JP2014168405A - 補光システム - Google Patents

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Abstract

【課題】被覆栽培時に晴天時以外の日中の光スペクトルを晴天時の日中の光スペクトルに近づけることで、天候による栽培条件の振れ幅を小さくし、かつ、補光量を少なく抑える。
【解決手段】補光システム(1)は、被覆資材(400)で被覆された植物に、被覆資材(400)による被覆下で、晴天時以外の日中に、晴天時の日中に対して光量が不足している波長領域における予め設定された所定の波長領域の光を照射する。
【選択図】図3

Description

本発明は、被覆部材で被覆された植物に光を照射する補光システムに関する。
農作物の栽培方法の一つとして、直射日光を遮って栽培を行う被覆栽培(遮光栽培)が知られている。例えば、チャの栽培では、加工品である茶の品質を向上させるため、チャ樹を被覆資材(遮光資材)で被覆し、一定期間、日光を遮断する。
被覆期間によって茶の種類が変わり、例えば、抹茶の原料となる碾茶で30日、玉露で20日、かぶせ茶で7日ほどである。また、茶の種類によって、被覆期間だけでなく、遮光率も異なる。一例として、例えば、かぶせ茶の場合、遮光率55〜80%程度で7日間ほど被覆され、玉露や碾茶の場合、最初に遮光率55〜80%程度で10日間程被覆し、その後、被覆資材を2枚掛けする等して、遮光率を90%以上、例えば95〜98%程度にまで高める。
チャ樹は、被覆栽培によって日光が遮断されると、葉緑素の分解速度が低下して濃緑色になるとともに、チャ葉が薄く柔らかくなる。また、酵素の活性が低下してテアニン(グルタミン酸エチルアミド)からタンニン等のカテキン類への合成が抑制される。
茶の旨味成分は主に、テアニン、グルタミン酸、アルギニン等のアミノ酸類であり、そのなかでも、テアニンが代表的な成分である。テアニンは茶樹の根で生成されて新芽に移行して蓄積される。新芽中に蓄積されたテアニンが生合成によってカテキン類に変換されると、テアニンの蓄積量が減少して、カテキン類の含有量が増大する。タンニン等のカテキオン類は、茶の渋味成分となる。
このため、新芽の生育初期に、被覆によってチャ葉に届く日光の量を制限すると、チャのアミノ酸含有量が高まり、渋みが少なく、外観や香味に優れた、高品質の茶を製造することができる。
しかしながら、被覆期間中に曇天・雨天が多いと、被覆の効果が抑制され、品質向上効果が減少する。上述したようにチャの被覆期間は短い。しかしながら、この短い被覆期間の天候次第でチャの品質にばらつきが生じることから、収益が安定せず、このことが茶農家の負担となっている。
特許文献1には、チャのカテキン類の生成を抑制しつつ、テアニンを含む遊離アミノ酸の蓄積量を増大させる方法として、夜間、チャ樹に、平均100lx以下の照度の光を照射することで、光合成を行うチャ樹を活性化させる方法が開示されている。
また、特許文献2〜特許文献7は、太陽光の環境が、照度等の明るさとスペクトルバランスという2つの要素を持つことに着目し、スペクトルバランスの観点から補光を行うことを提案している。
特許文献2は、太陽光の可視光のスペクトルバランスに着目し、植物の健全な生育のためには、赤色光(R光)と青色光(B光)とがバランス良く配合されていることが望ましく、また、光合成能力の大きい波長を増幅することで植物の育成が促進されるとして、太陽光併用型の栽培ハウス内において、R光、B光、および遠赤色光(FR光)のうち少なくとも一種を含む光を、透過太陽光のR光/B光の比、およびR光/FR光の比がともに小さくなるように補光することを提案している。
特許文献3は、太陽光が照射されない時間帯に、植物に対し、FR光、R光、およびB光の混合光を、FR光の放射照度がR光およびB光の各放射照度以上となるように照射することを提案している。
また、特許文献4は、長日植物に対して、夜間にFR光のみを補光することを提案している。
特許文献5は、徒長を伴う低日照条件下での葉菜類の栽培において、被覆資材に遠赤色光カットフィルムを用いる等して昼間にFR光を減らすか、もしくは、完全人工光型の栽培施設での葉菜類の栽培において、昼間に相当する時間帯に、波長700nmよりも長波長の光のうち、少なくとも波長700〜800nmの遠赤色光を含まないか減らした照明光を照射し、夜間に相当する時間帯にB光を照射することを提案している。
特許文献6は、照射する光の全放射エネルギー量に対する、600〜700nmの波長域の光放射エネルー量および500〜600nmの波長域の光放射エネルー量が所定の範囲内となるように、白色発光ダイオードと赤色発光ダイオードとを光源とする2種類の光を照射することを提案している。
また、特許文献7は、太陽から放射される光のうち光合成の光化学系に関与する波長域の光の強度を測定し、該強度と予め設定された光の強度とを比較した結果に基づいて、植物の光合成促進に必要かつ最小限の補光を行うことで、補光に要するコストを低減することを提案している。
特開2010−279295号公報(2010年12月16日公開) 特開2007−222039号公報(2007年9月6日公開) 特開2011−101616号公報(2011年5月26日公開) 特開2005−95132号公報(2005年4月14日公開) 特開2006−340689号公報(2006年12月21日公開) 特許第5102190号公報(2012年10月5日登録) 特開平6−209654号公報(1994年8月2日公開)
しかしながら、植物種によって反応は様々であり、文献によって補光条件が種々異なるとともに、必ずしも上記の条件で良い効果が得られるとは限らない。また、実際の運用においては、選択の幅が広すぎて、補光の目標値を決めることが困難である。
また、特許文献1は、チャ樹を予備活性化することで遊離アミノ酸の蓄積量を増大させるものであり、被覆期間中の天候そのものには関係がない。また、特許文献3〜5も、特許文献1同様、夜間に補光を行っている。
なお、特許文献2、6、7、および、特許文献5において完全人工光型の栽培施設で葉菜類の栽培を行う場合には、日中に補光を行うことが開示されているが、晴天時には光量が大きいため、補光量も大きくなり、ランニングコストが膨大になる。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、被覆栽培時に晴天時以外の日中の光スペクトルを晴天時の日中の光スペクトルに近づけることで、天候による栽培条件の振れ幅を小さくし、かつ、補光量を少なく抑えることにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様にかかる補光システムは、被覆部材で被覆された植物に、上記被覆部材による被覆下で、晴天時以外の日中に、晴天時の日中に対して光量が不足している波長領域における予め設定された所定の波長領域の光を照射する補光システムであって、上記被覆部材で被覆された植物に、上記所定の波長領域の光を照射する補光手段と、上記被覆部材を介して上記植物に照射される光の波長成分を測定する第1の波長成分測定手段と、晴天時の日中の光の波長成分から目標波長成分として設定された、上記被覆部材による被覆下での上記所定の波長領域の光の光量と、上記第1の波長成分測定手段によって測定された波長成分における上記所定の波長領域の光の光量とを比較した比較結果に応じて、上記補光手段から照射される光の光量を制御する光量制御手段とを備えている。
本発明の一態様によれば、上記第1の波長成分測定手段によって測定された波長成分における上記所定の波長領域の光の光量とを比較した比較結果に応じて、上記補光手段から照射される光の光量を制御することで、晴天時以外の日中に光量が不足する波長領域の光の光量を補うことができる。
これにより、晴天時以外の日中の波長成分を晴天時の日中の波長成分に近づけることができ、天候による栽培条件の振れ幅を小さくし、収穫物である植物の品質のばらつきを抑えることができる。
また、被覆下かつ晴天時以外の日中をターゲットとして補光を行うため、全体の光量が少なく、補光量も少なく抑えることができる。
実施形態1にかかる補光システムの要部の概略構成を示すブロック図である。 実施形態1にかかる補光システムの要部の概略構成を示す模式図である。 晴天時の日中の光スペクトルと曇天時の日中の光スペクトルとの対比および曇天時における日中の補光成分の光量を示すグラフである。 実施形態1にかかる補光システムにおける補光処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態2にかかる補光システムの要部の概略構成を示すブロック図である。 実施形態2にかかる補光システムの要部の概略構成を示す模式図である。 実施形態2にかかる補光システムにおける補光処理の流れを示すフローチャートである。 実施形態3にかかる補光システムの要部の概略構成を示す模式図である。 実施形態4にかかる補光システムの要部の概略構成を示す模式図である。 実施形態4にかかる補光システムの要部の概略構成を示す他の模式図である。 実施形態4にかかる補光システムによる補光処理の様子を示す模式図である。 実施形態5にかかる補光システムの要部の概略構成を示す模式図である。 (a)・(b)は、実施形態5にかかる光量測定器でFR光の光量を測定する方法を説明するグラフであり、(a)は、フィルタリング前の波長成分を示し、(b)は、フィルタリング後の波長成分を示す。 (a)は、PPFD測定用のフィルタを通過させたときの波長成分を示すグラフであり、(b)は、FR光測定用のフォルタを通過させたときの波長成分を示すグラフであり、(c)は、R光測定用のフォルタを通過させたときの波長成分を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
〔実施形態1〕
本発明の一実施形態において、図1〜図4に基づいて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態にかかる補光システムは、被覆資材により植物を被覆して栽培を行う植物の被覆栽培に使用される補光システムである。
以下、本実施形態では、チャの被覆栽培(遮光栽培)を行う場合を例に挙げて説明するものとするが、本実施形態は、これに限定されるものではない。
前述したように、チャの栽培では、加工品である茶の品質を上げるため、被覆資材により外光の入射率を所定の入射率に制限して栽培を行う、いわゆる被覆栽培(遮光栽培)が行われる。なお、被覆資材による外光の透過率(入射率)または遮光率は、生産される茶の種類や立地(生産地)、生産時期等に応じて適宜設定されるものであり、特に限定されるものではない。
被覆栽培を行うと、テアニン等のチャのアミノ酸含有量が高まり、茶品質(味)が向上する。このため、チャの栽培では、被覆資材によりチャを被覆した状態でチャの栽培が行われる。チャの栽培において、被覆期間及び遮光率は、加工品である茶の種類に応じて適宜決定される。
しかしながら、被覆期間中に晴天が少ない(例えば曇天が多い)と、被覆の効果が抑制され、品質向上効果が減少する。
図3は、晴天時の日中の光スペクトル(波長成分)と曇天時の日中の光スペクトルとの対比および曇天時における日中の補光成分の光量を示すグラフである。なお、図3は、何れも、被覆下での光スペクトルを示している。
図3から判るように、曇天時には、太陽光のうち、600nm〜800nmの長波長成分である、赤色光(R光、600nm〜700nm)および遠赤色光(FR光、700nm〜800nm)の割合が減少する。
したがって、これら長波長成分の低下が、被覆栽培の品質向上効果が減少する一因となっていると考えられる。
〈実験例〉
そこで、曇天・雨天時に不足する長波長成分を補うことによる補光効果を確認するために、実際にチャ畑(露地)で補光実験を行った。以下に、この補光実験の結果について説明する。
(実験条件)
なお、本実験は、長波長成分の補光による効果を見るためのものであり、実験条件並びに実験設備を簡略化するため、FR光のみ補光を行うとともに、晴天時にもFR光を照射した。
実験には2番茶を使用し、7月4日から7月10日の7日間、実験区のチャ樹に、被覆下で、日中のみFR光を補光した。また、参照区として、被覆および補光しない以外は実験区と同じ条件とした露天栽培区を設けるとともに、対照区として、補光しない以外は実験区と同じ条件とした被覆栽培区を設けた。なお、実験期間中の日射時間は、1日平均3〜4時間であった。
また、実験区におけるPPFDに対するFR光の比率は43%とした。なお、実験期間中における、各区における晴天時のPPFDに対するFR光の比率は37%であり、補光しないときの曇天時のPPFDに対するFR光の比率は31%であった。
なお、PPFDとは、光合成有効光量子束密度(単位:μmol・m−2・s−1)であり、図3に示すように、400〜700nmまでの波長領域の光量子束密度を示す。
(実験結果)
上記補光実験の結果を表1に示す。
Figure 2014168405
上述したように、実験期間中は日照時間が平均3〜4時間と、曇天が多く、FR光を補光した実験区の方が、茶葉中のテアニンの含有量が多かった。なお、前述したように、テアニンは、その含有量と茶の品質との相関が高いとされるアミノ酸である。
表1に示す結果から、曇天・雨天が多い場合に、日中、被覆(遮光)下でFR光を補光することで、茶品質が向上、あるいは、晴天時の茶品質を維持できることが判る。
したがって、直接のメカニズムは不明だが、上記の結果から、晴天時以外の日中の長波長成分の低下が、被覆栽培の品質向上効果が減少する一因となっていることが確認できた。
このことから、曇天時または雨天時(つまり、晴天時以外)の日中の光スペクトルを晴天時の日中のスペクトルに近づけることで、天候による栽培条件の振れ幅を小さくし、収穫物である茶の品質のばらつきを抑えることができる一方、補光量を少なく抑えることができることが判る。
そこで、本実施形態では、晴天時以外の日中の栽培条件を、晴天時の日中の栽培条件に近づけるためのアプローチを行う。なお、以下、記載の簡略化のために、晴天時以外の天候を曇天と記し、曇天には、雨天も含まれるものとする。
晴天時以外の日中の栽培条件を、晴天時の日中の栽培条件に近づけるためには、図3に示すように、被覆栽培下でチャが受けている光のスペクトルを測定し、曇天時に不足している長波長成分を補う必要がある。
曇天時の補光量は、曇天時に測定されたスペクトルと、晴天時を参考に設定された、目標となるスペクトルとの比較から決定する。
このためには、まず、晴天時の光スペクトルを参考に、目標とする光スペクトル(目標スペクトル)を設定する。次いで、測定した曇天時の光スペクトルを、目標スペクトルと比較することにより、曇天時に不足する長波長成分を補う。
しかながら、目標スペクトルを完全に再現することは困難である。このため、図3に示すように、ある程度の波長で区切り、その区画内の波長の光の総光量を合わせる。一例として、図3に示すように100nmごとに波長を区切る方法が考えられる。
このとき、被覆下での光スペクトルは、被覆状態等、天候以外の要因によっても変化する。このため、被覆下での晴天時の光スペクトルを基準にして目標スペクトルを設定すると、スペクトルの測定位置によって目標スペクトルそのものの値が変わってしまう。そこで、本実施形態では、晴天時かつ露天下における光スペクトルを用いて補光の基準となる目標スペクトルを設定する。
しかしながら、実際には晴天時かつ露天下の光量と、曇天時かつ被覆下の光量との間には非常に大きな差がある。
このため、晴天時かつ露天下における光スペクトルと、曇天時かつ被覆下の光スペクトルとを比較するためには、光量のスケールを揃える必要がある。
そこで、本実施形態では、このスケールを揃える際に、上述したPPFD(光合成有効光量子束密度、単位:μmol・m−2・s−1)を基準として利用する。
具体的には、晴天時かつ露天下における日中の光スペクトルのPPFDをF、被覆下の日中の光スペクトルのPPFDをSとすると、晴天時かつ露天下における日中の光スペクトルの各成分に、S/Fを乗じる。この結果得られた光スペクトルを目標スペクトルとして設定・記憶することで、目標スペクトルのPPFDをSに揃える。
これにより、晴天時かつ露天下における日中の光のPPFDと被覆下の日中の光のPPFDとでスケールを揃えることができ、晴天時かつ露天下における日中の光スペクトルを基に目標スペクトルを設定することができる。
したがって、被覆下の日中の光スペクトルを目標スペクトルと比較し、目標スペクトルに対して不足する長波長成分を補うことで、チャの被覆栽培において、曇天時にも、晴天時と同じスペクトルをもたらすことができる。これにより、天候による栽培条件の振れ幅を小さくし、収穫物である茶の品質のばらつきを抑えることができるとともに、補光量を少なく抑えることができる。
以下に、本実施形態にかかる補光システムの概略構成について説明する。
〈補光システムの概略構成〉
図1は、本実施形態にかかる補光システム1の要部の概略構成を示すブロック図である。また、図2は、本実施形態にかかる補光システム1の要部の概略構成を示す模式図である。なお、図2では、光量測定器200およびその設置部を枠で囲んで部分的に拡大して示している。
本実施形態にかかる補光システムは、上述したように、光照射の対象物に対して、常に当該対象物にとって適切な光スペクトル(波長成分)となる光を照射するために、不足している光スペクトルを補うためのシステムである。
図1に示すように、本実施形態にかかる補光システム1は、給電器100(光量制御手段)、光量測定器200(第1の波長成分測定手段)、補光器300(補光手段)、および被覆資材400(被覆部材)を備えている。
以下、補光システム1の各部(各装置)の概略構成について説明する。
〈被覆資材400〉
まず、被覆資材400について説明する。被覆資材400は、補光システム1による光照射(補光)対象物となる、被覆栽培される植物の被覆に使用される被覆部材である。被覆資材400は、被覆栽培される植物の育成に適した外光の透過率(入射率)または遮光率が得られるように、適宜、選択、設計される。
本実施形態では、生産される茶の種類や生産環境に応じて、使用する被覆資材400が決定される。本実施形態で使用される被覆資材400としては、従来、チャの被覆栽培に使用されている常用もしくは公知の遮光部材等の被覆資材を使用することができる。
被覆資材400としては、特に限定されるものではないが、例えば、寒冷紗、ネット、不織布、織布、藁、葦、よしず等を、単独で、または組み合わせて使用することができる。そのなかでも、遮熱効果を有する黒寒冷紗等の寒冷紗、シルバー不織布等の銀色資材が好適に用いられる。
被覆資材400は、被覆栽培される植物を被覆することができる大きさを有していればよく、被覆資材400による被覆方法は、被覆栽培される植物を被覆することができれば、特に限定されるものではない。
被覆資材400による被覆方法としては、被覆資材400によって被覆される植物の本数や大きさ、立地条件等に応じて適宜選択、決定すればよい。該被覆方法としては、例えば、棚がけ被覆、トンネル被覆等、被覆資材400が、チャ株やチャ樹等の被覆対象物(光照射対象物)に接触しないように浮いた状態(離間した状態)で被覆資材400を固定する、いわゆる浮きがけ被覆であってもよく、被覆対象物上に被覆資材400を直接展張し、固定部材で固定する直がけ被覆であってもよい。
図2では、被覆栽培されるチャ2が、複数本、線状に植栽されている様子を示している。
この場合、例えば、チャ2の大きさによって、チャ2の周囲に、チャ2から適宜距離を隔てて、図示しない複数の支柱を、例えばトンネル状あるいは棚状に設置したりハウス状に組み立てたりする等し、その天井部および周囲部に被覆資材400を着脱可能に取り付けることで、被覆資材400によって外光を所定の入射率となるように調節することができる。また、該被覆資材400あるいは図示しない支柱に補光器300を取り付けることで、チャ2に効率良く光を照射することができるので、補光効率を向上させることができる。
〈光量測定器200〉
次に、光量測定器200について説明する。なお、給電器100については、後で詳述する。
チャが受ける光のスペクトルは、光量測定器200によって測定される。光量測定器200は、被覆資材400による被覆下での光スペクトル(被覆下スペクトル)を測定する被覆下スペクトル測定部である。
光量測定器200には、例えば公知のフォトディテクタが使用される。光量測定器200は、図2に一部拡大して示すように、受光部201を備え、受光部201を上面として、被覆資材400で覆われたチャ2の樹冠面3に設置される。
なお、光量測定器200は、光照射対象物である植物(チャ2)の近傍に配置されることが望ましい。これにより、上記植物(チャ2)に実際に照射される波長領域の光スペクトルを正確に検出することができる。
〈補光器300〉
補光器300は、給電器100に接続された配線301、および、該配線301に取り付けられた、補光用の光源としての複数のLED(発光ダイオード)302を備えている。
本実施形態にかかる補光器300は、LED302として、R成分(R光)補光用のLEDおよびFR成分(FR光)補光用のLEDとして、赤色(R)LEDや遠赤色(FR)LEDを備えている。補光器300は、これらLED302に供給される電流が、R成分補光用のLEDとFR成分補光用のLEDとで、それぞれ独立して制御可能であり、それぞれ独立して点灯(電流ON(オン))および消灯(電流OFF(オフ))が可能に設けられている。このため、R光およびFR光を独立して制御できるとともに、何れか一方の波長の光のみを補光することも可能となっている。
上述したように、FR光を補光することで、チャ葉中のテアニンの含有量を増加させることができる。また、R光の効果としては、植物の種類にもよるが、一般的には、成長促進効果が知られている。
LED302は被覆資材400の内側に設置され、給電器100における後述する電源制御部16(図1参照)により、LED302に供給される電流値を制御することによって、照射光量の調節が行われる。
なお、本実施形態では、図2に示すように、給電器100に複数本の配線301が接続されているとともに、1本の配線301に複数のLED302が設けられている場合を例に挙げて図示している。しかしながら、配線301の数やLED302の数は、被覆資材400で覆われたチャ2の本数や大きさ等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
これら配線301およびLED302は、被覆資材400あるいは図示しない支柱等に取り付けることで、被覆資材400の内部の天井部(天井位置)に設けられる。
すなわち、補光器300は、被覆資材400に直接取り付けられることで、被覆資材400と一体的に形成されていてもよく、被覆資材400とは別に設けられていてもよい。つまり、上記補光システム1は、全体で1つの装置を構成していてもよく、被覆資材400を、その他の装置とは別に備えていてもよい。
なお、上記補光用の光源としては、波長選択が容易で、有効波長域の光エネルギーが占める割合が大きな光を放射するLEDが好適に使用される。しかしながら、所望の波長領域の光を照射することができれば、LED以外の光源を使用しても構わない。
〈給電器100〉
給電器100は、図1に示すように、被覆下スペクトルを記憶する第1記憶部11、晴天時露天下スペクトルを記憶する第2記憶部12、目標スペクトルを記憶する第3記憶部13、補光器300を制御するための補光制御信号を生成する補光制御信号生成部14、補光制御信号生成部14を駆動させるためのトリガとなる信号としてタイマ信号を出力するタイマ部15、補光制御信号生成部14によって生成された補光制御信号に応じて電源制御信号を生成する電源制御部16(光量調整部)、電源制御部16からの電源制御信号により補光器300に対して電源信号を出力する電源部17を含んでいる。
ここで、第1記憶部11に記憶される被覆下スペクトルとは、前述したように、光量測定器200によって測定される、被覆資材400による被覆下での光スペクトルである。本実施形態では、第1記憶部11には、光量測定器200によって測定された測定値、すなわち、光照射対象物であるチャ2が、遮光性の被覆資材400によって被覆された状態で、チャ2に照射される光の波長ごとの光量が、被覆下スペクトル(つまり、遮光下スペクトル)として記憶される。
また、第2記憶部12に記憶される晴天時露天下スペクトルとは、晴天時における露天下での日中の光のスペクトルである。本実施形態では、この晴天時露天下スペクトルが、第2記憶部12に予め記憶されている。
第3記憶部13に記憶される目標スペクトルは、前述したように、晴天時かつ露天下における日中の光スペクトルのPPFDをF、被覆下の日中の光スペクトルのPPFDをSとしたときに、晴天時かつ露天下における日中の光スペクトルの各成分に、S/Fを乗じた結果、得られた光スペクトルである。
なお、第1記憶部11および第3記憶部13としては、書き換え可能な記憶媒体が用いられる。一方、第2記憶部12に用いられる記録媒体としては、読み出しが可能であればよく、必ずしも書き換え可能である必要はない。なお、第2記憶部12は、通信手段を用いて書き換え可能に形成されていてもよい。
PPFDは、例えば、夏場と冬場等、季節によって変化する。このため、第2記憶部12には、例えば季節ごとの晴天時露天下スペクトルが記憶されていることが望ましく、例えば季節ごとや地域ごと等に、複数の晴天時露天下スペクトルが記憶されていることが望ましい。
なお、前述したように、目標スペクトルを完全に再現することは困難である。このため、目標スペクトルの算出に用いられる光スペクトル(つまり、波長ごとの光量)は、図3に示したように、ある程度の波長(例えば100nmごと)で区切ることで、その区画内の波長の光の総光量が用いられる。
また、補光制御信号生成部14は、図1に示すように、目標スペクトル設定部21と、判定部22(第1判定部、光量比較部)とを備えている。
目標スペクトル設定部21は、タイマ部15からの信号をトリガにして、第1記憶部11に記憶される被覆下スペクトルと、第2記憶部12に記憶された晴天時露天下スペクトルとから、目標スペクトルを設定する。
判定部22は、第3記憶部13に記憶された目標スペクトルと、第1記憶部11に記憶された被覆下スペクトルとを比較し、被覆下スペクトルが目標スペクトルよりも少ないか否かを判定し、この判定結果を補光制御信号として電源制御部16に出力する。なお、ここで、被覆下スペクトルと目標スペクトルとは、スペクトル成分ごと(つまり、上述したように一定範囲の波長領域ごと)に行われる。本実施形態では、R成分(R光)およびFR成分(FR光)に対し、それぞれ、被覆下スペクトルと目標スペクトルとの比較が行われる。本実施形態では、R成分は600〜700nmの波長の光とし、FR成分は、700〜800nmの波長の光とする。
タイマ部15は、時間計測を行い、予め設定された時間になったことを報知するための信号(タイマ信号)を上記補光制御信号生成部14に出力するようになっている。なお、タイマ部15に設定する時間は任意に設定可能である。
上記補光制御信号生成部14は、判定部22によって、被覆下スペクトルが目標スペクトルに対して少ないか否かを比較した結果を補光制御信号として電源制御部16に出力する。
電源制御部16は、補光制御信号生成部14からの補光制御信号、すなわち、目標スペクトルと被覆下スペクトルとを比較した結果を示す信号に応じて、電源部17を制御するための電源制御信号を出力する。
具体的には、被覆下スペクトルが目標スペクトルよりも少ないとき、上記補光器300に供給する電流を増加させる電源制御信号を電源部17に出力し、被覆下スペクトルが目標スペクトルよりも少なくないとき、つまり、被覆下スペクトルが、目標スペクトルと同じか目標スペクトルよりも多いとき、上記補光器300に供給する電流を減少させる電源制御信号を電源部17に出力する。
電源部17は、電源制御部16からの電源制御信号に応じて、補光器300に供給する電流を制御する。なお、前述したように、補光器300は、LED302として、R成分補光用のLEDおよびFR成分補光用のLEDを備えている。電源部17は、電源制御部16からの電源制御信号に応じて、R成分補光用のLEDおよびFR成分補光用のLEDに供給される電流値をそれぞれ制御することで、R成分補光用のLEDおよびFR成分補光用のLEDにおける照射光量を、それぞれ独立して調節する。
〈補光処理〉
次に、上記補光システム1における補光処理の流れについて、図4を参照して以下に説明する。図4は、上記補光システム1における補光処理の流れを示すフローチャートである。
まず、タイマ部15から、タイマ信号の入力をトリガとして、第1記憶部11に記憶された被覆下スペクトルと、第2記憶部12に記憶された晴天時露天下スペクトルとを取得する(ステップS1)。
次に、取得した被覆下スペクトルと晴天時露天下スペクトルとから、補光の目標となる目標スペクトルを設定する(ステップS2)。この目標スペクトルは、R成分、FR成分ごとに設定され、上記第3記憶部13に記憶される。具体的には、晴天時露天下スペクトルのPPFDをF、第1記憶部11に記憶された被覆下スペクトルのPPFDをSとしたときに、晴天時露天下スペクトルの各成分にS/Fを乗じることで、目標スペクトルを求める。ここでは、晴天時露天下スペクトルのR成分およびFR成分にそれぞれS/Fを乗じることで、目標スペクトルのR成分およびFR成分を求める。
続いて、第1記憶部11に記憶された被覆下スペクトルと、第3記憶部に記憶された目標スペクトルとを比較する(S3)。ここでは、被覆下スペクトルが目標スペクトルに対して少ないか否かを、スペクトルのR成分、FR成分ごとに比較する。
まず、被覆下スペクトルのR成分が目標スペクトルのR成分よりも少ないか否かを判定する(ステップS4)。ここで、R成分が少ないと判定された場合(つまり、YESの場合)、R成分用のLED供給電流の増加制御を行う(ステップS5)。具体的には、補光器300内のR成分補光用のLEDに供給する電流を増加させる。
一方、ステップS4において、被覆下スペクトルのR成分が目標スペクトルのR成分よりも少なくないと判定された場合(つまり、NOの場合)、続いて、FR成分が少ないか否かを判定する(ステップS6)。ここで、FR成分が少ないと判定された場合(つまり、YESの場合)、FR成分用のLED供給電流の増加制御を行う(ステップS7)。具体的には、補光器300内のFR成分補光用のLEDに供給する電流を増加させる。
なお、ステップS5およびステップS7において、電流の増加は、予め設定された割合で行うものとする。但し、電流の増加の割合については、被覆下スペクトルが目標スペクトルに対してどの程度少ないかを考慮してその都度求めるようにしてもよい。上記電流の増加には、0Vからの電流の増加、つまり、LED302の電流ONも含まれる。
ステップS5、ステップS7の処理が終了すれば、再びステップS2に移行して、目標スペクトルの設定を行う。
また、ステップS6において、FR成分が少なくないと判定された場合(つまり、NOの場合)、全てのLED供給電流を減少させ(ステップS8)、再び、ステップS1に移行し、再び被覆下データを取得し、タイマ部15から予め設定された時間になったことを報知するための信号(タイマ信号)が再度入力されるまで、補光処理を続ける。
なお、ステップS8において、電流の減少は、予め設定された割合で行うものとする。但し、電流の減少の割合については、被覆下スペクトルが目標スペクトルに対してどの程度多いかを考慮してその都度求めるようにしてもよい。上記電流の減少には、LED302の電流OFFも含まれる。つまり、ステップS6において、FR成分が少なくないと判定された場合には、晴天であると判断してLED302に供給する電流を停止させてもよい。
なお、図4では、被覆下スペクトルと目標スペクトルとの比較を、R成分、FR成分の順に行っているが、これに限定されるものではなく、判定の順番は逆であってもよいし、あるいは並列に行ってもよい。
〈効果〉
上記補光システム1によれば、上述したように、晴天時露天下スペクトルのPPFDをF、遮光下スペクトルのPPFDをSとすると、晴天時露天下スペクトルにS/Fを乗じることで、目標スペクトルのPPFDをSに揃えることができる。
これにより、上記被覆下スペクトルと、晴天時露天下スペクトルとから、目標スペクトルとして、上記被覆資材400による被覆下での晴天時の日中の光のスペクトルを設定することができる。
上記補光システム1によれば、上述したように、晴天時の日中の光スペクトルを参考に目標スペクトルを設定し、遮光下スペクトルを上記目標スペクトルと比較することにより、曇天時に不足する波長成分(つまり、曇天時に光量が不足する波長領域の光の光量)を補うことができる。
これにより、曇天時(つまり、晴天時以外)の日中の光スペクトルを晴天時の日中のスペクトルに近づけることができ、天候による栽培条件の振れ幅を小さくし、収穫物である茶の品質のばらつきを抑えることができる。
また、被覆(遮光)下かつ曇天時(つまり、晴天時以外)の日中をターゲットとして補光を行うため、全体の光量が少なく、補光量も少なく抑えることができる。
〈変形例〉
なお、上記補光システム1は、上述したように、タイマ部15が、時間計測を行い、予め設定された時間にタイマ信号を補光制御信号生成部14に出力するものであってもよく、図1に点線で示すように、給電器100が、第4記憶部18をさらに備え、年間の日の出および日の入り時間を第4記憶部18に記憶させておき、タイマ部15により日時を計測し、日の入り時刻になるとLED302を点灯させ、日の入り時刻になるとLED302を消灯させる構成を有していてもよい。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図5〜図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施形態1で説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
実施形態1では、晴天時露天下スペクトルを予め測定しておき、第2記憶部12に予め入力・記憶させることで、該第2記憶部12に予め記憶された晴天時露天下スペクトルを用いて目標スペクトルを設定する場合について説明した。
これに対し、本実施形態では、晴天時露天下スペクトルをリアルタイムで測定し、目標スペクトルの設定に用いる場合について説明する。
〈補光システム1の概略構成〉
図5は、本実施形態にかかる補光システム1の要部の概略構成を示すブロック図である。また、図6および図8は、本実施形態にかかる補光システム1の要部の概略構成を示す模式図である。
本実施形態にかかる補光システム1は、図5に示すように、給電器100、被覆下スペクトルを測定する光量測定器200、補光器300、被覆資材400、および、露天下スペクトルを測定する光量測定器500(第2の波長成分測定手段)等を備えている。
なお、図8に示すように、圃場に複数の補光システム1(補光装置)を設ける場合、各補光システム1は、1つの電源600から電流供給が行われてもよく、それぞれ別個の電源から電流供給が行われてもよい。
本実施形態にかかる補光システム1に含まれる給電器100には、光量測定器500によって測定された晴天時露天下スペクトルを用いて目標スペクトルを設定するための構成として、タイマ部15に代えてタイマ部20が設けられているとともに、第1判定部としての判定部22に加えて、第2判定部として判定部19が新たに追加されている。
以下では、実施形態1と異なる構成について説明する。
〈光量測定器500〉
光量測定器500は、露天下での光のスペクトル(つまり、上記補光システム1が設置される場所での露天下での光のスペクトル)を測定する露天下スペクトル測定部である。
光量測定器500は、被覆資材400の外側に設けられ、被覆対象物(チャ2)を被覆しない場合に該被覆対象物が受ける光のスペクトルを測定する。
光量測定器500には、光量測定器200と同じ種類の光量測定器が用いられる。光量測定器500には、例えば公知のフォトディテクタが使用される。光量測定器500は、受光部501を備え、受光部501を上面として、チャ2を覆う被覆資材400の外側に設置される。
〈判定部19〉
判定部19は、光量測定器500によって測定された露天下スペクトルから、晴天か否か(つまり、晴天として十分な光量があるか否か)、日中か夜間か(つまり、日中として十分な光量があるか否か)を判定する。
そして、判定部19は、上記露天下スペクトルから、晴天(晴天かつ日中)と判定したとき(つまり、露天下スペクトルが晴天時露天下スペクトルであると判定したとき)、該露天下スペクトルを晴天時露天下スペクトルとして第2記憶部12に記憶する。
また、判定部19は、上記露天下スペクトルから曇天(曇天かつ日中)と判定したとき(つまり、露天下スペクトルが曇天時露天下スペクトルであると判定したとき)、補光制御信号生成部14に対して、補光処理(補光制御信号生成処理)の開始を指示する信号を出力する。なお、本実施形態でも、曇天とは、前述したように晴天でない場合を示し、雨天を含むものとする。
また、判定部19は、上記露天下スペクトルから夜間と判定したとき(つまり、露天下スペクトルが夜間スペクトルであると判定したとき)、電源制御部16に対して、LED供給電流の停止を指示する信号を出力する。
具体的には、判定部19は、光量測定器500から取得した露天下スペクトルが、予め設定された2つの閾値(第1閾値>第2閾値)によって、晴天時露天下スペクトル、曇天時露天下スペクトル、夜間スペクトルの何れであるかを判定する。この判定処理の流れについては、後述する。
上述したように、判定部19における判定結果は、補光制御信号生成部14にも出力され、該補光制御信号生成部14における補光制御信号生成処理の開始のトリガにもなる。なお、この場合の判定結果は、上記露天下スペクトルが曇天時露天下スペクトルと判定されたときの信号である。
〈タイマ部20〉
タイマ部20は、実施形態1で説明した給電器100内のタイマ部15と同様の働きをする。すなわち、タイマ部20から判定部19に出力されるタイマ信号は、判定部19における判定処理開始のトリガ信号として用いられる。
〈補光処理〉
次に、本実施形態にかかる補光システム1における補光処理の流れについて、図4および図7を参照して以下に説明する。図7は、本実施形態にかかる補光システム1における補光処理の流れを示すフローチャートである。
本実施形態にかかる補光システム1における、ステップS15で示す補光処理は、実施形態1において図4のフローチャートで説明した処理とほぼ同じであるが、補光処理を行う前に、給電器100内の判定部19(第2判定部)が行う、露天下スペクトルから、晴天か否か、日中か夜間かを判定する処理が追加されている。
ここで、上記判定処理に用いる2つの閾値(第1閾値、第2閾値)は、それぞれ1000μmol・m−2・s−1、10μmol・m−2・s−1とする。
まず、判定部19は、光量測定器500から露天データとして露天下スペクトルを取得する(ステップS11)。ここで、判定部19は、タイマ部20によって、所定時間(例えば1時間ごと)記露天スペクトルを取得するものとする。
次に、取得した露天スペクトルから、該露天スペクトルのPPFDが1000μmol・m−2・s−1以上であるか否かを判定する(ステップS12)。ここで、PPFDが1000μmol・m−2・s−1以上である場合(つまり、YESの場合)、取得したPPFDが晴天時露天下スペクトルであると判定し、上記露天下スペクトルを、晴天時露天下スペクトルとして第2記憶部12に記憶する(ステップ13)。このとき、以前のデータ(つまり、晴天時露天下スペクトルのデータ)がある場合には更新する。
このため、本実施形態1では、第2記憶部12にも、第1記憶部11および第3記憶部13同様、書き換え可能な記憶媒体が用いられる。
一方ステップS12において、PPFDが1000μmol・m−2・s−1以上でない場合(つまり、NOの場合)、取得したPPFDが晴天時露天下スペクトルでないと判定し、さらに、上記PPFDが10μmol・m−2・s−1以上であるか否かを判定する(ステップS14)。ここで、上記PPFDが10μmol・m−2・s−1以上である場合、曇天時かつ日中と判定し、ステップS15に移行して、補光処理を行う。
なお、ステップS15における補光処理は、実施形態1で説明した補光処理、すなわち、図4に示すステップS1〜S7あるいはステップS1〜S8の処理と同じである。
そして、ステップS15における補光処理が終了すれば、再びステップS11に移行する。すなわち、本実施形態では、図4に示すステップS6あるいはステップS8が終了すれば、再びステップS11に移行する。
また、ステップS14において、PPFDが10μmol・m−2・s−1以上でない場合、夜間であると判断し、LED302の電流OFF処理を行う(ステップS16)。ここで、判定部19は、電源制御部16に対して、LED302の電流をOFFさせるための指示を意味する信号を判定結果として出力する。
そして、この判定結果を受けた電源制御部16は、電源部17に対して、補光器300のLED302に供給する電流を停止させるための制御信号を出力する。
そして、ステップS16におけるLEDの電流OFF処理が終了すれば、再びステップS11に移行する。
〈効果〉
本実施形態によれば、上述したように、露天下の光量測定器500を備え、該光量測定器500によって測定された露天下スペクトルのPPFDの値から晴天を判断し、該露天下スペクトルが晴天時露天下スペクトルである場合、第2記憶部12に記憶されている晴天時のスペクトルを自動更新する。
茶農家の圃場は、一般的に面積が大きく、図8に示すように畝の数も多い。しかしながら、上記補光システム1によれば、大規模な圃場でも、自動で目標スペクトルを設定・更新することができ、圃場の立地・気候に応じた補光制御を行うことができる。
このように、本実施形態によれば、目標スペクトルを自動で設定・更新することで、作業者は上記補光システム1(補光装置)を設置するだけでよく、非常に大きな圃場でも対応が可能となる。
また、上記補光システム1は、設置場所の固有の光質条件を測定して作動するため、各圃場の立地や気候に応じた補光制御を行うことができる。
このため、本実施形態によれば、圃場の規模が大きくなりがちな茶農家にとって、圃場の補光を省力で管理することが可能であり、製品品質のばらつきを抑えることができる補光システムを提供することができる。
〔実施形態3〕
本発明のさらに他の実施形態について、図9〜図11に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施形態1、2で説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
〈補光システム1の概略構成〉
図9および図10は、本実施形態にかかる補光システム1の要部の概略構成を示す模式図である。また、図11は、本実施形態にかかる補光システム1による補光処理の様子を示す模式図である。
本実施形態にかかる補光システム1は、図9および図10に示すように、給電器100、光量測定器200・500、補光器300、被覆資材400に加え、給電器100と通信する入出力手段としての入出力端末700を備えている。
光量測定器200・500、補光器300、および被覆資材400については、実施形態1、2で説明した通りである。以下では、実施形態2にかかる補光システム1との相違点について説明する。
〈給電器100〉
本実施形態において、給電器100の構成は、実施形態2とほぼ同じである。このため、詳細な説明並びにブロック図については省略する。
本実施形態にかかる補光システム1の給電器100が実施形態2と異なる点は、上記入出力端末700と相互に通信するための通信部(図示せず)を備えていることである。
この通信部からは、光量測定器200・500によって測定された測定値、補光電流の増加割合を示す設定値を入出力端末700に出力し、この通信部には、スペクトル判定のための閾値、タイマ部20の設定時間等の、補光処理に必要なパラメータが入出力端末700から入力される。
また、上記給電器100の制御部に拡張性を持たせ、補光制御信号生成部14および電源制御部16に加えて、温度制御部および湿度制御部等の制御部を設け、上記給電器100に各種センサを接続することで、温度や湿度等、チャの栽培環境のデータを取り扱ってもよい。
〈入出力端末700〉
入出力端末700は、表示部701並びに図示しない通信部を備えている。これにより、入出力端末700は、上述したスペクトル判定のための閾値、タイマ部20の設定時間等の補光処理に必要なパラメータの入力や、光量測定器200・500によって測定された測定値(各種スペクトルデータ)、目標スペクトルデータ、補光電流の増加割合を示す設定値等の出力(表示)、さらには、給電器100に上述した温度制御部や湿度制御を設ける場合、温度や湿度等のチャの栽培環境に関わる設定値の出力(表示)が可能であり、これらの情報を給電器100とやりとりすることが可能となっている。
〈通信形態〉
なお、上記給電器100の通信部と入出力端末700の通信部との間の通信形態としては、有線であってもよいし、無線であってもよい。また、通信方式についても特に限定しない。
なお、上記補光システム1が、図9に示すように広大な面積の圃場に用いられる場合、あるいは、複数の補光システム1(補光装置)を、1つの入出力端末700で一斉管理したい場合、あるいは、こまめな調節(上記パラメータの入力や設定値等の出力)を必要とする場合には、無線方式を採用することが好ましい。
〈効果〉
茶農家の圃場は、一般的に面積が大きく、図11に示すように畝の数も多い。このため、給電器100の制御部に外部から情報を入力する場合には、一括管理できることが有用である。本実施形態によれば、上述したように入出力端末700と給電器100とを通信可能とすることで、広大な面積の圃場であっても、情報の一括管理が可能となる。
また、広い圃場を抱える茶農家は、圃場内での環境のばらつきや、それに起因する生育速度や品質の差を把握し、適切な管理を行うことに大きな労力を費やしている。
本実施形態によれば、圃場内のスペクトル条件の違いや、各種環境データを収集することで、これらの管理を容易にすることができる。
また、前述したように生育に影響を与えるR光やFR光を制御すれば、生育速度をある程度コントロールすることも可能となる。
また、図11に示すように、圃場内の各地点での気候や環境の違いによる被覆下スペクトルの変化に合わせて、図11に点線で示すように各補光成分の補光量を変更することで、生育速度や品質のばらつきを抑制することができる。
この結果、上記補光システム1を使用する茶農家にとって、圃場の管理を省力かつ容易にし、天候条件の影響を抑え、均一な製品品質を得ることが可能となる。
〈変形例〉
なお、本実施形態では、給電器100が、実施形態2とほぼ同じ構成を有している場合を例に挙げて説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、上記給電器100は、実施形態1とほぼ同じ構成を有していてもよい。
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態について、図12ないし図14の(a)〜(c)に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、実施形態1〜3で説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
〈補光システム1の概略構成〉
図12は、本実施形態にかかる補光システム1の要部の概略構成を示す模式図である。
本実施形態では、補光システム1が、実施形態1とほぼ同じ構成を有している場合を例に挙げて説明する。
本実施形態にかかる補光システム1が実施形態1と異なる点は、光量測定器200が、光のスペクトルを測定するのではなく、特定の波長領域の光を透過させる図示しないフィルタを透過した光の光量(特定の波長成分)を測定する点である。
〈光量測定器200〉
本実施形態で用いられる光量測定器200の受光部211は、特定の波長領域の光のみを透過させるフィルタを備えている。
光量の測定に用いられるフォトディテクタは高価であり、幅広いスペクトルを測定する装置は複雑かつ高価になり易い。
このため、光量測定器200として、受光部211に、特定の波長領域の光を透過させるフィルタを備え、該フィルタを透過した光の光量を測定する光量測定器を用いることで、光のスペクトルを測定するよりも、光量測定器の構成(測定方法)を簡略化することができる。
なお、本実施形態でも、光量測定器200は、図12に一部拡大して示すように、受光部211を上面として、被覆資材400で覆われたチャ2の樹冠面3に設置される。
受光部211に用いられるフィルタは、測定したい波長域に合わせて選択、重層される。
図13の(a)・(b)は、一例として、本実施形態にかかる光量測定器200でFR光の光量を測定する方法を説明するグラフであり、図13の(a)は、フィルタリング前の波長成分を示し、図13の(b)は、フィルタリング後の波長成分を示す。
FR光のみを透過させるように使用するフィルタを選択することで、図13の(b)に示すように、FR光の波長成分のみが測定される。
また、図14の(a)は、PPFD測定用のフィルタを通過させたときの波長成分を示すグラフであり、図14の(b)は、FR光測定用のフォルタを通過させたときの波長成分を示すグラフであり、図14の(c)は、R光測定用のフォルタを通過させたときの波長成分を示すグラフである。なお、図14の(a)〜(c)において、点線は、フィルタでカットされた波長を示す。
図14の(c)に示すように、本実施形態によれば、PPFD測定用の光量測定器200と、測定する波長によって、FR光測定用の光量測定器200および/またはR光測定用の光量測定器200の、2種または3種の光量測定器200を用いることもできる。これにより、高価なフォトディテクタの数を減らすことができる。
なお、勿論、上記補光システム1は、B光(400nm〜500nm)、G光(緑色光、500nm〜600nm)、R光(600nm〜700nm)、FR光(700nm〜800nm)をそれぞれ透過させる光量測定器200をそれぞれ用いてもよく、B光(400nm〜500nm)およびG光(緑色光、500nm〜600nm)を透過させる光量測定器200と、R光(600nm〜700nm)を透過させる光量測定器200と、FR光(700nm〜800nm)を透過させる光量測定器200との3種の光量測定器200を用いてもよい。
本実施形態によれば、このように光量測定器200を複数個配置することで、スペクトルを測定する場合と同様の補光効果を得ることができる一方、光量測定器200の構造を簡略化することができ、安価な光量測定器200を組立てることができる。
〈変形例〉
なお、本実施形態では、補光システム1が、実施形態1とほぼ同じ構成を有している場合を例に挙げて説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、実施形態2あるいは実施形態3とほぼ同じ構成を有していてもよい。
〔実施形態1〜4の変形例〕
実施形態1〜4では、チャの被覆栽培を行う場合を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明の適用は、チャの被覆栽培にのみ限定されるものではなく、被覆栽培において天候の影響に左右される各種植物の栽培に、広く適用することができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1にかかる補光システム1は、被覆部材(被覆資材400)で被覆された植物(チャ2)に、上記被覆部材(被覆資材400)による被覆下で、晴天時以外の日中に、晴天時の日中に対して光量が不足している波長領域における予め設定された所定の波長領域の光を照射する補光システムであって、上記被覆部材(被覆資材400)で被覆された植物(チャ2)に、上記所定の波長領域の光を照射する補光手段(補光器300)と、上記被覆部材(被覆資材400)を介して上記植物(チャ2)に照射される光の波長成分を測定する第1の波長成分測定手段(光量測定器200)と、晴天時の日中の光の波長成分から目標波長成分として設定された、上記被覆部材(被覆資材400)による被覆下での上記所定の波長領域の光の光量と、上記第1の波長成分測定手段(光量測定器200)によって測定された波長成分における上記所定の波長領域の光の光量とを比較した比較結果に応じて、上記補光手段(補光器300)から照射される光の光量を制御する光量制御手段(給電器100)とを備えている。
上記の構成によれば、晴天時の日中の光の波長成分から目標波長成分として設定された、上記被覆部材(被覆資材400)による被覆下での上記所定の波長領域の光の光量と、上記第1の波長成分測定手段(光量測定器200)によって測定された波長成分における、上記所定の波長領域の光の光量とを比較した比較結果に応じて、上記補光手段(補光器300)から照射される光の光量を、上記光量制御手段(給電器100)により制御することで、晴天時以外の日中に光量が不足する波長領域の光の光量を補うことができる。
これにより、晴天時以外の日中の波長成分を晴天時の日中の波長成分に近づけることができ、天候による栽培条件の振れ幅を小さくし、収穫物である植物(チャ2の加工品である茶)の品質のばらつきを抑えることができる。
また、被覆下かつ晴天時以外の日中をターゲットとして補光を行うため、全体の光量が少なく、補光量も少なく抑えることができる。
本発明の態様1にかかる補光システム1は、上記態様1において、上記光量制御手段(給電器100)は、上記第1の波長成分測定手段(光量測定器200)によって測定された光の波長成分の光合成有効光量子密度(PPFD)をSとし、露天下での晴天時の日中の波長成分(晴天時露天下波長成分)の光合成有効光量子密度(PPFD)をFとしたとき、上記露天下での晴天時の日中の光の波長成分に、S/Fを乗じて得られる波長成分を目標波長成分として設定する目標波長成分設定部(目標スペクトル設定部21)と、上記目標波長成分設定部(目標スペクトル設定部21)によって設定された目標波長成分と、上記第1の波長成分測定手段(光量測定器200)によって測定された波長成分とにおける、上記所定の波長領域の光の光量とを比較する光量比較部(判定部22)と、上記光量比較部(判定部22)による比較結果に応じて、上記補光手段(補光器300)から照射される光の光量を調整する光量調整部(電源制御部16)と、を備えていてもよい。
目標波長成分の設計に際し、晴天時かつ露天下の光量と、曇天時かつ被覆下の光量との間には非常に大きな差がある。このため、晴天時かつ露天下における光の波長成分と、曇天時かつ被覆下の光の波長成分とを比較するためには、光量のスケールを揃える必要がある。
そこで、上述したように、上記目標波長成分設定部(目標スペクトル設定部21)において、上記第1の波長成分測定手段(光量測定器200)によって測定された光の波長成分の光合成有効光量子密度(PPFD)をSとし、露天下での晴天時の日中の波長成分(晴天時露天下波長成分)の光合成有効光量子密度(PPFD)をFとしたとき、上記露天下での晴天時の日中の光の波長成分に、S/Fを乗じることで、晴天時かつ露天下における日中の光の光合成有効光量子密度(PPFD)と被覆下の日中の光の光合成有効光量子密度(PPFD)とのスケールを揃えることができ、晴天時かつ露天下における日中の光の波長成分を基に、目標波長成分として、補光する光の波長領域およびその強度を設定することができる。
したがって、上記光量比較部(判定部22)により、上記目標波長成分設定部(目標スペクトル設定部21)によって設定された目標波長成分と、上記第1の波長成分測定手段(光量測定器200)によって測定された波長成分とにおける、上記所定の波長領域の光の光量とを比較し、その比較結果に応じて、上記量調整部(電源制御部16)により、上記補光手段(補光器300)から照射される光の光量を調整することで、上記補光手段(補光器300)から照射される光の光量を、上記光量制御手段(給電器100)により制御することができる。
本発明の態様3にかかる補光システム1は、上記態様2において、上記光量調整部(電源制御部16)は、上記光量比較部(判定部22)による比較結果から、上記第1の波長成分測定手段(光量測定器200)によって測定された波長成分における上記所定の波長領域の光のうち、上記目標波長成分における上記所定の波長領域の光の光量よりも光量が少ない波長領域の光の光量を増加させるものであってもよい。
上記の構成によれば、上記第1の波長成分測定手段(光量測定器200)によって測定された波長成分における上記所定の波長領域の光のうち、上記目標波長成分における上記所定の波長領域の光の光量よりも光量が少ない波長領域の光の光量を増加させ、曇天時にも、晴天時と実質的に同じ光のスペクトルを得ることができる。
本発明の態様4にかかる補光システム1は、上記態様3において、上記光量調整部(電源制御部16)は、上記光量比較部(判定部22)による比較結果から、上記第1の波長成分測定手段(光量測定器200)によって測定された波長成分における上記所定の波長領域の光が、上記目標波長成分における上記所定の波長領域の光の光量よりも多いとき、上記補光手段(補光器300)に供給する電流を停止させるものであってもよい。
つまり、上記光量調整部(電源制御部16)は、上記光量比較部(判定部22)による比較結果から、上記第1の波長成分測定手段(光量測定器200)によって測定された波長成分における上記所定の波長領域の光が、上記目標波長成分における上記所定の波長領域の光の光量よりも少ないとき、上記目標波長成分における上記所定の波長領域の光の光量よりも光量が少ない波長領域の光の光量を増加させ、上記第1の波長成分測定手段(光量測定器200)によって測定された波長成分における上記所定の波長領域の光が、上記目標波長成分における上記所定の波長領域の光の光量よりも多いとき、上記補光手段(補光器300)に供給する電流を停止させるものであってもよい。
上記の構成によれば、天候が回復するなどして、上記第1の波長成分測定手段(光量測定器200)によって測定された波長成分における上記所定の波長領域の光が、上記目標波長成分における上記所定の波長領域の光の光量よりも多くなった場合、自動的に、上記補光手段(補光器300)に供給する電流を停止させることができる。このため、上記態様3の効果に加え、上記光量比較部(判定部22)による比較結果から、上記目標波長成分における上記所定の波長領域の光の光量よりも多くなった場合、自動的に晴天時とみなして、上記補光手段(補光器300)に供給する電流を停止させることができるので、晴天時か否かを別途判断しなかったとしても、被覆下かつ晴天時以外の日中をターゲットとして補光を行うことができ、補光量を少なく抑えることができるという効果を得ることができる。
本発明の態様5にかかる補光システム1は、上記態様1〜5の何れかにおいて、露天下での晴天時の日中の光の波長成分を測定する第2の波長成分測定手段(光量測定器500)を備えるとともに、上記光量制御手段(給電器100)は、第1閾値および第1閾値よりも小さい第2閾値によって、上記第2の波長成分測定手段(光量測定器500)によって測定された波長成分が、晴天時における日中の光の波長成分であるか、晴天時以外の日中の光の波長成分であるか、夜間の光の波長成分であるかを判定する判定部(判定部19)とを備え、上記第2の波長成分測定手段(光量測定器500)によって測定された波長成分が晴天時における日中の光の波長成分であると判定した場合、該波長成分に基づいて上記目標波長成分を更新し、上記第2の波長成分測定手段によって測定された波長成分が晴天時以外における日中の光の波長成分であると判定した場合、上記比較結果に応じて、上記補光手段(補光器300)から照射される光の光量を制御し、上記第2の波長成分測定手段(光量測定器500)によって測定された波長成分が夜間の光の波長成分であると判定した場合、上記補光手段(補光器300)に供給する電流を停止させるものであってもよい。
上記の構成によれば、上記第2の波長成分測定手段(光量測定器500)によって測定された波長成分から、晴天であるか否かのみならず、夜間であるか否かも自動的に判断することができる。このため、補光時間の設定等を行わなくても、自動的に、被覆下かつ晴天時以外の日中をターゲットとして補光を行うことができる。
また、上記の構成によれば、上記判定部(判定部19)によって、上記第2の波長成分測定手段(光量測定器500)によって測定された波長成分が晴天時における日中の光の波長成分であると判定された場合、該波長成分に基づいて上記目標波長成分を自動的に更新することができるので、大規模な圃場でも、上記補光システム1を設置するだけで、自動的に、圃場の立地・気候に応じた補光制御を行うことができる。
本発明の態様6にかかる補光システム1は、上記態様1〜5の何れかにおいて、上記波長成分測定手段(光量測定器200・500)は、特定の波長領域の光を透過させるフィルタを備え、該フィルタを透過した光の光量を測定するものであってもよい。
光量の測定に用いられるフォトディテクタは高価であり、幅広いスペクトルを測定する装置は複雑かつ高価になり易い。
このため、上記波長成分測定手段(光量測定器200・500)として、特定の波長領域の光を透過させるフィルタを備え、該フィルタを透過した光の光量を測定する波長成分測定手段(光量測定器200・500)を用いることで、上記波長成分として光のスペクトルを測定する場合と比較して、上記波長成分測定手段(光量測定器200・500)の構成(測定方法)を簡略化することができる。
このため、上記の構成によれば、スペクトルを測定する場合と同様の補光効果を、安価な波長成分測定手段(光量測定器200・500)により実現することができる。
本発明の態様7にかかる補光システム1は、上記態様1〜6の何れかにおいて、上記光量制御手段(給電器100)と通信を行う入出力端末700をさらに備えていてもよい。
上記の構成によれば、上記補光システム1が上記入出力端末700を備えていることで、上記光量制御手段(給電器100)と上記入出力端末700との間で情報のやりとりが可能であり、例えば茶農家の圃場のように広大な面積の圃場であっても、情報の一括管理が可能となるとともに、情報の管理を容易に行うことができる。
本発明は、チャ等の被覆栽培される植物に、被覆資材による被覆下で光を照射する補光システムに利用することができる。
1 補光システム
2 チャ(植物)
3 樹冠面
11 第1記憶部
12 第2記憶部
13 第3記憶部
14 補光制御信号生成部
15 タイマ部
16 電源制御部(光量調整部)
17 電源部
18 第4記憶部
19 判定部
20 タイマ部
21 目標スペクトル設定部
22 判定部(光量比較部)
100 給電器(光量制御手段)
200 光量測定器(第1の波長成分測定手段)
201 受光部
211 受光部
300 補光器(補光手段)
301 配線
302 LED
400 被覆資材(被覆部材)
500 光量測定器(第2の波長成分測定手段)
501 受光部
600 電源
700 入出力端末

Claims (5)

  1. 被覆部材で被覆された植物に、上記被覆部材による被覆下で、晴天時以外の日中に、晴天時の日中に対して光量が不足している波長領域における予め設定された所定の波長領域の光を照射する補光システムであって、
    上記被覆部材で被覆された植物に、上記所定の波長領域の光を照射する補光手段と、
    上記被覆部材を介して上記植物に照射される光の波長成分を測定する第1の波長成分測定手段と、
    晴天時の日中の光の波長成分から目標波長成分として設定された、上記被覆部材による被覆下での上記所定の波長領域の光の光量と、上記第1の波長成分測定手段によって測定された波長成分における上記所定の波長領域の光の光量とを比較した比較結果に応じて、上記補光手段から照射される光の光量を制御する光量制御手段とを備えていることを特徴とする補光システム。
  2. 上記光量制御手段は、
    上記第1の波長成分測定手段によって測定された光の波長成分の光合成有効光量子密度をSとし、露天下での晴天時の日中の波長成分の光合成有効光量子密度をFとしたとき、上記露天下での晴天時の日中の光の波長成分に、S/Fを乗じて得られる波長成分を目標波長成分として設定する目標波長成分設定部と、
    上記目標波長成分設定部によって設定された目標波長成分と、上記第1の波長成分測定手段によって測定された波長成分とにおける、上記所定の波長領域の光の光量とを比較する光量比較部と、
    上記光量比較部による比較結果に応じて、上記補光手段から照射される光の光量を調整する光量調整部と、を備えている請求項1に記載の補光システム。
  3. 上記光量調整部は、上記光量比較部による比較結果から、
    上記第1の波長成分測定手段によって測定された波長成分における上記所定の波長領域の光が、上記目標波長成分における上記所定の波長領域の光の光量よりも少ないとき、上記目標波長成分における上記所定の波長領域の光の光量よりも光量が少ない波長領域の光の光量を増加させ、
    上記第1の波長成分測定手段によって測定された波長成分における上記所定の波長領域の光が、上記目標波長成分における上記所定の波長領域の光の光量よりも多いとき、上記補光手段に供給する電流を停止させることを特徴とする請求項2に記載の補光システム。
  4. 露天下での晴天時の日中の光の波長成分を測定する第2の波長成分測定手段を備えるとともに、
    上記光量制御手段は、
    第1閾値および第1閾値よりも小さい第2閾値によって、上記第2の波長成分測定手段によって測定された波長成分が、晴天時における日中の光の波長成分であるか、晴天時以外の日中の光の波長成分であるか、夜間の光の波長成分であるかを判定する判定部とを備え、
    上記第2の波長成分測定手段によって測定された波長成分が晴天時における日中の光の波長成分であると判定した場合、該波長成分に基づいて上記目標波長成分を更新し、
    上記第2の波長成分測定手段によって測定された波長成分が晴天時以外における日中の光の波長成分であると判定した場合、上記比較結果に応じて、上記補光手段から照射される光の光量を制御し、
    上記第2の波長成分測定手段によって測定された波長成分が夜間の光の波長成分であると判定した場合、上記補光手段に供給する電流を停止させることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の補光システム。
  5. 上記波長成分測定手段は、特定の波長領域の光を透過させるフィルタを備え、該フィルタを透過した光の光量を測定することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の補光システム。
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