JP2014163323A - 車両の走行制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両発進時に、選択された走行モードに応じてエンジン負荷を調整し、加速のもたつき感を解消してドライバビリティの低下を防止する。
【解決手段】走行モードがノーマールモード或いはセーブモードで、発進時の加速度Aが閾値A1以下の場合、オルタネータの作動禁止若しくは作動制限を行う(S7)。一方、A>A1であっても、操舵トルクが設定値未満で加速度Aが閾値A2(A2>A1)以下の場合には、パワーステアリング装置の作動を禁止若しくは制限する(S11)。更に、空調の温度差が設定値以上で加速度Aが閾値A3(A3>A2)以下の場合には、エアコンコンプレッサ5の作動を禁止若しくは制限する(S15)。これにより、車両発進時にエンジン負荷を軽減して加速のもたつき感を解消することができ、ドライバビリティの低下を回避することができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、駆動力特性が異なる複数の走行モードから所望の走行モードを選択して走行可能な車両の走行制御装置に関する。
従来より、自動車等の車両においては、燃費向上を重視したエコノミーモードやスポーツ性を重視したパワーモード等の複数の走行モードを備え、これらの複数の走行モードの中からドライバが所望するモードを選択可能とする技術が開発されている。これらの異なる走行モードは駆動力特性が異なるため、モードを切り換える際にトルクショックが発生する等してドライバに不快感を与える虞がある。
このため、特許文献1には、パワーモードからエコノミーモードへ選択が切り替えられたとき、現在の出力トルクがエコノミーモードの最大出力トルク以下であれば出力トルク制限を許可し、現在の出力トルクがエコノミーモードの最大出力トルクを上回っていれば出力トルク制限を禁止することで、走行モード切替時の不快感を解消する技術が開示されている。
特開2011−241719号公報
しかしながら、車両の発進時には、エンジンに発電機や空調用のコンプレッサ等の駆動負荷がかっていると、選択された走行モードに応じた加速性能を得ることができず、ドライバにもたつき感を与えてドライバビリティを損なう虞がある。
特に、近年、排気エミッションの低減や騒音の低減、燃費改善等を目的として、赤信号でドライバがブレーキを踏む等の車両の走行を停止する一定の条件が成立したとき、エンジンを自動的に停止させ、その後、信号の切替わり等でドライバが発進操作を行うと、エンジンを自動的に再始動させるアイドルストップシステムを備える車両が増えており、このアイドルストップからの発進時には、走行負荷による加速のもたつき感を生じ易い。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両発進時に、選択された走行モードに応じてエンジン負荷を調整し、加速のもたつき感を解消してドライバビリティの低下を防止することのできる車両の走行制御装置を提供することを目的としている。
本発明による車両の走行制御装置は、駆動力特性が異なる複数の走行モードから所望の走行モードを選択して走行可能な車両の走行制御装置であって、選択されている現在の走行モードを判定する走行モード判定部と、車両の発進時の加速度を、複数のエンジン負荷の各々に対して走行モードに応じて設定した閾値と比較し、その比較結果に応じて車両発進時の各エンジン負荷を禁止若しくは制限する発進時負荷調整部とを備える。
本発明によれば、車両発進時に、選択された走行モードに応じてエンジン負荷を調整し、加速のもたつき感を解消してドライバビリティの低下を防止することができる。
車両駆動系の構成図 走行モード毎の駆動力特性を示すマップの概念図 発進時負荷制御処理のフローチャート 発進時負荷制御処理のフローチャート(続き) アイドルストップからの発進時加速度を示す特性図
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1に示す車両駆動系において、符号1は、自動車等の車両に搭載されるエンジンであり、本実施の形態においては、アイドルストップシステムを備えた車両に搭載されるエンジンである。このアイドルストップシステムにおいては、エンジン1は、ドライバがブレーキを踏んで車両が停止した場合に自動的に停止され、その後、ドライバがアクセルを踏む等して走行を再開する場合には、自動的にエンジン1が再始動される。
エンジン1には、自動変速機2が連設されると共に、エンジン始動用のスタータ3、整流回路や電圧レギュレータを一体的に備えたオルタネータ(発電機)4、エアコンディショナー用コンプレッサ(エアコンコンプレッサ)5等の補機類が連設されている。スタータ3は、リレー6を介してバッテリ7に接続され、エンジン始動時にバッテリ7から供給される電力でエンジン1をクランキングさせる。
オルタネータ4は、その回転軸に固設されるプーリ4aがエンジン1のクランク軸に固設されるクランクプーリ1aにベルト8を介して連結されており、エンジン1からベルト8を介して回転駆動されて発電し、電圧レギュレータで調整した電圧を各種電気負荷に供給すると共にバッテリ7を充電する。また、エアコンコンプレッサ5も、電磁クラッチ5aのプーリがベルト8(又は他のベルト)を介してクランクプーリ1aに連結されており、電磁クラッチ5aが締結されたときエンジン1によって回転駆動される。
尚、オルタネータ4としては、例えば、三相交流を発生するためのステータコイル、プーリ4aの回転軸に連結されるロータコアに巻回され、所定の励磁電流によって磁場を形成するフィールドコイル、ステータコイルに発生した交流電圧を直流電圧に整流する整流回路(レクチファイアー)、集積回路等により形成されて出力電圧を制御する電圧レギュレータ等を一体的に備えた構成のオルタネータを採用しており、発電電力の出力端子であるBAT端子、目標発電電圧の制御入力端子であるC端子、発電出力のフィードバック入力端子であるS端子、フィールドコイルの通電・非通電を制御する端子であるL端子、接地用のE端子等が設けられている。
次に、以上の車両駆動系を制御する電子制御系について説明する。車両駆動系を制御する電子制御系は、CAN(Controller Area Network)等の車内LAN100に接続される複数の制御ユニットによって形成されている。各制御ユニットは、マイクロコンピュータを中心として構成され、エンジン1を制御するエンジン制御ユニット(ENG−ECU)50、自動変速機2を制御するトランスミッション制御ユニット(TM−TCU)60、エアコンコンプレッサ5やブロワー等を介して車室内の空調制御を行うエアコン制御ユニット(AIRCON−ECU)70、電動又は油圧式のパワーステアリング装置40を介して操舵制御を行うステアリング制御ユニット(PS−ECU)80、車両挙動を制御するビークルダイナミクス制御ユニット(VDC−ECU)90等が車内LAN100に接続されている。
各制御ユニットには、各種センサ類からの信号や車内LAN100を介して各種制御情報が入力され、これらの入力に基づいて車両駆動系の各種アクチュエータ類を駆動する。エンジン制御ユニット50に接続されるセンサ類としては、エンジン1のクランク角を検出するクランク角センサ10、エンジン水温を検出する水温センサ11、後述する走行モードを切り換えるための走行モード切換スイッチ12、バッテリ7の入出力電流を検出する電流センサ13等がある。エンジン制御ユニット50は、これらのセンサ類からの信号に基づいて、燃料噴射タイミング及び燃料噴射パルス幅を設定すると共に、電子制御スロットル装置(図示せず)を介してエンジンのスロットル開度(吸入空気量)を制御し、エンジン出力を制御する。
トランスミッション制御ユニット60に接続されるセンサ類としては、変速位置を検出するシフトポジションセンサ20、ブレーキペダルの踏み込みによってONするブレーキスイッチ21、車速を検出する車速センサ22等がある。トランスミッション制御ユニット60は、これらのセンサ類からの信号や他の制御ユニットからの制御情報に基いて、自動変速機2に供給する油圧を制御し、予め設定された変速特性に従って自動変速機2を制御する。
エアコン制御ユニット70に接続されるセンサ類としては、エアコンコンプレッサ5を作動させるエアコンスイッチ23、エアコンコンプレッサ5による冷媒圧力が所定値以上のときONする冷媒圧力スイッチ24、各部(車室内外)の温度を計測する温度センサ25等がある。エアコン制御ユニット(AIRCON−ECU)70は、これらのセンサ類からの信号や他の制御ユニットからの制御情報に基いて、電磁クラッチ5aを介してエアコンコンプレッサ5を作動させ、車室内の空調制御を行う。
また、ステアリング制御ユニット80に接続されるセンサ類としては、ステアリングシャフトに取り付けられてステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角センサ26や操舵トルクを検出するトルクセンサ27等がある。ステアリング制御ユニット80は、これらのセンサ類からの信号や他の制御ユニットからの制御情報に基いて、ドライバの操舵トルクにパワーステアリング装置40による駆動トルクを加えてドライバの転舵操作を支援する。
また、ビークルダイナミクス制御ユニット90に接続されるセンサ類としては、各車輪の車輪速に応じた周期のパルス信号を発生する車輪速センサ28、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサ29、車両の前後加速度や横加速度を検出するGセンサ30,31等がある。ビークルダイナミクス制御ユニット90は、これらの信号に基づいて、エンジン制御ユニット50やトランスミッション制御ユニット60を介して車両挙動を制御する。
ここで、本実施の形態におけるアイドルストップ車両においては、エンジン制御ユニット50は、センサ類からの信号や他の制御ユニットからの制御情報に基づいて、アイドルストップの許可/復帰条件を判断する。例えば、車速がゼロに近い設定値以下であり、且つブレーキペダルが踏み込まれている(ブレーキスイッチ21がONである)条件が成立する場合、アイドルストップ許可条件が成立すると判断して図示しない燃料噴射弁の駆動を停止させ、エンジン1への燃料供給を遮断(ISS燃料カット)する。このISS燃料カットは、アイドルストップ許可条件が成立する限り継続され、エンジンが停止状態に保持される。その後、ドライバがブレーキを開放する等して発進の意思を示す操作を行った場合には、エンジン制御ユニット50は、アイドルストップからの復帰(許可条件非成立)と判断し、リレー6を介してスタータ3を作動させ、エンジンを再始動させる。
尚、本実施の形態においては、エンジン制御ユニット50にてアイドルストップ制御を行うものとして説明するが、専用のアイドルストップ制御ユニットで制御するようにしても良い。その場合、アイドルストップ制御ユニットでアイドルストップの許可条件を判断し、アイドルストップ許可条件が成立すると判断したとき、エンジン制御ユニット50にISS燃料カット要求を送信してエンジンを停止させる。また、アイドルストップからの復帰時は、アイドルストップ制御ユニットがスタータ3を駆動することでエンジンを再始動させる。
更に、本実施の形態における車両は、以上のアイドルストップ機能に加え、アクセル操作に対するパワートレインの駆動力特性が異なる複数のモードを備えており、ドライバが好みに応じて所望する走行モードを選択することができる。複数の走行モードとしては、例えば、アクセル開度に対して出力トルクが略リニアに変化するノーマルモード、エンジントルクをセーブしてイージードライブ性と低燃費性との双方を両立させるセーブモード(燃費訴求モード)、エンジンの低回転域から高回転域までレスポンスに優れる出力特性を実現するパワー重視のスポーツモードが備えられている。
これらのモードの切り換えは、センターコンソール等に設けられた走行モード切換スイッチ12によって行われる。ドライバが走行モード切換スイッチ12を操作して所望のモードを選択すると、この走行モード切換スイッチ12からの信号がエンジン制御ユニット50に入力され、選択された走行モードに応じた駆動力特性への制御が実施される。
具体的には、エンジン制御ユニット50は、各走行モード毎のエンジン出力特性を示すマップとして、図2(a)〜(c)に示すように、アクセル開度とエンジン回転数とを格子軸とし、各格子点にエンジン出力指示値(目標トルク)を格納したマップMp1,Mp2,Mp3の3種類のマップを保有している。これらの3種類のマップは、ドライバが選択そた走行モードに応じて使用される。
図2(a)に示すマップMp1は、ノーマルモードの場合に用いられるマップであり、アクセル開度が比較的小さい領域で目標トルクがリニアに変化し、スロットル開度が全開付近で最大目標トルクとなるように設定されている。また、図2(b)に示すマップMp2は、セーブモードの場合に用いられるマップであり、ノーマルモードのマップMp1に比し、目標トルクの上昇が抑えられ、アクセルペダルを全踏してもスロットル全開とせず、相対的にアクセルペダルの踏み込みに対してスロットル開度変化がノーマルモードよりも小さくなる特性に設定されている。
従って、セーブモードでは、ノーマルモードと同じアクセルペダルの踏み込み量であってもスロットル開度が小さく、出力トルクの上昇が抑制される。その結果、セーブモードのマップMp2に基づき出力トルクを抑制した走行を行うことで、アクセルペダルを思い切り踏み込む等のアクセルワークを楽しむことができる。さらに、目標トルクの上昇が抑えられているため、イージードライブ性と低燃費性との双方をバランス良く両立させることができ、十分な出力を確保しながらスムーズな出力特性とし、特に街中等の実用領域における扱いやすさを重視した目標トルクが設定される。
また、図2(c)に示すマップMp3は、パワーモードの場合に用いられるマップであり、略全運転領域でアクセル開度の変化に対する目標トルクの変化率が大きく設定されている。従って、エンジン本来のポテンシャルを最大限に発揮できるような目標トルクが設定されている。
エンジン制御ユニット50は、ドライバが選択した走行モードに応じたマップと各センサ類からの検出信号等に基いて、エンジンの燃料噴射タイミング及び燃料噴射パルス幅を制御すると共にエンジンのスロットル開度を制御し、走行モードに応じたエンジン出力特性が得られるように制御する。このとき、走行モードによっては、車両の発進時、特にアイドルストップからの発進時には、走行負荷による加速のもたつき感を生じ、ドライバビリティを損なう虞がある。
このため、エンジン制御ユニット50は、選択された走行モードに応じてエンジンにかかる負荷を調整し、どのような走行モードであっても発進時にもたつき感を生じることがないように、発進時負荷制御を実行する。この発進時負荷制御に係る機能として、エンジン制御ユニット50は、図1中に示すように、走行モード判定部50a、発進時負荷調整部50bを備えている。
エンジン制御ユニット50は、走行モード判定部50aにおいて、走行モード切換スイッチ12からの信号に基づいて現在の走行モードが加速度優先のパワーモードか通常のノーマルモードか燃費重視のセーブモードかを判定し、発進時負荷調整部50bにおいて、発進時の加速度を、オルタネータ4、エアコンコンプレッサ5、パワーステアリング装置40の各々に対して走行モードに応じて設定した閾値と比較し、その比較結果に応じて、オルタネータ4、エアコンコンプレッサ5、パワーステアリング装置40の作動を禁止若しくは制限する。
すなわち、走行モード判定部50a及び発進時負荷調整部50bによる発進時負荷制御処理により、もたつき感の生じやすいアイドルストップからの発進時にも、エンジンにかかる負荷を走行モードに応じて禁止若しくは制限させ、優先度を付けて負荷を減らしていくことで、発進時のもたつき感のない良好な加速性能を実現することができる。
以下、エンジン制御ユニット50における発進時負荷制御のプログラム処理について、図3,図4に示すフローチャートを用いて説明する。
尚、本発進時負荷制御処理では、パワーモードではアイドルストップ機能は停止され、ノーマールモード及びセーブモードの場合にアイドルストップ機能が有効にされているものとするが、アイドルストップの有無に拘わらず基本的な処理は同様である。
この発進時負荷制御処理では、先ず、最初のステップS1において、発進要求の有無を調べる。発進要求がない場合には、ステップS2で車両停止状態を継続して本処理を抜け、通常のエンジン制御に移行する、このとき、走行モードがパワーモードでアイドルストップ機能が停止されている場合にはエンジンのアイドル運転が継続され、ノーマールモード或いはセーブモードでアイドルストップが機能している場合には、エンジンは停止している。
一方、ステップS1において発進要求がある場合には、ステップS1からステップS3へ進み、現在選択されている走行モードの種別がパワーモード、ノーマールモード、セーブモードの何れであるかを調べる。現在の走行モードがパワーモードである場合には、ステップS3からステップS16以降へ進み、現在の走行モードがノーマールモード或いはセーブモードである場合には、ステップS3からステップS4へ進む。ここでは、先に、ノーマールモード或いはセーブモードのステップS4以降の処理について説明し、パワーモードのステップS16以降の処理については後述する。
ステップS4では、電流センサ13の信号に基づいて算出したバッテリ7の残存容量SOCが充電を要する設定値以下であるか否かを調べる。そして、バッテリ7の残存容量SOCが設定値以下に低下している場合には、ステップS5でエンジンによりオルタネータ4を駆動してバッテリの充電を行い、本処理を抜けて通常のエンジン制御に移行する。このとき、オルタネータ4のC端子に印加する制御信号を調整する等して、オルタネータ4の発電電圧(レギュレータの調整電圧)が設定値以上となるように制御する。
一方、バッテリ7の残存容量SOCが設定値を超えている場合には、ステップS4からステップS6へ進み、Gセンサ30で検出した発進時の加速度Aが閾値A1以下か否かを調べる。その結果、A>A1の場合には、ステップS8へ進み、A≦A1の場合、アイドルストップからの発進でドライバに加速のもたつき感を与える虞があるため、ステップS7でオルタネータ4の作動禁止若しくは作動制限を行って加速性を向上させ、ステップS8へ進む。オルタネータ4の作動禁止若しくは作動制限は、例えば、L端子を介してフィールドコイルの通電を停止したり、C端子を介して発電電圧を低下させる等して行う。
ステップS8では、トルクセンサ27によりステアリングの操舵トルクを検出し、操舵トルクが設定値以上か否かを調べる。操舵トルクが設定値以上で操舵中である場合には、操舵アシスト力を確保するためアイドルストップは停止されており、エンジン稼働状態からの発進であるため、ステップS9でエンジンの運転を継続したまま本処理を抜けて、通常のエンジン制御に移行する。
一方、ステップS8において操舵トルクが設定値未満であり、操舵操作がなされていない或いは操舵アシストを要しないと判断される場合には、ステップS8からステップS10へ進み、発進時の加速度Aが閾値A2(A2>A1)以下か否かを調べる。その結果、A>A2の場合には、ステップS12へ進み、A≦A2の場合、ステップS11でパワーステアリング装置40の作動を禁止若しくは制限して加速性を向上させ、ステップS12へ進む。
ステップS12では、空調の設定温度と温度センサ25で検出した車室内の温度との温度差が設定値以上あるか否かを調べる。そして、温度差が設定値以上である場合には、ステップS13でエアコンコンプレッサ5の作動で設定温度となるように空調制御を行って本処理を抜け、通常のエンジン制御に移行する。
一方、温度差が設定値未満である場合には、ステップS12からステップS14へ進んで、発進時の加速度Aが閾値A3(A3>A2)以下か否かを調べる。その結果、A>A3の場合には、本処理を抜けて通常のエンジン制御に移行し、A≦A3の場合、ステップS15でエアコンコンプレッサ5の作動を禁止若しくは制限して加速性を向上させ、通常のエンジン制御に移行する。
以上のノーマルモード及びセーブモードにおける加速度の閾値A1,A2,A3は、発進時に想定される負荷の大きさの順を考慮して優先度を付けて設定され、A3>A2>A1に設定されている。図5は、アイドルストップからの発進時の加速度を示しており、同図中に細線で示す無負荷のイニシャル状態での加速度A0に対して、同図中に太線で示すオルタネータ駆動負荷時の加速度Aeが最も小さくなり、次に、エアコンコンプレッサ駆動負荷時の加速度Acが小さくなる。
従って、負荷が大きいほど優先度を高くして、オルタネータ4、パワーステアリング装置40、エアコンコンプレッサ5の順で作動禁止若しくは制限を設けることで、アイドルストップからの車両発進時にエンジン負荷を軽減して加速のもたつき感を解消することができ、ドライバビリティの低下を回避することができる。
尚、閾値A1,A2,A3の大きさ自体は、車両及びエンジン性能によって異なり、予め実験或いはシミュレーション等によって最適値が設定されるが、アイドルストップの有効・無効に応じて異なる値を用いるようにしても良い。
次に、走行モードがパワーモードである場合のステップS16以降の処理について説明する。ステップS16では、エンジンが停止されていた場合にはエンジンを始動させ、信号待ち等の一時停止でエンジンがアイドル運転状態にあるときには、アイドル運転状態でステップS17へ進み、バッテリ7の残存容量SOCが設定値以上か否かを調べる。
その結果、バッテリ7の残存容量SOCが設定値未満である場合には、ステップS17からステップS20へ進み、バッテリ7の残存容量SOCが設定値以上である場合、ステップS17からステップS18へ進んで加速度Aが閾値A1’以下か否かを調べる。そして、A>A1’の場合には通常のエンジン制御に移行し、A≦A1’の場合、ステップS19でオルタネータ4の作動禁止又は作動制限を行って加速性を向上させ、ステップS20へ進む。
ステップS20では、トルクセンサ27で検出した操舵トルクが設定値以下か否かを調べる。操舵トルクが設定値を超えている場合、ステップS23へ進み、操舵トルクが設定値以下の場合には、ステップS20からステップS21へ進んで加速度Aが閾値A2’(A2’>A1’)以下か否かを調べる。そして、A>A2’の場合には通常のエンジン制御に移行し、A≦A2’の場合、ステップS22でパワーステアリング装置40の作動を禁止若しくは制限して加速性を向上させ、ステップS23へ進む。
ステップS23では、温度センサ25で検出した車室内外の温度差が設定値以内であるか否かを調べる。温度差が設定値を超えている場合には、ステップS26へ進み、温度差が設定値以内の場合、ステップS23からステップS24へ進んで加速度Aが閾値A3’(A3’>A2’)以下か否かを調べる。そして、A>A3’の場合には通常のエンジン制御に移行し、A≦A3’の場合、ステップS25でエアコンコンプレッサ5の作動を禁止若しくは制限して加速性を向上させ、ステップS26へ進み、作動が禁止若しくは制限されている負荷を解除して通常のエンジン制御に移行する。
パワーモードにおける加速度の閾値A1’,A2’,A3’は、ノーマルモード及びセーブモードにおける加速度の閾値A1,A2,A3に対して相対的に大きい値でA3’>A2’>A1’の関係に設定されており、負荷が大きいほど優先度を高くして、オルタネータ4、パワーステアリング装置40、エアコンコンプレッサ5の順で作動禁止若しくは制限を設けるようしている。これにより、パワーモードでアイドルストップを停止している場合には、車両発進時にパワーモード本来の加速性能を発揮させることが可能となり、また、パワーモードでアイドルストップを有効にした場合であっても、パワーモードのドライバビリティを損なうことがない。
このように本実施の形態においては、車両の発進時の加速度を、複数のエンジン負荷の各々に対して走行モードに応じて設定した閾値と比較し、その比較結果に応じて車両発進時の各エンジン負荷を禁止若しくは制限するので、発進時のもたつき感を解消することができ、ドライバビリティの低下を防止することができる。
特に、アイドルストップ機能を有する車両で燃費訴求モードを選択した場合においても、エンジン負荷を適正に調整して加速のもたつき感を効果的に抑制することができ、ドライバビリティの低下を防止することができる。また、逆に、スポーツ性を重視したモードを選択した場合においても、モード本来の加速性能を確保することが可能となり、ドライバビリティの向上に寄与することができる。
1 エンジン
4 オルタネータ
5 エアコンコンプレッサ
12 走行モード切換スイッチ
40 パワーステアリング装置
50 エンジン制御ユニット
50a 走行モード判定部
50b 発進時負荷調整部

Claims (5)

  1. 駆動力特性が異なる複数の走行モードから所望の走行モードを選択して走行可能な車両の走行制御装置であって、
    選択されている現在の走行モードを判定する走行モード判定部と、
    車両の発進時の加速度を、複数のエンジン負荷の各々に対して走行モードに応じて設定した閾値と比較し、その比較結果に応じて車両発進時の各エンジン負荷を禁止若しくは制限する発進時負荷調整部と
    を備えることを特徴とする車両の走行制御装置。
  2. 前記複数のエンジン負荷の各々に対する前記閾値は、前記エンジン負荷同士に優先度をつけて設定することを特徴とする請求項1記載の車両の走行制御装置。
  3. 前記車両は、アイドル運転時に予め設定した条件が成立したときエンジンを自動的に停止させるアイドルストップ機能を有する車両であり、前記車両の発進時は、アイドルストップからの発進時を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の車両の走行制御装置。
  4. 前記複数のエンジン負荷は、発電機、パワーステアリング装置、空調用コンプレッサであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の車両の走行制御装置。
  5. 前記複数のエンジン負荷の各々に対する前記閾値を、発電機、パワーステアリング装置、空調用コンプレッサの順に優先度を付けて設定し、該優先度が高いほど前記閾値を低く設定することを特徴とする請求項2記載の車両の走行制御装置。
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