JP2014167844A - 転写方法およびこれを用いた有機機能素子の製造方法 - Google Patents

転写方法およびこれを用いた有機機能素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大がかりな構造を必要とせずに転写を行う方法を提供すること。
【解決手段】減圧雰囲気下で、転写材料を含む転写領域を備えた第二基板を、前記転写領域を第一基板側に向けた状態で第一基板と重ね合わせる工程と、前記第二基板と第一基板の間の減圧雰囲気を保ったまま、前記第二基板と第一基板を重ね合わせた状態で大気中に取り出す工程と、大気中で前記第二基板に備えられた前記転写材料を前記第一基板に転写する工程とを含む転写方法であって、前記第一基板または第二基板の少なくとも一方において、前記転写領域の周囲を連続して取り囲む封止壁が形成されていることを特徴とする転写方法。
【選択図】 図5

Description

本発明は、転写方法に関する。特に、有機機能素子の製造に用いられる転写方法に関する。
現在、有機EL素子や有機TFT素子に代表される有機機能素子に含まれる有機層の作製方法は、真空蒸着などのドライプロセスによる成膜が一般的であり、画素のパターニングにはシャドーマスクなどが用いられている。しかしこのような手法は、材料の利用効率が低いことや、大面積デバイスの作製が困難であることなどの問題があった。
一方、低コスト・大面積化が可能なフォトリソ法、インクジェット法や印刷法などのウェットプロセスも検討されている。しかし有機薄膜の多層構造からなる有機機能素子では、上層を塗布した際に下地層が膜質変化する懸念があり、また膜厚均一性などを制御することが難しいことから、ディスプレイとしての性能が低下するという課題がある。
そこで、材料をまず第二基板上に形成してから第一基板に転写する方法が開発されている。このとき、第二基板と第一基板の間の転写が行われる空間(転写空間)は真空である必要があることから、真空雰囲気下で両基板を重ね合わせ、転写空間を真空に保った状態で大気中に取り出し転写を行う方法や(例えば、特許文献1〜3参照)、不活性ガス雰囲気中で両基板を重ね合わせた後に転写空間を減圧して転写を行う方法(例えば、特許文献4参照)が開示されている。
国際公開第2009/154156号 特許第4797889号公報 特開2008−288074号公報 特開2011−23119号公報
真空中で重ね合わせた2枚の基板を大気中に取り出す際に転写空間を真空に保つのは難しい。特許文献1にはドナー基板の区画パターンとデバイス基板の絶縁層を利用して真空を保つことが記載されているが、区画パターンや絶縁層の高さが不均一である場合は真空を保てない箇所が発生するおそれがある。
特許文献2〜3には治具基体と蓋体とで重ね合わせた基板を挟持した状態で大気中に搬出することで真空を保つことが記載されているが、基板以外に筐体を別途必要とするため筐体の真空導入に対して別途装置を必要とし、プロセス負荷が大きくなることが考えられる。また、筐体の平坦性など要求精度も高いものが必要なため、コスト増につながる。
また特許文献4のように基板の重ね合わせの後で転写空間を減圧する方法では基板間を高速で真空引きを行うために基板自体に穴加工を必要とし基板が割れやすくなるなどの構造上の問題と、加工処理費によるコスト増となり、問題になる。
かかる状況に鑑み、本発明は、大がかりな構造を必要とせずに転写を行う方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
減圧雰囲気下で、転写材料を含む転写領域を備えた第二基板を、前記転写領域を第一基板側に向けた状態で第一基板と重ね合わせる工程と、
前記第二基板と第一基板の間の減圧雰囲気を保ったまま、前記第二基板と第一基板を重ね合わせた状態で大気中に取り出す工程と、
大気中で前記第二基板に備えられた前記転写材料を前記第一基板に転写する工程と
を含む転写方法であって、
前記第一基板または第二基板の少なくとも一方において、前記転写領域の周囲を連続して取り囲む封止壁が形成されている
ことを特徴とする転写方法である。
本発明によれば、大がかりな構造を必要とせずに転写を行えるため、装置の簡略化を図り、コストを抑制することができる。また、本発明の転写方法を利用することにより、簡易に性能低下のない有機機能素子を作成することができる。
有機EL素子の一例を示す断面図。 本発明を適用できる転写方法の一例を示す断面図。 本発明の転写方法を利用する場合のプロセスフローの一例。 本発明における第二基板の一例を示す断面図。 本発明における第二基板の一例を示す平面図。 本発明における第一基板と第二基板の重ね合わせ工程の一例を説明する断面図。 本発明における第一基板と第二基板の重ね合わせ工程の一例を説明する断面図。 本発明における第一基板と第二基板の重ね合わせ工程の一例を説明する断面図。 第一基板と第二基板の分離方法の一例を示す工程断面図。 本発明を適用できる転写方法の一例を示す断面図。 本発明を適用できる転写方法の一例を示す断面図。 本発明における第一基板と第二基板の重ね合わせ工程の一例を説明する図。 本発明の転写方法を利用して作製された有機EL素子の一例を示す図。 本発明の転写方法を利用して作製された有機EL素子の一例を示す図。
本発明において有機機能素子とは有機物を機能層に含む素子であって電気エネルギーが利用されるもの、もしくは電気エネルギーを発生するものである。具体的には有機ELデバイス、有機トランジスタ、有機太陽電池、有機レーザー、センサー、圧電デバイス、熱電デバイスなどが例示される。
なお、本明細書中で有機機能素子の例として使用する多くの図は、カラーディスプレイにおける多数の画素を構成するRGB副画素の最小単位を抜き出して説明している。また、理解を助けるために、横方向(基板面内方向)に比較して縦方向(基板垂直方向)の倍率を拡大している。この有機機能素子は、第一基板の支持体と、前記支持体上の第一電極および第二電極と、前記第一電極および第二電極の間に存在し少なくともパターニングされた層を有する有機層と、前記パターニングされた層を隣り合う領域ごとに隔てる絶縁層とを備えている。前記パターニングされた層の少なくとも一部は転写法によって形成されたものである。そのような有機機能素子の一例として図1の断面図に示すような有機EL素子があげられる。
図1に示した有機EL素子の作製例としては、TFT12および平坦化層13が設けられた支持体11上の第一電極15まではフォトリソグラフィー法を、絶縁層14は感光性ポリイミド前駆体材料を利用した公知技術によりパターニングし、その後、正孔輸送層16を真空蒸着法を利用した公知技術によって全面形成したものを第一基板10とする。この正孔輸送層16を下地層として、その上に、図2に示すような支持体31上に光熱変換層33および区画パターン34が形成され、区画パターンの間の領域に転写材料37R、37G、37Bが備えられた第二基板30を、前記絶縁層14と前記区画パターン34が対向するように重ね合わせ、転写法により発光層17R、17G、17Bをパターニングする。このとき、重ね合わせは減圧雰囲気下で行い、第二基板と第一基板の間の減圧雰囲気を保ったまま、前記第二基板と第一基板を重ね合わせた状態で大気中に取り出し、第二基板に備えられた転写材料37R、37G、37Bを第一基板に転写する。その上に、電子輸送層18、第二電極19を真空蒸着法などを利用した公知技術によって全面形成すれば、有機EL素子を完成することができる。
発光層は単層でも複数層でもよく、各層の発光材料は単一材料でも複数材料の混合物であってもよい。発光効率、色純度、耐久性の観点から、発光層はホスト材料とドーパント材料との混合物の単層構造であることが好ましい。従って、発光層を成膜する転写材料はホスト材料とドーパント材料との混合物であることが好ましい。
ここで用いられる発光材料としては、一般的に有機EL素子に用いられる材料を使うことができ、正孔輸送層、電子輸送層またその他の層についても一般的に用いられている材料を利用できる。
なお、図1に示す態様は本発明の有機機能素子の例示であるため、後述のように有機層の構成等は上記に限定されない。
次に図2において、第一基板と第二基板をアライメント後に重ね合わせて転写を行う方法を示す。このパターニング方法は、まず、第二基板30の区画パターン34と、第一基板10の絶縁層14との位置を合わせた状態で、両基板を対向するように配置する。次いで第二基板30の支持体31側からレーザーを入射して光熱変換層33に吸収させ、そこで発生する熱により転写材料37R、37G、37Bを同時に加熱・蒸発させ、それらを第一基板10の正孔輸送層16上に堆積させることで、発光層17R、17G、17Bを一括して転写、形成するものである。基板内の転写材料37R、37G、37Bに挟まれる区画パターン34の全域と、転写材料37R、37Bの外側に位置する区画パターン34の一部の領域が転写材料37と同時に加熱されるようにレーザーを照射することが、図2の態様における特徴である。
なお、図2に記載された第一基板および第二基板は本発明の一実施態様であり、必要に応じて他の構造を付加したり減じたりできる。例えば区画パターン34の上にバリア層が設けられていてもよい。これは区画パターンからの不純物の溶出防止等のために用いることができる。
これらの有機機能素子において、大型の基板を用いて大面積加工を行うことで部材の利用効率が上がり生産性が大きく向上する。また、ディスプレイのように画面自体が大面積化する製品については特にその加工プロセスの大面積化による生産性改善効果が大きい。このため大面積の基板に対して、レーザー等の光照射を行って、発光材料が形成された基板から部分的に転写することで発光材料をパターニングし、転写層を有機機能素子上に形成する装置が開発されている。
このうち本発明の転写方法を利用する場合には基本的には図3のようなプロセスフローで基板作製を行う。従来真空プロセスにより大気中から投入され、種種の処理や製膜を施された第一基板は減圧雰囲気中でアライメントマークを確認しながら、別途投入された第二基板の区画パターンと第一基板の絶縁層の位置を合わせて両基板を対向させ、素子の周囲に配置された封止壁を第二基板保持具と第一基板保持具により、変形させることで素子を減圧雰囲気下で密閉する。その状態でチャンバーのリークを行い基板を常圧雰囲気にすることで、先ほどの密閉された空間は減圧雰囲気のまま保持される。このときの密閉空間に接する基板は気圧により加圧されるため更に密着するので、素子周囲の粘性体や弾性体は更に大きく変形させることができ、密閉効果を高めることができる。このため、基板間の密閉空間の真空度を転写に必要な真空度に保つことができる。この後に、第二基板の支持体側から光線を照射し、第二基板の光熱変換層を加熱して、光熱変換層上の発光材料37を対向する第一基板のパターン開口部に転写する。転写後は真空中に基板を導入し、基板の分離を行い、第一基板は従来のプロセスに投入する。
本発明での特徴となることは、基板間を減圧雰囲気に保ちながら常圧雰囲気中に取出すために、第一基板又は第二基板の転写領域、すなわち素子に相当する領域の周囲に封止壁が連続的に形成されていることである。この封止壁は第一基板または第二基板の少なくとも一方の基板に形成されていればよい。減圧雰囲気中で基板同士が重ねあわされた際にこの封止壁を変形させて素子の周囲の基板間を埋め込むことで、常圧雰囲気からの封止壁内部への気体の漏洩を防ぐことができる。したがって封止壁は圧力により変形する粘性体又は弾性体であることが好ましい。例えば第二基板に封止壁を設ける場合には第二基板30は、図4のように必須な最小要件として支持体31、封止壁32、光熱変換層33、区画パターン34により構成することができる。
以下、本発明で用いられる封止壁について詳しく述べる。
封止壁32は第一基板と第二基板を減圧雰囲気下で密着させ、常圧雰囲気に取出しても、基板間を減圧雰囲気に保つためのものである。少なくとも第一基板と第二基板のいずれかまたは両方に封止壁を設けられる。封止壁の形状は特に限定されないが、基板同士を重ね合わせたときに確実に密閉できる構造であることが必要である。そのためには重ね合わせたときの封止壁への加圧により、封止壁が十分変形して基板のたわみや厚みを吸収して密閉させるためには、封止壁が変形しやすいように断面形状で突起状の先端をもち台形や三角形であることが望ましい。これは先端部が加圧により変形しやすいため、基板などのゆがみがあっても吸収できるからである。また、基板を密閉するためには真空中での重ね合わせ時に基板同士を密閉している必要があり、そのために、高さも均一であることが望ましい。高さの均一性は、基板の密閉前後の変形量より十分小さいことによりその高さバラツキを解消することができ、常圧雰囲気下でも良い密閉性を得ることができる。
封止壁の基板内の配置に関しては、転写されるエリアが密閉でき常圧雰囲気に取出した後光を照射して転写を行うことができる連続的な配置であれば特に限定されない。ここで連続的ということは、転写を行うために真空密閉する必要のある領域を囲う際に、途切れ目がなくその領域を覆っていることをさしている。例えば、基板内の配置の一例を図5に示す。この図において基板は第一基板10又は第二基板30の封止壁32が設けられている面からみた図である。図5(a)は基板の全周を封止壁で囲んだ場合であり、図5(b)は各素子の周囲を囲んだ場合である。
図5(a)の場合、基板の周囲に封止壁を設けて基板全体を密閉する。この場合、基板内の密閉領域に単一の素子を形成しても、複数の素子が形成されていても良い。この方法では基板内部の領域に封止壁がないため、その領域では常圧雰囲気への取出し時に封止壁周辺の基板間ギャップが生じず、良好な転写を行うことができる。また、基板周囲のため光を照射しないので、封止壁が光照射による加熱で劣化や揮発分の放出がないため、素子性能を高くすることができる。できるだけ基板の周囲に封止壁が形成されることが、転写の有効領域を広げるためには望ましいが、極端に端部に形成すると、基板の把持に干渉したり、異物の噛みこみにより、密閉漏れしてしまう可能性がある。また粘性体を封止壁に用いた場合は、基板外に流動して漏れ出すため装置の汚染源にもなるため端部から5mmは空けることが望ましい。
図5(b)の場合は素子ごとに封止壁を設けた場合であり、それぞれの素子の転写領域を囲うように封止壁が配置されている。この封止壁は素子の転写領域に近すぎると封止壁の厚みによってその近傍では基板間ギャップが生じているため、封止壁と素子領域は一定量離れていることが望ましい。その距離は封止壁高さや幅、形状などとのバランスにより変わるが、5mm以上離れていることが望ましい。基板の再利用を行う場合は、封止壁を粘性体ではなく弾性体で形成する方が洗浄性を向上するために望ましい。有機機能素子が最終的に形成される第一基板に封止壁を形成する場合は素子の周囲に封止壁が形成される。素子の有効エリアに近い部分に高さの高い封止壁が存在すると基板間にギャップが生じて転写時に本来転写されるべき場所以外に転写材料が拡散してしまうので、好ましくない。よって、基板の封止壁の高さが絶縁層と区画パターンの合計より大きいことが外気の漏洩をなくすために必要であり、ある程度封止壁が変形して基板同士が密着することが重要である。しかしかえって高すぎると封止壁の変形量に対して基板間の距離が大きくなり封止壁の周囲で基板間ギャップが発生し、転写材料の拡散が生じ混色等の不良となる。これを具体的な数値に示すと、前記封止壁の高さが第一基板の絶縁層及び第二基板の区画パターンの高さの合計より50μm以上大きく、かつ1000μm以下であることが好ましい。
また、一方、封止壁の高さを大きくするために、基板に段差のある掘り込みを入れて、その掘り込みに封止壁を形成することもできる。
封止壁は基板同士を真空中で押さえた時に変形して、基板同士の隙間を埋められればよく、粘性体を用いる方法と弾性体を用いる方法がある。
粘性体を用いる場合はその粘性として稠度(JIS K 2235 (1991))が30以上の粘性体であることが望ましい。これは、粘度がある程度低いことにより、基板同士を重ね合わせた際に封止壁が流動して、基板同士の隙間を埋めることができるからである。一方、稠度が低すぎる場合は封止壁そのものを形成する際に流動して形を保てなかったり、基板同士を常圧に取出した後に外気の圧力に押されて封止壁が流動して、壁が非連続となり基板間の密閉破壊の原因となる。このため稠度は250以下が望ましい。また、一般的に粘度の低い材料はガスの透過性が大きいため、壁が連続的に素子部を取り囲んで気密状態にしていても、封止壁の内部をガスが透過して密閉空間内にガスが混入してしまい、素子の性能が低下してしまうなどの問題があった。このため、粘性体の封止壁に望ましい稠度は30から250の間が望ましい。
粘性体の材質としては、ガスの透過率の低いものが望ましく、例えばオイルや液状ゴムとフィラーのコンパウンドなどが考えられる。オイルとしてはシリコーンや液状ゴムなどを用いることができる。フィラーとしてはガラス粉、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ジルコン、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、雲母、種種の金属粉などの無機フィラーやフッ素樹脂、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリルブタジエンスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂を用いることもできる。フィラーの粒径は大きすぎると基板間距離が開いてしまうため、好ましくは10μm以下がよい。添加量は、粘性体に十分な流動性と気密性が保たれればよく、適宜選ぶことができる。
粘性体を用いる場合、基板を重ね合わせる前に事前に塗布しておく必要があり、基板をリサイクルして使用する場合は粘性体をきれいに一度除去してから、再度周囲に塗布して利用することが望ましい。粘性体はリサイクル時に粘性体の除去が難しいので次に述べる弾性体により、リサイクル性の高い第二基板を用いることもできる。
封止壁に弾性体を用いる場合も同様に基板同士を押さえた時に封止壁が変形して基板同士の隙間を埋めて、常圧雰囲気に取出した後も基板間の気密が保たれれば良い。弾性体が硬すぎると基板間の隙間の埋まりこみが悪くリークの原因となる。またやわらかすぎる場合は一般的にガス透過性が高く、凝集破壊し異物を発生させやすいので問題が生じる。このため硬さ(JIS K 6253(2012))は70以下が望ましく、また、第一基板と第二基板とを精密にアライメントを決めて重ね合わせるときに、基板のずれを生じることがあるため、40以上の硬さがあることが望ましい。高さについては粘性体と同じく高すぎても低すぎても問題が発生するため、一定の範囲の高さが必要である。絶縁層と区画パターンの合計より多く、基板重ね合わせや基板ギャップを発生させないためには10〜100μ程度が好ましい。なお、基板に掘り込み部を設けている場合はこの限りでない。弾性体の材料としては特に規定しないが、一般的なものとして、天然ゴム(NR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム(Q)、フッ素ゴム(FKM)、アフラス(AFLAS)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ウレタンゴム(U)、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)などを用いることができる。フィラーを添加することによりガス透過率を低減し、弾性の調整を行うこともできる。フィラーとしては粘性体のときと同じものを用いることができる。
封止壁の形成方法は素子の周辺に均一な高さで形成できれば特に限定されない。一般的にはノズルディスペンサーやスクリーン印刷、スピンコート、スタンプ転写などを用いることができる。また、感光性の材料を用いる場合はフォトリソグラフィー法により高精度な形成も可能である。弾性体は未硬化の状態や、溶融状態の封止壁材料を塗布して、基板上で硬化させることも可能である。硬化方法は特に規定されないが、単純な冷却による硬化や、熱化学反応、紫外線などの光硬化反応などを用いて硬化することができる。
第一基板と第二基板は真空中で密閉されるが、この際、封止壁が十分変形されて基板同士に漏れなく密閉できるまで封止壁近傍の基板同士を加圧することが望ましい。このためには図6のように、封止壁近傍の基板の支持体側を封止壁押さえ機構22により押さえ密着を向上させることが良い。ここで端部を押さえるためには更に変形できる弾性体を介してできるだけ多点、均等に連続的に形成された封止壁を加圧することが望ましい。加圧する際には第一基板と第二基板の全体を押さえつけて、封止壁を変形させながら素子部の重ねあわせを行ってもよいが、封止壁の変形に伴いアライメントずれが発生することがある。このため基板の中央部を押圧し、ついで封止壁周囲を押圧することが好ましい。具体的には、素子部を固定するために素子部抑え機構21により加圧を行い、その後封止壁抑え機構22により周囲の封止壁を変形させて、そのまま常圧に戻すことが好ましい。この方法である場合には基板間を密閉しアライメントずれを発生させず、基板同士を固定できる。第二基板保持具40は第二基板を平面性良く支えられればよい。このため第二基板と同程度の大きさの剛体であることが望ましく、SUSやアルミニウムなどの金属やPEEKやナイロン樹脂などのエンジニアリングプラスチックを用いることができる。
第一基板または第二基板には例えば図7(a)や図7(b)のように封止壁が当接する部分に掘り込みを設けることができる。ここで封止壁が当接する部分とは、基板と封止壁が接する部分であるので、元々封止壁が備えられている側の基板であってもよいし相手方の基板であってもよい。これは、封止壁の変形量が増加することによる基板同士の密閉性を向上や封止壁の形成行程の簡易化などの利点のためである。本発明で行われる転写方式では基板間距離は一般的に100μm以下、多くは30μm以下である。一般的にこの基板間距離に対し極端に高い封止壁を形成すると基板がゆがんでしまい好ましくない。このため一般的にガス透過率の低い傾向のある高弾性材料を封止壁に用いた場合、高く封止壁を形成できないために基板のたわみを解消するだけの十分に変形できない場合がある。このような場合、掘り込みを行って弾性体が十分変形できるだけの高さを確保し、密閉性を向上することができる。掘り込みの方法は特に規定されないが砥石研磨、サンドブラスト、ケミカルエッチング、基板接合などの方法を用いることができる。図7(a)は基板の周囲の厚みを小さくして掘り込んだ場合であり、図7(b)は封止壁のある部分のみを掘り込んだ場合である。これらの場合も第一基板と第二基板が逆になっても構わない。また、これらの例から分かるように、封止壁がまさに接している部分だけでなくその周辺部に彫り込みが設けられていても構わない。
掘り込みを入れる代わりに補強基板に重ねて転写する方法も可能である。その一例を図 8に示す。ここでは補強基板に第一基板を重ね固定し、補強基板23の周囲に第一基板の厚み以上に封止壁を形成する。次に第二基板を真空中でアライメントを第一基板に合わせて重ね合わせてから、封止壁を密着させる。第一基板を第二基板と補強基板ではさんだまま常圧雰囲気に取出して転写を行う。この方法は第一基板に封止壁を接触させる必要がないため、基板の端部までを有効領域とすることができ基板の効率的利用を可能にする。
本発明で第一基板と第二基板を分離して、第一基板を従来の真空工程に投入する場合は、重ねあわされた基板同士をできるだけ真空中で剥離できることが重要である。これは先述のとおり、有機機能素子においては水分等の吸着や汚染により性能が大きく低下するためであり、基板を真空中で加工することが必要である。このため図9のように転写の終了した基板同士を真空中で分離することができる。ここでは、図9(a)のように密閉状態の基板同士に、図9(b)〜図9(c)のように第一基板と第二基板の間に薄い楔状の分離板を挟み込み、基板の密着部を剥離するものである。最終的に図9(d)のように基板同士が剥離したら、爪や静電吸着などの基板保持機構が付属したステージで第一基板を把持して、真空プロセスを行うチャンバーに移送する。封止壁に流動性のない弾性体を用いる場合は問題にならないが、粘性体を用いた場合は第一基板にもその材料が残留して汚染の原因になるので先述の補強基板23を用いる方法も有効な対策となる。
次に本発明で用いられる光照射による転写を利用したその他のパターニング方法の例について述べる。
転写材料は必ずしも複数種類が同時に転写される必要はなく、第二基板を複数枚用意してそれぞれの基板に異なる種類の発光層17を区画パターン内に形成し、その複数枚の第二基板上の発光層を第二基板毎に同一の第一基板に転写して第一基板上に複数種類のパターニングされた転写膜を形成しても良い。例えば一般的なRGBを備えた有機ELディスプレイ用の第一基板を例に挙げると図10のように第二基板の区画パターンを形成していない領域にRGBの単色のみ形成し、転写を行うことで必要な発光材料のみを第一基板に転写できる。現在の真空蒸着技術では数十μmピッチの高精細のパターニング精度で発光層の形成をすることができない。しかしながらこの方法は第二基板の必要な領域のみを転写することにより、区画パターン形成と同程度の高精細度で転写材料のパターニングができるため、特に高精細のパターニング技術において重要な方法である。
図11は有機機能素子の一例である有機TFT60用の第一基板における本発明によるパターニングの一例である。ここで支持体61の上にゲート電極63、それを被覆するようにゲート絶縁層62、転写膜(有機半導体層)67、ソース電極(第一電極)64、ドレイン電極(第二電極)65を持つ。また絶縁層66の上面に凹凸が形成されている。このように第一電極と第二電極が水平方向に配置されていてもかまわない。そして有機層である転写層67は第一電極と第二電極の間だけでなくそれらの上にも乗り上げるように存在するが、本発明の有機機能素子にはこのような形態も含まれる。また、転写材料37は領域によって異なる材料を用いてもかまわない。図2と同様の第二基板30より光照射により転写材料37が第一基板側に転写されて転写層97となる。このようにTFT基板でも転写層67を本発明の方法により、周囲への混入なく目的の場所に高精度に形成できるため、高密度の有機TFT基板を作製することが可能となる。また必要に応じて電極もパターニングによって形成することができる。図示しないが、この場合も図5と同じように封止壁32が設けられる。
このように本発明の実施形態は有機EL素子に限定されず、材料のパターニングが必要となる有機機能素子に用いることができる。
以下に本発明に用いられる各部の構成の詳細について記述する。
(1)第一基板
第一基板10は本発明の記載の装置により、パターニングされた転写層17を形成されて有機機能素子としてのデバイス動作させることを目的とした基板である。有機機能素子の一例として有機EL素子を用いてその第一基板10の構成は図1に示したとおりであり、更に詳細に記述する。第一基板は、一般的な構成として、支持体11に構造物が形成されていても良く、本発明の装置により転写された転写層17を備えている。ITOやIZO、ZTOなどを代表とする透明導電性膜やポリイミド、ポリアミドイミド、アクリル、ウレタン、エポキシなどの平坦化膜や電気制御用のTFT基板が形成されていてもよい。第一基板の支持体は特に限定されず、第一基板10の支持体11は、その上に少なくとも転写膜を形成し、支持することができる真空搬送可能な材料であれば特に限定されない。条件によっては樹脂フィルムを使用することが可能であり、樹脂材料としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリル、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリエポキシ、ポリプロピレン、ポリオレフィン、アラミド樹脂、シリコーン樹脂などを例示できる。これらの有機材料は高解像度で簡便に形成できるため好ましく用いられる。特にポリイミドやポリアミドは高耐熱性を持ち、プロセス途中で加熱される第一基板には望ましい。
化学的・熱的安定性、寸法安定性、機械的強度、透明性の面で、好ましい支持体としてガラス板を挙げることができる。ソーダライムガラス、無アルカリガラス、含鉛ガラス、ホウ珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、低膨張ガラス、石英ガラスなどから条件に応じて選択することができる。本発明の転写プロセスを真空中で実施する場合には、支持体からのガス放出が少ないことが要求されるので、ガラス板は特に好ましい支持体である。
第二基板と第一基板を対向させて重ね合わせて転写材料を転写させる際に、温度変化による熱膨張の違いによりパターニング精度が悪化するのを防ぐためには、第一基板10と第二基板20の支持体の熱膨張率の差は10ppm/℃以下であることが好ましく、またこれらの基板が同一材料からなることが更に好ましい。第二基板の特に好ましい支持体として例示したガラス板は、第一基板の特に好ましい支持体としても例示できる。なお、両者の厚さは同じでも異なっていてもよい。
第一基板10は転写時には支持体のみから構成されていてもよいが、デバイスの構成に必要な構造物をあらかじめ支持体上に形成しておくほうが一般的である。例えば、図1に示した有機EL素子では、絶縁層14や正孔輸送層16までを従来技術によって形成しておき、それを第一基板として使用することができる。
上記絶縁層14のような構造物は必須ではないが、第一基板10と第二基板30とを対向させる際に、第二基板30の区画パターン34が第一基板に形成済みの下地層に接触し、傷つけることを防止する観点から、第一基板10にあらかじめ形成されているのが好ましい。絶縁層14の形成には、第二基板の区画パターンとして例示した材料や成膜方法、パターニング方法を利用することができる。絶縁層14の形状や厚さ、幅、ピッチについても、第二基板30の区画パターン34で例示した形状や数値を例示することができる。
絶縁層14の材質としてパターンが形成できればよく、一般的には感光性材料を用いることが多い。感光性の材料としてはポリイミドやアクリル、エポキシなどの有機材料を用いることができる。特にポリイミドは耐久性や素子性能での実績があり好ましく用いられる。また、感光性材料のバインダーを用いてガラス粉末のパターンを形成し、焼成することで無機材料のパターンを形成することもできる。絶縁層の膜厚は0.2μmから10μmが好ましい。薄すぎると膜の性能や電気的なリークが問題となり、厚すぎると膜から発生する揮発分が多くなり素子性能に影響を与える。
(2)第二基板
第二基板30は支持体31と光熱変換層33の上に転写材料37が形成されており、光熱変換層33に光線53を照射し加熱することにより、転写材料37を第一基板10に昇華転写させることができる。また、表面には転写層を区切る非転写層を形成する区画パターン34やその上を覆うように形成されたバリア層35、さらに塗布液を撥液してパターニング塗布を行うための撥液層やアライメントマークが形成されていても良い。第二基板30は真空チャンバー50内の第二基板保持具40上に第一基板10の加工面と第二基板30の転写層形成面が対向するように置かれる。第二基板保持具40と第二基板30の間に弾性体41を配置して、基板同士を押さえたときに均一に加圧できるよう緩衝材としても良い。
第二基板の支持体31は、光の吸収率が小さく、その上に光熱変換層33や区画パターン34、転写材料37を安定に形成できる材料であれば特に限定されない。その支持体は第一基板と同様のものを用いることができる。本発明の転写プロセスを真空中で実施する場合には、支持体からのガス放出が少ないことが要求されるので、ガラス板は特に好ましい支持体である。先述したとおり第二基板は光線の輻射により加熱され、第一基板も伝熱を受ける場合がある。このときそれぞれの基板の線膨張が異なると大面積の基板においてはアライメントのずれが生じたり、基板のそりが発生したりして、転写材料の混色や性能低下を及ぼす。このため両者の線膨張係数を合わせるためには、同種の支持体を用いることが望ましい。また、転写材料を塗布方式により形成する場合は、塗液の濡れ性を向上し膜厚の均一性を改善するために、支持体31が粗化処理されていても良く、光熱変換層34が粗化処理されていても良い。
光熱変換層34は高温に加熱されても、支持体31自体の温度上昇(熱膨張)を許容範囲内に収める必要があるので、支持体の熱容量は光熱変換層のそれより十分大きいことが好ましい。従って、支持体の厚さは光熱変換層の厚さの10倍以上であることが好ましい。このようにすることで、大型化しても熱膨張による寸法変位量が少なく、高精度パターニングが可能になる。
光熱変換層34は、効率よく光を吸収して熱を発生し、発生した熱に対して安定である材料・構成であれば特に限定されない。例として、カーボンブラック、黒鉛、チタンブラック、有機顔料または金属粒子などを樹脂に分散させた薄膜、もしくは金属薄膜などの無機薄膜を利用することができる。本発明では、光熱変換層が500℃程度に加熱されることがあるので、光熱変換層は耐熱性に優れた無機薄膜からなることが好ましく、光吸収や成膜性の面で、金属薄膜からなることが特に好ましい。金属材料としては、タングステン、タンタル、ニオブ、マンガン、モリブデン、チタン、クロム、金、銀、銅、白金、鉄、亜鉛、アルミニウム、コバルト、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、ジルコニウム、シリコン、カーボンなどの単体や合金の薄膜、それらの積層薄膜を使用できる。
光熱変換層の支持体側には必要に応じて反射防止層を形成することができる。さらに、支持体の光入射側の表面にも反射防止層を形成してもよい。これらの反射防止層は反射率の高い金属薄膜や屈折率差を利用した光学干渉薄膜が好適に使用され、アルミニウム、銀、銅、シリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタンなどの単体や合金薄膜、混合薄膜、それらの積層薄膜を使用できる。
光熱変換層やバリア層と転写材料の間に中間層を形成しても良い。これは転写材料が光熱変換層の触媒硬化により分解されたり、昇華時に表層同士の反応を発生させないためである。このため中間層は安定な材料が好ましく、貴金属類や安定な酸化物が望ましい。
光熱変換層は転写材料が存在する部分に形成されていれば、その平面形状は特に限定されない。濡れ性向上のために粗化処理されていてもよく、一方平滑であっても良い。図2において例示したように第二基板全面に形成されていてもよいし、例えば、区画パターンが、支持体との密着性は良好であるが光熱変換層との密着性に乏しい場合には、支持体に直接区画パターンを形成し、区画パターンと支持体の少なくとも一部が接触するようにパターニングされていてもよい。光熱変換層がパターニングされる場合には、区画パターンと同種の形状となる必要はなく、例えば、区画パターンが格子状で、光熱変換層はストライプ状であってもよい。光熱変換層は光吸収率が大きいことから、光熱変換層を利用して転写領域内外の適切な位置に第二基板の位置マークを形成することが好ましい。
光熱変換層や反射防止層・バリア層・中間層の形成方法としては、スピンコートやスリットコート、真空蒸着、EB蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなど、材料に応じて公知技術を利用できる。パターニングする場合には公知のフォトリソグラフィー法やレーザーアブレーションなどを利用できる。
区画パターン34は、光熱変換層で発生した熱に対して安定である材料・構成であれば特に限定されない。無機物では酸化ケイ素や窒化ケイ素をはじめとする酸化物・窒化物、ガラス、セラミックスなどを、有機物ではポリビニル、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリスチレン、アクリル、ノボラック、シリコーンなどの樹脂を例として挙げることができる。プラズマテレビの隔壁に用いられるガラスペースト材料を本発明の区画パターン形成に用いることもできる。区画パターンの熱導電性は特に限定されないが、区画パターンを介して対向する第一基板に熱が拡散するのを防ぐ観点から、有機物のように熱伝導率が小さい方が好ましい。さらに、パターニング特性と耐熱性の面でも優れた材料としては、ポリイミドとポリベンゾオキサゾールを好ましい材料として例示できる。
区画パターンの成膜方法は特に限定されず、無機物を用いる場合には真空蒸着、EB蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、CVD、レーザーアブレーションなどの公知技術を、有機物を用いる場合には、スピンコート、スリットコート、ディップコートなどの公知技術を利用できる。区画パターンのパターニング方法は特に限定されず、例えば公知のフォトリソグラフィー法や塗布方法が利用できる。
区画パターンの形状としては、図4にて既に例示した格子状構造に限定されるのではなく、例えば、第二基板30上に3種類の転写材料37R、37G、37Bが形成されている場合には、区画パターン34の平面形状がy方向に伸びるストライプであってもよい。また更に複雑な形状をしていてもよく、例えば対向する第一基板に未転写部を設ける場合には一部の区画パターン内部を埋めるように隔壁が形成されていてもよい。
区画パターン34の厚さについては特に限定されず、転写材料37は第一基板10の被転写面に直接接しない方が好ましく、また、第二基板30の転写材料37と第一基板10の被転写面との間隙は、1〜100μm、さらに2〜20μmの範囲に保つことが好ましいので、区画パターン34の厚さは転写材料の厚さより厚く、また、1〜100μm、さらに2〜20μmの厚さであることが好ましい。
区画パターン上にはバリア層35を設けることもできる。バリア層35は、区画パターン34から転写材料37を含む溶液への不純物等の溶出を防ぐためのものである。また、転写材料を含む溶液の溶媒が区画パターン34へ侵入し、第二基板30の表面を汚染したり、侵入した溶媒が隣の区画へ混入したりすることを防ぐ役割も果たす。
バリア層35を形成する材料の一例として、金属、金属酸化物、金属窒化物、珪素酸化物、珪素窒化物などが挙げられる。第二基板は繰り返し強酸・強アルカリ・有機溶剤で洗浄され再利用されることが多く、膜の剥離が起きないような耐久性が求められることから、光熱変換層および区画パターンとの密着性が高い材料を選ぶことが好ましい。上記の中でも金属、その一例としてクロム、ニッケル、亜鉛、チタン、バナジウム、タンタル、マンガンなどが密着性の上で好ましい。更に光熱変換層と同種の金属であれば光熱変換層との密着性が向上するのでより好ましい。また、バリア層として金属が好ましい点については他にも以下の理由が挙げられる。金属は密度が高く、被覆性が高いことから、区画パターンからの低分子成分の溶出を大きく抑えることができる。また、塑性変形に対して伸びることができるため、熱応力に対してクラックが発生しにくく、不純物溶出の点で大きな利点がある。バリア層35の作製方法は特に限定されないが、一般的にはスパッタ法、蒸着法、CVD法などが考えられる。厚みも特に限定されないが耐久性の観点から0.05μm以上が好ましい。
また区画パターン34またはバリア層35の表面には、転写材料を溶解させた溶液を撥液させることにより区画パターン内に留めるための撥液処理層が設けられてもよい。
転写層37は蒸着製膜やスパッタ製膜、エレクトロデポジションなどの真空中プロセスで形成されても良く、また常圧下・減圧下・管理されたガス雰囲気下でのスピンコートやインクジェット塗布、ノズル塗布、スプレー塗布等で形成されても良い。
(3)光照射機構
区画パターン内に転写材料を配置する際に、後述の塗布法を利用する場合には、ホスト材料とドーパント材料との混合溶液を塗布、乾燥させて転写材料を形成することができる。ホスト材料とドーパント材料との溶液を別に塗布してもよい。転写材料を形成した段階でホスト材料とドーパント材料とが均一に混合されていなくても、転写時に両者が均一に混合されればよい。また、転写時にホスト材料とドーパント材料との昇華温度の違いを利用して、発光層中のドーパント材料の濃度を膜厚方向に変化させることもできる。
塗布法により形成した薄膜を有機EL素子の機能層として直接利用する従来法の問題の1つは膜厚ムラであった。塗布法によって転写材料を形成した時点では同等の膜厚ムラが発生しうるが、本発明における転写方式では、転写時に転写材料が分子(原子)レベルにほぐれた状態で蒸発した後に、第一基板に堆積するために、転写層の膜厚ムラは軽減される。従って、例えば、塗布時には転写材料が顔料のように分子集合体からなる粒子であり、たとえ転写材料が第二基板上において連続膜ではなくても、それを転写時に分子レベルにほぐして蒸発させ、堆積させることで、第一基板上においては膜厚均一性にすぐれた転写層を得ることができる。
蒸着法によって形成された薄膜は均一であるために、転写後も膜厚均一性の良い膜が得られる。
基板同士の重ね合わせを行う真空チャンバーの真空度は基板同士を重ね合わせたまま大気に取出しても内部の真空度がある程度高くないといけない。これは転写を行う際に、第一基板10から第二基板30への基板間距離内で転写される材料の分子が残留分子との衝突により、材料劣化が発生しないことが重要であり、このためには真空度が高いことが望ましい。一般的な基板間距離の2〜20μmの間を転写材料の分子が移動する場合、基板間に挟まれた転写空間で転写時の分子が残留ガスとの衝突を起こさない平均自由行程から計算される真空度は100Pa以下が良く、更に好ましくは1Pa以下が望ましい。
次に基板の重ね合わせの方法を具体例の一例を挙げて説明する。
第一基板の下地層、例えば正孔輸送層が真空プロセスで形成され、発光層を本発明によってパターニングし、転写層の電子輸送層も真空プロセスで形成する場合は、第二基板と第一基板とを真空中で対向させ、真空中で転写を実行することが好ましい。この場合に、第二基板と第一基板とを真空中で高精度に位置合わせし、対向状態を維持する方法には、例えば、液晶ディスプレイの製造プロセスにおいて使用されている、液晶材料の真空滴下・貼り合わせ工程などの公知技術を利用することができる。また、転写時に第二基板を放熱あるいは冷却することもでき、その方法も水冷・空冷等既存の方法を用いることができる。
本発明においては蒸着モードの転写が好ましいために、1回の転写において単層の転写層をパターニングすることが好ましい。しかしながら、剥離モードやアブレーションモードを利用することで、例えば、第二基板上に電子輸送層/発光層の積層構造を形成しておき、その積層状態を維持した状態で第一基板に転写することで、発光層/電子輸送層の転写層を1回でパターニングすることもできる。
転写雰囲気は大気圧でも減圧下でもよい。例えば、反応性転写の場合には、酸素などの活性ガスの存在下で転写を実施することもできる。本発明では転写材料の転写ダメージの低減が課題の1つであるので、窒素ガスなどの不活性ガス中、あるいは真空下であることが好ましい。圧力を適度に制御することで、転写時に膜厚ムラの均一化を促進することが可能である。転写材料へのダメージ低減や転写層への不純物混入の低減、蒸発温度の低温化の観点では、真空下であることが特に好ましい。
(4)照射光
第二基板に照射される光線53の種類は第二基板に形成された光熱変換層を加熱して、表面の転写膜を昇華させ、第一基板に転写層を形成できるものであれば良い。例えばレーザーやインフラヒーターの集束光などを用いて光熱変換層を加熱しても良く、特にレーザーにおいては光熱変換層の材料の最適な吸収波長に合わせた波長を選択することが望ましい。
照射光の光源としては、容易に高強度が得られ、照射光の形状制御に優れるレーザーを好ましい光源として例示できるが、赤外線ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、フラッシュランプなどの光源を利用することもできる。レーザーでは、半導体レーザー、ファイバーレーザー、YAGレーザー、アルゴンイオンレーザー、窒素レーザー、エキシマレーザーなど公知のレーザーが利用できる。本発明に短時間においては高強度の光が照射される間欠発振モード(パルス)レーザーでも連続発信モード(CW)レーザーでもどちらを用いてもよい。
照射光の波長は、照射雰囲気と第二基板の支持体における吸収が小さく、かつ、光熱変換層において効率よく吸収されれば特に限定されない。従って、可視光領域だけでなく紫外光から赤外光まで利用できる。第二基板の好適な支持体の材料を考慮すると、好ましい波長領域として、300nm〜5μmを、更に好ましい波長領域として、380nm〜2μmを例示することができる。
パルス発振の場合もパルスごとの照射位置がオーバーラップすることが均一な転写膜を作製する上で望ましいのである程度周波数は大きくなければならない。一方周波数が高すぎると1ショット当たりのパワーが小さくなり擬似的に連続モードのレーザー照射を同様となる。このため周波数は1kHz以上が望ましく、1MHzであれば連続発振(Continuous Wave)と同じとなる。光の照射に関しては、基板と光線出射口のいずれが動作してもかまわない。レーザー出射口のスキャンスピードは速いほど装置の処理時間が短くなるため望ましいが、機械的な負担も大きくなる。このため50mm/sから10,000mm/sの間が望ましい。基板をスキャンする場合も同様の速度が望ましい。
照射光の形状は矩形に限定されるものではない。線状、楕円形、正方形、多角形など転写条件に応じて最適な形状を選択できる。
照射強度や転写材料の加熱温度の好ましい範囲は、照射光の均一性、照射時間(スキャン速度)、第二基板の支持体や光熱変換層の材質や厚さ、反射率、区画パターンの材質や形状、転写材料の材質や厚さなど様々な条件に影響される。本発明では、光熱変換層に吸収されるエネルギー密度が0.01〜10J/cmの範囲となり、転写材料が220〜400℃の範囲に加熱される程度の照射条件を整えることが目安となる。
照射光はオーバーラップさせながら照射してもよく、エリアスキャンをした後に重ねて照射しても良い。開口部に光線を照射する際には光線をスキャンさせ、照射部をオーバーラップさせながら照射することにより均一照射を行うこともできる。ここでオーバーラップさせるためにスキャンと直行方向にずらす際、光線出射口がスキャンと直行方向に少しずつ移動してもかまわないし、重ねあわされた基板同士がスキャンと直行方向に移動してもかまわない。また、開口幅を一括で光線を照射してもかまわない。この際照射を往復させることにより複数回に分けて転写を行うことができる。
また、照射回数は一回でも良いが転写材料が受ける熱劣化や転写された膜の持つエネルギーが非転写側の下地となる層に劣化を及ぼすことを考えると多段階で転写されることが望ましい。段階の数は特に制限されないが、少ないと照射あたりの熱量が大きくなるため転写材料の熱劣化や下地層の有機分子の劣化が発生し素子性能が低下する。逆に回数が大きければスキャンに要する時間がかかり生産スループットが低下する。このため好ましくは2回〜100回が望ましく、更に望ましくは4回から50回が望ましい。
窓の材料としては透明で光線を透過するものであれば特に限定されない。一般的には透明ガラスが使われ、フロートガラスやソーダライムガラスを例とする青板ガラス、B-270を例とする白板ガラス、“パイレックス”(登録商標)やテンパックスを例とする耐熱ガラス、石英ガラスやBK−7を例とする光学ガラスが望ましい。また、光線の波長を良く通す材質としてその他の透明材料も用いることができる。
(5)転写材料
転写材料は、有機EL素子をはじめとし、有機TFTや光電変換素子、各種センサーなどの有機機能素子を構成する薄膜を形成する材料である。転写材料は、有機材料、金属を含む無機材料いずれでもよく、加熱された際に、蒸発、昇華、あるいはアブレーション昇華するか、あるいは、接着性変化や体積変化を利用して、第二基板から第一基板へと転写されるものであればよい。また、転写材料が薄膜形成材料の前駆体であり、転写前あるいは転写中に熱や光によって薄膜形成材料に変換されて転写層が形成されてもよい。
転写材料の厚さは、それらの機能や転写回数により異なる。例えば、フッ化リチウムなどのドナー材料(電子注入材料)を転写する場合には、その厚さは1nmで十分であるし、電極材料の場合には、その厚さは100nm以上になることもある。本発明の好適なパターニング薄膜である発光層の場合は、転写材料の厚さは10〜100nmが、さらに20〜50nmであることが好ましい。
転写材料の形成方法は特に限定されず、真空蒸着やスパッタリングなどのドライプロセスを利用することもできる。この方法は膜厚を均一に形成できるので大型化に対応して材料を効率的に利用する方法として、少なくとも転写材料と溶媒からなる溶液を区画パターン内に塗布し、前記溶媒を乾燥させた後に転写することもできる。塗布法としては、インクジェット、ノズル塗布、電界重合や電着、オフセットやフレキソ、平版、凸版、グラビア、スクリーンなどの各種印刷などを例示できる。特に、本発明では各区画パターン内に定量の転写材料を正確に形成することが重要であり、この観点から、インクジェット、又はノズル塗布が特に好ましい方法として例示できる。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
第二基板を以下のとおり作製した。支持体として214mm×200mmの無アルカリガラス基板を用い、光熱変換層として厚さ0.2μmのチタン膜をスパッタリング法により全面形成した。次に上にポジ型ポリイミド系感光性コーティング剤(東レ株式会社製、PW−1270)をスピンコート塗布し、プリベーキング、UV露光した後に、現像液(TMAH 2.38%)によりストライプ状に露光部を溶解・除去した。このようにパターニングしたポリイミド前駆体膜をホットプレートで350℃、10分間ベーキングして、基板内の中央部160mm角を有効エリアとしてポリイミド系樹脂の区画パターンを形成した。この区画パターンの厚さは8μmで、断面は順テーパーの半円形状であり、その幅は20μmであった。区画パターン内部にはストライプ状の幅80μmの光熱変換層を露出する開口部が、それぞれ100μmのピッチで配置されていた。さらに表面にバリア層としてタンタルの金属層を全面に0.4μmの厚さでスパッタ製膜した。表面にポジ型感光性レジスト(東京応化工業株式会社製:PMER−P300RH)を塗布し、区画パターン部以外を露光・溶解除去した。レジストの開口部にパーフルオロシランカップリング剤(フッ素を含むシランカップリング剤)のフッ素撥液処理剤(フロロテクノロジー社製:FG−5010)をスピンコート塗布した後に不要な薬剤を水洗し、フォトレジストを剥離した。基板の周囲を連続的に囲むように端部から5mmの位置に1000μmの厚み、幅1mmの粘性体のシリコーンコンパウンドのグリースを塗布して形成した。この材料の稠度は200(JIS K 2235)であった。この基板上のストライプ状の開口部のうち隣り合うストライプを空けて、300μmピッチにて下記に示すRH−1に対してRD−1を0.5wt%の比率で混合した赤色発光材料を0.5wt%含むキシレン溶液をインクジェット塗布することで区画パターン内(開口部)に平均厚さ35nmの転写材料を形成した。また同様に隣接する一列の区画パターンにGH−1を0.5wt%含むキシレン溶液をインクジェットで塗布し、区画パターン内に30nmの転写材料を形成した。また、その隣の区画パターンに下記に示すBH−1に対してBD−1を0.5wt%の比率で混合した青色発光材料を0.3wt%含むキシレン溶液をインクジェットで塗布して、区画パターン内に20nmの転写材料を形成した。
第一基板は以下のとおり作製した。ITO透明導電膜を140nm堆積させた無アルカリガラス基板(ジオマテック株式会社製、スパッタリング成膜品)を214×190mmに切断し、フォトリソグラフィー法によりITOを所望の形状にエッチングした。第二基板と同様にパターニングされたポリイミド前駆体膜を、300℃、10分間ベーキングして、ポリイミド系の絶縁層を形成した。この絶縁層の高さは2.0μm、幅は30μmであった。絶縁層のパターン内部には幅70μm、長さ270μmのITOを露出する開口部が、それぞれ100、300μmのピッチで配置されていた。この基板をUVオゾン処理し、真空蒸着装置内に設置して、装置内の真空度が3×10−4Pa以下になるまで排気した。抵抗加熱法によって、正孔輸送層として、HIL−1を50nm、HTL−1を10nm、発光領域全面に蒸着により積層した。
次に、真空度が1×10−3Pa以下の装置内で基板の重ね合わせを行った。まず、第二基板を真空内で第二基板保持具に載せ、次に第一基板ステージに静電吸着により基板固定された第一基板の加工面を下にして第二基板と重ね合わせた。第二基板の区画パターンと前記第一基板の絶縁層との位置を合わせて対向させ、3×10−4Pa以下の真空中でアライメントを合わせながら真空中で重ね合わせた。このときアライメント精度は±3μm以内であった。重ね合わせは図12のような機構を用いて固定した。図12(a)は断面構造を示し、図12(b)は基板に垂線方向から見た図である。素子の存在する部分は静電吸着による基板保持をかねた素子部押さえ機構21により荷重A:30Nで押さえつけた。また周囲の部分は封止壁が変形し基板同士を密閉できるように封止壁抑え機構22により荷重B:100Nで押さえつけた。なお、基板と接触する部分に緩衝材となる弾性体を配置して均一に加圧できるような構造としている。この状態で転写材料の一部と区画パターンの一部が同時に加熱されるように、第二基板のガラス基板側から中心波長800nmのレーザー(光源:半導体レーザーダイオード)を照射し、転写材料を第一基板の下地層である正孔輸送層上に転写した。レーザー強度は約300W/mm、スキャン速度は1.25m/sであり、発光領域全面に転写されるように、レーザーをオーバーラップさせる方式で10回に分けて繰り返しスキャンを実施した。この段階では、予定の照射エリアの半分量の転写が完了した状態である。次に、対称形の第二基板保持具を先の第二基板保持具の開口部を支えるように次の第二基板を保持し、先の第二基板保持具を抜き取り、開口部のレーザー未照射部にレーザーを照射し基板全面の照射予定エリアの照射を完了させた。
転写後の第一基板を、ふたたび抵抗加熱法によって、電子輸送層として下記に示すE−1を25nm、発光領域全面に蒸着した。次に、ドナー材料(電子注入層)としてフッ化リチウムを0.5nm、さらに、陰極としてアルミニウムを100nm蒸着して、5mm角の発光領域をもつ有機EL素子を作製した。
基板同士を分離し、この後、素子を窒素中に取出して、発光領域が外気に触れて劣化しないようにカバーガラスで封止して、2.5mA/cmの電流を流して点灯試験を行った。
この結果、図13の様に3色とも混色のない発光を示した。また、均一で良好な発光を示した。このことは隣接した発光領域への混色が発生していないことを示し、良好な結果が得られた。また30分の大気取り出し中にグリースの内部への染み出しは10mm以内であり使用に問題はなかった。
実施例2
封止壁を粘性体のシリコーンコンパウンドのグリースを塗布して形成したこと以外は実施例1と同じで方法で有機EL素子を作製した。この材料の稠度は500(JIS K 2235)であった。封止壁は高さ200μm、幅3mmであった。この結果、実施例1と同様に3色とも混色のない発光を示した。このことは隣接した発光領域への混色が発生していないことを示し、良好な結果が得られた。しかしながら大気に取出し照射を行っている間に図14の様に基板内部にグリースが大きく染み出しが発生した。
実施例3
封止壁を弾性体のフッ素ゴム(パーフルオロプロペン・フッ化ビニリデン共重合体:JIS硬度にて60度)で形成したこと以外は実施例1と同じで方法で有機EL素子を作製した。封止壁は高さ300μm、幅1mmであった。この結果、実施例1と同様に3色とも混色のない発光を示した。このことは隣接した発光領域への混色が発生していないことを示し、良好な結果が得られた。フッ素ゴムは弾性体のため基板内部への染み出しは発生せず、第一基板への汚染も生じなかった。
実施例4
封止壁を弾性体のウレタンゴム(JIS硬度にて75度)で形成したこと以外は実施例1と同じで方法で有機EL素子を作製した。封止壁は高さ200μm、幅1mmであった。ところが、大気取出し時にゴムの変形が小さいため基板同士の密閉ができずに基板間に大気が混入した。このため基板周囲の加重を500Nに上昇させたところが密閉を行うことができた。よって、その後は同様の方法で素子を作成し評価した。この結果、実施例1と同様に3色とも混色のない発光を示した。このことは隣接した発光領域への混色が発生していないことを示し、良好な結果が得られた。ウレタンゴムも弾性体のため基板内部への染み出しは発生せず、第一基板への汚染も生じなかった。しかしながら、周囲にかける荷重が大きくなり、基板や筐体の剛性を考えると実用は難しいと考えられる。
実施例5
図7(b)のように第二基板の周囲取り囲むように端部から5mmの部分に幅1.5mm、深さ0.4mmの掘り込みを設けた。この溝の中に実施例4で用いたウレタンゴムを高さ600μm(第二基板表面からは200μmの高さ)、幅1mmの封止壁を作製した。実施例1と同様に素子を作製した。この結果、実施例1と同様に3色とも混色のない発光を示した。このことは隣接した発光領域への混色が発生していないことを示し、良好な結果が得られた。ウレタンゴムも弾性体のため基板内部への染み出しは発生せず、第一基板への汚染も生じなかった。
比較例1
従来技術のとおり封止壁を高さ200μm、幅1mmの絶縁層に用いられているポリイミド樹脂(JIS硬度:95度)で形成したこと以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製しようとしたが、真空中で基板同士を重ねて常圧に取出す際に封止壁が基板同士を密閉できなかった。基板周囲の封止壁近傍への加重を大きくして検討したがやはり密閉できなかった。このため有機EL素子を作製できなかった。
Figure 2014167844
10 第一基板
11 支持体
12 TFT(取り出し電極含む)
13 平坦化層
14 絶縁層
15 第一電極
16 正孔輸送層
17、17R、17G、17B 転写層
18 電子輸送層
19 第二電極
20 第一基板保持具
21 素子部押さえ機構
22 封止壁抑え機構
23 補強基板
30 第二基板
31 支持体
32 封止壁
33 光熱変換層
34 区画パターン
35 バリア層
37、37R、37G、37B 転写材料
40 第二基板保持具
41 弾性体
42 静電吸着板
43 補強板
44 基板固定具
60 有機TFT基板
61 支持体
62 ゲート絶縁層
63 ゲート電極
64 ソース電極
65 ドレイン電極
66 絶縁層
67 転写層

Claims (8)

  1. 減圧雰囲気下で、転写材料を含む転写領域を備えた第二基板を、前記転写領域を第一基板側に向けた状態で第一基板と重ね合わせる工程と、
    前記第二基板と第一基板の間の減圧雰囲気を保ったまま、前記第二基板と第一基板を重ね合わせた状態で大気中に取り出す工程と、
    大気中で前記第二基板に備えられた前記転写材料を前記第一基板に転写する工程と
    を含む転写方法であって、
    前記第一基板または第二基板の少なくとも一方において、前記転写領域の周囲を連続して取り囲む封止壁が形成されている
    ことを特徴とする転写方法。
  2. 前記封止壁が粘性体または弾性体からなる請求項1記載の転写方法。
  3. 前記封止壁が粘性体であり、該粘性体の稠度が250以下である請求項2記載の転写方法。
  4. 前記封止壁が弾性体であり、該弾性体の硬度が70以下である請求項2記載の転写方法。
  5. 前記第一基板の前記重ね合わせ面に絶縁層が備えられ、
    前記第二基板の前記重ね合わせ面に区画パターンが備えられ、
    前記封止壁の高さが前記第一基板の絶縁層及び前記第二基板の区画パターンの高さの合計より50μm以上大きく、1000μm以下である
    請求項1記載の転写方法。
  6. 前記第二基板において前記封止壁が該第二基板と当接する領域に掘り込みが設けられている請求項1〜5のいずれかに記載の転写方法。
  7. 前記重ね合わせ工程において、先に基板の中央部を押圧し、ついで封止壁周囲を押圧する請求項1〜6のいずれかに記載の転写方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の転写方法を用いて有機機能素子に含まれる有機機能層の少なくとも一層を転写する工程を含む有機機能素子の製造方法。
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