JP2014153033A - ボイラ装置の保全方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微粒ヘマタイトスケールを短期間に効率的に除去するボイラ装置の保全方法を提供する。
【解決手段】ボイラ装置の停缶後、気体を溶解した水17をボイラ本体の水壁管3内に供給して、水壁管3内面から気泡20を発生させて、水壁管3内面に付着している微粒ヘマタイトの凝集スケール19を発生気泡20により水中に離脱させ、その後、離脱した凝集スケール19を含む水をボイラ本体から排水、除去する。
【選択図】図3
【解決手段】ボイラ装置の停缶後、気体を溶解した水17をボイラ本体の水壁管3内に供給して、水壁管3内面から気泡20を発生させて、水壁管3内面に付着している微粒ヘマタイトの凝集スケール19を発生気泡20により水中に離脱させ、その後、離脱した凝集スケール19を含む水をボイラ本体から排水、除去する。
【選択図】図3
Description
本発明は、ボイラ装置の保全方法に係り、特に水壁管内での微粒ヘマタイトスケールの除去技術に関するものである。
最近の事業用火力発電ボイラの給水処理方法として酸素処理があり、それは、ボイラ給水中に酸素(空気)を注入して溶存酸素とし、ボイラ装置の給水系統に設けられた機器や配管の防食を行う水処理法である。
この酸素処理は、低濃度の溶存酸素を含み、pHを弱アルカリ化したものである。ボイラ本体へ給水する配管内やボイラ本体内の伝熱管内に、溶解度の極めて低い3価の鉄水酸化物(γFeOOH;オキシ水酸化鉄)又は鉄酸化物(αFe2O3)の不動態皮膜を安定的に形成させることにより、配管内や伝熱管内の腐食量を低減する処理である。
この酸素処理により、管内に付着するスケール量を低減でき、スケールの付着形態として表面を平滑にして差圧上昇を抑制でき、付着スケールを除去するために実施する化学洗浄の時間間隔を大幅に延長できるなどの特長を有している。
しかしながら最近、酸素処理を採用しているボイラ本体内の伝熱管のうち、ボイラ火炉の周壁を構成する水壁管の管内面側に熱伝導率の低い微粒のヘマタイト(αFe2O3)スケールが付着し、その付着、堆積による水壁管の過熱損傷が発生する事象が生じている。
図8は、酸素処理を採用している事業用火力発電ボイラの給水・復水系統を示す系統図である。また図9(a)は水壁管の斜視図、図9(b)は図9(a)X部の拡大断面図で、水壁管内のスケールの状態を示している。
図8に示すように、ボイラ本体1の火炉周壁は、スパイラル状に配管された火炉下部水壁管2と、それと連通して垂直方向に配管された火炉上部水壁管3から構成されている。火炉周壁の所定の位置には、多数のバーナ13とアフターエアポート (AAP)14が設けられている。
前記火炉下部水壁管2から火炉上部水壁管3を缶水が加熱されながら流通し、最終的に過熱蒸気となってボイラ本体1から主蒸気管より蒸気タービン4に送られる。その蒸気タービン4で仕事をした蒸気は復水器5に送られ、復水処理装置6、昇圧ポンプ7、低温給水加熱器8、脱気器9、高温給水加熱器11を経由してボイラ本体1内の節炭器12に送られ、再びボイラ本体1内を流通する。
前記酸素処理を行うボイラ装置の場合、酸素は通常、酸素供給器10から脱気器9の給水流れ方向後流側の配管に注入される。
前記水壁管3には、図9(b)に示すように、酸素処理により水壁管3内の母材(以下、メタルと称することもある)22の内面側に硬質酸化スケール23が生成している。本発明者らは水壁管の特定の部位においては、さらに0.1〜2μm径程度の微粒のヘマタイト(αFe2O3)凝集スケール19が前記硬質酸化スケール23の内面側に多く付着していることを見出した。このヘマタイトスケール19は溶解度が低いため、給水系から微粒子として入ってきて、水壁管内に付着すると考えられる。
この特定の部位は運転中に給水が超臨界水の状態にあり、火炉下部水壁管2での加熱水から火炉上部水壁管3での過熱蒸気となる境界部で、特徴的にはノーズ管24の下部に位置する部位Y(図8参照)である。本発明者らの調査により、この部位Yでは特にヘマタイトスケール19の付着量が多いことが分かった。ただし、後で説明する本発明は、特にこの部位Yに限定するものではない。
この火炉上部水壁管3の火炉下部水壁管2との接合部付近で特に微粒ヘマタイトが発生、付着され易いのは、火炉下部水壁管2での加熱水から火炉上部水壁管3での過熱蒸気となる境界部であること、例えば図2に示すように1本の火炉下部水壁管2から複数本の火炉上部水壁管3に分岐されており、そのために火炉上部水壁管3の管内の流体速度が遅くなること、火炉上部水壁管3の火炉下部水壁管2との接合部で流体の流れ方向が急変して、渦流が発生することなどが関係しているものだと考えられる。
前記水壁管2、3内を流れる超臨界水側に付着するヘマタイトスケール19は、0.1〜2μm径程度の微粒で、その見かけ密度は0.8〜1.5mg/cm3であり、ポーラス(多孔質)でない一般的なヘマタイト単体に比べ1/5以下であり、極めてポーラスである。このように付着したヘマタイトスケール19は極めてポーラスであるため、熱伝導率が低く、管内面に付着すると熱負荷およびヘマタイトスケール厚さに比例してメタル22の温度が上昇する。
図10は、ヘマタイトスケールが付着した場合のメタル温度上昇モデルを示す説明図である。
火炉内の燃焼ガスにより火炉内側から水壁管のメタル外径面側に熱負荷がかかると、伝熱管の内面側にヘマタイトスケール19が付着している場合(太い実線で示す)には、付着していない場合(細い実線で示す)と比較してメタル22の温度が上昇し、過熱損傷の原因となる。
すなわち図10において、水壁管の内面側には加熱された給水(以下、内部流体を称することがある)が高温水、超臨界水または過熱蒸気のいずれかの状態で流通しており、燃焼ガス温度よりも低い温度である。
火炉からの熱負荷が一定の場合で、前記内部流体との間でスムースに熱交換が行われている場合には、メタル22の内面側と外径面側での温度勾配は同じになる。水壁管の内面側にヘマタイトスケール19が無い場合は、細い実線で示すようにメタル22の内面側の温度はほぼ内部流体温度と同じになり、メタル22の外径面側の温度は燃焼ガス温度から大きく低下した温度になる。
しかしながら、メタル22の内面側にヘマタイトスケール19がある場合は、前述のように熱伝導率が悪いため、ヘマタイトスケール19の外面側と内面側とでは太い実線で示すように温度勾配が大となり、メタル22の内面側での温度が高くなり、同様に外面側での温度も相対的に高くなる。
なお、図10ではメタル22とヘマタイトスケール19の間にヘマタイトスケール19の2/3程度の厚さで硬質酸化スケール23が存在するが、硬質酸化スケール23は熱伝導度が良く、ここではメタル22厚さに含めてメタル22部分として示している。
図11は、ヘマタイトのスケール厚さとヘマタイトスケールによるメタル温度上昇との関係を示す特性図である。
ヘマタイトスケールの付着による温度上昇の影響は、次式で表される。
ΔT=(Q×tps)/λ・・・(1)
式中、ΔTはメタル温度上昇度(℃)、tpsはヘマタイトスケール厚さ(mm)、Qは熱負荷(kW/m2)、λは付着ヘマタイトスケールの熱伝導率(W/mK)である。
ヘマタイトスケールの付着による温度上昇の影響は、次式で表される。
ΔT=(Q×tps)/λ・・・(1)
式中、ΔTはメタル温度上昇度(℃)、tpsはヘマタイトスケール厚さ(mm)、Qは熱負荷(kW/m2)、λは付着ヘマタイトスケールの熱伝導率(W/mK)である。
付着ヘマタイトスケールの熱伝導率は、0.6W/mK前後と想定され、熱負荷Qが300kW/m2の場合、tps=0.16mmとすると、前記(1)式により、
ΔT=300,000×(0.16/1000)/0.6=80となり、
約80℃昇温することになり、水壁管材料が過熱損傷し、クリープ損傷により噴破することになる。
ΔT=300,000×(0.16/1000)/0.6=80となり、
約80℃昇温することになり、水壁管材料が過熱損傷し、クリープ損傷により噴破することになる。
図12は、水壁管のメタル温度とクリープ損傷率との関係を示す特性図である。
なお、この実験は水壁管の材料としてSTBA20を用い、応力σが75.0MPaの場合を示している。
なお、この実験は水壁管の材料としてSTBA20を用い、応力σが75.0MPaの場合を示している。
この図から明らかなように、ヘマタイトスケールが付着していない場合(点線で表示)、水壁管のメタル温度は460℃でありクリープ損傷することはない。これに対して前述のように、スケールが付着し温度が約80℃上昇し水壁管のメタル温度が540℃になると、平均寿命で約6万時間後にクリープ損傷することになる。
こうした水壁管でのヘマタイトスケールの付着によるメタルの過熱を抑制し、管理する手法として、ヘマタイトスケールの付着要因を究明し、その因子を取り除くことが考えられるが、給水中のFe濃度、温度、流速など数種の因子が複合的に影響していると考えられ、現在、ヘマタイトスケールの付着を著しく低減する技術は確立されていない。
また、酸素処理を適用したボイラ装置でヘマタイトスケール付着による昇温の影響を考慮した、管内硬質酸化スケール厚さと運転時間からメタル温度履歴を推定し、過熱時間及び当該材料の強度よりクリープ損傷率を算出し、残余寿命を診断する方法があるが、ヘマタイト付着による昇温を抑制するものではない。
なお、一般的なスケールの除去方法の先行技術文献として、例えば特開平2−197588号公報(特許文献1)、WO2008/136537号公報(特許文献2)ならびにWO2000/44964号公報(特許文献3)などを挙げることができる。
ところがこれらの先行技術文献には、ボイラ装置の水壁管内面に付着、堆積したポーラスな微粒ヘマタイトスケールの除去方法については記載されていない。
ヘマタイトスケールの除去方法として、流量を変化させることにより機械的に除去する流量スイングやαFe2O3と管材の熱膨張率差を利用した温度変動によるスケール除去法が考えられるが、大型構造物のボイラ装置に適用するには、十分な流量および温度差がかけられず適用できない。
水壁管内面に付着するスケールの除去方法として、最も一般的なのはクエン酸やグリコール酸(ヒドロオキシ酢酸) などの有機酸を用いた化学洗浄があり、酸濃度を高くし、洗浄時間を延長することで、溶解しがたいヘマタイトスケールも除去できるが、この手法は高コストで工期も長く、経済性や発電効率を低下するという問題がある。
本発明の目的は、凝集粒子分散剤などボイラ給水として有害な薬剤の注入で系統内を汚染することなく、ポーラスで低熱伝導率の微粒ヘマタイト(αFe2O3)スケールを、できるだけ既存の設備を用いて短期間に効率的に除去することができるボイラ装置の保全方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、
ボイラ装置の停缶後、気体を溶解した水をボイラ本体の水壁管内に供給して、前記水壁管内面から気泡を発生させて、当該水壁管内面に付着している微粒ヘマタイトの凝集スケールを前記発生気泡により水中に離脱させ、その後、離脱した凝集スケールを含む水を前記ボイラ本体から排水、除去することを特徴とするものである。
ボイラ装置の停缶後、気体を溶解した水をボイラ本体の水壁管内に供給して、前記水壁管内面から気泡を発生させて、当該水壁管内面に付着している微粒ヘマタイトの凝集スケールを前記発生気泡により水中に離脱させ、その後、離脱した凝集スケールを含む水を前記ボイラ本体から排水、除去することを特徴とするものである。
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、
前記気体を溶解した水が、酸素を溶解した水であることを特徴とするものである。
前記気体を溶解した水が、酸素を溶解した水であることを特徴とするものである。
本発明の第3の手段は前記第1または第2の手段において、
前記気体を溶解した水を入れた前記水壁管を管外から加熱して、前記水を沸騰して気泡を発生させることを特徴とするものである。
前記気体を溶解した水を入れた前記水壁管を管外から加熱して、前記水を沸騰して気泡を発生させることを特徴とするものである。
本発明の第4の手段は前記第1または第2の手段において、
前記気体を溶解した水を入れた前記水壁管を管外から機械的に振動を与えて、前記水壁管内面から気泡を発生させることを特徴とするものである。
前記気体を溶解した水を入れた前記水壁管を管外から機械的に振動を与えて、前記水壁管内面から気泡を発生させることを特徴とするものである。
本発明の第5の手段は前記第1または第2の手段において、
前記ボイラ本体に設置されているバーナを点火して、前記水壁管内の水を沸騰して気泡を発生させることを特徴とするものである。
前記ボイラ本体に設置されているバーナを点火して、前記水壁管内の水を沸騰して気泡を発生させることを特徴とするものである。
本発明の第6の手段は前記第1ないし第5のいずれかの手段において、
前記水壁管が、火炉下部水壁管と、その火炉下部水壁管の上に連設した火炉上部水壁管を有し、その火炉上部水壁管内で前記気泡を発生させて、前記火炉上部水壁管内面に付着している微粒ヘマタイトの凝集スケールを除去することを特徴とするものである。
前記水壁管が、火炉下部水壁管と、その火炉下部水壁管の上に連設した火炉上部水壁管を有し、その火炉上部水壁管内で前記気泡を発生させて、前記火炉上部水壁管内面に付着している微粒ヘマタイトの凝集スケールを除去することを特徴とするものである。
本発明によれば、凝集粒子分散剤などボイラ給水として有害な薬剤の注入で系統内を汚染することなく、ポーラスで低熱伝導率の微粒ヘマタイト(αFe2O3)スケールを、できるだけ既存の設備を用いて短期間に効率的に除去することができる。
ボイラ水壁管などの伝熱管内の内面に付着する微粒凝集ヘマタイト(αFe2O3)スケール(以下、単に微粒ヘマタイトスケールと称することがある。)は、揮発性物質処理(AVT)でのマグネタイト(Fe3O4)や高温水による酸化や腐食によって生じるマグネタイトスケールと異なり、ポーラスであり数m/s以上の水噴射や毛筆などの軟質材ブラッシングで容易に除去でき、固着力は低い。従って、微粒ヘマタイトスケールの粒子間の空間部に気泡を発生させることにより、粒子間の結合を分離可能で、粒子は気泡に付着して排水と共に流動するので排出バルブより、水壁管内の水を排出することができる。この場合の排水の流速は給水ポンプによる低流速(約3m/s以下)でも容易に系外に除去することができる。
前述のように気泡を微粒ヘマタイトスケールの付着箇所に発生させるのに、気泡を含んだ給水を水壁管の当該部に供給することも考えられるが、水壁管の当該部は事業用火力発電ボイラの場合、地上から数十メートルの高さにあり、水壁管の本数も数百本あるため、水壁管の途中に接続管を設けて水壁管内の給水にガス(気体)を供給することは困難である。
また、水壁管への給水の入口として水壁下部管寄が設けてあるが、そこにガス供給ノズルを設置して下部管寄内の給水に気泡を供給することが考えられるが、下部管寄から分岐する水壁管は数百本で構成されており、各管に満遍なく気泡を供給することは困難である。
本発明では、気体(ガス)の溶解度の温度および圧力依存性を利用し、気体を飽和又は多量に溶解させた水を微粒ヘマタイトスケールが多量に凝集した部位に供給し、当該部を加熱し、過飽和の気体(ガス)を気泡化することで凝集ヘマタイト微粒子を分離させる。
図13および図14は、空気の溶解度の温度および圧力依存性と減圧低温をした場合のバブル発生量を示す。図13は給水の温度に対する圧力依存性として、各圧力での溶存空気量を示す特性図である。
図13に示すように、圧力が1MPa,0.75MPa,・・・0.1MPa,0.05MPaのように低下したり、あるいは給水の温度を例えば20℃,40℃,60℃と上昇させると空気(酸素+窒素)の溶解度は低下する。
図13中の矢印で示すように、例えば、25℃、0.75MPaの条件で空気を飽和させたボイラ水を50℃、0.1MPaの条件にすると0.12mL/mLの空気気泡が発生する。
図14に温度(℃)に対する減圧操作として、0.1MPaに減圧した場合のバブル量(個)を示す。この場合、図14において、気泡サイズを0.1mmの球体とすると、前述の50℃ボイラ水1mL当たり、約220個の気泡となり、凝集ヘマタイトを分離させるに十分な量である。
大容量の事業用火力発電ボイラでヘマタイトスケールが付着しやすい上部水壁管3は、地上から数十メートル以上のところにあり、静水圧が下部より60mの高低差より0.6MPa低いので、この圧力差で気泡が発生する。
さらに、過飽和のガスの気泡化を促進させるには、当該水壁管にハンマーなどによる打撃により衝撃力を与えることもできる。
以下、本発明の実施例を図面とともに説明する。図1は、本発明の実施例1に係る酸素処理を採用している事業用火力発電ボイラの給水・復水系統図である。
図1に示すように、ボイラ本体1の火炉周壁は、スパイラル状に配管された火炉下部水壁管2と、それと連通して垂直方向に配管された火炉上部水壁管3から構成されている。火炉周壁の所定の位置には、多数のバーナ13とアフターエアポート (AAP)14が設けられている。
前記火炉下部水壁管2から火炉上部水壁管3内を缶水17が加熱されながら流通し(図2参照)、最終的に過熱蒸気となってボイラ本体1から主蒸気管より蒸気タービン4に送られる。その蒸気タービン4で仕事をした蒸気は復水器5に送られ、復水処理装置6、昇圧ポンプ7、低温給水加熱器8、脱気器9、高温給水加熱器11からボイラ本体1内の節炭器12に送られ、再びボイラ本体1内を流通する。
このボイラ本体1への給水・復水系統であるプレボイラ系(復水器5、復水処理装置6、低圧給水加熱器8、脱気器9、酸素供給器10、高圧給水加熱器11)において、酸素供給器10が脱気器9の出口配管に接続されている。そして、酸素供給器10によりボイラ給水に空気を溶解、飽和させ、その給水を節炭器12から水壁入口管寄16を経由してボイラ本体1の火炉下部水壁管2内に供給し、さらに火炉下部水壁管2内を上昇し、各火炉上部水壁管3へ分配、供給される(図2参照)。
なお、本実施例ではボイラ給水に溶解、飽和させるガスとして空気を用いたが、酸素と窒素の混合ガスでもよい。
なお、本実施例ではボイラ給水に溶解、飽和させるガスとして空気を用いたが、酸素と窒素の混合ガスでもよい。
図2は火炉上部水壁管3の火炉下部水壁管2と接合する付近の一部断面図、図3はヘマタイトスケール19の除去の様子を説明するための模式図である。
図2に示すように、火炉上部水壁管3の火炉下部水壁管2と接合する付近、本実施例ではノーズ管24(図1参照)の下部付近の火炉の内側には、水壁管加熱器15が設置されている。
ボイラ装置の定期検査などに伴うボイラ停缶後に、火炉下部水壁管2から火炉上部水壁管3にかけて酸素を飽和溶解した缶水17を供給する。前述のように火炉上部水壁管3のノーズ管24の下部付近の部位ではヘマタイトスケール19の付着が起こり易い。そこで本実施例では、地上と当該部位でのヘッド差による圧力低下を利用して、気泡20を発生させ、凝集しているヘマタイトスケール19を火炉上部水壁管3から分離させる。対象部位である上部水壁管3は、地上から約60mの高い位置にあることから、圧力低下により気泡20を発生させることが可能である。
さらに本実施例では、管内面に気泡20を確実に発生させるために水壁管加熱器15を設け(図2参照)、火炉上部水壁管3の管外からの加熱により、管内を流通する缶水17を沸騰させて管内面から気泡20をマイクロバブルの状態で集中的に発生させる。
この気泡20は微粒ヘマタイトスケール19の体積層内から発生するため、ヘマタイトスケール19の凝集は結合力を弱めてバラバラに分離し、管内面から離脱して、気泡20により浮き上がらせる(図3参照)。
本発明者の諸種の実験結果によれば、高低差による圧力差の関係から、前記水壁管加熱器15により火炉上部水壁管3を100℃以下、適正には40℃〜70℃に加熱できればよいことが分かっている。
このようにして微粒ヘマタイトスケール19を含んだ缶水17は、水壁入口管寄16の下部に設けられている排水バルブ17を開いて缶外へ排出され、ヘマタイトスケール19はろ過し、集めて廃棄される。
図4は、本発明の実施例2に係る酸素処理を採用している事業用火力発電ボイラの給水・復水系統図である。
本実施例で前記実施例1と相違する点は、酸素供給器10を設置する空気供給部位を昇圧ポンプ7の前段(入口側)に設置した点である。このようにすれば、昇圧ポンプ7の攪拌効果により十分量の空気を水中に飽和させることができ、酸素処理効果が高められるとともに、気泡20の発生も良好となり、微粒ヘマタイトスケール19の除去が効果的に行われる。
本実施例で前記実施例1と相違する点は、酸素供給器10を設置する空気供給部位を昇圧ポンプ7の前段(入口側)に設置した点である。このようにすれば、昇圧ポンプ7の攪拌効果により十分量の空気を水中に飽和させることができ、酸素処理効果が高められるとともに、気泡20の発生も良好となり、微粒ヘマタイトスケール19の除去が効果的に行われる。
図5は、本発明の実施例3に係る火炉上部水壁管3の火炉下部水壁管2と接合する付近の一部を断面にした側面図である。
本実施例では、火炉上部水壁管3の火炉下部水壁管2との接合部付近を直接覆うように加熱器15を設けている。この加熱器15によって火炉上部水壁管3の当該部位を100℃以下、適正には40℃〜70℃に加熱できればよい。
加熱器15として具体的には、例えばプレート状の電気ヒータ、誘導加熱器、温水加熱器、バーナ加熱器などが適宜用いられる。
加熱器15として具体的には、例えばプレート状の電気ヒータ、誘導加熱器、温水加熱器、バーナ加熱器などが適宜用いられる。
図6は、本発明の実施例4に係る火炉上部水壁管3の所定部位に衝撃力を付与する状態を示す一部斜視図である。
本実施例の場合、ボイラ停缶後に、火炉内に足場を組み、火炉下部水壁管2から火炉上部水壁管3にかけて酸素(空気)を飽和した缶水17を供給する。そして火炉上部水壁管3のヘマタイトスケールの付着が顕著な部位に電磁ノッカーなどの衝撃力付与装置21を設置し、衝撃力付与装置21により機械的に衝撃を与える。
このように衝撃を与えることにより、給水中に過飽和で存在する溶存気体を短時間に集中的に気泡化するとともに、機械的にもヘマタイトスケールの離脱が促進されて、効果的にヘマタイトスケールの除去が行われる。
本実施例では衝撃力付与装置21として電磁ノッカーを用いたが、例えば圧縮空気あるいはモータなどの他の手段を利用して火炉上部水壁管3の所定部位に衝撃を与えることも可能である。
この衝撃力付与装置21は、ボイラ装置の保全時にのみ使用するものであるから、火炉上部水壁管3に対して着脱可能になっている。
図6では火炉上部水壁管3に対して個別に衝撃力を付与している状態を示しているが、並んでいる配置されている複数本の火炉上部水壁管3に対して同時に衝撃力を付与ることも可能である。
図6では火炉上部水壁管3に対して個別に衝撃力を付与している状態を示しているが、並んでいる配置されている複数本の火炉上部水壁管3に対して同時に衝撃力を付与ることも可能である。
図7は、本発明の実施例5に係るボイラ本体の概略構成図である。
同図に示すようにボイラ本体1には複数段バーナ13が設置されており、本実施例はそのバーナ13を点火し、給水を加熱して対象部位で気泡を発生させ、ヘマタイトスケールを除去するものである。
同図に示すようにボイラ本体1には複数段バーナ13が設置されており、本実施例はそのバーナ13を点火し、給水を加熱して対象部位で気泡を発生させ、ヘマタイトスケールを除去するものである。
すなわち、ボイラ停缶後に、火炉下部水壁管2から火炉上部水壁管3にかけて缶水を供給する。次に本実施例では最上段のバーナ13aを点火25することにより、火炉上部水壁管3の一点鎖線で囲まれている部位(ノーズ管24を含むその上下の沸騰による気泡発生部26)を約100℃、0.1MPaの条件にすることにより、沸騰によるマイクロバブルの状態の気泡が発生して、ヘマタイトスケールを除去することができる。
本実施例では、地上からの前記気泡発生部26の高さ(水頭圧)ならびに沸騰温度を考慮して、水壁管内の温度および昇圧ポンプの圧力を設定すればよい。
1:ボイラ本体、
2:火炉下部水壁管、
3:火炉上部水壁管、
7:昇圧ポンプ、
10:酸素供給器、
13a:バーナ、
15:水壁管加熱器、
17:缶水、
19:ヘマタイトスケール、
20:気泡、
21:衝撃力付与手段、
24:ノーズ管、
25:点火、
26:気泡発生部。
2:火炉下部水壁管、
3:火炉上部水壁管、
7:昇圧ポンプ、
10:酸素供給器、
13a:バーナ、
15:水壁管加熱器、
17:缶水、
19:ヘマタイトスケール、
20:気泡、
21:衝撃力付与手段、
24:ノーズ管、
25:点火、
26:気泡発生部。
Claims (6)
- ボイラ装置の停缶後、気体を溶解した水をボイラ本体の水壁管内に供給して、前記水壁管内面から気泡を発生させて、当該水壁管内面に付着している微粒ヘマタイトの凝集スケールを前記発生気泡により水中に離脱させ、その後、離脱した凝集スケールを含む水を前記ボイラ本体から排水、除去することを特徴とするボイラ装置の保全方法。
- 請求項1に記載のボイラ装置の保全方法において、
前記気体を溶解した水が、酸素を溶解した水であることを特徴とするボイラ装置の保全方法。 - 請求項1または2に記載のボイラ装置の保全方法において、
前記気体を溶解した水を入れた前記水壁管を管外から加熱して、前記水を沸騰して気泡を発生させることを特徴とするボイラ装置の保全方法。 - 請求項1または2に記載のボイラ装置の保全方法において、
前記気体を溶解した水を入れた前記水壁管を管外から機械的に振動を与えて、前記水壁管内面から気泡を発生させることを特徴とするボイラ装置の保全方法。 - 請求項1または2に記載のボイラ装置の保全方法において、
前記ボイラ本体に設置されているバーナを点火して、前記水壁管内の水を沸騰して気泡を発生させることを特徴とするボイラ装置の保全方法。 - 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のボイラ装置の保全方法において、
前記水壁管が、火炉下部水壁管と、その火炉下部水壁管の上に連設した火炉上部水壁管を有し、その火炉上部水壁管内で前記気泡を発生させて、前記火炉上部水壁管内面に付着している微粒ヘマタイトの凝集スケールを除去することを特徴とするボイラ装置の保全方法。
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