JP2014157922A - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】CIS系又はCZTS系の光吸収層を有する太陽電池を、生産性よく製造できる太陽電池の製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に、少なくとも電極層と、金属プリカーサ膜とを形成した後、少なくともセレン源を有する雰囲気中にて熱処理を行って、CIS系又はCZTS系の光吸収層を形成する太陽電池の製造方法において、基板として長尺な可撓性の基板21を用い、基板21をロール状に巻き取った基板ロール20から基板21を引き出し、基板21の搬送経路上で、基板21の表面に電極層と金属プリカーサ膜とを形成し、次いで、基板21を基板ロール20から切り離すと共に、基板面どうしが接触しないように屈曲させて治具に保持させ、その状態で少なくともセレン源を有する雰囲気中に配置して熱処理を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、CIS系又はCZTS系の光吸収層を有する太陽電池の製造方法に関する。
CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Se、Cu(In,Ga)(S,Se)等の半導体化合物で形成されたCIS系の光吸収層や、CuZnSnSe、CuZnSn(S,Se)等の半導体化合物で形成されたCZTS系の光吸収層は、高い光電変換効率が得られることが報告されており、CIS系やCZTS系の光吸収層を有する太陽電池の開発が進められている。
特許文献1には、長尺な基板を長手方向に搬送しつつ、500℃以上の基板温度でCIS系膜を製膜し、その後、基板にSe(セレン)を供給しつつ、所定の条件で冷却して、CIS系膜を製造することが開示されている。そして、段落番号0036には、CIS系膜の製膜方法の一例として、多元同時蒸着法、セレン化法、スパッタ法、ハイブリッドスパッタ法、メカノケミカルプロセス法が例示されている。
このように、CIS系やCZTS系の光吸収層の形成方法として、多元同時蒸着法やセレン化法が広く用いられている。
多元同時蒸着法では、光吸収層の構成元素を含む原料を、同時蒸着することで形成できる。多元同時蒸着法により、CIS系やCZTS系の光吸収層を形成する場合、蒸発源の配置や、蒸発量の制御で膜組成を制御できるというメリットがある。また、Roll to Rollプロセスが適用でき、可撓性基板を用いた太陽電池の製造に適している。しかしながら、次のような問題があった。すなわち、多元同時蒸着法では、膜組成と膜厚の分布が基板の幅方向に発生しやすいという課題がある。幅方向に設置する蒸着源の数を増やすことで、上記分布を低減することができるが、蒸着源の数を増やすことにより、装置コストや装置メンテナンス工数の増大につながる。また、高品質なCIS系やCZTS系の光吸収層を形成するには、製膜速度に制限がある。その為、生産量を高めるには、製膜装置を大型にする必要があり、装置コストの増大につながるという課題がある。また、蒸着源ルツボに詰まりが生じて、蒸発量にバラツキが生じる等のトラブルが発生し易く、装置メンテナンスに手間を要するという課題がある。
一方、ガラス基板を使用した太陽電池の場合においては、例えば特許文献2,3に記載されるように、セレン化法が広く用いられている。セレン化法では、基板上の電極層表面に、スパッタ法等で金属プリカーサ膜を形成し、その後、HSeガス等のセレン源を有する雰囲気中で熱処理して、CIS系やCZTS系の光吸収層を形成する。セレン化法では、金属プリカーサ膜をスパッタ法等で形成できるため、多元同時蒸着法に比べて、光吸収層の面内分布を低減できるといったメリットがある。
しかしながら、金属プリカーサ膜の熱処理には、昇降温時間を含めて60〜240分程度必要である。このため、セレン化法をRoll to Rollプロセスに適用する場合、金属プリカーサ膜の熱処理中は搬送を停止しなければならないので、生産性が著しく低下する。熱処理装置として大型なものを用いれば、搬送しつつ、熱処理を行うことは可能であるが、必要な装置サイズが大きくなり現実的ではない。
特開2012−15328号公報 特開2009−135299号公報 特開2009−283560号公報
本発明は、CIS系又はCZTS系の光吸収層を有する太陽電池を、生産性よく製造できる太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、基板上に、少なくとも電極層と、金属プリカーサ膜とを形成した後、少なくともセレン源を有する雰囲気中にて熱処理を行って、CIS系又はCZTS系の光吸収層を形成する太陽電池の製造方法において、前記基板として長尺な可撓性の基板を用い、前記基板をロール状に巻き取った基板ロールから前記基板を引き出し、前記基板の搬送経路上で、前記基板の表面に電極層と金属プリカーサ膜とを形成し、次いで、前記基板を前記基板ロールから切り離すと共に、基板面どうしが接触しないように屈曲させて治具に保持させ、その状態で少なくともセレン源を有する雰囲気中に配置して前記熱処理を行うことを特徴とする。
本発明の太陽電池の製造方法は、前記熱処理後、前記基板を前記治具に保持させた状態で、Cd、Zn及びInから選ばれる少なくとも一種の元素を含む溶液に浸漬させて、溶液成長法により、Cd、Zn及びInから選ばれる少なくとも一種の元素を含むバッファ層を、前記光吸収層上に形成することが好ましい。
本発明の太陽電池の製造方法は、前記治具として複数のロール又は担持治具を用い、前記基板を前記ロール又は担持治具に張設しながらジグザグ状に屈曲させて、前記治具に保持させることが好ましい。
本発明の太陽電池の製造方法は、前記金属プリカーサ膜が、Cuと、In及び/又はGaとを少なくとも含有する金属膜、又は、Cuと、Znと、Snとを少なくとも含む金属膜であることが好ましい。
本発明の太陽電池の製造方法は、前記熱処理を、少なくともセレン源を有する雰囲気中で行った後、少なくとも硫黄源を有する雰囲気で行うことが好ましい。
本発明によれば、基板ロールから基板を引き出して、その搬送経路上で、基板の表面に電極層と金属プリカーサ膜とを形成するので、Roll to Rollプロセスで、基板上に電極層と金属プリカーサ膜とを形成することができる。また、金属プリカーサ膜の熱処理は、基板ロールから切り離して行うので、熱処理以降の工程は、Roll to Rollプロセスから切り離される。このため、金属プリカーサ膜の熱処理時も、金属プリカーサ膜の形成を継続できる。そして、金属プリカーサ膜の熱処理は、金属プリカーサ膜を形成した基板を、基板面どうしが接触しないように屈曲させて治具に保持させ、その状態で少なくともセレン源を有する雰囲気中に配置して行うので、熱処理装置内に、金属プリカーサ膜を形成した基板を効率よく収容でき、より小さい熱処理装置で、より長い基板を大量に熱処理できる。更には、基板面どうしが接触していないので、金属プリカーサ膜に反応ガスを十分に接触させて熱処理でき、製品の歩留まりを高めることができる。
太陽電池の一実施形態を示す概略図である。 基板の保持方法の一実施形態の工程図である。 基板の保持方法の一実施形態の工程図である。 基板の保持方法の一実施形態の工程図である。 基板の保持方法の他の実施形態の工程図であって、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。 基板の保持方法の他の実施形態の工程図である。 基板の保持方法の他の実施形態の工程図である。 熱処理装置の概略構成図である。 図8の熱処理装置の平面断面図であって、内部に治具保持基板を収容している状態を示す概略図である。 図8の熱処理装置の平面断面図であって、内部に治具保持基板を収容した状態を示す概略図である。 治具保持基板を溶液に浸漬して溶液成長法によりバッファ層を形成する工程を示す概略図である。 実施例で得られた太陽電池の太陽電池特性(電流−電圧曲線)を示す図である。
まず、本発明により製造される太陽電池の一実施形態について、図1を用いて説明する。
図1に示す太陽電池10は、サブストレート構造の太陽電池であって、基板1上に、裏面電極層2、光吸収層3、バッファ層4、透明電極層5が積層している。
基板1は、可撓性を有するものであればよく、特に限定はない。例えば、プラスチックフィルム基板、金属基板等が挙げられる。プラスチックフィルム基板としては、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、アクリルフィルム、アラミドフィルム等が挙げられる。金属基板としては、ステンレス薄板、アルミニウム薄板等が挙げられる。なお、基板1を光入射側に配置する場合には、基板1は透明性を有する材料で構成されている必要がある。
基板1には、バリア層、密着層等が形成されていてもよい。バリア層としては、特に限定は無いが、Si,TiN,CrN,Al,SiO等が挙げられる。密着層としては、特に限定は無いが、Ti,Cr,W等が挙げられる。
裏面電極層2は、少なくとも光吸収層3側に位置する層がMoを含有していることが好ましい。これによれば、Se等に対する腐食耐性が得られ、光吸収層3を形成する際における、裏面電極層2の腐食劣化を防止できる。
裏面電極層2のMoを含有する層(以下、Mo層という)は、膜厚が100〜1000nmであることが好ましく、400〜600nmがより好ましい。Mo層の膜厚が薄いと、Se等に対する腐食耐性が不十分な場合がある。Mo層の膜厚が厚いと、形成に時間がかかる等生産性が悪くなる。更には、基板との応力差によっては、剥離が生じやすくなる傾向にある。
裏面電極層2は、Moの単層であってもよいし、Moよりも電気抵抗率が小さい導電材料を含む金属層(以下、低抵抗金属層ともいう)と、Mo層との積層体で構成されていてもよい。
Moよりも電気抵抗率が小さい導電材料としては、20℃における電気抵抗率が5.3×10−8Ω・m未満の導電材料が好ましい。こうすることで、裏面電極層2の電気抵抗率を、Mo単独で構成した場合よりも効果的に小さくできる。Moよりも電気抵抗率が小さい導電材料の具体例としては、Ag、Cu、Au、Al、Mg、W及びこれらの合金が挙げられ、これらの1種又は2種以上を好ましく用いることができる。
また、裏面電極層を構成する金属層は、Na、K等のアルカリ金属を含有していてもよい。これによれば、裏面電極層2から光吸収層3にCIS系太陽電池の高効率化に必要なNa等が供給される。
光吸収層3は、CIS系又はCZTS系の光吸収層である。本発明においてCIS系の光吸収層とは、CuInSe、CuGaSe、Cu(In,Ga)Se、Cu(In,Ga)(S,Se)等の半導体化合物で形成された光吸収層を意味する。また、CZTS系の光吸収層とは、CuZnSnSe、CuZnSn(S,Se)等の半導体化合物で形成された光吸収層を意味する。
光吸収層3の膜厚は、種類により異なるが、おおよそ1.5〜2.5μmが好ましい。
バッファ層4は、禁止帯幅の広いn型の透明導電膜で構成される。好ましくは、Cd、Zn及びInから選ばれる少なくとも一種の元素を含む化合物である。具体的な化合物としては、CdS、ZnO、ZnS、Zn(OH)、ZnInSe、ZnMgO、In、In等が挙げられる。
透明電極層5は、ZnO、SnO、In、ITO等の透明性導電材料で構成される。
次に、図1に示す太陽電池の製造方法を例に挙げて、本発明の太陽電池の製造方法について説明する。
本発明では、基板として長尺な可撓性の基板を用いる。基板は、必要に応じて、前処理を行ってもよい。前処理としては、水、2−プロパノール等による洗浄処理、基板を加熱して基板が吸着した水や有機物等を除去する処理、基板に対して張力をかけながら加熱して、基板の残留応力を低減させるアニール処理等が挙げられる。
本発明では、上記基板をロール状に巻き取って、基板ロールとする。そして、基板ロールから基板を引き出し、基板の搬送経路上で、基板の表面に裏面電極層と金属プリカーサ膜とを形成する。
裏面電極層及び金属プリカーサ膜は、以下の(1)、(2)の方法等で形成できる。
(1)基板ロールから基板を引き出し、その搬送経路上で、基板表面に裏面電極層と金属プリカーサ膜とを連続して形成する方法。
(2)基板ロールから基板を引き出し、その搬送経路上で基板表面に裏面電極層を形成し、裏面電極層を形成した基板をロール状に巻き取って基板ロールとする。そして、基板ロールから、裏面電極層が形成された基板を引き出し、その搬送経路上で裏面電極層上に金属プリカーサ膜を形成する方法。
裏面電極層は、例えば、Moを含有する電極材料を用いて、スパッタ法、蒸着法等の方法で形成できる。また、Ag、Cu、Au、Al、Mg、W及びこれらの合金から選ばれる導電材料を含む電極材料を用いて低抵抗金属層を製膜し、次いで、低抵抗金属層上にMoを含有する電極材料を用いてMo層を製膜することで、低抵抗金属層にMo層が積層した裏面電極層を形成できる。電極材料には、CIS系太陽電池の高効率化に必要なNa、K等のアルカリ金属を含有させてもよい。
金属プリカーサ膜の形成方法は、特に限定は無い。スパッタ法、蒸着法、メッキ法、ナノ粒子印刷法等が挙げられる。なかでも、面内分布の小さい金属膜を効率よく製膜できるという理由からスパッタ法が好ましい。
金属プリカーサ膜の材質は、光吸収層の種類により異なる。CIS系の光吸収層を形成する場合は、金属プリカーサ膜として、Cuと、In及び/又はGaとを少なくとも含有する金属膜を形成する。また、CZTS系の光吸収層を形成する場合は、金属プリカーサ膜として、Cuと、Znと、Snとを少なくとも含む金属膜を形成する。
本発明では、このようにして金属プリカーサ膜を形成した後、基板を、基板ロールから切り離すと共に、基板面どうしが接触しないように屈曲させて治具に保持させる。
基板は、基板面どうしが接触しないように屈曲させて治具に保持させればよく、保持方法については特に限定はない。
基板の保持方法の一実施形態について、図2〜4を用いて説明する。
図2に示されるように、まず、基板ロール20から引出された基板21の先端部を、ロール状の治具31に固定する。治具への固定方法としては、特に限定は無い。例えば、基板固定板をねじで固定する、耐熱テープで治具に貼り付ける等が挙げられる。
次に、基板21の上下に、ロール状の治具32〜37を交互に位置をずらして配置する。この実施形態では、基板21の上面側及び下面側に治具を3個ずつ配置しているが、治具の数は特に限定しない。
次に、各治具32〜37を、基板ロール20から、遠いものから順に基板21に向かって移動させる。
そして、図3の矢印Aの部分で、基板21を切断して基板ロール20から切り離し、治具に固定する。
このようにすることで、図4に示されるように、基板21を、張設しながらジグザグ状に屈曲させて治具に保持させることができる。
なお、基板21の長さや、治具の数によっては、基板21を切断することなく、基板21を基板ロール20から切り離して治具に保持させることができる場合がある。
基板の保持方法の他の実施形態について、図5〜7を用いて説明する。
この実施形態では、治具としてピン状の担持治具を用いる。
まず、図5(a)、(b)に示されるように、基板ロール20から引出された基板21の先端部の短手方向両側を、ピン状の担持治具41,41で張設しながら固定する。
次に、先端部から所定間隔毎に、基板21の短手方向両側を、ピン状の担持治具42〜47で張設しながら固定する。
次に、治具42〜47を、遠いものから順に、交互に上下に移動させる。
そして、図6の矢印Aの部分で、基板21を切断して基板ロール20から切り離す。
このようにすることで、図7に示されるように、基板21を、張設しながらジグザグ状に屈曲させて治具に保持させることができる。なお、担持治具は、ピン状のものに限定されず、クリップ状、真空チャック機構、静電チャック機構など、治具で基板を担持できる形態であれば、いずれも好ましく用いることができる。
治具に保持された状態で、基板面どうしの間隔は、5〜100mmが好ましく、10〜20mmがより好ましい。基板面どうしの間隔が狭すぎると、熱処理時に反応ガスが金属プリカーサ膜に接触し難くなり、未反応の部分が生じて製品不良が生じることがある。また、基板面どうしの間隔が大きすぎると、熱処理装置に治具に保持した基板を収容する際に、収容効率が低下するので、生産効率が低下する。
また、金属プリカーサ膜の治具と接触している部分は、熱処理中に反応が進行しないため、製品として使用できない。このため、治具と金属プリカーサ膜との接触面積が小さくなるように、治具を選択することが好ましい。
また、金属プリカーサ膜の治具と接触する部分を、製品モジュール化における切断位置と合わせるように治具サイズ及び、治具と金属プリカーサ膜との接触位置を設計することで、材料の無駄をなくすことができる。
次に、治具に保持された基板を、熱処理装置に導入して熱処理を行う。
熱処理装置としては、特に限定は無い。セレン化法で用いられている公知の熱処理装置を用いることができる。
図8〜10を用いて、熱処理装置の一実施形態について説明する。
この熱処理装置50は、図8に示すように、反応ガス供給ライン51と、排ガスライン52とが接続している。反応ガス供給ライン51は、図示しない反応ガス供給源に接続している。また、排ガスライン52は、図示しない排ガス系に接続している。
図9,10を合わせて参照すると、熱処理装置50には、開閉扉53が設けられている。熱処理装置50内には、加熱ヒータ54と、搬送レール55とが設けられている。また、図示しないが、熱処理装置50内には、温度センサ、圧力センサ、反応ガス濃度センサ等の各種センサが設けられており、内部の状況をモニタリングして、熱処理条件を調整できるように構成されている。
この熱処理装置は、図9に示すように、開閉扉53を開き、治具に保持された基板(以下、治具保持基板という)60を、搬送レール55上に配置する。そして、搬送レール55上に配置した治具保持基板60を、図9の矢印Bの方向に沿って移動させる。熱処理装置50内に治具保持基板60を所定個数配置した後、開閉扉53を閉じることで、図10に示すように、熱処理装置50内に治具保持基板60を収容できる。
治具保持基板60の熱処理は、反応ガス供給ライン51から、窒素ガス等の不活性ガスで希釈したHSeガス等のセレン含有ガスを熱処理装置50内に導入して、少なくともセレン源を有する雰囲気中で行う。また、少なくともセレン源を有する雰囲気中で熱処理を行った後、内部のセレン雰囲気を真空ポンプなどにより一端排気し、その後、反応ガス供給ライン51から、窒素ガス等の不活性ガスで希釈したHS等の硫黄含有ガスを熱処理装置50内に導入して、少なくとも硫黄源を有する雰囲気中で更に熱処理を行ってもよい。セレン源を有する雰囲気で熱処理を行った後、更に硫黄源を有する雰囲気で熱処理を行うことで、発電効率に優れたCIS系やCZTS系の光吸収層を形成できる。
セレン源を有する雰囲気中での熱処理条件や、硫黄源を有する雰囲気中での熱処理条件は、金属プリカーサ膜の種類や、形成する光吸収層の種類によって異なる。
セレン源を有する雰囲気中での熱処理条件の具体例としては、例えば、基板温度を100〜200℃の状態から、350〜550℃まで徐々に昇温し、その状態で、好ましくは10〜240分、より好ましくは20〜120分保持して行う方法が挙げられる。また、セレン含有ガスのセレンのモル濃度は、1〜20モル%が好ましく、2〜10モル%がより好ましい。
硫黄源を有する雰囲気中での熱処理条件の具体例としては、例えば、基板温度を500〜650℃まで昇温し、好ましくは5〜120分、より好ましくは20〜120分保持して行うことが好ましい。また、硫黄含有ガスの硫黄のモル濃度は、1〜30モル%が好ましく、2〜20モル%がより好ましい。
このように熱処理することで、金属プリカーサ膜が反応して、CIS系やCZTS系の光吸収層が形成される。なお、熱処理時における基板温度の上限は使用する基板により異なる。
次に、熱処理を行って光吸収層を形成した治具保持基板60を熱処理装置50から取出し、光吸収層上に、Cd、Zn及びInから選ばれる少なくとも一種の元素を含むバッファ層を形成する。
バッファ層の形成方法は、特に限定は無く、従来公知の方法を用いることができる。例えば、溶液成長法(CBD:Chemical Bath Deposition)、蒸着法、スパッタ法、原子堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)、イオン層ガス反応法(Ion Layer Gas Reaction)、有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)等が挙げられる。なかでも、溶液成長法が好ましい。溶液成長法では、Cd、Zn、及びInから選ばれる少なくとも一種の元素を含む溶液に、光吸収層を形成した基板を浸漬することで、光吸収層上にCd、Zn及びInから選ばれる少なくとも一種の元素を含むバッファ層を形成できる。このように、溶液成長法は、装置構成が簡単であり、低コストで、密着性が高く、表面被覆性に優れたバッファ層を光吸収層上に形成できる。また、図11に示すように、浴槽71内の溶液72中に、治具保持基板60を、治具から基板を取り外すことなくそのまま浸漬して行うこともできるので、熱処理後の基板を治具から取り外して巻き戻す等の手間を省略できる。更には、一度に大量に処理することができるので、生産性に優れる。
次に、バッファ層上に、スパッタ法、蒸着法等の方法で透明電極層を形成する。バッファ層を治具に保持させた状態で溶液に浸漬して形成した場合は、治具から基板を取り外した後、透明電極層の形成工程を行う。
このようにして、図1に示すサブストレート型の太陽電池10を製造できる。
以上、サブストレート型の太陽電池を例に挙げて、本発明の太陽電池の製造方法について説明したが、本発明の太陽電池の製造方法は、スーパーストレート型の太陽電池や、両面受光型の太陽電池等、サブストレート型以外の太陽電池にも適用できる。
長さ1000mのポリイミドフィルムが巻き取られた基板ロールからポリイミドフィルムを引き出し、その搬送経路上で、スパッタ法によりMo膜を500nm製膜し、電極層を形成した。
次に、電極層上に、スパッタ法により、Cuと、Inと、Gaとを含有する金属膜からなる金属プリカーサ膜を1.5μm製膜した。
次に、金属プリカーサ膜を形成したポリイミドフィルムを、10m間隔で切断しながら、図2〜4に示す手順で治具に固定した。
次に、治具に固定したポリイミドフィルムを熱処理装置に収容し、装置内に窒素ガスで10%に希釈したHSeガスを供給し、基板温度は200℃から徐々に500℃まで昇温し、500℃で2時間保持して熱処理を行って、Cu(In,Ga)Seからなる半導体化合物で構成された光吸収層を2.0μm形成した。
次に、治具に固定したままの状態で、前記光吸収層を形成したポリイミドフィルムを、金属塩(CdSO)、硫化物(チオウレア)および錯化剤(アンモニア)を含有した水溶液中に60〜70℃で10〜15分間浸漬させ、溶液成長法により、CdSからなるバッファ層を50nm程度形成した。
次に、ポリイミドフィルムを治具から取り外し、スパッタ法にて、高抵抗バッファ層としてZnOを50〜100nm、透明導電膜としてZnO:Alを200〜400nm形成した。
このようにして、CIS系太陽電池の評価試験用小面積サンプルを製造した。
この太陽電池に、ソーラーシミュレータで、AM1.5、100mW/cmの光を照射して、電流−電圧曲線を求めた。図12に電流−電圧曲線を記す。また、電流−電圧曲線から、変換効率(η)、短絡電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、曲線因子(FF)を求めた。変換効率は12.3%、短絡電流は29.4mA/cm、開放電圧は0.592V、曲線因子は0.704であった。
本発明の方法により、発電特性の良い太陽電池を製造することができた。
1:基板
2:裏面電極層
3:光吸収層
4:バッファ層
5:透明電極層
10:太陽電池
20:基板ロール
21:基板
31〜37、41〜47:治具
50:熱処理装置
51:反応ガス供給ライン
52:排ガスライン
53:開閉扉
54:加熱ヒータ
55:搬送レール
60:治具保持基板
71:浴槽
72:溶液

Claims (5)

  1. 基板上に、少なくとも電極層と、金属プリカーサ膜とを形成した後、少なくともセレン源を有する雰囲気中にて熱処理を行って、CIS系又はCZTS系の光吸収層を形成する太陽電池の製造方法において、
    前記基板として長尺な可撓性の基板を用い、前記基板をロール状に巻き取った基板ロールから前記基板を引き出し、前記基板の搬送経路上で、前記基板の表面に電極層と金属プリカーサ膜とを形成し、次いで、前記基板を前記基板ロールから切り離すと共に、基板面どうしが接触しないように屈曲させて治具に保持させ、その状態で少なくともセレン源を有する雰囲気中に配置して前記熱処理を行うことを特徴とする太陽電池の製造方法。
  2. 前記熱処理後、前記基板を前記治具に保持させた状態で、Cd、Zn及びInから選ばれる少なくとも一種の元素を含む溶液に浸漬させて、溶液成長法により、Cd、Zn及びInから選ばれる少なくとも一種の元素を含むバッファ層を、前記光吸収層上に形成する請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
  3. 前記治具として複数のロール又は担持治具を用い、前記基板を前記ロール又は担持治具で張設しながらジグザグ状に屈曲させて、前記治具に保持させる請求項1又は2に記載の太陽電池の製造方法。
  4. 前記金属プリカーサ膜が、Cuと、In及び/又はGaとを少なくとも含有する金属膜、又は、Cuと、Znと、Snとを少なくとも含む金属膜である請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
  5. 前記熱処理を、少なくともセレン源を有する雰囲気中で行った後、少なくとも硫黄源を有する雰囲気で行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池の製造方法。
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