JP2014168632A - 被検体情報取得装置、被検体情報取得装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被検体内で発生する光音響信号を精度よく取得できる被検体情報取得装置を提供する。
【解決手段】被検体101に光を照射し、前記光の出射方向が変更可能な光照射部106と、前記光照射部106を第一の軸に沿って移動させる走査機構107と、前記被検体101に照射された光に起因して発生する音響波を受信する探触子113と、前記探触子113で受信した音響波から前記被検体101の特性情報を生成する処理部115と、前記第一の軸上における前記光照射部106の位置と、前記光照射部106から出射する光の出射方向を制御する制御部109と、を有し、前記制御部109は、前記光照射部106から出射する光の出射方向を、前記第一の軸上における前記光照射部106の位置に基づいて決定することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】被検体101に光を照射し、前記光の出射方向が変更可能な光照射部106と、前記光照射部106を第一の軸に沿って移動させる走査機構107と、前記被検体101に照射された光に起因して発生する音響波を受信する探触子113と、前記探触子113で受信した音響波から前記被検体101の特性情報を生成する処理部115と、前記第一の軸上における前記光照射部106の位置と、前記光照射部106から出射する光の出射方向を制御する制御部109と、を有し、前記制御部109は、前記光照射部106から出射する光の出射方向を、前記第一の軸上における前記光照射部106の位置に基づいて決定することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、被検体情報取得装置およびその制御方法に関し、特に被検体内で発生する信号の強度を向上させる技術に関するものである。
被検体内部の断層画像を非侵襲で撮像する技術に関して、これまでに多くの提案がなされている。その中の一つに、光と超音波を用いて生体機能情報を取得するPhotoacoustic Tomography(PAT:光音響トモグラフィ)がある。
光音響トモグラフィとは、光源で発生したパルス光(以下、計測光)を被検体に照射し、被検体内で光が吸収されることによって発生した音響波(典型的には超音波)を受信および解析し、被検体の内部組織を可視化する技術である。受信した音響波を解析することで、被検体内の光吸収体に起因した初期音圧分布を得ることができる。また、初期音圧分布に対して、光の分布を考慮した演算を行うことで、被検体内部の吸収係数など、光学特性に関連した情報を得ることができる。
光音響トモグラフィとは、光源で発生したパルス光(以下、計測光)を被検体に照射し、被検体内で光が吸収されることによって発生した音響波(典型的には超音波)を受信および解析し、被検体の内部組織を可視化する技術である。受信した音響波を解析することで、被検体内の光吸収体に起因した初期音圧分布を得ることができる。また、初期音圧分布に対して、光の分布を考慮した演算を行うことで、被検体内部の吸収係数など、光学特性に関連した情報を得ることができる。
PATにおいて被検体内で発生する音響波の音圧は、光吸収体に到達する局所的な光量に比例する。従って、生体内部の情報を精度良く得るためには、被検体に照射される計測光の光量を大きくする必要がある。
PATの技術を用いて乳がんの診断を行う装置に、例えば非特許文献1に記載の装置がある。当該装置では、被検者の乳房を二枚の保持部材で圧迫して保持することで、乳房の内部に到達する計測光の光量を確保している。
一方で、乳がんの診断は、乳房だけでなく、その根元の胸壁部分を含む領域を観察しなければ正確に行うことができない。すなわち、PAT装置を用いて乳がんの診断を行う場合、胸壁付近の情報を精度良く得るために、乳房だけでなく、胸壁付近に照射される計測光の光量を大きくする必要がある。
この課題を解決する発明に、特許文献1に記載の光音響撮影装置がある。当該装置では、被検体に照射される光が胸壁方向を向くように光照射部を配置することで、胸壁部に照射される計測光の光量を大きくしている。
一方で、乳がんの診断は、乳房だけでなく、その根元の胸壁部分を含む領域を観察しなければ正確に行うことができない。すなわち、PAT装置を用いて乳がんの診断を行う場合、胸壁付近の情報を精度良く得るために、乳房だけでなく、胸壁付近に照射される計測光の光量を大きくする必要がある。
この課題を解決する発明に、特許文献1に記載の光音響撮影装置がある。当該装置では、被検体に照射される光が胸壁方向を向くように光照射部を配置することで、胸壁部に照射される計測光の光量を大きくしている。
Susanne E.et al.,"First clinical trials of the Twente photoacoustic mammoscope (PAM)",Proceedings of the SPIE,Vol.6629,pp.662917,2007
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、乳房と接する保持部材の全面から計測光を出射させなければならないため、膨大な数の光照射部が必要となり、非現実的な装置構成となってしまう。現実的な装置構成にするためには、被検体に対して小型の光照射部を設け、保持された乳房に計測光を照射しながら当該光照射部を移動させる構成にする必要がある。しかし、このような光照射部を走査させるタイプの測定装置では、被検体に対して垂直に計測光が入射するため、胸壁付近に十分な光量の光を照射することができない。すなわち、胸壁付近で発生する光音響信号を精度良く得られないという課題があった。
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、被検体内で発生する光音響信号を精度よく取得できる被検体情報取得装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る被検体情報取得装置は、
被検体に光を照射し、前記光の出射方向が変更可能な光照射部と、前記光照射部を第一の軸に沿って移動させる走査機構と、前記被検体に照射された光に起因して発生する音響波を受信する探触子と、前記探触子で受信した音響波から前記被検体の特性情報を生成する処理部と、前記第一の軸上における前記光照射部の位置と、前記光照射部から出射する光の出射方向を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記光照射部から出射する光の出射方向を、前記第一の軸上における前記光照射部の位置に基づいて決定することを特徴とする。
被検体に光を照射し、前記光の出射方向が変更可能な光照射部と、前記光照射部を第一の軸に沿って移動させる走査機構と、前記被検体に照射された光に起因して発生する音響波を受信する探触子と、前記探触子で受信した音響波から前記被検体の特性情報を生成する処理部と、前記第一の軸上における前記光照射部の位置と、前記光照射部から出射する光の出射方向を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記光照射部から出射する光の出射方向を、前記第一の軸上における前記光照射部の位置に基づいて決定することを特徴とする。
また、本発明に係る被検体情報取得装置の制御方法は、
被検体に光を照射し、前記光の出射方向が変更可能な光照射部と、前記被検体に照射された光に起因して発生する音響波を受信する探触子と、を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、前記光照射部を第一の軸に沿って移動させる移動ステップと、前記光の出射方向を、前記光照射部の前記第一の軸上における位置に基づいて決定する制御ステップと、前記探触子によって音響波を受信する受信ステップと、前記受信した音響波から前記被検体の特性情報を生成する処理ステップと、を含むことを特徴とする。
被検体に光を照射し、前記光の出射方向が変更可能な光照射部と、前記被検体に照射された光に起因して発生する音響波を受信する探触子と、を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、前記光照射部を第一の軸に沿って移動させる移動ステップと、前記光の出射方向を、前記光照射部の前記第一の軸上における位置に基づいて決定する制御ステップと、前記探触子によって音響波を受信する受信ステップと、前記受信した音響波から前記被検体の特性情報を生成する処理ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、被検体内で発生する光音響信号を精度よく取得できる被検体情報取得装置を提供することができる。
(第一の実施形態)
以下、図面を参照しつつ、本発明の第一の実施形態を詳細に説明する。
第一の実施形態に係る光音響測定装置は、計測光を被検体に照射し、計測光に起因して被検体内で発生した音響波を受信および解析することで、被検体である生体内部の情報を画像化する装置である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の第一の実施形態を詳細に説明する。
第一の実施形態に係る光音響測定装置は、計測光を被検体に照射し、計測光に起因して被検体内で発生した音響波を受信および解析することで、被検体である生体内部の情報を画像化する装置である。
<システム構成>
まず、図1(a)を参照しながら、本実施形態に係る光音響測定装置の構成を説明する。
第一の実施形態に係る光音響測定装置は、胸壁支持部102aおよび102b、保持部材103、光源104、光伝送部105、光照射部106、走査機構107、回転機構108、制御部109、探触子113、処理部115からなる。また、保持部材103は、
可動保持部材103aおよび固定保持部材103bからなる。
なお、装置を構成するものではないが、図1中、符号101は被検体、符号110は計測光、符号111aは第一の光吸収体、符号111bは第二の光吸収体、符号112aは第一の音響波、符号112bは第二の音響波、符号114は音響マッチング剤を表す。
まず、図1(a)を参照しながら、本実施形態に係る光音響測定装置の構成を説明する。
第一の実施形態に係る光音響測定装置は、胸壁支持部102aおよび102b、保持部材103、光源104、光伝送部105、光照射部106、走査機構107、回転機構108、制御部109、探触子113、処理部115からなる。また、保持部材103は、
可動保持部材103aおよび固定保持部材103bからなる。
なお、装置を構成するものではないが、図1中、符号101は被検体、符号110は計測光、符号111aは第一の光吸収体、符号111bは第二の光吸収体、符号112aは第一の音響波、符号112bは第二の音響波、符号114は音響マッチング剤を表す。
測定は、胸壁支持部102(本発明における被検者支持部材)に開いた開口部に被検者の乳房を挿入し、挿入した乳房を可動保持部材103aおよび固定保持部材103bで挟んだ状態で行う。
まず、光照射部106から発せられたパルス光が、可動保持部材103a越しに被検体101に照射される。被検体内部を伝搬した光のエネルギーの一部が血液などの光吸収体に吸収されると、その光吸収体の熱膨張により音響波が発生する。被検体内で発生した音響波は、固定保持部材103b越しに探触子113で受信され、処理部115によって解析される。解析結果は、被検体内の特性情報を表す画像として出力されるため、本実施形態に係る光音響測定装置は、被検体情報取得装置とも呼べる。
以下、本実施形態に係る光音響測定装置を構成する各手段について説明する。
まず、光照射部106から発せられたパルス光が、可動保持部材103a越しに被検体101に照射される。被検体内部を伝搬した光のエネルギーの一部が血液などの光吸収体に吸収されると、その光吸収体の熱膨張により音響波が発生する。被検体内で発生した音響波は、固定保持部材103b越しに探触子113で受信され、処理部115によって解析される。解析結果は、被検体内の特性情報を表す画像として出力されるため、本実施形態に係る光音響測定装置は、被検体情報取得装置とも呼べる。
以下、本実施形態に係る光音響測定装置を構成する各手段について説明する。
<<光源104>>
光源104はパルス光を発生させる装置である。光源は、大出力を得るためレーザー光源であることが望ましいが、レーザーの代わりに発光ダイオードやフラッシュランプ等を用いることもできる。光源としてレーザーを用いる場合、固体レーザー、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど様々なものが使用できる。照射のタイミング、波形、強度等は不図示の光源制御部によって制御される。この光源制御部は、光源と一体化されていても良い。
また、光音響波を効果的に発生させるためには、被検体の熱特性に応じて十分短い時間に光を照射させなければならない。被検体が生体である場合、光源から発生するパルス光のパルス幅は10〜50ナノ秒程度が好適である。また、パルス光の波長は、被検体内部まで光が伝搬する波長であることが望ましい。具体的には、被検体が生体の場合、600nm以上1100nm以下であることが望ましい。
光源104はパルス光を発生させる装置である。光源は、大出力を得るためレーザー光源であることが望ましいが、レーザーの代わりに発光ダイオードやフラッシュランプ等を用いることもできる。光源としてレーザーを用いる場合、固体レーザー、ガスレーザー、色素レーザー、半導体レーザーなど様々なものが使用できる。照射のタイミング、波形、強度等は不図示の光源制御部によって制御される。この光源制御部は、光源と一体化されていても良い。
また、光音響波を効果的に発生させるためには、被検体の熱特性に応じて十分短い時間に光を照射させなければならない。被検体が生体である場合、光源から発生するパルス光のパルス幅は10〜50ナノ秒程度が好適である。また、パルス光の波長は、被検体内部まで光が伝搬する波長であることが望ましい。具体的には、被検体が生体の場合、600nm以上1100nm以下であることが望ましい。
<<光伝送部105>>
光伝送部105は、光源104で発生したパルス光を被検体101へ導く手段である。具体的には、所望のビーム形状、光強度分布を得られるように、光ファイバやレンズ、ミラー、拡散板などで構成された光学部材である。これらの光学部材を用いて、パルス光の照射形状、光密度、被検体への照射方向などの照射条件を任意のものに設定することができる。
光伝送部105は、光源104で発生したパルス光を被検体101へ導く手段である。具体的には、所望のビーム形状、光強度分布を得られるように、光ファイバやレンズ、ミラー、拡散板などで構成された光学部材である。これらの光学部材を用いて、パルス光の照射形状、光密度、被検体への照射方向などの照射条件を任意のものに設定することができる。
<<光照射部106(回転機構108)>>
光照射部106は、被検体に対して計測光を出射させる手段である。光照射部106は、光源と一体となっていても良いし、レンズやミラー、拡散板、光ファイバ等の光学部材を介して光源と接続されていても良い。本実施形態では、光源104、光伝送部105、光照射部106が互いに接続されている。
また、回転機構108は、光照射部106を回転させる手段である。回転の中心は、光照射部106の光出射端の中心である。回転機構108を回転させることによって、光照射部106から出射する計測光の出射方向が変更可能な構成となっている。
光照射部106は、被検体に対して計測光を出射させる手段である。光照射部106は、光源と一体となっていても良いし、レンズやミラー、拡散板、光ファイバ等の光学部材を介して光源と接続されていても良い。本実施形態では、光源104、光伝送部105、光照射部106が互いに接続されている。
また、回転機構108は、光照射部106を回転させる手段である。回転の中心は、光照射部106の光出射端の中心である。回転機構108を回転させることによって、光照射部106から出射する計測光の出射方向が変更可能な構成となっている。
<<走査機構107>>
走査機構107は、光照射部106を被検体101に沿って移動させるための手段である。走査機構107は、図1における上下方向、すなわち被検体の挿入方向のほか、紙面垂直方向に光照射部106を移動させることができる。すなわち、光照射部106は、走査機構107によって二次元方向に移動することができる。走査機構107上での光照射
部106の位置は、以下で述べる制御部109によって制御される。走査機構107と制御部109とを組み合わせることで、光照射部を二次元的に走査させながら光音響測定を行うことができる。図1における上下方向が本発明における第一の軸であり、第一の軸に直交する紙面垂直方向が本発明における第二の軸である。
走査機構107は、光照射部106を被検体101に沿って移動させるための手段である。走査機構107は、図1における上下方向、すなわち被検体の挿入方向のほか、紙面垂直方向に光照射部106を移動させることができる。すなわち、光照射部106は、走査機構107によって二次元方向に移動することができる。走査機構107上での光照射
部106の位置は、以下で述べる制御部109によって制御される。走査機構107と制御部109とを組み合わせることで、光照射部を二次元的に走査させながら光音響測定を行うことができる。図1における上下方向が本発明における第一の軸であり、第一の軸に直交する紙面垂直方向が本発明における第二の軸である。
<<制御部109>>
制御部109は、走査機構107を駆動することで光照射部106の位置を制御する手段である。また、回転機構108を駆動することで光照射部106から出射される計測光の方向を制御する手段である。胸壁付近で発生する光音響信号強度を大きくするためには、胸壁付近に照射される計測光の光量を大きくする必要がある。そのため、制御部109は、光照射部106から照射される計測光の出射方向を、光照射部106の位置(本発明における第一の軸上の位置)に応じて変更する。計測光の向きを変更する具体的な方法については後述する。
制御部109は、走査機構107を駆動することで光照射部106の位置を制御する手段である。また、回転機構108を駆動することで光照射部106から出射される計測光の方向を制御する手段である。胸壁付近で発生する光音響信号強度を大きくするためには、胸壁付近に照射される計測光の光量を大きくする必要がある。そのため、制御部109は、光照射部106から照射される計測光の出射方向を、光照射部106の位置(本発明における第一の軸上の位置)に応じて変更する。計測光の向きを変更する具体的な方法については後述する。
<<被検体101(光吸収体111)>>
被検体101および光吸収体111aおよび111b(光吸収体111と総称する)は、本発明を構成するものではないが、ここで説明する。被検体101は、光音響測定を行う対象物であり、典型的には生体である。ここでは、人の乳房を被検体とする。
本実施形態に係る光音響測定装置では、被検体101の内部に存在する光吸収係数の大きい光吸収体111をイメージングすることができる。被検体が生体である場合、光吸収体111とは、具体的には水、脂質、メラニン、コラーゲン、タンパク質、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビンなどである。光吸収体をイメージングすることで、本実施形態に係る光音響測定装置は、血管の造影、人や動物の悪性腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などを行うことができる。
被検体101および光吸収体111aおよび111b(光吸収体111と総称する)は、本発明を構成するものではないが、ここで説明する。被検体101は、光音響測定を行う対象物であり、典型的には生体である。ここでは、人の乳房を被検体とする。
本実施形態に係る光音響測定装置では、被検体101の内部に存在する光吸収係数の大きい光吸収体111をイメージングすることができる。被検体が生体である場合、光吸収体111とは、具体的には水、脂質、メラニン、コラーゲン、タンパク質、酸化ヘモグロビン、還元ヘモグロビンなどである。光吸収体をイメージングすることで、本実施形態に係る光音響測定装置は、血管の造影、人や動物の悪性腫瘍や血管疾患などの診断や化学治療の経過観察などを行うことができる。
<<保持部材103>>
保持部材103は、被検体101を保持する手段であり、本実施形態では、保持部材103aと103bの二つからなる(以下それぞれ、可動保持部材103a、固定保持部材103bと称する)。二枚の保持部材のうち、探触子がある側の固定保持部材103bは乳房に対して固定されているが、光照射部がある側の可動保持部材103aは、乳房を圧迫するように、光照射部106とは独立して動くことができる。
探触子と被検体を音響的に結合させるため、保持部材103は、被検体と音響インピーダンスが近い素材であることが望ましい。ただし、本実施形態のように、二枚の保持部材で被検体を挟んで保持し、探触子と反対側の被検体表面に光を照射する場合、光を照射する側の可動保持部材103aは音響インピーダンスを考慮しなくても良く、計測光に対して透過率が高い素材であれば良い。典型的には、アクリルなどのプラスチックプレート、あるいはガラスプレート、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。
保持部材103は、被検体101を保持する手段であり、本実施形態では、保持部材103aと103bの二つからなる(以下それぞれ、可動保持部材103a、固定保持部材103bと称する)。二枚の保持部材のうち、探触子がある側の固定保持部材103bは乳房に対して固定されているが、光照射部がある側の可動保持部材103aは、乳房を圧迫するように、光照射部106とは独立して動くことができる。
探触子と被検体を音響的に結合させるため、保持部材103は、被検体と音響インピーダンスが近い素材であることが望ましい。ただし、本実施形態のように、二枚の保持部材で被検体を挟んで保持し、探触子と反対側の被検体表面に光を照射する場合、光を照射する側の可動保持部材103aは音響インピーダンスを考慮しなくても良く、計測光に対して透過率が高い素材であれば良い。典型的には、アクリルなどのプラスチックプレート、あるいはガラスプレート、ポリメチルペンテンなどが挙げられる。
<<探触子113>>
探触子113は、被検体101の内部で発生した音響波(典型的には超音波)をアナログの電気信号に変換する手段である。探触子113は、単一の音響検出器からなってもよいし、複数の音響検出器からなってもよい。また、探触子113は、複数の受信素子が一次元、或いは二次元に配置されたものであってもよい。多次元配列素子を用いると、同時に複数の場所で音響波を受信することができるため、測定時間を短縮することができる。なお、探触子が被検体よりも小さい場合は、探触子を走査させて複数の位置で音響波を受信するようにしても良い。また、光照射部106と探触子113は、本実施形態のように被検体を挟むように配置してもよいし、共に同じ側に配置しても良い。
探触子113は、被検体101の内部で発生した音響波(典型的には超音波)をアナログの電気信号に変換する手段である。探触子113は、単一の音響検出器からなってもよいし、複数の音響検出器からなってもよい。また、探触子113は、複数の受信素子が一次元、或いは二次元に配置されたものであってもよい。多次元配列素子を用いると、同時に複数の場所で音響波を受信することができるため、測定時間を短縮することができる。なお、探触子が被検体よりも小さい場合は、探触子を走査させて複数の位置で音響波を受信するようにしても良い。また、光照射部106と探触子113は、本実施形態のように被検体を挟むように配置してもよいし、共に同じ側に配置しても良い。
また、探触子113は、感度が高く、周波数帯域が広いものが望ましい。具体的にはPZT(圧電セラミックス)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン樹脂)、cMUT(容量性
マイクロマシン超音波トランスデューサ)、ファブリペロー干渉計を用いたものなどが挙げられる。ただし、ここに挙げたものだけに限定されず、探触子としての機能を満たすものであれば、どのようなものであってもよい。
また、探触子113は、音響波の反射、減衰の影響を排除するために、被検体101(および固定保持部材103b)と音響的に結合している必要がある。例えば、探触子113と固定保持部材103bの間には、音響マッチング材や水、オイルなどの音響整合材を設けることが望ましい。本実施形態では、探触子113と固定保持部材103bの間に音響マッチング材114を配置する。
マイクロマシン超音波トランスデューサ)、ファブリペロー干渉計を用いたものなどが挙げられる。ただし、ここに挙げたものだけに限定されず、探触子としての機能を満たすものであれば、どのようなものであってもよい。
また、探触子113は、音響波の反射、減衰の影響を排除するために、被検体101(および固定保持部材103b)と音響的に結合している必要がある。例えば、探触子113と固定保持部材103bの間には、音響マッチング材や水、オイルなどの音響整合材を設けることが望ましい。本実施形態では、探触子113と固定保持部材103bの間に音響マッチング材114を配置する。
<<処理部115>>
処理部115は、探触子113で得られた電気信号を増幅してデジタル信号に変換し、当該デジタル信号を処理して画像を生成する手段である。処理部115によって、被検体内の光吸収体に起因した初期音圧の分布を表す画像や、吸収係数の分布を表す画像が生成される。処理部115は、CPUと主記憶装置、および補助記憶装置を有するコンピュータであってもよいし、専用に設計されたハードウェアであってもよい。
処理部115は、探触子113で得られた電気信号を増幅してデジタル信号に変換し、当該デジタル信号を処理して画像を生成する手段である。処理部115によって、被検体内の光吸収体に起因した初期音圧の分布を表す画像や、吸収係数の分布を表す画像が生成される。処理部115は、CPUと主記憶装置、および補助記憶装置を有するコンピュータであってもよいし、専用に設計されたハードウェアであってもよい。
<測定処理の概要>
次に、第一の実施形態に係る光音響測定装置が行う測定処理の概要について、図1(a)および図1(b)、図2を参照しながら説明する。図1(a)は、光照射部106が胸壁から離れている場合を示した図であり、図1(b)は、光照射部106が胸壁に接近している場合を示した図である。また、図2は、光照射部106の周辺を拡大した図である。
次に、第一の実施形態に係る光音響測定装置が行う測定処理の概要について、図1(a)および図1(b)、図2を参照しながら説明する。図1(a)は、光照射部106が胸壁から離れている場合を示した図であり、図1(b)は、光照射部106が胸壁に接近している場合を示した図である。また、図2は、光照射部106の周辺を拡大した図である。
図3は、光照射部106側から被検体101を見たときの、光照射部106の走査経路を示した図である。ここで、L101〜L103は走査ラインであり、P101〜P103は各走査ラインの開始点である。本例では走査ラインは三本であるが、走査ラインの本数は、被検体の大きさや探触子の幅等によって決まるものであるため、必ずしも三本である必要は無い。
走査経路上における光照射部106の位置は、制御部109によって制御される。また、本実施形態では、制御部109は、光照射部106がL101上にある場合にのみ、回転機構108を駆動させ、光照射部106を胸壁側に3度傾ける。一方、光照射部106が他の走査ライン上(L102,L103)にある場合には、制御部109は、光照射部106を正面、すなわち可動保持部材103aに対して垂直な方向に向ける。
被検体101に照射された計測光110は、被検体101の中を拡散しながら伝搬し、その一部が血管などの光吸収体(図1の例では、光吸収体111aおよび111b)に吸収される。光を吸収した光吸収体は、光音響効果により音響波(図1の例では、音響波112aおよび音響波112b)を発生する。発生した音響波は被検体101内を伝搬し、その一部が固定保持部材103bを通して探触子113に到達する。探触子113が受信した音響波は、電気信号となって処理部115に転送され、光吸収係数を表す画像といった、所望のデータに加工される。
<測定処理フローチャート>
次に、以上に説明した処理を行うためのフローについて、図4を参照しながら説明する。
測定が開始されると、制御部109が走査機構107を駆動し、光照射部106を測定開始点P101に移動させる(S101)。このとき、光照射部106はL101上にあるため、制御部109は、回転機構108を駆動し、光照射部106を胸壁側に3度傾ける(S102)。
ステップS102の処理が完了すると、制御部109が、光照射部106を走査ラインL101に沿って移動させ、走査ラインL101についての測定を行う(S103)。
走査ラインL101の測定が完了すると、制御部109が、光照射部106を走査ラインL102の開始点P102に移動させる(S104)。このとき、光照射部106はL102上にあるため、制御部109は、回転機構108を駆動し、光照射部106の傾斜を元に戻す(S105)。これにより、計測光の出射方向は可動保持部材103aに対して垂直となる。
ステップS105の処理が完了すると、制御部109が、光照射部106を走査ラインL102に沿って移動させ、走査ラインL102についての測定を行う(S106)。
走査ラインL102の測定が完了すると、制御部109が、光照射部106を走査ラインL103の開始点P103に移動させる(S107)。そして、制御部109が、光照射部106を走査ラインL103に沿って移動させ、走査ラインL103についての測定を行う(S108)。
次に、以上に説明した処理を行うためのフローについて、図4を参照しながら説明する。
測定が開始されると、制御部109が走査機構107を駆動し、光照射部106を測定開始点P101に移動させる(S101)。このとき、光照射部106はL101上にあるため、制御部109は、回転機構108を駆動し、光照射部106を胸壁側に3度傾ける(S102)。
ステップS102の処理が完了すると、制御部109が、光照射部106を走査ラインL101に沿って移動させ、走査ラインL101についての測定を行う(S103)。
走査ラインL101の測定が完了すると、制御部109が、光照射部106を走査ラインL102の開始点P102に移動させる(S104)。このとき、光照射部106はL102上にあるため、制御部109は、回転機構108を駆動し、光照射部106の傾斜を元に戻す(S105)。これにより、計測光の出射方向は可動保持部材103aに対して垂直となる。
ステップS105の処理が完了すると、制御部109が、光照射部106を走査ラインL102に沿って移動させ、走査ラインL102についての測定を行う(S106)。
走査ラインL102の測定が完了すると、制御部109が、光照射部106を走査ラインL103の開始点P103に移動させる(S107)。そして、制御部109が、光照射部106を走査ラインL103に沿って移動させ、走査ラインL103についての測定を行う(S108)。
第一の実施形態によると、光照射部106が胸壁に最も近い走査ラインにある場合にのみ、計測光の出射方向を傾ける処理を行う。これにより、測定結果に与える影響を最小限にしつつ、胸壁付近に十分な光量の光を照射することができる。
なお、第一の実施形態では、光照射部106が走査ラインL101にあるときにのみ、光照射部106を傾けたが、他の方法を用いてもよい。例えば、光照射部106と胸壁との距離に応じて、傾ける角度を走査ラインごとに決定してもよい。また、ある走査ラインを走査中に、特定の領域でのみ光照射部106を傾けてもよい。また、走査中に光照射部106の角度を連続的に変えてもよい。いずれの場合も、光照射部106から出射する計測光の方向を、胸壁支持部102と光照射部106との距離に基づいて決定することができれば、本発明の課題を解決することができる。好ましくは、光照射部106が、その可動範囲の上端部寄りにあるほど、計測光の出射方向をより胸壁側(すなわち被検者支持部材側)に向け、被検体に対する入射角を小さくするとよい。
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、回転機構108によって光照射部106自体を回転させることで計測光の出射方向を変更した。これに対して、第二の実施形態は、光照射部106の内部に光路の向きを変更する機構を設け、当該機構を駆動することで計測光の出射方向を変える実施形態である。
図5および図6は、第二の実施形態に係る光音響測定装置を説明するための図である。図5(a)は、光照射部106が胸壁から離れている場合を示す図であり、図5(b)は光照射部106が胸壁に接近している場合を示す図である。なお、第一の実施形態と同一の構成要素には、原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。
第一の実施形態では、回転機構108によって光照射部106自体を回転させることで計測光の出射方向を変更した。これに対して、第二の実施形態は、光照射部106の内部に光路の向きを変更する機構を設け、当該機構を駆動することで計測光の出射方向を変える実施形態である。
図5および図6は、第二の実施形態に係る光音響測定装置を説明するための図である。図5(a)は、光照射部106が胸壁から離れている場合を示す図であり、図5(b)は光照射部106が胸壁に接近している場合を示す図である。なお、第一の実施形態と同一の構成要素には、原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。
第二の実施形態に係る光照射部206は、その内部に光路切り替え機構を有しているという点において第一の実施形態(光照射部106)と相違する。具体的には、内部に設けられた光反射部材を回転させることによって計測光の出射方向を変更する。図6(a)は、光照射部206の内部構造を示した図である。
図6(a)において、符号216aは第一の光反射部材、符号216bは第二の光反射部材、符号217は回転機構である。光反射部材とは、典型的にはミラーである。第二の実施形態では、制御部109が、回転機構217を回転させることによって、計測光の出射方向を変更する。
図6(a)において、符号216aは第一の光反射部材、符号216bは第二の光反射部材、符号217は回転機構である。光反射部材とは、典型的にはミラーである。第二の実施形態では、制御部109が、回転機構217を回転させることによって、計測光の出射方向を変更する。
第二の実施形態における探触子113の走査経路および処理フローは、第一の実施形態と同様である。すなわち、光照射部206が胸壁に近い位置(走査ラインL101上)にある場合には、計測光の出射方向を胸壁側に傾ける。また、光照射部206が胸壁から離
れた位置(走査ラインL102,L103上)にある場合には、計測光の出射方向を可動保持部材103aに対して垂直な方向とする。唯一、ステップS102およびステップS105において、回転機構108を駆動するかわりに回転機構217を駆動するという点のみが異なる。
れた位置(走査ラインL102,L103上)にある場合には、計測光の出射方向を可動保持部材103aに対して垂直な方向とする。唯一、ステップS102およびステップS105において、回転機構108を駆動するかわりに回転機構217を駆動するという点のみが異なる。
このように第二の実施形態では、光照射部206全体が回転せず、内蔵された光反射部材だけが回転するため、光照射部206周辺の構成部品による物理的な制約を受けにくいという利点がある。
なお、第二の実施形態では、光反射部材216bに連結された回転機構を回転させることによって計測光の出射方向を変更したが、他の方法を用いてもよい。例えば、図6(b)のように、光反射部材の代わりに凹レンズ218と凸レンズ219を一枚ずつ配置し、凸レンズ219に連結された移動機構220を平行に移動させることで、凸レンズ219の中心から光軸をずらすようにしてもよい。このようにすることで、光照射部206から出射する計測光の方向を変更することができる。計測光の出射方向を変更するための内部機構には、任意の機構を採用することができる。
(第三の実施形態)
第一および第二の実施形態では、光照射部106から出射する計測光の出射方向を走査ラインごとに決定した。しかし、この方法を用いると、胸壁に最も近い走査ラインにおいて、胸壁部以外に照射される光の光量が弱くなってしまう。第三の実施形態では、これに対応するため、同一の走査ラインに対して、計測光の出射方向を変えながら複数回の走査を行う実施形態である。
図7は、第三の実施形態の走査経路を説明するための図であり、図8は、第三の実施形態に係る光音響測定装置の処理フロー図である。第三の実施形態に係る光音響測定装置の構成は、第一の実施形態と同様である。
第一および第二の実施形態では、光照射部106から出射する計測光の出射方向を走査ラインごとに決定した。しかし、この方法を用いると、胸壁に最も近い走査ラインにおいて、胸壁部以外に照射される光の光量が弱くなってしまう。第三の実施形態では、これに対応するため、同一の走査ラインに対して、計測光の出射方向を変えながら複数回の走査を行う実施形態である。
図7は、第三の実施形態の走査経路を説明するための図であり、図8は、第三の実施形態に係る光音響測定装置の処理フロー図である。第三の実施形態に係る光音響測定装置の構成は、第一の実施形態と同様である。
第三の実施形態における測定のフローを、図8を用いて説明する。
測定が開始されると、制御部109が、光照射部106を測定開始点P301に移動させる(S301)。続いて、制御部109が回転機構108を駆動し、光照射部106を胸壁側に3度傾ける(S302)。
ステップS302の処理が完了すると、制御部109が、光照射部106を走査ラインL301に沿って移動させ、走査ラインL301についての測定を行う(S303)。
走査ラインL301の一回目の測定が完了すると、制御部109が、回転機構108を駆動し、光照射部106の傾斜を元に戻す(S304)。そして、走査ラインL301を再度走査し、走査ラインL301についての二回目の測定を行う(S305)。なお、図7では説明の都合上、走査ラインL301を二本図示しているが、走査を行う場所は同一である。
測定が開始されると、制御部109が、光照射部106を測定開始点P301に移動させる(S301)。続いて、制御部109が回転機構108を駆動し、光照射部106を胸壁側に3度傾ける(S302)。
ステップS302の処理が完了すると、制御部109が、光照射部106を走査ラインL301に沿って移動させ、走査ラインL301についての測定を行う(S303)。
走査ラインL301の一回目の測定が完了すると、制御部109が、回転機構108を駆動し、光照射部106の傾斜を元に戻す(S304)。そして、走査ラインL301を再度走査し、走査ラインL301についての二回目の測定を行う(S305)。なお、図7では説明の都合上、走査ラインL301を二本図示しているが、走査を行う場所は同一である。
走査ラインL301についての二回目の測定が完了すると、制御部109が、光照射部106を走査ラインL302の開始点P302に移動させる(S306)。そして、制御部109が、光照射部106を走査ラインL302に沿って移動させ、走査ラインL302についての測定を行う(S307)。
走査ラインL302についての測定が完了すると、制御部109が、光照射部106を走査ラインL303の開始点P303に移動させる(S308)。そして、制御部109が、光照射部106を走査ラインL303に沿って移動させ、走査ラインL303についての測定を行う(S309)。
走査ラインL302についての測定が完了すると、制御部109が、光照射部106を走査ラインL303の開始点P303に移動させる(S308)。そして、制御部109が、光照射部106を走査ラインL303に沿って移動させ、走査ラインL303についての測定を行う(S309)。
このように、第三の実施形態では、同一の走査ラインL301において、計測光の出射方向を変更して行う走査と、計測光の出射方向を変更せずに行う走査を組み合わせて実行
する。このようにすることで、他の実施形態と同様に、胸壁付近の情報を精度良く得ることができ、かつ、胸壁付近以外の領域についても十分な光量の計測光を照射することができる。
する。このようにすることで、他の実施形態と同様に、胸壁付近の情報を精度良く得ることができ、かつ、胸壁付近以外の領域についても十分な光量の計測光を照射することができる。
なお、第三の実施形態では、光照射部106を傾けた状態で走査ラインL301に対して走査を行った後、光照射部106を正面に向けて逆方向に再度走査を行ったが、走査の順番は任意でよい。例えば、計測光の出射方向を傾けずにL301〜L303を走査してから、計測光の出射方向を傾けて再びL301を走査するようにしてもよい。同じ走査ラインに対して走査を複数回行い、少なくともうち一回について計測光の出射方向を変更することができればよい。
(実施例)
次に、第一の実施形態に対応する実施例について述べる。
本実施例では、第一の胸壁支持部102aおよび第二の胸壁支持部102bとして、厚さ3mmのタングステンカーバイドを用いた。被検体である乳房は、可動保持板103aと固定保持板103bに挟んで保持される。光源104には、波長が可変なチタン・サファイアレーザーを用いた。用いたレーザーのパルス幅は10ナノ秒、周波数は10Hzであり、波長は797nmである。
次に、第一の実施形態に対応する実施例について述べる。
本実施例では、第一の胸壁支持部102aおよび第二の胸壁支持部102bとして、厚さ3mmのタングステンカーバイドを用いた。被検体である乳房は、可動保持板103aと固定保持板103bに挟んで保持される。光源104には、波長が可変なチタン・サファイアレーザーを用いた。用いたレーザーのパルス幅は10ナノ秒、周波数は10Hzであり、波長は797nmである。
また、光照射部106が走査ラインL101にあるときの、光照射部106の光出射部の中心と胸壁支持部の上面との間隔は33mmであった。また、被検体101および可動保持部材103aが接する面と、光照射部106の光出射端との間隔は165mmであった。また、被検体からの音響波を効率よく受信するために、可動保持部材103aとして、アクリルで作られた厚さ20mmの可動保持部材を用いた。
固定保持部材103bには、ポリメチルペンテンで作られた厚さ7mmの部材を用いた。また、探触子113には、PZT(ジルコン酸チタン亜鉛)で作られた圧電型の探触子を用いた。また、固定保持部材103bと探触子113との音響マッチングを取るために、固定保持部材103bと探触子113との間に、ひまし油からなる音響マッチング剤114を配置した。
図9(a)は、光照射部106が走査ラインL101上にあり、かつ、計測光が可動保持部材103aに対して垂直方向に向けられている場合に、被検体に照射される光照射密度の分布を示したものである。図9(a)のX軸は、図1(a)の紙面垂直方向であり、原点は乳房の中心である。また、図9(a)のY軸は、第二の胸壁支持部102bに対して垂直な方向であり、原点は第二の胸壁支持部の支持面である。一方、図9(b)は、光照射部106が走査ラインL101上にあり、計測光が胸壁側に3度傾けられている場合に被検体に照射される光照射密度の分布を示したものである。
図9(c)は、図9(a)と(b)のそれぞれについて、各Y座標における光照射密度をX方向に積分した値であり、縦軸がY座標、横軸が光照射密度をX方向に積分した値である。図9(c)を見ると、光照射部106を胸壁側に傾けることにより、胸壁付近に照射される計測光の光量を確保できていることが分かる。
104・・・光源、105・・・光伝送部、106・・・光照射部、107・・・走査機構、109・・・制御部、113・・・探触子、115・・・処理部
Claims (16)
- 被検体に光を照射し、前記光の出射方向が変更可能な光照射部と、
前記光照射部を第一の軸に沿って移動させる走査機構と、
前記被検体に照射された光に起因して発生する音響波を受信する探触子と、
前記探触子で受信した音響波から前記被検体の特性情報を生成する処理部と、
前記第一の軸上における前記光照射部の位置と、前記光照射部から出射する光の出射方向を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、前記光照射部から出射する光の出射方向を、前記第一の軸上における前記光照射部の位置に基づいて決定する
ことを特徴とする、被検体情報取得装置。 - 前記制御部は、前記第一の軸上における前記光照射部の位置が、前記光照射部の可動範囲のより端部であるほど、前記被検体に対する前記光の入射角がより小さくなるように前記光の出射方向を制御する
ことを特徴とする、請求項1に記載の被検体情報取得装置。 - 被検体を挿入する開口部を備えた被検者支持部材をさらに有し、
前記第一の軸は、被検体の挿入方向に対して平行であり、
前記制御部は、前記第一の軸上における前記光照射部の位置が前記被検者支持部材に近いほど、前記光の出射方向がより前記被検者支持部材側を向くよう制御する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の被検体情報取得装置。 - 前記光照射部は、回転機構によって回転可能であり、
前記制御部は、前記回転機構を回転させることによって前記光の出射方向を変更する
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記光照射部は、光路切り替え機構を有し、
前記制御部は、前記光路切り替え機構によって前記光の出射方向を変更する
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置。 - 前記光路切り替え機構は、回転する光反射部材を備えた機構であり、
前記制御部は、前記光反射部材を回転させることによって前記光の出射方向を変更する
ことを特徴とする、請求項5に記載の被検体情報取得装置。 - 前記光路切り替え機構は、少なくとも一枚のレンズを移動させる移動機構であり、
前記制御部は、前記レンズを移動させることによって前記光の出射方向を変更する
ことを特徴とする、請求項5に記載の被検体情報取得装置。 - 前記走査機構は、前記光照射部を、前記第一の軸と直交する第二の軸に沿ってさらに移動可能な構成であり、
前記制御部は、前記光照射部を前記第二の軸に沿って移動させて行う走査を複数回行い、前記複数回の走査の少なくとも一回において、前記光照射部から出射する光の出射方向を、前記第一の軸上における前記光照射部の位置に基づいて決定する
ことを特徴とする、請求項1に記載の被検体情報取得装置。 - 被検体に光を照射し、前記光の出射方向が変更可能な光照射部と、
前記被検体に照射された光に起因して発生する音響波を受信する探触子と、
を有する被検体情報取得装置の制御方法であって、
前記光照射部を第一の軸に沿って移動させる移動ステップと、
前記光の出射方向を、前記光照射部の前記第一の軸上における位置に基づいて決定する制御ステップと、
前記探触子によって音響波を受信する受信ステップと、
前記受信した音響波から前記被検体の特性情報を生成する処理ステップと、
を含むことを特徴とする、被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記制御ステップでは、前記第一の軸上における前記光照射部の位置が、前記光照射部の可動範囲のより端部であるほど、前記被検体に対する前記光の入射角がより小さくなるように前記光の出射方向を決定する
ことを特徴とする、請求項9に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 被検体を挿入する開口部を備えた被検者支持部材をさらに有する被検体情報取得装置の制御方法であって、
前記第一の軸は、被検体の挿入方向に対して平行であり、
前記制御ステップでは、前記第一の軸上における前記光照射部の位置が前記被検者支持部材に近いほど、前記光の出射方向がより前記被検者支持部材側を向くよう制御する
ことを特徴とする、請求項9または10に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記光照射部は、回転機構によって回転可能であり、
前記制御ステップでは、前記回転機構を回転させることによって前記光の出射方向を変更する
ことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記光照射部は、光路切り替え機構を有し、
前記制御ステップでは、前記光路切り替え機構によって前記光の出射方向を変更する
ことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記光路切り替え機構は、回転する光反射部材を備えた機構であり、
前記制御ステップでは、前記光反射部材を回転させることによって前記光の出射方向を変更する
ことを特徴とする、請求項13に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記光路切り替え機構は、少なくとも一枚のレンズを移動させる移動機構であり、
前記制御ステップでは、前記レンズを移動させることによって前記光の出射方向を変更する
ことを特徴とする、請求項13に記載の被検体情報取得装置の制御方法。 - 前記移動ステップでは、前記光照射部を、前記第一の軸と直交する第二の軸に沿ってさらに移動させ、
前記制御ステップでは、前記光照射部を前記第二の軸に沿って移動させて行う走査を複数回行い、前記複数回の走査の少なくとも一回において、前記光照射部から出射する光の出射方向を、前記第一の軸上における前記光照射部の位置に基づいて決定する
ことを特徴とする、請求項9に記載の被検体情報取得装置の制御方法。
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