JP2014144930A - 1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】二種類の位置異性体のうち、目的とする一方の位置異性体を高選択的及び高収率で合成することができるとともに、汎用性が高く、かつ、工業的プロセスに容易に適用可能な1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法を提供する。
【解決手段】アルキルヒドラジン及び第1の有機溶媒を含有する第1の反応液に、アシル酢酸エステル誘導体及び第2の有機溶媒を含有する第2の反応液を添加し、無機塩基の存在下で撹拌する反応工程を有し、無機塩基の量が、アシル酢酸エステル誘導体に対して0.008モル%以上50モル%未満、アシル酢酸エステル誘導体の質量に対する、第1の有機溶媒と第2の有機溶媒の合計質量が1〜60倍、及び第1の有機溶媒と第2の有機溶媒の合計に占める、第1の有機溶媒の量が40〜95質量%である1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、医薬品及び農薬の合成中間体等として有用な1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法に関する。
2−アルコキシメチレンアシル酢酸エステルと置換ヒドラジン類を反応させると、2−アルコキシメチレンアシル酢酸エステルに複数の反応点が存在するため、位置異性体である1,3−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルと、1,5−二置換ピラゾール−4−カルボン酸エステルの二種類のピラゾール誘導体が生成する。このため、目的とするピラゾール誘導体のみを得るためには、工業的に実施が困難なシリカゲルカラムクロマトグラフィーなどによる精製工程が必要となる。
関連する従来技術として、2−エトキシメチレンアシル酢酸エステル類と、アルキルヒドラジン類とを、酢酸エチル等の溶媒で反応させる1,3−ジアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、特許文献1に記載の製造方法によれば、1,3−ジアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステル(約85%)と、1,5−ジアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステル類(約15%)とが混在した混合物が得られる。このため、目的とする1,3−ジアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルを得るには蒸留等によって精製する必要があった。
また、2−エトキシメチレン−4,4−ジフルオロ−3−オキソブタン酸エチルと、無水メチルヒドラジンとを、ハイドロフルオロカーボン等の含ハロゲン系有機溶媒の存在下で反応させる1−メチル−3−ジフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチルの製造方法が提案されている(特許文献2)。しかしながら、特許文献2に記載の製造方法であっても、目的とする化合物の位置異性体を相当量含有する混合物が得られるため、異性体比率についてさらなる改善の余地がある。さらに、この製造方法では特殊な含ハロゲン系溶媒を使用することが必須であるため、汎用性の面においても必ずしも十分であるとは言えなかった。
異性体比率を向上させるべく、モノメチルヒドラジンをアルデヒドやケトンと反応させてヒドラゾンとしておき、このヒドラゾンと、2−エトキシメチレン−4,4−ジフルオロ−3−オキソ酪酸エチルとを反応させてピラゾール環を形成する方法が提案されている(特許文献3)。また、塩基の存在下、水又は水と有機溶媒の混合溶媒中で、メチルヒドラジンと2−エトキシメチレン−4,4−ジフルオロアセト酢酸エチルとを反応させる方法が提案されている(特許文献4)。
特開2000−212166号公報 国際公開第2012/025469号 特表2011−519889号公報 特許第4114754号公報
しかしながら、特許文献3に記載の方法では、ヒドラゾンを得るために事前に用いたアルデヒドやケトンが副生成物となり、目的物であるピラゾール誘導体と混在することになる。このため、ピラゾール誘導体をアルデヒドやケトンと分離して精製する工程が必要となるため、工業化の面では必ずしも満足できる方法であるとは言えなかった。また、特許文献4に記載の方法では、目的物であるカルボン酸エステルの加水分解が進行してしまい、収率が低下してしまうといった課題がある。さらには、塩基の存在下で反応を行うためにフッ素が脱離しやすく、廃液中のフッ素イオン濃度が上昇してしまい、反応装置の腐食が進行する、或いは廃液処理が煩雑になるといった課題がある。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、二種類の位置異性体のうち、目的とする一方の位置異性体を高選択的及び高収率で合成することができるとともに、汎用性が高く、かつ、工業的プロセスに容易に適用可能な1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、以下の構成とすることによって上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明によれば、以下に示す1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法が提供される。
[1]下記一般式(1)で表されるアルキルヒドラジン及び第1の有機溶媒を含有する第1の反応液に、下記一般式(2)で表されるアシル酢酸エステル誘導体及び第2の有機溶媒を含有する第2の反応液を添加し、無機塩基の存在下で撹拌して−5〜30℃の反応温度で反応させる工程を有し、前記無機塩基の量が、前記アシル酢酸エステル誘導体に対して0.008モル%以上50モル%未満であり、前記アシル酢酸エステル誘導体の質量に対する、前記第1の有機溶媒と前記第2の有機溶媒の合計質量が1〜60倍であり、前記第1の有機溶媒と前記第2の有機溶媒の合計に占める、前記第1の有機溶媒の量が40〜95質量%である、下記一般式(3)で表される1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法。
Figure 2014144930
(前記一般式(1)中、R1は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す)
Figure 2014144930
(前記一般式(2)中、R2は、水素原子又はハロゲン原子を示し、R3は、水素原子、フッ素原子、又は塩素原子若しくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を示し、R4及びR5は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す)
Figure 2014144930
(前記一般式(3)中、R1は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、R2は、水素原子又はハロゲン原子を示し、R3は、水素原子、フッ素原子、又は塩素原子若しくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を示し、R4は、炭素数1〜6のアルキル基を示す)
[2]前記第1の反応液に含有される前記アルキルヒドラジンの量が、前記アシル酢酸エステル誘導体に対して110〜210モル%である前記[1]に記載の1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法。
[3]前記無機塩基が、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、有機酸のアルカリ金属塩、及び有機酸のアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]又は[2]に記載の1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法。
[4]前記第1の有機溶媒及び前記第2の有機溶媒が、それぞれ、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、及び炭酸ジメチルの少なくともいずれかである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法。
[5]前記第1の有機溶媒と前記第2の有機溶媒の合計に占める、前記第1の有機溶媒の量が50〜90質量%である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法。
本発明の1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法によれば、二種類の位置異性体のうち、目的とする一方の位置異性体を高選択的及び高収率で合成することができる。また、本発明の1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法は、汎用性が高く、工業的プロセスに容易に適用することができる。
実施例1で得た生成物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)チャートである。 実施例4で得た生成物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)チャートである。 実施例13で得た生成物の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)チャートである。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明は、下記一般式(3)で表される1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法(以下、単に「本発明の製造方法」とも記す)である。
Figure 2014144930
(前記一般式(3)中、R1は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、R2は、水素原子又はハロゲン原子を示し、R3は、水素原子、フッ素原子、又は塩素原子若しくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を示し、R4は、炭素数1〜6のアルキル基を示す)
本発明の製造方法は、下記一般式(1)で表されるアルキルヒドラジン及び第1の有機溶媒を含有する第1の反応液に、下記一般式(2)で表されるアシル酢酸エステル誘導体及び第2の有機溶媒を含有する第2の反応液を添加し、無機塩基の存在下で撹拌して反応させる工程(以下、「反応工程」とも記す)を有する。
Figure 2014144930
(前記一般式(1)中、R1は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す)
Figure 2014144930
(前記一般式(2)中、R2は、水素原子又はハロゲン原子を示し、R3は、水素原子、フッ素原子、又は塩素原子若しくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を示し、R4及びR5は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す)
一般式(1)及び(3)中、R1で表される炭素数1〜6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロプロピルメチル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。これらのアルキル基は、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基の具体例としては、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3−クロロプロピル基等を挙げることができる。
一般式(1)で表されるアルキルヒドラジンは、一般的に入手可能なものをそのまま用いてもよいし、公知の方法により製造したものを用いてもよい。また、これらのアルキルヒドラジンは、無水物、含水物、及び水溶液のいずれであっても使用することができる。
一般式(2)及び(3)中、R2で表されるハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等を挙げることができる。
一般式(2)及び(3)中、R3で表される塩素原子又はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロノニル基、ペルフルオロデシル基、ペルフルオロドデシル基等を挙げることができる。
一般式(2)中、R4及びR5で表される炭素数1〜6のアルキル基の具体例としては、それぞれメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。また、一般式(3)中、R4で表される炭素数1〜6のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等を挙げることができる。
一般式(2)で表されるアシル酢酸エステル誘導体は、市販されているものをそのまま用いてもよいし、通常の有機合成の手法に従って製造したものを用いてもよい。例えば、含フッ素カルボン酸エステルと酢酸エステルとをクライゼン縮合して得られるβ−ケトカルボン酸エステルを、無水酢酸の存在下、オルトギ酸エステルと作用させることによって、一般式(2)で表されるアシル酢酸エステル誘導体を容易に製造することができる。
本発明の製造方法の反応工程においては、第1の反応液に対して、例えば滴下等の方法によって第2の反応液を添加して、第1の反応液に含有されるアルキルヒドラジンと、第2の反応液に含有されるアシル酢酸エステル誘導体とを反応させる。第1の反応液には、一般式(1)で表されるアルキルヒドラジンとともに、第1の有機溶媒が含有される。第1の有機溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素系溶媒及びエステル系溶媒の少なくともいずれかを用いることができる。芳香族炭化水素系溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等を挙げることができる。また、エステル系溶媒の具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸ジメチル等を挙げることができる。これらの有機溶媒のなかでも、トルエン、キシレン、及び酢酸エチルが好ましい。
第2の反応液には、一般式(2)で表されるアシル酢酸エステル誘導体とともに、第2の有機溶媒が含有される。第2の有機溶媒の具体例としては、好ましいものを含めて第1の有機溶媒と同様のものを挙げることができる。なお、第1の有機溶媒と第2の有機溶媒の種類は、同一であっても異なっていてもよい。
本発明の製造方法の反応工程においては、第1の反応液に対して第2の反応液を添加し、無機塩基の存在下で撹拌して反応を進行させる。なお、アシル酢酸エステル誘導体に対して特定のモル比となるような量で無機塩基を用いる。具体的な無機塩基の量は、アシル酢酸エステル誘導体に対して0.008モル%以上50モル%未満、好ましくは0.01〜48モル%、さらに好ましくは0.01〜45モル%とする。このように、特定の量の無機塩基を存在させた条件下でアルキルヒドラジンとアシル酢酸エステル誘導体を反応させることで、下記一般式(3)で表される目的化合物(1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステル)が生成する割合(反応選択性)を高めることができるとともに、生成した目的物の加水分解を有効に抑制することができる。このため、本発明の製造方法によれば、目的物である1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルを高選択的及び高収率で得ることができる。
Figure 2014144930
(前記一般式(1)、(3)及び(4)中、R1は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す。前記一般式(2)、(3)及び(4)中、R2は、水素原子又はハロゲン原子を示し、R3は、水素原子、フッ素原子、又は塩素原子若しくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を示し、R4は、炭素数1〜6のアルキル基を示す。また、前記一般式(2)中、R5は、炭素数1〜6のアルキル基を示す)
なお、無機塩基の量がアシル酢酸エステル誘導体に対して0.008モル%未満であると、少なすぎるために、無機塩基を存在させた場合の効果が得られない。このため、目的化合物(1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステル)が生成する割合(反応選択性)を十分に高めることが困難になる。一方、無機塩基の量がアシル酢酸エステル誘導体に対して50モル%以上であると、多すぎるために、生成した目的物の加水分解を有効に抑制することができずに収率が低下する。
無機塩基の具体例としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、有機酸のアルカリ金属塩、及び有機酸のアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等を挙げることができる。また、アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)等を挙げることができる。有機酸のアルカリ金属塩及び有機酸のアルカリ土類金属塩の具体例としては、シュウ酸二ナトリウム、マロン酸二ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、グルタル酸二ナトリウム、アジピン酸二ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、フタル酸二ナトリウム、イソフタル酸二ナトリウム、テレフタル酸二ナトリウムクエン酸三ナトリウム、等を挙げることができる。なお、有機酸としては、2価以上のカルボン酸(ジカルボン酸、トリカルボン酸、・・・)が好ましい。これらの無機塩基は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの無機塩基のうち、コハク酸二ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、及びクエン酸三ナトリウム等のジ又はトリカルボン酸のアルカリ金属塩を使用すると、生成した目的物の加水分解をより効果的に抑制することができるために好ましい。
さらに、第1の反応液に対して第2の反応液を添加すること、すなわち、アシル酢酸エステル誘導体に比してアルキルヒドラジンが過剰となる条件下で両者の反応を進行させることで、前記一般式(3)で表される目的化合物が生成する割合(反応選択性)を高めることができる。
また、アシル酢酸エステル誘導体の質量に対する、第1の有機溶媒と第2の有機溶媒の合計質量(有機溶媒の合計質量)を1〜60倍、好ましくは5〜50倍、さらに好ましくは6〜45倍とする。すなわち、アシル酢酸エステル誘導体を有機溶媒で適度に希釈した状態でアルキルヒドラジンと反応させることで、反応選択性を高めることができる。
さらに、第1の有機溶媒と第2の有機溶媒の合計(有機溶媒の合計)に占める、第1の有機溶媒の量を40〜95質量%、好ましくは50〜90質量%、さらに好ましくは55〜85質量%とする。すなわち、第1の反応液に含有されるアルキルヒドラジンと、第2の反応液に含有されるアシル酢酸エステル誘導体を、それぞれ適度に希釈した状態で相互に接触させて反応させることで、反応選択性を高めることができる。このように、使用する有機溶媒と無機塩基の量をいずれも適切に制御することにより、二種類の位置異性体のうち、目的とする位置異性体である1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルを高選択的に生成させることができる。
なお、第1の反応液に含有されるアルキルヒドラジンの量は、アシル酢酸エステル誘導体に対して110〜210モル%とすることが好ましく、115〜210モル%とすることがさらに好ましい。アシル酢酸エステル誘導体に対するアルキルヒドラジンの量が110モル%未満であると、収率が低下する傾向にある。一方、アシル酢酸エステル誘導体に対するアルキルヒドラジンの量が210モル%超であると、反応自体は十分に進行するが、余剰のアルキルヒドラジンを分解して廃棄処理する手間とコストがかかる傾向にある。また、アルキルヒドラジンは、それ自体がある程度の毒性を有するため、取り扱いに特別な配慮が必要となる傾向にある。このため、アルキルヒドラジンの使用量は、あまり過剰にならないようにすることが好ましい。
反応工程における反応温度は−5〜30℃であり、0〜25℃とすることがさらに好ましい。反応温度が−5℃未満であると、反応が進行しにくくなる傾向にある。一方、反応温度が30℃を超えると、反応選択性が低下する傾向にある。反応温度を上記の範囲に制御することで、収率及び反応選択性を向上させることができる。
上記の反応工程によれば、前記一般式(3)と前記一般式(4)で表される二種類の位置異性体のうち、前記一般式(3)で表される位置異性体(目的化合物)が高選択的及び高収率で生成される。このため、反応工程の後は通常の有機合成の手法に従って抽出操作等を行えば、高純度の目的化合物を得ることができる。なお、より高純度の目的化合物を得ようとする場合には、必要に応じて再結晶、洗浄、蒸留等を行ってもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
(実施例1)
温度計及び撹拌機を備えた100mL四つ口コルベンに、トルエン24.8g、及び13.5%モノメチルヒドラジン水溶液7.96g(0.023mol)を入れ、撹拌を開始した。そこに、水酸化ナトリウム0.8mg(0.02mmol)を添加して溶解させた後、下記式(2−1)で表される2−エトキシメチレン−4,4−ジフルオロアセト酢酸エチル4.92g(Net4.44g、0.020mol)とトルエン4.92gの混合溶液を、定量ポンプを使用して内温5℃で6時間かけて滴下した。滴下終了後、水層とトルエン層を分液して得られたトルエン層を減圧乾固して、1−メチル−3−ジフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチルと、1−メチル−5−ジフルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチルとからなる黄色オイル4.04g(収率98.9%)を得た。得られた黄色オイルを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析し、絶対検量線法によって定量したところ、前者と後者の生成比(異性体比)は97.6:2.4(HPLC面積比)であった。なお、HPLCチャートを図1に示す。また、HPLCの条件を以下に示す。
・カラム:商品名「Inertsil ODS−3」(4.6×150mm、ジーエルサイエンス社製)
・温度:40℃
・流速:1.0mL/min
・流動相:A液;アセトニトリル、B液;0.2体積%酢酸水溶液、A:B=45:55
・検出器(波長):220nm
Figure 2014144930
(実施例2〜26、比較例1及び2)
表1及び2に示す配合によって反応を行ったこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして、1−置換−3−フルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチルと、1−置換−5−フルオロメチルピラゾール−4−カルボン酸エチルとからなる生成物を得た。「(第1の有機溶媒+第2の有機溶媒)/アシル酢酸エステル誘導体(倍)」、「第1の有機溶媒/(第1の有機溶媒+第2の有機溶媒)(%)」、「無機塩基/アシル酢酸エステル誘導体(モル%)」、「アルキルヒドラジン/アシル酢酸エステル誘導体(モル%)」、「収率(%)」、及び「異性体比(%)」を表2及び3に示す。なお、実施例23で用いた2−エトキシメチレン−4,4,4−トリフルオロアセト酢酸エチルの構造を下記式(2−2)に示す。また、実施例4及び13で得た生成物のHPLCチャートを図2及び3にそれぞれ示す。
Figure 2014144930
Figure 2014144930
Figure 2014144930
Figure 2014144930
本発明の製造方法は、医薬品及び農薬の合成中間体等として有用な1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルを工業的に製造する方法として好適である。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表されるアルキルヒドラジン及び第1の有機溶媒を含有する第1の反応液に、下記一般式(2)で表されるアシル酢酸エステル誘導体及び第2の有機溶媒を含有する第2の反応液を添加し、無機塩基の存在下で撹拌して−5〜30℃の反応温度で反応させる工程を有し、
    前記無機塩基の量が、前記アシル酢酸エステル誘導体に対して0.008モル%以上50モル%未満であり、
    前記アシル酢酸エステル誘導体の質量に対する、前記第1の有機溶媒と前記第2の有機溶媒の合計質量が1〜60倍であり、
    前記第1の有機溶媒と前記第2の有機溶媒の合計に占める、前記第1の有機溶媒の量が40〜95質量%である、下記一般式(3)で表される1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法。
    Figure 2014144930
    (前記一般式(1)中、R1は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示す)
    Figure 2014144930
    (前記一般式(2)中、R2は、水素原子又はハロゲン原子を示し、R3は、水素原子、フッ素原子、又は塩素原子若しくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を示し、R4及びR5は、それぞれ独立に炭素数1〜6のアルキル基を示す)
    Figure 2014144930
    (前記一般式(3)中、R1は、置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を示し、R2は、水素原子又はハロゲン原子を示し、R3は、水素原子、フッ素原子、又は塩素原子若しくはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12のアルキル基を示し、R4は、炭素数1〜6のアルキル基を示す)
  2. 前記第1の反応液に含有される前記アルキルヒドラジンの量が、前記アシル酢酸エステル誘導体に対して110〜210モル%である請求項1に記載の1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法。
  3. 前記無機塩基が、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、有機酸のアルカリ金属塩、及び有機酸のアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも一種である請求項1又は2に記載の1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法。
  4. 前記第1の有機溶媒及び前記第2の有機溶媒が、それぞれ、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、及び炭酸ジメチルの少なくともいずれかである請求項1〜3のいずれか一項に記載の1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法。
  5. 前記第1の有機溶媒と前記第2の有機溶媒の合計に占める、前記第1の有機溶媒の量が50〜90質量%である請求項1〜4のいずれか一項に記載の1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法。
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