以下に、本発明の一実施形態の液面レベル検出システムを、図1〜図7を参照して説明する。この液面レベル検出システムは、例えば、自動車の燃料タンクシステムなどに用いられる。
図1は、本発明の一実施形態の液面レベル検出システムの概略構成図である。図2は、図1の液面レベル検出装置が有する液面レベル検出装置の構成部材の接続関係を模式的に示した図である。図3は、図1の液面レベル検出装置におけるマグネットの位置と複数の差分値D[1]〜D[3]及び液面レベル検出基準情報H[1]〜H[3]との関係を示すグラフの一例である。図4は、図2の制御部が備えるマイクロコンピュータのCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理1)の一例を示すフローチャートである。図5は、マグネット位置と磁気強度センサS[k]の出力値、磁気強度センサS[k+1]の出力値、及び、これら出力値の差分値D[k]との関係を示すグラフの一例である。図6は、マグネット位置と複数の差分値D[i]との関係を示すグラフの一例(磁気強度センサの個数N=4)である。図7は、マグネット位置と複数の差分値D[i]との関係を示すグラフの一例(磁気強度センサの個数N=8)である。図3において、S[1]〜S[4]は、磁気強度センサS[1]〜S[4]が配置された位置を示している。
本実施形態の液面レベル検出システムが有する液面レベル検出装置は、タンクに貯蔵された液体の液面レベルに応じて上下方向に移動されるマグネットと、上下方向に互いに間隔をあけて順次並べて配置され、マグネットとの距離に応じた値を出力する複数の磁気強度センサと、を有しており、互いに隣接して配置された磁気強度センサの出力値の差分値に基づいて、マグネット位置、即ち、液面レベルを検出するものである。
まず、液面レベル検出装置における液面レベルの検出の原理について、図5〜図7を参照して説明する。
図5は、マグネット位置と磁気強度センサS[k](kは、1からN−1までのうちの1の自然数)の出力値、磁気強度センサS[k+1]の出力値、及び、これら出力値の差分値D[k]との関係を示すグラフの一例である。磁気強度センサS[k]の出力値からそれに隣接された磁気強度センサS[k+1]の出力値を差し引いた差分値D[k]を考えたとき、図5に示すように、磁気強度センサS[k]と磁気強度センサS[k+1]の間に各センサの出力が均衡するマグネット位置が存在し、そのマグネット位置において差分値D[k]は0となる。このマグネット位置を、ゼロクロス位置P[k]とする。そして、マグネットがゼロクロス位置P[k]より磁気強度センサS[k]側(図中左側)に位置すると、磁気強度センサS[k]の出力値が磁気強度センサS[k+1]の出力値より大きくなって差分値D[k]の符号は正(即ち、D[k]>0)となる。逆に、マグネットがゼロクロス位置P[k]より磁気強度センサS[k+1]側(図中右側)に位置すると、磁気強度センサS[k+1]の出力値がS[k]の出力値より大きくなって差分値D[k]の符号は負(即ち、D[k]<0)となる。また、マグネットが磁気強度センサS[k]に最接近したとき差分値D[k]は最大値となり、マグネットが磁気強度センサS[k+1]に最接近したとき差分値D[k]は最小値となる。符号判定において、D[k]=0の場合は、正(D[k]>0)又は負(D[k]<0)のどちらか一方に含めればよい。
図6は、マグネット位置と複数の差分値D[i](iは、1からN−1までの複数の自然数)との関係を示すグラフの一例である。なお、本実施形態では、後述するように複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]がそれぞれ異なる間隔で配置されているが、説明の便宜上、図6では、等間隔に配置された磁気強度センサS[1]〜S[4](N=4)を備えた構成における差分値D[1]〜D[3]について例示している。
ゼロクロス位置P[1]より図中左側の区間T[1]では、差分値D[1]〜D[3]の全ての符号が正となっている。また、区間T[1]は、差分値D[1]が最大値となるマグネット位置を含んでおり、差分値D[2]及びD[3]については、最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいない。
ゼロクロス位置P[1]とゼロクロス位置P[2]との間の区間T[2]では、差分値D[1]の符号が負となり、差分値D[2]及びD[3]の符号が正となっている。また、区間T[2]は、差分値D[1]が最小値となるマグネット位置及び差分値D[2]が最大値となるマグネット位置を含んでおり、差分値D[3]については、最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいない。
ゼロクロス位置P[2]とゼロクロス位置P[3]との間の区間T[3]では、差分値D[1]及びD[2]の符号が負となり、差分値D[3]の符号が正となっている。また、区間T[3]は、差分値D[2]が最小値となるマグネット位置及び差分値D[3]が最大値となるマグネット位置を含んでおり、差分値D[1]については、最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいない。
ゼロクロス位置P[3]より図中右側の区間T[4]では、差分値D[1]〜D[3]の全ての符号が負となっている。また、区間T[4]は、差分値D[3]が最小値となるマグネット位置を含んでおり、差分値D[1]及びD[2]については、最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいない。
このことから、差分値D[1]の符号が正であれば、マグネット位置が区間T[1]にあると特定でき、そして、区間T[1]には、差分値D[2]及びD[3]について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[1]において差分値D[2]及びD[3]は単調に変化(単調増加)し、つまり、差分値D[2]及びD[3]の値に対して一意にマグネット位置(即ち、液面レベル)が定まる。そのため、これら差分値D[2]及びD[3]のいずれか一方又は両方に基づいて液面レベルを検出することができる。
また、差分値D[1]の符号が負で、差分値D[2]の符号が正であれば、マグネット位置が区間T[2]にあると特定でき、そして、区間T[2]には、差分値D[3]について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[2]において差分値D[3]は単調に変化し、つまり、差分値D[3]の値に対して一意にマグネット位置が定まる。そのため、この差分値D[3]に基づいて液面レベルを検出することができる。
また、D[2]の符号が負で、差分値D[3]の符号が正であれば、マグネット位置が区間T[3]にあると特定でき、そして、区間T[3]には、差分値D[1]について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[3]において差分値D[1]は単調に変化し、つまり、差分値D[1]の値に対して一意にマグネット位置が定まる。そのため、この差分値D[1]に基づいて液面レベルを検出することができる。
また、差分値D[3]の符号が負であれば、マグネット位置が区間T[4]にあると特定でき、そして、区間T[4]には、差分値D[1]及びD[2]について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[4]において差分値D[1]及びD[2]は単調に変化し、つまり、差分値D[1]及びD[2]の値に対して一意にマグネット位置が定まる。そのため、これら差分値D[1]及びD[3]のいずれか一方又は両方に基づいて液面レベルを検出することができる。
そして、図6では、磁気強度センサSの個数Nが4であったが、個数Nが5以上の場合でも、磁気強度センサS[1]〜S[N]が上下方向に互いに間隔をあけて順次並べて配置されていれば、図6と同様に、各差分値D[i]は、それぞれの最大値及び最小値が図中左右方向に順番に並ぶように出現し、各差分値D[i]が0となるゼロクロス位置P[1]〜P[N−1]も図中左右方向に順番に並ぶため、上記と同様に考えることができる。図7に、マグネット位置と複数の差分値D[i](iは、1からN−1までの複数の自然数)との関係を示すグラフの一例として、等間隔に配置された磁気強度センサS[1]〜S[8](N=8)を備えた構成における差分値D[1]〜D[7]について示す。
即ち、差分値D[i]のうちの差分値D[j](jは、1からN−2までのうちの1の自然数)の符号が負で、かつ、差分値D[i]のうちの差分値D[j+1]の符号が正のとき、マグネット位置が区間T[j+1]にあると特定でき、そして、区間T[j+1]には、差分値D[j]及び差分値D[j+1]以外の差分値D[a](aは、1からN−1までのうちj及びj+1以外の1又は複数の自然数)について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[j+1]において、差分値D[a]は単調に変化する。そのため、差分値D[a]及び差分値D[a]に対応する液面レベル検出基準情報H[a]に基づいて液面レベルを検出することができる。
また、差分値D[1]の符号が正のとき、区間T[1]にマグネット位置があることが特定され、区間T[1]には、差分値D[1]以外の差分値D[b](bは、2からN−1までのうちの1又は複数の自然数)について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[1]において、差分値D[b]は単調に変化する。そのため、差分値D[b]及び差分値D[b]に対応する液面レベル検出基準情報H[b]に基づいて液面レベルを検出することができる。
また、差分値D[N−1]の符号が負のとき、区間T[N]にマグネット位置があることが特定され、区間T[N]には、差分値D[N−1]以外の差分値D[c](cは、1からN−2までのうちの1又は複数の自然数)について最大値となるマグネット位置及び最小値となるマグネット位置を含んでいないので、区間T[N]において、差分値D[c]は単調に変化する。そのため、差分値D[c]及び差分値D[c]に対応する液面レベル検出基準情報H[c]に基づいて液面レベルを検出することができる。
次に、本実施形態の液面レベル検出装置の構成を、図1〜図4を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の液面レベル検出システム(図中、符号100で示す)は、タンク2と、タンク2内に配設された液面レベル検出装置1と、を有している。液面レベル検出装置1は、マグネット3と、ロッド4と、複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]と、制御部10(図2)と、を有している。
タンク2は、合成樹脂や金属などで構成されており、その上端である天井から下端である底面にわたり水平方向断面積が不均一な、即ち、単位高さ当たりの容積が上下方向に不均一な中空箱状に形成されている。本実施形態において、タンク2は、上端から下端に向かって徐々に水平方向断面積が大きくなる四角錐台状に形成されている。
マグネット3は、例えば、内縁3aに後述のロッド4が挿通可能な円環状に形成されている。マグネット3は、タンク2内に貯蔵された液体の液面に浮かぶように、例えば、浮力の大きいフロート部材に磁石を取り付けたものや、磁力を生じる材料を含む合成樹脂を発泡体状にしたものなどから構成されている。
ロッド4は、例えば、長尺の円柱状に形成されている。ロッド4は、軸方向が上下方向(鉛直方向)と平行になるようにタンク2内に配置されている。
ロッド4の下端部には、フランジ状のストッパ4aが設けられている。ストッパ4aは、円板状で、マグネット3の内縁3aの径よりも直径の大きい円板状に形成されている。ストッパ4aによって、マグネット3が、ロッド4から抜け落ちることを防止している。
ロッド4の上端部には、取付フランジ4bが設けられている。取付フランジ4bは、例えば、液面レベル検出装置1をタンク2内に挿入するためにタンク2天井に設けられた開口2aの径より直径の大きい円板状に形成されている。取付フランジ4bが、タンク2の開口2aを塞ぐようにタンク2に固定して取り付けられることにより、液面レベル検出装置1がタンク2に装着される。
ロッド4は、マグネット3の内縁3aに挿通される。これにより、マグネット3は、タンク2に貯蔵された液体の液面に浮かべられた状態において、ロッド4によって移動がガイドされて、液面レベルに応じて移動可能範囲としてのストッパ4aと取付フランジ4bとの間を上下方向に移動される。
複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]は、例えば、ホール素子や磁気抵抗効果素子などで構成されており、検知した磁気の強さ(強度)に応じた電圧信号を出力する。複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]は、同一の磁気強度に対して同一の電圧信号を出力する。複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]は、それぞれがロッド4に埋め込まれており、上方から下方に向けて互いに間隔をあけて順次並ぶように配置されている。
磁気強度センサS[1]は、取付フランジ4b直下に配置されている。これにより、磁気強度センサS[1]は、マグネット3の位置がその移動可能範囲における上端であるときに出力値が最大となる。また、磁気強度センサS[4]は、ストッパ4a直上に配置されている。これにより、磁気強度センサS[4]は、マグネット3の位置がその移動可能範囲における下端であるときに出力値が最大となる。
本実施形態において、複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]は、各磁気強度センサS[1]〜S[4]によって区切られる複数のタンク部分Q[1]〜Q[3]のそれぞれに収容される液体の量が均一になるように配置されている。具体的には、タンク2における単位高さ当たりの容積が比較的大きい箇所では、互いに隣接する磁気強度センサの間隔が狭くなるように配置し、タンク2における単位高さ当たりの容積が比較的小さい箇所では、互いに隣接する磁気強度センサの間隔が広くなるように配置している。本実施形態において、各部分タンクQ[1]〜Q[3]にはそれぞれ10Lの液体が収容されるように、複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]が配置されている。なお、図1において、タンク部分Q[3]より下に液体が収容される若干の空間が存在するが、この空間はストッパ4aより下方に位置しているので、本実施形態の液面レベル検出装置1では検出できない範囲であり、そのため、タンク部分としての考慮はしていない。
制御部10は、図2に示すように、差分値算出部11と、マイクロコンピュータ20(以下、「μCOM20」という)と、を備えている。
差分値算出部11は、切替スイッチ12と、減算器13と、を備えており、互いに隣接して配置された磁気強度センサS[1]〜[4]の出力値の差分値D[i](iは、1から3までの自然数)を演算する。
切替スイッチ12は、2回路3接点のスイッチ(開閉器)であって、2つの回路に対して、それぞれの回路に対応して設けられた3つの接点を同時に切り換えて接続する。切替スイッチ12の入力端子I11、I12、I13には、磁気強度センサS[1]、S[2]、S[3]が接続されている。入力端子I11、I12、I13は、スイッチ切替により第1回路としての出力端子O1に接続される。切替スイッチ12の入力端子I21、I22、I23には、磁気強度センサS[2]、S[3]、S[4]が接続されている。入力端子I21、I22、I23は、スイッチ切替により第2回路としての出力端子O2に接続される。これにより、切替スイッチ12は、(1)出力端子O1から磁気強度センサS[1]の電圧信号が出力されているとき、出力端子O2から磁気強度センサS[2]の電圧信号が出力され、(2)出力端子O1から磁気強度センサS[2]の電圧信号が出力されているとき、出力端子O2から磁気強度センサS[3]の電圧信号が出力され、(3)出力端子O1から磁気強度センサS[3]の電圧信号が出力されているとき、出力端子O2から磁気強度センサS[4]の電圧信号が出力される。切替スイッチ12の制御端子Icには、μCOM20が接続されており、μCOM20からの制御信号に応じてスイッチが切り換えられる。
減算器13は、例えば、オペアンプ等で構成されており、一方の入力端子に入力された電圧信号から他方の入力端子に入力された電圧信号を差し引いた差分電圧信号を出力する。減算器13の一方の入力端子には、切替スイッチ12の出力端子O1が接続され、他方の入力端子には、切替スイッチ12の出力端子O2が接続されており、出力端子O1の電圧信号から出力端子O2の電圧信号を差し引いた差分電圧信号(即ち、差分値)を出力端子から出力する。
差分値算出部11では、切替スイッチ12の切替スイッチが切り替えられる毎に、(1)磁気強度センサS[1]の電圧信号から磁気強度センサS[2]の電圧信号を差し引いた差分電圧信号(即ち、差分値D[1])、(2)磁気強度センサS[2]の電圧信号から磁気強度センサS[3]の電圧信号を差し引いた差分電圧信号(即ち、差分値D[1])、(3)磁気強度センサS[3]の電圧信号から磁気強度センサS[4]の電圧信号を差し引いた差分電圧信号(即ち、差分値D[3])、を出力する。
μCOM20は、CPU、ROM、RAMなどを内蔵して構成されており、液面レベル検出装置1全体の制御を司る。ROMには、CPUを液面レベル検出手段などの各種手段として機能させるための制御プログラムが予め記憶されており、CPUは、この制御プログラムを実行することにより各種手段として機能する。また、μCOM20のROMには、各種パラメータが記憶されている。
μCOM20は、出力ポートPO、アナログ−デジタル変換入力ポートADI、及び、外部機器との通信のための通信ポート(図示なし)を備えた外部インタフェース部をさらに内蔵している。出力ポートPOには、切替スイッチ12の制御端子Icが接続されており、切替スイッチ12は、出力ポートPOから出力された制御信号に基づいてスイッチ切替を行う。また、アナログ−デジタル変換入力ポートADIには、差分値算出部11(具体的には、減算器13の出力)が接続されており、差分値算出部11が出力した差分電圧信号が入力されると量子化されて当該信号に応じた数値、即ち、隣接して配置された磁気強度センサの出力値の差分値D[1]〜D[3]を示す数値がCPUに渡される。図示しない通信ポートには、図示しないワイヤハーネスを介して、他の電子制御装置等が接続されており、液面レベル検出結果が送信される。
μCOM20のROMには、隣接して配置された磁気強度センサの電圧信号(出力値)の差分値D[1]〜D[3]とマグネット3の位置(即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベル)との関係を示す液面レベル検出基準情報H[1]〜H[3]が予め記憶されている。図3に示すように、マグネット3の位置は、各差分値D[1]〜D[3]が0となるゼロクロス位置P[1]〜P[3]で4つの区間T[1]〜T[4]に区切ることができる。そして、本実施形態では、図3に太実線で示される、(1)区間T[3]における差分値D[1]とマグネット3の位置との関係を示す液面レベル検出基準情報H[1]、(2)区間T[1]及びT[4]における差分値D[2]とマグネット3の位置との関係を示す液面レベル検出基準情報H[2]、(3)区間T[2]における差分値D[3]とマグネット3の位置との関係を示す液面レベル検出基準情報H[3]、をμCOM20のROMに記憶している。各液面レベル検出基準情報H[1]〜H[3]は、例えば、変換テーブルや、計算式の形で記憶されている。μCOM20のROMは、情報記憶手段に相当する。
また、本実施形態において、液面レベル検出基準情報H[1]〜H[3]は、必要な区間Tについてのみ記憶されているものであったが、これに限定されるものではなく、液面レベル検出基準情報H[i]は、差分値D[i](iは、1からN−1までの複数の自然数)について一意にマグネット3の位置が定まる区間(例えば、ゼロクロス位置P[i]を含む最大値と最小値との間の区間以外の区間など)について記憶されていればよい。また、液面レベル検出基準情報H[i]の全て(H[1]〜H[N−1])について記憶している必要はなく、液面レベルの検出処理において用いることのない当該情報は記憶していなくてもよい。
ここで、本実施形態との比較のために、図16に、複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]が等間隔で配置された構成の液面レベル検出装置901を有する液面レベル検出システム900の概略構成図を示し、図17に、この構成におけるマグネットの位置と複数の差分値D[1]〜D[3]及び液面レベル検出基準情報H[1]〜H[3]との関係を示すグラフの一例を示す。
図16に示すように、液面レベル検出装置901では、各磁気強度センサS[1]〜S[4]が等間隔で配置されているので、各磁気強度センサS[1]〜S[4]によって区切られる複数のタンク部分Q[1]〜Q[3]のそれぞれに収容される液体の量が不均一となる。この構成において、タンク部分Q[1]、Q[2]、Q[3]に収容される液体の量は、それぞれ5L、10L、15Lとなる。
そして、磁気強度センサS[3]と磁気強度センサS[4]との間(即ち、タンク部分Q[3])における差分値D[1]及び差分値D[2]について、本実施形態(図3)と磁気強度センサが等間隔で配置された構成(図17)とを比較すると、本実施形態の方がこれら差分値D[1]及び差分値D[2]の傾きの絶対値が大きいことが分かる。磁気強度センサS[2]と磁気強度センサS[3]との間(即ち、タンク部分Q[2])における差分値D[1]及び差分値D[2]についても、同様である。
つまり、単位高さ当たりの容積が比較的大きいタンク2の下部箇所では、単位高さ当たりの容積が比較的大きいタンク2の上部箇所に比べて、液量の変化量に対する液面レベルの変化量が小さくなるところ、本実施形態の構成とすることで、上記下部箇所での液面レベルの変化量に対する差分値の変化量を、上記上部箇所での液面レベルの変化量に対する上記差分値の変化量より大きくすることができ、これにより、各タンク部分Q[1]〜Q[3]において液量の変化量に対する差分値の変化量を互いに近づけることができる。
次に、上述したμCOM20のCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理1)の一例を、図4に示すフローチャートを参照して以下に説明する。
μCOM20のCPUは、液面レベル検出処理1を実行するために、周期的(例えば、1分毎)に処理をステップS110に進める。
ステップS110では、差分値D[1]〜D[3]を取得する。具体的には、CPUは、出力ポートPOから制御信号を出力して切替スイッチ12を順次切り換えることにより、切替スイッチ12の出力端子O1及び出力端子O2から、(1)磁気強度センサS[1]の電圧信号及び磁気強度センサS[2]の電圧信号、(2)磁気強度センサS[2]の電圧信号及び磁気強度センサS[3]の電圧信号、(3)磁気強度センサS[3]の電圧信号及び磁気強度センサS[4]の電圧信号、を順次出力させる。これにより、減算器13において演算されたこれら電圧信号の差分電圧信号がアナログ−デジタル変換入力ポートADIに入力されて、各差分電圧信号に応じた差分値D[1]〜D[3]を取得する。そして、ステップS120に進む。
ステップS120において、CPUは、差分値D[2]の符号が正か否かを判定し、符号が正であれば、ステップS130に進み(S120でY)、符号が負であれば、ステップS140に進む(S120でN)。本実施形態において、差分値D[2]≧0のとき、符号が正と判定し、差分値D[2]<0のとき、符号が負と判定する。以下の各ステップにおける符号判定も同様である。または、差分値D[2]>0のとき、符号が正と判定し、差分値D[2]≦0のとき、符号が負と判定するようにしてもよい。
ステップS130において、CPUは、差分値D[1]の符号が正か否かを判定し、符号が正であれば、マグネット3の位置が区間T[1]にあるものとして、ステップS150に進み(S130でY)、符号が負であれば、マグネット3の位置が区間T[2]にあるものとして、ステップS160に進む(S130でN)。
ステップS140において、CPUは、差分値D[3]の符号が正か否かを判定し、符号が正であれば、マグネット3の位置が区間T[3]にあるものとして、ステップS170に進み(S140でY)、符号が負であれば、マグネット3の位置が区間T[4]にあるものとして、ステップS180に進む(S140でN)。
ステップS150において、CPUは、差分値D[2]を、液面レベル検出基準情報H[2]に当てはめることにより、マグネット3の位置、即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルを検出する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
ステップS160において、CPUは、差分値D[3]を、液面レベル検出基準情報H[3]に当てはめることにより、マグネット3の位置、即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルを検出する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
ステップS170において、CPUは、差分値D[1]を、液面レベル検出基準情報H[1]に当てはめることにより、マグネット3の位置、即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルを検出する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
ステップS180において、CPUは、差分値D[2]を、液面レベル検出基準情報H[2]に当てはめることにより、マグネット3の位置、即ち、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルを検出する。そして、本フローチャートの処理を終了する。
そして、本フローチャートの処理を終了したのち、CPUは、通信ポートを通じて他の電子制御装置等に液面レベルの検出結果を送信する。勿論、液面レベルの検出結果に代えて、液面レベルに応じた液体残量を送信するようにしてもよい。この場合、μCOM20は、ROM内に液面レベルと液体残量との関係を示すテーブルや算出式などの情報を記憶した構成となる。そして、他の電子制御装置等において液面レベル又は液面レベルに応じた液体残量の表示や記録等が行われる。
次に、上述した液面レベル検出装置1の制御部10における動作の一例について説明する。
液面レベル検出装置1の制御部10は、周期的に互いに隣接して配置された磁気強度センサの差分値D[1]〜D[3]を取得する(S110)。
そして、差分値D[2]の符号が正であり(S120でY)、かつ、差分値D[1]の符号が正であると判定されたとき(S130でY)、差分値D[1]の符号が正であるので、マグネット3の位置が、区間T[1]にあることが特定され、この区間T[1]において単調に変化する差分値D[2]およびこの差分値D[2]に対応する液面レベル検出基準情報H[2]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出する(S150)。
または、差分値D[2]の符号が正であり(S120でY)、かつ、差分値D[1]の符号が負であると判定されたとき(S130でN)、差分値D[1]の符号が負で、差分値D[2]の符号が正であるので、マグネット3の位置が、区間T[2]にあることが特定され、この区間T[2]において単調に変化する差分値D[3]及びこの差分値D[3]に対応する液面レベル検出基準情報H[3]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出する(S160)。
または、差分値D[2]の符号が負であり(S120でN)、かつ、差分値D[3]の符号が正であると判定されたとき(S140でY)、D[2]の符号が負で、差分値D[3]の符号が正であるので、マグネット3の位置が、区間T[3]にあることが特定され、この区間T[3]において単調に変化する差分値D[1]及びこの差分値D[1]に対応する液面レベル検出基準情報H[1]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出する(S170)。
または、差分値D[2]の符号が負であり(S120でN)、かつ、差分値D[3]の符号が負であると判定されたとき(S140でN)、差分値D[3]の符号が負であるので、マグネット3の位置が、区間T[4]にあることが特定され、この区間T[4]において単調に変化する差分値D[2]及びこの差分値D[2]に対応する液面レベル検出基準情報H[2]に基づいて、マグネット3の位置に応じた液面レベルを検出する(S180)。
本実施形態の液面レベル検出システム100は、単位高さ当たりの容積が上下方向に不均一に形成されたタンク2と、タンク2に貯蔵された液体の液面レベルに応じて上下方向に移動されるマグネット3と、上下方向に互いに間隔をあけて順次並べて配置され、マグネット3との距離に応じた値を出力する複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]と、複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]のうちの一の磁気強度センサの出力値と前記一の磁気強度センサに隣接する他の磁気強度センサの出力値との差分値を算出する差分値算出部11と、差分値算出部11によって算出された前記差分値に基づいて液面レベルを検出するμCOM20からなる液面レベル検出手段と、を有し、複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]が、タンク2における複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]によって区切られる複数のタンク部分Q[1]〜Q[3]のそれぞれに収容される液体の量が均一になるように配置されている。
また、タンク2が、上端から下端に向かうにしたがって単位高さ当たりの容積が増加するように形成されている。
以上より、本実施形態によれば、単位高さ当たりの容積が上下方向に不均一に形成されたタンク2に収容された液体の液面レベルについて、複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]のうちの一の磁気強度センサの出力値とこの一の磁気強度センサに隣接する他の磁気強度センサの出力値との差分値D[1]〜D[3]を算出して、当該差分値D[1]〜D[3]に基づいて検出する構成において、複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]が、タンク2における複数の磁気強度センサS[1]〜S[4]によって区切られる複数のタンク部分Q[1]〜Q[3]のそれぞれに収容される液体の量が均一になるように配置されているので、タンク2における単位高さ当たりの容積が比較的大きいタンク2の下部箇所では互いに隣接する磁気強度センサの間隔が狭く、タンクにおける単位高さ当たりの容積が比較的小さいタンク2の上部箇所では互いに隣接する磁気強度センサの間隔が広くなり、そのため、タンク2の下部箇所における液面レベルの変化量に対する上記差分値の変化量を、タンク2の上部箇所おける液面レベルの変化量に対する上記差分値の変化量より大きくすることができ、これにより、各タンク部分Q[1]〜Q[3]において液量の変化量に対する差分値の変化量を互いに近づけて液面レベルの検出精度の低下を抑制することができる。
上述した本実施形態では、4個の磁気強度センサS[1]〜S[4]を備えた構成であったがこれに限定されるものではなく、例えば、磁気強度センサを5個、6個など備えた構成でもよく、本発明の目的に反しない限り、3個以上の複数個の磁気強度センサS[1]〜S[N](Nは、3以上の偶数)を備える構成であればよい。このような構成でも上述した液面レベル検出システム100と同様にして液面レベルを検出できる。
例えば、液面レベル検出装置において、5個の磁気強度センサS[1]〜S[5]がロッド4に埋め込まれて上方から下方に向けて互いに間隔をあけて順次並ぶように配置され、差分値算出部11の切替スイッチ12が2回路4接点とされた構成についても、上記液面レベル検出システム100と同様である。図8に、図1の液面レベル検出システムの第1の変形例の構成として、5個の磁気強度センサS[1]〜S[5]を備えた構成の液面レベル検出装置を有する液面レベル検出システムの概略構成図を示す。図9に、5つの磁気強度センサS[1]〜S[5]を備えた液面レベル検出装置におけるマグネットの位置と複数の差分値D[1]〜D[4]及び液面レベル検出基準情報H[1]〜H[4]との関係を示すグラフの一例を示す。図10に、5つの磁気強度センサS[1]〜S[5]を備えた液面レベル検出装置の制御部が備えるマイクロコンピュータのCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理1a)の一例を示すフローチャートを示す。図8に示す液面レベル検出システム100Aでは、タンク2が上端から下端に向かって段階的に断面積が大きくなるように形成されており、液面レベル検出装置1Aの複数の磁気強度センサS[1]〜S[5]が、各磁気強度センサS[1]〜S[5]によって区切られる複数のタンク部分Q[1]〜Q[4]のそれぞれに収容される液体の量が均一になるように配置されている。この構成において、例えば、各部分タンクQ[1]〜Q[4]にはそれぞれ10Lの液体が収容されるように、複数の磁気強度センサS[1]〜S[5]が配置されている。
または、例えば、液面レベル検出装置において、6個の磁気強度センサS[1]〜S[6]がロッド4に埋め込まれて上方から下方に向けて互いに間隔をあけて順次並ぶように配置され、差分値算出部11の切替スイッチ12が2回路5接点とされた構成についても、上記液面レベル検出システム100と同様である。図11に、図1の液面レベル検出装置の第2の変形例の構成として、6個の磁気強度センサS[1]〜S[6]を備えた構成の液面レベル検出装置を有する液面レベル検出システムの概略構成図を示す。図12に、6つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置におけるマグネットの位置と複数の差分値D[1]〜D[5]及び液面レベル検出基準情報H[1]〜H[5]との関係を示すグラフの一例を示し、図13に、6つの磁気強度センサを備えた液面レベル検出装置の制御部が備えるマイクロコンピュータのCPUが実行する本発明に係る処理(液面レベル検出処理1b)の一例を示すフローチャートを示す。図11に示す液面レベル検出システム100Bでは、タンク2の下端部が外部に突出した形状に形成されており、液面レベル検出装置1Bの複数の磁気強度センサS[1]〜S[6]が、各磁気強度センサS[1]〜S[6]によって区切られる複数のタンク部分Q[1]〜Q[5]のそれぞれに収容される液体の量が均一になるように配置されている。この構成において、例えば、各部分タンクQ[1]〜Q[5]にはそれぞれ10Lの液体が収容されるように、複数の磁気強度センサS[1]〜S[6]が配置されている。
また、上述した実施形態では、上端側の区間T[1]において液面レベル検出基準情報H[2]を用いて液面レベルを検出し、下端側の区間T[4]において液面レベル検出基準情報H[4]を用いて液面レベルを検出する構成であったが、これに限定されるものではない。
本実施形態において、磁気強度センサS[1]は、取付フランジ4b直下に配置されているので、磁気強度センサS[1]は、マグネット3の位置がその移動可能範囲における上端であるときに出力値が最大となる。これにより、区間T[1]では、マグネット3の位置が、移動可能範囲における上端からゼロクロス位置P[1]に移動するにしたがって、差分値D[1]が単調に変化(単調減少)する。
また、磁気強度センサS[4]は、ストッパ4a直上に配置されているので、磁気強度センサS[4]は、マグネット3の位置がその移動可能範囲における下端であるときに出力値が最大となる。これにより、区間T[4]では、マグネット3の位置が、ゼロクロス位置P[3]から移動可能範囲における下端に移動するにしたがって、差分値D[3]が単調に変化(単調減少)する。
このことから、本実施形態では、区間T[1]及び区間T[4]において、それぞれの区間で単調に変化する差分値D[1]及び液面レベル検出基準情報H[1]、並びに、差分値D[3]及び液面レベル検出基準情報H[3]を用いて液面レベルを検出するようにしてもよい。
具体的には、図14に示すように、区間T[1]における差分値D[1]とマグネット3の位置との関係を示す液面レベル検出基準情報H[1]、及び、区間T[4]における差分値D[3]とマグネット3の位置との関係を示す液面レベル検出基準情報H[3]、をμCOM20のROMに記憶するとともに、図4のフローチャートのステップS150において、差分値D[2]及び液面レベル検出基準情報H[2]に代えて、差分値D[1]及び液面レベル検出基準情報H[1]に基づいて液面レベルを検出し、また、ステップS180において、差分値D[2]及び液面レベル検出基準情報H[2]に代えて、差分値D[3]及び液面レベル検出基準情報H[3]に基づいて液面レベルを検出する構成とする。
このようにすることで、これら区間T[1]又は区間T[4]においては、差分値D[1]又は差分値D[3]は、0から最大値又は0から最小値に向かって単調に変化するので、変化の傾きが大きく、そのため、検出精度を高めることができる。また、図14の液面レベル検出基準情報H[3]と、図17の差分値D[3]における液面レベル検出基準情報H[3]に対応する部分と、を比べてみると、前者の方が後者より変化の傾きの絶対値が大きいことがわかる。
また、本実施形態では、差分値算出手段としての差分値算出部11が、切替スイッチ12及び減算器13で構成されているものであったが、これに限定されるものではない。例えば、μCOM20に、複数のアナログ−デジタル変換入力ポートADIを備えるとともに、各磁気強度センサS[1]〜S[4]をこれら複数の入力ポートADIに接続して、磁気強度センサS[1]〜S[4]の出力をCPUに取り込み、CPUにおいて差分値を算出する構成としてもよい。この構成の場合、μCOM20のCPUが、差分値算出手段として機能する。
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。