JP2014153053A - 磁界検出装置、電流検出装置、半導体集積回路、および、磁界検出方法 - Google Patents

磁界検出装置、電流検出装置、半導体集積回路、および、磁界検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】一定抵抗として用いる参照用素子を用いて、検出用素子の磁界応答性のオフセットを補正することで、磁界検出装置における0点出力の制御を容易にする。
【解決手段】2個以上の検出用素子101,102と、2個以上の参照用素子111,112と、検出用素子101,102の自由層の磁化困難軸方向にバイアス磁界を印加して検出用素子の磁界応答性におけるオフセットを補正する磁界印加用配線151とを備え、参照用素子および検出用素子は磁化方向が固定された固着層と外部磁界によって磁化方向が変化する自由層とが積層された構造を有し、参照用素子111,112は、固着層の磁化方向と自由層の無磁界における磁化方向とが平行の状態のものと反平行の状態のものとを含み、検出用素子101,102は、固着層の磁化方向と自由層の無磁界における磁化方向とが異なる。
【選択図】図5

Description

本発明は、磁界検出装置、電流検出装置、半導体集積回路、および、磁界検出方法に関し、特に、巨大磁気抵抗効果もしくはトンネル磁気抵抗効果により磁界検出を行う磁界検出装置、電流検出装置、半導体集積回路、および、磁界検出方法に関するものである。
近年、磁気抵抗効果素子として、従来の巨大磁気抵抗(GMR:giant-magnetoresistance)効果に対してより大きな抵抗変化率が得られるトンネル磁気抵抗(TMR:tunneling magnetoresistance)効果を有するTMR素子が開発され、メモリおよび磁気ヘッドなどへの応用が進められている。
磁気抵抗(MR:magnetoresistance)効果は、磁性体に磁界を加えることにより電気抵抗が変化する現象であり、磁界検出装置や磁気ヘッドなどに利用されている。GMR素子においては強磁性層/金属層/強磁性層からなる積層構造が用いられ、TMR素子においては、強磁性層/絶縁層/強磁性層からなる積層構造が用いられる。これらの素子においては、外部磁界によって2つの強磁性層のスピンを互いに平行(0°)あるいは反平行(180°)に設定することにより、GMR素子では、強磁性/金属層界面での電子の散乱確率に依存して抵抗が変化することを利用しており、TMR素子では、膜面垂直方向の絶縁層を流れるトンネル電流の大きさが変化することが利用されている。GMR素子やTMR素子では、抵抗変化を検出することにより、2層の強磁性層の相対的な磁化方向を検出することが可能である。
これらの磁気抵抗効果素子では、一方の強磁性層を反強磁性層と交換結合させて、その強磁性層の磁化を固定していわゆる固着層とし、他方の強磁性層の磁化を外部磁界で容易に反転することのできる自由層とする、いわゆるスピンバルブ型構造が知られている。
スピンバルブ型構造の磁気抵抗効果素子は、金属層や絶縁層を介した強磁性層間の磁気的な相互作用を抑制することが可能であり、高感度な磁界検出装置として用いることが可能である。スピンバルブ型磁気抵抗効果素子に外部から磁界が印加されると、固着層の磁化は理想的には完全に固定されているために、自由層の磁化のみが外部印加磁界に応じて回転する。これにより、2つの強磁性層の磁化の相対角が変化し、磁気抵抗効果により素子抵抗が変化する。この抵抗値の変化を、たとえば素子に定電流を流した状態で電圧の変化として検出する。この電圧変化が印加された磁界に応じて変化する信号として読出され、高感度の磁界検出が可能となる。
さらに、単体の磁気抵抗効果素子における抵抗変化を検出するのではなく、4個の磁気抵抗効果素子を用いてホイートストンブリッジ回路を形成し、かつ、固着層の磁化方向が逆向きの素子を組合せることで、磁界が存在しない場合の出力を0とし、高出力な磁界検出装置を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、固着層の磁化方向が逆向きである2個の磁気抵抗効果素子を直列に接続したハーフブリッジ回路でも、2個の磁気抵抗効果素子の抵抗比で出力信号が決定されるため、温度や製造工程に起因した抵抗変動の影響を抑制することが可能である。
しかしながら、上記のブリッジ回路の技術を実現するために、同一基板上に固着層の磁化方向が異なる磁気抵抗効果素子を形成する必要がある。この形成工程では、それぞれの固着層に対して、熱処理中に方向の異なる磁界を印加する必要がある。より具体的には、反強磁性層とそれに接する強磁性層の交換結合が観測されなくなる、ブロッキング温度以上に固着層を加熱し、この際に局所的な磁界を印加する必要がある。一般的には、基板に対して均一な磁界を印加する磁界中の熱処理が用いられるが、この場合は形成が不可能である。一般的な均一磁界による磁界中の熱処理を用いて前述のブリッジを形成する場合は、同一基板上に複数の素子を形成した後に、基板を切断し、180°回転した方向に設置する必要があり、切断した基板の配置や電気的な接続をするための工程が必要となるという問題点があった。また、検出装置全体としての基板面積が増大するという問題点があった。
また、例えば特許文献2に記載の他の従来技術では、固着層の磁化方向は同一であって、自由層の磁化容易軸方向が異なる複数の磁気抵抗効果素子を用いる技術を提案している。この技術では、検出用素子と同一基板上に同時に形成される、同一の磁化方向を有する参照用素子を用いている。これにより、磁界検出用の磁気抵抗効果素子の最小抵抗、若しくは、最大抵抗を、一定抵抗として得ることを示しており、複雑な工程を経ることなく、ホイートストンブリッジやハーフブリッジを形成することが可能である。同一基板上に同一工程で検出用素子と参照用素子を形成することが可能であることから、磁気抵抗効果素子における、製造工程や温度に起因した抵抗の変動の影響を抑制することが可能である。
特許第3017061号公報 特許第4513804号公報
上記のように、例えば特許文献1に記載のように、固着層の磁化方向が逆向きの素子によるブリッジ回路においては、出力信号は大きいが、同一基板上での形成は困難であり、同一基板上に複数の素子を形成した後に、基板を切断し、180°回転した方向に設置する必要があり、切断した基板の配置や電気的な接続をするための工程が必要となるという問題点があった。また、検出装置全体としての基板面積が増大するという問題点があった。
また、例えば特許文献2に記載のように、固着層の磁化方向は同一であって、自由層の磁化容易軸方向が異なる複数の磁気抵抗効果素子を用いる技術を用いれば、製造工程を複雑化することなく、同一基板上に同一工程により、前述のホイートストンブリッジやハーフブリッジを形成することが可能である。これによって、ブリッジ回路の技術を用いれば、磁気抵抗効果素子の製造工程や温度に起因した抵抗変動の影響を抑制し、抵抗大きな出力信号を得ることが可能である。しかしながら、磁界検出用の磁気抵抗効果素子の自由層は、固着層からの漏れ磁界の影響やトンネル絶縁層や、非磁性層を介した固着層との磁気的な結合により、その磁化方向が傾き、無磁界における抵抗が変化するという問題点があった。これにより、参照用の磁気抵抗効果素子を用いた場合でも、磁界検出用の磁気抵抗効果素子の0点におけるオフセットが発生し、検出誤差を発生するという問題点があった。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたものであり、一定抵抗として用いる参照用素子を用いて、検出用素子の磁界応答性のオフセットを補正することで、磁界検出装置における0点出力の制御を容易にすることが可能な、磁界検出装置、電流検出装置、半導体集積回路、および、磁界検出方法を得ることを目的としている。
本発明は、外部磁界に応じた出力信号を出力する磁界検出装置であって、基板上に設けられた2個以上の磁界検出用磁気抵抗効果素子と、前記基板上に設けられた2個以上の参照用磁気抵抗効果素子と、前記磁界検出用磁気抵抗効果素子の自由層の磁化困難軸方向に磁界を印加するバイアス磁界印加用配線とを備え、前記参照用磁気抵抗効果素子および前記磁界検出用磁気抵抗効果素子は、それぞれ、反強磁性層と前記反強磁性層により磁化方向が固定された磁性体層とからなる固着層と、外部磁界によって磁化方向が変化する磁性体層からなる自由層とが積層された構造を有し、前記2個以上の参照用磁気抵抗効果素子は、前記固着層の磁化方向と前記自由層の無磁界における磁化方向とが平行の状態のものと反平行の状態のものとを含んでおり、前記磁界検出用磁気抵抗効果素子は、前記固着層の磁化方向と前記自由層の無磁界における磁化方向とが異なる、磁界検出装置である。
本発明は、外部磁界に応じた出力信号を出力する磁界検出装置であって、基板上に設けられた2個以上の磁界検出用磁気抵抗効果素子と、前記基板上に設けられた2個以上の参照用磁気抵抗効果素子と、前記磁界検出用磁気抵抗効果素子の自由層の磁化困難軸方向に磁界を印加するバイアス磁界印加用配線とを備え、前記参照用磁気抵抗効果素子および前記磁界検出用磁気抵抗効果素子は、それぞれ、反強磁性層と前記反強磁性層により磁化方向が固定された磁性体層とからなる固着層と、外部磁界によって磁化方向が変化する磁性体層からなる自由層とが積層された構造を有し、前記2個以上の参照用磁気抵抗効果素子は、前記固着層の磁化方向と前記自由層の無磁界における磁化方向とが平行の状態のものと反平行の状態のものとを含んでおり、前記磁界検出用磁気抵抗効果素子は、前記固着層の磁化方向と前記自由層の無磁界における磁化方向とが異なる、磁界検出装置であるので、一定抵抗として用いる参照用素子を用いて、検出用素子の磁界応答性のオフセットを補正することで、磁界検出装置における0点出力の制御を容易にすることができる。
検出用磁気抵抗効果素子の自由層および固着層の磁化方向を説明する図である。 検出用磁気抵抗効果素子の素子抵抗の外部磁界依存性を説明する図である。 参照用磁気抵抗効果素子の自由層および固着層の磁化方向を説明する図である。 参照用磁気抵抗効果素子の素子抵抗の外部磁界依存性を説明する図である。 本発明の実施の形態1の磁界検出装置の構成を説明するための上面図である。 本発明の実施の形態1の磁界検出装置の磁気抵抗効果素子の断面構造の模式図である。 本発明の実施の形態1における検出用磁気抵抗効果素子の磁界応答性に発生するオフセットを説明する図である。 本発明の実施の形態1における磁界検出動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1における検出用磁気抵抗効果素子の磁界応答性のオフセットが補正されたことを説明する図である。 本発明の実施の形態1における外部磁界に応じた磁界検出装置の出力を説明する図である。 本発明の実施の形態1におけるもう一つの磁界検出動作を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2の磁界検出装置の構成を説明するための上面図である。 本発明の実施の形態3の磁界検出装置の構成を説明するための上面図である。 本発明の実施の形態3の磁界検出装置の変形例の構成を説明するための上面図である。 本発明の実施の形態4の電流検出装置の構成を説明するための上面図である。 本発明の実施の形態4の半導体集積回路の構成を説明するための上面図である。 本発明の実施の形態4の電流検出装置の変形例の構成を説明するための上面図である。
本発明の実施の形態について説明する前に、まず、スピンバルブ型磁気抵抗効果素子を用いた磁界検出装置の具体的な検出動作について、図1を参照して説明する。磁界検出用のスピンバルブ型磁気抵抗効果素子1は、固着層と自由層とが積層されて構成されているが、ここでは、固着層と自由層の相互作用がない、理想的な状態で考える。図1は磁界検出用の磁気抵抗効果素子1の自由層および固着層の磁化方向を示す模式図である。図1においては、スピンバルブ型磁気抵抗効果素子1の自由層の無磁界における磁化方向2と、固着層の無磁界における磁化方向3とが互いに垂直であり、それらのなす角度は90°である。自由層の無磁界における磁化方向2は、自由層の形状によって決定されており、その長手方向となっている。このスピンバルブ型磁気抵抗効果素子1の固着層の磁化方向3に沿った方向に磁界Hが印加されると、自由層の磁化は外部磁界によりその方向を変化させ、磁化方向2aとなる。この際、変化した自由層の磁化方向2aと固着層の磁化方向3とがなす角θに応じて、磁気抵抗効果素子1の抵抗値は線形に変化する。
具体的には固着層の磁化方向3を0°とし、それに対して外部磁界Hが印加された際に自由層の磁化方向2aのなす角をθとした場合、磁気抵抗効果素子1の抵抗の変化はcosθに比例する。自由層が一軸異方性を持った軟磁性膜である場合、cosθ=H/Hとなる。つまり、所定の値Hより大きな外部磁界Hが印加された場合は、自由層の磁化方向2aは固着層の磁化方向に平行(0°)あるいは反平行(180°)に固定されてしまい、これ以上、磁気抵抗効果素子1の抵抗は変化しない。つまり、理想的には、Hは自由層の飽和磁界となる。
この結果、磁気抵抗効果素子1の抵抗(素子抵抗)Rは、無磁界中で自由層の磁化方向2と固着層の磁化方向3とが90°の方向である場合には、下記の式(1)となり、外部磁界Hに対して、図2に示すように変化する。
R=R+ΔR/2・H/H(ただし、−H≦H≦H) (1)
ここで、Rは磁気抵抗効果素子1の抵抗Rがとり得る最大の抵抗値と最小の抵抗値との中間値であり、理想的な無磁界中での磁気抵抗効果素子1の抵抗値である。また、ΔRは磁気抵抗効果素子1の最大の磁気抵抗変化量(すなわち、最大の抵抗値と最小の抵抗値との差)である。この磁気抵抗効果素子1の抵抗Rは外部磁界Hに対して線形に変化するため、磁気抵抗効果素子1の抵抗Rを得ることにより外部磁界Hの大きさを検出することが可能である。なお、検出される外部磁界Hは、固着層の磁化方向3の方向成分である。また、固着層の磁化方向において検出可能な磁界領域、すなわち動作領域は−H≦H≦Hである。
次に、図3は、参照用のスピンバルブ型磁気抵抗効果素子11の自由層および固着層の磁化方向を示す模式図である。図3に示す参照用の磁気抵抗効果素子11は、その長手方向が、図1に示した検出用の磁気抵抗効果素子1の長手方向に直交するように配置されている。磁気抵抗効果素子11における固着層の磁化方向3は、図1の検出用の磁気抵抗効果素子1と同一である。図3において、図1と同様に、固着層の無磁界における磁化方向3を0°とする。図3(a)においては、磁気抵抗効果素子11の自由層の磁化方向2が、固着層の無磁界における磁化方向3と同一であり、共に0°である。すなわち、予め固着層の磁化方向と自由層の無磁界における磁化方向とが平行になっている。この磁気抵抗効果素子11においては、固着層の磁化方向3と同方向である0°方向に磁界Hが印加された場合は、磁界の向きが無磁界における磁化方向3と一致するため、その方向で自由層の磁化方向2aは安定化する。一方、180°方向に磁界が印加された場合には、一定の磁界Hcまでは磁化方向を維持した後に、磁化方向が磁界方向へと反転する。すなわち、磁界下における自由層の磁化方向2aと固着層の磁化方向3は0°および180°が安定であることから、磁気抵抗効果素子11の抵抗値は2つの値を示す。これを図4に示すが、具体的には、抵抗値は、R±ΔR/2を示す。この場合、R−ΔR/2の抵抗値は、H≦+Hで安定であり、R+ΔR/2の抵抗値は、H≧−Hで安定である。
一方、図3(b)においては、スピンバルブ型磁気抵抗効果素子11の自由層の磁化方向2と、固着層の無磁界における磁化方向3とが逆向きであり、それらのなす角度は180°である。すなわち、固着層の磁化方向と自由層の無磁界における磁化方向とが反平行(平行かつ逆向き)になっている。この場合においても、磁気抵抗効果素子11の抵抗値は、外部磁界に対し、基本的に図4に示す依存性を示す。
この参照用の磁気抵抗効果素子11の抵抗Rは一定磁界までは、外部磁界に依存せずに一定の抵抗を示すために、検出用の磁気抵抗効果素子と面積が同一である場合、参照用の磁気抵抗効果素子11の抵抗Rの値から、検出用磁気抵抗効果素子の最大抵抗、若しくは、最小抵抗を得ることが可能である。なお、図3(a)に示す参照用素子は、予め固着層と自由層の磁化が平行にしてあり、抵抗はR−ΔR/2である。一方、図3(b)に示す参照用素子は、予め固着層と自由層の磁化が反平行にしてあり、抵抗はR+ΔR/2である。
以下、本発明の実施の形態について、その具体例を図に基づいて説明する。
実施の形態1.
図5は、本発明の実施の形態1における磁界検出装置の構成を示す上面図である。ここに示す磁界検出装置は、4個の検出用磁気抵抗効果素子101a、101b、102a、102b(以下、検出用素子と表記する。)と4個の参照用磁気抵抗効果素子111a、111b、112a、112b(以下、参照用素子と表記する。)とを備えている。これらの検出用素子101,102および参照用素子111,112は、すべて、上面から見た場合に、外部形状が、同面積かつ同一形状(角丸長方形)となっている。但し、検出用素子101,102と参照用素子111,112の配置方向は、それらの長手方向が互いに90°異なるように配置されている。すなわち、検出用素子の長手方向が紙面縦方向で、参照用素子の長手方向が紙面横方向となっている。
検出用素子101aと101b、102aと102bは、それぞれ金属配線51、52により直列接続されている。また、参照用素子111aと111b、112aと112bは、それぞれ金属配線53、54により直列接続されている。更に、検出用素子101aと参照用素子111aが金属配線55により接続され、検出用素子102bと参照用素子112bが金属配線56により接続され、検出用素子102aと参照用素子111bが金属配線57により接続され、検出用素子101bと参照用素子112aが金属配線58により接続されている。なお、金属配線55は電源に接続されており、金属配線56は接地されている。金属配線57と58は、それぞれ、外部に設置された信号検出回路(図示せず)へと接続されている。
また、検出用素子101aと102a、101bと102bは、それぞれ、互いに隣接して並んで設けられている。検出用素子101a、101b、102a、102bの直下には、電気的に検出用素子と絶縁された磁界印加用配線151が設けられており、磁界印加用配線151の長手方向が、検出用素子101a、101b、102a、102bの長手方向に平行な方向になるように配置されている。この磁界印加用配線151は、バイアス用の電流Ibiasを流した場合に、検出用素子101a、101b、102a、102bに、同時に、紙面右向き(すなわち、検出用素子の長手方向に直交する方向(磁化困難軸方向))にバイアス用の磁界Hbiasを印加することが可能であるように配置されている。
検出用素子101a、101b、102a、102bと参照用素子111a、111b、112a、112bは全て同一の積層構造を有しており、その断面構造の模式図を図6に示す。
図6において、基板61上に電極層62が形成され、次に反強磁性層63が形成されている。次に、この反強磁性層63により磁化方向が固定された強磁性層64が形成されている。続いて非磁性層65、強磁性層66が形成され、さらに、トンネル絶縁層となる非磁性層67を形成し、その上層に外部磁界によって磁化方向が変化する磁性体からなる自由層68が形成されている。自由層68の上層には電極層69が形成されている。強磁性層64と66については、非磁性層65を介して磁気的に反平行結合している。ここでは、反強磁性層63、強磁性層64、非磁性層65、および、強磁性層66からなる積層構造が固着層70として機能する。なお、以後の説明では、説明の簡単化のために、強磁性層66の磁化を固着層70の磁化と呼ぶ。
この固着層70は2層の強磁性層64と66とが反平行に結合していることから、固着層70全体の見掛け上の磁化を抑制することが可能であり、自由層68への磁気的な影響や、固着層70が磁界から受ける影響を抑制することが可能となる。
ここでは、反強磁性層63から自由層68が順次積層される構成を示したが、構成はこれにとらわれるものではなく、逆に、自由層68を一番下にして、自由層68から逆の順序で積層しても素子を構成することができる。
検出用素子101a、101b、102a、102bおよび参照素子111a、111b、112a、112bの自由層68は、素子形状が長方形であることから、長手方向を有するため、形状磁気異方性により、自由層68の磁化方向は、これらの素子のそれぞれの長手方向となる。固着層70の磁化方向は、検出用素子と参照用素子とで同一であるため、4個の検出用素子101a、101b、102a、102bにおいては、固着層70の磁化方向が、無磁界における自由層68の磁化方向に対して、素子平面内で直交している(90°)。これに対して、4個の参照用素子111a、111b、112a、112bの固着層70の磁化方向は、無磁界における自由層68の磁化方向と平行(0°)若しくは反平行(180°)となっている。
参照用素子111a、112aは、予め固着層と自由層の磁化が反平行状態にしてあり、抵抗値はR+ΔR/2である。参照用素子111bと112bでは、予め固着層と自由層の磁化が平行状態としてあり、抵抗値はR−ΔR/2である。参照用素子の磁界に対する抵抗値は、図4に示すように、ヒシテリシスを有することから、磁界印加用配線151の電流を停止した後も、前述の抵抗値を維持することが可能である。この状態では、111aと111b、112aと112bは直列に接続されているため、それぞれの直列抵抗の抵抗値は、2Rとなる。検出用素子も、101aと101b、102aと102bが直列接続されており、無磁界での抵抗値は2Rとなり互いに等しい抵抗となる。
ここで、それぞれの素子の自由層68および固着層70における強磁性体を構成する材料としては、強磁性層64ではCo−Fe合金を、強磁性層66ではCo−Fe−B合金を用いており、自由層68ではCo−Fe−B合金を用いている。これに限らず、Fe、Co等のCo、NiおよびFeの少なくともいずれかを主成分とする強磁性膜であればよく、これらを積層した強磁性膜であってもよい。
また、トンネル絶縁層である非磁性層67は、MgO膜からなっている。なお、トンネル絶縁層67はこれに限定されず、他の金属の酸化膜であるAlやHfO、Ta、MgAl等であってもよく、酸化物に限らず、窒化物や弗化物であってもよい。
固着層70において強磁性膜64の磁化を固着する反強磁性層63は、Ir−Mn合金膜からなっている。なお、反強磁性層層001cはIr−Mn合金膜に限定されず、Pt−Mn合金、Fe−Mn合金、Ni−Mn合金等の反強磁性膜であればよく、同様な効果を得ることが可能である。
固着層70における非磁性層65は、Ru膜からなっている。なお、非磁性層65はRu膜に限定されず、Rt、Rb等の主に白金族からなる遷移金属の非磁性膜であればよく、同様な効果を得ることが可能である。
下部電極層62および上部電極層69は、各々、Ta(タンタル)膜からなっている。なお、下部電極層62および上部電極層69は、各々、例えばRu膜等の他の金属であってもよく、これに限定されない。下部電極層62および上部電極層69は図6に示すそれぞれの金属配線に接続される。金属配線には、各々、Cu(銅)が用いられている。なお、金属配線は、例えばAl(アルミニウム)の他の金属であっても良く、各々、これに限定されない。
次に、本実施の形態1の磁気抵抗効果素子および磁界検出装置の製造方法について説明する。
図6を参照して、磁気抵抗効果素子を構成するそれぞれの金属膜は、基板61上にDC(直流)マグネトロンスパッタリングにより形成される。基板61はSi(ケイ素)、SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)、GaAs(ヒ化ガリウム)、ガラスなどが用いられる。なお、基板61はこれに限定されず、その他の材料であってもよい。ここでは、予め磁界印加用配線151が磁気抵抗効果素子の直下に形成された基板を用いている。磁気抵抗効果素子の下には、その他の配線やトランジスタ、ダイオード等の電子回路が形成されていてもよい。
まず、基板61上に、DCマグネトロンスパッタリングを用いてTa膜が下部電極層62として形成される。下部電極層62としてのTa膜が形成された後、大気に曝されることなく同一装置内でIr−Mn合金膜が反強磁性層63として形成される。引続き、大気に曝すことなく強磁性層64としてのCo−Fe合金膜が形成され、次に、非磁性層65としてのRu膜、および、強磁性層66としてのCo−Fe−B合金膜が、それぞれ、形成される。引続き、大気に曝すことなくRF(高周波)マグネトロンスパッタリングを用いてMgO膜がトンネル絶縁層67として形成された後に、自由層68の強磁性膜としてCo−Fe−B合金膜が形成される。その後に、DCマグネトロンスパッタリングを用いてTa膜が上部電極層69として形成される。
なお、これらの膜を形成する際は、膜面方向に100Oeの磁界が印加される。これによって固着層70を構成するIr−Mn膜とCo−Fe膜、およびCo−Fe−B膜に磁気異方性が付与される。磁気抵抗効果素子1を構成する下部電極層62から上部電極層69までの膜は、全て同一装置内で形成される。トンネル絶縁層67であるMgO膜については、DCマグネトロンスパッタリングによりMg膜を形成した後に、酸素を含む酸化雰囲気に曝すことで形成してもよい。
以上の膜の形成は、例えば分子線エピタキシー(MBE)法、各種スパッタ法、化学気相成長(CVD)法、蒸着法、鍍金によって形成されてもよい。
その後に熱処理が実施される。目的は、MgO膜とそれを挟む2層のCo−Fe−B膜の結晶化を促進するとともに、固着層70の膜に磁気異方性を付与するためである。ここでは、固着層70の強磁性層64であるCo−Fe−B膜と強磁性層66であるCo−Fe膜の磁化を飽和するための磁界である10kOeが印加される。磁界印加方向は、磁気抵抗効果素子の成膜時と同様であり、検出用素子101,102の短手方向で且つ参照用素子111,112の長手方向である。熱処理温度は、磁気抵抗効果素子はCo−Fe−B膜を結晶化が可能であり、且つ固着層のIr−Mn膜とCo−Fe膜の間の交換結合が実質的に無くなる、300℃としている。この温度で1時間保持された。
上記の熱処理を経た後、固着層の強磁性膜64と66の磁化は、互いに180°異なる方向を向く。つまり、非磁性層64であるRu膜を挟んで対向するCo−Fe合金膜の磁化とCo−Fe−B合金膜の磁化は互いに反対方向を向く。
本実施の形態においては、検出用素子と参照用素子との固着層の磁化方向は同一であるため、熱処理時の印加磁界は同じ方向でよく、一様な磁界を印加することが可能である。
この後、フォトリソグラフィーにより所望のパターンが形成される。積層化された磁気抵抗効果素子を構成する膜が形成された後、フォトレジストにより所望のパターンが形成される。その後、フォトレジストにより形成された所望のパターンをマスクとして、反応性イオンエッチングにより磁気抵抗効果素子を電気的および磁気的に分離することで、磁気抵抗効果素子の形状が得られる。ここでの磁気抵抗効果素子は前述のように角丸長方形である。この際、検出用素子101,102の長手方向は、積層膜における固着層70の形成時の磁界印加方向と直交する方向であり、参照用素子111,112の長手方向は、積層膜における固着層70の形成時の磁界印加方向と同じ方向である。
なお、検出用磁気抵抗効果素子および参照用磁気抵抗効果素子は、同一のプロセスで同一基板上に同時に形成することが望ましく、これらのパターン形成は、電子線リソグラフィー、集束イオンビーム、イオンミリングを用いてもよい。
上記のパターン形成により、磁気抵抗効果素子においては、自由層となる強磁性層68であるCo−Fe−B膜の磁化は、形状による反磁界の影響を受け、形状の長手方向を向く。これによって、無磁界において、検出用素子と参照用素子の自由層の磁化は直交する。なお、検出用素子の固着層に対するCo−Fe−B膜の磁化方向の決定は、局所的に磁界を印加することで可能である。或いは、検出用素子を、固着層側から電流が流れる素子と自由層側から電流が流れる素子とで接続することにより、スピン注入を用いた設定も可能である。
この後に、図5に示すように、金属配線51〜58を磁気抵抗効果素子101,102,111,112に接続する。これによって、金属配線55が電源(図示せず)に接続され、金属配線56が接地される。金属配線57と58はそれぞれ電圧を検出する信号検出回路へと接続される。ここでは詳細な説明は省略するが、これにより、本実施の形態の磁気抵抗効果素子を用いた磁界検出装置が形成される。
次に、本実施の形態の磁界検出装置の検出動作について図5を用いて説明する。
金属配線55を介して、電源から、所定の一定の検出電流Isenseが流される。この際、金属配線56は接地されているので、当該電流は、検出用素子101a,101bおよび参照用素子112aを経て、参照用素子112bへと流れる電流と、参照用素子111a、111bおよび検出用素子102aを経て、検出用素子102bへと流れる電流との2つの経路に分かれる。無磁界においては、理想的に、これらの経路における抵抗はともに4Rであり、電流は各経路1/2・Isenseとなる。更にこの場合は、2個の検出用素子と2個の参照用素子は4Rであり、同一の抵抗であることから、金属配線57の電位V1と金属配線58の電位V2は同じ電位となり、両者の電位差(V1−V2)で表される出力電圧は0となる。すなわち、無磁界において0出力が得られる。
以上は、磁界が0の場合の説明であったが、磁界下における理想的な状態を考える。ここでは磁界印加用配線151に電流を流していない状態について説明する。
図5に示されるブリッジ回路での出力電圧ΔVは、一定である検出電流Isenseが流された際のV1−V2を検出することで得られ、以下の式(2)で表される。
ΔV=Isense・ΔR/2・H/H (2)
すなわち、磁界に対して線形の出力信号が得られる。この出力信号を磁界に換算することで、磁界の検出が可能となる。なお、H≦Hであることから、上記の出力信号は、|H|≦Hの領域において得られる。|H|≧Hの領域においては、2個の参照素子の抵抗の和は、2Rから2(R+ΔR)若しくは2(R−ΔR)へと変化することで、不連続な出力信号となる。
以上は、無磁界のもとで、2個の直列接続された検出用素子と2個の直列接続された参照用素子の抵抗値が一致する場合について述べた。しかしながら、図7に示すように、自由層68と固着層70の磁化の相互作用が存在する場合は、検出用素子の自由層68の磁界応答性にオフセットHOSが発生する。結果として前述した無磁界における出力電圧は0でなくなり、式(2)で表した出力電圧に対して、オフセットが発生することとなる。
次に、磁界印加用配線151に電流を流した場合を考える。
磁界印加用配線151は、検出用素子101a、101b、102a、102bに対し、自由層68の磁化困難軸方向(素子の長手方向に直交する方向)に、同時に磁界を印加することが可能である。ここで、本実施の形態では、直列接続された2個の参照用素子の抵抗値は、2個の直列接続された検出用素子の抵抗値の中点を示す。これを用いて、磁界印加用配線151の電流Ibiasを制御することで、検出用素子のオフセットHOSを補正することが可能である。このための動作例を図8のフローチャートに示す。
先ず、ステップS1で、無磁界において、配線151に、所定の一定の電流Ibiasを流し、出力信号V1−V2を検出する。次に、ステップS2で、V1−V2が0か否かを判定する。V1−V2が0とならない場合は、ステップS6で、電流Ibiasを変更し、ステップS1、S2、S6の処理を繰り返し、V1−V2が0となる電流Ibiasを得る。ステップS2の判定で、V1−V2=0と判定された場合には、ステップS3に進み、電流Ibiasを、磁界検出装置内の記憶装置、若しくは、外部の記憶装置に記憶する。このV1−V2=0となる電流Ibiasを流している状態のときは、検出用素子が中点の抵抗値となる磁界Hbiasが印加されており、換言すれば、検出用素子の磁界応答性のオフセットHOSは補正されている。これを図9に示す。続いて、ステップS4に進み、先のステップS2で得たV1−V2=0となる電流Ibiasを配線151に流しながら、磁界Hを印加した状態の磁界下において、出力信号V1−V2を検出する。次に、ステップS5で、検出した出力信号V1−V2を、磁界に換算して、磁界Hの検出を行う。
以上によって得られる出力信号(V1−V2)を図10に示す。参照用素子の抵抗値が検出用素子の中点となる抵抗値を利用して、検出用素子のオフセットHOSを補正することから、無磁界において正確に0出力となる特性が得られ、|H|≧Hの領域において、外部磁界Hに対して線形の出力信号が得られる。
もう一つの動作例を図11に示す。ここでは、磁気平衡方式による動作において、オフセットHOSを補正する手法を説明する。
先ず、ステップS1で、無磁界において、配線151に、所定の一定の電流Ibiasを流し、出力信号V1−V2を検出する。ステップS2で、これが0となるか判定し、0とならない場合は、ステップS6で、電流Ibiasを変更し、再度、ステップS1に戻って、ステップS1,S2,S6の処理を繰り返し、V1−V2が0となる電流Ibiasを得る。こうして得た電流Ibiasの値を、ステップS3で、磁界検出装置内の記憶装置、若しくは、外部の記憶装置に記憶する。この状態で、検出用素子には、中点の抵抗となる磁界Hbiasが印加されており、換言すれば、検出用素子の磁界応答性のオフセットHOSは補正されている。ここまでは、図8で説明した動作と同様である。
この後、図11では、続いて、磁界Hを印加した磁界下の状態において、電流Ibiasを変更し、V1−V2=0となる電流Ibiasを得る。磁界下においてV1−V2が0となる電流Ibiasは、外部の磁界と検出用素子の磁界応答性のオフセットを相殺して、検出用素子の抵抗に中点とする電流である。
すなわち、図11では、ステップS11で、磁界Hを印加した磁界下の状態において、配線151に、上記の所定の電流Ibiasを流し、出力信号V1−V2を検出する。ステップS12で、これが0となるか判定し、0とならない場合は、ステップS15で、電流Ibiasを変更し、再度、ステップS11に戻って、ステップS11,S12,S15の処理を繰り返し、ステップS13で、V1−V2が0となる電流Ibiasを得る。こうして得られた電流Ibiasを、先のステップS3で記憶したIbiasと比較することで、検出用素子の磁界応答性のオフセットの影響を除外する。こうして最終的に得られた配線151の電流値Ibiasを磁界に換算することで、外部磁界Hを検出することが可能である。
上記の磁気平衡方式の動作では、磁界に対する0点が得られればよく、検出用素子の線形性を必ずしも必要としない。また、外部磁界を相殺する磁界が印加されており、常に素子が0磁界付近で動作することから、素子の特性に依存せず広い磁界の範囲で動作が可能となる。
なお、以上は、一定電流Ibiasを用いた検出動作を例に説明したが、一定電圧であってもよい。この場合は、金属配線55を一定電圧Vccとして動作する。その場合の出力信号ΔVは、以下の式(3)で表される。
ΔV=−Vcc・ΔR/2・H/H/(4R+ΔR・H/H) (3)
上記の一定電圧Vccの動作においては、製造工程や温度に起因して、磁気抵抗効果素子の抵抗が変化した場合でも、抵抗の相対関係により出力信号が決定される。ここでの磁気抵抗効果素子は全て同一工程で形成しているため、製造工程や温度に起因した抵抗変動の影響は、全ての素子で同じように受けることとなる。このため、製造工程や温度に起因した抵抗変動の影響を抑制することが可能となる。
なお、ここでは、磁界印加用配線151は検出用素子の直下に配置する例を示したが、検出用素子の自由層の膜面方向に平行、かつ、長手方向に直交する方向(磁化困難軸方向)に磁界を印加できればよく、検出用素子の直上に配置されてもよい。この場合は、検出用素子に印加される磁界方向が、前述の説明に対して逆向きとなるが、逆向きの電流Ibiasを流すようにすれば、同様の効果が得られる。
本実施の形態によれば、検出用素子と、それと同面積で磁化が平行状態と反平行状態の組合せによる参照用素子とを用いていることによって、検出用素子の中点の抵抗を得ることが可能である。磁界検出用素子の磁界応答性にオフセットが存在する場合でも、前記の中点抵抗との比較により、正確なオフセットの補正が可能である。これによって安定した0点出力が得られる。
これらは、製造工程を複雑化することなく実現することが可能である。
以上のように、本実施の形態によれば、外部磁界Hに応じた出力信号(V1−V2)を出力する磁界検出装置であって、基板61上に設けられた4個の磁界検出用磁気抵抗効果素子101,102と、基板61上に設けられた4個の参照用磁気抵抗効果素子111,112と、磁界検出用磁気抵抗効果素子101,102にバイアス磁界Ibiasを印加して、磁界検出用磁気抵抗効果素子101,102の磁界応答性におけるオフセットHosを補正する磁界印加用配線151とを備え、参照用磁気抵抗効果素子111,112および磁界検出用磁気抵抗効果素子101,102は、それぞれ、反強磁性層63と反強磁性層により磁化方向が固定された磁性体層である強磁性層66,64とからなる固着層70と、外部磁界Hによって磁化方向が変化する磁性体層からなる自由層68とが積層された構造を有し、磁界印加用配線151は、磁界検出用磁気抵抗効果素子101.102の自由層の磁化困難軸方向に磁界を印加し、4個の参照用磁気抵抗効果素子111,112は、固着層70の磁化方向と自由層68の無磁界における磁化方向とが平行の状態の参照用素子111b、112bと反平行の状態の参照用素子111a,112aとを含んでおり、磁界検出用磁気抵抗効果素子101,102は、固着層70の磁化方向と自由層68の無磁界における磁化方向とが異なる構成とした。これにより、検出用素子101,102の特性が磁界に対してオフセットを有する場合でも、参照用素子111,112の抵抗を利用することで、正確なオフセットの補正が可能となり、温度や製造工程に起因した磁気抵抗効果素子の抵抗の変動の影響を抑制し、安定した0点が得られ、検出誤差を抑制することができ、製造工程が容易で、安定した出力信号を示す磁界検出装置を得ることができる。
また、参照用素子111,112と検出用素子101,102とは、同一面積で、かつ、同一形状を有し、互いに90°回転した向きに配置され、その個数は互いに等しいように構成した。これにより、検出用素子101,102と参照用素子111,112を同時に形成可能とし、同一の抵抗を得ることが可能となる。
また、外部磁界が印加されていない無磁界の状態で出力信号(V1−V2)が0となる電流値の電流Ibiasを磁界印加用配線151に流すことによりオフセットHosを補正した状態で、外部磁界Hに応じた出力信号を生成する。これにより、磁気平衡方式を適用可能であり、0点が得られれば検出用素子111,112の線形性を必要としない。これにより、素子の特性に依存せず、広い磁界の範囲で動作を実現することができる。
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2における磁界検出装置の構成を示す上面図である。ここに示す磁界検出装置は、2個の検出用素子101a、101bと2個の参照用素子111a、111bを有している。これらの素子は、実施の形態1で説明した素子と同じであり、構成および製造方法、並びに、動作については、ここでは詳細な説明は省略する。
検出用素子101aと101bは、金属配線51により直列接続されている。また、参照用素子111aと111bは、金属配線53により直列接続されている。更に検出用素子101bと参照用素子111aが金属配線58により接続されている。検出用素子101aは、金属配線55により電源(図示せず)に接続されており、参照用素子111bは金属配線56により接地されている。金属配線58は、電位Voutを検出するために、外部に設けられた信号検出回路(図示せず)へと接続されている。
実施の形態1と同様に、検出用素子101a,101bの直下には、電気的に絶縁された磁界印加用配線151が配置されている。磁界印加用配線151は、その長手方向が、検出用素子101a,101bの長手方向に沿った方向に配置され、電流を流した場合に、検出用素子101a、101bに対して、紙面右向き(長手方向に直交する方向(磁化困難軸方向))に、バイアス磁界Hbiasを印加することが可能であるように配置されている。2個の参照用素子111a、111bの抵抗は、実施の形態1と同様に、予めそれぞれR+ΔR/2とR−ΔR/2としている。
検出用素子101a,101bおよび参照用素子111a,111bの断面構造や製造方法は実施の形態1と同様であり、説明を省略する。
次に、本実施の形態の磁界検出装置の検出動作について図12を用いて説明する。
金属配線55を一定電圧Vccに保つ。この際、金属配線56は接地されているので、金属配線58における電位Voutは、理想的に、以下の式(4)で表される。
out=Vcc・2R/(4R+ΔR・H/H) (4)
これにより、無磁界においては、Vcc/2の出力信号が得られ、外部から磁界が印加された場合は、外部磁界Hに依存した電圧が得られる。
しかしながら、実施の形態1と同様に、検出用素子の磁界応答性にオフセットが存在する場合は、この特性が得られない。このため、オフセットを相殺する必要がある。本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、磁界印加用配線151に電流を流し、検出用素子101a、101bに対し、バイアス磁界Hbiasを印加するが、この際の動作は、図8での説明と同様であるが、ここでは、V1−V2=0となる電流Ibiasではなく、Vout=1/2Vccとなる電流Ibiasを用いる。従って、図8のステップS1、S4で、V1−V2を検出する代わりに、Voutを検出し、ステップS2で、V1−V2が0か否かを判定する代わりに、Vout=1/2Vccとなるか否かを判定し、ステップS5で、V1−V2を磁界に換算する代わりに、Voutを磁界に換算する。こうすることで、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様な効果が得られる。
なお、ここでは、磁界印加用配線151は検出用素子101a,101bの直下に配置する例を示したが、検出用素子101a,101bの自由層の膜面方向に平行で、長手方向に直交する方向に磁界を印加できればよく、従って、磁界印加用配線151は、検出用素子101a,101bの直上に配置されてもよい。この場合は、検出用素子に印加される磁界方向が前述の説明に対して逆向きとなってしまうので、それを避けるために、電流Ibiasの向きを逆向きとすることで同様な効果が得られる。
本実施の形態の構成では、実施の形態1と同様に、製造工程や温度に起因して、磁気抵抗効果素子の抵抗が変化した場合や検出用素子の磁界応答性がオフセットを有する場合でも、その影響を抑制することが可能となる。
本実施の形態2によれば、検出用素子101a,101bと、それと同面積でかつ同形状の磁化方向が平行状態と反平行状態との組合せによる2つの参照用素子111ab,111aとを用いていることによって、検出用素子101a,101bの中点の抵抗を得ることが可能である。検出用素子101a,101bの磁界応答性にオフセットHOSが存在する場合でも、前記の中点抵抗との比較により、正確なオフセットの補正が可能である。これによって実施の形態1と同様に、安定した0点出力が得られる。
これらは、製造工程を複雑化することなく実現することが可能である。
以上のように、本実施の形態2においては、外部磁界Hに応じた出力信号(Vout)を出力する磁界検出装置であって、基板61上に設けられた2個の磁界検出用磁気抵抗効果素子101a,101bと、基板61上に設けられた2個の参照用磁気抵抗効果素子111a,111bと、磁界検出用磁気抵抗効果素子101a,101bにバイアス磁界Ibiasを印加して、磁界検出用磁気抵抗効果素子101a,101bの磁界応答性におけるオフセットHosを補正する磁界印加用配線151とを備え、参照用磁気抵抗効果素子111a,111bおよび磁界検出用磁気抵抗効果素子101a,101bは、それぞれ、反強磁性層63と反強磁性層により磁化方向が固定された磁性体層である強磁性層66,64とからなる固着層70と、外部磁界Hによって磁化方向が変化する磁性体層からなる自由層68とが積層された構造を有し、磁界印加用配線151は、磁界検出用磁気抵抗効果素子101a,101bの自由層68の磁化困難軸方向に磁界を印加し、2個の参照用磁気抵抗効果素子111a,111bは、固着層70の磁化方向と自由層68の無磁界における磁化方向とが平行の状態の参照用素子111bと反平行の状態の参照用素子111aとを含んでおり、磁界検出用磁気抵抗効果素子101a,101bは、固着層70の磁化方向と自由層68の無磁界における磁化方向とが異なる構成とした。これにより、検出用素子101a,101bの特性が磁界に対してオフセットを有する場合でも、参照用素子111a,111bの抵抗を利用することで、正確なオフセットの補正が可能となり、温度や製造工程に起因した磁気抵抗効果素子の抵抗の変動の影響を抑制し、安定した0点が得られ、検出誤差を抑制することができ、製造工程が容易で、安定した出力信号を示す磁界検出装置を得ることができる。
また、参照用素子111a,111bと検出用素子101a,101bとは、同一面積で、かつ、同一形状を有し、互いに90°回転した向きに配置され、その個数は互いに等しいように構成した。これにより、検出用素子101a,101bと参照用素子111a,111bを同時に形成可能とし、同一の抵抗を得ることが可能となる。
また、外部磁界が印加されていない無磁界の状態で出力信号(Vout)が1/2Vccとなる電流値の電流Ibiasを磁界印加用配線151に流すことによりオフセットHosを補正した状態で、外部磁界Hに応じた出力信号(Vout)を生成する。これにより、磁気平衡方式を適用可能であり、0点が得られれば、検出用素子111a,111bの線形性を必要としない。これにより、素子の特性に依存せず、広い磁界の範囲で動作を実現することができる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3における磁界検出装置の上面図を図13に示す。図13に示される構成は、磁界印加用の配線151Aを除いては、図5に示した実施の形態1と同じ構成によるものである。ここでは、図13に示すように、磁界印加用の配線151Aが、検出用素子101a,101b,102a,102bだけでなく、参照用素子111a,111b,112a,112bの直下にも延在し、磁界印加用の配線151Aは、それぞれの参照用素子の長手方向に直交した方向を向くように配置されている。本実施の形態3における磁界印加用配線151Aは、図13に示すように、コの字型に複数回折り返す配置になることで、直列接続された2個の参照用素子111a,112aに対しては、他の素子に印加される磁界とは逆向きの磁界が印加される。また、実施の形態1においては、検出用素子101a,101bと、検出用素子102a,102bとが隣接して配置されていたが、本実施の形態3においては、検出用素子101a,101bと、検出用素子102a,102bとが、所定の距離をおいて、離間して、配置されている。なお、磁界印加用配線151Aの折り返し角度が、図13では、90°になっているが、これに限らず、U字型になるように、曲折させてもよい。磁界印加用配線151Aは、180°に1回以上折り曲げられた1本の配線から構成されているため、検出用素子および参照用素子の自由層の磁化の制御が容易である。他の構成については、実施の形態1と同じであるため、ここでは、その説明を省略する。
本実施の形態3における磁界印加用の配線151Aは、図13に示すように、検出用素子101b、101aの真下に、それらの素子の長手方向と同じ向きに配置された後、コの字形状になるように、右90°に2回折り曲げられて、参照用素子111a,112aの真下を、それらの素子の短手方向と同じ向きになるように配置され、その後、コの字形状になるように、左90°に2回折り曲げられて、参照用素子112b、検出用素子102b,102a、参照用素子111bの順に、それらの素子の真下を通るように配置されている。このとき、磁界印加用の配線151Aは、参照用素子112bの短手方向、検出用素子102b,102aの長手方向、参照用素子111bの短手方向の向きに配置される。
この実施の形態3に依れば、検出用素子101a,101b,102a,102bに印加する磁界Hbiasが、参照用素子111a,112a,111b,112bの長手方向にも同時に印加される。この際、配線151Aによる磁界Hbiasは、一方の参照用素子111aと112aに対しては紙面左向き方向に、他方の参照用素子111bと112bに対しては紙面右向きとなっている。この磁界によって、検出用素子の反転磁界を、Hに対してそれぞれ磁界Hbias分だけ、大きくすることが可能である。すなわち、参照用素子の抵抗の安定化を図りながら、同時に検出用素子の磁界応答性におけるオフセットを補正することが可能である。
この構造においては、参照用素子の反転磁界を大きくする効果が得られることから、参照用素子における磁界応答性のオフセットの影響も抑制することが可能である。
検出用素子101a,101bおよび参照用素子111a,111bの断面構造や製造方法は実施の形態1と同様であり、説明を省略する。また、磁界検出装置の検出動作についても、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
以上の構成と動作を用いれば、図8により説明した動作による効果に加え、磁気平衡方式を用いていることから、検出用素子の特性は0点を安定して示せばよく、必ずしも線形である必要がない。
本実施の形態3によれば、磁界検出装置の0点を安定して得ることが可能となり、温度や製造工程に起因した素子の抵抗変化や、磁界応答性のオフセットによる影響を抑制した、安定した動作の磁界検出装置を実現可能とする。
なお、ここでは、磁界印加用の配線151Aは、参照用素子111a,111b,112a,112bの直下に配置する例を示したが、検出用素子101a,101b,102a,102bの自由層の膜面方向に平行で、かつ、それの長手方向に直交する方向に磁界を印加できればよく、検出用素子の直上に配置されてもよい。この場合は、検出用素子に印加される磁界方向が、前述の説明に対して逆向きとなるが、逆向きの電流Ibiasを用いることで同様な効果が得られる。
ここでの動作は、磁界印加用の配線151Aの延在方向が異なるだけであることから、実施の形態1および2で説明した磁界検出装置を変形した適用が可能である。図14には、例として、図12に示した実施の形態2による磁界検出装置を、本実施の形態3により変形した例を示す。すなわち、図14においては、磁界印加用の配線151Aが、図12に示した検出用素子101a,101bの真下だけでなく、参照用素子111a,111bの真下にも、配置されている。磁界印加用の配線151Aは、180°に折り返された1本の配線から構成されている。他の構成および動作等については実施の形態2と同様であるため、説明を省略する。
以上のように、本実施の形態3においては、上記の実施の形態1と同様に、外部磁界Hに応じた出力信号(V1−V2)を出力する磁界検出装置であって、基板61上に設けられた4個の磁界検出用磁気抵抗効果素子101,102と、基板61上に設けられた4個の参照用磁気抵抗効果素子111,112と、磁界検出用磁気抵抗効果素子101,102にバイアス磁界Ibiasを印加して、磁界検出用磁気抵抗効果素子101,102の磁界応答性におけるオフセットHosを補正する磁界印加用配線151Aとを備え、参照用磁気抵抗効果素子111,112および磁界検出用磁気抵抗効果素子101,102は、それぞれ、反強磁性層63と反強磁性層により磁化方向が固定された磁性体層である強磁性層66,64とからなる固着層70と、外部磁界Hによって磁化方向が変化する磁性体層からなる自由層68とが積層された構造を有し、磁界印加用配線151Aは、磁界検出用磁気抵抗効果素子101.102の自由層の磁化困難軸方向に磁界を印加し、4個の参照用磁気抵抗効果素子111,112は、固着層70の磁化方向と自由層68の無磁界における磁化方向とが平行の状態の参照用素子111b、112bと反平行の状態の参照用素子111a,112aとを含んでおり、磁界検出用磁気抵抗効果素子101,102は、固着層70の磁化方向と自由層68の無磁界における磁化方向とが異なる構成とした。これにより、検出用素子101,102の特性が磁界に対してオフセットを有する場合でも、参照用素子111,112の抵抗を利用することで、正確なオフセットの補正が可能となり、温度や製造工程に起因した磁気抵抗効果素子の抵抗の変動の影響を抑制し、安定した0点が得られ、検出誤差を抑制することができ、製造工程が容易で、安定した出力信号を示す磁界検出装置を得ることができる。
また、参照用素子111,112と検出用素子101,102とは、同一面積で、かつ、同一形状を有し、互いに90°回転した向きに配置され、その個数は互いに等しいように構成した。これにより、検出用素子101,102と参照用素子111,112を同時に形成可能とし、同一の抵抗を得ることが可能となる。
また、外部磁界が印加されていない無磁界の状態で出力信号(V1−V2)が0となる電流値の電流Ibiasを磁界印加用配線151に流すことによりオフセットHosを補正した状態で、外部磁界Hに応じた出力信号を生成する。これにより、磁気平衡方式を適用可能であり、0点が得られれば検出用素子111,112の線形性を必要としない。これにより、素子の特性に依存せず、広い磁界の範囲で動作を実現することができる。
また、検出用磁気抵抗効果素子101a,101b,102a,102bに磁界Hbiasを印加する磁界印加用配線151Aは、同時に、参照用磁気抵抗効果素子111a,111b,112a,112bにも磁界Hbiasを印加する構成としたので、参照用素子111a,111b,112a,112bの自由層68の磁化の制御を容易にする。
実施の形態4.
本発明の実施の形態1〜3における磁界検出装置を用いることにより、安定した0点を出力可能な電流検出装置を実現できる。図15にその構成を示す。なお、図15は、図5に示した実施の形態1における磁界検出装置を用いた例を示している。図5と図15との構成の違いは、図15においては、図5の構成に対して、電流検出装置の測定対象となる電流が流れる金属配線152が追加されている点である。他の構成については、図5と同じである。
測定対象となる電流Ilineが流れる金属配線152は、磁気抵抗効果素子とは電気的に絶縁されており、検出用素子101a,101b,102a,102bの直下、若しくは、直上に配置される。電流Ilineが流れた場合に、この電流の作用により、金属配線152に対して垂直な方向に環状磁界Hlineが発生する。この環状磁界Hlineの大きさは次式(5)で表される。
line=k・Iline/r (5)
上記式(5)においてkは比例定数であり、rは金属配線152から検出用素子101a,101b,102aまたは102bまでの距離である。検出用素子101a,101b,102aまたは102bと金属配線152との距離rを測定しておけば、比例定数kは既知であるので、磁界Hlineを測定することにより、電流Ilineを測定することが可能である。
スピンバルブ型磁気抵抗効果素子を用いた磁界検出器は、固着層磁化方向に沿った磁界成分を検出する。このため、磁界方向は常に同方向である磁界検出に適している。金属配線152の方向と位置が固定された電流によって発生する磁界は、常に同方向である。このため、実施の形態1で示した磁界検出装置は、磁界を検出することによる電流の検出にも適している。
また、本実施の形態によれば、実施の形態1で説明した効果を利用し、半導体集積回路等に設けられた金属配線152における電流Ilineの検出が可能となる。半導体集積回路に適用した場合、検出用素子101,102と被測定物である配線152との距離は、層間絶縁膜によって決定されるため、検出用素子101,102と被測定物である配線152との距離を小さくすることが可能であり、結果として、高感度な電流の検出が可能である。
図16に、これを適用した半導体集積回路の例を示す。図16の半導体集積回路においては、電力を供給する電源供給部202に、メモリ部204と演算回路部205とが、電源線206,207により接続され、電力が供給されている。これらの電源線206,207には、磁界検出装置で構成される電流検出装置201が設けられている。電流検出装置201は、メモリ部204と演算回路部205の電源線206,207の電流を常時検出し、検出した電流値を、制御回路203へとフィードバックする。
本構成によれば、半導体集積回路に影響を与えず、高精度且つ高感度な電流の検出を実現することが可能となる。この結果、環境に依存した半導体集積回路の動作状況をモニタリングおよびフィードバックを実施することで、半導体集積回路の低消費電力化が可能となる。
ここでの動作は磁界により電流を検出していることから、実施の形態1から3で説明した磁界検出装置の適用が可能である。図17には、例として、実施の形態2で示した磁界検出装置の適用例を示す。
以上のように、本実施の形態においては、実施の形態1〜3で示した磁界検出装置を用いて電流検出装置を構成するようにしたので、前述の実施の形態1〜3の磁界検出装置を応用することで、実施の形態1〜3で得られた効果が得られ、安定した電流検出装置を実現することができる。
また、本実施の形態においては、実施の形態1〜3で示した磁界検出装置を用いた電流検出装置を備えた半導体集積回路としたので、半導体集積回路の低消費電力化を実現するとともに、磁界検出装置および電流検出装置の機能の集積化も実現することができる。
上記の実施の形態1〜4においては、磁界検出装置およびこれを用いた電流検出装置について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、被測定物が磁界を発する検出装置であれば類似する他の装置に広く適用することができる。
また、磁気抵抗効果素子にトンネル磁気抵抗効果素子を用いることが好ましいが、これに限定されるものではなく、巨大磁気抵抗効果素子など、一方の磁化方向が固定された強磁性層を含むその他の磁気抵抗効果素子であってもよい。
1,101,102 検出用磁気抵抗効果素子(検出用素子)、2 無磁界における自由層の磁化方向、2a 磁界が印加された場合の自由層の磁化方向、3 固着層の磁化方向、11,111,112 参照用磁気抵抗効果素子(参照用素子)、51,52,53,54,55,56,57,58 金属配線、61 基板、62 下部電極層、63 反強磁性層、64,66 強磁性層、65 非磁性層、67 トンネル絶縁層、68 自由層、69 上部電極層、70 固着層、151 磁界印加用配線(配線)、152 金属配線、201 電流検出装置。

Claims (7)

  1. 外部磁界に応じた出力信号を出力する磁界検出装置であって、
    基板上に設けられた2個以上の磁界検出用磁気抵抗効果素子と、
    前記基板上に設けられた2個以上の参照用磁気抵抗効果素子と、
    前記磁界検出用磁気抵抗効果素子の自由層の磁化困難軸方向に磁界を印加するバイアス磁界印加用配線と
    を備え、
    前記参照用磁気抵抗効果素子および前記磁界検出用磁気抵抗効果素子は、それぞれ、反強磁性層と前記反強磁性層により磁化方向が固定された磁性体層とからなる固着層と、外部磁界によって磁化方向が変化する磁性体層からなる自由層とが積層された構造を有し、
    前記2個以上の参照用磁気抵抗効果素子は、前記固着層の磁化方向と前記自由層の無磁界における磁化方向とが平行の状態のものと反平行の状態のものとを含んでおり、
    前記磁界検出用磁気抵抗効果素子は、前記固着層の磁化方向と前記自由層の無磁界における磁化方向とが異なる、
    磁界検出装置。
  2. 前記参照用磁気抵抗効果素子と前記検出用磁気抵抗効果素子とは、同一面積で、かつ、同一形状を有し、互いに90°回転した向きに配置され、その個数は互いに等しい
    請求項1に記載の磁界検出装置。
  3. 前記外部磁界が印加されていない無磁界の状態で前記出力信号が所定値となる電流値の電流を前記バイアス磁界印加用配線に流すことにより前記オフセットを補正した状態で、外部磁界に応じた前記出力信号を生成する
    請求項1または2に記載の磁界検出装置。
  4. 前記検出用磁気抵抗効果素子に磁界を印加するバイアス磁界印加用配線は、同時に、前記参照用磁気抵抗効果素子にも前記磁界を印加する
    請求項1から3までのいずれか1項に記載の磁界検出装置。
  5. 請求項1から4までのいずれか1項に記載の磁界検出装置を用いた電流検出装置。
  6. 請求項5に記載の電流検出装置を備えた半導体集積回路。
  7. 外部磁界に応じた出力信号を出力する磁界検出方法であって、
    基板上に設けられた2個以上の磁界検出用磁気抵抗効果素子と、前記基板上に設けられた2個以上の参照用磁気抵抗効果素子と、前記磁界検出用磁気抵抗効果素子の自由層の磁化困難軸方向に磁界を印加するバイアス磁界印加用配線とを備えた磁界検出装置を用意するステップと、
    前記外部磁界を印加しない無磁界において、前記バイアス磁界印加用配線にバイアス用電流を流すことにより、前記磁界検出用磁気抵抗効果素子の前記自由層の磁化困難軸方向に磁界を印加した状態で、前記出力信号を検出するステップと、
    前記出力信号が所定値か否かを判定し、前記出力信号が所定値になる前記バイアス用電流の値を求めるステップと、
    前記外部磁界を印加した磁界下において、前記バイアス磁界印加用配線に、前記出力信号が所定値になる前記バイアス用電流を流すことにより、前記磁界検出用磁気抵抗効果素子にバイアス磁界を印加した状態で、前記出力信号を検出するステップと
    を備え、
    前記参照用磁気抵抗効果素子および前記磁界検出用磁気抵抗効果素子は、それぞれ、反強磁性層と前記反強磁性層により磁化方向が固定された磁性体層とからなる固着層と、外部磁界によって磁化方向が変化する磁性体層からなる自由層とが積層された構造を有し、
    前記2個以上の参照用磁気抵抗効果素子は、前記固着層の磁化方向と前記自由層の無磁界における磁化方向とが平行の状態のものと反平行の状態のものとを含んでおり、
    前記磁界検出用磁気抵抗効果素子は、前記固着層の磁化方向と前記自由層の無磁界における磁化方向とが異なる、
    磁界検出方法。
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