JP2014156438A - 有機性ヨウ素含有組成物の製造方法 - Google Patents

有機性ヨウ素含有組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機性ヨウ素含有組成物の製造方法として、肝油に対するヨウ素の付加反応を穏やかに且つ効率よく進行させ、急激な発熱に伴う酸化反応や重合反応を抑え、生成物の増粘を防止し、樹脂状スラッジの副生を著しく低減し得る手段を提供する。
【解決手段】軟骨魚類の肝油を30℃以上で113.7℃未満の温度に加温し、この肝油中に撹拌下で固体ヨウ素を肝油100質量部に対して1〜15質量部の割合で添加して付加反応させる。
【選択図】なし

Description

この発明は、健康食品や医薬品として有用な有機ヨウ素製剤の原料に用いられる有機性ヨウ素含有組成物の製造方法に関する。
有機性ヨウ素は、日本食品分析センターによる毒性試験を始めとする各種の安全性試験の結果から証明されているように、劇薬とされる無機質のヨウ素とは異なり、人体に対して副作用がなく安全に経口投与できる強力な抗活性酸素剤であり、放射線障害の防止、免疫力強化、多くの難病治療等に有用であることが知られている。因みに、古くは牧野民蔵博士及び飯島登博士による1920年頃から1935年頃にかけての研究成果として、タラ肝油、龍脳、クレオソート及びヨウ素から製造されたヨウ素製剤(通称:マキノヨウドもしくはネオ・エキス)は、高血圧症、血管硬化症、結核、喘息、胃潰瘍、白血病等の他、癌やエイズ等の多岐にわたる薬効があると報告されている。また、ヨード(ヨウ素)による癌(乳ガン)の増殖抑制効果も期待されるとの報告もある(非特許文献1)。更に、有機性ヨードには、新陳代謝機能を活性化し、ホルモンバランスを調整する作用、疲労回復作用、血管を清浄・強化する作用があることも報告されている(非特許文献2)。
このような有機性ヨウ素は、一般的に、タラ、サメ、エイ等の軟骨魚類の肝油、もしくは該肝油から抽出した油脂成分に、ヨウ素を熱付加する方法によって製造される。そして、従来の製造方法では、ヨウ素(融点113.7℃)が溶けて反応するように、上記肝油又は油脂成分を115〜160℃程度に加熱した状態で、試薬特級の顆粒状ヨウ素を添加し、油脂の分子中の二重結合にヨウ素を付加させる熱付加反応を行うようにしている。
日本癌治療学会誌、1994年3月号 生命医科学情報センター「有機性ヨードについて」,監修:聖マリアンナ医科学大学名誉教授 医学博士 飯島登,online検索日2012年10月18日,インターネットhttp://seimei-ikagaku.info/pdf/yodo_nituite.pdf
しかしながら、前記従来の有機性ヨウ素の製造方法では、付加反応中に往々にして急激な発熱を生じ、反応を制御できなくなり(所謂、暴走反応)、ヨウ素が激しく沸騰して有害なヨウ素ガスとして系外に散逸する危険性がある上、生成物の著しい粘度上昇をきたしたり、重合物による黒い樹脂状スラッジが副生することも多々あった。その著しい高粘度品では、有機ヨウ素製剤としてソフトカプセル化する際、カプセルに注入できなくなるという致命的な問題を生じる。また、副生した樹脂状スラッジは、体内で消化しにくい重合物であるが、フィルターを通しても微細なものが残留する上、反応容器の壁面や底部に固着し易く、この固着物は有機溶剤にも不溶ないし難溶であるため、その剥離・洗浄に多大な労力及び時間を要する他、反応容器の底栓弁に固着すると生成物の抜き出しが困難になるという問題があった。
前記のように有害なヨウ素ガスが発生するのは、軟骨魚類の肝油のヨウ素価が150以上と高く、油脂分子の二重結合が多く存在し、またヨウ素の付加反応が発熱反応であるため、高密度で溶けずに反応容器の底部に沈降した顆粒状のヨウ素が一挙に溶出した場合等、条件によって急激な発熱を生じ、その熱と光によって酸化反応や重合反応が更に発熱を伴って暴走し、系内の温度がヨウ素の沸点184℃以上に一気に上昇してヨウ素の激しい沸騰を招くことによる。そこで、急激な発熱を抑えるために、通常はヨウ素を少量ずつ添加して均一に分散させつつ付加反応させる方法が採られているが、それでも前記の酸化反応や重合反応による粘度上昇と重合物の生成は避けられず、その重合物が沈降する顆粒状のヨウ素を絡めて樹脂状スラッジを生じることになる。
この発明は、上述の事情に鑑みて、有機性ヨウ素含有組成物の製造方法として、肝油に対するヨウ素の付加反応を穏やかに且つ効率よく進行させ、急激な発熱に伴う酸化反応や重合反応を抑え、もって生成物の増粘を防止すると共に、樹脂状スラッジの副生を著しく低減し得る手段を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1の発明に係る有機性ヨウ素含有組成物の製造方法は、軟骨魚類の肝油を30℃以上で113.7℃未満の温度に加温し、この肝油中に撹拌下で固体ヨウ素を肝油100質量部に対して1〜15質量部の割合で添加して付加反応させることを特徴としている。
請求項2の発明は、上記請求項1の有機性ヨウ素含有組成物の製造方法において、前記固体ヨウ素が顆粒状又はフレーク状である構成としている。
ウ素含有組成物の製造方法。
請求項3の発明は、上記請求項1又は2の有機性ヨウ素含有組成物の製造方法において、前記肝油を50〜90℃に加温する構成としている。
請求項4の発明は、上記請求項1〜3のいずれかの有機性ヨウ素含有組成物の製造方法において、前記肝油に対し、固体ヨウ素を複数回に分けて添加する構成としている。
請求項5の発明は、上記請求項1〜4のいずれかの有機性ヨウ素含有組成物の製造方法において、前記肝油100質量部にグリセリン1〜10質量部を混合した液に、固体ヨウ素を添加して付加反応させる構成としている。
請求項6の発明は、上記請求項1〜5のいずれかの有機性ヨウ素含有組成物の製造方法において、前記付加反応後の生成物に龍脳1〜15質量部を加え、100〜130℃で龍脳を溶解させる構成としている。
請求項1の発明に係る有機性ヨウ素含有組成物の製造方法によれば、軟骨魚類の肝油をヨウ素の融点(113.7℃)より低い加温状態で固体ヨウ素を添加して付加反応させるから、該付加反応は固液反応になる。従って、この付加反応では、添加した固体ヨウ素が一挙に溶出して急激な発熱を生じることはなく、且つ肝油に対する固体ヨウ素の添加量が適度な範囲にあるから、熱による酸化反応や重合反応が抑えられ、制御不能に陥る懸念はなく、もってヨウ素が沸騰して有毒なヨウ素ガスを発生することはない。また、前記の酸化反応や重合反応が抑えられることで、反応生成物の増粘を生じにくくなると共に、樹脂状スラッジの副生が少なくなる。しかして、付加反応自体は、穏やかであっても、撹拌下で固体ヨウ素の粒子表面全体に肝油が常に接触しつつ流動するから、高い反応効率が得られる。
請求項2の発明によれば、固体ヨウ素が顆粒状又はフレーク状であるから、付加反応時の急激な発熱はより生じにくくなり、反応生成物の増粘と樹脂状スラッジの副生がより少なくなる。
請求項3の発明によれば、肝油の温度を50〜90℃に設定するから、少ない発熱で充分な反応性が得られると共に、反応生成物が非常に低粘度で、樹脂状スラッジの副生も僅少になる。
請求項4の発明によれば、固体ヨウ素を複数回に分けて添加するから、付加反応時の急激な発熱がより確実に抑えられる。
請求項5の発明によれば、肝油に予め特定量のグリセリンを混合するから、付加反応時の固体ヨウ素の分散性が向上すると共に、固体ヨウ素の粒子表面に生成した肝油・ヨウ素の付加物である有機性ヨウ素がグリセリンに溶出して、該固体ヨウ素の粒子表面が常時更新され、もって反応効率が著しく高められる。
請求項6の発明によれば、付加反応後の生成物に特定量の龍脳を加えて特定温度範囲で熱溶解させるから、付加反応後に残存していた未反応ヨウ素が油脂に付加してなくなると共に、肝油特有の臭気が龍脳によってマスキングされて消失し、また有機ヨウ素製剤としての薬効に龍脳による炎症抑制作用も加わることになる。
この発明の有機性ヨウ素含有組成物の製造方法では、軟骨魚類の肝油を30℃以上で113.7℃未満の温度に加温し、この肝油中に撹拌下で固体ヨウ素を添加して付加反応させることにより、油脂・ヨウ素の付加物である有機性ヨウ素を生成させる。
この場合、ヨウ素の融点は113.7℃であるから、該融点より低い温度の肝油に固体ヨウ素を添加して行う上記の付加反応は、液状の肝油と固体ヨウ素との固液反応になる。すなわち、この固液反応では、固体ヨウ素の粒子表面と液状の肝油との界面で付加反応を生じるから、従来の如く肝油をヨウ素の融点以上の加熱して付加反応を行う場合のように固体ヨウ素が一挙に溶出して急激な発熱を生じることはなく、熱による酸化反応や重合反応が抑えられる。従って、この製造方法においては、従来のように反応が暴走して制御不能に陥る懸念はなく、ヨウ素が沸騰して有毒なヨウ素ガスを発生するような事態には至らず、付加反応の生成物(有機性ヨウ素含有組成物)の増粘を生じにくくなると共に、樹脂状スラッジの副生も少なくなる。一方、付加反応自体は、発熱が少なく穏やかであっても、撹拌下で固体ヨウ素の粒子表面全体に肝油が接触しつつ流動することで、固液界面が常に更新されるから、高い反応効率が得られる。
上記付加反応における肝油の加温温度は、既述のように30℃以上で113.7℃未満の範囲であるが、好ましくは100℃以下とすることで樹脂状スラッジの副生が激減し、特に50〜90℃の範囲では高い反応性を確保して且つ充分な低粘性で有機ヨウ素製剤用として高品位の生成物が得られる。なお、50℃より低い肝油温度では付加反応の速度が遅く、未反応のヨウ素が少量残存するが、反応後の系内を100〜130℃程度に加熱して一定時間(1時間程度)保持する熟成を行うことで、未反応のヨウ素も肝油に付加して存在しなくなる。
上記の軟骨魚類の肝油としては、タラ肝油、サメ肝油、エイ肝油等が挙げられるが、例えばサメ肝油から抽出されるスクワレン(テルペノイド油脂)のように、肝油からの抽出物も包含される。なお、この発明で軟骨魚類の肝油を用いるのは、一般にヨウ素価が150以上と高く、且つ常温で液状を呈し、固まらない性質があるため、ヨウ素の付加反応による有機性ヨウ素の生成に適することによる。
固体ヨウ素としては、特に制約されないが、有機ヨウ素製剤に用いる上で試薬特級の如き高純度のものが望ましく、また付加反応を穏やかに進行させるために顆粒状又はフレーク状のものが好適である。
この固体ヨウ素の添加量は、肝油100質量部に対して1〜15質量部の範囲であり、1質量部未満では反応生成物中の有機性ヨウ素含有量が過少になり、逆に15質量部より多くなると発熱による反応生成物の増粘及び樹脂状スラッジの副生が顕著になる。なお、付加反応時の過度な発熱を確実に抑える上で、固体ヨウ素は複数回、好適には5回以上に分けて添加することが推奨される。
また、付加反応の効率を高めるために、肝油に予めグリセリンを加えておくことが推奨される。このグリセリンは有機性ヨウ素つまり肝油・ヨウ素の付加物を溶解し易いため、その存在下で付加反応を行うことにより、固体ヨウ素の粒子表面に生成した有機性ヨウ素がグリセリンに溶出し、もって該粒子表面が常時更新されて高い反応性を持続できることに加え、肝油中での固体ヨウ素の分散性も向上するから、速やかに固液反応が進むことになる。また、グリセリンを加えることで、樹脂状スラッジの副生も少なくなることが認められている。このグリセリンの添加量は、肝油100質量部に対し、1〜10質量部の範囲が好適である。なお、他の代表的な多価アルコールであるエチレングリコールやプロピレングリコールは、肝油・ヨウ素の付加物が難溶である上、健康食品や医薬品の含有成分としては不適当である。
更に、本発明の有機性ヨウ素含有組成物の製造方法においては、前記付加反応後の生成物に龍脳(d−ボルネオールとも称される二環式モノテルペンで粉末状)を加え、100〜130℃で龍脳を溶解させることが推奨される。すなわち、付加反応後に上記温度範囲で加熱することにより、反応生成物中に残存していた未反応ヨウ素が全て肝油に付加して存在しなくなると共に、肝油特有の臭気が龍脳によってマスキングされて消失するから、有機ヨウ素製剤とした場合の品位が高まり、また該製剤の薬効に龍脳による炎症抑制作用も加わるという利点がある。なお、この龍脳の添加量は、肝油100質量部に対し、1〜15質量部の範囲が好適である。ただし、肝油抽出物のスクワレンの場合、龍脳の溶解性が25℃で約1質量%と低いため、龍脳を多く添加できない。
上記の製造方法によって得られる有機性ヨウ素含有組成物は、肝油・ヨウ素の付加物である有機性ヨウ素を多く含んでヨウ素価が高く、抗活性酸素剤として極めて有用であり、しかも低粘度であるためにソフトカプセルに容易に注入でき、もってソフトカプセル化した健康食品や医薬品用の高品位のヨウ素製剤として製品化できると共に、低粘度であることで例えば木クレオソート等の他の有効成分を配合し易いという利点もある。また、上記のように付加反応時の樹脂状スラッジの副生が非常に少ないため、製造に用いた反応容器の清掃も容易になる。
以下に、この発明による有機性ヨウ素含有組成物の製造例について、発明の規定外条件での製造例(比較例)との対比を含めて具体的に説明する。なお、以下で%とあるのは重量%を意味する。使用した原料成分は次のとおりである。また、記載した粘度はB型粘度計による測定値である。
〔原料成分〕
タラ肝油・・・・・アラスカ産タラ肝油(ヨウ素価154.8、ケン化価184.7、 酸価4.0、25℃粘度37cp、比重0.914)組成:オレイン 酸14.8%、リノール酸3.4% 、リノレイン酸18.8%、EPA19.2%、 DHA11.3%、その他の不飽和脂肪酸14.2%、飽和脂肪酸18.2%
スクワレン・・・・マルハニチロ食品社製のサメ肝油抽出物(ヨウ素価365.8、
酸価0.0、比重0.856)
顆粒状ヨウ素・・・和光純薬社製の試薬特級、平均粒度約2mm
グリセリン・・・・日油社製の食添グリセリン
龍脳・・・・・・・小城製薬社製のd−ボルネオール(融点208℃)
〔製造例1〕
タラ肝油400gを1L丸底フラスコに入れ、系内の空気を窒素ガスで置換したのち、湾曲平羽根撹拌翼によって200rpmで撹拌しつつ、オイルバスにて後記表1記載の各温度に加温し、顆粒状ヨウ素40gを4時間で10回に分けて均等量分割投入(24分間隔で1回4g)して付加反応させ、暗黒色液状の有機性ヨウ素含有組成物を製造した。その結果を後記表1に示す。なお、樹脂状スラッジ副生量は、反応後の生成物を抜き出して200メッシュの布を通し、その布の残渣分とフラスコ内に付着したスラッジを各々計量して合算したものである。
Figure 2014156438
表1の結果から、タラ肝油の温度と生成物の粘度及び樹脂状スラッジ副生量との間に強い相関があり、肝油温度がヨウ素の融点(113.7℃)以上である場合(製造No.1-6)は、乾性油であるタラ肝油及びヨウ素付加物が熱重合して著しく増粘し、且つ樹脂状スラッジの副生も多くなっている。これに対し、肝油温度が低くなるほど生成物の粘度は低下し、樹脂状スラッジの副生も少なくなり、特に100℃以下(製造No.1-1〜1-4)では樹脂状スラッジの副生が激減している。また、肝油温度がヨウ素の融点より低い製造No.1-1〜1-5 の生成物はヨウ素価が計算値に近いものになっており、肝油の油脂成分の二重結合にヨウ素が確実に付加していることが判る。しかるに、肝油温度が130℃の製造No.1-6の生成物は、生成物のヨウ素価が計算値(99.1)より大幅に低下しており、油脂成分の二重結合の多くが熱重合に使われていることが想定される。
なお、肝油温度が50℃以下の製造No.1-1及び1-2 の生成物では、付加反応の速度が遅いことより、少量の未反応ヨウ素の残存がヨウ素価より推測された。そこで、この生成物に水を加えて分散させ、24時間放置後、でんぷん水溶液による呈色試験を行って遊離のヨウ素を定性したところ、僅かに着色が認められ、未反応ヨウ素の存在が確認された。これに対し、肝油温度を70℃とした製造No.1-3の生成物では、同様の呈色試験の結果、未反応ヨウ素は存在しないことが判明した。
〔製造例2〕
タラ肝油400gに予めグリセリンを後記表2記載の各配合量で加え、前記製造例1と同様にして、70℃の加温下で顆粒状ヨウ素40gを2時間及び4時間の反応時間内で10回に分けて均等量分割投入して付加反応させ、有機性ヨウ素含有組成物を製造した。その結果を後記表2に示す。
Figure 2014156438
表2の結果から、肝油温度70℃では付加反応が比較的に進みにくい条件になるが、肝油中のグリセリンの存在によって反応が促進され、ヨウ素価から推測して2時間の反応時間で付加が完了していることが判る。また、グリセリンの配合で樹脂状スラッジの副生も少なくなっている。
〔製造例3〕
ドラフト排気装置付きの屋内で、容量200Lでスチームジャケット付きのSUS316L製反応釜にアンカー型攪拌機を反応釜底部に接するように付設し、この反応釜に後記表3記載の肝油又は肝油とグリセリンの表記量を仕込み、150rpmの撹拌下でスチームジャケットに2kg/cm2・Gのスチームを導入して表記温度に加温し、表記量の顆粒状ヨウ素を表記反応時間内で10回に分けて均等量分割投入し、付加反応を行ったのち、反応生成物を底栓弁から200メッシュフィルターを通して抜き出すことにより、暗黒色液状の有機性ヨウ素含有組成物を得た。その結果を後記表3に示す。












Figure 2014156438
表3の結果から、肝油温度をヨウ素の融点より低く、特に好ましくは50〜90℃として付加反応を行うことにより、熱重合が抑えられて極めて低粘性で計算値に近いヨウ素価の生成物(有機性ヨウ素含有組成物)が得られており、樹脂状スラッジの副生も非常に少なくなっている。これに対し、肝油温度をヨウ素の融点以上とした製造No. 3-5〜3-8では、生成物は高粘性であって、樹脂状スラッジの副生も多い上、反応中の急発熱とヨウ素ガスの発生も認められている。また、製造No. 3-5〜3-8で副生して反応釜の内面にこびりついた樹脂状スラッジは、キシレンの如き無極性溶剤でも溶解できず、洗浄のために手作業で剥がし取らねばならなかった。
〔製造例4〕
前記製造例3と同様の反応釜を用い、タラ肝油100kgに予めグリセリン3kgを添加混合して70℃に加温し、前記製造例3と同様にして顆粒状ヨウ素10kgを4時間の反応時間内で10回に分けて均等量分割投入して付加反応させたのち、70℃で30分間熟成し、次いで反応生成物に龍脳10kgを添加し、撹拌下で110℃にて30分間保持して熟成させ、前記製造例3と同様にして生成物を底栓弁から抜き出してヨウ素含有組成物116.4kg(収率97.0%)を得た。得られたヨウ素含有組成物は、粘度(25℃)が81cp、ヨウ素価が86.5であり、また前記製造例1と同様のでんぷん水溶液による呈色試験の結果、未反応のヨウ素は認められなかった。なお、付加反応時の発熱は少なく、樹脂状スラッジ副生率は0.02%であった。
〔製造例5〕
前記製造例3と同様の反応釜を用い、スクワレン100kgに予めグリセリン3kgを添加混合して70℃に加温し、前記製造例3と同様にして顆粒状ヨウ素10kgを3時間の反応時間内で10回に分けて均等量分割投入して付加反応させたのち、70℃で30分間熟成し、次いで反応生成物に龍脳1kgを添加し、撹拌下で110℃にて30分間保持して熟成させ、前記製造例3と同様にして生成物を底栓弁から抜き出してヨウ素含有組成物を製造した。得られたヨウ素含有組成物は、粘度(25℃)が46cp、ヨウ素価が290.6であり、また前記製造例1と同様のでんぷん水溶液による呈色試験の結果、未反応のヨウ素は認められなかった。なお、付加反応時の発熱は少なく、樹脂状スラッジ副生率は0.02%であった。

Claims (6)

  1. 軟骨魚類の肝油を30℃以上で113.7℃未満の温度に加温し、この肝油中に撹拌下で固体ヨウ素を肝油100質量部に対して1〜15質量部の割合で添加して付加反応させることを特徴とする有機性ヨウ素含有組成物の製造方法。
  2. 前記固体ヨウ素が顆粒状又はフレーク状である請求項1に記載の有機性ヨウ素含有組成物の製造方法。
  3. 前記肝油を50〜90℃に加温する請求項1又は2に記載の有機性ヨウ素含有組成物の製造方法。
  4. 前記肝油に対し、固体ヨウ素を複数回に分けて添加する請求項1〜3のいずれかに記載の有機性ヨウ素含有組成物の製造方法。
  5. 前記の肝油100質量部にグリセリン1〜10質量部を混合した液に、固体ヨウ素を添加して付加反応させる請求項1〜4のいずれかに記載の有機性ヨウ素含有組成物の製造方法。
  6. 前記付加反応後の生成物に龍脳1〜15質量部を加え、100〜130℃で龍脳を溶解させる請求項1〜5のいずれかに記載の有機性ヨウ素含有組成物の製造方法。
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