JP2014152135A - 医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】疎水性軟膏製剤において、薬剤の角層内濃度の初期値を高め、その濃度を維持するようなコントロール技術の提供。
【解決手段】1)疎水性軟膏基剤の軟膏と、2)ルリコナゾール3)ベンジルアルコールと、4)多価アルコールとを含有する剤形。かかる製剤は、ペースト状の炭化水素を80〜95質量%含有することことが好ましく更に、非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。非イオン界面活性剤は、POEソルビタン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、POEアルキル(アルケニル)エーテル、POE脂肪酸グリセリル、POEヒマシ油及びPOE硬化ヒマシ油から選択される1種又は2種以上である。更に、N−アルキル−2−ピロリドンを含有することが好ましい。クリーム剤形の医薬組成物及びローション剤形の医薬組成物の中から、選択して使用される。
【選択図】なし

Description

本発明は、医薬組成物に関し、更に詳細には抗真菌用の軟膏剤形の医薬組成物に好適な医薬組成物に関する。
水虫などの真菌症の治療においては、患部が損傷し、体液が滲出するなどを呈するが故に、浸出液によって有効成分が拡散せず、傷口に対しても刺激性を呈しない軟膏剤形が有用であると考えられている。軟膏剤形には、ポリエチレングリコールなどの親水性軟膏基剤やワセリンなどの疎水性軟膏基剤に薬剤を直接分散させた、薬剤分散剤形、軟膏基剤となじみの良い薬剤を溶かしこんだ薬剤溶解剤形、薬剤を溶解せしめた液滴を分散させた液滴分散剤形などが知られている。中でも、ワセリンなどの疎水性軟膏基剤に、多価アルコールなどに薬剤を溶解せしめた溶液を液滴として分散させた、疎水性液滴分散剤形はその応用範囲が広いことから、一般的に用いられている。(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)
この様な疎水性軟膏において、大きな課題となるのは、ローション剤やクリーム剤と使用態様を同じくさせるために、角層内の薬剤濃度をこれらの製剤と同程度に制御しなければならないことである。通常、疎水性液滴分散剤形などの疎水性軟膏基剤を用いた軟膏においては、基剤成分が液滴などに含まれる有効成分と、皮膚との接触を妨げるために、角層内の薬剤濃度はなかなか高めることが出来ない現状が存した。
更に、疎水性軟膏製剤においては、角層内濃度の初期値を高めても、皮膚上の医薬組成物より、持続的に薬剤を放出せしめることに困難性が存するため、角層内濃度の維持が困難である場合が存した。
即ち、疎水性軟膏製剤において、薬剤の角層内濃度の初期値を高め、その濃度を維持するようなコントロール技術の開発が望まれていたと言える。
一方、疎水性軟膏基剤の軟膏であって、1)ベンジルアルコールと、2)次に示す一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩と3)多価アルコールとを含有する医薬組成物は知られていなかった。
Figure 2014152135
(但し、式中R1、R2はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を表す。)
特表2007−505107号公報 特表2005−528425号公報
本発明は、この様な状況下為されたものであり、疎水性軟膏製剤において、薬剤の角層内濃度の初期値を高め、その濃度を維持するようなコントロール技術を提供することを課題とする。
本発明者らは、この様な状況に鑑みて、一般式(1)に表される抗真菌剤を含有する、疎水性軟膏製剤において、クリーム剤などの他の剤形の製剤と比較検討を行った結果、その差異が、角層内濃度において、1)初期濃度が低い、及び、2)投与後24時間値が低く、角層内濃度維持性が低いという2つの特徴が存するのを見出した。この結果を元に、本発明者らは、薬剤の角層内濃度の初期値を高め、その濃度を維持するようなコントロール技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、前記一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩を有効成分とする、多価アルコール含有疎水性軟膏製剤において、初期角層内濃度を上げることが可能なベンジルアルコールを用いることにより、この様なコントロール技術が提供できることを見出し、発明を完成させるに至った。更に、角層内の一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩の濃度を維持する作用を有するN−アルキル−2−ピロリドンを組み合わせることにより、必要濃度に維持できる時間が更に長くなることを見出し、発明を発展させた。即ち、本発明は以下に示す通りである。
<1> 1)疎水性軟膏基剤と、2)次に示す一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩と、3)ベンジルアルコールと、4)多価アルコールとを含有することを特徴とする、医薬組成物。
Figure 2014152135
(但し、式中R1、R2はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を表す。)
<2> 前記一般式(1)に表される化合物は、ルリコナゾールであることを特徴とする
、<1>に記載の医薬組成物。
<3> 前記疎水性軟膏基剤はペースト状の炭化水素であって、該ペースト状の炭化水素は医薬組成物全質量に対して80〜95質量%含有されることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の医薬組成物。
<4> 更に、非イオン界面活性剤を含有することを特徴とする、<1>〜<3>の何れかに記載の医薬組成物。
<5> 前記非イオン界面活性剤は、POEソルビタン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、POEアルキル(アルケニル)エーテル、POE脂肪酸グリセリル、POEヒマシ油及びPOE硬化ヒマシ油から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、<4>に記載の医薬組成物。
<6> 更に、N−アルキル−2−ピロリドンを含有することを特徴とする、<1>〜<5>の何れかに記載の医薬組成物。
<7> 一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩を含む医薬組成物の使用に際して、前記医薬組成物、クリーム剤形の医薬組成物及びローション剤形の医薬組成物の中から、選択して使用されることを特徴とする、<1>〜<6>の何れかに記載の医薬組成物。
<8> 第16改正日本薬局方における油脂性軟膏に属することを特徴とする、<1>〜<7>の何れかに記載の医薬組成物。
本発明によれば、疎水性軟膏製剤において、薬剤の角層内濃度の初期値を高め、その濃度を維持するようなコントロール技術を提供できる。
<1>ルリコナゾールクリーム剤の角層内濃度推移と軟膏製剤の角層内濃度推移の比較
本発明に先立ち、本発明者らは剤形による角層内濃度推移の差異を求めた。この結果、投与後6時間、投与後24時間に角層内濃度の剤形による差異が大きいことを見出した。即ち、クリーム製剤においては、初期値、投与後6時間値、投与後24時間値も高く維持されているが、ワセリンなどの炭化水素を疎水性軟膏基剤とする軟膏では初期値、投与後6時間値、投与後24時間値も低く、且つ、その衰退曲線は傾きが大きい特徴が存する。又、衰退においては明確な単調減少の傾向が存する。従って、生物学的な同等性を保持するには、投与後6時間値と24時間値を比較し、これらの差異を少なくすることが有用であることが判る。
この様な方針から、クリーム製剤の角層内濃度測定値を元に設定できる、軟膏として好ましい角層内濃度は、被検体として豚の耳を用いた場合、初期投与量3〜8μg/cm2であれば、投与後6時間で0.1〜0.9μg/cm2であり、好ましくは0.2〜0.9μg/cm2であり、より好ましくは0.3〜0.7μg/cm2である。また、投与後24時間では、投与後6時間値の55%以上を維持していることが好ましく、より好ましくは60%以上を維持していることである。測定は、標準的な角層内濃度測定方法に準じれば良く、特定面積の部位を皮膚上に設定し、所定量を投与した後、経時的にテープでストリッピングを20〜30回行い、これより溶媒抽出を行って、高速液体クロマトグラフィー等で定量することにより求められる(例えば、Hasler-Nguyen N, ;BMC Dermatol. 2009 ;9:3.を参照)。また、後述の試験方法に基づいて、測定することができる。
<2>軟膏製剤における成分の特性
以上の検討を元に、多価アルコール含有疎水性基剤軟膏における、成分の添加効果を検討し、角層内薬物動態が、クリーム製剤に近づくための手だてを探してみた。即ち、多価アルコール含有製剤の疎水性軟膏基剤の一部を他の成分に置き換えた場合の、角層内薬物動態への影響を調べた。その結果、角層内の抗真菌剤の濃度を、投与後6時間、24時間
に測定し、その測定値により、加えた成分を次の4種に分類することが出来ることを見出した。
即ち、1)投与後6時間値を上昇させる成分、2)投与後6時間値と24時間値との差異を少なくする成分、3)投与後6時間値を上昇させ、且つ、投与後6時間値と24時間値の差異を少なくする成分及び4)その何れにも属さない成分とに分類する。
1)に分類される成分としては、例えばフェネチルアルコール、エトキシフェノール、ベンジルアルコールのような芳香族性を有する脂肪族アルコール類、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルなどのような二塩基酸のジエステル類、トリアセチン、クエン酸トリエチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどが存し、2)に属する成分としては炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジカプリルなどの炭酸ジエステル、クロタミトン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン等のN−アルキル−2−ピロリドンなどである。3)に分類される成分は現在のところ知られていない。
すなわち、これらの1)、2)の一方又は両方の成分を単独で又は適宜組み合わせて用いることができる。本発明において、これらの1)、2)の成分の含有量は、それぞれ、ワセリンなどの炭化水素類の総質量に対して0.5〜5質量%が好ましく、より好ましくは1〜3質量%である。又、1)、2)の成分のいずれも含有する場合、1)の成分と2)の成分の質量比は1:5〜5:1が好ましく、2:3〜3:2がより好ましい。これはこの範囲を外れた場合、24時間値が低くなったり、6時間値と24時間値の差異が大きくなったりする場合が存するためである。
この中で、1)の成分の中のベンジルアルコールが初期値を大きく増加させる効果を有し、軟膏における一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩の角層内動態をクリーム製剤に近づけるには有用であることを見出した。更に、ベンジルアルコールのこの作用は、6時間値に対して24時間値の著しい減少を抑制する成分である、N−アルキル−2−ピロリドンを添加しても、初期値、6時間値は減少しない特性を有し、N−アルキル−2−ピロリドンの効果を顕著にする。かかる効果を発揮するためには、ベンジルアルコールの含有量は、医薬組成物全質量に対し、0.1〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。又、ベンジルアルコールの質量は、多価アルコールの総質量に対して、同量〜1/10量であることが好ましい。これらの特性を踏まえた上で、以下に、本発明の医薬組成物の構成要素について、更に詳細に説明を加える。
<3>本発明の医薬組成物の必須成分である疎水性軟膏基剤
本発明の医薬組成物は軟膏剤形であって、疎水性軟膏基剤を必須成分として含有する。ここで、疎水性軟膏基剤とは、軟膏の主たる構成を占める化合物乃至は組成物を意味し、疎水性とは水とは実質的に混合しない性格を有することを意味する。ここで、主たる構成を占めるとは、半量を超えることを意味する。疎水性軟膏基剤としては、単一の油脂を用いる場合も存するし、二種以上の油脂、界面活性剤、添加物など組成物を用いる場合も存する。かかる油脂としては、例えば、ワセリン、固形パラフィン、流動パラフィン、イソパラフィン、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、スクワランのような炭化水素類、ジメチコン、フェニルメチコン、ポリエーテル変性ジメチコン等のシリコーン類、セチルイソオクタネート、オレイン酸オクチルドデシル、イソプロピルミリステート、カルナウバワックス、ミツロウ、モクロウ、ホホバ油などのエステル類、オリーブ油、ヤシ油、水添ヤシ油などのトリグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリドなどの親油性界面活性剤等が好適に例示できる。特に好ましいものは、炭化水素のみを構成とするものであり、ワセリンが特に好ましい。質量比に換算すれば、疎水性軟膏基剤の80質量%以上がワセリンであるような疎水性軟膏基剤が特に好ましい。かかる疎水性軟膏基剤の好ましい含有量は、医薬組成物の全質量に対して70質量%以上であることであり、より好ましくは80質量%以上であることである。
また、ワセリンは固形パラフィンのような固形の炭化水素と流動パラフィンの様な液体炭化水素を混合し、ペースト状に加工してワセリンに近似させて使用することも可能であ
り、この様な場合を含めれば、疎水性軟膏基剤として、ペースト状の炭化水素を医薬組成物全質量に対し80〜95質量%含有することが好ましい形態であるといえる。
<4>本発明の軟膏剤形の医薬組成物の必須成分である一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩
本発明の医薬組成物は軟膏剤形であって、抗真菌効果を有する一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩を含有することを特徴とする。すなわち、本発明の医薬組成物は、抗真菌医薬組成物として使用できる。一般式(1)に表される化合物としては、例えば、式中のR1が塩素原子であり、R2が水素原子であるラノコナゾール、R1とR2とがともに塩素原子であるルリコナゾールが具体的に好ましく例示でき、取り分けルリコナゾールが好ましい。かかる化合物は、例えば、特開平09−100279号公報に記載の方法によって製造することが出来る。かかる成分の好ましい含有量は、総量で、医薬組成物全質量に対して0.1〜20質量%であり、より好ましくは0.5〜10質量%である。これは多すぎると本発明の医薬組成物の効果を奏しない場合が存し、少なすぎると抗真菌効果を奏しない場合が存するからである。
<5>本発明の医薬組成物の必須成分である多価アルコール
本発明の軟膏剤形の医薬組成物は、多価アルコールを必須成分として含有する。かかる成分は前記抗真菌剤である、一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩を医薬組成物全体に一様に分散させるベシクルとして働く。具体的には、多価アルコールとしては、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールなどが好適に例示でき、中でもプロピレングリコールが一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩との相溶性の点から特に好ましい。また、かかる成分は前記の炭化水素等の疎水性軟膏基剤とは混合しにくいため、かかる成分は、かかる成分と疎水性軟膏基剤とによって液滴・ワックス構造乃至はミセルとして構造を形成し、軟膏の安定性を高めているものと推測する。この様な安定な構造を形成するためには、多価アルコールは医薬組成物の全質量に対して、総量で1〜10質量%であることが好ましく、3〜8質量%であることが特に好ましい。更に、多価アルコールの質量は、前記一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩の総質量に対して、400〜700%であることが好ましい。
<6>本発明の医薬組成物
本発明の医薬組成物は、前記必須成分を含有し軟膏であることを特徴とする。本発明の軟膏は、クリーム剤と類似の角層内濃度挙動を、一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩が取ることを特徴とする。具体的には、被検体として豚の耳を用いた場合、その角層内濃度は、初期投与量3〜8μg/cm2であれば、投与後6時間で0.1〜0.9μg/cm2であり、好ましくは0.2〜0.9μg/cm2であり、より好ましくは0.3〜0.7μg/cm2であり、投与後24時間では、投与後6時間値の55%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上を維持している特性を有する。
上述のとおり、本発明の医薬組成物は、クリーム剤と類似の角層内濃度挙動を、一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩が取るため、一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩を含む医薬組成物の使用に際して、前記軟膏剤形の医薬組成物、クリーム剤形の医薬組成物及びローション剤形の医薬組成物の中から、選択して使用され得る。
本発明の医薬組成物において、前記必須成分以外に、通常医薬組成物で使用される任意成分を含有することが出来る。例えば、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、等の二塩基酸のジエステル、トリアセチン、エチルグリコール等のエチレングリコールのモノアルキルエステル、クエン酸トリエチルなどのクエン酸のトリアルキルエステル、フェネチルアルコール、フェノキシエタノール等の溶剤類が好適に例示できる。これらの1種又は2種以上を組み合わせて、使用できる。
医薬組成物の設計においては、<1>に前述の、溶剤の抗真菌剤の角層内薬物動態への影響に関する知見を利用して、成分構成を決定することができる。
また、抗酸化剤、キレート剤、pH調整剤、紫外線吸収剤などの安定化の為の任意成分を含有することも好ましく例示出来る。一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩においては酸性域で安定性が高いことから、安定剤として、pH調整剤を含有することが特に好ましい。pH調整剤としては、有機酸が好ましく、より好ましくは乳酸、グリコール酸、グルコン酸などのα−ヒドロキシ酸が例示できる。中でも乳酸が特に好ましい。かかるpH調整剤は、抗真菌剤の含有量に対して1〜10質量%であることが好ましい。又、安定剤としては、抗酸化成分、キレート剤が特に好ましく例示でき、抗酸化剤としては、BHT、BHA、トコフェロール、アスコルビン酸及びその誘導体などが好適に例示でき、キレート剤としてはエデト酸、フィチン酸、ペンテト酸などが好ましく例示できる。
また、多価アルコールと一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩の相溶性を高めるため、或いは、多価アルコールと疎水性軟膏基剤とが安定な構造を作るために、非イオン界面活性剤を含有するのも好適な形態である。かかる非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンのエステルの構造を取るものが好ましく、基剤と同程度のペースト状のものが好ましい。また、HLB10以上の親水性の界面活性剤であることが好ましい。具体的にはオキシエチレンの付加モル数が14以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、オキシエチレンの付加モル数が20以上のソルビタン脂肪酸エステル等が好適に例示できる。かかる非イオン界面活性剤は唯一種を含有させることも出来るし、二種以上を組み合わせて含有させることも出来る。これらの非イオン界面活性剤の好ましい含有量は、総量で医薬組成物全質量に対して、1〜6質量%であることが好ましく、0.5〜3.5質量%であることが特に好ましい。
本発明の医薬組成物は、常法に従って製造することが出来る。例えば、疎水性軟膏基剤を90〜99℃で加熱溶解する。疎水性軟膏基剤、抗真菌剤以外の成分を同様に90〜99℃で加熱溶解し、これに一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩を加えて溶解させた後、これを溶解した疎水性軟膏基剤に攪拌下徐々に加え、室温まで攪拌冷却し、ペースト状の医薬組成物とする様な方法で製造できる。この様に作製される本発明の医薬組成物は、第16改正日本薬局方に言う「油脂性軟膏」に分類される製剤であることが好ましい。かかる製剤は、油性基剤に有効成分を溶解又は分散させた半固形製剤を意味する。この様な製剤はクリーム製剤と異なり、水とのエマルションを形成していない。水とのエマルションを形成していないことが、角層内動態をクリーム製剤と大きく異なるものにしている。
本発明の医薬組成物は、真菌による疾病の治療又は悪化の予防に用いることが好ましい。真菌による疾病としては、水虫のような足部白癬症、カンジダ、デンプウのような体部白癬症、爪白癬のようなハードケラチン部分の白癬症が例示でき、その角層への効果が顕著なことから、足部白癬症、カンジダ、デンプウのような体部白癬症などのソフトケラチン部分、言い換えれば角層の明確な部分の処置に用いることが特に好ましい。本発明の医薬組成物の効果は皮膚に特に好適に発現されるが、爪や角質増殖部の真菌症にも及ぶので、本発明の構成を充足する爪や角質増殖部の真菌症に対する医薬組成物も本発明の技術的範囲に属する。
その使用態様は、患者の体重、年令、性別、症状等を考慮して適宜選択できるが、通常成人の場合、ルリコナゾール等を1日当たり0.01〜1g投与するのが好ましい。また、真菌による疾病に通常使用されているルリコナゾール等の使用量を参考にすることができる。
例えば、一日に一回又は数回、疾病の箇所に適量を塗布することが例示でき、かかる処置は連日行われることが好ましい。
以下に、実施例を挙げて、本発明について、更に詳細に説明を加えるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
以下の処方に従って、本発明の医薬組成物である軟膏を作製した。即ち、イ、ロの成分をそれぞれ95℃で攪拌溶解した。ロの成分にハの成分を加えた後、攪拌下イに徐々に加え、攪拌冷却し、本発明の医薬組成物である、軟膏を得た。また、後述のとおり、角層内における抗真菌剤の動態もクリーム剤に近似したものであり、本発明の効果が確認された。
Figure 2014152135
<実施例2>
下記に示す処方に従って、実施例1と同様に、本発明の医薬組成物である軟膏を作製した。
Figure 2014152135
<実施例3>
下記に示す処方に従って、実施例1と同様に、本発明の医薬組成物である軟膏を作製した。
Figure 2014152135
<比較例1>
以下の処方に従って、実施例1の医薬組成物の処方の一部を置き換え、比較例1を作製した。このものの角層内の薬物動態は、初期値が低く、クリームの挙動とは著しく異なっていた。
Figure 2014152135
<実施例4>
<角層内濃度変化>
豚の耳を用いて、角層内の抗真菌剤の濃度を測定した。即ち、直径2.5cmの円状の部位を作製し、検体25μLを投与し、投与後6時間、24時間にテープストリッピングにより角層を採取し、メタノールで抽出し、高速液体クロマトグラフィータンデム型質量分析計(装置名:UPLC-MS/MSシステムACQUITY TQD;販売社名:日本ウォーターズ株式会社)で抗真菌剤量を定量し、皮膚cm2あたりの角層内濃度を計測した。結果を表5に示す。本発明の構成を採用することにより、クリームに近い、初期値も高く、24時間後の維持量も多い、挙動を示すことが判る。又、N−メチル−2−ピロリドンとベンジルアルコールを併用することにより、初期値の上昇を24時間後の値まで影響させることが出来るので、この組合せを用いることが好ましいことも判る。
Figure 2014152135
本発明は、医薬組成物に応用できる。

Claims (8)

  1. 1)疎水性軟膏基剤と、2)次に示す一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩と、3)ベンジルアルコールと、4)多価アルコールとを含有することを特徴とする、医薬組成物。
    Figure 2014152135
    (但し、式中R1、R2はそれぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を表す。)
  2. 前記一般式(1)に表される化合物は、ルリコナゾールであることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記疎水性軟膏基剤はペースト状の炭化水素であって、該ペースト状の炭化水素は医薬組成物全質量に対して80〜95質量%含有されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. 更に、非イオン界面活性剤を含有することを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の医薬組成物。
  5. 前記非イオン界面活性剤は、POEソルビタン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、POEアルキル(アルケニル)エーテル、POE脂肪酸グリセリル、POEヒマシ油及びPOE硬化ヒマシ油から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 更に、N−アルキル−2−ピロリドンを含有することを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の医薬組成物。
  7. 一般式(1)に表される化合物及び/又はその塩を含む医薬組成物の使用に際して、前記医薬組成物、クリーム剤形の医薬組成物及びローション剤形の医薬組成物の中から、選択して使用されることを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の医薬組成物。
  8. 第16改正日本薬局方における油脂性軟膏に属することを特徴とする、請求項1〜7の何れか1項に記載の医薬組成物。
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