JP2004256376A - 低放射化コンクリート - Google Patents
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Abstract
【課題】白色セメントのような特殊なセメントを用いることなく、汎用のポルトランドセメントを用いて安価に調製することができる低放射化コンクリートを提供する。
【解決手段】ポルトランドセメント、MgO含有量が20質量%以下の石灰石細骨材および石灰石粗骨材を含む低放射化コンクリート。このように構成した低放射化コンクリートは、中性子等の放射線を照射しても放射化され難く、放射線を遮蔽する用途に好適に用いることができるとともに、白色セメントのような特殊なセメントを用いることなく、汎用のポルトランドセメントを用いることによって安価に調製することができる。
前記低放射化コンクリートにおいては、ポルトランドセメントは、2CaO・SiO2を30〜60質量%含むものであることが好ましい。また、さらに石灰石粉末を含むことが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】ポルトランドセメント、MgO含有量が20質量%以下の石灰石細骨材および石灰石粗骨材を含む低放射化コンクリート。このように構成した低放射化コンクリートは、中性子等の放射線を照射しても放射化され難く、放射線を遮蔽する用途に好適に用いることができるとともに、白色セメントのような特殊なセメントを用いることなく、汎用のポルトランドセメントを用いることによって安価に調製することができる。
前記低放射化コンクリートにおいては、ポルトランドセメントは、2CaO・SiO2を30〜60質量%含むものであることが好ましい。また、さらに石灰石粉末を含むことが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陽子加速器ビームライン周辺の2次粒子である中性子によって生じるコンクリートの放射化に伴う放射線被爆の低減や、原子力発電、核燃料の再処理、放射性廃棄物の管理、放射線医療等における放射線遮蔽用の構築物として用いられる低放射化コンクリートに関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉等の放射線発生源の周囲には、必要に応じて、核分烈反応等に伴う放射線(例えば、中性子線、γ線等)を遮蔽するための遮蔽体を構築し、作業者の健康への悪影響や、外部環境への放射線の漏出を防止している。
このような放射線を遮蔽するための遮蔽体の材質として、一般に、汎用セメントである普通ポルトランドセメントを含み、かつ水量を通常のコンクリートよりも大きくしたコンクリートが用いられている。該コンクリートは、水和されている水(H2O)として水素原子を多く含み、この水素原子によって、高エネルギーを有する放射線(中性子)を効果的に減速させることができる。また、鉄、磁鉄鉱等を混入させて製造された重量コンクリートは、比重が大きいことから、γ線を効果的に遮蔽することができる。
【0003】
しかし、コンクリート製の遮蔽体が中性子線に曝されると、コンクリートに含まれているNa、Eu等の元素が放射性同位元素(γ核種)に変化し、この放射性同位元素の放射性壊変によって、コンクリートが放射線(γ線)を発するようになる。つまり、加速器や原子炉等の放射線(中性子線)発生源の稼動を停止しても、コンクリート製の遮蔽体に放射能が残留し、放射線を発生し続けることになる。このように放射線を発するに至ったコンクリートは、加速器や原子炉等の放射線発生源の保守、点検、解体等に携わる作業員に対して、厳しい安全管理なしでは放射線被爆による健康上の悪影響を及ぼす可能性がある。また、大量の放射線廃棄物を残すことにもなる。
【0004】
このような事情下において、石灰石からなる骨材と、白色セメントと、シリカ微粉を原料とする低放射化構造体が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−133394号公報(第1−4頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1では、白色セメントは、普通のセメントに比べて酸化鉄の含有量が極めて少ないため、Feが放射性同位元素に変化することによる放射化を回避することができる。しかしながら、白色セメントは、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の汎用のポルトランドセメントと異なり、特殊な製造工程を採用しているため、製造コストが高くなり、高価であるという問題がある。
また、前記特許文献1では、特にCaO量の多い高純度の石灰石からなる粗骨材および細骨材を用いる必要があり、骨材の入手に手間と時間がかかる場合があるという問題もある。更に、石灰石は産地によってMgが高く含有されるため、加速器のように高速中性子による核反応が存在する場合、Mgからの24Na生成寄与の問題が懸念される。
そのため、汎用のポルトランドセメントと入手が容易な石灰石からなる骨材を用いて、放射化し難いコンクリートを調製することができれば、好都合である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、汎用のポルトランドセメントと、特定のMgO含有量である石灰石細骨材および石灰石粗骨材を組み合わせることによって、中性子等の放射線を照射しても放射化し難いコンクリートを製造することができることを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0008】
即ち、本発明は、ポルトランドセメント、MgO含有量が20質量%以下の石灰石からなる細骨材および粗骨材を含むことを特徴とする低放射化コンクリートである(請求項1)。このように構成した低放射化コンクリートは、中性子等の放射線を照射しても放射化され難く、放射線を遮蔽する用途に好適に用いることができるとともに、白色セメントのような特殊なセメントを用いることなく、汎用のポルトランドセメントを用いることによって安価に調製することができる。また、MgOの含有量の大きい石灰石からなる細骨材および粗骨材を用いることができるので、骨材の入手も比較的容易である。
本発明においては、コンクリートに放射化し難い特性を付与する観点から、前記ポルトランドセメントは、2CaO・SiO2を30〜60質量%含むものであることが好ましい(請求項2)。
また、本発明の低放射化コンクリートにおいては、さらに石灰石粉末を含むことが好ましい(請求項3)。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられるポルトランドセメントの種類としては、例えば、低熱ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント等が挙げられる。中でも、2CaO・SiO2を30〜60質量%含むポルトランドセメントは、Al(アルミニウム)やNa(ナトリウム)の含有量が小さい傾向があり、コンクリートに放射化し難い特性を付与することができ、好ましく用いられる。
【0010】
ポルトランドセメントのブレーン比表面積は、好ましくは2500〜5000cm2/g、特に好ましくは3000〜4500cm2/gである。該値が2500cm2/g未満であると、水和反応が不活発になって、コンクリートの強度が低下する等の欠点があり、5000cm2/gを越えると、セメントの粉砕に時間がかかり、また、所定の流動性を得るための水量が多くなるため、硬化後の収縮量が大きくなり、かつ強度が低下する等の欠点がある。
【0011】
本発明で用いられる骨材は、MgO含有量が20質量%以下の石灰石からなる細骨材および粗骨材である。石灰石中のMgO含有量が20質量%を越えると、細骨材および粗骨材中の24Na(ナトリウム24)の生成量がコンクリートの放射化に寄与する傾向があり、コンクリートに放射化し難い特性を付与することが困難となり好ましくない。石灰石中の好ましいMgO含有量は、コンクリートに放射化し難い特性を付与する観点から、11質量%以下である。
【0012】
本発明の低放射化コンクリートにおいては、上記セメント、石灰石細骨材、石灰石粗骨材とともに、中性子線の照射によって放射性同位元素に変化する元素(Na、Eu、Co等)の含有量の小さい混和材を含むことが好ましい。好適に用いられる混和材としては、例えば、石灰石粉末、シリカフューム、石英粉末、珪砂等が挙げられる。これらの混和材は、Ca、Si等を主成分とするものであり、中性子等の放射線を照射しても放射化し難いものである。なかでも石灰石粉末は、特に好ましく用いられる。石灰石粉末は、ブレーン比表面積が2000〜10000cm2/gであるものを使用することが好ましく、その含有量は、低放射化コンクリートの長期強度や耐久性等から、セメントに対して内割りで5〜15質量%であることが好ましい。
【0013】
本発明の低放射化コンクリートにおいては、該コンクリートの流動性・作業性を向上させるために、減水剤を使用することが好ましい。減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤又は高性能AE減水剤を使用することができる。
【0014】
本発明の低放射化コンクリートにおいて、コンクリートの混練方法は、特に限定するものではなく、例えば、各材料をそれぞれ個別にミキサに投入し混練する等の方法が挙げられる。
混練に用いるミキサは、特に限定するものではなく、例えば、揺動型ミキサ、パンタイプミキサ、二軸練りミキサ等が用いられる。
【0015】
本発明の低放射化コンクリートの好ましい配合は、該コンクリートの強度発現性や耐久性、さらには放射化し難い特性を付与する観点等から、ポルトランドセメント200〜400kg/m3、石灰石細骨材700〜1200kg/m3、石灰石粗骨材700〜1200kg/m3、減水剤0.5〜10kg/m3、水120〜200kg/m3であることが好ましい。
なお、水は水道水、地下水等を使用することができる。
【0016】
混練後、所定の型枠に配合物を投入し、その後、養生すれば、本発明の低放射化コンクリートが得られる。養生条件は特に限定するものではないが、せき板による被覆、養生マットまたは水密シートによる被覆、散水・噴霧、膜養生剤の塗布などにより湿潤養生を行うことが好ましい。
【0017】
【実施例】
1.使用材料
以下に示す材料を使用した。
1)セメント;低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)
2)細骨材A;陸砂
3)細骨材B;石灰砕砂(MgO含有量6.35質量%)
4)細骨材C;石灰砕砂(MgO含有量13.03質量%)
5)粗骨材A;砕石2005
6)粗骨材B;石灰砕石2005(MgO含有量6.08質量%)
7)粗骨材C;石灰砕石2005(MgO含有量0.93質量%)
8)粗骨材D;砕石4020
9)粗骨材E;石灰砕石4020(MgO含有量1.86質量%)
10)粗骨材F;石灰砕石4020(MgO含有量18.30質量%)
11)減水剤;ポゾリスNo.70((株)エヌエムビー製)
12)水;地下水
13)混和材;石灰石粉末(ブレーン比表面積4000cm2/g)
【0018】
2.コンクリートの調製
上記材料を使用して、表1に示す割合のコンクリートを調製した。
コンクリートの混練は、ニ軸練りミキサを使用して、各材料をそれぞれ個別にミキサに投入し90秒間混練することにより行った。
【0019】
【表1】
【0020】
3.評価
各コンクリートをφ7×5cmの型枠を用いて成形後、20℃で14日間気中養生してφ7×5cmの円柱供試体を作製した。前記供試体を陽子加速器施設の12GeV陽子加速器のビームライントンネルに設置し、7日間、2次中性子に曝した後、加速器停止直後の24Naの放射能濃度(Bq/g)をGe半導体検出器で測定した。
低放射化の評価は、比較例1のコンクリートの測定結果と相対比較した。
結果を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】
表2より、本発明の低放射化コンクリートでは、放射化後の24Naの放射能濃度が小さく、低放射化が図れていることが分かる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の低放射化コンクリートでは、中性子等の放射線の照射による放射化は非常に小さい。そのため、陽子加速器周辺の中性子発生に伴う放射線被爆の低減や、原子力発電、核燃料の再処理、放射性廃棄物の管理、放射線医療等における放射線遮蔽用の構築物として好適に用いることができる。
また、本発明の低放射化コンクリートでは、白色セメントのような特殊なセメントを用いることなく、汎用のポルトランドセメントを用いて調製することができるので、低コストである。
さらに、本発明の低放射化コンクリートでは、MgOの含有量の大きい石灰石からなる細骨材および粗骨材を用いて調製することができるので、骨材の入手も比較的容易である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、陽子加速器ビームライン周辺の2次粒子である中性子によって生じるコンクリートの放射化に伴う放射線被爆の低減や、原子力発電、核燃料の再処理、放射性廃棄物の管理、放射線医療等における放射線遮蔽用の構築物として用いられる低放射化コンクリートに関する。
【0002】
【従来の技術】
原子炉等の放射線発生源の周囲には、必要に応じて、核分烈反応等に伴う放射線(例えば、中性子線、γ線等)を遮蔽するための遮蔽体を構築し、作業者の健康への悪影響や、外部環境への放射線の漏出を防止している。
このような放射線を遮蔽するための遮蔽体の材質として、一般に、汎用セメントである普通ポルトランドセメントを含み、かつ水量を通常のコンクリートよりも大きくしたコンクリートが用いられている。該コンクリートは、水和されている水(H2O)として水素原子を多く含み、この水素原子によって、高エネルギーを有する放射線(中性子)を効果的に減速させることができる。また、鉄、磁鉄鉱等を混入させて製造された重量コンクリートは、比重が大きいことから、γ線を効果的に遮蔽することができる。
【0003】
しかし、コンクリート製の遮蔽体が中性子線に曝されると、コンクリートに含まれているNa、Eu等の元素が放射性同位元素(γ核種)に変化し、この放射性同位元素の放射性壊変によって、コンクリートが放射線(γ線)を発するようになる。つまり、加速器や原子炉等の放射線(中性子線)発生源の稼動を停止しても、コンクリート製の遮蔽体に放射能が残留し、放射線を発生し続けることになる。このように放射線を発するに至ったコンクリートは、加速器や原子炉等の放射線発生源の保守、点検、解体等に携わる作業員に対して、厳しい安全管理なしでは放射線被爆による健康上の悪影響を及ぼす可能性がある。また、大量の放射線廃棄物を残すことにもなる。
【0004】
このような事情下において、石灰石からなる骨材と、白色セメントと、シリカ微粉を原料とする低放射化構造体が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62−133394号公報(第1−4頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記特許文献1では、白色セメントは、普通のセメントに比べて酸化鉄の含有量が極めて少ないため、Feが放射性同位元素に変化することによる放射化を回避することができる。しかしながら、白色セメントは、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の汎用のポルトランドセメントと異なり、特殊な製造工程を採用しているため、製造コストが高くなり、高価であるという問題がある。
また、前記特許文献1では、特にCaO量の多い高純度の石灰石からなる粗骨材および細骨材を用いる必要があり、骨材の入手に手間と時間がかかる場合があるという問題もある。更に、石灰石は産地によってMgが高く含有されるため、加速器のように高速中性子による核反応が存在する場合、Mgからの24Na生成寄与の問題が懸念される。
そのため、汎用のポルトランドセメントと入手が容易な石灰石からなる骨材を用いて、放射化し難いコンクリートを調製することができれば、好都合である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、汎用のポルトランドセメントと、特定のMgO含有量である石灰石細骨材および石灰石粗骨材を組み合わせることによって、中性子等の放射線を照射しても放射化し難いコンクリートを製造することができることを見いだし、本発明を完成させたものである。
【0008】
即ち、本発明は、ポルトランドセメント、MgO含有量が20質量%以下の石灰石からなる細骨材および粗骨材を含むことを特徴とする低放射化コンクリートである(請求項1)。このように構成した低放射化コンクリートは、中性子等の放射線を照射しても放射化され難く、放射線を遮蔽する用途に好適に用いることができるとともに、白色セメントのような特殊なセメントを用いることなく、汎用のポルトランドセメントを用いることによって安価に調製することができる。また、MgOの含有量の大きい石灰石からなる細骨材および粗骨材を用いることができるので、骨材の入手も比較的容易である。
本発明においては、コンクリートに放射化し難い特性を付与する観点から、前記ポルトランドセメントは、2CaO・SiO2を30〜60質量%含むものであることが好ましい(請求項2)。
また、本発明の低放射化コンクリートにおいては、さらに石灰石粉末を含むことが好ましい(請求項3)。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いられるポルトランドセメントの種類としては、例えば、低熱ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、普通ポルトランドセメント等が挙げられる。中でも、2CaO・SiO2を30〜60質量%含むポルトランドセメントは、Al(アルミニウム)やNa(ナトリウム)の含有量が小さい傾向があり、コンクリートに放射化し難い特性を付与することができ、好ましく用いられる。
【0010】
ポルトランドセメントのブレーン比表面積は、好ましくは2500〜5000cm2/g、特に好ましくは3000〜4500cm2/gである。該値が2500cm2/g未満であると、水和反応が不活発になって、コンクリートの強度が低下する等の欠点があり、5000cm2/gを越えると、セメントの粉砕に時間がかかり、また、所定の流動性を得るための水量が多くなるため、硬化後の収縮量が大きくなり、かつ強度が低下する等の欠点がある。
【0011】
本発明で用いられる骨材は、MgO含有量が20質量%以下の石灰石からなる細骨材および粗骨材である。石灰石中のMgO含有量が20質量%を越えると、細骨材および粗骨材中の24Na(ナトリウム24)の生成量がコンクリートの放射化に寄与する傾向があり、コンクリートに放射化し難い特性を付与することが困難となり好ましくない。石灰石中の好ましいMgO含有量は、コンクリートに放射化し難い特性を付与する観点から、11質量%以下である。
【0012】
本発明の低放射化コンクリートにおいては、上記セメント、石灰石細骨材、石灰石粗骨材とともに、中性子線の照射によって放射性同位元素に変化する元素(Na、Eu、Co等)の含有量の小さい混和材を含むことが好ましい。好適に用いられる混和材としては、例えば、石灰石粉末、シリカフューム、石英粉末、珪砂等が挙げられる。これらの混和材は、Ca、Si等を主成分とするものであり、中性子等の放射線を照射しても放射化し難いものである。なかでも石灰石粉末は、特に好ましく用いられる。石灰石粉末は、ブレーン比表面積が2000〜10000cm2/gであるものを使用することが好ましく、その含有量は、低放射化コンクリートの長期強度や耐久性等から、セメントに対して内割りで5〜15質量%であることが好ましい。
【0013】
本発明の低放射化コンクリートにおいては、該コンクリートの流動性・作業性を向上させるために、減水剤を使用することが好ましい。減水剤としては、リグニン系、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系の減水剤、AE減水剤、高性能減水剤又は高性能AE減水剤を使用することができる。
【0014】
本発明の低放射化コンクリートにおいて、コンクリートの混練方法は、特に限定するものではなく、例えば、各材料をそれぞれ個別にミキサに投入し混練する等の方法が挙げられる。
混練に用いるミキサは、特に限定するものではなく、例えば、揺動型ミキサ、パンタイプミキサ、二軸練りミキサ等が用いられる。
【0015】
本発明の低放射化コンクリートの好ましい配合は、該コンクリートの強度発現性や耐久性、さらには放射化し難い特性を付与する観点等から、ポルトランドセメント200〜400kg/m3、石灰石細骨材700〜1200kg/m3、石灰石粗骨材700〜1200kg/m3、減水剤0.5〜10kg/m3、水120〜200kg/m3であることが好ましい。
なお、水は水道水、地下水等を使用することができる。
【0016】
混練後、所定の型枠に配合物を投入し、その後、養生すれば、本発明の低放射化コンクリートが得られる。養生条件は特に限定するものではないが、せき板による被覆、養生マットまたは水密シートによる被覆、散水・噴霧、膜養生剤の塗布などにより湿潤養生を行うことが好ましい。
【0017】
【実施例】
1.使用材料
以下に示す材料を使用した。
1)セメント;低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)
2)細骨材A;陸砂
3)細骨材B;石灰砕砂(MgO含有量6.35質量%)
4)細骨材C;石灰砕砂(MgO含有量13.03質量%)
5)粗骨材A;砕石2005
6)粗骨材B;石灰砕石2005(MgO含有量6.08質量%)
7)粗骨材C;石灰砕石2005(MgO含有量0.93質量%)
8)粗骨材D;砕石4020
9)粗骨材E;石灰砕石4020(MgO含有量1.86質量%)
10)粗骨材F;石灰砕石4020(MgO含有量18.30質量%)
11)減水剤;ポゾリスNo.70((株)エヌエムビー製)
12)水;地下水
13)混和材;石灰石粉末(ブレーン比表面積4000cm2/g)
【0018】
2.コンクリートの調製
上記材料を使用して、表1に示す割合のコンクリートを調製した。
コンクリートの混練は、ニ軸練りミキサを使用して、各材料をそれぞれ個別にミキサに投入し90秒間混練することにより行った。
【0019】
【表1】
【0020】
3.評価
各コンクリートをφ7×5cmの型枠を用いて成形後、20℃で14日間気中養生してφ7×5cmの円柱供試体を作製した。前記供試体を陽子加速器施設の12GeV陽子加速器のビームライントンネルに設置し、7日間、2次中性子に曝した後、加速器停止直後の24Naの放射能濃度(Bq/g)をGe半導体検出器で測定した。
低放射化の評価は、比較例1のコンクリートの測定結果と相対比較した。
結果を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】
表2より、本発明の低放射化コンクリートでは、放射化後の24Naの放射能濃度が小さく、低放射化が図れていることが分かる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の低放射化コンクリートでは、中性子等の放射線の照射による放射化は非常に小さい。そのため、陽子加速器周辺の中性子発生に伴う放射線被爆の低減や、原子力発電、核燃料の再処理、放射性廃棄物の管理、放射線医療等における放射線遮蔽用の構築物として好適に用いることができる。
また、本発明の低放射化コンクリートでは、白色セメントのような特殊なセメントを用いることなく、汎用のポルトランドセメントを用いて調製することができるので、低コストである。
さらに、本発明の低放射化コンクリートでは、MgOの含有量の大きい石灰石からなる細骨材および粗骨材を用いて調製することができるので、骨材の入手も比較的容易である。
Claims (3)
- ポルトランドセメント、MgO含有量が20質量%以下の石灰石からなる細骨材および粗骨材を含むことを特徴とする低放射化コンクリート。
- ポルトランドセメントが、2CaO・SiO2を30〜60質量%含むものである請求項1に記載の低放射化コンクリート。
- 石灰石粉末を含む請求項1又は2記載の低放射化コンクリート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003051738A JP2004256376A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 低放射化コンクリート |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003051738A JP2004256376A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 低放射化コンクリート |
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Publication Number | Publication Date |
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ID=33116810
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003051738A Pending JP2004256376A (ja) | 2003-02-27 | 2003-02-27 | 低放射化コンクリート |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2004256376A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008157801A (ja) * | 2006-12-25 | 2008-07-10 | Fujita Corp | 中性子遮蔽低放射化コンクリートおよびモルタル |
JP5347075B1 (ja) * | 2013-01-25 | 2013-11-20 | 石川島建材工業株式会社 | 中性子遮蔽コンクリート |
EP3266754A1 (en) | 2016-07-07 | 2018-01-10 | Ion Beam Applications S.A. | Compositions of low activation concrete and use thereof |
CN110156411A (zh) * | 2019-07-10 | 2019-08-23 | 中国人民解放军空军工程大学 | 一种适用于微波除冰的磁铁矿骨料改性混凝土 |
-
2003
- 2003-02-27 JP JP2003051738A patent/JP2004256376A/ja active Pending
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