JP2014167914A - 導電性ペースト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム及び/又はアルミニウムを含む合金からなる複数の粒子4と、酸化物5からなる粉末とが、溶剤に溶けたバインダ樹脂中に分散している導電性ペーストであって、前記酸化物5は、ガラス相5aを有し、かつ、価数が4価以下のバナジウムを含み、前記粉末は、前記粒子の100重量部に対して、0.1〜10重量部の割合で含まれている導電性ペースト。前記粒子は、粒径が0.5μm以上1.5μm未満の範囲内に約95%の体積分率を有する粒子群と、粒径が1.5μm以上8μm未満の範囲内に約95%の体積分率を有する粒子群とから構成されている導電性ペースト。前記価数が4価以下のバナジウムは、原子の個数割合で60%以上含まれており、前記酸化物は、銅(Cu)又はホウ素(B)の内の少なくとも1つを含む導電性ペースト。
【選択図】図2
Description
前記酸化物は、ガラス相を有し、かつ、価数が4価以下のバナジウムを含み、
前記粉末は、前記粒子の100重量部に対して、0.1〜10重量部の割合で含まれていることを特徴としている。
[導電性ペーストのガラス組成物(酸化物の粉末)の組成に関する検討]
第1の実施形態では、導電性ペーストのガラス組成物(酸化物の粉末)の組成に関して検討した。
表1の実施例1〜30と比較例1〜5に示すガラス系の組成を有するガラス組成物(酸化物の粉末)を作製した。実施例1〜30と比較例1〜3と比較例5のガラス系の組成には、RoHS指令の禁止物質である鉛(Pb)を含ませていない。比較例4にのみ、主成分として鉛を含ませている。
実施例2では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、アンチモン(Sb)を加えている。
実施例3では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、アンチモンとタングステン(W)を加えている。
実施例4では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、アンチモンとカリウム(K)を加えている。
実施例5では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、アンチモンとバリウムを加えている。
実施例6では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、アンチモン、バリウム、亜鉛とタングステンを加えている。
実施例7では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、アンチモン、マンガン(Mn)、ナトリウム(Na)、カリウム、バリウムとテルル(Te)を加えている。
実施例8では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、マンガン、ナトリウム、カリウム、バリウム、亜鉛とタングステンを加えている。
実施例9では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、マンガン、バリウム、亜鉛とタングステンを加えている。
実施例10では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、鉄(Fe)とリチウム(Li)を加えている。
実施例11では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、鉄を加えている。
実施例12では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、鉄、バリウム、亜鉛とタングステンを加えている。
実施例13では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、鉄とバリウムを加えている。
実施例14では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、鉄、タングステンとバリウムを加えている。
実施例15では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、鉄、亜鉛とバリウムを加えている。
実施例16では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、ビスマス(Bi)、バリウム、亜鉛とタングステンを加えている。
実施例17では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、リチウムを加えている。
実施例18では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、リチウムとバリウムを加えている。
実施例19では、バナジウムとリンとバリウムの主成分に対して、添加物として、亜鉛を加えている。
実施例20では、バナジウムとリンとバリウムの主成分に対して、添加物として、亜鉛とタングステンを加えている。
実施例21では、バナジウムとリンとバリウムの主成分に対して、添加物として、テルルを加えている。
実施例22では、バナジウムとリンとバリウムの主成分に対して、添加物として、テルルと銅(Cu)を加えている。
実施例23では、バナジウムとリンとバリウムの主成分に対して、添加物として、亜鉛、タングステンとホウ素(B)を加えている。
実施例24では、バナジウムとリンとバリウムの主成分に対して、添加物として、タングステン、モリブデン(Mo)とカリウムを加えている。
実施例25では、バナジウムとリンとバリウムの主成分に対して、添加物として、タングステンと銅を加えている。
実施例26では、バナジウムとリンとバリウムの主成分に対して、添加物として、亜鉛、銅とホウ素を加えている。
実施例27では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、鉄、バリウム、タングステンと銅を加えている。
実施例28では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、鉄、リチウム、バリウムとタングステンを加えている。
実施例29では、バナジウムとリンとバリウムの主成分に対して、添加物として、テルル、カリウムとタングステンを加えている。
実施例30では、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、アンチモン、バリウム、テルル、カリウムとタングステンを加えている。
比較例1では、リンの主成分に対して、添加物として、カリウム、バリウム、亜鉛、タングステンとホウ素を加えている。
比較例2では、リンの主成分に対して、添加物として、カリウム、バリウム、亜鉛、モリブデンとホウ素を加えている。
比較例3では、リンの主成分に対して、添加物として、鉄、カリウム、バリウム、亜鉛、タングステンとホウ素を加えている。
比較例4では、鉛の主成分に対して、添加物として、ホウ素、シリコン(Si)、チタン(Ti)、亜鉛とアルミニウム(Al)を加えている。なお、比較例4では、市販の鉛系ガラスを用いた。
比較例5では、ビスマスの主成分に対して、添加物として、ホウ素、シリコン、バリウムと亜鉛を加えている。なお、比較例5では、市販のビスマス系ガラスを用いた。
実施例1〜30と比較例1〜5のそれぞれで作製したガラス組成物の特性温度の測定を行った。特性温度の測定では、示差熱分析(DTA)装置(真空理工株式会社製、型式:DT−1500)を用いた。標準試料としてα-アルミナ(Al2O3)を用い、標準試料と供試材(実施例1〜30と比較例1〜5毎のガラス組成物の粉末)の質量を、それぞれ1gとした。測定では、大気雰囲気中で標準試料と供試材を昇温し、昇温速度を5℃/minとした。
導電性ペーストに含有させる金属粒子として、平均粒径(D50)1μmの粒子群Aと、平均粒径(D50)5μmの粒子群Bとの2種類のアルミニウム粒子を用意した。まず、アルミニウムを溶融し、水アトマイズ法にて球状のアルミニウム粒子を形成した。このアルミニウム粒子から、粒径0.5μm未満の粒子を篩いによって除去し、粒径1.5μm以上の粒子を篩いによって除去して残った粒子群を粒子群Aとした。粒子群Aは、平均粒径(D50)が1μmであり、粒径が0.5μm以上1.5μm未満の範囲内に約95%以上の体積分率を有していた。先の篩いによって除去された粒径1.5μm以上の粒子から、粒径8μm以上の粒子を篩いによって除去して残った粒子群を粒子群Bとした。粒子群Bは、平均粒径(D50)が5μmであり、粒径が1.5μm以上8μm未満の範囲内に約95%以上の体積分率を有していた。
太陽電池セル等の電子部品に用いられる多結晶シリコン基板上に、実施例1〜30と比較例1〜5毎の導電性ペーストを、スクリーン印刷法にてそれぞれ塗布した。塗布後、大気中において温度150℃で数分間加熱し乾燥させた。その後、電気炉にて、大気中で850℃の焼成温度で2秒間の熱処理を施して、電極配線を焼成し完成させた。焼成された電極配線の膜厚はどれも、約40μmであった。
実施例1〜30と比較例1〜5毎に、完成した電極配線の比抵抗を四探針法で測定した。比抵抗測定では、電極配線の電気抵抗と膜厚を測定し、この電気抵抗と膜厚に基づいて比抵抗を算出した。実施例1〜30の電極配線の比抵抗は、比較例4(鉛系のガラス組成物を使用)と、比較例5(ビスマス系のガラス組成物を使用)の電極配線の比抵抗に比べ、同程度かそれより小さい値であった。
実施例1〜30と比較例1〜5毎に、完成した電極配線の基板に対する接着(密着性)の強さを、ピール試験にて評価した。ピール試験では、市販のセロハンテープを、電極配線に貼り付けた後に引き剥がした。そして、剥がした後に電極配線を観察し評価した。評価基準としては、アルミニウム粒子のほとんど全てが剥がれ電極配線が断線状態となったものを「×」とし、アルミニウム粒子の一部が薄く剥がれたが断線状態にならなかったものを「○」とし、アルミニウム粒子が全く剥がれなかったものを「◎」とする基準を用いた。表1に示すように、ピール試験の結果は、実施例1〜15と実施例17〜20と実施例27〜30と比較例4で「◎」であり、実施例16と実施例21〜24と比較例5で「○」であり、実施例25と実施例26と比較例1〜3で「×」であった。
表1において、転移点と密着性試験(ピール試験)とを比較すると、転移点が400℃以下の場合に、「◎」となり、転移点が400℃を超え概ね500℃以下の場合に、「○」となり、転移点が概ね500℃を超えた場合に、「×」となった。転移点が下がる程、焼成時(焼成温度)におけるガラス組成物の軟化流動特性が向上し、ガラス組成物はアルミニウム粒子の表面を容易に覆えるようになる。ガラス組成物によってアルミニウム粒子の表面が覆われると、必然的に、隣接するアルミニウム粒子間にガラス組成物が配置されるので、ガラス組成物が接着剤となり、隣接するアルミニウム粒子を強固に接着させることができる。また、ガラス組成物によってアルミニウム粒子の表面が覆われると、基板と基板に隣接するアルミニウム粒子の間にも、必然的に、ガラス組成物が配置されることになるので、ガラス組成物が接着剤となり、基板に隣接するアルミニウム粒子を、基板に強固に接着させることができる。このため、転移点が低い程、密着性試験(ピール試験)で高い密着性が得られたと考えられる。
実施例1〜30と比較例1〜5毎の電極配線に対し、耐水性試験として、温度85℃、湿度85%の条件の環境下に、1000時間、放置するという加速試験を行った。評価基準としては、試験後に電極配線が黒色化したものは「×」とし、電極配線の色の変化がわずかにあるものは「○」とし、色がほとんど変わらないものを「◎」とする基準を用いた。表1に示すように、耐水性試験の結果は、実施例1〜5と実施例8〜11と実施例13と実施例17〜20と実施例27〜30で「◎」であった。実施例6と実施例7と実施例12と実施例14〜16と実施例21〜26で「○」であった。比較例1〜5で「×」であった。実施例1〜30の方が、比較例1〜5よりも耐水性に優れていることがわかった。
また、比較例4と比較例5で作製した電極配線2について、X線回折(XRD)の分析を行った。分析の結果から、変色した電極配線2からは水酸化アルミニウム(Al(OH)3)の生成が確認できた。これが電極変色の原因と推察される。一方で、実施例1〜30の電極配線2では、水酸化アルミニウムが生成しておらず、替わりに、化合物層7が生成していることがわかった。その化合物層7はいずれも4価以下のバナジウムを含む化合物により形成されていた。
[導電性ペースト中のガラス組成物(酸化物の粉末)とアルミニウム粒子の重量比に関する検討]
第2の実施形態では、導電性ペーストのガラス組成物(酸化物の粉末)5(図2参照)とアルミニウム粒子4(図2参照)の重量比に関して検討した。
ガラス組成物(酸化物の粉末)5としては、表1の実施例10と同じガラス系の組成を有するガラス組成物(酸化物の粉末)5を作製し使用した。実施例10のガラス組成物(酸化物の粉末)5には、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、鉄とリチウムが加えられている。
導電性ペーストに含有させる金属粒子としては、第1の実施形態と同様に、平均粒径(D50)1μmの粒子群A(4A、図2参照)と平均粒径(D50)5μmの粒子群B(4B、図2参照)との2種類のアルミニウム粒子4(4A、4B)を用意し、粒子群A(4A)と粒子群B(4B)の混合比率が1:1になるように、粒子群Aと粒子群Bのアルミニウム粒子4(4A、4B)を配合して使用した。
作製例A2では、アルミニウム量を99.9重量%とし、ガラス量を0.1重量%とした。
作製例A3では、アルミニウム量を99.5重量%とし、ガラス量を0.5重量%とした。
作製例A4では、アルミニウム量を99重量%とし、ガラス量を1重量%とした。
作製例A5では、アルミニウム量を97重量%とし、ガラス量を3重量%とした。
作製例A6では、アルミニウム量を95重量%とし、ガラス量を5重量%とした。
作製例A7では、アルミニウム量を90重量%とし、ガラス量を10重量%とした。
作製例A8では、アルミニウム量を85重量%とし、ガラス量を15重量%とした。
作製例A9では、アルミニウム量を80重量%とし、ガラス量を20重量%とした。
第1の実施形態と同様に、太陽電池セル等の電子部品1(図2参照)に用いられる多結晶シリコン基板3(図2参照)上に、作製例A1〜A9毎の導電性ペーストを、スクリーン印刷法にてそれぞれ塗布した。塗布後、大気中において温度150℃で数分間加熱し乾燥させた。その後、電気炉にて、大気中で850℃の焼成温度で2秒間の熱処理を施して、電極配線2(図2参照)を焼成し完成させた。焼成された電極配線2の膜厚はどれも、約40μmであった。
作製例A1〜A9毎に、完成した電極配線2の比抵抗を四探針法で測定した。比抵抗測定では、電極配線2の電気抵抗と膜厚を測定し、この電気抵抗と膜厚に基づいて比抵抗を算出した。
作製例A1〜A9毎に、完成した電極配線2の基板3に対する接着(密着性)の強さを、ピール試験にて評価した。ピール試験は、第1の実施形態と同様な方法と同様の評価基準で行った。表3に示すように、ピール試験の結果は、作製例A5〜A9で「◎(剥がれなし)」であり、作製例A2〜A4で「○(薄剥がれあり)」であり、作製例A1で「×(剥がれる)」であった。
作製例A1〜A9毎の電極配線2に対し、耐水性試験として、第1の実施形態と同様に、温度85℃、湿度85%の条件の環境下に、1000時間、放置するという加速試験を行った。評価基準も、第1の実施形態と同様とした。表3に示すように、耐水性試験の結果は、作製例A1〜A9で「○(変色わずか)」であった。
[導電性ペースト中のアルミニウム粒子のアルミニウム合金に関する検討]
第3の実施形態では、導電性ペーストのアルミニウム粒子4の材料とするアルミニウム合金に関して検討した。第3の実施形態では、各種アルミニウム合金で、アルミニウム粒子4を作製し、さらに、導電性ペーストを作製し、それらそれぞれの導電性ペーストを使って電極配線2を作製し、耐水性試験を行っている。
まず、所望の組成となるように、アルミニウム金属(純アルミニウム)と、添加金属の重量を計量した。計量したアルミニウム金属と添加金属を均一に溶解し、これを水アトマイズ法のようなノズル噴霧によってアルミニウム(合金)粒子4を形成した。このアルミニウム(合金)粒子4を乾燥させ、このアルミニウム(合金)粒子4から、篩いを用いて、平均粒径(D50)が、1.5μm〜5μmの範囲に入るように分級したアルミニウム(合金)粒子4を取得した。
作製例B2で、銅が90重量%含有しているアルミニウム合金(Al−90重量%Cu)のアルミニウム(合金)粒子4を作製した。
作製例B3で、銅が66重量%含有しているアルミニウム合金(Al−66重量%Cu)のアルミニウム(合金)粒子4を作製した。
作製例B4で、銅が32.5重量%含有しているアルミニウム合金(Al−32.5重量%Cu)のアルミニウム(合金)粒子4を作製した。
作製例B5で、銅が10重量%含有しているアルミニウム合金(Al−10重量%Cu)のアルミニウム(合金)粒子4を作製した。
作製例B6で、銅が3重量%含有しているアルミニウム合金(Al−3重量%Cu)のアルミニウム(合金)粒子4を作製した。
作製例B7で、マグネシウムが3重量%含有しているアルミニウム合金(Al−3重量%Mg)のアルミニウム(合金)粒子4を作製した。
作製例B8で、カルシウムが3重量%含有しているアルミニウム合金(Al−3重量%Ca)のアルミニウム(合金)粒子4を作製した。
作製例B9で、シリコンが7重量%含有しているアルミニウム合金(Al−7重量%Si)のアルミニウム(合金)粒子4を作製した。
作製例B10で、銀が10重量%含有しているアルミニウム合金(Al−10重量%Ag)のアルミニウム(合金)粒子4を作製した。
ガラス組成物(酸化物の粉末)5としては、表1の実施例10と同じガラス系の組成を有するガラス組成物(酸化物の粉末)5を作製し使用した。実施例10のガラス組成物(酸化物の粉末)5には、バナジウムとリンの主成分に対して、添加物として、鉄とリチウムが加えられている。
作製例B1〜B10毎に、表3の作製例A5と同様に、作製したアルミニウム(合金)粒子4の97重量部に対して、3重量部のガラス組成物(酸化物)5の粉末を混合し、さらに、この混合物にバインダ樹脂と溶剤とを添加・混合し、混錬した。バインダ樹脂は溶剤に溶け、溶剤に溶けたバインダ樹脂中に、アルミニウム(合金)粒子4とガラス組成物(酸化物)5の粉末とが分散し、導電性ペーストが完成した。なお、バインダ樹脂にはエチルセルロースを用い、溶剤にはブチルカルビトールアセテートを用いた。
第1の実施形態と同様に、太陽電池セル等の電子部品1に用いられる多結晶シリコン基板3上に、作製例B1〜B10毎の導電性ペーストを、スクリーン印刷法にてそれぞれ塗布した。塗布後、大気中において温度150℃で数分間加熱し乾燥させた。その後、電気炉にて、大気中で850℃の焼成温度で2秒間の熱処理を施して、電極配線2を焼成し完成させた。焼成された電極配線2の膜厚はどれも、約40μmであった。
作製例B1〜B10毎の電極配線2に対し、耐水性試験として、第1の実施形態と同様に、温度85℃、湿度85%の条件の環境下に、1000時間、放置するという加速試験を行った。評価基準も、第1の実施形態と同様とした。耐水性試験の結果は、作製例B1〜B10のすべてで「○(変色わずか)」であった。これより、アルミニウム粒子4に、アルミニウム合金を使用した場合にも、第1の実施形態で説明した化合物層7が形成され、耐水性が向上したと考えられた。耐水性の向上に関しては、アルミニウム粒子4は純アルミニウムに限定されるものではなく、アルミニウムを含む、いわゆるアルミニウム合金粒子4であれば耐水性が向上することがわかった。
[高耐水性の電極配線の太陽電池セルへの適用に関する検討]
図4Aに、本発明の第4の実施形態に係る太陽電池セル(電子部品)30(1)の平面図を示し、図4Bに、その底面図を示し、図4Cに、図4AのA−A′方向の矢視断面図を示している。第4の実施形態では、本願発明を適用可能な電子部品1として、太陽電池セル30を例に挙げ説明する。
第4の実施形態では、裏面電極35(2)用の導電性ペーストとして、表3の作製例A5で使用した導電性ペーストと同じものを作製し使用した。
半導体基板31(3)として、p型のシリコン基板を用意した。次に、半導体基板31(3)、図示は省略したが、光入射効率を向上させるため1%苛性ソーダ(水酸化ナトリウム:NaOH)と10%イソプロピルアルコール(CH3CH(OH)CH3)の混合液を用い、半導体基板31(3)の受光面側をエッチングしてテクスチャを形成した。
前記で作製した本発明と比較のための太陽電池セルに対し、裏面電極35(2)について、密着性試験(ピール試験)と耐水性試験を行い、また、太陽電池セルの変換効率を計測した。密着性試験(ピール試験)と耐水性試験では、第1の実施形態と同様な方法と同様の評価基準で行った。密着性試験(ピール試験)は、どちらも良好な結果「◎」を示した。また、耐水性試験では、本発明の太陽電池セルは「○」の評価となり、比較ための太陽電池セルは「×」の評価となった。比較ための太陽電池セルの裏面電極35(2)には、低融点ガラスである鉛系のガラス組成物とを含む導電性ペーストが使用されているため、焼成時に、ガラス組成物中の鉛成分がアルミニウム粒子によって還元され、アルミニウム粒子の粒間などに鉛の金属粒子として析出し、ガラス組成物の転移点が高温化し、結果的に、ガラス組成物によってアルミニウム粒子の表面を被覆し難くなり、裏面電極35(2)の耐水性が低下していた。本願の太陽電池セルの裏面電極35(2)では、化合物層7によってアルミニウム粒子の表面を被覆するので、裏面電極35(2)の耐水性を向上できる。
[高耐水性の電極配線のプラズマディスプレイパネルへの適用に関する検討]
図5に、本発明の第5の実施形態に係るプラズマディスプレイパネル(PDP:電子部品)11(1)の断面図の一部を示す。第5の実施形態では、本願発明を適用可能な電子部品1として、プラズマディスプレイパネル11を例に挙げ説明する。プラズマディスプレイパネル11(1)の表示電極20とアドレス電極21に、本願発明の電子部品1の電極配線2を適用いている。プラズマディスプレイパネル11(1)は、前面板12(3)と背面板13(3)とが100〜150μmの間隙をもって対向させて配置され、前面板12(3)と背面板13(3)の間隙は隔壁14で維持されている。前面板12(3)と背面板13(3)との周縁部は封着材料15で気密に封止され、前面板12(3)と背面板13(3)の間隙のパネル内部には希ガスが充填されている。
まず、アルミニウムを溶融し、水アトマイズ法にて球状のアルミニウム粒子を形成した。このアルミニウム粒子を、有機溶媒中でボールミルで処理し、フレーク状(板状)のアルミニウム粒子を形成した。さらに、このフレーク状のアルミニウム粒子の熱的安定性を向上させるために、還元雰囲気中で温度700℃のアニール処理を行った。この板状の粒子から、粒径8μm以上の粒子を篩いによって除去し、かつ、粒径1.5μm未満の粒子も篩いによって除去した。残った粒子は、つまり、篩いによって大きな粒子と小さな粒子を除去した後のアルミニウム粒子は、粒径が1.5μm以上8μm未満の範囲内に約95%以上の体積分率を有し、平均粒径(D50)が5μmであった。
次に、プラズマディスプレイパネルを作製した。まず、導電性ペーストを、スクリーン印刷法によって、前面板12(3)と背面板13(3)の全面に塗布し、大気中150℃で乾燥させた。フォトリソグラフィ法とエッチング法によって導電性ペーストの塗布膜の余分な箇所を除去して、表示電極20(2)とアドレス電極21(2)のパターニングを行った。その後、大気中、焼成温度600℃、焼成時間30分間で焼成して、表示電極20(2)とアドレス電極21(2)を完成させた。この焼成では、焼成雰囲気は酸性雰囲気になるのであるが、この焼成によって、表示電極20(2)とアドレス電極21(2)とは、特にアルミニウムの金属粒子が化学反応して変色等することはなかった。
(外観検査)
表示電極20(2)とアドレス電極21(2)の周りの外観検査を行った。表示電極20(2)と前面板12(3)との界面部や、表示電極20(2)と誘電体層23との界面部には、空隙の発生や変色は認められなかった。また、アドレス電極21(2)と背面板13(3)の界面部や、アドレス電極21(2)と誘電体層24の界面部には、空隙の発生や変色は認められなかった。外観上良好な状態でプラズマディスプレイパネル11(1)を作製することができた。
続いて、作製したプラズマディスプレイパネル11(1)の点灯実験を行った。プラズマディスプレイパネル11(1)のセル16を点灯(発光)させるために、点灯させたいセル16の表示電極20(2)とアドレス電極21(2)との間に電圧を印加してセル16内にアドレス放電を行い、希ガスをプラズマ状態に励起してセル16内に壁電荷を蓄積させた。次に、表示電極20(2)の対に一定の電圧を印加することで、壁電荷が蓄積されたセル16のみに表示放電が起こり紫外線22を発生させた。そして、この紫外線22を利用して蛍光体17〜19を発光させ、画像(情報)を表示させた。
図6に、本発明の第6の実施形態に係るセラミック多層配線基板(電子部品)41(1)の断面図を示す。第6の実施形態では、本発明に係る電子部品1(図2参照)を多層配線基板へ適用した例について説明する。図6では、多層配線基板の1例として、低温焼成セラミック(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics)の5層からなる多層配線基板41(1)を示している。多層配線基板41(1)のスルーホール電極43(2)と配線44(2)に、本願発明の電子部品1の電極配線2を用いている。セラミック基板42(3)それぞれの上面と下面に配線44(2)が形成されている。図6では、配線44(2)は、6層形成されている。各層の配線44(2)は、スルーホール電極43(2)で接続されている。スルーホール電極43(2)は、セラミック基板42(3)を貫通している。多層配線基板41(1)では、配線44(2)とスルーホール電極43(2)が三次元的に形成されている。セラミック基板42(3)が、第1の実施形態の基板3に相当し、スルーホール電極43(2)と配線44(2)が、第1の実施形態の電極配線2に相当する。
第6の実施形態では、スルーホール電極43(2)と配線44(2)用の導電性ペーストとして、表3の作製例A5で使用した導電性ペーストと同じものを作製し使用した。
まず、ガラス粉末とセラミックス粉末とバインダとが混練された複数枚のグリーンシートを用意した。グリーンシートは、後記する焼成によって各層のセラミック基板42(3)となる。次に、グリーンシートの所望の位置に貫通孔を開ける。貫通孔の開いたグリーンシートに対し、作製例A5で使用したものと同じ導電性ペーストを、所望の配線パターンに印刷法で塗布する。このとき、貫通孔にも導電性ペーストが充填される。配線パターンに塗布された導電性ペーストが、後記する焼成によってスルーホール電極43(2)と配線44(2)になる。必要に応じて、例えば、図6に示す最下層のグリーンシートの裏面にも導電性ペーストを印刷法にて塗布し配線パターンを形成する。グリーンシートの裏面に塗布する場合には、表面に塗布した導電性ペーストを乾燥させてから行うことになる。
配線44(2)の周りの外観検査を行った。配線44(2)とセラミック基板42(3)との界面部には、空隙の発生や変色は認められなかった。外観上良好な状態で多層配線基板41(1)を作製することができた。配線44(2)とスルーホール電極43(2)の比抵抗を測定したところ、表1の実施例2と同様の設計通りの値が得られた。次に、作製した多層配線基板41(1)の断面観察を行った。その結果、作製した多層配線基板41(1)は十分緻密に焼成されていた。そのため、比抵抗も良好な設計通りの値となったと思われる。これは、グリーンシートで、700℃までの昇温過程において、略完全に脱バインダが完了していたためと考えられた。また、グリーンシートのガラス粉末が、スルーホール電極43(2)と配線44(2)と化学反応することはなく、互いの界面近傍で空隙も発生していないことが確認された。以上のことから、本発明の電極配線2(図2参照)は、多層配線基板41(1)の配線44(2)とスルーホール電極43(2)として適用できることが確認された。配線44(2)とスルーホール電極43(2)として、高価な銀厚膜の電極配線を使用する必要が無いので、コスト低減にも大きく貢献できる。
2 電極配線
3 基板
4 粒子
4A 粒子群A(第1粒子群)
4B 粒子群B(第2粒子群)
5 酸化物
5a ガラス相
5b 結晶相(微結晶)
6 ネッキング結合部
7 化合物層
Claims (4)
- アルミニウム及び/又はアルミニウムを含む合金からなる複数の粒子と、酸化物からなる粉末とが、溶剤に溶けたバインダ樹脂中に分散している導電性ペーストであって、
前記酸化物は、ガラス相を有し、かつ、価数が4価以下のバナジウムを含み、
前記粉末は、前記粒子の100重量部に対して、0.1〜10重量部の割合で含まれている
ことを特徴とする導電性ペースト。 - 前記粒子は、粒径が0.5μm以上1.5μm未満の範囲内に約95%の体積分率を有する粒子群と、粒径が1.5μm以上8μm未満の範囲内に約95%の体積分率を有する粒子群とから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の導電性ペースト。
- 前記価数が4価以下のバナジウムは、原子の個数割合で60%以上含まれていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導電性ペースト。
- 前記酸化物は、銅(Cu)又はホウ素(B)の内の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の導電性ペースト。
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