JP2014147670A - 流体吸収及び分散増強システム - Google Patents

Abstract

【課題】重篤な傷を負った患者の移送に用いる、移送装置や介護者が患者の体液に触れることによる感染を抑え、除染をより簡易にし、患者を適切に処置するための、新規な流体処理システムの提供。
【解決手段】流体吸収及び分散増強（FADE）体５は、少なくとも１つのフロー媒体層５０と少なくとも１つの高吸収性高分子層２０とを含み、前記フロー媒体層５０が、織布材料、不織材料、加圧メッシュ（pressed mesh）、メッシュ織物、スクリム又はこれらの組合せを含み、前記フロー媒体層５０が、ナイロン、ポリプロピレン、プロピレンエチレン共重合体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン又はそれらの混合物を含み、更に高吸収性繊維材料を含み、更に１つ以上の流路を前記高吸収性高分子層中に有する、流体吸収及び分散増強（FADE）体。
【選択図】図４

Description

[0003]
重篤な傷を負った患者の移送では、移送装置や介護者が多大な量の体液、例えば尿、血液、排泄物等に触れる可能性がある。そこで、患者を適切に処置し、感染を抑え、除染をより簡易にするためには、こうした体液の処理が重要である。更に、長期にわたる移送では褥瘡の発現の可能性を低減する。
[0004]
このような体液を吸収するために、従来の製品は高吸収性高分子を利用してきた。しかしながら、従来製品には様々な欠陥や限界が存在する。例えば、寸法上の制約に応じられないことや、高吸収性高分子の構造的な一体性を保持することができないだけでなく、高吸収性高分子が流体で充満して膨張することによるゲルブロッキング、荷重下での吸水性の低下、高吸収性高分子に広がる流体の分散性の悪さ、遅い吸収速度、低い吸収力等である。
[0005]
寸法上の制約に関しては、従来製品は吸収パッドの全域に流体が十分に分散しない。そのため、高吸収性高分子材料を更に添加して補強するため、最終製品は厚くなったり、嵩高くなる。これは、自由裁量（discretion）が重要となる大人用おむつなどの多くの分野で望ましくない。このような分野では、流体の低分散性、ゲルブロッキング、荷重下での吸収の問題により、製品の厚みが所望の厚みを超えてしまう。更に、流体分散性がよくない部分では高吸収性高分子が過度に流体で充満され膨潤するので、吸収パッドのエンベロープ又は封止パウチの構造的一体性が破壊することがある。

[0006]
従って、本発明の発明者らは新規な流体処理システム（以後「流体吸収及び分散増強体(fluid absorption and distribution enhancement product)」又は「FADE体」と呼ぶ）を開発し、特に従来の患者用移送担架、ストレッチャー、病院のベッド又は救急車の簡易ベッド用として流体処理の改良に成功した。体液だけでなく、体液以外の例えば患者の処置に使用した流体（焼けた傷口を洗浄するのに使用した滅菌水等）の吸収にも使用される。図１及び図２の実施形態を参照すると、本発明のFADE体５（図２に示す）は、例えば患者を載せる担架に使用されているマットレス等の従来のマットレス２の下に置くことができる。図１に示すように、マットレス２は、体液等がマットレス２を通り抜ける流路の役目をする排出スロット１０を有する。図１のマットレスの下に配置する場合、本発明のFADE体は、図２に示すように排出スロット１０と整合して配置された排出経路１２を有しているとよい。実際には、体からの流体が排出スロットを通り、本発明FADE体中に集められ、吸収される。即ち、このFADE体は流路と吸収材とによるシステムを有する。本発明のFADE体は、大量の流体を取り込んで除去するために開発した、浸透排出（wicking）吸着材料で構成する使い捨て可能な層状パッドであればよい。本発明の流体吸収体は従来のいずれのマットレスとも一緒に使用できるが、本発明の流体吸収体と組み合わせて排出と流体処理のために流れを改善できるようにマットレスを最適化することも考えられている。
[0007]
理論に限定されるものではないが、本発明のFADE体は、荷重下又は真空下で、体液等を排出、搬送及び均等に分散させることができる一方で、高吸収性高分子分野では一般的な流体導入箇所でのゲルブロッキングを防ぐ。

[0008]
本願明細書に記載の実施形態の多くは患者移送用担架、ストレッチャー、病院のベッド又は救急車の簡易ベッドに焦点をあてているが、本発明の流体吸収体は、吸収パッド（例えば、医療用、ペット用、食品業界用の吸収パッド）、医療用の傷の手当用品、おむつ、及び流体の分散及び／又は吸収が望まれるその他の用途での使用に通常は適している。
[0009]
理論により拘束されるものではないが、本発明のFADE体には多数の利点がある。例えば以下の利点が挙げられるが、これらに限定されるものではない。流体吸収時間が著しく速い。吸収パッド全面に流体が均一に分散される。吸収パッドの流体吸収を阻害するゲルブロッキングが回避できる。高吸収性高分子材料が最大限に利用できる。極薄の実施形態や寸法調整の選択肢がある。重力に対抗する流動ポテンシャル（flow potential）がある。荷重下で吸水性が著しく増大する。引き続き起こる襲撃や爆撃（insults and incidents）で増大する体液の処理能力が向上する。患者の柔らかい組織に転換せずにパッド内の動きを許容する剪断防止特性（anti-shear properties）が挙げられる。
[0010]
態様の１つによると、FADE体は少なくとも２つのフロー媒体層と、そのフロー媒体層に挟まれた少なくとも１つの高吸収性高分子層とを有する。
[0011]
或は、フロー媒体層が１層のFADE体も可能である。例えば、流体吸収及び分散増強（FADE）体は、少なくとも１つのフロー媒体層を有し、高吸収性高分子層が流路を備え、少なくとも１つの高吸収性高分子層がフロー媒体層の下に位置する（図４参照）か、フロー媒体層の上に位置する（図５参照）。

[0012]
別の態様によると、荷重下での流体吸収及び分散増強の改善された方法を提供する。該方法は、少なくとも２つのフロー媒体層と、１つ以上の貫通流路を有する少なくとも１つの高吸収性高分子層とを有し、２つのフロー媒体層が上部フロー媒体層と下部フロー媒体層とを有し、高吸収性高分子層が前記上部フロー媒体層と下部フロー媒体層との間に位置する流体吸収及び分散増強体を荷重下に提供する工程と、上部フロー媒体層により横方向に、更に前記高吸収性高分子層の流路を通り下部フロー媒体層へ流体を抜くことにより、高吸収性高分子層内での流体の分散及び流体の吸収を増強する工程とを含む。
[0013]
更に別の態様によると、FADE体は、上部フロー媒体層、中間フロー媒体層及び下部フロー媒体層とを含む少なくとも３つのフロー媒体層と、上部フロー媒体層と中間フロー媒体層との間に位置する第１の高吸収性高分子層と、中間フロー媒体層と下部フロー媒体層との間に位置する第２の高吸収性高分子層とを有する少なくとも２つの高吸収性高分子層とを備える。
[0014]
更に別の態様では、流体吸収及び分散増強（FADE）体は、少なくとも１つのフロー媒体層と、フロー媒体層の上又は下に位置し、少なくとも１つの流路を有する少なくとも１つの高吸収性高分子層とを有する。
[0015]
本開示の実施形態が呈示する上記の特徴及び付加的な特徴については、図面と一緒に以下の詳細な説明を参照することにより更に十分に理解できるであろう。
本開示の具体的な実施形態についての以下の詳細な説明は、添付図面と一緒に読むことで最もよく理解できるものである。

流体排出用の切り取り部分を有する患者を載せる担架の図である。 本発明の一つ以上の実施形態による流体吸収及び分散増強体の図である。 高吸収性高分子層が１層である市販の流体吸収体の概略図である。 本発明の一つ以上の実施形態による、流路を有する１層の高吸収性高分子層と、その上に位置するフロー媒体層とを有する流体吸収及び分散増強体の概略図である。 本発明の一つ以上の実施形態による、流路を有する１層の高吸収性高分子層と、その下に位置するフロー媒体層とを有する別の流体吸収及び分散増強体の概略図である。 本発明の一つ以上の実施形態による、多層型流体吸収及び分散増強体の概略図である。 本発明の一つ以上の実施形態による、複数の高吸収層に流路を有する多層型流体吸収及び分散増強体の概略図である。 本発明の一つ以上の実施形態による、１層の高吸収層に流路を有する多層型流体吸収及び分散増強体の概略図である。 本発明の一つ以上の実施形態による大量の流体の流路を示す概略図である。 図面に記載の実施形態、本質的に、クレームに規定した本発明を説明するものであって、限定することを意図するものではない。更に、各図面の特徴について、詳細な説明を鑑みて更に十分明確になり理解されるものである。

[0027]
図４〜８を参照すると、流体吸収及び分散増強（FADE）体５の様々な実施形態が提供される。図４及び図５を参照すると、FADE体５は、少なくとも１つのフロー媒体層５０と、フロー媒体層５０の上（図４）又は下（図５）に位置する少なくとも１つの高吸収性高分子層２０とを有し、１層の高吸収性高分子層２０は流路２５を備え、フロー媒体層は図９に概略的に示すように流体を横方向に分散させる働きをする。図６を参照すると、FADE体５は、少なくとも２つのフロー媒体層５０と、フロー媒体層間、即ち、隣り合うフロー媒体層間に挟まれた少なくとも１つの高吸収性高分子層２０とを有する。
[0028]
多数の層を使うことができると、流体の流れが著しく改善され、流体吸収時間が著しく速くなり、流体のより均一な分散が可能になるが、構造的な改造だけでなく様々な構造によって流体分散の向上が達成できる。例えば、FADE体の特定の層や部位における高吸収性高分子の吸収速度を遅くしたり速くすることは、層中の流体の流れや排出だけでなく層構成を変えて適合させることができる。考えられる好適な構成としては、例えば、一層又は多層の高吸収性高分子層、該高吸収性高分子層の上及び／又は下に配置された一層又は多層のフロー媒体層、及び任意であるが高吸収性繊維物質とを含む構成が挙げられるが、これらに限定されない。本願明細書で使用のごとく、「高吸収性繊維物質」とは、織布繊維構造体又は不織繊維構造体の高吸収性高分子を包含することを意味する。このほかにも様々な構造体が本願明細書では考えられるが、例えば、好適なシート、担体又は支持体に高吸収性高分子をドーピングするだけのものが挙げられる。高吸収性繊維はフロー媒体に替えたり、フロー媒体層と一緒に使用することも考えられる。

[0029]
図４〜図８に示すように、FADE体５は更に被覆層３０を有していてもよい。例示的な実施形態の一つでは、被覆層３０は不織メッシュを含む。また、図４〜図８に示すように、FADE体５は、裏打ち層４０を更に有していてもよく、例えば、透明裏打ち層が挙げられる。被覆層３０及び裏打ち層４０について、この他様々な組成が考えられるが、これらの一方また両層は産業用途に応じて自由に選択される。
[0030]
フロー媒体層５０は、その意匠、材料及び寸法において選択肢が広い。例えば、伸縮性のある材料、様々な厚み、粗さ、プレーナー（planer）、卵の梱包用仕切り箱の構想（egg crate concepts）等、目下入手可能なフロー媒体と、所望の特性条件を検討して考え出すことができる。目的に適合させるために具体的に出来ること（specific tailorable performance features）としては、不均一で非伝統的な織物を使用したり、特定の流れの網目構造又はパターンを創出する織り模様を用いることが挙げられる。動脈、細動脈及び毛細血管で構成される人体の循環系と同様に、大きな流れが望まれる場所には厚目の材料を使用することで、大きい流路から小さい流路への網目構造を作り出すことができる。大きな流路から流体はすばやく小さい流路へと導かれ、パッド内の所望の吸収領域に集めることができる。

[0031]
特定の実施形態において、フロー媒体層５０は、Fibre Glast社の織物Style 6781 S2-Glass等の織布材料又は不織材料で構成された層であるとよい。フロー媒体層として使用できる不織材料の例としては、例えばAirtech社のBreatherflow 60等のメリヤス生地、Airtech社のResinflow 60等の押し出し方向材料（pressed directional materials）、Fibre Glast社のContinuous Strand Mat等のランダムマット、並びに、他のメッシュ又はスクリム材料又はこれらの混合物が挙げられる。もう一つの市販の好適な実施形態は、Airtech Advanced Materials Group製のGREENFLOW 75が挙げられる。織布構造又は不織構造での使用において、様々な組成が考えられる。例えば、フロー媒体層５０は、ナイロン、ポリプロピレン、プロピレンエチレン共重合体又はこれらの混合物を有するとよい。更に、フロー媒体層は、ナイロン、ポリプロピレン、プロピレンエチレン共重合体又は両方を少なくとも約25質量％又は少なくとも約50質量％含むとよい。
[0032]
追加の実施形態では、FADE体５は、互いに接触し合う少なくとも２つのフロー媒体層５０を含んでいてもよい。理論によって拘束されるものではないが、圧力、温度、湿気及び剪断のすべてが、患者の褥瘡の形成に関与する。褥瘡は、骨が接触する部位周辺の柔らかい組織の動きからうまれる摩擦や剪断力が原因であることが研究によりわかっている。この剪断効果をおさえるために、FADE体は、互いに接触しているフロー層の媒体メッシュによる２層を利用して、患者の柔らかい組織の代わりに吸収パッドが伸縮したり動くことができるような「滑りシート（slip sheet）」とすることで、褥瘡発現の可能性をおさえている。同じフロー媒体層組成物を接触させて配置してもよいし、或は、異なるフロー媒体層組成物を重ねてもよいと考えられる。

[0033]
図４〜図８に示すように、フロー媒体層５０は多孔性構造で、任意であるが流路を備えていてもよい。この流路により、高吸収性高分子層２０表面全体での流体の横方向の流れが促進される。図２、図４、図６〜図８に示されているように、高吸収性高分子層２０は、高吸収性高分子層２０全体に広がる流路２５を有していてもよく、これもまた横方向の流体の流れを増強させる。
[0034]
図５〜図８の実施形態を参照すると、高吸収性高分子層２０は２つのフロー媒体層５０の間に配置することができる。高吸収性高分子層２０として様々な組成物が考えられる。例えば、高吸収性高分子層２０は、ポリアクリル酸ナトリウムホモポリマー又はコポリマー、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン‐無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルコポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース又はこれらの混合物を含むことができる。実施形態の一例では、高吸収性高分子層２０がポリアクリル酸ナトリウムホモポリマーを含む。市販の好適な実施形態としては、Gelok International社製のULTRABLEND345が挙げられる。高吸収性高分子層は、様々な構成形態が考えられる。例えば、図３に示すように、高吸収性高分子コア層２０が、該高吸収性コア層２０の上に被覆層３０を有し、更に、下には裏打ち層４０を有してもよい。

[0035]
更なる実施形態では、高吸収性高分子層２０が流路２５を有し、例えば多層型FADE体５では１層以上の高吸収性高分子層２０に流路２５を有する。具体的には、図１及び図２と一緒に図７及び図８を参照すると、流路２５は、高吸収性高分子層２０の一方又は両方の切り取り部分で、その切取り部分はマットレス２の排出スロット１０又は「貫通孔」と整合し、多量の流体が吸収パッドに送られ溜まりがちな場所では、Ｚ方向の流れが促進される。図４〜図８に示されているように、Ｚ方向、即ち、高吸収性高分子層２０の表面に対して垂直方向に流体を流すことができれば、流体吸収時間が劇的に向上し、流体の分散が改善され、ゲルブロッキングを防ぐことができる。図７及び図８はいずれも高吸収性高分子層のトップ層又は上部層に流路２５がある実施形態を示すが、高吸収性高分子層下部層のみに流路がある実施形態も更に考えられる。また、構造体の層をあらたに配置して、高吸収性高分子層同士が直接接触するように、又はフロー媒体層同士が直接接触するようにすることも考えられる。
[0036]
更にFADE体５は、イオン除去物質又はイオン除去コーティングを含んでもよい。イオン除去物質を用いてフロー媒体層３０を構成したり、高吸収性高分子層２０にイオン除去コーティングを設けることにより、イオン化した体液の吸収速度に比べ、吸収速度を上げることができる。この発想を選択的に取り入れれば、吸収体領域中のどこにでも吸収場所を決めて設けることができる。理論に拘束されるものではないが、流体が最初に導入される場所近辺を低い吸収に保つことにより、多数回使用が可能になる。これは、患者用高吸収性高分子パッドに望まれる特徴の一つである、

[0037]
更に別の実施形態では、伸びやすくするために設計された小さな切込みを高吸収性高分子層２０に設けてもよい。特定の作製方法には限定されないが、小さな切込みは、高吸収性高分子層にレーザーエッチングで作製できる。或は、高吸収性高分子層が、伸縮自在の織物層に高吸収性高分子を含浸した構造であってもよい。剪断抵抗性のある滑りシートの実施形態同様、高吸収性高分子を伸縮自在の織物層へ含浸することにより得られた高吸収高分子の伸縮性は、褥瘡を低減する助けとなる。
[0038]
有利な実施形態の一つでは、荷重下、流体吸収及び分散増強体は優れた流体分散を実現する。前述のとおり、吸収パッドに圧力がかかると、流体の浸透排出及び分散が妨害され、その結果、特定の場所に流体が溜まることがある。これは吸水性の低下につながる。したがって、本発明の流体吸収及び分散増強体は、フロー媒体層中に流体を分散させることで高吸収性高分子層における流体吸収を向上させる。更に任意であるが、高吸収性高分子層の１つ、例えば上部高吸収性高分子層に流路を設け、下部高吸収性高分子層へと流体を横方向へ分散させることができるので、流体の吸収を更に向上させることができる。
実施例

[0040]
本発明の発明者らは、流体吸収及び分散を明らかにするために比較実験を行った。アクリル製シリンダーから導入される0.9％の塩水250mlで評価を行った。負荷吸収（AUL）の実験には、パッド表面に0.15psiを付与する鋼板を用いて均一に荷重を与えた。このAULの実験で、パッドにかかる体重による圧縮荷重をシミュレートした。
[0041]
最初に使うシートは従来の市販品（図３）とした。水及び血液類似物（0.9％の塩水）は、荷重が付与されていない場合は、どちらもすばやく吸収された。
[0042]
しかしながら、図３のシートに圧力をかけると、シートの流体吸収力は低下し流体溜まりが形成された。圧力の負荷により、流体を浸透排出させることも高吸収性高分子層に吸収させることもできなかったので、流体の溜まりができる結果となった。図４のごとく、流路２５を有する吸収ポリマー２０の上にフロー媒体層５０を合体させた場合は、圧力が付与されても製品の流体浸透排出力が増大し、流体の吸収が向上した。
[0043]
図６に示すように、高吸収性高分子の２層をフロー媒体メッシュ層の間に挟み入れた結果、流体を浸透排出させる力は増大し、流体の吸収が分担された。更に、各高吸収性高分子層はおよそ同量の流体を吸収した。

[0044]
更に図８の形態では、２つの高吸収性高分子層２０が３つのナイロン製フロー媒体層５０に挟まれて一体化している。更に、流路２５が上部吸収高分子層にあるが、マットレスの排出スロット又は「貫通孔」に対応しているので、大量の流体が吸収パッドに流れ込み溜まりがちな箇所での流体を浸透排出させる力が更に向上する。結果、これらの２つの改造型では、AULの実験において極めて優れた吸水特性であった。この実験では、図３に示したような従来のパッドがまったく荷重のない状態で同じ量の流体を吸収するのにかかる時間のおよそ１／３の時間で、図８に示す改造した吸収パッドは流体を完全に吸収し、荷重となる鋼板の下側に流体を分散させた。
[0045]
FADE体の使用により、以下の性能特性が際立った。吸収速度の加速、より一層均一な流体の分散及び吸収、バランスのとれた排出と流体搬送性、及び、荷重なしの高吸収性高分子に比べて荷重下での吸収が約３倍速いことであった。
[0046]
本願明細書における「好ましくは」「通常は」「一般には」及び「典型的には」という用語は、クレームした発明の範囲を限定したり、特定の特徴がクレームした発明の構造又は機能にとって決定的であるとか、不可欠であるとか、重要であると暗示するために用いているのではないことも記載しておく。むしろ、これらの用語は、本開示の特定の実施形態において、代替又は追加の特徴が利用できるかどうかを単に強調することを意図している。

[0047]
添付のクレームに記載の開示範囲から逸脱することなく改造や改変をするこが可能であることは明らかである。より具体的には、本願明細書の開示の中でいくつかの態様は好適であること、又は特に有利であるとしているが、本開示内容は必ずしもそれらの態様に限定されないと考えられる。
〔関連出願の参照〕
[0001]
本願は、２０１３年１月３０日に出願された米国仮特許出願第６１／７５８，５２４号及び米国特許出願第１３／８３４，２３９号の優先権を主張するもので、これらの出願の全内容は引用により本願明細書に含まれるものとする。
〔連邦政府資金による研究開発の記載〕
[0002]
本発明は、米国陸軍Medical Research and Material CommandからCornerstone Research Group Inc.に付与された第W81XWH-10-C-0193の契約のもと米国政府の助成によりなされたものであり、米国政府は本発明に一定の権利を有する。

２ マットレス
５ 流体吸収及び分散増強（FADE）体
１０ 排出スロット
１２ 排出経路
２０ 高吸収性高分子層
２５ 流路
３０ 被覆層
４０ 裏打ち層
５０ フロー媒体層

Claims (20)

1. 少なくとも２つのフロー媒体層と、
   前記フロー媒体層に挟まれた少なくとも１つの高吸収性高分子層と
   を有する、流体吸収及び分散増強（FADE）体。
2. 前記フロー媒体層が、織布材料、不織材料、加圧メッシュ（pressed mesh）、メッシュ織物、スクリム又はこれらの組合せを含む、請求項１記載のFADE体。
3. 前記フロー媒体層が、ナイロン、ポリプロピレン、プロピレンエチレン共重合体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン又はそれらの混合物を含む、請求項１記載のFADE体。
4. 更に高吸収性繊維材料を含む、請求項１記載のFADE体。
5. 更に１つ以上の流路を前記高吸収性高分子層中に有する、請求項１記載のFADE体。
6. 前記高吸収性高分子層が、ポリ（アクリル酸ナトリウム）ホモポリマー又はコポリマー、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン‐無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルコポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース又はこれらの混合物を含む、請求項１記載のFADE体。
7. 更に、少なくとも２つの互いに接触したフロー媒体層を含む、請求項１記載のFADE体。
8. 更にイオン除去物質又はイオン除去コーティングを含む、請求項１記載のFADE体。
9. 前記高吸収性高分子層が、伸縮しやすいように設計された小さなスリットを有する、請求項１記載のFADE体。
10. 前記高吸収性高分子層が、伸縮自在の生地層に含浸させた高吸収高分子を含む、請求項１記載のFADE体。
11. 人体を支えるフレームと、請求項１記載の流体吸収及び分散増強体とを有するストレッチャー。
12. 更に、前記流体吸収及び分散増強体の上にマットレスを有し、前記マットレスが複数の排出穴を有し、人体からの流体が前記排出穴を通って流れ、流体吸収及び分散増強体に流れ込むように構成されている、請求項１１記載のストレッチャー。
13. 荷重下で流体の吸収及び分散を増強させる方法であって、
    少なくとも２つのフロー媒体層と、貫通する１つ以上の流路を備えた少なくとも１つの高吸収性高分子層とを有し、前記２つのフロー媒体層が上部フロー媒体層と下部フロー媒体層とを含み、前記高吸収性高分子層が前記上部フロー媒体層と下部フロー媒体層との間に位置する、流体吸収及び分散増強体を荷重下に提供し、
    上部フロー媒体層により横方向に、前記高吸収高分子層の流路を通って前記下部フロー媒体層に排出することにより、高吸収性高分子層における流体の分散と流体の吸収を向上させる、前記方法。
14. 前記高吸収性高分子層が、ポリ（アクリル酸ナトリウム）ホモポリマー又はコポリマー、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン‐無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルコポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース又はこれらの混合物を含む、請求項１３記載の方法。
15. 流体吸収及び分散増強（FADE）体であって、
    上部フロー媒体層、中間フロー媒体層及び下部フロー媒体層とを含む、少なくとも３つのフロー媒体層と、
    前記上部フロー媒体層と前記中間フロー媒体層との間に位置する第１の高吸収性高分子層と、前記中間フロー媒体層と前記下部フロー媒体層との間に位置する第２の高吸収層とを含む少なくとも２つの高吸収性高分子層と
    を有する前記FADE体。
16. 前記フロー媒体層が、織布材料、不織材料、加圧メッシュ、メッシュ織物、スクリム又はこれらの組合せを含む、請求項１５記載のFADE体
17. 前記フロー媒体層が、ナイロン、ポリプロピレン、プロピレンエチレン共重合体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン又はそれらの混合物を含む、請求項１５記載のFADE体。
18. 更に、１つ以上の流路を前記高吸収性高分子層中に有する、請求項１５記載のFADE体。
19. 前記高吸収性高分子層が、ポリ（アクリル酸ナトリウム）ホモポリマー又はコポリマー、ポリアクリルアミドコポリマー、エチレン‐無水マレイン酸コポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリルコポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース又はこれらの混合物を含む、請求項１７記載のFADE体。
20. 少なくとも１つのフロー媒体層と、
    前記フロー媒体層の上又は下に位置し、少なくとも１つの流路を有する、少なくとも１つの高吸収性高分子層と
    を含む、流体吸収及び分散増強（FADE）体。

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