JP2014142292A - 放射線画像撮影装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シンチレーターの蛍光体のセンサー基板から浮くことを防止し、放射線画像の鮮鋭性を向上させることが可能な放射線画像撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線画像撮影装置1は、複数の放射線検出素子7が二次元状に配列され、複数の放射線検出素子7を被覆する平坦化層21が形成されたセンサー基板4と、放射線を光に変換するシンチレーター3が形成され、シンチレーター3と複数の放射線検出素子7とが対向する状態で配置されたシンチレーター基板34と、複数の放射線検出素子7およびシンチレーター3の周囲の部分に配置され、センサー基板4とシンチレーター基板34とを接着する接着剤33とを備えるセンサーパネルSPを備え、センサーパネルSPの内部空間Cの内部圧力が大気圧より低くなるように減圧されており、シンチレーター基板34が、厚みが0.1〜0.4mmのガラス基板で構成されている。
【選択図】図14
【解決手段】放射線画像撮影装置1は、複数の放射線検出素子7が二次元状に配列され、複数の放射線検出素子7を被覆する平坦化層21が形成されたセンサー基板4と、放射線を光に変換するシンチレーター3が形成され、シンチレーター3と複数の放射線検出素子7とが対向する状態で配置されたシンチレーター基板34と、複数の放射線検出素子7およびシンチレーター3の周囲の部分に配置され、センサー基板4とシンチレーター基板34とを接着する接着剤33とを備えるセンサーパネルSPを備え、センサーパネルSPの内部空間Cの内部圧力が大気圧より低くなるように減圧されており、シンチレーター基板34が、厚みが0.1〜0.4mmのガラス基板で構成されている。
【選択図】図14
Description
本発明は、放射線画像撮影装置に関する。
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレーターで可視光等の他の波長の光に変換した後、変換され照射された光のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号(すなわち画像データ)に変換する放射線画像撮影装置が種々開発されている。
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台と一体的に形成された、いわゆる専用機型(固定型等ともいう。)として構成されていたが(例えば特許文献1、2等参照)、近年、放射線検出素子等を筐体内に収納し、持ち運び可能とした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献3、4等参照)。
このような放射線画像撮影装置では、例えば後述する図3等に示すように、通常、複数の放射線検出素子7が、検出部P上に二次元状(マトリクス状)に配列され、各放射線検出素子7にそれぞれ薄膜トランジスター(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)等で形成されたスイッチ手段8が接続されて構成される。
そして、通常、放射線発生装置から放射線画像撮影装置に対して、被撮影者の身体等すなわち被写体を介して放射線が照射されることで放射線画像撮影が行われる。そして、撮影後、図示しないゲートドライバーから各走査線5にオン電圧を順次印加して、各TFT8を順次オン状態として、放射線の照射により各放射線検出素子7内で発生して蓄積された電荷を各信号線6に順次放出させて、図示しない各読み出し回路で画像データとしてそれぞれ読み出すように構成される。
ところで、放射線画像撮影装置に照射された放射線を光に変換して各放射線検出素子7に照射するシンチレーター3は、例えば、後述する図5等に示すような柱状結晶の蛍光体3aをシンチレーター基板34に貼付したり、或いは図示を省略するがシンチレーター基板34にペースト状の蛍光体を塗布する等して形成される場合が多い。
そして、特に柱状結晶の蛍光体3aが用いられるシンチレーター3では、例えば図17に示すように、蛍光体3aの各柱状結晶の長さが必ずしも一定の長さにならない。そのため、それを放射線検出素子やTFT等が形成されたセンサー基板4に対向させた場合、図18に矢印で示すように、蛍光体3aがセンサー基板4に当接しない部分、すなわちいわば蛍光体3aがセンサー基板4から浮いた状態になる部分が生じる。
なお、図17や図18はイメージ図であり、蛍光体3aの各柱状結晶の長さの違いが強調して描かれている。また、図17や図18におけるシンチレーター3の蛍光体3aの柱状結晶の長さやシンチレーター基板34の厚み、センサー基板4の厚み等の相対的な比は必ずしも現実を反映するものではない。
シンチレーター3の蛍光体3aがセンサー基板4から浮いてしまうと、蛍光体3aの端部(図中では下端部)から出射された光の一部が、蛍光体3aとセンサー基板4との間隙部分で拡散してしまい、蛍光体3aの直下の放射線検出素子7ではない放射線検出素子7に入射する状態になる。
そのため、このようにシンチレーター3の蛍光体3aがセンサー基板4から浮いた部分が存在すると、その部分に対応する放射線画像の部分で画像の鮮鋭性が低下してしまう虞れがある。
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、シンチレーターの蛍光体のセンサー基板から浮くことを防止し、放射線画像の鮮鋭性を向上させることが可能な放射線画像撮影装置を提供することを目的とする。
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影装置は、
複数の放射線検出素子が二次元状に配列され、前記複数の放射線検出素子を被覆する平坦化層が形成されたセンサー基板と、
放射線を光に変換するシンチレーターが形成され、前記シンチレーターと前記複数の放射線検出素子とが対向する状態で配置されたシンチレーター基板と、
前記複数の放射線検出素子および前記シンチレーターの周囲の部分に配置され、前記センサー基板と前記シンチレーター基板とを接着する接着剤と、
を備えるセンサーパネルを備え、
前記センサーパネルの前記センサー基板、前記シンチレーター基板および前記接着剤により外部から区画された内部空間の内部圧力が、大気圧より低くなるように減圧されており、
前記シンチレーター基板が、厚みが0.1〜0.4mmのガラス基板で構成されていることを特徴とする。
複数の放射線検出素子が二次元状に配列され、前記複数の放射線検出素子を被覆する平坦化層が形成されたセンサー基板と、
放射線を光に変換するシンチレーターが形成され、前記シンチレーターと前記複数の放射線検出素子とが対向する状態で配置されたシンチレーター基板と、
前記複数の放射線検出素子および前記シンチレーターの周囲の部分に配置され、前記センサー基板と前記シンチレーター基板とを接着する接着剤と、
を備えるセンサーパネルを備え、
前記センサーパネルの前記センサー基板、前記シンチレーター基板および前記接着剤により外部から区画された内部空間の内部圧力が、大気圧より低くなるように減圧されており、
前記シンチレーター基板が、厚みが0.1〜0.4mmのガラス基板で構成されていることを特徴とする。
本発明のような方式の放射線画像撮影装置によれば、シンチレーターの蛍光体の先端がセンサー基板上の平坦化層から離間して浮いてしまう場合であっても、ガラス基板であるシンチレーター基板が外部の大気圧によって撓むため、蛍光体の浮きを解消して、シンチレーターの蛍光体の先端を的確に平坦化層に当接させることが可能となる。
そのため、シンチレーター基板の蛍光体の浮きが解消され、蛍光体の先端を、センサー基板上の平坦化層に的確に当接させることが可能となる。或いは、シンチレーターの蛍光体の先端の全てをセンサー基板の平坦化層に当接させることができないとしても、先端と平坦化層との間の距離を少なくともより近づけることが可能となる。
そのため、放射線の照射を受けたシンチレーターの蛍光体から出射された光を、その蛍光体の直下の放射線検出素子に的確に入射させることが可能となり、放射線画像の鮮鋭性を維持、向上させることが可能となる。
以下、本発明に係る放射線画像撮影装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下では、放射線画像撮影装置がいわゆる可搬型である場合について説明するが、支持台等と一体的に形成された、いわゆる専用機型の放射線画像撮影装置に対しても、本発明を適用することが可能である。
[放射線画像撮影装置の基本構成について]
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。なお、図1や図2或いは後述する図3以降の各図において、放射線画像撮影装置1を構成する各部材の相対的な大きさや厚み等は、必ずしも現実の装置を反映するものではない。
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の基本的な構成について説明する。図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。なお、図1や図2或いは後述する図3以降の各図において、放射線画像撮影装置1を構成する各部材の相対的な大きさや厚み等は、必ずしも現実の装置を反映するものではない。
本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、図1に示すように、放射線が照射される側の面である放射線入射面Rを有する筐体2内に、シンチレーター3やセンサー基板4等で構成されるセンサーパネルSPが収納されて構成されている。また、本実施形態では、筐体2は、筐体本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで形成されるようになっている。
そして、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、バッテリー状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケーター40等が配置されている。
本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、コネクター39を介して有線方式で信号やデータ等を送受信することもできるようになっている。また、図1や図2では図示を省略するが、本実施形態では、筐体2の例えば蓋部材2Cには、無線方式で画像データ等のデータを送信したり信号を送受信する通信手段であるアンテナ装置が設けられている。
また、筐体2内には、基台31が設けられており、基台31の放射線入射面R側に、図示しない鉛の薄板等を介してセンサー基板4が配置されている。また、センサー基板4の放射線入射面R側には、照射された放射線を可視光等の光に変換するシンチレーター3が形成されたシンチレーター基板34が設けられている。
シンチレーター基板34は、センサー基板4に対して、シンチレーター3がセンサー基板4側に対向する状態で配置されている。そして、シンチレーター基板34は、シンチレーター3を支持するとともに、シンチレーター3が外部からの衝撃等で損傷しないように保護する機能をも有している。なお、シンチレーター3の構成等については後で説明する。
また、基台31の下面側には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリー36等が取り付けられている。このようにして、基台31やセンサー基板4、シンチレーター3等でセンサーパネルSPが形成されている。また、本実施形態では、センサーパネルSPと筐体2の側面との間に緩衝材35が設けられている。
本実施形態では、放射線画像撮影装置1は上記のように構成されているため、筐体2の放射線入射面Rが、シンチレーター3の放射線入射側に配置された板状部材ということになる。なお、板状部材とシンチレーター基板34との間に緩衝材やフィルム等の他の構造体が設けられていてもよい。
本実施形態では、センサー基板4やシンチレーター基板34はガラス基板で構成されている。そして、図3に示すように、センサー基板4の、シンチレーター3に対向する面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。また、センサー基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6により区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
このように、走査線5と信号線6で区画された各小領域rに二次元状(マトリクス状)に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた小領域rの全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。本実施形態では、放射線検出素子7はフォトダイオードが用いられているが、例えばフォトトランジスター等を用いることも可能である。
放射線検出素子7は、放射線画像撮影装置1の筐体2の放射線入射面Rから放射線が入射し、シンチレーター3で放射線から変換された可視光等の電磁波が照射されると、その内部で電子正孔対を発生させることで、照射された放射線を電荷に変換するようになっている。
そして、各放射線検出素子7内で発生した電荷は、画像データの読み出し処理時に、走査線5を介して図示しないゲートドライバーからオン電圧が印加されてオン状態となったスイッチ手段8を介して信号線6に流出し、読み出しIC16(後述する図4参照)等で画像データに変換されて読み出されるようになっている。
なお、図3において、9は図示しないバイアス電源から各放射線検出素子7に逆バイアス電圧を供給して印加するバイアス線を表し、10はそれらのバイアス線9が結束された結線を表す。
また、本実施形態では、走査線5や信号線6、バイアス線9の結線10等が接続された各入出力端子11には、図4に示すように、前述した読み出し回路が内蔵された読み出しIC16や前述したゲートドライバーを構成するゲートIC15等のチップがフィルム上に組み込まれたフレキシブル回路基板12が、異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
そして、フレキシブル回路基板12は、センサー基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側でPCB基板33に接続されるようになっている。なお、図4では、電子部品32やバッテリー36(図2参照)等の図示が省略されている。
[センサーパネルの製造方法について]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSPの製造方法について説明する。本実施形態では、センサーパネルSPが減圧貼り合わせされている点に特徴がある。
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1のセンサーパネルSPの製造方法について説明する。本実施形態では、センサーパネルSPが減圧貼り合わせされている点に特徴がある。
なお、この減圧貼り合わせについては、詳しくは本願出願人が先に提出した特開2010−43887等公報等を参照されたい。また、センサーパネルSPを減圧貼り合わせさせて構成する方法は下記の方法に限定されず、減圧貼り合わせしてセンサーパネルSPを形成することが可能な方法であれば他の方法を採用することも可能である。
シンチレーター3の蛍光体3aとしては、例えばCsI:Tl等の母体材料内に発光中心物質が付活されたものが好ましく用いられる。そして、図5に示すように、各種高分子材料により形成された支持体3bの上に、例えば蒸着法やスパッタ法等の気相成長法により柱状結晶を成長させて蛍光体3aを形成する。そして、蛍光体3aの支持体3bをシンチレーター基板34の一方側の面34aに貼付する。
一方、センサー基板4では、図3に示したように一方側の面4a上に形成された放射線検出素子7や走査線5、信号線6等による凹凸を平坦化するために、例えば図6に示すように、アクリル等の樹脂でそれらを被覆して平坦化層21が形成される。そして、センサー基板4上に形成された平坦化層21の周囲の部分に、スペーサーSが混入された接着剤22が配置される。
そして、シンチレーター3の蛍光体3aとセンサー基板4上の放射線検出素子7とが対向する状態にシンチレーター基板34を仮貼り合わせしてセンサーパネルSPを形成する。なお、例えば図7に示すように、シンチレーター基板34の、シンチレーター3の蛍光体3aの周囲の部分に接着剤22を配置し、それとセンサー基板4とを仮貼り合わせしてセンサーパネルSPを形成するように構成してもよい。
そして、この状態のセンサー基板4やシンチレーター基板を、例えば図8に示すようなチャンバー100内に入れ、それらの上方にフィルム101を配置する。そして、フィルム101の下側の、センサー基板4とシンチレーター基板34とが仮貼り合わせされた状態のセンサーパネルSPを含む空間R1の内部をポンプ102で減圧することで、センサー基板4とシンチレーター基板34と接着剤22により外部から区画された内部空間内の空気を抜く。
なお、蛍光体3aを取り巻く空気、すなわち内部空間内の空気中に湿気が含まれていると、湿気によりシンチレーター3の蛍光体3aに含まれる成分が潮解して溶け出すため、この時点で、例えば、チャンバー100内、或いはチャンバー100の下方空間R1内の空気をドライエアや窒素ガス、不活性ガス等で置換して、内部空間内の空気をそのような気体で置換したうえで、上記のように減圧して内部空間内の気体を抜くように構成することが望ましい。
この減圧処理を行う前の仮貼り合わせの際、図9(A)に示すように、接着剤22を開口部24が形成された状態に配置しておくと、上記の減圧の過程で、上記の内部空間C、センサー基板4とシンチレーター基板34と接着剤22とで形成される内部空間Cの内部の気体が接着剤22の開口部24から引き出され、内部空間Cの内部を容易に減圧することが可能となる。
また、チャンバー100の下方空間R1が減圧されると、その上方空間R2(図8参照)が大気圧であるため、フィルム101を介してセンサーパネルSPのシンチレーター基板34がセンサー基板4に押し付けられる。
そこで、予め上記の開口部24の開口の大きさを適切な大きさに形成しておくと、図9(B)に示すように、上方空間R2からの圧力によってシンチレーター基板34と素子基板4とが互いに接近する際に、接着剤22が水平方向に押し広げられて、いわば自動的に開口部24を封止することが可能となる。
なお、図10(A)に示すように、開口部24の開口をより大きく形成しておき、減圧して内部空間Cの期待を抜いた後で、図10(B)に示すように改めて開口部24に接着剤22を塗布する等して封止するように構成することも可能である。
そして、この状態で、チャンバー100(図8参照)内の光照射装置103から光を照射する等して、接着剤22を硬化させて、センサー基板4とシンチレーター基板34とを完全に貼り合わせる。なお、接着剤22が例えば熱硬化型である場合にはチャンバー100を加熱できるように構成する等して接着剤22を硬化させる。
以上のように、本実施形態では、センサーパネルSPは、図11に示すように、センサー基板4とシンチレーター基板34と接着剤22により外部から区画された内部空間Cの内部圧力が、大気圧より低くなるように減圧された状態に形成されるようになっている。なお、この状態のセンサーパネルSPに、PCB基板33やフレキシブル回路基板12(図4参照)が取り付けられる等してセンサーパネルSPが形成されることは前述した通りである。
そして、このようにセンサーパネルSPの内部空間Cを減圧することで、センサー基板4やシンチレーター基板34が、大気圧によって互いが接近する方向に押圧される。そのため、シンチレーター3の蛍光体3aの先端Pa(図11参照)が、常に、センサー基板4上に形成された平坦化層21に押圧される状態になるため、シンチレーター3の蛍光体3aの先端Paが平坦化層21に当接する状態が維持されるようになっている。
[本発明に特有の構成等について]
しかし、実際には、前述した図17に示したように、シンチレーター3の蛍光体3aを構成する柱状結晶の長さは必ずしも一定の長さにならない。そのため、上記のようにセンサー基板4とシンチレーター基板34とを減圧貼り合わせしても、図18に矢印で示したように、蛍光体3aがセンサー基板4の平坦化層21に当接しない部分、すなわち蛍光体3aがセンサー基板4の平坦化層21から浮いた状態になる部分が生じる。
しかし、実際には、前述した図17に示したように、シンチレーター3の蛍光体3aを構成する柱状結晶の長さは必ずしも一定の長さにならない。そのため、上記のようにセンサー基板4とシンチレーター基板34とを減圧貼り合わせしても、図18に矢印で示したように、蛍光体3aがセンサー基板4の平坦化層21に当接しない部分、すなわち蛍光体3aがセンサー基板4の平坦化層21から浮いた状態になる部分が生じる。
以下、このような問題が生じないようにするための本発明に特有の構成等について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の作用についてもあわせて説明する。
なお、現状では、シンチレーター3の蛍光体3aの柱状結晶の長さを全て同じ長さに形成することは困難であり、柱状結晶の長さのばらつき、すなわち最も長い柱状結晶と最も短い柱状結晶との長さの差が、最大で60[μm]程度のばらつきが生じることが分かっている。
本発明者らが、上記のような問題が生じる原因について研究したところ、特にシンチレーター基板34を構成するガラス基板の剛性が大きく作用していることが分かった。
すなわち、シンチレーター基板34を構成するガラス基板の剛性が弱ければ、シンチレーター3の蛍光体3aの柱状結晶の長さのばらつきにあわせてシンチレーター基板34が凹凸するように変形するため、柱状結晶に長さのばらつきがあっても全ての柱状結晶の先端Paが平坦化層21に当接する状態になる。
しかし、シンチレーター基板34を構成するガラス基板の剛性が強いため、上記のようにシンチレーター3の蛍光体3aの柱状結晶の長さのばらつきにあわせてシンチレーター基板34が凹凸することができなくなる。そのため、長さが短い柱状結晶の部分でシンチレーター3の蛍光体3aが平坦化層21から浮いた状態になる。
いま、仮に、図12に示すようなモデルを考える。すなわち、シンチレーター3の蛍光体3aの柱状結晶がセンサー基板4上に形成された平坦化層21から浮いていることによって形成されている空間C1を、その上方で、長さ2R(中心からの距離はR)の梁状のガラス基板(すなわちシンチレーター基板34)が支えていると仮定する。
そして、この空間C1部分の浮いている柱状結晶の先端Paをセンサー基板4の平坦化層21に当接させるようにするためには、図中上方のシンチレーター基板34を構成するガラス基板をセンサー基板4側に撓ませることが必要になる。以下では、単純にガラス基板(シンチレーター基板34)に大気圧がかかる様子を材料力学上での梁のたわみ同等と考え、「両端支持の等分布荷重」と見なした場合について説明する。
この撓ませる領域のガラス基板(すなわちシンチレーター基板34。以下同じ。)を1つの梁と見なしたとき、この梁の最大撓みωmaxは、下記(1)式で算出される。
ωmax=R4・p/(64D) …(1)
ただし、
D=E・t3/{12(1−ν2)} …(2)
ωmax=R4・p/(64D) …(1)
ただし、
D=E・t3/{12(1−ν2)} …(2)
ここで、pはガラス基板に外部から加わる圧力、Eはガラス基板の縦弾性係数、tはガラス基板の厚み、νはガラス基板のポアソン比を表す。そして、ガラス基板の縦弾性係数Eやポアソン比νとして、一般的なガラス基板の縦弾性係数やポアソン比、或いは実際に放射線画像撮影装置1でシンチレーター基板34として使用されているガラス基板の縦弾性係数やポアソン比を用いれば、上記の梁の最大撓みωmaxは、結局、梁の長さ2Rの半分Rすなわち梁の中心からの距離Rと、ガラス基板に外部から加わる圧力pと、ガラス基板の厚みtの関数として表されることになる。
図13は、最大撓みを、前述した実際の放射線画像撮影装置1におけるシンチレーター3の蛍光体3aの柱状結晶の長さのばらつきの最大値の60[μm]とした場合(すなわち図12に示した空間C1の最大の高さが60[μm]とした場合)のシミュレーションの結果を表すグラフである。なお、図13のグラフでは、下から順に、撓ませる領域のガラス基板の中心からの距離Rを50、40、30、20、15、10[mm]とした場合(すなわち梁全体の長さ2Rを100、80、60、40、30、20[mm]とした場合)の各グラフが示されている。
このグラフでは、梁の中心からの距離Rが同じ場合、ガラス基板の厚みtが厚くなるほどガラス基板が撓みにくくなるため、梁の中心からの距離Rのガラス基板を60[μm]撓ませるためにはより大きな圧力pを加えなければならなくなることを示している。また、梁の中心からの距離Rが小さくなるほどガラス基板に加える圧力pをより大きくしないとガラス基板が60[μm]撓まなくなることを示している。
前述したように、ガラス基板(すなわちシンチレーター基板34)には外部から大気圧が加わるため、上記のガラス基板に加わる圧力p(図13のグラフでは面圧p)は、ほぼ100[kPa]である。
そこで、図13のシミュレーション結果の面圧p=100[kPa]の部分を見ると、梁の中心からの距離Rが10[mm]まで小さくなっても、すなわち撓ませるガラス基板の梁全体の長さ2Rが20[mm]まで小さくなっても、ガラス基板の厚みtを0.4[mm]以下まで薄くすれば、ガラス基板であるシンチレーター基板34を60[μm]だけセンサー基板4側に撓ませることができる。
そして、このようにガラス基板であるシンチレーター基板34を撓ませることで、空間C1(図12参照)の部分の浮いている柱状結晶の先端Paを、センサー基板4の平坦化層21に当接させることが可能となる。
本実施形態では、このように、センサーパネルSPのセンサー基板4とシンチレーター基板34と接着剤22により外部から区画された内部空間C(図11等参照)の内部圧力を大気圧より低くなるように減圧した状態とし、センサー基板4やシンチレーター基板34が大気圧によって互いが接近する方向に押圧されるように構成されている場合、ガラス基板であるシンチレーター基板34の厚みtを0.4[mm]以下の厚みにすれば、シンチレーター3の蛍光体3aの柱状結晶の長さが最大60[μm]の範囲でばらついている場合でも、ガラス基板であるシンチレーター基板34が大気圧で撓んで、浮いている柱状結晶の先端Paをセンサー基板4の平坦化層21に当接させることが可能となる。
なお、上記の梁に対応する、浮いている柱状結晶の領域の中心からの距離Rが10[mm]未満の場合、すなわちシンチレーター3の蛍光体3aの柱状結晶が局所的に周囲の柱状結晶よりも短くなっていて浮いてしまっているような場合に、それをガラス基板であるシンチレーター基板34を撓ませることで解消しようとしても(すなわちセンサー基板4の平坦化層21に当接させようとしても)、実際上、無理である。
すなわち、理論上は、シンチレーター基板34の厚みtを相当薄くすれば、浮いている柱状結晶の領域の中心からの距離Rが10[mm]未満の場合であっても、シンチレーター基板34を60[μm]撓ませてシンチレーター3の蛍光体3aの柱状結晶の浮きを解消することが可能であるが、下記に述べるように、シンチレーター基板34はあまり薄くし過ぎると割れる等の問題が生じる。
また、ガラス基板であるシンチレーター基板34の厚みtを0.4[mm]以下にすれば、浮いている柱状結晶の領域の中心からの距離Rが10[mm]未満の場合、シンチレーターを60[μm]撓ませることは困難であっても、数十[μm]は撓む。そのため、柱状結晶の浮きが60[μm]である場合には、柱状結晶の浮きをシンチレーター基板34の撓みで完全に解消することができなくても、少なくとも浮きを数十[μm]分だけ小さくすることが可能となる。
また、上記の場合は、蛍光体3aの柱状結晶の浮きが最大の60[μm]である場合を考えたが、柱状結晶の浮きが60[μm]より小さい数十[μm]程度であれば、浮いている柱状結晶の領域の中心からの距離Rが10[mm]未満の場合であっても、上記のようにガラス基板であるシンチレーター基板34の厚みtを0.4[mm]以下にすればガラス基板が大気圧により数十[μm]撓むため、ガラス基板であるシンチレーター基板34の厚みtを0.4[mm]以下にすることで、蛍光体3aの柱状結晶の浮きをなくすことが可能となる。
一方、前述したように、ガラス基板であるシンチレーター基板34の厚みtを薄くし過ぎると、内部空間C(図14参照)が減圧されているところに外部から大気圧が加わるため、シンチレーター基板34が割れる。
特に、ガラス基板であるシンチレーター基板34を薄くし過ぎると、図14に示すAの部分、すなわちシンチレーター3の蛍光体3aで裏打ちされていないシンチレーター基板34の部分が、外部の大気圧に押圧されて内部空間C側に撓んで割れてしまう場合があり、シンチレーター基板34が割れるとセンサーパネルSPとして使えなくなる。
本発明者らがガラス基板であるシンチレーター基板34の厚みtを種々変化させて実験を行った結果、シンチレーター基板34の厚みtが0.1[mm]以上あれば、上記のような外気の大気圧によるシンチレーター基板34の割れは発生しないことが分かった。
以上の結果から、本実施形態では、シンチレーター基板34は、厚みが0.1〜0.4mmのガラス基板で構成されるようになっている。
[効果]
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、センサー基板4とシンチレーター基板34と接着剤22により外部から区画された内部空間C(図14参照)の内部圧力が大気圧より低くなるように減圧されているセンサーパネルSPにおいて、シンチレーター3の放射線入射側に配置されたシンチレーター基板34を、厚みが0.1〜0.4mmのガラス基板で構成した。
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、センサー基板4とシンチレーター基板34と接着剤22により外部から区画された内部空間C(図14参照)の内部圧力が大気圧より低くなるように減圧されているセンサーパネルSPにおいて、シンチレーター3の放射線入射側に配置されたシンチレーター基板34を、厚みが0.1〜0.4mmのガラス基板で構成した。
そのため、シンチレーター3の蛍光体3aの柱状結晶の長さにばらつきがあり、柱状結晶の先端Paがセンサー基板4上の平坦化層21から離間して浮いてしまう場合であっても、ガラス基板であるシンチレーター基板34が外部の大気圧によって撓むため、蛍光体3aの浮きを解消して、シンチレーター3の蛍光体3aの柱状結晶の先端Paを的確に平坦化層21に当接させることが可能となる。
例えば図17に示したように、蛍光体3aの各柱状結晶の長さが一定でない場合、そのままセンサー基板4に当接させると、図18に矢印で示すように、蛍光体3aがセンサー基板4から浮いた部分が生じる場合であっても、ガラス基板であるシンチレーター基板34の厚みtを0.1〜0.4[mm]と薄くすることで、例えば図15に示すようにシンチレーター基板34が撓む。
そのため、シンチレーター3の蛍光体3aの浮きが解消され、蛍光体3aの柱状結晶の先端Paを、センサー基板4上に形成された平坦化層21に的確に当接させることが可能となる。或いは、シンチレーター3の蛍光体3aの柱状結晶の先端Paの全てをセンサー基板4の平坦化層21に当接させることができないとしても、先端Paと平坦化層21との間の距離を少なくともより近づけることが可能となる。
そのため、放射線の照射を受けたシンチレーター3の蛍光体3aから出射された光を、その蛍光体3aの直下の放射線検出素子7に的確に入射させることが可能となり、放射線画像の鮮鋭性を維持、向上させることが可能となる。
なお、上記の実施形態では、シンチレーター3の蛍光体3aが特に柱状結晶からなる蛍光体で形成されている場合、前述したように、柱状結晶の長さが必ずしも一定の長さにならず、上記のようにシンチレーター3の蛍光体3aのセンサー基板4からの浮きが問題になることが多いため、シンチレーター3の蛍光体3aが柱状結晶で構成される場合について説明した
しかし、本発明は、例えば図16に示すように、ガラス基板であるシンチレーター基板34にペースト状の蛍光体3aを塗布する等して形成されたシンチレーター3やセンサーパネルSPについても、同様に適用される。そして、この場合も、シンチレーター3の蛍光体3aのセンサー基板4からの浮きが問題になるような場合には、本発明を適用することで、上記の本実施形態と同様の有益な効果を得ることが可能となる。
また、上記の実施形態では、シンチレーター基板34のみを厚み0.1〜0.4[mm]と薄く形成する場合について説明したが、シンチレーター基板34とともに、センサー基板4も、厚みが0.1〜0.4[mm]のガラス基板で形成するように構成することも可能である。
このように構成すれば、シンチレーター基板34だけでなくセンサー基板4も外部の大気圧に押圧されて撓むようになり、シンチレーター3の蛍光体3aのセンサー基板4からの浮きをより確実に解消することが可能となる。
なお、本発明が上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
1 放射線画像撮影装置
3a 蛍光体
3 シンチレーター
4 センサー基板
7 放射線検出素子
21 平坦化層
22 接着剤
34 シンチレーター基板
C 内部空間
SP センサーパネル
3a 蛍光体
3 シンチレーター
4 センサー基板
7 放射線検出素子
21 平坦化層
22 接着剤
34 シンチレーター基板
C 内部空間
SP センサーパネル
Claims (4)
- 複数の放射線検出素子が二次元状に配列され、前記複数の放射線検出素子を被覆する平坦化層が形成されたセンサー基板と、
放射線を光に変換するシンチレーターが形成され、前記シンチレーターと前記複数の放射線検出素子とが対向する状態で配置されたシンチレーター基板と、
前記複数の放射線検出素子および前記シンチレーターの周囲の部分に配置され、前記センサー基板と前記シンチレーター基板とを接着する接着剤と、
を備えるセンサーパネルを備え、
前記センサーパネルの前記センサー基板、前記シンチレーター基板および前記接着剤により外部から区画された内部空間の内部圧力が、大気圧より低くなるように減圧されており、
前記シンチレーター基板が、厚みが0.1〜0.4mmのガラス基板で構成されていることを特徴とする放射線画像撮影装置。 - 前記シンチレーターの蛍光体は、柱状結晶からなっていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記蛍光体の柱状結晶の長さのばらつきが、最大で60[μm]であることを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影装置。
- 前記センサー基板も、厚みが0.1〜0.4mmのガラス基板で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013011615A JP2014142292A (ja) | 2013-01-25 | 2013-01-25 | 放射線画像撮影装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20170095909A (ko) | 2015-01-29 | 2017-08-23 | 니혼노야쿠가부시키가이샤 | 시클로알킬 피리딜기를 갖는 축합 복소환 화합물 또는 그 염류 및 그 화합물을 함유하는 농원예용 살충제 및 그 사용 방법 |
KR20220045209A (ko) | 2019-09-12 | 2022-04-12 | 니혼노야쿠가부시키가이샤 | 치환 시클로프로판옥사디아졸기를 갖는 축합 복소환 화합물 또는 이의 염류를 유효성분으로 하는 농원예용 살충제 또는 동물용의 외부 혹은 내부 기생충 방제제 및 이의 사용 방법 |
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-
2013
- 2013-01-25 JP JP2013011615A patent/JP2014142292A/ja active Pending
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