JP2014151559A - 複合フィルム及び該フィルムの製造方法 - Google Patents

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二郎 杉山
Tomoko Koga
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Abstract

【課題】従来発明の問題点を解決するために、融点の低い基材、特にポリエステル樹脂層と可溶性透明ポリイミド樹脂層とが隣接して積層することで、透明性、耐熱性、機械的特性等の諸特性を改良した複合フィルムを提供する。
【解決手段】少なくともポリエステル樹脂層及びポリイミド樹脂層を有する複合フィルムであって、該ポリイミド樹脂層が、無色透明且つ溶媒へ可溶であり、該ポリエステル樹脂層と該ポリイミド樹脂層とが隣接して積層されていることを特徴とする複合フィルムを用いることにより解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、フレキシブルデバイス作成などに使用される複合フィルムであって、透明なポリエステル樹脂層と透明ポリイミド樹脂層の積層体に関する。
現在、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、電子ペーパーなどの表示デバイス分野をはじめ、太陽電池などの受光デバイス、有機EL照明などの発光デバイスの分野では、主にガラス基板が用いられている。これらのデバイス分野では軽量化、薄膜化が要求されているが、ガラス基板を軽量化、薄膜化すると強度が低下し、割れやすくなるという問題がある。
そこで各種デバイスで一般的に用いられているガラス基板の代替品として、プラスチックフィルム基板が注目されている。
プラスチックフィルム基板として一般的に多く用いられているのは、PEN(ポリエチレンナフタレート樹脂)、PES(ポリエーテルサルフォン樹脂)、PET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、BCB(ベンゾシクロブテン樹脂)などが挙げられる。しかしながらこれらの基板には、耐熱性の低さや、製膜プロセスの煩雑さなどの問題がある。一般に、ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂を素材としたフィルムは、その成型容易性、優れた機械的特性、化学的特性等を保有することから各種の産業分野において広く利用されている。しかしながら、上記のポリエステル樹脂を素材としたフィルムは、樹脂のガラス転移点が低いため、高温での工業的利用において耐熱性に劣るという問題点があり、高温にさらされる部分には使用できないものであった。
そこで、従来から樹脂を素材とするフィルムの表面に、樹脂の欠点を補う性質を有する素材の膜を形成した各種の複合フィルムが提案されている。例えば、特許文献1には、N−メチル−2−ピロリドン溶媒で調整した溶液にフッ素樹脂フィルムを浸漬して、フィルム表面にポリアミック酸樹脂を塗布し、加熱乾燥してポリイミド樹脂層を形成し、耐熱性の樹脂フィルムを得ることが提案されている。
一方、通常のポリイミドは溶剤に対して難溶であるためフィルムの表面に薄い膜を形成することができなかった。特許文献2には特殊な骨格を導入することで溶媒に対する溶解性を高めたポリイミド樹脂を特定の溶媒に溶解させ、ポリエステルフィルムに塗布することで複合フィルムを得ることが提案されている。
特開昭57−167256号公報 特開2000−202970号公報
しかしながら、特許文献1に記載のポリアミック酸をポリイミド樹脂に変換するためには、脱水、イミド化反応を必要とし、このために300度の高温度の熱処理が長時間必要であるため、基材フィルムとして耐熱性の低い材料を用いることができないという問題点がある。また、特許文献2においては、透明性に対する検討がなされておらず、高透明性を求めるフレキシブルデバイスに用いるには不十分である。
本発明は、以上の従来発明の問題点に鑑みてなされたものであり、融点の低い基材、特
にポリエステル樹脂層と可溶性透明ポリイミド樹脂層とが隣接して積層することで、透明性、耐熱性、機械的特性等の諸特性を改良した複合フィルムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明者等は鋭意研究し、高い透明性を有し、溶媒に可溶であるポリイミド樹脂層と、ポリエステル樹脂層とを隣接して積層することで本発明の目的が達成されることを見出し、本発明を完成した。
本発明は次の各項に関する。
[1] 少なくともポリエステル樹脂層及びポリイミド樹脂層を有する複合フィルムであっ
て、該ポリイミド樹脂層が、無色透明且つ溶媒へ可溶であり、該ポリエステル樹脂層と該ポリイミド樹脂層とが隣接して積層されていることを特徴とする複合フィルム。
[2]前記ポリイミド樹脂層の400nmにおける全光線透過率が70%以上であることを特徴
とする前記[1]に記載の複合フィルム。
[3]ポリイミド樹脂溶液をポリエステル樹脂層に塗布し、乾燥することにより前記[1]又は[2]に記載の複合フィルムを製造すること特徴とする複合フィルムの製造方法。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下で説明されるのは本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施形態に限定はされない。
<複合フィルム>
本発明の複合フィルムは、少なくともポリエステル樹脂層及びポリイミド樹脂層を有する複合フィルムであって、該ポリイミド樹脂層が、無色透明且つ溶媒へ可溶であり、該ポリエステル樹脂層と該ポリイミド樹脂層とが隣接して積層されている。ポリイミド樹脂層はポリエステル樹脂層と隣接して積層されていればよく、ポリエステル樹脂層の片面であっても、両面であってもよい。
本発明の複合フィルムは、ポリエステル樹脂層及びポリイミド樹脂層以外にもガスバリア、光反射、接着性制御、粘着性制御、屈折率制御、機械的性能、導電性の向上を目的として他の層を有していても良い。具体的には、金属アルミニウム層、ケイ素化合物層、金属酸化物層、シリコン系接着剤層、アクリル系接着剤層、エポキシ系接着剤層、シリコン系粘着剤層、ガラス不織布層、原子蒸着層、透明電極層などがあげられる。
複合フィルムの厚さは、特に限定されないが、通常0.01mm以上、好ましくは0.05mm以上であり、一方、通常2.0mm以下、好ましくは1.0mm以下である。複合フィルムの厚さがこのような範囲にあることにより、十分な強度を持った複合フィルムが得られる点で好ましい。
本発明に係る複合フィルムの熱膨張率は、100〜200℃の範囲において100ppm/K以下であることが好ましく、70ppm/K以下であることがより好ましい。熱膨張率がこのような範囲にあることにより、つづくデバイス積層プロセスなどで高品質なデバイスが得られる点で好ましい。
本発明に係る複合フィルムは無色透明で、着色が少なく耐熱性を有し、高い機械強度を有しうる。本明細書において、無色透明であることは、複合フィルムを目的とする形状(厚み)にした際に、400nmの光線の透過率が60%以上であることを言う。さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上である。光線透過率が高い本実施形態に
おいて得られる複合フィルムは、透光性を必要とするデバイス、例えば光電変換素子などにおいて好適に用いられる。本明細書においては、透過率として、JIS K 7136−1による、400nmにおける全光線透過率を用いる。
また、本発明に係る複合フィルムの膜厚50±5μmである際の黄色度(イエローインデックス(YI))は、好ましくは−10以上、さらに好ましくは−5以上、より好ましくは、−1以上である。一方、好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。
本発明に係る複合フィルムは、以下のような機械的強度を有することが好ましい。複合フィルムの引張強度は、特段の制限はないが、好ましくは50Mpa以上、さらに好ましくは70Mpa以上であり、一方、好ましくは500Mpa以下、さらに好ましくは400Mpa以下である。
引張り弾性率は、特段の制限はないが、好ましくは1000MPa以上、さらに好ましくは1500MPaであり、一方、好ましくは20Gpa以下、さらに好ましくは10Gpa以下である。
引張伸度は、特段の制限はないが、好ましくは5%GL以上、さらに好ましくは10%GLであり、一方、好ましくは400%GL以下、さらに好ましくは300%GL以下である。ポリエステル樹脂層がこのような機械的強度を有することにより、より耐久性の高い複合フィルムが得られうる。
<ポリエステル樹脂層>
本発明のポリエステル樹脂層は、硬質で耐熱性を有することが好ましい。すなわち、製造工程上必要とされる温度にさらされても変形しない素材を用いることが好ましい。具体的には、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上のガラス転移温度を持つことが好ましい。また、複合フィルムの製造コストを低減するためには、安価な材料を用いることもまた好ましい。このような観点から、ポリエステル樹脂層を用いることが好ましく、具体的にはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが挙げられる。
ポリエステル樹脂層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.01mm以上、さらに好ましくは0.05mm以上であり、一方、好ましくは2.0mm以下、さらに好ましくは1.0cm以下である。ポリエステル樹脂層の厚さがこのような範囲にあることにより、十分な強度を持った複合フィルムが得られる点で好ましい。
本発明に係る複合フィルムを構成するポリエステル樹脂層の熱膨張率は、100〜200℃の範囲において100ppm/K以下であることが好ましく、70ppm/K以下であることがより好ましい。また、下限は無く、低いほうが好ましい。熱膨張率がこのような範囲にあることにより、製膜プロセスにおける温度変化のために、ポリイミド樹脂層がポリエステル樹脂層からはがれてしまうことが防止されうる。
本発明のポリエステル樹脂層は無色透明で、着色が少なく耐熱性を有し、高い機械強度を有しうる。本明細書において、無色透明であることは、ポリエステル樹脂層単独で、目的とする形状(厚み)にした際に、400nmの光線の透過率が60%以上のものを表す。さらに好適には70%以上、特に好適には80%以上である。透過率が高いことで、本発明の複合フィルムは、透光性を必要とするデバイス、例えば光電変換素子などにおいて好適に用いられる。
本明細書においては、透過率として、JIS K 7136−1による、400nmにおける全光線透過率を用いる。
本発明のポリエステル樹脂層の膜厚50±5μmである際の黄色度(イエローインデックス(YI))は、好ましくは−10以上、さらに好ましくは−5以上、より好ましくは−1以上である。一方、好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。ポリエステル樹脂層の無色透明性が高ければ、無色透明性の高い複合フィルムを得る事が可能になる。
本発明のポリエステル樹脂層は、以下のような機械的強度を有することが好ましい。ポリエステル樹脂層の引張強度は、特段の制限はないが、好ましくは100Mpa以上、さらに好ましくは120Mpa以上であり、一方、好ましくは500Mpa以下、さらに好ましくは400Mpa以下である。
引張り弾性率は、特段の制限はないが、好ましくは1000MPa以上、さらに好ましくは1500MPaであり、一方、好ましくは20Gpa以下、さらに好ましくは10Gpa以下である。
引張伸度は、特段の制限はないが、好ましくは5%GL以上、さらに好ましくは10%GLであり、一方、好ましくは400%GL以下、さらに好ましくは300%GL以下である。ポリエステル樹脂層がこのような機械的強度を有することにより、より耐久性の高い複合フィルムが得られうる。
<ポリイミド樹脂層>
本発明のポリイミド樹脂層は無色透明、且つ、溶媒へ可溶であり、着色が少なく耐熱性を有し、高い機械強度を有しうる。本発明において、溶媒へ可溶とは、N,N-ジメチルアセトアミドに対してポリイミド樹脂層を溶解させた際に、不溶成分のポリイミド樹脂に対する比率が50重量%以下である事を言う。また、本発明において無色透明であることは、ポリイミド樹脂層単独で、目的とする形状(厚み)にした際に、400nmの光線の透過率が60%以上であるものを言う。透過率は、好適には70%以上、特に好適には80%以上である。光線透過率が高い本発明の複合フィルムは、透光性を必要とするデバイス、例えば光電変換素子などにおいて好適に用いられる。本明細書においては、透過率として、JIS K 7136−1による、400nmにおける全光線透過率を用いる。
複合フィルム中のポリイミド樹脂層の透過率は、複合フィルムから機械的に切り取る方法、剥離剤などを用い接着界面で分離する方法、ポリイミド樹脂層以外が溶解する溶媒で他層を溶解する方法等でポリイミド樹脂層を得ることにより測定する事ができる。また、ポリイミド樹脂層以外の透過率が明らかである場合は、複合フィルムの透過率を測定し、ポリイミド樹脂層以外の透過率を減算することでもポリイミド樹脂層の透過率を求めることができる。また、複合フィルムの透過率から該ポリイミド樹脂層の透過率の下限を得る事ができる。
本発明のポリイミド樹脂層に用いられるポリイミド樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されず、脂肪族ジアミン類、芳香族ジアミン類、脂肪族ジイソシアネート類、芳香族ジイソシアネート類からなる群から選ばれる少なくとも1種と、芳香族テトラカルボン酸二無水物類、脂肪族テトラカルボン酸二無水物類からなる群から選ばれる少なくとも一種類との反応によって得られるポリイミド樹脂であれば特に限定されない。本発明において脂肪族とは、環状及び非環状の脂肪族を指す。
ポリイミド樹脂の性能として、無色透明性が必要となる場合には、下記の組合せが好ましい例として挙げられる。
A.芳香族テトラカルボン酸二無水物類と脂肪族ジアミン類または脂肪族ジイソシアネートとの組合せ
B.脂肪族テトラカルボン酸二無水物類と芳香族ジアミン類及び/または脂肪族ジアミン類
C.脂肪族テトラカルボン酸二無水物類と芳香族ジイソシアネート類及び/または脂肪族イソシアネート類との組合せ
D.フッ素を有する芳香族テトラカルボン酸二無水物類とフッ素を有する芳香族ジアミン類またはフッ素を有する芳香族イソシアネート類との組合せ
本発明のポリイミド樹脂は、以下の一般式(1)で表される構造を有する。
Figure 2014151559
[一般式(1)中
は4価の有機基を示し、
は2価の有機基を示し、
nは1以上の整数を示し、nが2以上の場合、一般式(1)で示される構造1分子中に複数存在するR及びRは、それぞれ同一であっても異なっていても良い。]
nは1以上の整数であり、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上限は特に無いが、一般式(1)で示されるポリイミド樹脂の質量平均分子量が好ましくは40000以上、更に好ましくは50000以上となるようにnを定めることが、ポリイミド樹脂の靭性の点から好ましい。
なお、本発明のポリイミド樹脂は一般式(1)で表される構造を複数含むため、複数の4価の有機基Rと複数の2価の有機基Rが含まれる。ここで、複数の4価の有機基Rと複数の2価の有機基Rはそれぞれ、全て同じ構造を有してもよいし、異なる構造を有してもよい。
<Rについて>
は、4価の有機基を示し、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。Rとしては、具体的には、テトラカルボン酸二無水物類が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物類としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物類、フッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸二無水物及び脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
のテトラカルボン酸二無水物は、4価の有機基であれば特段の制限はないが、例として以下のものが挙げられる。
(芳香族テトラカルボン酸二無水物類)
ピロメリット酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4−(m−
フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンジカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、及び1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物 等
(フッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸二無水物)
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物 等
(脂肪族テトラカルボン酸二無水物)
エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、4-(2,5-ジオキ
ソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン
酸無水物、1,2,3,4-テトラメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ト
リシクロ[6.4.0.02,7]ドデカン-1,8:2,7-テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、meso-ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
<Rについて>
は2価の有機基であれば特段の制限はないが、具体的な例としては、ジイソシアネート化合物またはジアミン化合物の構成単位が挙げられる。ジイソシアネートの具体例としては、以下のものが挙げられる。
(ジイソシアネート)
4,4'-ジイソシアナト-3,3'-ジメチルビフェニル、2,2-ビス(4-イソシアナトフェニル)
ヘキサフルオロプロパン、4,4'-ジイソシアナト-3,3'-ジメチルジフェニルメタン、1,5-
ジイソシアナトナフタレン、4,4'-ジイソシアン酸メチレンジフェニル、ジイソシアン酸1,3-フェニレン、1,4-フェニレンジイソシアナート等が挙げられる。
ジアミン化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
(芳香族ジアミン化合物)
4,4'-(9-フルオレニリデン)ジアニリン、2,7-ジアミノフルオレン、1,5-ジアミノナフ
タレン、3,7-ジアミノ-2,8-ジメチルジベンゾチオフェン5,5-ジオキシド、4,4'-(ビフェ
ニル-2,5-ジイルビスオキシ)ビスアニリン 等
(フッ素基を含有する芳香族ジアミン化合物)
4,4‘−ジアミノー2−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル、5-トリフルオロメチル-1,3-ベンゼンジアミン、2,2−ビス(トルフルオロメチル)ベンジジン、2
,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]―ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノー4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノー4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン 等
(脂肪族ジアミン化合物)
1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン 等
のジアミン化合物は、一般式(2)で表される2価の有機基であることが、耐熱性、強靭なポリイミド樹脂層を得られるだけでなく、有機溶媒への溶解性が向上する点で好ましい。またポリイミド樹脂に無色透明性が要求される場合、無色透明性が高くなり、経時劣化による着色を低減でき、また有機溶媒への溶解性が向上する点で好ましい。
Figure 2014151559
一般式(2)中、環A20及び環A21は各々独立して、置換基を有していてもよい脂環炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい芳香族基を示し、
p、qは各々独立して、0以上、10以下の整数を示す。
は直接結合、酸素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよいアルキレン基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフィド基、カルボニル基、置換基を有していてもよい芳香族基、−NH−C(=O)−基、−NH−基、又は−O−C2z−O−基(zは1〜5の整数)を示す。ただし、p及びqがともに0になることはない。Y10及びY11は各々独立して、直接結合、酸素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよいアルキレン基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフィド基、又はカルボニル基を示す。p又はqが2以上である場合、複数のY10、Y11、環A20及び環A21は、各々互いに異なっていてもよい。
一般式(2)の環A20及び環A21の芳香族環としては、特段の制限はないが、それぞれ独立に、例えば芳香族炭化水素環及び芳香族複素環が挙げられ、具体的にはYで挙
げたものと同義であり、有していても良い置換基も同義である。環A20及び環A21の芳香族炭化水素基は、炭素数6以上が好ましく、また、30以下、さらに25以下であることがポリイミド樹脂の機械物性及び耐熱性の点から好ましい。また、環A20及び環A21の芳香族複素環基は、炭素数2以上が好ましく、また、30以下、更には25以下であることがポリイミド樹脂の機械物性及び耐熱性の点から好ましい。環A20及び環A21の芳香族環の中でも、ベンゼン環、ビフェニレン環、及びターフェニル環が好ましい。
環A20及び環A21の脂肪族環としては、特段の制限はないが、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ノルボルナン環、ノルボルネン環、ヒドリンダン環、デカヒドロナフタレン環、アダマンタン環などの、炭素数3〜30のものが挙げられる。これらの中でもシクロヘキサン環、シクロペンタン環、及びノルボルナン環が好ましい。
環A20及び環A21である芳香族環又は脂肪族環について、Y、Y、又はXに結合する位置は特に限定されない。
環A20及び環A21の芳香族環又は脂肪族環が有していてもよい置換基としては例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、及びヒドロキシル基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、及び塩素原子などが挙げられる。アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基などの、炭素数1〜20のものが挙げられる。アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ターシャリーブトキシ基などの、炭素数1〜20のものが挙げられる。
一般式(2)においてp、qは各々独立して、0以上、好ましくは1以上の整数であり
、一方、10以下、好ましくは5以下の整数である。
一般式(2)においてXは直接結合、酸素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよいアルキレン基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフィド基、カルボニル基、置換基を有していてもよい芳香族基、−NH−C(=O)−、−NH−、又は−O−C2z−O−を示す。但し、zは1〜5の整数を示す。これらの中でも、ポリイミド樹脂の機械物性及び耐熱性の点から、直接結合、酸素原子、置換基を有していてもよいアルキレン基、スルフィニル基、又はスルホニル基であることが好ましく、酸素原子、置換基を有していてもよいアルキレン基、又はスルフィニル基であることが特に好ましい。
のアルキレン基としては、特段の制限はないが、ポリイミド樹脂の機械物性及び耐熱性の点から、炭素数1〜20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基であることがより好ましい。アルキレン基の具体的な例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、及び2,2−プロパンジイル基などが挙げられる。
は芳香族基とは、特段の制限はないが、例えば芳香族炭化水素基及び芳香族複素環基が挙げられる。具体的にはYで挙げたものと同義であり、有していても良い置換基も
同義である。Xの芳香族炭化水素基は、炭素数6以上が好ましく、また、30以下であることが好ましく、25以下であることが、ポリイミド樹脂の機械物性及び耐熱性の点から好ましい。また、Xの芳香族複素環基は、炭素数2以上が好ましく、30以下であることが好ましく、25以下であることが、ポリイミド樹脂の機械物性及び耐熱性の点から好ましい。Xの芳香族環の中でも、フェニレン基、ナフチレン基、及びピリジレン基が特に好ましい。
のアルキレン基又は芳香族基が有していてもよい置換基としては、例えば炭素数1〜5のアルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基などが挙げられる。これらの置換基にさらにフッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子などが置換していてもよい。
10及びY11は各々独立して、直接結合、酸素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよいアルキレン基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフィド基、又はカルボニル基を示す。その中でも、直接結合又は酸素原子が好ましい。なお、p又はqが2以上である場合、Rには複数のY10及びY11が存在するが、これら複数のY10及びY11は同じ構造であってもよいし、互いに異なる構造であってもよい。ここで、置換基を有していてもよいアルキレン基としては、Xについて挙げたものと同様のものを用いることができる。
のより好ましい例としては、以下の一般式(3)又は(4)に示されるものが挙げられる。
Figure 2014151559
一般式(3)は、一般式(2)においてp=2かつq=2の場合に相当する。一般式(
3)において、環A22及び環A23は、一般式(3)における環A20、環A24及び環A25は、一般式(2)における環A21と同義である。また、Y12及びY13は、一般式(3)におけるY10、Y14及びY15は、一般式(2)におけるY11と同義である。一般式(2)と同様に、環A22、環A23、環A24及び環A25、Y12〜Y15はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。
一般式(3)において、環A22、環A23、環A24及び環A25はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族環であることが、ポリイミド樹脂の機械物性及び耐熱性の点から好ましい。この中でも、フェニレン基であることがより好ましく、有していても良い置換基としては塩素原子等のハロゲン原子であることが好ましい。
また、ポリイミド樹脂の機械物性及び耐熱性の点から、12及びY13は、直接結合、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましく、Y14及びY15は、直接結合であることが好ましい。
一般式(4)は、式(2)においてp=1かつq=1の場合に相当する。式(4)において、環A26及び環A27は、式(2)における環A20及び環A21と同様の構造を表す。また、Y16及びY17は、式(2)におけるY10及びY11と同様の構造を表す。ここで、環A26と環A27とが同じ構造であることも好ましく、Y10とY11とが同じ構造であることもまた好ましい。
一般式(4)において、環A26及び環A27は、それぞれ独立に、ポリイミド樹脂の機械物性及び耐熱性の点から、置換基を有していてもよい芳香族環又は置換基を有していてもよい脂肪族環であることが好ましい。この中でも置換基を有していてもよい芳香族環であることが好ましく、フェニレン基であることがより好ましく、有していても良い置換基としては塩素原子等のハロゲン原子であることが好ましい。また、Y16は、直接結合、酸素原子又は硫黄原子であることが好ましく、Y17は、直接結合であることが好ましい。
の具体的な例としては、以下に示すジアミン化合物の構成単位が挙げられる。すなわち、以下に示すジアミン化合物から2つの第一級アミノ基を取り除くことによって得られる二価の置換基を、Rとして用いることができる。
このようなジアミン化合物の具体例としては、1,4−フェニレンジアミン、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ネオペンタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−アミノ−3−カルボキシフェニル)メタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、N−(4−アミノフェノキシ)−4−アミノベンズアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−{4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ}フェニル]ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。この中でも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−
ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ジメチルビフェニル、N-(4-アミノフェノ
キシ)-4-アミノベンズアミド又は4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4‘−ジアミノー2−(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル、5-トリフルオロメチル-1,3-ベンゼンジアミン、2,2−ビス(トルフルオロメチル)ベンジジン、2,2
−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]―ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノー4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノー4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパンからアミノ基を取り除くことによって得られる二価の置換基等をRとして有することが、耐熱性、及び機械強度、また、無色透明性が要求される場合には、無色透明性が同時に達成されうる点で好ましい。
一般式(1)で示される本発明のポリイミド樹脂の中でも、一般式(5)で表されるビシクロヘキサン骨格を有するテトラカルボン酸残基によって構成される1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物を用いることが好ましい。このようにビシクロヘキサン骨格を有するテトラカルボン酸残基によって構成されるポリイミド樹脂は、ビフェニルのような芳香族環、又は単環の脂肪族環を骨格として有するテトラカルボン酸残基によって構成されるポリイミド樹脂と比較して、着色の減少、及び溶解性の向上という効果が得られうる。また、これらポリイミド樹脂は比較的溶解性が高く、溶液濃度を自由に調整しうる。さらに、これらポリイミド樹脂は比較的耐熱性及び無色透明性に優れている。
Figure 2014151559
[一般式(5)中
は2価の有機基を示し、
aは1以上の整数を示し、aが2以上の場合、一般式(5)で示される構造1分子中に複数存在するRは同一であっても異なっていても良い。]
の2価の有機基は、一般式(1)のRと同義であり、有していても良い置換基及び好ましい例も同義である。
aは、1以上の整数であり、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上限は特に無いが、一般式(5)で示されるポリイミド樹脂の質量平均分子量が好ましくは40000以上、更に好ましくは50000以上となるようにaを定めることが、ポリイミド樹脂の強
度の点から好ましい。
一般式(1)および一般式(5)で表されるテトラカルボン酸二無水物には、1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物の他に、本実施形態に係るポリイミド樹脂の耐熱性などの各種物性、また無色透明性が必要となる場合は、無色透明性を損なわない程度に、他のテトラカルボン酸二無水物を混合しても良い。混合されるテトラカルボン酸二無水物は1種でも良いし、2種以上であっても良い。例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物とフッ素基を含有する芳香族テトラカルボン酸二無水物を混合したものが透明性が高く、熱的性質が優れるため好ましい
。具体的には1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物と2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物の混合物があげられる。混合比は特に制限しないが、[1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン
酸−3,3’,4,4’−二無水物] / [2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物]のモル比が、95/
5〜50/50であることが、空気中で加熱した際の酸化黄変が抑制される点で好ましい。この中でも、85/15〜65/35が好ましく、特に75/25であることが、酸化黄変抑制の点で好ましい。
また、上述した1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物と2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物の混合物等のポリイミド樹脂は、本発明の複合フィルムだけでなく、該ポリイミド樹脂単体を用いたフィルムでも、透明性及び酸化黄変抑制が求められる基板等の各用途に用いることができる。
<複合フィルム製造方法>
以下に、ポリイミド樹脂の溶液およびポリエステル樹脂層を用いた複合フィルムの製造方法を説明するが、この方法に限定されるものではない。
本発明において、ポリイミド樹脂溶液をポリエステル樹脂層上に塗布し、溶媒を揮発させるなどして乾燥、加熱させることにより、ポリエステル樹脂層に隣接してポリイミド樹脂層を積層することができる。
<ポリアミック酸樹脂溶液、ポリイミド樹脂溶液>
本発明のポリイミド樹脂層をポリエステル樹脂層に積層させる際には、ポリアミック酸樹脂溶液及び/またはポリイミド樹脂溶液のどちらを使用しても良い。また2種類を混ぜて使用しても良い。
<溶媒>
本発明のポリイミド樹脂を溶解させる溶媒に、特に限定はない。溶媒の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、テトラフド
ロフラン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジグライム、トリグライム、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトンなどの非プロトン系溶媒;などが挙げられる。これらの中でも特にN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフランが好ましい。本実施形態に係る溶媒は、1種類の物質で構成されていてもよいし、2種類以上の物質の混合物であってもよい。
ポリイミド樹脂溶液の濃度には、特段の制限は無いが、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、一方、通常80質量%以下、好ましくは50質量%以下である。組成物中のポリイミド樹脂の濃度をこの範囲内に調整することで、良好な塗工性を達成しうる。
本発明のポリアミック酸樹脂溶液及び/またはポリイミド樹脂溶液の溶液粘度には、特段の制限は無いが、通常10mPa・s以上、好ましくは1.0×10mPa・s以上であり、一方、通常5.0×10mPa・s以下、好ましくは2.0×10mPa・s以下である。ポリアミック酸樹脂溶液及び/またはポリイミド樹脂溶液の粘度を上記範囲内に調整することで、良好な塗工性を達成しうる。溶液粘度はE型粘度計を用いて25℃で測定するものとする。溶液粘度の測定は公知の方法によって行うことができ、例えば国際公報第99/60622号に記載されている方法に従って行うことができる。
その他、必要に応じて、本実施形態に係るポリイミド樹脂溶液に対して各種添加剤を配合することも可能である。例えば、発明の目的を損なわない範囲で、粉末状、粒状、板状、又は繊維状などの、無機系充填剤又は有機系充填剤を配合することができる。
無機系充填剤としては、例えばシリカ、ケイ藻土、バリウムフェライト、酸化ベリリウム、軽石又は軽石バルーンなどの酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム又は塩基性炭酸マグネシウムなどの水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト又はドーソナイトなどの炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム又は亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩及び亜硫酸塩;タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト又はベントナイトなどのケイ酸塩;炭素繊維、カーボンブラック、グラファイト又は炭素中空球などの炭素類;硫化モリブデン、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム又はボロン繊維などの粉末状、粒状、板状又は、繊維状の無機質充填剤;金属元素、金属化合物、合金などの粉末状、粒状、繊維状、又はウイスカー状の金属充填剤;炭化ケイ素、窒化ケイ素、ジルコニア、窒化アルミニウム、炭化チタン、チタン酸カリウムなどの粉末状、粒状、繊維状、又はウイスカー状のセラミックス充填剤などが挙げられる。
一方、有機系充填剤としては、例えばモミ殻などの殻繊維、カーボンナノチューブ、フラーレン、木粉、木綿、ジュート、紙細片、セロハン片、芳香族ポリアミド繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維、熱硬化性樹脂粉末、及びゴムなどを挙げることができる。
充填剤としては、不織布など平板状に加工したものを用いてもよいし、複数の材料を混ぜて用いてもよい。さらに所望に応じ、樹脂組成物に通常用いられている各種添加剤、例えば滑剤、着色剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤又は離型剤などを、本実施形態に係るポリアミック酸樹脂溶液及び/またはポリイミド樹脂溶液に配合してもよい。これら各種充填剤及び添加成分は、ポリアミック酸樹脂溶液及び/またはポリイミド樹脂溶液を製造するどの工程のどの段階で添加してもよい。
本実施形態に係るポリイミド樹脂は、後述のポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂を、溶媒存在下で脱水環化又は脱アルコール環化(以下、まとめてイミド化と称する)することにより得られる。
<ポリアミック酸樹脂溶液の製造方法>
本発明のポリアミック酸樹脂溶液、ポリイミド樹脂溶液の製造方法に、特段の制限は無い。ポリアミック酸樹脂溶液の製造方法とポリイミド樹脂溶液の製造方法の一例として、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂を製造し、得られた前駆体をポリイミド樹脂に変換する方法について説明する。
<ポリアミック酸樹脂溶液の製造方法>
ポリアミック酸樹脂は、適当な溶媒中で、前記テトラカルボン酸二無水物の少なくとも1種類と、前記ジアミン化合物の少なくとも1種類を反応させる事により得られる。
またポリアミック酸エステル樹脂は、前記テトラカルボン酸二無水物を、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどのアルコールを用いて開環することによりジエステル化し、得られたジエステルを適当な溶媒中で前記ジアミン化合物と反応させることにより得ることができる。さらにポリアミック酸エステル樹脂は、上記のように得られたポリアミック酸樹脂のカルボン酸基を、上記のようなアルコールと反応させ
ることによりエステル化することによっても得る事ができる。
前記テトラカルボン酸二無水物と、前記ジアミン化合物との反応は、従来から知られている条件で行うことができる。テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物の添加順序や添加方法には特に限定はない。例えば、溶媒にテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを順に投入し、適切な温度で攪拌することにより、ポリアミック酸樹脂は得られうる。
ジアミン化合物の量は、テトラカルボン酸二無水物1モルに対して、通常0.8モル以上、好ましくは1モル以上である。一方、通常1.2モル以下、好ましくは1.1モル以下である。ジアミン化合物の量をこのような範囲とすることにより、得られるポリアミック酸樹脂の収率が向上しうる。
溶媒中のテトラカルボン酸二無水物及びジアミン化合物の濃度は、反応条件やポリアミック酸樹脂溶液の粘度に応じて適宜設定しうる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との合計の重量は、特段の制限は無いが、全溶液量に対し、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上であり、一方、通常70質量%以下、好ましくは30質量%以下である。反応基質の量をこのような範囲とすることにより、低コストで収率良くポリアミック酸樹脂が得られうる。
反応温度は、特段の制限は無いが、通常0℃以上、好ましくは20℃以上であり、一方、通常100℃以下、好ましくは80℃以下である。反応時間は、特段の制限は無いが、通常1時間以上、好ましくは2時間以上であり、一方、通常100時間以下、好ましくは24時間以下である。このような条件で反応を行うことにより、低コストで収率良くポリアミック酸樹脂が得られうる。
この反応で用いる溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレンなどの炭化水素系溶媒;四塩化炭素、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びフルオロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン及びメトキシベンゼンなどのエーテル系溶媒;アセトン及びメチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒;ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトンなどの非プロトン系極性溶媒;ピリジン、ピコリン、ルチジン、キノリン及びイソキノリンなどの複素環系溶媒;フェノール及びクレゾールのようなフェノール系溶媒、などが挙げられるが、特に限定されるものではない。溶媒としては1種の物質を用いることもできるし、2種類以上の物質を混合して用いることもできる。
前記テトラカルボン酸二無水物と、前記ジアミン化合物とを反応させる事により得られるポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂は、主に下記一般式(6)、(7)、又は(8)で示される繰り返し単位を含む。
Figure 2014151559
一般式(6)、(7)及び(8)において、R10、R14及びR18は、それぞれ独立に、一般式(1)のRと同義であり、有していても良い置換基及び好ましい基も同義である。
11、R15及びR19は、それぞれ独立に、一般式(1)のRと同義であり、有していても良い置換基及び好ましい基も同義である。
12、R13、R16、R17、R20及びR21は水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜14のアルキル基を示す。アルキル基としては特段の制限は無いが、通常炭素数1〜14のアルキル基であり、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基又はイソブチル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。アルキル基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子などが挙げられる。
本実施形態で得られるポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂において、一般式(6)〜一般式(8)の存在比は特に限定されない。本実施形態に係るポリイミド樹脂は、このようにして得られたポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂を、後述の方法でポリイミド樹脂化することにより得られる。
<ポリイミド樹脂溶液製造方法>
本実施形態に係るポリイミド樹脂は、上述のポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂を、溶媒存在下で脱水環化又は脱アルコール環化(以下、まとめてイミド化と称する)することにより得られる。
イミド化方法は、特に限定されず従来から知られている任意の方法を用いて行うことができる。例えば、熱的に環化させる加熱イミド化、及び化学的に環化させる化学イミド化が挙げられる。これらのイミド化反応は単独で使用しても両者を組み合わせて用いても良い。以下ではイミド化方法の一例について説明するが、本発明はこの方法に限定されるわけではない。
(加熱イミド化)
以下に溶液中における加熱イミド化の方法について説明する。
ポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂を溶媒存在下で加熱することにより、ポリイミド樹脂溶液を得ることができる。
この場合、イミド化によって生じた水またはアルコールは閉環反応を阻害するため、反応系外に排出される事が好ましい。例えば、トルエン、キシレンなどの有機溶媒と水とを共沸させることにより、水を系外に排出する方法がよく用いられる。
ポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂をイミド化する際に使用する溶媒は、前記ポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂を得る反応時に使用する溶媒が挙げられる。その中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系溶媒がポリアミック酸樹脂、ポリアミック酸エステル樹脂及びポリイミド樹脂の溶解性が高く、且つ沸点が高くイミド化反応が効率よく進行するため好ましい。
イミド化反応溶液のポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂の濃度に特に制限は無いが、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、また通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。20質量%以上であることで生産効率が高い点で好ましく、また40質量%以下であることで通常の製造設備で取り扱いやすい溶液粘度となる点で好ましい。
イミド化反応温度は、特に制限は無いが、通常50℃以上、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは120℃以上、また通常300℃以下、好ましくは280℃以下、さらに好ましくは250℃以下である。120℃以上であることでイミド化反応が効率よく進行する点で好ましく、250℃以下であることでイミド化反応以外の副反応が抑制される点で好ましい。反応時の圧力は、常圧、加圧、又は減圧のいずれでもよい。雰囲気は、空気下でも不活性雰囲気下でもよい。
また、イミド化を促進する触媒として三級アミン類などを加えることもできる。具体的にはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、イミダゾール、ピリジン、キノリン、及びイソキノリンなどを、触媒として用いることができる。触媒の使用量は、カルボキシル基又はエステル基に対して0.1〜100モル%であること好ましく、1〜10モル%であることがより好ましい。触媒の使用量がこのような範囲にあることにより、低コストで収率良く反応を行うことができる。
(化学イミド化)
以下にイミド化の方法として化学イミド化を用いる場合を説明する。
ポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂を溶媒存在下で化学的にイミド化することにより、ポリイミド樹脂溶液を得ることができる。
ポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂をイミド化する際に使用する溶媒は、前記加熱イミド化の溶媒が挙げられる。
イミド化反応溶液のポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂の濃度に特に制限は無いが、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上、また好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。5質量%以上であることで生産効率が高くなる
傾向にあり、また80%以下であることで通常の製造設備で取り扱いやすい溶液粘度となる傾向にある。
イミド化反応温度は、特に制限は無いが、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは120℃以上、また好ましくは300℃以下、より好ましくは280℃以下、さらに好ましくは250℃以下である。50℃以上であることでイミド化反応が効率よく進行する傾向があり、300℃以下であることでイミド化反応以外の副反応が抑制される傾向にある。反応時の圧力は、常圧、加圧、又は減圧のいずれでもよい。雰囲気は、空気下でも不活性雰囲気下でもよい。
また、イミド化を促進する触媒として三級アミン類などを加熱イミド化と同様に加えることもできる。
脱水縮合剤として、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド又はN,N−ジフェニルカルボジイミド等のN,N−2置換カルボジイミド;無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物;塩化チオニル又は塩化トシルのような塩化物;アセチルクロライド、アセチルブロマイド、プロピオニルアイオダイド、アセチルフルオライド、プロピオニルクロライド、プロピオニルブロマイド、プロピオニルアイオダイド、プロピオニルフルオライド、イソブチリルクロライド、イソブチリルブロマイド、イソブチリルアイオダイド、イソブチリルフルオライド、n−ブチリルクロライド、n−ブチリルブロマイド、n−ブチリルアイオダイド、n−ブチリルフルオライド、モノ−,ジ−,トリ−クロロアセチルクロライド、モノ−,ジ−,トリ−ブロモアセチルクロライド、モノ−,ジ−,トリ−アイオドアセチルクロライド、モノ−,ジ−,トリ−フルオロアセチルクロライド、無水クロロ酢酸、フェニルホスフォニックジクロライド、チオニルクロライド、チオニルブロマイド、チオニルアイオダイド又はチオニルフルオライド等のハロゲン化化合物;三塩化リン、亜リン酸トリフェニル又はジエチルリン酸・BR>Vアニドのようなリン化合物等を加えることができる。これらの脱水縮合剤の使用量は、ポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂骨格1molに対して、好ましくは0.5mol、さらに好ましくは1mol以上であり、一方、好ましくは20mol以下、さらに好ましくは10mol以下である。これらは単独で使用する事ができ、2種類以上を併用する事もできる。
また、本発明で用いられるポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂、本発明により得られるポリイミド樹脂は、必要に応じて末端封止されていても良い。末端封止することで、ポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂及びポリイミド樹脂末端の重合性が低下し、ポリイミド樹脂溶液の溶液粘度が安定する点で好ましい。
末端封止方法は、限定されるものではなく、従来公知のいずれの方法を用いても良い。ポリアミック酸樹脂、ポリアミック酸エステル樹脂及びポリイミド樹脂を調製するどの段階で封止しても良い。好ましい方法としては、末端封止剤を用いる方法が挙げられる。例えば末端封止剤を用いて封止する場合、その末端封止剤としては、従来公知の何れのものを用いても構わないが、例えば、末端アミノ基を封止する際の末端封止剤としては、無水フタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−メチルシクロヘキサンー1,2−ジカルボン酸無水物又は(2−メチル−2−プロペニル)コハク酸無水物等の酸無水物;安息香酸クロリド等のような有機酸クロリドがあげられる。また、末端酸無水物基を封止する際の末端封止剤としては、3−アミノフェニルアセチレン、アニリン又はシクロヘキシルアミン等のようなアミン化合物が挙げられる。
<ポリイミド樹脂溶液の組成>
本発明によりポリアミック酸又はポリアミック酸エステルのイミド化により得られるポリイミド樹脂溶液中のポリイミド樹脂の濃度は、特段の制限は無いが、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、一方、好ましくは80質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。溶液中のポリイミド樹脂の濃度をこの範囲内に調整する
ことで、反応中の極端な粘度上昇を抑制でき、良好な作業性が得られる傾向にある。
本発明によりポリアミック酸又はポリアミック酸エステルのイミド化により得られるポリイミド樹脂溶液の粘度には、特段の制限は無いが、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは1.0×10mPa・s以上であり、一方、好ましくは5.0×10mPa・s以下、より好ましくは2.0×10mPa・s以下である。ポリイミド樹脂溶液の粘度を上記範囲内に調整することで、ポリイミド樹脂溶液からの溶媒除去が容易になる傾向にある。
ポリイミド樹脂溶液の粘度はE型粘度計を用いて25℃で測定するものとする。粘度の測定は公知の方法によって行うことができ、例えば国際公報第99/60622号に記載されている方法に従って行うことができる。
本発明によりポリアミック酸又はポリアミック酸エステルのイミド化により得られるポリイミド樹脂溶液中の、未反応物であるポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂のポリイミド樹脂に対する割合は特に制限されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。ポリイミド樹脂溶液中に30質量%より多くのポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂が含有すると、ポリイミド樹脂と、ポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂とが相分離することにより、白濁が生じる場合がある。また、不均一に相分離したポリイミド樹脂溶液から得られたポリイミド樹脂は無色透明性が必要である場合、無色透明性が低くなる可能性がある。
ポリイミド樹脂溶液中のポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂のポリイミド樹脂に対する割合は、以下の式で表される。
ポリイミド樹脂溶液中のポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂のポリイミド樹脂に対する割合=(ポリイミド樹脂溶液中のポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂の物質量)/(ポリイミド樹脂溶液中のポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂の物質量+ポリイミド樹脂溶液中のポリイミド樹脂の物質量)×100
ポリイミド樹脂溶液中のポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂の物質量とは、ポリイミド樹脂溶液中に含まれるポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂成分の重量を一般式(6)、(7)及び(8)で表されるそれぞれの構造の平均分子量で割ることにより求められる。
ポリイミド樹脂溶液中のポリイミド樹脂の物質量とは、ポリイミド樹脂溶液中に含まれるポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂成分の重量を一般式(5)で表される構造の分子量で割ることにより求められる。ポリイミド樹脂溶液中のポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂の物質量の測定手法は種々知られており、核磁気共鳴分光法(NMR)、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR法)、イミド閉環に伴う水分を定量する方法、ポリアミック酸に含まれるカルボン酸を中和滴定して求める方法(特開2009−269958号公報参照)、特定の官能基をラベル化して、発光強度または吸収強度を測定することにより求める方法(特許第4529760号公報参照)が挙げられる。
上記ポリイミド樹脂溶液に用いられる溶媒は、前述したポリアミック酸樹脂又はポリアミック酸エステル樹脂を得る反応時に使用する溶媒が挙げられる。その中でも、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−メチル−2−ピロリドン、などのアミド系溶媒、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノンなどの非プロトン性極性溶媒がポリイミド樹脂の溶解性が高く、且つ沸点が高くイミド化反応が効率よく進行する
ため好ましい。
酸化防止剤はポリイミド樹脂及びポリイミド樹脂層を製造する工程のどの段階で添加してもよいが、ポリイミド樹脂溶液またはポリアミック酸樹脂溶液に酸化防止剤を加えて溶液として用いる方法を好適に用いることができる。ポリイミド樹脂溶液またはポリアミック酸樹脂溶液に酸化防止剤を加えて用いた場合、製膜、乾燥行程でのポリイミド樹脂層の変色と、得られたポリイミド樹脂層及び複合フィルムの経時着色を共に抑制できる点で好ましい。
酸化防止剤の添加量は特に限定しないが、一般的にポリイミド樹脂またはポリアミック酸樹脂に対して0.001質量%以上が好ましく、0.005質量%以上が更に好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、0.05質量%以上が特に好ましい。一方、10質量%以下が好ましく、5質量%以下が更に好ましく、3質量%以下が更に好ましく、1質量%以下が特に好ましい。これらの範囲であることで、酸化防止剤の劣化に起因する着色が抑制され、液状樹脂組成物中での凝集や沈降が抑制されることや、塗布作業中のハンドリング性に優れることから、表面平滑性や色味が良好な成型体となる傾向がある。
酸化防止剤は、具体的には、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドロキシルアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトール・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンア
ミド]、1,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシシンナモイル)ヒドラジン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、2,4,−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、1,3,5-トリス[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオ
ン酸ステアリル、ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、3−(1,1−ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-5-
メチル-ベンゼンプロパン酸-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン-3,9-ジイルビス(2,2-ジメチル-2,1-エタンジイル)エステル、2,4,6-トリス(3',5'-ジ-tert-ブチル-4'-ヒドロキシベンジル)メシチレン等が挙げられる。
上記ヒンダードフェノール系化合物の中でも、ポリイミド樹脂に対して相溶性に優れるヒンダードフェノール系酸化防止剤がポリイミド樹脂成型体中での凝集や表面へのブリードアウトが抑制され、透明性や表面平滑性が良好な成型体が得られる点で好ましい。特にN,N'-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミ
ド](BASF社製 商品名IRGANOX1098)、ペンタエリスリトール・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 商品名IRGANOX1010)、1,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシシンナモイル)ヒドラジン(BASF社製 商品名IRGANOX MD1024)、ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)] (BASF社製 商品名IRGANOX 245)がポリイミド樹脂組成物への相溶性に優れ、着色を効果的に抑制できる
点で好ましい。
前記リン系酸化防止剤は、無機化合物でも有機化合物でもよく、特に制限はない。好ましいリン系化合物としては、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸マンガンなどの無機リン酸塩、トリフェニルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(イソデシル)フォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、フェニルジイソオクチルフォスファイト、フェニルジイソデシルフォスファイト、フェニルジ(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルトリデシルフォスファイト、フォスフォン酸[1,1−ジフェニル−4,4´−ジイルビステトラキス−2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェニル]エステル、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、4,4´−イソプロピリデンジフェノールアルキルフォスファイト、トリス(ビフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジフォスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタントリフォスファイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフェートジエチルエステル、ソディウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ソディウム−2,2´−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、1,3−ビス(ジフェノキシフォスフォニルオキシ)ベンゼン、3,9-ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェ
ノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-6-[(2-エチルヘキシル)オキシ]-12H-ジベンゾ[1,3,2]ジオ
キサホスホシン、亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、トリス(モノおよび/あるいはジノニルフェニル)ホスファイト、亜リン酸トリス(4−ノニルフェニル)、亜り
ん酸(1-メチルエチリデン)ジ-4,1-フェニレンテトラ-c12-15-アルキルエステル、亜りん酸ジフェニル(2-エチルヘキシル)、等の有機系リン系二次酸化防止剤が挙げられる。
上記リン系酸化防止剤の中でもポリイミド樹脂に対して相溶性が優れるリン系酸化防止
剤がポリイミド樹脂成型体中での凝集や表面へのブリードアウトが抑制され、透明性や表面平滑性が良好な成型体が得られる点で好ましい。特にトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(BASF社製 商品名IRGAFOS 168)がポリイミド樹脂組成
物や液状ポリイミド樹脂組成物、液状ポリアミック酸樹脂組成物への相溶性に優れ、着色を効果的に抑制できる点で好ましい。
前記イオウ系酸化防止剤としては、例えば、3,3'-チオジプロピオン酸 ジオクタデシル3,3'-チオジプロピオン酸ジドデシル、ジラウリル−3,3´−チオジプロピオネート、
ラウジリルチオジチオネート、ジトリデシル−3,3´−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3´−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3´−チオジプロピオネート、テトラキス−メチレン−3−ラウリルチオプロピオネートメタン、ジステアリル−3,3´−メチル−3,3´−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3´−チオジプロピオネート、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド、β−ラウリルチオプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾール、ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオン酸]2,2-ビス[[3-(ドデシルチオ)-1-オキソプロピルオキシ]メチル]-1,3-プロパンジイル、ビス[3-(ドデシルチオ)プロパン酸]チオビス[2-(1,1-ジメチルエチル)-5-メチル-4,1-フェニレン]等が挙げられる。
上記イオウ系酸化防止剤の中でもポリイミド樹脂に対して相溶性が優れるイオウ系酸化防止剤がポリイミド樹脂成型体中での凝集や表面へのブリードアウトが抑制され、透明性や表面平滑性が良好な成型体が得られる点で好ましい。
前記ヒドロキシルアミン系酸化防止剤としては、例えば、ジオクタデシルヒドロキシルアミン等のジアルキルアミン、N,O―ジアルキルヒドロキシルアミン、1−ナフトヒドロキサム酸、4,5−ジブロモ−N−メトキシ−N−メチル−2−フランカルボキサミド、4−(ヒドロキシアミノ)キノリンN−オキシド、アセトヒドロキサム酸、ベンゼンスルホヒドロキサム酸、ベンゾヒドロキサム酸、ヒドロキシ尿素、L−カナバニン硫酸塩水和物、N,N´−ジメトキシ−N,N´−ジメチルオキサミド、N,N,O−トリアセチルヒドロキシルアミン、N,N,O−トリス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,O−ビス(トリフルオロアセチル)ヒドロキシルアミン、N,O−ビス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩、N−(ジエチルカルバモイル)−N−メトキシホルムアミド、N−(tert−ブチル)ヒドロキシルアミン塩酸塩、N−ベンゾイル−N−フェニルヒドロキシルアミン、N−カルボベンゾキシヒドロキシルアミン、N−シンナモイル−N−(2,3−キシリル)ヒドロキシルアミン、N−ヒドロキシウレタン、N−メトキシ−N,O−ビス(トリメチルシリル)カルバマート、N−メトキシ−N−メチル−2−フランカルボキサミド、N−メトキシ−N−メチルアセトアミド、N−メトキシジアセトアミド、N−メチル−2−ジメチルアミノアセトヒドロキサム酸、N−メチル−N,O−ビス(トリメチルシリル)ビドロキシルアミン、N−メチルフロヒドロキサム酸、N−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩、オクタノヒドロキサム酸、サリチルヒドロキサム酸、ベンゾヒドロキサム酸ナトリウム水和物、オクタノヒドロキサム酸ナトリウム水和物、N−(ベンジルオキシ)カルバミン酸tert−ブチル、N−ヒドロキシカルバミン酸tert−ブチル、[ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィニルオキシ]カルバミン酸tert−ブチル、4,5−ジブロモ−N−メトキシ−N−メチル−2−フランカルボキサミド、カルボキシメトキシルアミンヘミ塩酸塩、ヒドロキシルアミン−O−スルホン酸、L−カナバニン硫酸塩水和物、N,N´−ジメトキシ−N,N´−ジメチルオキサミド、N,N,O−トリアセチルヒドロキシルアミン、N,N,O−トリス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、N,O−ビス(トリフルオロアセチル)ヒドロキシルアミン、N,O−ビス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩、N−(ジエチルカルバモイル)−N−メト
キシホルムアミド、N−メトキシ−N,O−ビス(トリメチルシリル)カルバマート、N−メトキシ−N−メチル−2−フランカルボキサミド、N−メトキシ−N−メチルアセトアミド、N−メトキシジアセトアミド、N−メチル−N,O−ビス(トリメチルシリル)ビドロキシルアミン、O−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミン塩酸塩、O−(2−トリメチルシリルエチル)ヒドロキシルアミン塩酸塩、O−(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、O−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩、O−アリルヒドロキシルアミン塩酸塩、O−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩、O−イソブチルヒドロキシルアミン塩酸塩、O−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩、N−(ベンジルオキシ)カルバミン酸tert−ブチル、[ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィニルオキシ]カルバミン酸tert−ブチル等が挙げられる。
上記ヒドロキシルアミン系酸化防止剤の中でもポリイミド樹脂に対して相溶性が優れるヒドロキシルアミン系酸化防止剤がポリイミド樹脂成型体中での凝集や表面へのブリードアウトが抑制され、透明性や表面平滑性が良好な成型体が得られる点で好ましい。
上記酸化防止剤は単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよいが、混合する場合
はヒンダードフェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤の混合物や、ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤の混合物が好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびリン系酸化防止剤の混合物を用いる場合、中でもN,N'-ヘキサメ
チレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパンアミド](BASF
社製 商品名IRGANOX1098)とトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイ
ト(BASF社製 商品名IRGAFOS 168)との混合物、ペンタエリスリトール・テトラキ
ス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 商品名IRGANOX1010)とトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフ
ァイト(BASF社製 商品名IRGAFOS 168)との混合物、1,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシシンナモイル)ヒドラジン(BASF社製 商品名IRGANOX MD1024)とトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(BASF社製 商品名IRGAFOS 168)との混合物、ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン
酸][エチレンビス(オキシエチレン)] (BASF社製 商品名IRGANOX 245)とトリス(
2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(BASF社製 商品名IRGAFOS 168
)との混合物がポリイミド樹脂への相溶性に優れ、着色を効果的に抑制できる点で好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびイオウ系酸化防止剤の混合物を用いる場合、中でもN,N'-ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロ
パンアミド](BASF社製 商品名IRGANOX1098)と3,3'-チオジプロピオン酸 ジオクタデシル(BASF社製 商品名IRGANOX PS 802)との混合物、ペンタエリスリトール・テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASF社製 商品名IRGANOX1010)と3,3'-チオジプロピオン酸 ジオクタデシル(B
ASF社製 商品名IRGANOX PS 802)との混合物、1,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシシンナモイル)ヒドラジン(BASF社製 商品名IRGANOX MD1024)と3,3'-チオジプロピオン酸 ジオクタデシル(BASF社製 商品名IRGANOX PS 802)との混合物、ビ
ス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オ
キシエチレン)] (BASF社製 商品名IRGANOX 245)と3,3'-チオジプロピオン酸 ジオクタデシル(BASF社製 商品名IRGANOX PS 802)との混合物がポリイミド樹脂への相溶性に優れ、着色を効果的に抑制できる点で好ましい。また、混合する際の混合比は特に限定しない。
また、本発明に係るポリイミド樹脂およびその溶液には表面平滑性の向上や、塗工性の向上、消泡、他層との接着性をコントロールを目的として、界面活性剤、高分子添加剤などの各種添加剤を加えても良い。界面活性剤としては変性シリコーン系界面活性剤、変性シロキサン系界面活性剤、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
前記変性シリコーン系界面活性剤としては、アミノ変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製、製品名: BY 16-205, FZ-3760, SF 8417, BY 16-849, BY 16-892, FZ-3785, BY 16-872, BY 16-213, BY 16-203, BY 16-898, BY 16-890, BY 16-891, BY 16-893, FZ-3789、SF8452C、SS-3551、CB-1002 Conditioning Agent、AP-8087 Fluid、SM8904 Cosmetic Emulsion、BY22-079、FZ-4671、FZ-4672)、エポキシ変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製、製品名:FZ-3720, BY 16-839, SF 8411, SF 8413, FZ-3736, BY 16-876, SF
8421)、カルボキシル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製、製品名:BY 16-880)、カルビノール変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製、製品名:SF 8428)、ア
ルキル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製、製品名:BY 16-846, SF 8416, SH 203, SH 230, SF 8419, SF 8422, FS 1265, SH 510, SH 550, SH 710)、ポリエーテル変
性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製、製品名:FZ-2110, FZ-2191, FZ-2166, FZ-2154, FZ-2120, L-720, SH 8700, L-7002, L-7001, SF 8410, FZ-2123, SH 8400, FZ-2164, FZ-77, FZ-2105, L-7604, FZ-2104, FZ-2162, FZ-2203, FZ-2207, FZ-2208、SH3771M
、SH3772M、SH3773M、SH3775M、SH3749、ES-5612 Formulation Aid、SS-2802、SS-2804、BY22-008 M、BY11-030、BY25-337、BY25-339 Cosmetic Fluid、5200 Formulation Aid、FZ-2222、FZ-2233、FZ-2250)、ジメチルシリコーン(東レ・ダウコーニング社製、製品名:SH200 C Fluid 5 CS, SH200 C Fluid 6 CS, SH200 C Fluid 10 CS, SH200 C Fluid 20 CS, SH200 C Fluid 30 CS, SH200 C Fluid 50 CS, SH200 C Fluid 100 CS, SH200 C Fluid 200 CS, SH200 C Fluid 350 CS, SH200 C Fluid 500 CS, SH200 C Fluid 1,000 CS, SH200 Fluid 3,000 CS, SH200 C Fluid 5,000 CS, SH200 Fluid 10,000 CS, SH200 Fluid 12,500 CS, SH200 Fluid 30,000 CS, SH200 Fluid 60,000 CS, SH200 Fluid 100,000 CS, SH200 Fluid 1,000,000 CS)、ジメチコン(東レ・ダウコーニング社製、製品名:BY11-003, BY11-040, BY11-007, BY11-014, BY11-026, BY25-320, BY11-040, BY11-003, BY11-007, BY11-014, BY11-026, BY25-320)、ジメチコノール(東レ・ダウコーニング社製、製
品名:1501 Fluid, 1503 Fluid, CB-1556 Fluid, 1501 Fluid, 1503 Fluid, CB-1556 Fluid, BY22-080, BY22-007, FZ-4150, BY22-029, FZ-4188, BY22-083, BY22-019, BY22-020, BY22-034, BY22-055, BY22-060, BY22-007、BY22-080、BY22-029、BY22-083, BY22-034, BY22-055, BY22-060, FZ-4188, FZ-4150, BY22-019, BY22-020)などがあげられる。上記変性シリコーン系界面活性剤の中でもポリイミド樹脂溶液に対して相溶性が優れるポリエーテル変性シリコーンがポリイミド樹脂溶液中での凝集や局所的なブリードアウトが抑制され、透明性や表面平滑性が良好な成型体が得られる点で好ましい。
前記変性シロキサン系界面活性剤としてはポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー社製、製品名:BYK-300, BYK-302, BYK-306, BYK-307, BYK-325, BYK-330, BYK-331, BYK-333, BYK-342, BYK-345/346, BYK-347, BYK-348, BYK-349, BYK-370, BYK-377, BYK-378, BYK-3455)、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(ビックケミー社製、製品名:BYK-310, BYK-313, BYK-315)、アラルキル変性ポリジメチルシロキサン(
ビックケミー社製、製品名:BYK-322, BYK-323)などがあげられる。上記変性シロキサン系界面活性剤の中でもポリイミド樹脂溶液に対して相溶性が優れるポリエステル変性ポリジメチルシロキサンがポリイミド樹脂溶液中での凝集や局所的なブリードアウトが抑制され、透明性や表面平滑性が良好な成型体が得られる点で好ましい。
前記ポリマー添加剤としてはシリコン系添加剤(ビックケミー社製、製品名:BYK-UV3500, BYK-UV3510, BYK-UV3530, BYK-UV3570)、アクリル系添加剤(ビックケミー社製、製品名:BYK-350, BYK-354, BYK-355/356, BYK-358N/361N, BYK-381, BYK-392, BYK-394, BYK-3441)、その他各種変性樹脂添加剤(ビックケミー社製、製品名:BYK-399, BYK-
3440, BYK-3550, BYK-SILKLEAN3700, BYK-SILKLEAN3720, BYK-DYNWET800)など
があげられる。
前記非イオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル(花王株式会社製、製品名:エマルゲン102KG、エマルゲン 103、エマルゲン104P、エマルゲン105、
エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン123P、エマルゲン130K、エマルゲン147、エマルゲン150、エマルゲン210P、エマルゲン220、エマルゲン306P、エマ
ルゲン404、エマルゲン408、エマルゲン320P、エマルゲン350、エマルゲン409PV、エマルゲン420、エマルゲン120、エマルゲン430、エマルゲン705、エマルゲン707、エマルゲン709、エマルゲン1108、エマルゲン1118S-70、エマルゲン1135S-70、エマルゲン1150S-60、エマルゲン4085、エマルゲン2020G-HA、エマルゲン2025G)、ポリオキシアルキレン誘導
体(花王株式会社製、製品名:エマルゲンLS-106、エマルゲンLS-110、エマルゲンLS-114、エマルゲンMS-110、エマルゲンA-60、エマルゲンA-90、エマルゲンA-500、エマルゲンB-66、エマルゲンPP-290)、反応性界面活性剤(花王株式会社製、製品名:ラテムルPD-420、ラテムルPD-430、ラテムルPD-430S、ラテムルPD-450)、ソルビタン脂肪酸エステル(花王株式会社製、製品名:レオドールSP-L10、レオドールSP-P10、レオドールSP-S10V、
レオドールSP-S20、レオドールSP-S30V、レオドールSP-O10V、レオドールSP-O30V、レオ
ドールスーパーSP-L10、レオドールAS-10V、レオドールAO-10V、レオドールAO-15V、エマゾールL-10V、エマゾールP-10V、エマゾールS-10V、エマゾールO-10V、レオドールTW-L120、レオドールTW-L106、レオドールTW-P120、レオドールTW-S120V、レオドールTW-S106V
、レオドールTW-S320V、レオドールTW-O120V、レオドールTW-O106V、レオドールTW-O320V、レオドールTW-IS399C、レオドールスーパーTW-L120)などがあげられる。
上記非イオン性界面活性剤の中でもポリイミド樹脂溶液に対して相溶性が優れるポリオキシエチレンアルキルエーテルがポリイミド樹脂溶液中での凝集や局所的なブリードアウトが抑制され、透明性や表面平滑性が良好な成型体が得られ、ポリエステル樹脂層との接着性が効果的に調整される点で好ましい。
前記イオン性界面活性剤としては陰イオン性界面活性剤(花王株式会社製、製品名:エマール0、エマール10G、エマール2Fペースト、エマール2FG、エマール2F - 30、エマール40ペースト、エマールTD、ラテムルAD - 25、エマール20C、エマールE-27C、エマール270J、エマール20CM、エマールD-3-D、エマールD-4-D、ラテムルE-118B、ラテムルE-150、レベノールWX、ラテムルWX、エマール20T、ネオペレックスGS、ネオペレックスG-15、ネオ
ペレックスG-25、ネオペレックスG-65、ペレックスNB-L、ペレックスOT-P、ペレックスTR、ペレックスCS、ペレックスTA、ペレックスSS-L、ペレックスSS-H、ラテムルPS、ラテムルPD-104、デモールN、デモールNL、デモールRN、デモールRN-L、デモールT、デモールT-45、デモールMS、デモールSN-B、デモールSS-L、デモールSC-30、ポイズ520、ポイズ521
、ポイズ530、ポイズ532A、ホモゲノールL-18、ホモゲノールL-1820、ホモゲノールL-100)、陽イオン性界面活性剤(花王株式会社製、製品名:アセタミン24、アセタミン86、コータミン24P、コータミン86P コンク、コータミン60W、コータミン86W、コータミンD86P
、サニゾールC、サニゾールB-50)があげられる。
上記界面活性剤、高分子添加剤などの各種添加剤は単独で用いても2種類以上を混合し
て用いてもよいが、混合する場合は変性シリコーン系界面活性剤および非イオン性界面活性剤の混合物や、変性シロキサン系界面活性剤および非イオン性界面活性剤の混合物が好ましい。変性シリコーン系界面活性剤および非イオン性界面活性剤の混合物を用いる場合、中でもポリエーテル変性シリコーンと非イオン性界面活性剤の混合物がポリイミド樹脂溶液への相溶性に優れ、表面平滑性が向上し、ポリエステル樹脂層との接着性を果的に制御できる点で好ましい。また、混合する際の混合比は特に限定しない。
さらに所望に応じ、上記添加剤に加えて樹脂組成物に通常用いられている各種添加剤、例えば滑剤、着色剤、安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤又は離型剤などを、本実施形態に係る液状ポリイミド樹脂組成物に配合してもよい。これら各種充填剤及び添加成分は、ポリイミド樹脂を製造するどの工程のどの段階で添加してもよい。
<ポリイミド樹脂層の形成方法>
ポリエステル樹脂層に対して本実施形態に係るポリイミド樹脂溶液を塗布する方法は、ポリエステル樹脂層に均一な厚さの層を形成できる方法であれば、特に限定されない。例として、ダイコーティング、スピンコーティング、スクリーン印刷、スプレー、アプリケーターを用いたキャスティング法、コーターを用いる方法、吹き付けによる方法、浸漬法、カレンダー法、流延法などが挙げられる。
ポリイミド樹脂溶液の溶媒を揮発させる方法も特に限定されない。通常は、ポリイミド樹脂溶液が塗布されたポリエステル樹脂層を加熱することにより、溶媒が揮発させられる。加熱方法は特に限定されず、例えば熱風加熱、真空加熱、赤外線加熱、マイクロ波加熱、熱板若しくはホットロールなどを用いた接触による加熱などが挙げられる。
この場合の加熱温度は、溶媒の種類に応じて好適な温度を用いることができるが、好ましくは40℃以上、さらに好ましくは60℃以上であり、一方好ましくは300℃以下、さらに好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下である。溶媒除去温度が40℃以上である場合、溶媒が十分揮発される点で好ましい。また、溶媒除去温度が300℃以下である場合、比較的耐熱性の低いポリエステル樹脂層を用いた場合も得られる複合フィルムに収縮や変形が起こらず、外観や品質を低下させる可能性を低減できるため、好ましい。
得られるポリイミド樹脂層の厚さは、ポリイミド樹脂溶液の塗布量を調節することによって制御されうる。ポリイミドド樹脂層の厚さは、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上であり、一方、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。厚さが1μm以上であることにより、ポリイミドド樹脂層が十分な強度を有しうる傾向にある。このことは、得られる複合フィルムの機会物性や耐熱性が向上する点で好ましい。また、厚さを200μm以下にすることにより、ポリエステル樹脂層の特性を生かした複合フィルムとなる傾向にある。
本発明のポリイミド樹脂層の熱膨張率は、100〜200℃の範囲において100ppm/K以下であることが好ましく、70ppm/K以下であることがより好ましく、ポリエステル樹脂層と同程度の熱膨張であることが最も好ましい。熱膨張率がこのような範囲にあることにより、製膜プロセスにおける温度変化のために、ポリイミド樹脂層がポリエステル樹脂層からはがれてしまうことが防止されうる。
本発明のポリイミド樹脂層の膜厚50±5μmである際の黄色度(イエローインデックス(YI))は、好ましくは−10以上、さらに好ましくは−5以上、より好ましくは、−1以上である。一方、好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下、より好ましくは10以下、更に好ましくは5以下である。ポリイミド樹脂層の無色透明性が高ければ、高性能な表示デバイスや光電変換効率が高い受光デバイスを得る事が可能になる。例えば、シースルー型デバイスに対応できる。また有機ELディスプレイのデバイス基板として使用する場合には、作製が容易なボトム・エミッション型の光取り出し構造を採用できるため、大型サイズの有機ELディスプレイ用のデバイスを容易に得る事を可能にする。またディスプレイ本来の発色に影響を与えないため、高性能なデバイスを得る事ができる。さらに本実施形態において得られるポリイミド樹脂層は、太陽電池の発電に好適な波長の光の吸収が少ない。したがって本実施形態において得られるポリイミド樹脂層を太陽電池の受光面側のデバイス基板として使用する場合に、従来のガラス製基板を用いる太陽電池と同じ層構成を有する場合であっても、光電変換率は著しく低下しない。加えて、本実施形態において得られるポリイミド樹脂は、含まれる芳香族骨格が少ないため、従来の芳香族ポリイミド樹脂と比較して、層自体の紫外線に対する耐久性が良好である点で好ましい
本発明のポリイミド樹脂は、好適には、ガラス転移温度(Tg)が150℃以上であり、より好適には、200℃以上、さらに好ましくは250℃以上である。ガラス転移温度が高いことにより、ポリイミド樹脂層及び複合フィルムの耐熱性が向上しうる。
本発明のポリイミド樹脂層は、以下のような機械的強度を有することが好ましい。本発明において得られるポリイミド樹脂層の引張強度は、特段の制限はないが、好ましくは50Mpa以上、さらに好ましくは70Mpa以上であり、一方、好ましくは400Mpa以下、さらに好ましくは300Mpa以下である。
引張り弾性率は、特段の制限はないが、好ましくは1000MPa以上、さらに好ましくは1500MPaであり、一方、好ましくは20Gpa以下、さらに好ましくは10Gpa以下である。
引張伸度は、特段の制限はないが、好ましくは10%GL以上、さらに好ましくは20%GLであり、一方、好ましくは300%GL以下、さらに好ましくは200%GL以下である。ポリイミド樹脂層がこのような機械的強度を有することにより、より耐久性の高いフィルムが得られうる。
ポリイミド樹脂層を加熱加圧しポリエステル樹脂層に貼り付ける方法により製造した複合フィルムと、ポリイミド樹脂溶液を塗布し、乾燥することにより製造したフィルムを区別する方法としては、ポリイミド樹脂層およびポリエステル樹脂層を分析する方法と、ポリイミド樹脂層およびポリエステル樹脂層を溶媒に溶かした溶液を分析する方法が挙げられる。
分析方法としては、特に限定されないが、X線光電子分光分析法(ESCA)、赤外分光法(IR)、分散型 X 線分析装置(SEM-EDX)による分析法、走査型電子顕微鏡(SEM)や透
過型電子顕微鏡(TEM)、光学顕微鏡、複屈折測定装置、原子間力顕微鏡(AFM)などを用いる分析法、元素分析や核磁気共鳴法(NMR)、液体クロマトグラフィー(LC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、質量分析、またはこれらを組み見合わせた方法が挙げられる。
製造方法の異なるフィルムは表面の官能基の種類や量あるいは表面に残存する化合物、表面の形状、フィルムを形成するポリマーの配向状態などが異なっている場合があり、これらの分析法により判別する事ができる。
<フィルム上に積層されるデバイス>
以下に、前記の方法で形成されたフィルムの上に、表示デバイス、受光デバイス、発光デバイス等を積層する方法の一例を説明する。
デバイスを積層する前に、必要に応じて複合フィルムの洗浄や表面処理を行っても良い。また必要に応じて複合フィルム上に各種バリア層を積層してもよい。これらの方法は限定されない。
洗浄の例としては、ドライ洗浄の例として、UVオゾン洗浄、プラズマ洗浄、スパッター洗浄、イオン洗浄、加熱洗浄、ドライアイス噴射洗浄、ウェット洗浄の例として、水洗浄、アルカリ洗浄、酸洗浄、洗剤洗浄、溶剤洗浄、液体噴射洗浄などが挙げられる。
各種バリア層の積層の一例として、ガスバリア性のポリマーをコートする方法、プラチナやアルミニウムなどの金属やアルミナや酸化チタンなどの無機酸化物、金属窒化物などを積層し、金属および無機の薄膜コートをする方法、有機バリア層あるいは有機・無機複合バリア層をコートする方法が挙げられる。
前記の方法で形成された複合フィルムの上に、表示デバイス、受光デバイス、発光デバイスに必要な回路が形成される。この工程は、デバイスの種類によって異なる。例えば、
TFT液晶ディスプレイデバイスを製造する場合には、複合フィルムの上に例えばアモルファスシリコンなどのTFTを形成すればよい。例えば、ゲート金属層、窒化ケイ素ゲート誘電体層、及びITI画素電極を形成することにより、TFTを形成しうる。さらにTFTの上に、液晶ディスプレイのために必要な構造を、公知の方法によって形成することもできる。
表示デバイスは、上記TFT液晶ディスプレイに限らず、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ及び電子ペーパー用途等も含む。
また、受光デバイスとしては、太陽電池デバイス等が挙げられ、発光デバイスとしては、有機ELを用いた照明等が挙げられる。
また、太陽電池デバイスを製造する場合には複合フィルム上に例えば結晶シリコン、アモルファスシリコン、化合物半導体材料又は有機化合物材料などを用いた太陽電池を形成すればよい。例えば、透明電極、結晶シリコン、アモルファスシリコン又は有機材料を含有する光電変換層、及び対向電極を形成することにより、太陽電池を形成しうる。さらに太陽電池の上に、太陽電池にとって必要な構造を、公知の方法によって形成することもできる。
耐熱性、靱性など各種特性に優れる本発明の複合フィルムを用いる場合には、様々な方法を用いて回路を形成することができる。
なお上記工程により回路が形成された複合フィルムに対しては、封止処理、回路以外の層を積層する処理、部材をモジュール化する処理を行っても良い。
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。実施例中の下記測定は以下の方法に従って行った。
<加熱試験>
フィルムサンプルを熱風乾燥機(ヤマト科学社製、DVS601)内にバットに並べて置き、所定の温度で30分加熱した際のフィルム性状を観察した。
<合成例1>
(1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物(H−BPDA)の合成)
Figure 2014151559
1,1‘−ビフェニル−3,3‘,4,4’−テトラカルボン酸二無水物150gを水593gと水酸化ナトリウム83.3gの溶液に溶解して得られる1,1‘−ビフェニル−3,3‘,4,4’−テトラカルボン酸四ナトリウム塩の水溶液をRu/C触媒を用いて10MPaG、120℃で核水素化し、次いで49%硫酸水溶液429gを滴下して析出、濾過してジシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸157g(収率81%)を得た。
温度計、攪拌機、ジムロート冷却管を備えた300mlの3つ口フラスコに、窒素下にて上記で得られたジシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸(H−BTC)33.7g(0.98mol)、無水酢酸90gを添加した。これを攪拌下、昇温して還流温度(130℃〜140℃)で3時間反応させた。反応後、10℃まで冷却し、濾
過を行い、白色の結晶を得た。得られた結晶をトルエンにて洗浄し、減圧乾燥機にて乾燥を実施して、1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物(H−BPDA)含有組成物23.5g(収率78%)を得た。
<合成例2>
(ポリアミック酸樹脂溶液の作成)
合成例1で得られた1,1’−ビシクロヘキサン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸−3,3’,4,4’−二無水物(H−BPDA)60.0g(0.196mol)をN,N−ジメチルアセトアミド(127.5g)に加え、窒素気流下、室温で攪拌した。それに4,4‘−ジアミノジフェニルエーテル(東京化成工業社製)39.6g(0.198mol)をN,N−ジメチルアセトアミド171.3gに溶解したものを加え、80℃で6時間加熱攪拌し、目的とするポリアミック酸樹脂溶液を得た。
<合成例3>
(ポリイミド樹脂溶液の作成)
乾燥窒素ガス導入管、冷却器、トルエンを満たしたDean−Stark凝集器、攪拌機を備えた4口フラスコに、合成例2で得られたポリアミック酸エステル樹脂溶液(50g)とトルエン7.5g、トリエチルアミン0.09gを加えて三口フラスコ内を窒素雰囲気とした。内温を190℃まで加熱して、イミド化に伴って発生する水をトルエンと共に共沸留去した。6時間加熱、還流、攪拌を続けたところ、水の発生は認められなくなった。引き続きトルエンとトリエチルアミンを留去しながら7時間加熱し、ポリイミド樹脂溶液を得た。得られたポリイミド樹脂溶液を多量のイソプロピルアルコール中に滴下し、析出したポリイミド樹脂をろ別回収した後、200℃で3時間真空乾燥することでポリイミド樹脂粉を得た。得られたポリイミド樹脂粉25gを、テトラヒドロフラン75gに溶解し、ポリイミド樹脂溶液を得た。
<実施例1>
合成例3で得られたポリイミド樹脂溶液を、フィルムアプリケーターを用いて、ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製 ダイヤホイルO300)上に254μmの厚みで流延し、減圧下80℃で30分乾燥して複合フィルムを作成した。得られた複合フィルムの加熱試験を行った結果を表1に示す。
<比較例1>
ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂社製 ダイヤホイルO300)の加熱試験を行った結果を表1に示す。
実施例1は比較例1に対して、高温下においても変色せず形状維持をしており、本発明の複合フィルムは良好な耐熱性を有することが示された。
Figure 2014151559

Claims (3)

  1. 少なくともポリエステル樹脂層及びポリイミド樹脂層を有する複合フィルムであって、該ポリイミド樹脂層が、無色透明且つ溶媒へ可溶であり、該ポリエステル樹脂層と該ポリイミド樹脂層とが隣接して積層されていることを特徴とする複合フィルム。
  2. 前記ポリイミド樹脂層の400nmにおける全光線透過率が70%以上であることを特徴と
    する請求項1に記載の複合フィルム。
  3. ポリイミド樹脂溶液をポリエステル樹脂層に塗布し、乾燥することにより請求項1又は2に記載の複合フィルムを製造すること特徴とする複合フィルムの製造方法。
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