JP2014141384A - 中性子遮蔽コンクリート - Google Patents

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Abstract

【課題】含硼素骨材を用いながらも必要十分な強度と耐久性を有する。
【解決手段】中性子遮蔽コンクリートは、コレマナイトやヒルガダイト等の含硼素鉱物の骨材と、固結材であるポルトランドセメントと、界面活性剤を用いて鉱油及び水を混和して乳化させた油系混和剤と、混和剤としての玻璃質岩石粉とを混和して混練してなる。界面活性剤はモノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンである。鉱油と界面活性剤との混合比は10:1〜50:1とし、鉱油と界面活性剤を合わせた量をポルトランドセメント量に対して0.05〜5.0%混和した。玻璃質岩石粉は玻璃質安山岩粉であり、含硼素鉱物に対して5〜30%置換させて混和した。
【選択図】なし

Description

本発明は、原子炉建屋や医療施設等の壁材等に用いる中性子遮蔽コンクリートに関する。
中性子遮蔽コンクリートは、例えば原子力発電所における原子炉建屋や医療施設の壁材、放射性廃棄物の収納容器等に用いられるものである。このようなコンクリートにおいて、中性子を遮蔽する物質として硼素が有効であることが特許文献1等で広く知られており、コンクリート中に硼素含有化合物を添加するようにしている。
硼素を含む鉱物として例えば、コレマナイト(2CaO3・3B2O3・5H2O)やヒルガダイト(Ca8(B2O11)Cl4・4H2O)等が知られている。これらの含硼素鉱物やこれら複数の鉱物を混合させたものを骨材としてセメントと混合したコンクリートとして、例えば特許文献2に記載された中性子遮蔽コンクリートが知られている。このような含硼素鉱物を骨材とした中性子遮蔽コンクリートは原子炉建屋や放射性廃棄物の収納容器等における中性子を遮蔽する壁材等として用いられている。
特開2008−157801号公報 特公平7−25582号公報
ところで、このような中性子遮蔽コンクリートにおいて、硼素を含む含硼素鉱物を骨材として用いた場合、特に普通ポルトランドセメントを固結材に使用した場合にはコンクリートが固結し難いという欠点があった。また、固結材として石膏やアルミナセメントを使用した場合にはコンクリートは固結可能であるが、強度や耐久性が低いという欠点があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、含硼素骨材を用いながらも必要十分な強度と耐久性を有する中性子遮蔽コンクリートを提供することを目的とする。
本発明による中性子遮蔽コンクリートは、コレマナイトやヒルガダイト等の含硼素骨材と、固結材であるセメントと、界面活性剤を用いて鉱油等の油及び水を混和して乳化させた油系混和剤と、混和剤として添加した玻璃質粉とを混和してなり、油と界面活性剤との混合比は10:1〜50:1とされ、油と界面活性剤を合わせた量をセメントに対して0.05〜5.0%混和させ、かつ玻璃質粉を含硼素骨材に対して5〜30%混和させたことを特徴とする。
本発明による中性子遮蔽コンクリートは、コレマナイトやヒルガダイト等の含硼素鉱物を含む含硼素骨材と、セメントと、鉱油等の油及び界面活性剤を10:1〜50:1の比率で水と共に混和させて乳化させてなる油系混和剤と、玻璃質粉とを混和させて混練してなり、その際、油と界面活性剤を合わせた量をセメントの量に対して0.05〜5.0%の比率で混和し、しかも玻璃質粉を含硼素骨材に対して5〜30%置換混合させたものを混練することで得られる。このコンクリートは、中性子を遮蔽できると共に固結性が高い上に十分な圧縮強度と耐久性を有している。
また、玻璃質粉は、玻璃質岩石粉であることが好ましい。
本発明によれば、玻璃質粉を用いる際、玻璃質安山岩、玻璃質流紋岩、玻璃質玄武岩等の玻璃質岩石の粉体を用いれば低廉であり、しかもセメントと良く反応するので好ましい。
また、界面活性剤は、モノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンであることが好ましい。
界面活性剤としてモノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンを用いれば、乳化し易く容易に分離せず安定した特性が得られる。
本発明によれば、玻璃質粉を混和させることで、含硼素骨材を用いてもコンクリートの固結性が高く、中性子を遮蔽できて必要十分な強度と耐久性を有する中性子遮蔽コンクリートを得ることができる。
本発明の実施例に用いる含硼素鉱物の骨材の粒度分布を示す図である。
以下、本発明の実施形態による中性子遮蔽コンクリートとその製造方法について説明する。しかし、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
本実施形態による中性子遮蔽コンクリートは、骨材として、例えばコレマナイトやヒルガダイト等の硼素を含む含硼素鉱物のいずれか1種、または複数種の含硼素鉱物の塊を骨材として用いる。固結材としてのセメントは、例えばポルトランドセメントやアルミナセメント等を用いる。
混和剤として、鉱油等の油と水を界面活性剤を用いて混和して乳化させた油系混和剤を用いる。界面活性剤として、例えばモノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンを用いる。モノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンは、従来用いていたポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等と比較して油と分離し難く、安定性が高いという特性を有する。
また、更に混和剤として、玻璃質(ガラス質)粉を添加するものとし、好ましくは玻璃質流紋岩や玻璃質玄武岩や玻璃質安山岩等の玻璃質(ガラス質)を有する各種の玻璃質岩石の粉を用いるものとする。しかし、これらの岩石粉に限定されることなく、人工または天然の適宜の玻璃質(ガラス質)の粉体を用いることができる。
本実施形態で用いる玻璃質岩石粉はセメント、例えばポルトランドセメントに水を加えた場合にセメント中に含まれるカルシウムやアルミニウムと良く反応して固定し、吸収することができる。
なお、油系混和剤において、鉱油等の油と界面活性剤との混合比は10:1〜50:1の範囲とし、鉱油等の油と界面活性剤を合わせた量をポルトランドセメントの量に対して0.05〜5.0%の割合で混和するものとする。
また、玻璃質岩石粉を含硼素鉱物の骨材量に対して5〜30%の割合で置換して混合させた。玻璃質岩石粉を5〜30%の範囲で含硼素鉱物の骨材と置換混合することで十分な固結性と高い圧縮強度、耐久性の向上が得られる。なお、瑠璃質岩石粉の含硼素鉱物の骨材量に対する置換混合割合は、好ましく5〜25%、更に好ましくは10〜20%とする。
なお、玻璃質岩石粉の含硼素鉱物の量に対する置換混合割合について5%未満の場合や30%より大きい場合には圧縮強度と耐久性が小さくなる。
上述した構成を備えた本実施形態による中性子遮蔽コンクリートの製造方法を説明すると、コレマナイトやヒルガダイト等の1種または複数種の含硼素鉱物を骨材として用い、セメントと混和させる。また、鉱油等の油と界面活性剤を10:1〜50:1の範囲の比率で水と共に混和させて乳化させた油系混和剤を製造し、この油系混和剤と玻璃質岩石粉をセメントと含硼素鉱物の骨材と混和させる。
その際、鉱油等の油と界面活性剤を合わせた量をポルトランドセメントに対して0.05〜5.0%の比率で混和し、しかも玻璃質岩石粉を含硼素骨材の量に対して5〜30%置換混合させる。
このような割合で配合された各種の材料を混練し、硬化させることで本実施形態による中性子遮蔽コンクリートが得られる。このコンクリートは、中性子を遮蔽できると共に固結性が高い上に十分な強度と耐久性を有している。
上述のように本実施形態による中性子遮蔽コンクリートによれば、含硼素骨材を用いてもコンクリートの固結性が高く、必要十分な強度や耐久性を有する中性子遮蔽コンクリートを得ることができる。
しかも、玻璃質粉として玻璃質岩石の粉体を用いることで、低廉である上に不純物を含むために融点が低くセメントと良く反応するので好ましい。
また、セメントに混和させる界面活性剤は、モノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンを用いたので、従来の界面活性剤と比較して乳化し易く安定した性状が得られる。
以下、本発明による中性子遮蔽コンクリートの実施例について説明する。
実施例において、コンクリート材料として、まずセメントは例えばアルミナセメントを用い、骨材は例えばコレマナイトとヒルガダイトを混合比90〜70:10〜30の割合で混合した砕砂細骨材とし、玻璃質粉として玻璃質安山岩粉を用い、下記に示す油系混和剤を混和して、試験体となる中性子遮蔽コンクリートを製作するものとする。この試験体は定義上、骨材が砂状であるからモルタルである。
まず、含硼素鉱物の細骨材であるコレマナイトとヒルガダイトの物理的性状を図1と表1に示す。また、この細骨材の化学分析値を表2に示す。図1はこの細骨材の「JIS A 1102」に基づいたふるい分け試験の結果を示すものであり、「JIS A 5004」によるコンクリート用砕砂の粒度分布の範囲内に実施例によるモルタル用砕砂の粒度の分布が含まれることを示している。表1は「JIS A 1109」に基づく細骨材の物理的性状と吸水率の試験結果を示している。
Figure 2014141384
Figure 2014141384
セメントとして電気化学工業株式会社製のアルミナセメント1号を用いるものとし、その組成を表3に示す。
Figure 2014141384
次に油系混和剤の調製方法について説明する。油は鉱油(石油)を用い、界面活性剤は関東化学株式会社製のモノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンを用いる。まず鉱油と界面活性剤を混合させた状態で例えば5分攪拌して乳化させ、その後、水を混合させて例えば10〜30分攪拌する。これらの混和比と攪拌時間を表4に示す。
なお、鉱油と水を混合させた後に界面活性剤を混合させてもよく、いずれの手順を採用しても効能・効果は変わらない。
Figure 2014141384
上述した含硼素鉱物の細骨材とセメントと油系混和剤に混和させる玻璃質粉は、実施例では、玻璃(ガラス成分)を40%以上含む玻璃質安山岩粉を用いるものとする。玻璃質安山岩は、特に鉄等の不純物を多く含むために融点が低くセメントと良く反応するので好ましい。
そして、含硼素鉱物の細骨材とセメントと油系混和剤と玻璃質安山岩粉を表5に示す配合割合で混和させ、養生させることで、供試体としての中性子遮蔽コンクリート(モルタル)を製作した。
供試体の成型寸法は「JIS A 5201」に基づき4×4×16(cm)とした。供試体の練り混ぜ及び成型締固めに用いた器具は「JIS A 5201」に規定された通りのものを用いた。なお、フロー値は「JIS A 5201」の「フロー試験」に従って求めたものであり、室温26℃、相対温度56%以下とした。
また、表5に示すように、実施例とは別に、比較例1として玻璃質安山岩粉と油系混和剤を添加しない供試体と、比較例2として玻璃質安山岩粉のみを添加しない供試体とを用いて試験した。なお、供試体の数は実施例、比較例1、比較例2とも各3個とした。
Figure 2014141384
つぎに、製造した実施例、比較例1、比較例2で得られた各供試体について、「JIS A 5201」の「セメントの物理試験方法、圧縮強さ」に従って、圧縮強度試験を行った。その試験結果は表6に示す通りである。
Figure 2014141384
表6の試験結果に示すように、実施例に示す中性子遮蔽コンクリートの供試体は、比較例1、比較例2と比較して初期段階から圧縮強度が高く、玻璃質安山岩の岩石粉を混和させない比較例1、2が経時的に圧縮強度が低下するのに対し、実施例は経時的にも圧縮強度が上昇するという優れた特性を得られた。
なお、比較例1、2において、油系混和剤を添加した比較例2に対し、油系混和剤を添加しない比較例1は圧縮強度の低下割合が大きくなる傾向を示している。
そのため、界面活性剤としてモノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンを鉱油に添加した油系混和剤と、玻璃質岩石粉の混和剤とを、それぞれ所定の割合で添加した実施例による中性子遮蔽コンクリートは、充分な圧縮強度を有し、耐久性の高い特性を得ることを確認できた。
なお、本発明による中性子遮蔽コンクリートは、上述した実施形態や実施例に記載されたものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や置換等が可能である。
例えば、上述した実施例では、骨材としてコレマナイトとヒルガダイトを混合比90〜70:10〜30の割合で混合して用いたが、混合比は任意である。また、コレマナイトとヒルガダイトのいずれか一方のみを採用してもよく、或いは他の含硼素鉱物等を骨材として用いてもよい。
上述した中性子遮蔽コンクリートは原子力関連施設の壁材等に好適であるが、それ以外にも医療関連施設やその他の適宜の試験施設等にも適用することができる。
また、本明細書において各種成分の含有割合の%は重量%を示すものとする。
本発明は、原子炉建屋や医療施設等の壁材等に用いる中性子遮蔽コンクリートに関する。
中性子遮蔽コンクリートは、例えば原子力発電所における原子炉建屋や医療施設の壁材、放射性廃棄物の収納容器等に用いられるものである。このようなコンクリートにおいて、中性子を遮蔽する物質として硼素が有効であることが特許文献1等で広く知られており、コンクリート中に硼素含有化合物を添加するようにしている。
硼素を含む鉱物として例えば、コレマナイト(2CaO3・3B2O3・5H2O)やヒルガダイト(Ca8(B2O11)Cl4・4H2O)等が知られている。これらの含硼素鉱物やこれら複数の鉱物を混合させたものを骨材としてセメントと混合したコンクリートとして、例えば特許文献2に記載された中性子遮蔽コンクリートが知られている。このような含硼素鉱物を骨材とした中性子遮蔽コンクリートは原子炉建屋や放射性廃棄物の収納容器等における中性子を遮蔽する壁材等として用いられている。
特開2008−157801号公報 特公平7−25582号公報
ところで、このような中性子遮蔽コンクリートにおいて、硼素を含む含硼素鉱物を骨材として用いた場合、特に普通ポルトランドセメントを固結材に使用した場合にはコンクリートが固結し難いという欠点があった。また、固結材として石膏やアルミナセメントを使用した場合にはコンクリートは固結可能であるが、強度や耐久性が低いという欠点があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、含硼素骨材を用いながらも必要十分な強度と耐久性を有する中性子遮蔽コンクリートを提供することを目的とする。
本発明による中性子遮蔽コンクリートは、コレマナイトやヒルガダイトの含硼素骨材と、固結材であるセメントと、界面活性剤を用いて鉱油及び水を混和して乳化させた油系混和剤と、混和材として添加した玻璃質岩石粉とを混和してなり、鉱油と界面活性剤との混合比は10:1〜50:1とされ、鉱油と界面活性剤を合わせた量をセメントに対して0.05〜5.0%混和させ、かつ玻璃質岩石粉を含硼素骨材に対して5〜30%混和させたことを特徴とする。
本発明による中性子遮蔽コンクリートは、コレマナイトやヒルガダイトの含硼素鉱物を含む含硼素骨材と、セメントと、鉱油及び界面活性剤を10:1〜50:1の比率で水と共に混和させて乳化させてなる油系混和剤と、玻璃質岩石粉とを混和させて混練してなり、その際、鉱油と界面活性剤を合わせた量をセメントの量に対して0.05〜5.0%の比率で混和し、しかも玻璃質岩石粉を含硼素骨材に対して5〜30%置換混合させたものを混練することで得られる。このコンクリートは、中性子を遮蔽できると共に固結性が高い上に十分な圧縮強度と耐久性を有している。
しかも、玻璃質岩石の粉体を用いれば低廉であり、しかもセメントと良く反応するので好ましい。
また、玻璃質岩石粉は、玻璃質安山岩、玻璃質流紋岩、玻璃質玄武岩の粉体を用いれば低廉であり、しかもセメントと良く反応するので好ましい。
また、界面活性剤は、モノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンであることが好ましい。
界面活性剤としてモノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンを用いれば、乳化し易く容易に分離せず安定した特性が得られる。
本発明によれば、玻璃質岩石粉を混和させることで、コレマナイトやヒルガダイトの含硼素骨材を用いてもコンクリートの固結性が高く、中性子を遮蔽できて必要十分な強度と耐久性を有する中性子遮蔽コンクリートを得ることができる。
本発明の実施例に用いる含硼素鉱物の骨材の粒度分布を示す図である。
以下、本発明の実施形態による中性子遮蔽コンクリートとその製造方法について説明する。しかし、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
本実施形態による中性子遮蔽コンクリートは、骨材として、例えばコレマナイトやヒルガダイト等の硼素を含む含硼素鉱物のいずれか1種、または複数種の含硼素鉱物の塊を骨材として用いる。固結材としてのセメントは、例えばポルトランドセメントやアルミナセメント等を用いる。
混和剤として、鉱油等の油と水を界面活性剤を用いて混和して乳化させた油系混和剤を用いる。界面活性剤として、例えばモノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンを用いる。モノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンは、従来用いていたポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等と比較して油と分離し難く、安定性が高いという特性を有する。
また、更に混和材として、玻璃質(ガラス質)粉を添加するものとし、好ましくは玻璃質流紋岩や玻璃質玄武岩や玻璃質安山岩等の玻璃質(ガラス質)を有する各種の玻璃質岩石の粉を用いるものとする。しかし、これらの岩石粉に限定されることなく、天然の適宜の玻璃質(ガラス質)の粉体を用いることができる。
本実施形態で用いる玻璃質岩石粉はセメント、例えばポルトランドセメントに水を加えた場合にセメント中に含まれるカルシウムやアルミニウムと良く反応して固定し、吸収することができる。
なお、油系混和剤において、鉱油等の油と界面活性剤との混合比は10:1〜50:1の範囲とし、鉱油等の油と界面活性剤を合わせた量をポルトランドセメントの量に対して0.05〜5.0%の割合で混和するものとする。
また、玻璃質岩石粉を含硼素鉱物の骨材量に対して5〜30%の割合で置換して混合させた。玻璃質岩石粉を5〜30%の範囲で含硼素鉱物の骨材と置換混合することで十分な固結性と高い圧縮強度、耐久性の向上が得られる。なお、瑠璃質岩石粉の含硼素鉱物の骨材量に対する置換混合割合は、好ましく5〜25%、更に好ましくは10〜20%とする。
なお、玻璃質岩石粉の含硼素鉱物の量に対する置換混合割合について5%未満の場合や30%より大きい場合には圧縮強度と耐久性が小さくなる。
上述した構成を備えた本実施形態による中性子遮蔽コンクリートの製造方法を説明すると、コレマナイトやヒルガダイト等の1種または複数種の含硼素鉱物を骨材として用い、セメントと混和させる。また、鉱油等の油と界面活性剤を10:1〜50:1の範囲の比率で水と共に混和させて乳化させた油系混和剤を製造し、この油系混和剤と玻璃質岩石粉をセメントと含硼素鉱物の骨材と混和させる。
その際、鉱油等の油と界面活性剤を合わせた量をポルトランドセメントに対して0.05〜5.0%の比率で混和し、しかも玻璃質岩石粉を含硼素骨材の量に対して5〜30%置換混合させる。
このような割合で配合された各種の材料を混練し、硬化させることで本実施形態による中性子遮蔽コンクリートが得られる。このコンクリートは、中性子を遮蔽できると共に固結性が高い上に十分な強度と耐久性を有している。
上述のように本実施形態による中性子遮蔽コンクリートによれば、含硼素骨材を用いてもコンクリートの固結性が高く、必要十分な強度や耐久性を有する中性子遮蔽コンクリートを得ることができる。
しかも、玻璃質粉として玻璃質岩石の粉体を用いることで、低廉である上に不純物を含むために融点が低くセメントと良く反応するので好ましい。
また、セメントに混和させる界面活性剤は、モノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンを用いたので、従来の界面活性剤と比較して乳化し易く安定した性状が得られる。
以下、本発明による中性子遮蔽コンクリートの実施例について説明する。
実施例において、コンクリート材料として、まずセメントは例えばアルミナセメントを用い、骨材は例えばコレマナイトとヒルガダイトを混合比90〜70:10〜30の割合で混合した砕砂細骨材とし、玻璃質粉として玻璃質安山岩粉を用い、下記に示す油系混和剤を混和して、試験体となる中性子遮蔽コンクリートを製作するものとする。この試験体は定義上、骨材が砂状であるからモルタルである。
まず、含硼素鉱物の細骨材であるコレマナイトとヒルガダイトの物理的性状を図1と表1に示す。また、この細骨材の化学分析値を表2に示す。図1はこの細骨材の「JIS A 1102」に基づいたふるい分け試験の結果を示すものであり、「JIS A 5004」によるコンクリート用砕砂の粒度分布の範囲内に実施例によるモルタル用砕砂の粒度の分布が含まれることを示している。表1は「JIS A 1109」に基づく細骨材の物理的性状と吸水率の試験結果を示している。
Figure 2014141384
Figure 2014141384
セメントとして電気化学工業株式会社製のアルミナセメント1号を用いるものとし、その組成を表3に示す。
Figure 2014141384
次に油系混和剤の調製方法について説明する。油は鉱油(石油)を用い、界面活性剤は関東化学株式会社製のモノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンを用いる。まず鉱油と界面活性剤を混合させた状態で例えば5分攪拌して乳化させ、その後、水を混合させて例えば10〜30分攪拌する。これらの混和比と攪拌時間を表4に示す。
なお、鉱油と水を混合させた後に界面活性剤を混合させてもよく、いずれの手順を採用しても効能・効果は変わらない。
Figure 2014141384
上述した含硼素鉱物の細骨材とセメントと油系混和剤に混和させる玻璃質粉は、実施例では、玻璃(ガラス成分)を40%以上含む玻璃質安山岩粉を用いるものとする。玻璃質安山岩は、特に鉄等の不純物を多く含むために融点が低くセメントと良く反応するので好ましい。
そして、含硼素鉱物の細骨材とセメントと油系混和剤と玻璃質安山岩粉を表5に示す配合割合で混和させ、養生させることで、供試体としての中性子遮蔽コンクリート(モルタル)を製作した。
供試体の成型寸法は「JIS A 5201」に基づき4×4×16(cm)とした。供試体の練り混ぜ及び成型締固めに用いた器具は「JIS A 5201」に規定された通りのものを用いた。なお、フロー値は「JIS A 5201」の「フロー試験」に従って求めたものであり、室温26℃、相対温度56%以下とした。
また、表5に示すように、実施例とは別に、比較例1として玻璃質安山岩粉と油系混和剤を添加しない供試体と、比較例2として玻璃質安山岩粉のみを添加しない供試体とを用いて試験した。なお、供試体の数は実施例、比較例1、比較例2とも各3個とした。
Figure 2014141384
つぎに、製造した実施例、比較例1、比較例2で得られた各供試体について、「JIS A 5201」の「セメントの物理試験方法、圧縮強さ」に従って、圧縮強度試験を行った。その試験結果は表6に示す通りである。
Figure 2014141384
表6の試験結果に示すように、実施例に示す中性子遮蔽コンクリートの供試体は、比較例1、比較例2と比較して初期段階から圧縮強度が高く、玻璃質安山岩の岩石粉を混和させない比較例1、2が経時的に圧縮強度が低下するのに対し、実施例は経時的にも圧縮強度が上昇するという優れた特性を得られた。
なお、比較例1、2において、油系混和剤を添加した比較例2に対し、油系混和剤を添加しない比較例1は圧縮強度の低下割合が大きくなる傾向を示している。
そのため、界面活性剤としてモノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンを鉱油に添加した油系混和剤と、玻璃質岩石粉の混和材とを、それぞれ所定の割合で添加した実施例による中性子遮蔽コンクリートは、充分な圧縮強度を有し、耐久性の高い特性を得ることを確認できた。
なお、本発明による中性子遮蔽コンクリートは、上述した実施形態や実施例に記載されたものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や置換等が可能である。
例えば、上述した実施例では、骨材としてコレマナイトとヒルガダイトを混合比90〜70:10〜30の割合で混合して用いたが、混合比は任意である。また、コレマナイトとヒルガダイトのいずれか一方のみを採用してもよく、或いは他の含硼素鉱物等を骨材として用いてもよい。
上述した中性子遮蔽コンクリートは原子力関連施設の壁材等に好適であるが、それ以外にも医療関連施設やその他の適宜の試験施設等にも適用することができる。
また、本明細書において各種成分の含有割合の%は重量%を示すものとする。

Claims (3)

  1. コレマナイトやヒルガダイト等の硼素を含む含硼素骨材と、固結材であるセメントと、界面活性剤を用いて鉱油等の油及び水を混和して乳化させた油系混和剤と、混和剤として添加した玻璃質粉とを混和してなり、
    前記油と界面活性剤との混合比は10:1〜50:1とされ、前記油と界面活性剤を合わせた量を前記セメントに対して0.05〜5.0%混和させ、かつ前記玻璃質粉を含硼素骨材に対して5〜30%混和させたことを特徴とする中性子遮蔽コンクリート。
  2. 前記玻璃質粉は、玻璃質岩石粉である請求項1に記載された中性子遮蔽コンクリート。
  3. 前記界面活性剤は、モノオレイン酸トリオキシエチレンソルビタンである請求項1または2に記載された中性子遮蔽コンクリート。


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