JP2014156089A - 搬送装置及び画像記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】逆転する搬送ローラに押し当てられたシートを頭出し位置まで正確に搬送できる搬送装置を提供する。
【解決手段】当該装置は、給送処理(S12)と、シートの先端が第2搬送ローラに押し当てられた時点(S13:Yes)からシートの先端を到達させる頭出し処理(S14〜S16)とを実行し、さらに頭出し処理において、不揮発性で且つ書き換え可能な記憶部に記憶されている調整値に基づいて、単位時間当たりのパルス信号の数に応じた大きさの駆動電流をモータに入力する第1制御処理(S15)を頭出し処理の前半(S14:No)において実行し、パルス信号の数によって特定されるシートの先端位置と、経過時間に応じた目標位置とに応じて駆動電流を増減させる第2制御処理(S16)を頭出し処理の後半(S14:Yes)において実行する。
【選択図】図4

Description

本発明は、逆回転する搬送ローラにシートの先端を押し当てることにより、当該シートの斜行を矯正する搬送装置及び画像記録装置に関する。
従来より、搬送ローラによって搬送されたシートに画像を記録する画像記録装置が知られている。従来の画像記録装置は、例えば、シートを所定の改行幅ずつ搬送する搬送ローラと、搬送ローラによって搬送されたシートの所定の改行幅の領域毎に画像を記録する記録部とを備える。そして、上記のような画像記録装置において、シートを正確且つ高速に所定の改行幅だけ搬送するために、搬送ローラを駆動するモータを適切に制御する技術が知られている(特許文献1参照)。
また、従来の画像記録装置は、斜行を矯正するためにシートの先端を逆転している搬送ローラに押し当てる斜行矯正動作を実行した後で、搬送ローラを正転に切り替えて頭出し位置までシートを搬送する機能を有するものがある。なお、頭出し位置とは、最初に画像が記録される領域が記録部と対面するシートの位置である。
特開2012−215947号公報
しかしながら、上記の斜行矯正動作によってシートの先端が搬送ローラに強く押し当てられた状態で搬送ローラを逆転から正転に切り替えると、搬送ローラが本来より早く回転してしまう現象が生じる場合がある。そして、搬送ローラの回転速度がロータリエンコーダの検出性能を上回るとシートの先端位置を正確に検出できなくなり、結果としてシートを頭出し位置に正確に停止できなくなるという課題を生じる。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、逆転する搬送ローラに押し当てられたシートを頭出し位置まで正確に搬送できる搬送装置、及びこのような搬送装置を備えた画像記録装置を提供することである。
(1) 本発明に係る搬送装置は、シートを搬送向きに搬送する正転が可能な第1搬送ローラと、上記第1搬送ローラより上記搬送向きの下流側に配置され、上記第1搬送ローラによって搬送されたシートを上記搬送向きに搬送する正転、及び上記正転と逆向きの逆転が可能な第2搬送ローラと、第1向き及び上記第1向きと逆向きの第2向きに回転可能なモータと、上記モータの上記第1向きの回転によって上記第1搬送ローラを正転させ且つ上記第2搬送ローラを逆転させ、上記モータの上記第2向きの回転によって上記第2搬送ローラを正転させ且つ上記第1搬送ローラへの駆動伝達を解除するローラ回転機構と、上記モータの回転に応じてパルス信号を出力する信号出力部と、上記信号出力部から単位時間当たりに出力されるパルス信号の数が多いほど上記モータに入力する駆動電流を小さくするための調整値を記憶する不揮発性で且つ書き換え可能な記憶部と、上記モータの回転を制御する制御部とを備える。上記制御部は、上記信号出力部から出力されたパルス信号をカウントするカウント処理と、上記モータを上記第1向きに回転させる給送処理と、上記給送処理によってシートの先端が上記第2搬送ローラに押し当てられた時点から上記モータを上記第2向きに回転させることによって、上記第2搬送ローラより上記搬送向きの下流側に位置する頭出し位置にシートの先端を到達させる頭出し処理とを実行する。そして、上記制御部は、上記頭出し処理における上記駆動電流を制御する処理であって、上記記憶部に記憶されている上記調整値に基づいて、上記カウント処理においてカウントした単位時間当たりのパルス信号の数に応じた大きさの上記駆動電流を上記モータに入力する第1制御処理を、上記頭出し処理の前半において実行する。また、上記制御部は、上記カウント処理においてカウントしたパルス信号の数によって特定されるシートの先端位置と、経過時間に応じて予め定められた目標位置とに応じて上記駆動電流を増減させる第2制御処理を、上記頭出し処理の後半において実行する。
上記構成によれば、頭出し処理の前半において第1制御処理が実行され、第2搬送ローラの実際の回転速度に応じた駆動電流がモータに入力される。具体的には、モータに入力される駆動電流は、第2搬送ローラの回転速度の単位時間当たりの増加量が大きいほど、小さくなる。その結果、第2搬送ローラの回転速度が信号出力部の検出性能を上回ることを防止できるので、シートを頭出し位置に正確に停止させることができる。
(2) 例えば、上記制御部は、上記第1制御処理において、上記モータに入力可能な電流の最大値Imax、上記カウント処理においてカウントしたパルス信号の数によって特定される上記第2搬送ローラの回転速度ω、及び上記調整値αに基づいて算出される上記駆動電流U(ω)=Imax−αω、を上記モータに入力する。そして、上記調整値αは、上記モータにImaxの電流を入力した場合の上記回転速度をωmax、及び上記モータにImaxの電流を入力した場合に逆起電力によって低下する電流の大きさをIdとすると、Id/ωmaxより大きい。
(3) 第1の例として、上記制御部は、外部から新たな上記調整値を取得する調整値取得処理と、上記調整値取得処理において取得した新たな上記調整値を、上記記憶部に記憶させる上書き処理とをさらに実行する。
(4) 第2の例として、上記制御部は、上記カウント処理においてカウントしたパルス信号の数によって特定される上記第2制御処理の開始時点における上記回転速度と、上記目標回転速度との差に応じた新たな上記調整値を算出する調整値算出処理と、上記調整値算出処理において算出した新たな上記調整値を、上記記憶部に記憶させる上書き処理とをさらに実行する。
モータの性能や各構成要素の取り付け誤差などが搬送装置毎にばらつくので、同一の調整値を与えた全ての搬送装置で適切な制御が実現されるとは限らない。そのため、搬送装置毎に決定された最適な調整値で第1制御処理を実行するのが望ましい。第1の例は、外部装置で算出された新たな調整値を取得するものである。第2の例は、搬送装置自身が新たな調整値を算出する例である。いずれの場合であっても、搬送装置それぞれに対して調整値を最適化できる。
(5) 第2の例の具体例として、上記制御部は、上記調整値算出処理において、上記記憶部に記憶されている調整値α、上記回転速度ωc、上記目標回転速度ωr、及び定数aを、式αnew=α+(ωc−ωr)/aに入力することにより、新たな上記調整値αnewを算出する。
(6) 本発明に係る画像記録装置は、上記記載の搬送装置と、上記第2搬送ローラによって搬送されたシートに画像を記録する記録部とを備える。
上記構成によれば、シートを頭出し位置に正確に停止させることができるので、高品質な画像記録を実現できる。
本発明によれば、頭出し処理における第2搬送ローラの速度超過を抑制できるので、逆転レジされたシートを頭出し位置まで正確に搬送できる搬送装置、及びこのような搬送装置を備えた画像記録装置を得ることができる。
図1は、複合機10の外観斜視図である。 図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。 図3は、複合機10の構成を表すブロック図である。 図4は、画像記録処理のフローチャートである。 図5は、頭出し処理を実行する搬送モータ制御部140のブロック図である。 図6は、調整値α=0.1で頭出し処理を実行したときの搬送ローラ60の回転速度ω及び駆動電流U(ω)の推移を示す図である。 図7は、調整値α=0.08で頭出し処理を実行したときの搬送ローラ60の回転速度ωの推移を細線で示し、駆動電流U(ω)の推移を太線で示す図である。 図8は、調整値α=0.06で頭出し処理を実行したときの搬送ローラ60の回転速度ωの推移を細線で示し、駆動電流U(ω)の推移を太線で示す図である。 図9は、頭出し処理に最速搬送制御を適用したときの搬送ローラ60の回転速度ωの推移を細線で示し、駆動電流U(ω)の推移を太線で示す図である。 図10は、調整値更新処理のフローチャートである。 図11は、調整値αと定常速度ωcとの関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10は、概ね直方体に形成されている。また複合機10は、下部にインクジェット記録方式で記録用紙12(図2参照)に画像を記録するプリンタ部11(本発明の搬送装置、或いは画像記録装置の一例)が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
プリンタ部11には、正面に開口13が形成されている。プリンタ部11には、各種サイズの記録用紙12を収容可能な給紙トレイ20が、開口13を通じて前後方向8に挿抜可能である。排紙トレイ21は、給紙トレイ20の上側に設けられている。
図2に示されるように、プリンタ部11は、給紙部15と、搬送ローラ部54と、記録部24と、排出ローラ部55と、プラテン42とを備えている。給紙部15は、給紙トレイ20から記録用紙12をピックアップして搬送路65に給送する。搬送ローラ部54は、給紙部15によって搬送路65に給送された記録用紙12を搬送向き16の下流側に搬送する。記録部24は、搬送ローラ部54によって搬送された記録用紙12に画像を記録する。排出ローラ部55は、記録部24によって画像が記録された記録用紙12を排紙トレイ21に排出する。プラテン42は、搬送ローラ部54に搬送される記録用紙12を支持する。
[給紙部15]
図2に示されるように、プリンタ部11の開口13に装着された状態の給紙トレイ20の上側には、給紙部15が設けられている。給紙部15は、給紙ローラ25(本発明の第1搬送ローラの一例)と、給紙アーム26と、軸27とを備えている。給紙ローラ25は、給紙アーム26の先端側に回転可能に設けられている。給紙ローラ25は、搬送モータ102(図3参照)から正転駆動力を付与されて、記録用紙12を搬送向き16に搬送する向きに回転(すなわち、正転)する。給紙アーム26は、プリンタ部11のフレームに支持された軸27に回動可能に設けられている。給紙アーム26は、自重或いはバネ等による弾性力によって給紙トレイ20側へ回動付勢されている。
[搬送路65]
図2に示されるように、搬送路65は、プリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって形成される空間を指す。搬送路65は、給紙トレイ20の後端部を基点としてプリンタ部11の後方側に延び、プリンタ部11の後方側において下方から上方に延びつつUターンし、記録部24を経て排紙トレイ21に至る通路である。より詳細には、搬送路65は、搬送ローラ部54の挟持位置、プラテン42の上側、及び排出ローラ部55の挟持位置を経て排紙トレイ21へ通じている。なお、搬送路65内における記録用紙12の搬送向き16は、図2において一点鎖線の矢印で示されている。
[搬送ローラ部54]
搬送ローラ部54は、図2に示されるように、搬送路65における給紙部15よりも搬送向き16の下流側で、且つ搬送路65における記録部24よりも搬送向き16の上流側に設けられている。搬送ローラ部54は、搬送モータ102によって駆動される搬送ローラ60(本発明の第2搬送ローラの一例)と、搬送ローラ60の回転に伴って連れ廻るピンチローラ61とを有する。搬送ローラ60とピンチローラ61とは、記録用紙12を挟持し、当該記録用紙12を搬送向き16に搬送する。
搬送ローラ60は、記録用紙12を搬送向きに搬送する正転(図2の例では、反時計回り)と、正転と逆向きの逆転(図2の例では、時計回り)とに回転可能である。正転と逆転との切り替えは、例えば、搬送モータ102の回転向きを反転させることによって実現できる。また、図2に示されるピンチローラ61は、正転する搬送ローラ60に伴って時計回りに回転し、逆転する搬送ローラ60に伴って反時計回りに回転する。
[排出ローラ部55]
排出ローラ部55は、図2に示されるように、搬送路65における記録部24よりも搬送向き16の下流側に設けられている。排出ローラ部55は、搬送モータ102によって駆動される排出ローラ62と、排出ローラ62の回転に伴って連れ廻る拍車63とを有する。排出ローラ62と拍車63とは、記録用紙12を挟持し、当該記録用紙12を搬送向き16に搬送する。
排出ローラ62は、記録用紙12を搬送向きに搬送する正転(図2の例では、時計回り)と、正転と逆向きの逆転(図2の例では、反時計回り)とに回転可能である。正転と逆転との切り替えは、例えば、搬送モータ102の回転向きを反転させることによって実現できる。また、図2に示される拍車63は、正転する排出ローラ62に伴って反時計回りに回転し、逆転する排出ローラ62に伴って時計回りに回転する。
[ローラ回転機構104]
また、図3に示されるように、搬送モータ102の駆動力は、ローラ回転機構104によって給紙ローラ25、搬送ローラ60、及び排出ローラ62に伝達される。ローラ回転機構104は、歯車、プーリ、無端環状のベルト、遊星歯車機構(振子ギヤ機構)、及びワンウェイクラッチ等の全部又は一部を組み合わせて構成される。ローラ回転機構104は、搬送モータ102の正転駆動によって、給紙ローラ25を正転させ且つ搬送ローラ60及び排出ローラ62を逆転させる。また、ローラ回転機構104は、搬送モータ102の逆転駆動によって、搬送ローラ60及び排出ローラ62を正転させ且つ給紙ローラ25への駆動伝達を解除する。
なお、「給紙ローラ25への駆動伝達を解除する」とは、搬送モータ102の駆動力が給紙ローラ25に伝達されない状態にすることである。具体的には、搬送モータ102と給紙ローラ25との間の駆動力の伝達経路にワンウェイクラッチを配置し、搬送モータ102の正転駆動力が給紙ローラ25に伝達され、搬送モータ102の逆転駆動力が給紙ローラ25に伝達されないようにすればよい。また、上記の構成は、ワンウェイクラッチに代えて振子ギヤ機構や電磁クラッチ機構を配置することによっても実現できる。これにより、搬送モータ102が逆転駆動しているときの給紙ローラ25は、搬送ローラ部54によって搬送向き16に搬送される記録用紙12と当接して連れ廻る。
[プラテン42]
図2に示されるように、搬送路65の下側には、搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間の位置、すなわち、搬送ローラ部54より搬送向き16の下流側で且つ排出ローラ部55より搬送向き16の上流側に、プラテン42が設けられている。プラテン42は、搬送路65を搬送される記録用紙12を下側から支持する部材である。
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、搬送路65の上側において、搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の間の位置に設けられている。記録部24は、ガイドレール(不図示)に沿って左右方向9に移動可能なキャリッジ23と、キャリッジ23に搭載された記録ヘッド39と、記録ヘッド39の下面に形成されたノズル40とを備える。記録ヘッド39の下面には、インクカートリッジから供給されたインクを、微小なインク滴として吐出するノズル40が設けられている。すなわち、記録部24は、キャリッジ23が左右方向9に移動する過程において、プラテン42に支持されている記録用紙12に対してノズル40からインク滴を吐出する。これにより、記録用紙12に画像が記録される。
[レジストセンサ160]
図2に示されるように、搬送路65の搬送ローラ部54よりも搬送向き16の上流側には、公知のレジストセンサ160が設けられている。レジストセンサ160は、記録用紙12が当該レジストセンサ160を通過したことを検出するためのセンサである。レジストセンサ160を記録用紙12が通過すると、レジストセンサ160は、後述する制御部130に検知信号としてローレベル信号(つまり「信号レベルが閾値未満の信号」)を出力する。一方、記録用紙12がレジストセンサ160を通過しない場合、レジストセンサ160は、制御部130に検知信号としてハイレベル信号(つまり「信号レベルが閾値以上の信号」)を出力する。
[ロータリエンコーダ170]
また、図3に示されるように、搬送ローラ60の回転(換言すれば,搬送モータ102の回転)に応じてパルス信号を発生させる周知のロータリエンコーダ170が設けられている。ロータリエンコーダ170は、エンコーダディスクと、光学センサとを備える。搬送ローラ60の回転と共にエンコーダディスクが回転し、回転するエンコーダディスクを光学センサが読み取り、パルス信号を発生する。光学センサは、発生したパルス信号を制御部130に出力する。
[制御部130]
図3に示されるように、制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、ASIC135、及び外部I/F136を備えている。これらは内部バス137によって接続されている。ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。外部I/F136は、複合機10の外部装置との間で情報を送受信するインタフェースである。
ASIC135には、搬送モータ102及びキャリッジモータ103が接続されている。ASIC135は、各モータを回転させるための駆動信号をCPU131から取得し、駆動信号に応じた駆動電流を各モータに出力する。各モータは、ASIC135からの駆動電流によって、正転駆動(本発明の第1向きの回転の一例)又は逆転駆動(本発明の第2向きの回転の一例)する。例えば、制御部130は、搬送モータ102の駆動を制御して各ローラを回転させる。また、制御部130は、キャリッジモータ103の駆動を制御してキャリッジ23を往復移動させる。さらに、制御部130は、記録ヘッド39を制御してノズル40からインクを吐出させる。
また、ASIC135には、レジストセンサ160の光学センサと、ロータリエンコーダ170の光学センサとが接続されている。制御部130は、レジストセンサ160から出力される検知信号と、ロータリエンコーダ170から出力されるパルス信号とに基づいて、記録用紙12の位置を検出する。より詳細には、ASIC135は、ロータリエンコーダ170の光学センサから取得したパルス信号を、レジストセンサ160の光学センサからローレベル信号を取得した時点からカウントする。そして、ASIC135は、カウントされたパルス信号の数によって記録用紙12の先端の位置を検出することができる。
[制御部130による制御]
図4及び図5を参照して、複合機10による画像記録処理を説明する。画像記録処理は、制御部130のCPU131によって実行される。なお、以下の各処理は、ROM132に記憶されているプログラムをCPU131が読み出して実行してもよいし、制御部130に搭載されたハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、複合機10に電源が投入されてから電源が落とされるまでの間、制御部130は、図4に示されるフローチャートに記載の画像記録処理を繰り返し実行する。
まず、制御部130は、ユーザから画像記録指示を取得するまで待機する(S11:No)。画像記録指示の取得先は特に限定されないが、例えば、複合機10に設けられた操作パネルを通じて取得してもよいし、通信ネットワークで接続された外部機器から外部I/F136を通じて取得してもよい。画像記録指示は、各ローラ、キャリッジ23、及び記録ヘッド39を制御部130に制御させることで、記録用紙12への画像記録を行わせる指示である。
制御部130は、画像記録指示を取得すると(S11:Yes)、給紙トレイ20が収容している記録用紙12を搬送路65に給送する給送処理を実行する(S12)。詳細には、制御部130は、搬送モータ102を正転駆動することによって、給紙ローラ25を正転させ且つ搬送ローラ部54及び排出ローラ部55を逆転させる。これにより、給紙ローラ25は、給紙トレイ20上の記録用紙12を搬送路65に送り出す。また、制御部130は、ロータリエンコーダ170から出力されるパルス信号をカウントするカウント処理を開始する。カウント処理は、図4に示される各処理と並行して、図4に示される画像記録処理が終了(RETURN)するまで継続される。
給送処理(S12)は、記録用紙12の先端(「搬送向き16の下流側の端部」を指す。以下同じ。)が搬送ローラ部54に押し当てられるまで継続される(S13)。記録用紙12の先端が逆転している搬送ローラ部54に押し当てられると、記録用紙12の斜行が矯正される。また、記録用紙12は、逆転する搬送ローラ部54によって搬送向き16の移動が規制された状態で給紙ローラ25によって搬送向き16に押されるので、搬送路65内で撓みを生じる。
すなわち、「記録用紙12の先端が搬送ローラ部54に押し当てられた状態」とは、記録用紙12の先端が搬送ローラ部54に到達した状態から、記録用紙12が給紙ローラ25によってさらに搬送向き16に押された状態を指す。換言すれば、給紙ローラ25によって記録用紙12が搬送路65内で撓みを生じる程度に搬送ローラ部54に押圧されている状態を指す。なお、記録用紙12をどの程度撓ませるかは、記録用紙12の種類(普通紙、光沢紙、厚紙)等によって適宜設定される。
制御部130は、カウント処理によってカウントされたパルス信号の数が、レジストセンサ160からローレベル信号を取得した時点から所定の閾値に達するまで給送処理(S12)を継続する。なお、上述の所定の閾値は、レジストセンサ160の位置に到達した記録用紙12の先端が搬送ローラ部54に押し当てられるのに必要な搬送距離に相当するパルス信号の数である。すなわち、所定の閾値は、上述の搬送距離だけ記録用紙12を搬送させるのに必要な給紙ローラ25の回転量(換言すれば、搬送モータ102の回転量)に相当するパルス信号の数である。
次に、記録用紙12の先端が搬送ローラ部54に押し当てられると(S13:Yes)、制御部130は、給紙処理(S12)を終了し、頭出し処理(S14〜S16)を開始する。具体的には、制御部130は、正転駆動している搬送モータ102を逆転駆動に切り替える。頭出し処理とは、搬送ローラ部54に押し当てられた記録用紙12を頭出し位置に到達させる処理である。頭出し位置とは、記録用紙12のうちの最初に画像が記録される領域と記録ヘッド39とが対面する位置であって、搬送ローラ部54より搬送向き16の下流側の位置である。
図5は、頭出し処理(S14〜S16)を実行する搬送モータ制御部140の機能ブロック図である。搬送モータ制御部140は、制御部130に含まれる機能ブロックであって、上述したように、プログラムによって実現されてもよいし、ハードウェア回路によって実現されてもよい。搬送モータ制御部140は、頭出し処理において搬送モータ102に入力する駆動電流を制御する。搬送モータ制御部140は、第1制御処理部141と、第2制御処理部142と、選択部143と、駆動電流出力部144とを備える。
第1制御処理部141は、カウント処理においてカウントした単位時間当たりのパルス信号の数に応じて駆動電流の大きさを示す電流指令値を決定し、決定した電流指令値を選択部143に出力する第1制御処理を実行する。具体的には、第1制御処理部141は、単位時間当たりのパルス信号の数が多いほど電流指令値を小さくし、単位時間当たりのパルス信号の数が少ないほど電流指令値を大きくする。なお、本実施形態においては、電流指令値が小さくなるほど駆動電流が小さくなり、電流指令値が大きいほど駆動電流が大きくなるものとする。この第1制御処理は、頭出し処理の前半において実行される。より詳細には、第1制御処理は、頭出し処理の開始と同時に実行され、記録用紙12の先端が切替位置に達するまで継続される。切替位置とは、搬送路65上における搬送ローラ60及びピンチローラ61の接触位置と頭出し位置との間の予め定められた位置である。第1制御処理の詳細は、後述する。
第2制御処理部142は、記録用紙12の先端位置と、頭出し処理の開始時点からの経過時間に応じて定められる目標位置との差に応じて駆動電流の大きさを示す電流指令値を決定し、決定した電流指令値を選択部143に出力する第2制御処理を実行する。具体的には、第2制御処理部142は、単位時間毎の記録用紙12の先端位置が、対応する目標位置に達していない場合に電流指令値を増加させ、対応する目標位置を超えている場合に電流指令値を減少させる。この第2制御処理は、頭出し処理の後半において実行される。より詳細には、第2制御処理は、記録用紙12の先端が切替位置に到達した時点から頭出し位置に達するまで継続される。第2制御処理の具体的な処理内容は、後述する。
選択部143は、第1制御処理部141から出力された電流指令値、及び第2制御処理部142から出力された電流指令値の一方を駆動電流出力部144に出力するスイッチである。すなわち、記録用紙12の先端が切替位置に到達するまでは(S14:No)、第1制御処理部141によって第1制御処理が実行され(S15)、第1制御処理部141から出力された電流指令値が選択部143を通じて駆動電流出力部144に出力される。一方、記録用紙12の先端が切替位置に到達してからは(S14:Yes)、第2制御処理部142によって第2制御処理が実行され(S16)、第2制御処理部142から出力された電流指令値が選択部143を通じて駆動電流出力部144に出力される。そして、駆動電流出力部144は、選択部143から取得した電流指令値によって特定される大きさの駆動電流を搬送モータ102に出力する。
第1制御処理部141は、第1制御処理(S15)を実行する電流指令値演算部145を備える。具体的には、電流指令値演算部145は、下記の式1によって電流指令値U(ω)[A]を算出する。なお、下記の式1において、Imax[A]は、搬送モータ102に入力可能な電流の最大値(以下、「最大電流Imax」と表記する。)を示す値である。また、ω[ips(記録用紙12を1秒間でωインチ搬送するのに必要な回転量)]は、カウント処理においてカウントしたパルス信号の数によって特定される搬送ローラ60の回転速度である。さらに、αは、単位時間当たりのパルス信号の数(すなわち、搬送ローラ60の回転速度)に応じた電流指令値U(ω)を算出するための調整値である。最大電流Imax及び調整値αは、EEPROM134(本発明の不揮発性で且つ書き換え可能な記憶部の一例)に記憶されている。一方、回転速度ωは、カウント処理においてカウントされたパルス信号の数から算出される。
U(ω)=Imax−αω ・・・(式1)
電流指令値演算部145は、頭出し処理の開始から記録用紙12の先端が切替位置に達するまでの期間、計測された搬送ローラ60の回転速度ωに応じた電流指令値U(ω)を式1に基づいて単位時間毎に算出し、選択部143に出力する。これにより、搬送モータ102の回転を正転駆動から逆転駆動に切り替えた瞬間に最も大きい電流指令値U(0)=Imaxが出力され、搬送ローラ60の回転速度ωの増加に伴って徐々に電流指令値U(ω)が減少する。すなわち、調整値αは、単位時間当たりのパルス信号の数が多いほど電流指令値U(ω)を小さくし、単位時間当たりのパルス信号の数が少ないほど電流指令値U(ω)を大きくするための値である。
その結果、図6〜図8に示されるように、搬送モータ102に入力される駆動電流U(ω)は、最大値Imaxから単調減少し、定常電流Icに収束する。これに伴って、搬送ローラ60の回転速度ωは、0から単調増加し、定常速度ωcに収束する。なお、定常速度ωcに収束するとは、定常速度ωcに対する搬送ローラ60の回転速度ωの誤差が所定の閾値未満である状態が一定期間継続した状態を指す。定常電流Icに収束するのも同様である。また、電流指令値は駆動電流の大きさを示す制御信号であり、駆動電流は電流指令値に示される大きさの電流そのものであり、実質的には同じものを指す。そこで、本明細書中では、電流指令値と駆動電流とを同じ記号U(ω)で表記する。
第2制御処理部142は、目標位置取得部146と、加算器147と、電流指令値演算部148とによって第2制御処理(S16)を実行する。まず、目標位置取得部146は、目標位置取得処理を単位時間毎に実行することにより、頭出し処理の開始時点からの経過時間に応じた記録用紙12の先端の目標位置を取得し、取得した目標位置を加算器147に出力する。
なお、第2制御処理では、搬送ローラ60の回転速度ωを一定に保って記録用紙12を搬送する定速区間と、搬送ローラ60の回転速度ωを減速させて記録用紙12を頭出し位置に停止させる減速区間とに分けて制御が行われる。例えば、プリンタ部11を構成する各構成要素(典型的には、搬送ローラ60や搬送モータ102)に大きな負荷が掛からない程度の加速度で、定常速度ωcで回転している搬送ローラ60を停止させるのに必要な距離が減速区間として確保される。そして、第2制御処理の開始位置から減速区間の開始位置までが定速区間とされる。
目標位置取得部146は、記録用紙12の先端が定速区間に位置する場合に、下記の式2によって目標位置Prを算出する。なお、定速区間においては、目標加速度Ar=0、目標速度Vr=ωcとされる。また、式1において、Taは第1制御処理の実行時間(すなわち、第1制御処理の開始から終了までの時間)を指し、Pmは第1制御による記録用紙12の搬送距離を指し、tは頭出し処理の開始時点からの経過時間を指す。すなわち、第2制御処理の定速区間では、定常速度ωcで搬送ローラ60を定速回転させたときの記録用紙12の先端位置が目標位置とされる。
Pr=Vr×(t−Ta)+Pm ・・・(式2)
一方、目標位置取得部146は、記録用紙12の先端が減速位置に位置する場合に、下記の式3によって目標加速度Arを算出し、下記の式4によって目標速度Vrを算出し、下記の式5によって目標位置Prを算出する。なお、Tdは減速区間を記録用紙12が通過するのに必要な時間を指し、Tbは頭出し処理の開始から減速区間の開始(換言すれば、定速区間の終了)までの経過時間を指す。すなわち、第2制御処理の減速区間では、時間の経過と共に徐々に0に近づくよう変化する目標加速度Arに従って搬送ローラ60を回転させたときの記録用紙12の先端位置が目標位置とされる。
Figure 2014156089
Figure 2014156089
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加算器147は、目標位置取得部146から取得した目標位置から、カウント処理においてカウントされたパルス信号の数に基づいて特定される記録用紙12の現在位置を減算し、結果を電流指令値演算部148に出力する。すなわち、加算器147での演算結果が正の値である場合、記録用紙12の先端位置は目標位置に到達していないことになる。一方、加算器147での演算結果が負の値である場合、記録用紙12の先端位置は目標位置を超えていることになる。
電流指令値演算部148は、加算器147から取得した演算結果に基づいて電流指令値Uを決定し、決定した電流指令値Uを選択部143に出力する。具体的には、電流指令値演算部148は、加算器147の演算結果が正の値ある場合に、新たな電流指令値Ucを前回決定した電流指令値Upより大きな値とし、且つ演算結果の絶対値が大きいほど増加幅(Uc−Up)を大きくする。一方、電流指令値演算部148は、加算器147の演算結果が負の値ある場合に、新たな電流指令値Ucを前回決定した電流指令値Upより小さな値とし、且つ演算結果の絶対値が大きいほど減少幅(Up−Uc)を大きくする。
なお、搬送モータ102に生じる逆起電力或いは搬送ローラ部60の滑り等の影響によって、記録用紙12の先端位置は、常に目標位置に一致するとは限らず、目標位置に対して前後する。そのため、定速区間における駆動電流は、定常電流Icを挟んで僅かに増減を繰り返すことになる。また、減速区間における駆動電流は、僅かな増減を繰り返しながら全体としては減少し続ける。
頭出し処理(S14〜S16)が終了すると、制御部130は、記録用紙12のうちの搬送向き16に沿う所定の幅の記録領域(換言すれば、記録用紙12の記録ヘッド39に対面する領域)に対して画像を記録する記録処理を実行する(S17)。より詳細には、制御部130は、キャリッジ23を左右方向9の一方から他方に移動させる過程において、記録ヘッド39のノズル40にインクを吐出させる。
次に、制御部130は、当該記録用紙12に対する画像記録が終了したか否かを判断する(S18)。画像記録が終了していなければ(S18:No)、制御部130は、記録用紙12を搬送向き16に所定の改行幅だけ搬送させる間欠搬送処理を実行する(S19)。詳細には、制御部130は、搬送モータ102を所定の回転数だけ逆転駆動することによって、少なくとも搬送ローラ部54及び排出ローラ部55の一方に記録用紙12を所定の改行幅だけ搬送させる。その結果、次に画像記録が行われる記録用紙12の領域が、記録ヘッド39に対向する。
以降、当該記録用紙12に対する画像記録が終了(S18:Yes)するまで、制御部130は、ステップS17〜S19の処理を繰り返し実行する。そして、当該記録用紙19に対する画像記録が終了したと判断されると(S18:Yes)、制御部130は、記録用紙12を排出トレイ21に排出する(S20)。具体的には、制御部130は、搬送モータ102を所定の回転数だけ逆転駆動することによって、排出ローラ部55に記録用紙12を排出させる。
[本実施形態の作用効果]
上記構成によれば、頭出し処理(S14〜S16)の前半において第1制御処理(S15)が実行され、搬送ローラ60の実際の回転速度ωに応じた駆動電流U(ω)が搬送モータ102に入力される。その結果、図6〜図8を参照すれば明らかなように、第1制御処理における搬送ローラ60の回転速度ωは、停止状態(ω=0)から単調増加し、定常速度ωcで安定する。換言すれば、搬送モータ102の回転速度ωの最大値が実質的に定常速度ωcに一致する(厳密には、収束後も定常速度ωcを僅かに上回ることがある)。
これに対して、頭出し処理に最速搬送制御を適用した場合、搬送ローラ60の回転速度ω及び駆動電流U(ω)は、図9に示されるように推移する。最速搬送制御とは、搬送ローラ60の回転速度ωが定常速度ωcに達するまで最大電流Imaxを入力し続け、定常速度ωcに達した後は定常速度ωcが維持されるように駆動電流U(ω)を増減させる処理である。図9を参照すれば明らかなように、最速搬送制御を実行した場合の搬送ローラ60の回転速度ωは、定常速度ωcに収束する直前に、定常速度ωcより明らかに大きいピークを生じる。このピーク時の回転速度ωがロータリエンコーダ170の光学センサの読取性能を上回ると、記録用紙12の先端位置を正確に補足することができず、結果として記録用紙12を頭出し位置に正確に停止させることができなくなる。
一方、頭出し処理に本実施形態の第1制御処理を適用した場合、図6〜図8に示されるように、搬送ローラ60の回転速度ωに顕著なピークが生じることはない。すなわち、本実施形態によれば、頭出し処理における搬送ローラ60の回転速度ωにピークが生じるのを防止できるので、記録用紙12のを頭出し位置に正確に停止させることができる。
[調整値更新処理]
なお、搬送モータ102の性能や各構成要素の取り付け誤差などが複合機10毎にばらつくので、同一の調整値αを与えた全ての複合機10で適切な制御が実現されるとは限らない。そこで、本実施形態における複合機10は、EEPROM134に調整値αを記憶させておき、必要に応じて新たな調整値αnewに上書き可能な構成となっている。以下、図10及び図11を参照して、調整値更新処理を説明する。
まず、複合機10の組み立て時点では、共通の調整値α(例えば、α=0.07)が与えられる(S31)。共通の調整値αは、例えば、頭出し処理における定常速度ωcが目標速度ωrとなるように算出された理論値であってもよい。また、調整値αは、例えば、下記のような範囲の値を取り得る。
まず、調整値αの下限値は、搬送モータ102のカタログスペックに基づいて決定することができる。具体的には、搬送モータ102に最大電流Imaxを入力した場合に逆起電力によって低下する電流の大きさIdを、搬送モータ102に最大電流Imaxを入力した場合の搬送ローラ60の回転速度ωmaxで除した商(すなわち、Id/ωmax)が調整値αの下限値となる。
また、頭出し処理に本実施形態の第1制御処理を適用したとしても、調整値αが小さすぎると搬送ローラ60の回転速度ωにピークが生じる可能性がある。そこで、調整値αは、上述の下限値より大きく、且つ搬送ローラ60の回転速度ωにピークが生じない程度に大きい値が望ましい。さらに、図6〜図8に示されるように、調整値αが小さいほど定常速度ωcが大きくなる傾向がある。そこで、調整値αは、上述の下限値より大きく、且つ定常速度ωcがロータリエンコーダ107の光学センサの読取性能を上回らない程度に大きな値が望ましい。
一方、調整値αが大きすぎると、搬送ローラ60の回転速度ωの僅かな変動で駆動電流U(ω)が急激に変動する。その結果、特に第1制御処理の開始直後において、搬送ローラ60の回転速度ωが激しく増減し、記録用紙12をスムーズに搬送できなくなる可能性がある。そこで、調整値αは、第1制御処理において、定常速度ωcに至るまでの搬送ローラ60の回転速度ωが単調増加する程度に小さな値が望ましい。
次に、制御部130は、ステップS31で設定された調整値αを用いて頭出し処理を実行する(S32)。頭出し処理の詳細は既に説明したので、再度の説明は省略する。また、制御部130は、この頭出し処理において、カウント処理においてカウントしたパルス信号の数に基づいて定常速度ωcを計測し、記憶しておく。例えば、制御部130は、第2制御処理の開始時点における搬送ローラ60の回転速度ωを定常速度ωcとする。
次に、制御部130は、ステップS31で設定された調整値αの基礎となった目標速度ωrと、ステップS32で計測された定常速度ωcとの差に応じた新たな調整値αnewを算出する(S33)。そして、制御部130は、EEPROM134に記憶されている調整値αを、ステップS33で算出した新たな調整値αnewで上書きする(S34)。
具体的には、制御部130は、下記の式6に基づいて新たな調整値αnewを算出することができる。なお、式6におけるaは、図11に示される近似直線の傾きを指す。図11は、ある複合機10において調整値αを変化させて測定した定常速度ωcのプロットと、複数のプロットに対する近似直線とを示す図である。図11の例における近似直線は、傾きa=−249.98、切片b=37.776で特定される。そして、式6は、ステップS31における目標速度ωrと、ステップS32で計測された定常速度ωcとの差に応じて、図11に示される近似直線を平行移動させることに相当する。
αnew=α+(ωc−ωr)/a ・・・(式6)
上記の処理によれば、複合機10毎に決定された最適な調整値αで第1制御処理を実行することができる。なお、新たな調整値αnewを算出する調整値算出処理(図10のステップS32、S33)と、調整値算出処理で算出された新たな調整値αnewをEEPROM134に記憶させる上書き処理(S34)とを、制御部130が実行する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、制御部130は、ステップS32で計測された定常速度ωcを外部I/F136を通じて外部装置に送信し、外部装置で算出された新たな調整値αnewを外部I/F136を通じて取得し、取得した新たな調整値αnewをEEPROM134に記憶させてもよい。さらには、外部装置は、算出した新たな調整値αnewを複合機10のEEPROM134に直接書き込むような構成であってもよい。
なお、上記の実施形態では、給紙ローラ25、搬送ローラ60、及び排出ローラ62を共通の搬送モータ102で駆動する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、給紙ローラ25、搬送ローラ60、及び排出ローラ62をそれぞれ別のモータで駆動してもよい。
また、上記の実施形態では、搬送装置の一例としてインクジェット記録方式のプリンタ部11を備える複合機10の例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、レーザー記録方式のプリンタに適用してもよいし、画像読取装置において原稿を搬送するフィーダに適用してもよい。
11・・・プリンタ部
24・・・記録部
25・・・給紙ローラ
60・・・搬送ローラ
102・・・搬送モータ
104・・・ローラ回転機構
130・・・制御部
170・・・ロータリエンコーダ

Claims (6)

  1. シートを搬送向きに搬送する正転が可能な第1搬送ローラと、
    上記第1搬送ローラより上記搬送向きの下流側に配置され、上記第1搬送ローラによって搬送されたシートを上記搬送向きに搬送する正転、及び上記正転と逆向きの逆転が可能な第2搬送ローラと、
    第1向き及び上記第1向きと逆向きの第2向きに回転可能なモータと、
    上記モータの上記第1向きの回転によって上記第1搬送ローラを正転させ且つ上記第2搬送ローラを逆転させ、上記モータの上記第2向きの回転によって上記第2搬送ローラを正転させ且つ上記第1搬送ローラへの駆動伝達を解除するローラ回転機構と、
    上記モータの回転に応じてパルス信号を出力する信号出力部と、
    上記信号出力部から単位時間当たりに出力されるパルス信号の数が多いほど上記モータに入力する駆動電流を小さくするための調整値を記憶する不揮発性で且つ書き換え可能な記憶部と、
    上記モータの回転を制御する制御部と、を備えており、
    上記制御部は、
    上記信号出力部から出力されたパルス信号をカウントするカウント処理と、
    上記モータを上記第1向きに回転させる給送処理と、
    上記給送処理によってシートの先端が上記第2搬送ローラに押し当てられた時点から上記モータを上記第2向きに回転させることによって、上記第2搬送ローラより上記搬送向きの下流側に位置する頭出し位置にシートの先端を到達させる頭出し処理と、を実行し、
    上記制御部は、上記頭出し処理における上記駆動電流を制御する処理であって、
    上記記憶部に記憶されている上記調整値に基づいて、上記カウント処理においてカウントした単位時間当たりのパルス信号の数に応じた大きさの上記駆動電流を上記モータに入力する第1制御処理を、上記頭出し処理の前半において実行し、
    上記カウント処理においてカウントしたパルス信号の数によって特定されるシートの先端位置と、経過時間に応じて予め定められた目標位置とに応じて上記駆動電流を増減させる第2制御処理を、上記頭出し処理の後半において実行する搬送装置。
  2. 上記制御部は、上記第1制御処理において、上記モータに入力可能な電流の最大値Imax、上記カウント処理においてカウントしたパルス信号の数によって特定される上記第2搬送ローラの回転速度ω、及び上記調整値αに基づいて算出される上記駆動電流U(ω)=Imax−αω、を上記モータに入力し、
    上記調整値αは、上記モータにImaxの電流を入力した場合の上記回転速度をωmax、及び上記モータにImaxの電流を入力した場合に逆起電力によって低下する電流の大きさをIdとすると、Id/ωmaxより大きい請求項1に記載の搬送装置。
  3. 上記制御部は、
    外部から新たな上記調整値を取得する調整値取得処理と、
    上記調整値取得処理において取得した新たな上記調整値を、上記記憶部に記憶させる上書き処理と、をさらに実行する請求項1又は2に記載の搬送装置。
  4. 上記制御部は、
    上記カウント処理においてカウントしたパルス信号の数によって特定される上記第2制御処理の開始時点における上記回転速度と、上記目標回転速度との差に応じた新たな上記調整値を算出する調整値算出処理と、
    上記調整値算出処理において算出した新たな上記調整値を、上記記憶部に記憶させる上書き処理と、をさらに実行する請求項1又は2に記載の搬送装置。
  5. 上記制御部は、上記調整値算出処理において、上記記憶部に記憶されている調整値α、上記回転速度ωc、上記目標回転速度ωr、及び定数aを、式αnew=α+(ωc−ωr)/aに入力することにより、新たな上記調整値αnewを算出する請求項4に記載の搬送装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の搬送装置と、
    上記第2搬送ローラによって搬送されたシートに画像を記録する記録部と、を備える画像記録装置。
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