に形成されている。弾性体13および被覆膜21は、例えばゴム材料や合成樹脂材料などで形成されている。
ここで、前記直交方向Dの隙間14には、両取付け部材11、12が前記直交方向Dに相対的に移動して最接近したときに、両取付け部材11、12の更なる移動を規制するストッパ22が配設されている。前記隙間14は、第2取付け部材12の前記直交方向Dの両側に一対設けられており、ストッパ22は、一対の隙間14に各別に配設されている。これにより、第2取付け部材12は、第1取付け部材11に対する前記直交方向Dの両側に向けた相対的な移動量が規制されている。
ストッパ22は、前記直交方向Dに直列に配置された高ロス弾性部(第1弾性部)23と低ロス弾性部(第2弾性部)24とが、両取付け部材11、12の間に挟み込まれてなる。高ロス弾性部23は、両取付け部材11、12のうちの一方に固着され、低ロス弾性部24は、両取付け部材11、12のうちの他方に固着されている。これらの両弾性部23、24は、例えばゴム材料などで形成され、両取付け部材11、12に各別に加硫接着されている。両弾性部23、24は、互いに前記直交方向Dに当接し、図示の例では面接触している。
低ロス弾性部24は、第2取付け部材12に固着されている。低ロス弾性部24は、第2取付け部材12の前記鍔部12aを全周にわたって覆う環状に形成されている。図示の例では、低ロス弾性部24は、前記弾性体13と同一材料で一体に形成されている。
高ロス弾性部23は、第1取付け部材11に固着されている。高ロス弾性部23は、第1取付け部材11の前記脚部16bにおいて前記直交方向Dの内側を向く内面から、前記直交方向Dの内側に向けて突出している。高ロス弾性部23において前記直交方向Dの内側を向く内面は、低ロス弾性部24の外周面に当接している。高ロス弾性部23は、脚部16bの内面に固着された基部23aと、基部23aから前記直交方向Dの内側に向けて突出するとともに前記軸線O方向に間隔をあけて配置された突出部23bと、を備えている。
基部23aの前記軸線O方向に沿った大きさは、低ロス弾性部24の前記軸線O方向に沿った大きさよりも大きくなっており、基部23aの前記軸線O方向の内側に低ロス弾性部24が位置している。前記軸線O方向のおよび前記直交方向Dの両方向に沿う縦断面視において、基部23aは、前記軸線O方向に長い矩形状をなしている。
突出部23bは、低ロス弾性部24における前記軸線O方向の端部に、前記直交方向Dの外側から突き当たっている。突出部23bは、低ロス弾性部24における前記軸線O方向の端部に対して前記軸線O方向にずらされており、突出部23bは、一部が低ロス弾性部24の前記端部に突き当たり、残りが前記直交方向Dの内側に向けて露出している。突出部23bの前記軸線O方向に沿った大きさは、低ロス弾性部24の前記軸線O方向に沿った大きさよりも小さくなっている。突出部23bは、前記縦断面視において前記直交方向Dに長い矩形状をなしている。
高ロス弾性部23には、両取付け部材11、12が前記直交方向Dに相対的に移動するときに当該高ロス弾性部23が低ロス弾性部24により弾性変形させられることで前記直交方向Dに押し潰される空間部23cが設けられている。本実施形態では、空間部23cは、一対の突出部23bの間に設けられており、周方向の両側に向けて開口している。空間部23cの前記軸線O方向の大きさは、低ロス弾性部24の前記軸線O方向に沿った大きさよりも小さくなっており、低ロス弾性部24の前記軸線O方向の内側に空間部23cが位置している。
高ロス弾性部23は、低ロス弾性部24よりもtanδが高く、かつ動ばね定数が低くなっている。両弾性部23、24は、異なる種類の材料で形成され、例えば高ロス弾性部23は高減衰ゴム材料で形成され、低ロス弾性部24は低減衰ゴム材料で形成されている。
前記防振装置10は、主液室17aが鉛直方向上側に位置し、副液室17bが鉛直方向下側に位置するように装着される吊下式となっている。防振装置10では、前記他方側が、装着時に静荷重(初期荷重)が入力されるバウンド側であり、前記一方側が、バウンド側の反対側のリバウンド側となっている。
また本実施形態では、防振装置10は、FF方式の自動車において、振動発生部としてのエンジンを振動受部としての車体に、ペンデュラム懸架方式で連結するときに適用される。このとき第1取付け部材11は前記エンジンに連結され、第2取付け部材12は前記車体に連結され、前記軸線O方向が、鉛直方向に一致し、前記直交方向Dが車体の前後方向に一致する。
なお、前述のようなペンデュラム懸架方式に適用された防振装置10では、一般に、前記自動車のアイドルストップ時に前記前後方向に揺動させるような振動が入力され易い。また例えばハイブリッド電気自動車(HEV)のように、エンジン停止・再始動が煩雑な場合にも前記前後方向に揺動させるような振動が入力され易い。
当該防振装置10に前記軸線O方向に振動が入力され、両取付け部材11、12が、弾性体13を前記軸線O方向に弾性変形させつつ前記軸線O方向に相対的に移動すると、主液室17aが拡縮して液圧変動する。これにより、主液室17aと副液室17bとの間でオリフィス通路20を通して液体Lが流通することとなり、液柱共振が生じて振動が吸収および減衰される。
また、当該防振装置10に前記直交方向Dに振動が入力されたときには、両取付け部材11、12が、弾性体13およびストッパ22を前記直交方向Dに弾性変形させつつ前記直交方向Dに相対的に移動する。
このとき、入力された振動が小さく、前記空間部23cが前記直列方向Dに押し潰されない範囲で、両取付け部材11、12が前記直列方向Dに相対的に小さく移動する場合には、両弾性部23、24のうち、動ばね定数が低い高ロス弾性部23が優先的に前記直列方向Dに圧縮させられる。これにより、tanδが高い高ロス弾性部23の減衰特性が発揮される。
一方、入力された振動が大きいと、両取付け部材11、12が前記直列方向Dに相対的に大きく移動することで、高ロス弾性部23の両突出部23bが、低ロス弾性部24により前記軸線O方向の間隔を広げるように弾性変形させられ、低ロス弾性部24が空間部23c内に進入して空間部23cが前記直列方向Dに押し潰される。そして、高ロス弾性部23の基部23aが前記直列方向Dに圧縮させられて、両取付け部材11、12が最接近すると、両取付け部材11、12の更なる移動が規制される。
ここで本実施形態では、両弾性部23、24は、両取付け部材11、12が前記直列方向Dに相対的に移動して最接近するまでに、空間部23cが前記直列方向Dに押し潰され高ロス弾性部23が前記直列方向Dに圧縮させられて、低ロス弾性部24の動ばね定数が高ロス弾性部23の動ばね定数よりも低くなるように構成されている。したがって、空間部23cが前記直列方向Dに押し潰されて高ロス弾性部23が前記直列方向Dに圧縮させられると、低ロス弾性部24が優先的に前記直列方向Dに圧縮させられることとなり、高ロス弾性部23の動ばね定数が急上昇したとしても、ストッパ22の動ばね定数の急上昇が抑えられる。
以上説明したように、本実施形態に係る防振装置10によれば、小荷重が入力されたときに高い減衰性能を発揮させ、かつ大荷重が入力されたときにストッパ22の動ばね定数の急上昇を抑えることができる。
また、前記軸線O方向および前記直交方向Dの両方向の振動を吸収および減衰することができる。
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、空間部23cは前記実施形態に示したものに限られず、図2に示す高ロス弾性部30における空間部30dのような構成であってもよい。高ロス弾性部30は、前記直交方向Dの外側に位置し第1取付け部材11に固着された広幅部30aと、内側に位置し低ロス弾性部24に当接する狭幅部30bと、これらの広幅部30aと狭幅部30bとを前記直列方向Dに連結する柱部30cと、を備えている。狭幅部30bの前記軸線O方向に沿った大きさは、広幅部30aの前記軸線O方向に沿った大きさよりも小さく、狭幅部30bは、前記軸線O方向に沿って広幅部30aの内側に位置している。また、狭幅部30bの前記軸線O方向に沿った大きさは、低ロス弾性部24の前記軸線O方向に沿った大きさよりも大きく、低ロス弾性部24は、前記軸線O方向に沿って狭幅部30bの内側に位置している。柱部30cは、前記軸線O方向に間隔をあけて複数配置されており、前記軸線O方向の隣り合う柱部30cの間に前記空間部30dが形成されている。空間部30dは、前記縦断面視において矩形状をなし、周方向の両側に向けて開口している。
この場合、前記直列方向Dに大荷重が入力され、両取付け部材11、12が前記直列方向Dに相対的に大きく移動すると、高ロス弾性部30の柱部30cが、例えば前記直列方向Dに座屈するように弾性変形させられ、前記空間部30dが前記直列方向Dに押し潰される。そして、高ロス弾性部30の広幅部30aおよび狭幅部30bが前記直列方向Dに圧縮させられ、低ロス弾性部24の動ばね定数が高ロス弾性部30の動ばね定数よりも低くなる。
またストッパ22は、前記実施形態に示したものに限られず、前記直交方向Dに直列に配置された高ロス弾性部と低ロス弾性部とが、両取付け部材の間に挟み込まれてなる他の構成に適宜変更してもよい。例えば、高ロス弾性部と低ロス弾性部とが2色成形などにより一体に成形され、ストッパが、第1取付け部材または第2取付け部材のうちの一方に固着されるとともに他方に当接するような構成であってもよい。
またブラケット部16は、前記実施形態に示したものに限られず、第2取付け部材を少なくとも前記軸線方向に直交する一方向に挟むように配置された他の構成に適宜変更してもよい。例えばブラケット部が、第2取付け部材をその径方向の外側から全周にわたって囲繞する筒状であってもよい。またこの場合、ブラケット部と第2取付け部材との間に全周にわたって隙間を設け、この隙間に全周にわたってストッパを設け、両取付け部材の前記径方向に沿った相対的な移動量を、全周にわたって規制してもよい。
また前記実施形態では、第1取付け部材11が振動発生部に連結され、第2取付け部材12が振動受部に連結されるものとしたが、これに限られるものではなく、第1取付け部材が振動受部に連結され、第2取付け部材が振動発生部に連結されてもよい。つまり、第1取付け部材が、振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結され、第2取付け部材がいずれか他方に連結されればよい。
さらに前記実施形態では、防振装置10は吊下式であるものとしたが、圧縮式(正立式)であってもよい。
また前記実施形態では、主液室17aが液圧変動することで前記軸線O方向の振動を吸収および減衰し、両方向の振動を吸収および減衰するものとしたが、これに限られるものではなく、前記軸線方向の振動を吸収および減衰せずに、予め定められた一方向としての前記直交方向の振動を吸収および減衰するものであってもよい。この場合、液室はなくてもよい。
さらに前記実施形態では、第1取付け部材11は、本体部15およびブラケット部16を備えるものとしたが、これに限られない。例えば第1取付け部材が、本体部を備える一方でブラケット部を備えず、本体部内に液室を設けずに第2取付け部材を位置させ、弾性体に、第2取付け部材の前記直交方向の両側を回避して第2取付け部材と本体部とを連結させることで、第2取付け部材の前記直交方向の両側に隙間を設け、前記隙間にストッパを各別に配置してもよい。
また本発明に係る防振装置10は、FF式の自動車に適用されるものとしたが、これに限られるものではなく、例えばFR式など、FF式とは異なる構成の自動車に適用することも可能である。
さらに本発明に係る防振装置10は、車両のエンジンマウントに限定されるものではなく、エンジンマウント以外に適用することも可能である。例えば、建設機械に搭載された発電機のマウントにも適用することも可能であり、或いは、工場等に設置される機械のマウントにも適用することも可能である。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
10 防振装置、11 第1取付け部材、12 第2取付け部材、13 弾性体、14 隙間、22 ストッパ、23、30 高ロス弾性部(第1弾性部)、23c、30d 空間部、24 低ロス弾性部(第2弾性部)、D 直交方向(一方向)

Claims (1)

  1. 振動発生部および振動受部のうちのいずれか一方に連結される第1取付け部材、および他方に連結される第2取付け部材と、
    これらの両取付け部材を連結する弾性体と、を備え、
    前記第1取付け部材は、前記第2取付け部材を少なくとも一方向に挟むように配置され、
    前記弾性体は、前記両取付け部材の間に前記一方向の隙間が設けられるように前記両取付け部材を連結し、
    前記一方向の隙間には、前記両取付け部材が前記一方向に相対的に移動して最接近したときに、前記両取付け部材の更なる移動を規制するストッパが配設され、
    前記ストッパは、前記一方向に直列に配置された第1弾性部と第2弾性部とが、前記両取付け部材の間に挟み込まれてなる防振装置であって、
    前記第1弾性部には、前記両取付け部材が前記一方向に相対的に移動するときに当該第1弾性部が前記第2弾性部により弾性変形させられることで前記一方向に押し潰される空間部が設けられ、
    前記第1弾性部は、前記第2弾性部よりもtanδが高く、かつ動ばね定数が低く、
    これらの両弾性部は、前記両取付け部材が前記一方向に相対的に移動して最接近するまでに、前記空間部が前記一方向に押し潰され前記第1弾性部が前記一方向に圧縮させられて、前記第2弾性部の動ばね定数が前記第1弾性部の動ばね定数よりも低くなるように構成されていることを特徴とする防振装置。
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