JP2014148943A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】マンガン酸化物による排気浄化用の触媒担体の目詰まりを防止できる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の燃料のマンガン含有情報を通信するマンガン含有情報通信手段と、排気通路の触媒担体による圧力損失を検出する圧力損失推定手段とを備え、マンガン含有情報通信手段によりマンガン含有情報が通信され(ステップS1;YES)、かつ圧力損失推定手段により検出される圧力損失値が予め設定した判定値を上回っている(ステップS2;YES)ことを条件として、所定時間、触媒担体の触媒床温度が所定値を上回るよう内燃機関の排気温度の制御を実行する(ステップS3、ステップS4;YES)とともに、空燃比がリッチ状態になるよう内燃機関の燃料噴射量の制御を実行する(ステップS6;YES)。
【選択図】図2
【解決手段】内燃機関の燃料のマンガン含有情報を通信するマンガン含有情報通信手段と、排気通路の触媒担体による圧力損失を検出する圧力損失推定手段とを備え、マンガン含有情報通信手段によりマンガン含有情報が通信され(ステップS1;YES)、かつ圧力損失推定手段により検出される圧力損失値が予め設定した判定値を上回っている(ステップS2;YES)ことを条件として、所定時間、触媒担体の触媒床温度が所定値を上回るよう内燃機関の排気温度の制御を実行する(ステップS3、ステップS4;YES)とともに、空燃比がリッチ状態になるよう内燃機関の燃料噴射量の制御を実行する(ステップS6;YES)。
【選択図】図2
Description
本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
従来、三元触媒コンバータを有する排気浄化装置において、エンジンから送出される排出ガスを三元触媒コンバータへ導くための排気通路形成部材の内部に、格子状の整流板を、三元触媒コンバータの排出ガス流通方向上流側に位置するよう配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
整流板は、弾性体を介して排気通路形成部材に取り付けられており、エンジンの振動によって排気通路形成部材の内側面に近接離反する方向に移動するようになっている。このため、エンジンの排出ガスに含まれている種々の酸化物等は、整流板に付着しにくくなる。
しかしながら、エンジンの燃料であるガソリンにMMT(メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル)等のマンガンを含んだ添加剤が使用されている場合、整流板にガソリンの燃焼時に生成されるMn3O4(四酸化三マンガン)等のマンガン酸化物が強固に付着し、排気浄化装置にマンガン酸化物による目詰まりが発生することが懸念される。
そこで、本発明は、従来のものと比較して、マンガン酸化物による排気浄化用の触媒担体の目詰まりを防止できる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る内燃機関の制御装置は、上記目的達成のため、(1)排気通路に排気浄化用の触媒担体を有する内燃機関に適用され、燃料噴射量および排気温度の制御を実行する内燃機関の制御装置であって、内燃機関に用いる燃料のマンガン含有情報を通信する通信手段と、前記触媒担体の推定圧力損失値を求める圧力損失推定手段とを備え、前記マンガン含有情報通信手段によりマンガン含有情報が通信され、かつ前記圧力損失推定手段により求められた推定圧力損失値が予め設定した判定値を上回っていることを条件として、所定時間、前記触媒担体の触媒床温度が所定値を上回るよう前記内燃機関の排気温度の制御を実行するとともに、空燃比がリッチ状態になるよう前記内燃機関の燃料噴射量の制御を実行する構成としている。
この構成により、本発明の内燃機関の制御装置は、マンガン含有情報通信手段が通信するマンガン含有情報と、圧力損失推定手段が求めた推定圧力損失値とに基づき、所定時間、触媒担体の触媒床温度が所定値を上回るよう内燃機関の排気温度を制御するとともに、空燃比がリッチ状態になるよう内燃機関の燃料噴射量を制御するため、触媒担体に付着したマンガン酸化物中のMn3O4(四酸化三マンガン)は、高温、低酸素、CO(一酸化炭素)雰囲気でMnO(酸化マンガン)に還元される。
触媒担体に付着したマンガン酸化物は、Mn3O4がMnOに還元されると、解れやすくなり、内燃機関から送出される排出ガスが流通する際に、触媒担体から除去される。
なお、上記(1)に記載の内燃機関の制御装置において、(2)前記内燃機関は、ターボチャージャと前記ターボチャージャのロータの回転数を検出する回転数センサとを備え、前記圧力損失推定手段は、前記回転数センサにより得た前記ロータの回転数に基づき、前記触媒担体の圧力損失値を求めるよう構成してもよい。
この構成により、本発明の内燃機関の制御装置は、ターボチャージャおよびターボチャージャのロータの回転数を検出する回転数センサを備えている内燃機関にあっては、触媒担体の推定圧力損失値を求めるために新たなセンサを必要としない。
また、上記(1)または(2)に記載の内燃機関の制御装置において、(3)前記マンガン含有情報通信手段は、前記燃料に含まれるマンガンを検出するマンガン検出センサによって構成してもよい。
この構成により、本発明の内燃機関の制御装置は、マンガン検出センサからのマンガン含有情報に基づき、内燃機関の燃料にマンガンが含まれているか否かを判断する。つまり、運転者の意思とは別に、内燃機関の燃料にマンガンが含まれているか否かを、自動的に決定することができる。
また、上記(1)または(2)に記載の内燃機関の制御装置において、(4)前記マンガン含有情報通信手段は、前記燃料にマンガンが含まれていることを、運転者の操作により通信する設定スイッチによって構成してもよい。
この構成により、本発明の内燃機関の制御装置は、設定スイッチからのマンガン含有情報に基づき、内燃機関の燃料にマンガンが含まれているか否かを判断する。つまり、運転者の意思に応じて、内燃機関の燃料にマンガンが含まれているか否かを、択一的に決定することができる。
本発明によれば、従来のものと比較して、マンガン酸化物による排気浄化用の触媒担体の目詰まりを防止できる内燃機関の制御装置を提供することができる。
以下、本発明に係る内燃機関の制御装置の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る内燃機関の制御装置で適用されるエンジン1は、エンジン本体2、ターボチャージャ3、インタークーラ4、吸気装置5、排気装置6、アクセル開度検出手段7、マンガン含有情報通信手段8およびECU(Electronic Control Unit)9を含んで構成されている。
本実施の形態に係る内燃機関の制御装置は、ECU9を含んで構成され、後述する点火プラグ25およびインジェクタ26を制御するようになっている。また、エンジン本体2は、車両に搭載される直列4気筒のガソリンエンジンである。
エンジン本体2は、シリンダブロック10、ピストン11、クランクシャフト12、コネクティングロッド13、クランク角センサ14、シリンダヘッド20、吸気バルブ21、排気バルブ22、吸気カムシャフト23、排気カムシャフト24、点火プラグ25およびインジェクタ26を有しており、シリンダブロック10には、上下方向に延びるシリンダ15が4つ並んで形成されている。
ピストン11は、各シリンダ15に上下方向に往復移動し得るよう嵌め込まれている。クランクシャフト12は、4つのピストン11が共用するもので、ピストン11の下側に位置するようシリンダブロック10に回転自在に支持されている。
コネクティングロッド13は、ピストン11ごとに設けられている。コネクティングロッド13の上端部は、ピストンピン16を介してピストン11に連結され、コネクティングロッド13の下端部は、クランクシャフト12の構成要素である図示していないクランクピンに連結されている。これらコネクティングロッド13およびクランクシャフト12は、ピストン11の往復運動を回転運動に変換する役割を担っている。
クランク角センサ14は、クランクシャフト12の回転角を検出して、ECU9に回転角信号を入力するようになっている。また、クランクシャフト12は、モータリング手段である図示していないスタータにより回転するようになっている。
シリンダヘッド20は、シリンダブロック10の上部に締結されており、シリンダブロック10のシリンダ15の内側部およびピストン11の上端部とともに、燃焼室17を形作っている。吸気バルブ21、排気バルブ22、吸気カムシャフト23および排気カムシャフト24は、シリンダヘッド20に組み付けられている。
シリンダヘッド20には、吸気ポート27と、排気ポート28とが形成されている。吸気ポート27は、吸気装置5と燃焼室17とを連通させる役割を担っている。排気ポート28は、燃焼室17と排気装置6とを連通させる役割を担っている。
吸気バルブ21は、燃焼室17に吸気ポート27が連通する位置と、燃焼室17に対する吸気ポート27の連通を遮断する位置との間を、吸気カムシャフト23の回転に応じて往復移動するよう構成されている。
吸気バルブ21は、吸気装置5から燃焼室17への吸入空気Aの導入を制御する役割を担っており、吸気バルブ21の開弁により燃焼室17が吸気装置5に連通した状態でピストン11が下降すると、燃焼室17に吸気装置5を経た吸入空気Aが流入するようになる。
排気バルブ22は、燃焼室17に排気ポート28が連通する位置と、燃焼室17に対する排気ポート28の連通を遮断する位置との間を、排気カムシャフト24の回転に応じて往復移動するよう構成されている。
排気バルブ22は、燃焼室17から排気装置6への排出ガスGの送出を制御する役割を担っており、排気バルブ22の開弁により燃焼室17が排気装置6に連通した状態でピストン11が上昇すると、燃焼室17から排気装置6へ排出ガスGが排出されるようになる。
点火プラグ25は、シリンダヘッド20に組み付けられており、燃焼室17に火花放電を発生させるようになっている。点火プラグ25による火花放電の発生時期は、ECU9により制御されるようになっている。
インジェクタ26は、シリンダヘッド20に組み付けられており、燃焼室17に燃料であるガソリンを噴射するようになっている。インジェクタ26は、燃料噴射量を調整するための図示していないニードルバルブと、ECU9からの駆動信号よってニードルバルブを開閉作動させる図示していないソレノイド等とを含んで構成されている。
インジェクタ26のニードルバルブには、図示していない燃料ポンプから燃料が所定の圧力で送給されるようになっている。ニードルバルブが開くと、インジェクタ26から燃焼室17に噴射される燃料と、吸気ポート27から燃焼室17に導入される吸入空気Aとが混ざり合うようになっている。
ターボチャージャ3は、排出ガスGの運動エネルギーを回転運動に変換するタービン30と、タービン30により駆動されて吸入空気Aを圧縮するコンプレッサ31と、タービン30およびコンプレッサ31の構成要素である図示していないロータの回転数を検出する回転数センサ32とを含んで構成されている。
このターボチャージャ3は、各シリンダ15から送出される排出ガスGの圧力を利用して、各シリンダ15に吸入空気Aを押し込む役割を担っている。また、回転数センサ32は、タービン30およびコンプレッサ31の構成要素であるロータの回転数を検出して、回転数信号をECU9に入力するようになっている。
インタークーラ4は、ターボチャージャ3のコンプレッサ31により圧縮されて温度が高くなった吸入空気Aを冷却し、エンジン本体2の各シリンダ15に対する吸入空気Aの充填効率を向上させる役割を担っている。
吸気装置5は、エアクリーナ50、第1の吸気管51、第2の吸気管52、第3の吸気管53、エアフローメータ54、吸気温度センサ55、スロットルバルブ56および吸気圧センサ57を有している。
エアクリーナ50は、中空構造のケーシング50aと、ケーシング50aに内装したフィルタ50bとを有しており、フィルタ50bは、吸気空気Aに随伴されてくるダスト等を捕捉する役割を担っている。このエアクリーナ50の空気入口部は、大気開放されている。
第1の吸気管51の空気流通方向上流側の端部は、エアクリーナ50の空気出口部に接続され、第1の吸気管51の空気流通方向下流側の端部は、ターボチャージャ3のコンプレッサ31の空気入口部に接続されている。
第2の吸気管52の空気流通方向上流側の端部は、ターボチャージャ3のコンプレッサ31の空気出口部に接続され、第2の吸気管52の空気流通方向下流側の端部は、インタークーラ4の空気入口部に接続されている。
第3の吸気管53の空気流通方向上流側の端部は、インタークーラ4の空気出口部に接続され、第3の吸気管53の空気流通方向下流側の端部は、エンジン本体2の吸気ポート27の空気入口部に接続されている。
これにより、エアクリーナ50を経た吸入空気Aは、ターボチャージャ3のコンプレッサ31により圧縮された後、インタークーラ4において冷却されたうえ、エンジン本体2の燃焼室17に流入するようになっている。
エアフローメータ54および吸気温度センサ55は、第1の吸気管51に組み付けられている。エアフローメータ54は、第1の吸気管51内を流通する吸入空気Aの流量を検出して、空気流量信号をECU9に入力するようになっている。吸気温度センサ55は、第1の吸気管51内を流通する吸入空気Aの温度を検出して、空気温度信号をECU9に入力するようになっている。
スロットルバルブ56は、第3の吸気管53に組み付けられている。スロットルバルブ56は、吸気装置5からエンジン本体2の燃焼室17に供給される吸入空気Aの流量を調整する役割を担っている。スロットルバルブ56の開度は、図示していないスロットルモータにより制御されるようになっており、スロットルモータは、ECU9からの開度信号に追従して作動するようになっている。
排気装置6は、排気後処理装置60、第1の排気管61、第2の排気管62、テールパイプ63、O2センサ64および排気温度センサ65を備えている。
排気後処理装置60は、中空構造のケーシング60aと、ケーシング60aに内装した触媒担体60bとを有している。触媒担体60bは、例えば、コージュライト等のセラミックス材料によって形成したハニカム構造体であり、エンジン本体2が送出する排出ガスGに含まれるHC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)およびNOx(窒素酸化物)を浄化するための触媒物質を担持している。
第1の排気管61のガス流通方向上流側の端部は、エンジン本体2の排気ポート28の排気出口部に接続され、第1の排気管61のガス流通方向下流側の端部は、ターボチャージャ3のタービン30のガス入口部に接続されている。
第2の排気管62のガス流通方向上流側の端部は、ターボチャージャ3のタービン30のガス出口部に接続され、第2の排気管62のガス流通方向下流側の端部は、排気後処理装置60のガス入口部に接続されている。
テールパイプ63のガス流通方向上流側の端部は、排気後処理装置60のガス出口部に接続され、テールパイプ63のガス流通方向下流側の端部は、図示していないマフラーに接続されて大気開放されている。
これにより、エンジン本体2の燃焼室17から送出される排出ガスGは、ターボチャージャ3のタービン30を駆動した後、排気後処理装置60において浄化されたうえ、大気中に放出されるようになっている。
O2センサ64および排気温度センサ65は、第1の排気管61に組み付けられている。O2センサ64は、第1の排気管61内を流通する排出ガスGの酸素濃度に基づき空燃比A/Fを検出して、空燃比信号をECU9に入力するようになっている。排気温度センサ65は、第1の排気管61内を流通する排出ガスGの温度を検出して、ガス温度信号をECU9に入力するようになっている。
アクセル開度検出手段7は、アクセル開度を検出するものであり、アクセル開度に応じてアクセル開度信号をECU9に入力するようになっている。アクセル開度検出手段7の一例としては、アクセル開度センサを用いることができる。
マンガン含有情報通信手段8は、エンジン本体2に用いる燃料にマンガンが含まれていることを通信するためのものであり、マンガン含有情報としてマンガン含有信号をECU9に入力するようになっている。
マンガン含有情報通信手段8の一例としては、車両の燃料タンクに供給された燃料にマンガンが含まれているか否かを検出し、燃料がマンガンを含有している場合に、マンガン含有信号を出力するよう構成されたマンガン検出センサを用いることができる。
また、マンガン含有情報通信手段8の他の例としては、車両の燃料タンクに供給された燃料にマンガンが含まれていることを認識した運転者の操作により、マンガン含有信号を出力するよう構成された設定スイッチを用いることができる。
ECU9は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)と、固定されたデータの記憶を行うROM(Read Only Memory)と、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)と、書き換え可能な不揮発性のメモリからなるバックアップメモリと、A/D変換器やバッファ等を有する入力インターフェース回路と、駆動回路等を有する出力インターフェース回路とを含んで構成されている。
例えば、ROMには、本実施の形態に係る触媒担体目詰まり防止プログラムやマップ等が記憶され、記憶装置として機能するようになっている。CPUは、このROMに記憶された触媒担体目詰まり防止プログラムやマップに基づいて演算処理を実行するようになっている。本実施の形態では、車両の制御プログラムは、ECU9によって予め決められた時間間隔(例えば、10ms)ごとに実行されるようになっている。
RAMには、エンジン本体2の燃料にマンガンが含まれているか否かを記憶するマンガン含有フラグが設定されている。前述したマンガン含有情報通信手段8としてのマンガン検出センサが、マンガン含有信号を出力した場合、あるいは、前述したマンガン含有情報通信手段8としての設定スイッチが、マンガン含有信号を出力した場合に、マンガン含有フラグをオンに設定するようになっている。
ECU9の入力インターフェース回路には、アクセル開度検出手段7、マンガン含有情報通信手段8、クランク角センサ14、エアフローメータ54、吸気温度センサ55、吸気圧センサ57、O2センサ64および排気温度センサ65等が接続されている。
これらアクセル開度検出手段7、マンガン含有情報通信手段8、クランク角センサ14、エアフローメータ54、吸気温度センサ55、吸気圧センサ57、O2センサ64および排気温度センサ65等より出力される信号は、ECU9に取り込まれるようになっている。
ECU9の出力インターフェース回路には、点火プラグ25、インジェクタ26のソレノイドおよびスロットルバルブ56の開度を制御するスロットルモータ等が接続されている。そして、ECU9は、エンジン本体2の運転制御、例えば、点火プラグ25による火花点火、インジェクタ26による燃料噴射、あるいはスロットルバルブ56の開度制御等を実行するようになっている。
本実施の形態に係る内燃機関の制御装置の特徴部分は、エンジン本体2の燃料がマンガンを含有し、かつ排気後処理装置60の触媒担体60bの推定圧力損失値が予め設定してある判定値を上回っていることを条件として、所定時間、触媒担体60bの触媒床温度が所定値を上回るようエンジン本体2の排気温度制御を実行するとともに、空燃比がリッチ状態になるようエンジン本体2の燃料噴射制御を実行するよう構成した点にある。
ここで、推定圧力損失値とは、ターボチャージャ3のロータの回転数に基づき求めた触媒担体60bの排気通路の圧力損失値であり、推定圧力損失値と比較される判定値とは、触媒担体60bに付着したマンガン酸化物等により目詰まりが発生し始めるときの触媒担体60bの排気通路の圧力損失値である。
ターボチャージャ3のロータの回転数は、エンジン負荷LDe(体積効率VE)に応じて変化する。また、ターボチャージャ3のロータの回転数は、触媒担体60bにマンガン酸化物等が付着し始めると、触媒担体60bの排気通路の圧力損失値が大きくなるのに追従して低くなる。
エンジン本体2の体積効率VEは、クランク角センサ14により得られるクランク角からエンジン回転数Neを求め、エアフローメータ54により得られる吸気量を、吸気温度センサ55により得られる吸気温度に基づいて補正することによって求められる。
本実施の形態に係る内燃機関の制御装置では、ターボチャージャ3のロータの回転数をパラメータに用い、ECU9により、エンジン本体2の体積効率VEおよびターボチャージャ3のロータの回転数に基づき、触媒担体60bの排気通路の圧力損失値を求めて推定圧力損失値としている。
また、触媒床温度と比較される所定値とは、触媒担体60bに付着したマンガン酸化物中のMn3O4(四酸化三マンガン)が、低酸素、CO雰囲気でMnO(酸化マンガン)に還元される触媒床温度(例えば、約500℃)である。
すなわち、Mn3O4+CO→3MnO+CO2というような反応が生じる。
本実施の形態に係る内燃機関の制御装置では、ECU9により、排気温度センサ65が出力するガス温度信号から得た排気温度と、予め把握してある触媒担体60bの熱容量とに基づき、触媒担体60bの温度変化量を逐次求め、温度変化量を積算した値を、触媒床温度としている。
次に、本実施の形態に係る内燃機関の制御装置の作動について、図2に示すフローチャートを参照しつつ説明する。このフローチャートは、ECU9のCPUによって、RAMを作業領域として実行される触媒担体目詰まり防止プログラムの実行内容を表している。
ECU9は、触媒担体目詰まり防止プログラムの実行に先立って、マンガン含有情報通信手段8からマンガン含有信号が入力されたか否かを判断する(ステップS1)。ECU9は、マンガン含有信号が入力されると、エンジン本体2の燃料にマンガンが含まれていると判断して、マンガン含有フラグをオンにする(ステップS1;YES)。
また、ECU9は、マンガン含有信号が入力されないと、エンジン本体2の燃料にマンガンが含まれていないと判断して、処理をメインルーチンに戻す(ステップS1;NO)。これにより、エンジン本体2の燃料にマンガンが含まれていない場合は、以下の触媒担体目詰まり防止プログラムが実行されないので、触媒担体目詰まり防止プログラムの処理を簡易化することができる。
ECU9は、マンガン含有フラグがオンであると判断されると(ステップS1;YES)、触媒担体60bの推定圧力損失値が、予めECU9に設定してある前述の判定値を上回っているか否かを判断する(ステップS2)。触媒担体60bの推定圧力損失値は、ECU9により、エンジン本体2の体積効率VEおよびターボチャージャ3のロータの回転数に基づいて求められる。
ECU9は、推定圧力損失値が判定値を上回っていれば(ステップS2;YES)、排気昇温制御(排気温度制御)を開始し(ステップS3)、点火プラグ25による火花点火の時期を、通常運転状態よりも遅らせ、排出ガスGの温度を上昇させる。また、ECU9は、推定圧力損失値が判定値に満たなければ(ステップS2;NO)、再び、触媒担体60bの推定圧力損失値が、判定値を上回っているか否かを判断する。
ECU9は、排気昇温制御を開始した後、排気温度センサ65が出力するガス温度信号から得た排気温度と、予め把握してある触媒担体60bの熱容量とに基づき、触媒担体60bの温度変化量を逐次求め、温度変化量を積算した値を、触媒担体60bの触媒床温度とする(ステップS4)。
そして、ECU9は、触媒担体60bの触媒床温度が予めECU9に設定してある前述の所定値を上回っていれば(ステップS4;YES)、A/Fリッチ制御(燃料噴射制御)および時間計測を開始し(ステップS5)、また、ECU9は、触媒担体60bの触媒床温度が所定値に満たなければ(ステップS4;NO)、再び、触媒担体60bの触媒床温度が、所定値を上回っているか否かを判断する。
ECU9は、A/Fリッチ制御を開始すると、インジェクタ26による燃料噴射を増量して、O2センサ64から入力される空燃比信号がリッチ領域(例えば、A/F≦12)を呈するようにする。これにより、触媒担体60bは、低酸素、CO雰囲気で触媒床温度が所定値に昇温されるため、触媒担体60bに付着したマンガン酸化物中のMn3O4は、MnOに還元される。
マンガン酸化物中のMn3O4は、MnOに還元されると解れやすくなるので、触媒担体60bに付着したマンガン酸化物は、エンジン本体2から送出される排出ガスGが流通する際に触媒担体60bから除去され、排出ガスGに随伴してテールパイプ63を経て外部に放出されることになる。この結果、排気後処理装置60の触媒担体60bに目詰まりが発生しない。
さらに、ECU9は、A/Fリッチ制御と同時に時間計測を開始し始めてから所定時間が経過したか否かを判断し(ステップS6)、所定時間が経過していれば(ステップS6;YES)、前述の排気昇温制御およびA/Fリッチ制御を終了して(ステップS7)、一連の処理をメインルーチンに戻す。また、ECU9は、所定の時間が経過していなければ(ステップS6;NO)、再び、所定時間が経過したか否かを判断する。
以上のように、本実施の形態に係る内燃機関の制御装置によれば、ECU9は、エンジン本体2の燃料がマンガンを含有し、かつ排気後処理装置60の触媒担体60bの推定圧力損失値が予め設定してある判定値を上回っていることを条件として、所定時間、触媒担体60bの触媒床温度が所定値を上回るようエンジン本体2の排気温度制御を実行するとともに、空燃比がリッチ状態になるようエンジン本体2の燃料噴射制御を実行する。
これにより、排気後処理装置60の触媒担体60bに付着しているマンガン酸化物中のMn3O4は、高温、低酸素、CO雰囲気でMnOに還元される。マンガン酸化物は、Mn3O4がMnOに還元されると、解れやすくなり、エンジン本体2から送出される排出ガスGが流通する際に、触媒担体60bから除去される。
すなわち、本実施の形態の内燃機関の制御装置においては、マンガン酸化物による排気後処理装置60の触媒担体60bの目詰まりを防止できるので、エンジン本体2の出力が低下せず、車両の走行性能が悪化することがない。
本実施の形態に係る内燃機関の制御装置によれば、マンガン含有情報通信手段8にマンガン検出センサを用いることにより、運転者の意思とは別に、エンジン本体2の燃料にマンガンが含まれているか否かを、自動的に決定することができる。
また、本実施の形態に係る内燃機関の制御装置によれば、マンガン含有情報通信手段8に設定スイッチを用いることにより、運転者の意思に応じて、内燃機関の燃料にマンガンが含まれているか否かを、択一的に決定することができる。
上述した本実施の形態の内燃機関の制御装置においては、車両をガソリン車とした場合について説明している。しかしながら、本発明に係る内燃機関の制御装置においては、これに限られず、例えば車両を駆動源としてエンジンと駆動用電動機の両方を備えたハイブリッド車としてもよい。
なお、本発明に係る内燃機関の制御装置は、上述した実施の形態に例示されたものだけに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項に応じた変更は含まれる。
以上のように、本発明に係る内燃機関の制御装置は、マンガン酸化物による排気浄化用の触媒担体の目詰まりを防止できるという効果を奏するものであり、内燃機関の制御装置全般に有用である。
2…エンジン本体(内燃機関)、6…排気装置(排気通路)、8…マンガン含有情報通信手段、9…ECU(圧力損失推定手段/制御装置)、32…回転数センサ(圧力損失推定手段)、60b…触媒担体、G…排出ガス
Claims (4)
- 排気通路に排気浄化用の触媒担体を有する内燃機関に適用され、燃料噴射量および排気温度の制御を実行する内燃機関の制御装置であって、
内燃機関に用いる燃料のマンガン含有情報を通信するマンガン含有情報通信手段と、
前記触媒担体の推定圧力損失値を求める圧力損失推定手段とを備え、
前記マンガン含有情報通信手段によりマンガン含有情報が通信され、かつ前記圧力損失推定手段により求められた推定圧力損失値が予め設定した判定値を上回っていることを条件として、所定時間、前記触媒担体の触媒床温度が所定値を上回るよう前記内燃機関の排気温度の制御を実行するとともに、空燃比がリッチ状態になるよう前記内燃機関の燃料噴射量の制御を実行することを特徴する内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関は、ターボチャージャと前記ターボチャージャのロータの回転数を検出する回転数センサとを備え、
前記圧力損失推定手段は、前記回転数センサにより得た前記ロータの回転数に基づき、前記触媒担体の圧力損失値を求めるよう構成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記マンガン含有情報通信手段は、前記燃料に含まれるマンガンを検出するマンガン検出センサによって構成されることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
- 前記マンガン含有情報通信手段は、前記燃料にマンガンが含まれていることを、運転者の操作により通信する設定スイッチによって構成されることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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DE102019120484B4 (de) * | 2018-08-29 | 2020-12-03 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Steuerung und Steuerverfahren für einen Verbrennungsmotor |
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