JP2014142215A - 検査装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】欠陥検出感度の向上のため、検査に用いる照明光源の短波長化、高出力化、検出
レンズの高精度化、高NAを同時に成立させる。
【解決手段】パルス発振レーザ光源にファイバ光学系を適用し、前記ファイバ光学系には、発振器、パルスストレッチ部、及び増幅器が含まれ、照明光学系によって表面へ供給される光のスペクトル幅は、前記照明光学系の色収差、及び検出レンズの色収差が許容できる光スペクトル幅の範囲内にあるよう構成する。
【選択図】 図13

Description

本発明は、半導体製造工程、液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイ製造工程、プリント基板製造工程等、基板上にパターンを形成して対象物を製作していく製造工程で、異物やパターン欠陥等の欠陥の発生状況を検査する欠陥検査装置およびその方法に関する。
半導体製造工程では、半導体基板(ウエハ)表面の異物や配線パターン形成プロセスに起因するパターンの形状不良は、配線の絶縁不良、短絡、配線抵抗の増大や断線等の不良の原因や、キャパシタの絶縁不良やゲート酸化膜などの破壊の原因になる。異物は、搬送装置の可動部から発生したもの、人体から発生したもの、プロセスガスによる処理装置内で反応生成されたもの、薬品や材料に混入していたものなどが種々の原因により種々の状態で混入する。パターン形状の不良は、パターン形成プロセス中の露光、現像、エッチング、洗浄など種々のプロセスの変動で生じる。また、液晶表示素子などのフラットパネルディスプレイの製造工程でも、パターン上への異物の混入やパターン形成プロセスの異常で何らかの欠陥が生じると、表示素子として使えないものになってしまう。さらに、プリント基板の製造工程でも状況は同じであって、異物の混入やプロセス異常はパターンの短絡、接触不良、断線の原因となる。
半導体基板の異物やパターン欠陥を検出する技術は、特許文献1乃至3に開示されている。半導体基板(ウエハ)の表面にレーザ光を照射してウエハ上の繰り返しパターンから射出する光を空間フィルタで除去し、繰り返し性を持たない異物や欠陥を強調して検出する方法である。特許文献1には、ウエハ表面に形成された回路パターンの主要な直線群の方向に対して45度傾斜した方向から照明光を照射し、主要な直線群からの0次回折光を対物レンズの開口内に入力させないようにして、異物やパターン欠陥を検出する欠陥検査装置が開示されている。また、白色光源やDUV(深紫外:Deep Ultra-violet)レーザ光源を用いた欠陥検査装置も開示されている。特許文献2には、高NAの検出レンズを複数搭載するために、検出レンズの開口を小判型にした欠陥検査装置が開示されている。また、特許文献3には、モードロックレーザを用いて表面の欠陥を検査する欠陥検査装置が開示されている。その他の先行技術としては、特許文献4乃至8が挙げられる。
特開2000−105203号公報 特開2008−216790号公報 米国特許第6373565号公報 特開2003−194739号公報 特開平11−045842号公報 特開2007−142052号公報 特開2011−171521号公報 特開2004−271498号公報
半導体プロセスの微細化に伴い半導体デバイスの性能に影響を与える欠陥サイズが小さくなってきており、欠陥検出の高感度化が必要とされている。光学式の検査装置では、検査に用いる光の波長の1/10以下のサイズの欠陥を検出することが必要となっている。この領域では、欠陥からの散乱光の量は、レイリー散乱で近似することができ、欠陥サイズの6乗に比例し、波長の4乗に反比例する。
そこで、検査に用いる照明光源の短波長化が求められている。欠陥からの散乱光量は、照明光量に比例するため、照明光源の高出力化が求められる。また、欠陥からの散乱光の集光効率を高め、高い分解能で画像を取得するために、検出レンズの高精度化(回折限界性能の実現)、高NA化が求められる。さらに、散乱方向の異なる複数種の欠陥を検出できるようにするために、複数の高NA検出レンズを配置できることも必要である。また、微弱な散乱光を検出するために、センサの高感度化も求められている。
照明光の短波長化には、非線形光学結晶を用いた波長変換が用いられる。短波長で高出力の光源を実現するためには、高い波長変換効率と高い入力パワー耐性を持った波長変換系の実現が課題である。検出レンズの高NA化は、検出レンズを構成するレンズの枚数を増やし設計自由度を増やして収差補正する手法が用いられる。しかし、枚数を増やすと1枚当たりに許容できる面精度が厳しくなるため、加工精度の確保が課題である。さらに、DUV領域では硝材の分散が大きく使用できる硝材にも限りがあるため、色収差の低減も課題である。また、複数の検出レンズを実装するためには、レンズ開口を小判型にすることが必要となるが、回転対称でない形状でも面精度を確保できるレンズの実現も課題である。
短波長領域で高出力化に適したパルス発振タイプのレーザを用い、短波長化と高出力化の両立を図る。また、スペクトル幅の狭線幅化を行い、検出レンズで許容すべき色収差量を単一の硝材で実現できる範囲に拡大する。検出レンズは、加工性の良い硝材で構成することで、高NA化に伴う枚数増加でも、さらに回転対称でない形状でも必要な面精度の実現を可能とする。
短波長で高出力なレーザ光源と高NA検出レンズを備えた欠陥検出系を実現することで、欠陥検出の高感度化が可能となる。
本実施例での欠陥検査装置の構成を示す図。 本実施例の欠陥検査装置の光源を示す図。 光源の別の実施形態の構成を示す図。 パルス発振タイプのレーザの出力の時間変化とスペクトルの例を示す図。 パルス発振タイプのレーザの基本波のパルス幅と必要なパワーのスペクトル幅依存性を示す図。 本実施例の欠陥検査装置の検出レンズを示す図。 本実施例の欠陥検査装置の検出レンズの収差特性のスペクトル幅依存性の例を示す図。 本実施例の欠陥検査装置の検出レンズの前群の配置を示す図。 実施例2の光源を説明する図。 実施例2での光源の出力の時間変化とスペクトルを説明する図。 半導体レーザの電流と光出力の関係を示す図。 検出レンズに用いる硝材の屈折率の波長依存性の例を示す図。 実施例3を説明する図。 実施例4を説明する図。 実施例5を説明する図。
以下、図面を用いて説明する。
図1に本実施例の欠陥検査装置の全体構成を示す。被検査物である試料10(半導体ウエハや、表示素子、プリント基板など)は、ステージ150に搭載されている。ステージ150は、例えばXYステージ、Zステージ、θステージなどの組み合わせで構成される。上方に設置された検出レンズ40、50によって全面が検査できるように、試料をXY面内で走査できるものが用いられる。試料10は、その上の細い線状の領域が光源35から射出され照明光学系30を経た照明光20によって照明される。試料上のパターンや異物等の欠陥からの散乱反射光のうち、試料上方に設置された検出レンズ40、50に入射したものは、センサ60、70に導かれ、光電変換されて画像信号として画像処理部160に送られる。検出レンズ40、50としては、検光子を備えたものを用いることもある。センサ60、70としては、リニアCCDセンサやTDIセンサなどが用いられる。画像処理部では、隣接する同じパターンからの画像が比較され、得られた差分から欠陥が検出される。なお、本装置は、自動焦点合わせ(Auto Focusing,AF)系を持っている。AF系は、照明系100、受光系110、AFセンサ120から構成され、試料を走査する際に、センサ60、70で得られる画像がぼけないように試料高さの変動(焦点はずれ)を検出し、機構制御系170へフィードバックする。
光源35としては、紫外領域の波長のパルス発振タイプのレーザを用いる。YAGレーザなど赤外領域(1,000〜1,100(nm))の波長のレーザを基本波とした3倍波(333〜367(nm))、4倍波(250〜275(nm))、5倍波(200〜220(nm))、あるいは、可視光域の波長のレーザ(400〜700(nm))を基本波とした2倍波(200〜350(nm))、3倍波(200〜233(nm))などの高調波を用いるとよい。光源35としての紫外光の出力は、0.1〜5(W)程度が必要となる。紫外領域のレーザとしては連続発振タイプのものも知られているが、波長変換に外部共振器が必要で構造が複雑である、コスト高の上に安定性の確保が難しい、また、波長変換効率を上げることも難しく、1(W)を超える出力を実現することが難しい点が課題である。
光源35の構成例を図2に示す。光源35は、基本波のレーザ発振器200、狭帯域フィルタ210、増幅器220、波長変換部230で構成される。以下、発振器で発振させる波長として1(μm)帯を用いる場合を例に説明する。発振器200は、狭帯域フィルタ210を備えたモードロックレーザを用いる。モードロックレーザは、2枚の反射素子258、262を両端に備えた共振器と半導体レーザなどの励起用光源250と、励起用光源250の光を共振器中に導く光学系252とで構成される。2枚の反射素子からなる共振器中に、ゲイン媒質260としてYAG結晶やYVO結晶、あるいはYbなどの希土類をドープしたファイバを配置し、これに励起用光源250からの光を光学系252を用いて入射させて励起し1μm付近の波長の光を出し、可飽和吸収体(Saturable Absorber)や音響光学素子あるいは電気光学素子をモードロック素子256として用いて共振器ロスを変化させ、パルス発振させる。
狭帯域フィルタ210を設けない場合のモードロックレーザの光強度の時間変化と光スペクトルの例を図4に示す。光強度の時間変化は図4(a)に示すように連続した等間隔パルス列であり、パルスの長さをtp、パルスの周期をtrとすると、典型的な値は、tp〜10(ps)、tr〜10(ns)である。光スペクトルは図4(b)に示すように多数の縦モードで構成され、その中心波長をλ0、エンベロープの半値全幅をΔλとすると、典型的な値は、λ0=1,000〜1,100(nm)、Δλ〜240(pm)である。図5にフーリエ限界のパルスのパルス長と光スペクトルの幅の関係を示す。本実施例では、共振器中にさらに光スペクトルの帯域を制限する狭帯域フィルタ210を設ける。狭帯域フィルタ210としては複屈折フィルタやエタロンなどを用いる。狭帯域フィルタ210の透過帯域は、狭帯域フィルタ210を設けた場合のレーザ出力の光スペクトル幅(半値全幅)が40〜100(pm)程度になるように定める。この時、図5に示したようにパルスの長さは30〜60(ps)あるいはそれ以上となる。レーザ発振器200で発生した光は、増幅器220に入射され、5〜100(W)程度に増幅されたのち、波長変換部230に入射され、2〜3段階の波長変換を経て紫外光に変換される。波長変換部230では、n倍波(n=3〜5)を発生させる場合には、中心波長が1/n倍になるのと同時に光スペクトル幅も1/n倍になる。したがって狭帯域フィルタ210を設けた場合のレーザ出力の光スペクトル幅(半値全幅)は、波長変換後には基本波の1/n倍の10〜20(pm)程度となる。本実施例では、試料10に照明されるレーザ光の光スペクトル幅は、照明光学系30の色収差、及び後述する検出レンズ40、及び50の少なくとも1つの色収差が許容できる光スペクトル幅内に収まっており、高NA検出レンズの実現が可能になる。
なお、本実施例の図(図2)では、モードロック素子256と共振器の反射素子258を別々の素子として図示したが、これらの機能を統合した可飽和吸収鏡(Saturable absorber mirror)を用いてもよい。また、本実施例では、狭帯域フィルタ210を共振器中に配置する例を示したが、図3に示すように共振器の外(後)に配置してもかまわない。共振器の後に設ける場合には、エタロンを用いるとよい。
図2では狭帯域フィルタ210を共振器中に、図3では狭帯域フィルタ210を発振器200と増幅器220との間の光路(増幅器220より前の光路と表現することもできる)に狭帯域フィルタ210を配置している。増幅前の光のパワー密度は増幅後の光のパワー密度よりも低いので、増幅器220より前の光路に狭帯域フィルタ210を配置した方が、増幅器220より後ろの光路に狭帯域フィルタ210を配置した場合よりも、狭帯域フィルタ210の寿命を長くすることができる。
さらに、図2、及び図3では、狭帯域フィルタ210を基本波の光路(波長変換部230より前の光路と表現することもできる)に配置している。光学素子の劣化は、長波長の光よりも短波長の光で顕著になるが、波長変換前の光の波長は波長変換後の光の波長よりも長いので、波長変換部230より前の光路に狭帯域フィルタ210を配置した方が、波長変換部230より後ろの光路に狭帯域フィルタ210を配置した場合よりも、狭帯域フィルタ210の寿命を長くすることができる。
これまで述べた様に、狭帯域フィルタ210を設けて照明光20を狭帯域化すると、高NA検出レンズの実現が可能になるが、一方で、図5に示すようにパルス長が伸びるためピークパワーが低下し波長変換効率が低下するため、紫外光の高出力化が難しくなる。以下では赤外光を基本波とし2段階の波長変換を用いて4倍波を得る場合を例として説明する。
パルス発振している赤外の基本波を2回の波長変換で紫外光を発生させる場合には、赤外の基本波、1回波長変換したあとの可視光(2倍波)、2回波長変換したあとの紫外光(4倍波)ともに図4に示す時間波形およびスペクトルを示す。ここで、それぞれの波長の平均パワーをPa_IR、Pa_Vis、Pa_UV、ピークパワーをPp_IR、Pp_vis、Pp_UVと表すと、以下の〔数1〕、〔数2〕で表現することができる。
〔数1〕
Pa_IR=Pp_IR x tp/tr
〔数2〕
Pa_UV=Pp_UV x tp/tr
紫外光は非線形効果で生じるので紫外光のパルス長は実際には基本波のパルス長(tp)より短くなるが、ここでは変わらないと仮定した。
ここで、2倍波を得るときの変換効率をe1、4倍波を得るときの変換効率をe2とすると、2倍波の可視光は非線形効果で生じるのでその変換効率e1は、以下の〔数3〕で表現することができる。
〔数3〕
e1 ∝ Pp_IR=Pa_IR x tr/tp
そこで、2倍波の可視光のピークパワーPp_Visは、以下の〔数4〕で表現することができる。
〔数4〕
Pp_Vis=e1 x Pp_IR ∝ Pp_IR2=(Pa_IR x tr/tp)2
4倍波の紫外光はさらにもう一段の波長変換を経るので、以下の〔数5〕を経て、〔数6〕で表現することができる。
〔数5〕
e2 ∝ Pp_Vis
〔数6〕
Pp_UV=e2 x Pp_Vis ∝ Pp_Vis2=Pp_IR4=(Pa_IR x tr/tp)4
〔数2〕と〔数6〕から、以下の〔数7〕を導くことができる。
〔数7〕
Pa_UV ∝ (Pa_IR x tr/tp)4 x tp/tr=Pa_IR4 x (tr/tp)3
したがって、パルス長やパルス周期が変わった時に紫外光の平均パワーPa_UVを一定に保つために必要な基本波の平均パワーPa_IRは、以下の〔数8〕によって表現することができる。
〔数8〕
Pa_IR ∝ (Pa_UV x (tp/tr)3)1/4
〔数8〕より、パルス周期trが一定の場合には、パルス長tpが長くなるほど基本波パワーとして大きなパワーが必要となることがわかる。この関係を光スペクトル幅と合わせて図5のグラフに示す。高NA検出レンズの実現のために照明光20の光スペクトル幅を狭くすると、パルス長が長くなり、これに伴い高感度化に必要な高い紫外光パワーを得るために要求される基本波パワーが増加し、光源の紫外光高出力化の制約条件となることがわかる。したがって、光源の光スペクトル幅は、高NA検出レンズの実現が可能な範囲で最大値とすることが望ましい。
具体的には、パルス発振している赤外の基本波を2回の波長変換で4倍波の紫外光を発生させる場合には、基本波の光スペクトル幅を40〜100(pm)程度、紫外光の光スペクトル幅を10〜20(pm)程度とするとよい。この時、パルス長は、25〜50(ps)程度であり、所定の紫外光パワーを得るために必要な基本波のパワーは、従来実現されているパルス長10(ps)程度のレーザの高々4倍程度であり実現可能な範囲にある。
検出レンズ40、50としては、NA=0.4〜0.9程度の拡大投影レンズを用いる。試料10面状の長さ0.5〜2.0(mm)、幅1(μm)程度の領域をセンサ60、70の受光面にほぼ回折限界の性能で結像させる。投影倍率は20〜50倍程度である。照明光20を試料に照射するために、試料側の作動距離(WDo)は、5〜10(mm)程度を確保することが必要である。検出レンズ40の概略構成を図6に示す。検出レンズ40は、前群410と後群420とで構成される。前群410は、試料10側のNAが0.4〜0.9程度で試料10面からの散乱光を取り込む。後群420は、前群410からの光を像面430に導き、試料10面の像を形成する。
前群410をフーリエ変換レンズにし、フーリエ面が前群410と後群420の間に配置されるように設計すると、フーリエ面で不要な回折光を除去する空間フィルタリングが可能となる。試料10面状に形成されたパターンからの回折光を空間フィルタで除去すれば、パターンを誤検出することなく高感度で異物やパターン欠陥(パターンの異常)を検出することが可能となる。
また、後群420をズームレンズとすると、センサ60で取得される試料10面の画像の試料10面上での画素サイズを変えることが可能となる。これは、画像のサンプリングピッチおよび撮像の視野を変えることを意味し、サンプリングピッチを小さくして高精細の画像を取得したり、サンプリングピッチを粗く(視野を大きく)して高速に画像を取得したりと、必要な用途に応じた対応が可能となる。
検出レンズ40を構成する前群410および後群420は、紫外に対応した合成石英からなる複数のレンズで構成する。合成石英は、紫外光に対する耐性が強く劣化しにくいうえに、加工性が良く、個々のレンズの表面を高い面精度で仕上げることが可能であり、レンズ全体としての透過波面収差を回折限界である0.07λrms以下に仕上げることが可能である。
一方で、合成石英のみでレンズを構成した場合には、色収差が問題となる場合がある。光源の光スペクトルの線幅が十分狭くない場合である。合成石英などの硝材の屈折率の波長依存性の例を図12に示す。波長が短くなるにつれて屈折率が高くなるが、変化率は波長が短いほど大きく、紫外領域では可視光よりも色収差が大きくなることが分かる。また、色収差はレンズのNAの2乗に比例するため、特にNAが大きい場合に影響が大きい。
例として、図7に典型的な検出レンズの波面収差の物体高(Y)依存性を光源の光スペクトルの線幅(FWHM)(a)5(pm)、(b)10(pm)、(c)20(pm)の3つのケースについて計算した結果を示す。線幅が5(pm)と10(pm)の場合には、波面収差は回折限界である0.07λrms以下に抑えられているが、20(pm)の場合には、0.1λrmsに近く性能が不十分となる。実施例では、検出レンズを合成石英で構成したうえで、色収差が問題とならないレベルに抑えられるように、光源としてスペクトル線幅を10(pm)以下に低減したパルス発振タイプのレーザを用いる。
なお、代案として(代案1)検出レンズを合成石英と蛍石などの複数の硝材の組み合わせで構成することで色収差を低減し、光源として既存の(スペクトル線幅>10(pm))のパルス発振タイプのレーザを用いても良い。代案1の場合、検出レンズに加工性が悪くコストも高い蛍石を使用するため、面精度の確保が難しいだけでなく製造コストが高くなるが、色収差を低減することが可能となる。
あるいは、代案2として検出レンズを合成石英で構成し、光源として連続発振タイプのレーザ(スペクトル線幅<1(pm))を用いても良い。代案2では、連続発振タイプのレーザは構造が複雑なため安定性の確保が難しくコスト高であるうえ、高出力化にも適さないが色収差を低減することが可能となる。
なお、ここまでの実施例では検出レンズ40を例に構成など説明したが、検出レンズ50についても同様である。
複数の検出レンズを設ける場合、例えば図1に示すように2本の検出レンズ40、50を設ける場合には、個々のレンズの機械的な干渉が問題となる場合がある。欠陥検出感度の高感度化を進めると検出レンズのNAを大きくする必要が生じるため、特にこの問題が顕在化する。
これに対し、実施例では、図8に示すように、検出レンズが相互に干渉する部分および試料面と干渉する部分を切除して、開口を長円や楕円や図8(c)に示すような形状など円形で無い形とすることで、有効開口の最大化を図る。図8に示したのは、検出レンズ40および50の前群410および510の部分の抜粋である。図8(a)のSide View方向では、NA=0.6〜0.9程度と実現可能な最大開口を確保するが、図8(b)のFront View方向では、隣接する検出レンズあるいは試料10面と干渉する部分を切除し、例えばNA=0.3〜0.5程度とする。つまり、本実施例の検出レンズ40および50のうち少なくとも1つは、光軸を通り互いに直交する2つの断面でのNAが異なるということである。
前群410あるいは510を構成するレンズのうち物体に近い側のレンズ411あるいは511の外形を図8(c)に示すように円形から413部を切除した形状にすることが必要となる。この様にレンズ開口を円の一部を切除した形状としつつ、レンズ性能を確保することは容易ではない。特に、色収差補正のために蛍石等の加工性の悪い(もろい)硝材を用いる場合は精度の確保に配慮をすることが望ましい。そこで実施例では、蛍石等の硝材は用いず、加工性の良い合成石英のみで検出レンズを構成する。こうすることによって、円の一部を切除した形状のレンズを用いつつ、回折限界レベルの波面収差精度を確保することが可能となる。
次に、実施例2について説明する。図9に実施例2の光源を示す。光源35は、基本波のレーザ発振器200として半導体レーザを用い、これを駆動するパルス信号を発生させる信号源205、増幅器220、波長変換部230で構成される。レーザ発振器200で発振させる波長としては、1(μm)帯、800〜900(nm)、600〜700(nm)、400〜450(nm)などが考えられるが、半導体レーザで発振させやすい波長帯であれば、これ以外でも構わない。
信号源から例えばパルス長さ10(ps)、パルス周期10(ns)程度の信号を発生させ、これにレーザ発振を維持するために必要なオフセット(図11に示すIb)を加えて半導体レーザに供給し、半導体レーザを駆動して図10(a)に示す波形で半導体レーザをパルス発振させる。半導体レーザの駆動電流と光出力の関係は図11に示す様に、電流がしきい値電流(Ith)以下ではレーザ発振は起こらずLED発光成分が主であるが、しきい値を超えるとレーザ発振状態となる。
そこで、パルスとパルスの間の期間に駆動電流にしきい値を超えるオフセット電流を流し続けることで、レーザ発振を維持する。つねにレーザ発振状態を維持することで個々の光パルス間の位相の相関を保つことが可能となり、必要以上に光スペクトルが広がることを避けることが可能となる。
こうして得られるレーザ出力光の光スペクトルは、図10(c)に示す分布となり、パルス長とスペクトル幅の関係は先に示した図5に示す関係となる。この実施例では、光スペクトルの幅はパルス長を変えることによって制御可能となるため、狭帯域フィルタを用いる代わりに、信号源205で発生させるパルス長を30〜60(ps)に設定することによって、光スペクトル幅を40〜100(pm)程度に設定することが可能となる。こうして得られた狭帯域のパルス発振光を増幅器220で増幅し、波長変換部230で高調波(2〜5倍波)に波長変換し、紫外光を得る。
なお、パルス間の発光強度は弱いため、波長変換部230で波長変換する際に十分な変換効率が得られない。したがって、波長変換後の高調波出力は、図10(b)に示すようにパルス状の波形となる。本実施例では、高周波信号を発生させる信号源205が必要となるが、基本波のレーザ発振器200の構成が簡素化されるので、安定性およびコスト面でメリットがある。
なお、半導体レーザの駆動信号にオフセット分を加えず、パルス信号のみで駆動してもかまわない。この場合には、光パルス間の位相の相関が低下するため光スペクトルが広がる可能性があるが、パルス長を長くすることによって補えばよい。
次に実施例3について説明する。本実施例は前述した光源の少なくとも一部をファイバによって構成する点を1つの特徴とする。本実施例は、発振器の内部ではなく、外部に過飽和吸収体を配置し、過飽和吸収体にはファイバを経由して光が伝播することを1つの特徴とする。図13(a)は本実施例の光源の構成を説明する図である。矢印1301で示した範囲が光源であり、光源は、発振器1303、パルスストレッチ部1304、増幅器1305、過飽和吸収体1306、増幅器1307、波長変換器1308を有する。矢印1302で示した範囲は各構成(発振器1303、パルスストレッチ部1304、増幅器1305、過飽和吸収体1306、増幅器1307)がファイバ1317、1318、1319、1320によって接続される。このように各構成がファイバによって接続される光学系は、例えばファイバ光学系と表現することができる。
図13(b)は、各構成を通過したときのレーザ光の時間と強度の関係を表している。発振器1303は、ソリトン波を発振しており、光のパルス形状は波形1309によって表現されている。パルスストレッチ部1304はチャープドファイバブラックグレーティングとサーキュレータを有し、波形1309のパルス幅を波形1310に示すように伸長する。波形1310は増幅器1305によって波形1311に示すように増幅された後、過飽和吸収体1306によって、ピークエネルギーが高い部分のみ透過し、波形1312へ変換される。
図13(c)は、各構成を通過した光の波長と強度との関係を表している。強度は規格化したものを示している。波形1313は波形1316へ変換される。特に、過飽和吸収体1306では、チャープした光をある時間空間で取り出しているため、波長の狭帯域化を達成している。
本実施例の光源を使用した照明光学系によって射出された光のパルス幅は過飽和吸収体の回復時間に依存し、短い回復時間のものを選択すると、波長幅を狭くすることができ、照明光学系の色収差、及び前記検出レンズの色収差が許容できる光スペクトル幅の範囲内にあるよう調整される。
次に、実施例4について説明する。実施例3において、ファイバ1319から射出された光を直接過飽和吸収体1306へ入射すると、ファイバ1319のコア径が小さいため、光のエネルギーが高く、過飽和吸収体1306を損傷してしまう場合がある。本実施例はこの点に配慮したものである。以降では、実施例3と異なる部分について説明する。
図14は、本実施例を説明する図である。矢印1302で示した範囲は各構成(発振器1303、パルスストレッチ部1304、増幅器1305)がファイバ1317、1318、1319によって接続される。ファイバ1319の射出端1401から射出された光はコリメートレンズ1402に入射し、実質的な平行光1403となって過飽和吸収体1306へ入射する。コリメートレンズ1402によって、過飽和吸収体1306上での照明領域の寸法は、射出端1401の寸法よりも大きくなるので、過飽和吸収体1306の一部に熱が集中することを抑制することができる。
次に、実施例5について説明する。以降の説明では、実施例3と異なる部分について主に説明する。図15は本実施例を説明する図である。本実施例では、増幅器1307と波長変換器1308との間にパルス圧縮器1501を有し、増幅器1307から射出されたパルス光を圧縮し、より短いパルスを波長変換器1308へ入射することができる。波長変換効率は、パルス幅が短いほど、レーザのピークパワーが高くなるため有利である。したがって、パルス圧縮器1501を採用することは高出力化に好適である。
なお、実施例は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は実施例をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
10 被検査物(試料、基板、ウエハ)
20 照明光
30 照明光学系
35 光源
40、50 検出レンズ
60、70 センサ
160 画像処理部
210 狭帯域フィルタ

Claims (4)

  1. 紫外領域の波長の光を発するパルス発振レーザ光源と、
    被検査物の表面に前記光を照射する照明光学系と、
    被検査物の表面の拡大像を形成する検出レンズと、
    被検査物の画像を取得するセンサと、
    被検査物の画像を処理する画像処理部と、を有し、
    前記パルス発振レーザ光源は、ファイバ光学系を有し、
    前記ファイバ光学系には、発振器、パルスストレッチ部、及び増幅器が含まれ、
    前記照明光学系によって前記表面へ供給される光のスペクトル幅は、前記照明光学系の色収差、及び前記検出レンズの色収差が許容できる光スペクトル幅の範囲内にあることを特徴とする検査装置。
  2. 請求項1に記載の検査装置において、
    前記増幅器に接続されたファイバからの射出光を実質的な平行光とする光学素子と、
    前記平行光を入射させるための過飽和吸収体と、を有することを特徴とする検査装置。
  3. 請求項2に記載の検査装置において、
    前記過飽和吸収体からの光を増幅する増幅器と、
    前記増幅器からの光を圧縮するための圧縮部を有することを特徴とする検査装置。
  4. 請求項3に記載の検査装置において、
    前記圧縮部は、前記増幅器からの光をポジティブチャープ状態で出力することを特徴とする検査装置。
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