以下、図面を参照して、本発明による遊技機の実施形態について説明する。なお、実施形態の説明における前後左右とは、遊技盤に向かって見た方向(遊技者から見た方向)を指すものとする。
図1を参照して、本発明の実施形態における遊技機1について説明する。
遊技機1は、島設備に固定される本体枠2にヒンジ3を介して右側部が開閉回動自在に取り付けられる開閉枠4を備える。開閉枠4は、前面枠5及びガラス枠6によって構成される。
前面枠5には、遊技盤30(図2参照)が配設されるとともに、遊技盤30の前面を覆うカバーガラス6aを備えたガラス枠6が取り付けられる。前面枠5及びガラス枠6は、それぞれ個別に開放することが可能となっている。例えば、ガラス枠6のみを開放して遊技盤30の遊技領域31(図2参照)にアクセスすることができる。また、前面枠5をガラス枠6が開放されていない状態で開放することによって、遊技盤30の裏側に配置された遊技制御装置600(図3参照)等にアクセスすることができる。
ガラス枠6のカバーガラス6aの周囲には、装飾部材7が配設されている。装飾部材7の内部にはLED等によって構成された枠装飾装置21(図4参照)が収容されており、枠装飾装置21を制御することによって装飾部材7における発光状態を調整することができる。
ガラス枠6の上部には照明ユニット8が配設され、照明ユニット8の左右両側には可動式照明9が配設される。照明ユニット8は、内部にLED等の照明部材を収容しており、遊技状態に応じて発光演出を行う。可動式照明9は、LED等の照明部材と、照明部材を駆動する照明駆動モータ等から構成される枠演出装置22(図4参照)とを備える。可動式照明9の枠演出装置22は、遊技状態に応じて照明部材を駆動(例えば回転駆動)するように制御される。なお、照明ユニット8及び可動式照明9の内部に配設される照明部材も、枠装飾装置21(図4参照)の一部を構成している。
遊技機1は、効果音や警報音、報知音等を発する上スピーカ10a及び下スピーカ10bを備える。上スピーカ10aはガラス枠6の上両側部に配置され、下スピーカ10bは上皿ユニット11を構成する上皿11aの下方に配置される。
左側部に配設される可動式照明9の右上方には、遊技機1における異常を報知するための遊技状態報知LED12が設けられている。遊技機1において異常が発生した場合には、遊技状態報知LED12が点灯又は点滅するとともに、上スピーカ10a及び下スピーカ10bから異常を報知するための報知音が出力される。
遊技機1で発生する異常には、遊技機1の故障及び不正行為の実施等が含まれる。不正行為には、例えば、発射された遊技球の軌道を磁石によって不正に操作する行為や遊技機1を振動させる行為等が含まれる。これらの不正行為は、磁気センサスイッチ23(図3参照)によって磁気を検出したり、振動センサスイッチ24(図3参照)によって振動を検出したりすることで検知される。
また、不正に開閉枠4を開放する行為も不正行為に含まれる。前面枠5の開閉状態は前面枠開放検出スイッチ25(図3参照)によって検出され、ガラス枠6の開閉状態はガラス枠開放検出スイッチ26(図3参照)によって検出される。
ガラス枠6の下部には、上皿11aを含む上皿ユニット11が備えられる。上皿11aに貯留された遊技球は、前面枠5の下部に設けられた球発射装置460(図33参照)に供給される。
ガラス枠6の下方位置であって前面枠5に固定される固定パネル13には、下皿14と、球発射装置460を駆動するための操作部15とが備えられる。遊技者が操作部15を回動操作することによって、球発射装置460は上皿11aから供給された遊技球を遊技盤30の遊技領域31(図2参照)に発射する。下皿14には、当該下皿14に貯留された遊技球を外部へ排出するための球抜き機構16が設けられる。
上皿ユニット11には、遊技者からの操作入力を受け付けるための演出ボタン17が上皿11aの手前側に配設されている。遊技者が演出ボタン17を操作することによって、変動表示装置35(図2参照)での変動表示ゲームにおいて遊技者の操作を介入させた演出を行うことができ、また通常遊技状態においては演出パターン(演出態様)を変更することができる。変動表示ゲームには、特図変動表示ゲームと普図変動表示ゲームが含まれ、本明細書では単に変動表示ゲームとした場合には特図変動表示ゲームを指すものとする。
なお、通常遊技状態とは、特定の遊技状態が発生していない遊技状態である。特定の遊技状態とは、例えば変動表示ゲームの抽選確率が高い確率の確変状態、変動表示ゲームの単位時間当たりの実行数を向上させることが可能な時短状態、大当り遊技状態(特別遊技状態)、又は小当り遊技状態等である。
また、変動表示ゲームが開始された後、演出ボタン17の操作を促進するための操作促進演出が実行され、操作促進演出が実行されている間に演出ボタン17を操作することによって、始動記憶に対応する変動表示ゲームの結果を事前に予告する予告演出等を実行することができる。
ガラス枠6の装飾部材7の下部には、遊技者が遊技球を借りる場合に操作する球貸ボタン18と、カードユニット(図示省略)からプリペイドカード等を排出させるために操作される排出ボタン19とが配設される。また、球貸ボタン18及び排出ボタン19の間には、プリペイドカード等の残高を表示する残高表示部20が設けられる。
図2を参照して、遊技機1に配設される遊技盤30について説明する。図2は、遊技機1に備えられる遊技盤30の正面図である。
遊技盤30は、合板やプラスチック等からなる矩形状の遊技盤本体32の表面に、区画部材としてのガイドレール33を設けることで、略円形状の遊技領域31を区画形成している。
遊技領域31には、開口部34aを有するセンターケース34が配設される。遊技盤30にはセンターケース34の外周に沿った形状の開口30a(図5参照)が形成され、センターケース34はその開口30aに遊技盤30の前方から嵌装される。
遊技盤30の裏面には、変動表示装置35を備える制御ベースユニット60(図5参照)が配設される。変動表示装置35は、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示部35aを有する。制御ベースユニット60は、動作演出や発光演出を実行可能な演出装置70(図5参照)をさらに備える。演出装置70は、センターケース34の下部に対応する位置に設けられる第1可動演出装置71と、センターケース34の側部及び上部に対応する位置に設けられる第2可動演出装置500とから構成されている。第2可動演出装置500の詳細については、図42〜図53を参照して後述する。
センターケース34の開口部34aは変動表示装置35の表示部35aに対応して設けられており、変動表示装置35の表示部35aはセンターケース34の開口部34aに臨むように配設される。変動表示装置35の表示部35aは任意の画像を表示可能な液晶表示器であり、表示画面上には複数の識別情報(特別図柄)や変動表示ゲームを演出するキャラクタ等、遊技の進行に基づく画像が表示される。変動表示装置35は、表示部35aに複数の変動表示領域(例えば、左側、中央、右側の3つの可変表示領域)を設定して、各表示領域の各々で独立した画像を表示可能に構成されている。
センターケース34の右上方の遊技領域31には、遊技球が通過した場合に普通図柄(普図)変動表示ゲームの始動条件を成立させる普図始動ゲート36が配設される。
センターケース34の下方の遊技領域31には、遊技球の入賞に基づき第1特別図柄(第1特図)変動表示ゲームの始動条件を付与可能な第1始動入賞口37が配設される。なお、センターケース34には、遊技領域31を流下する遊技球をセンターケース34の内側に導くためのワープ通路200と、ワープ通路200を通過した遊技球が転動可能であって、転動した遊技球を第1始動入賞口37の上方の遊技領域31へと流下させるステージ部80とが設けられる。
センターケース34の右下方の遊技領域31には、遊技球の入賞に基づき第2特別図柄(第2特図)変動表示ゲームの始動条件を付与可能な第2始動入賞口38(図5参照)が配設される。第2始動入賞口38は装飾板39の後方に位置しているため、図2では第2始動入賞口38の図示を省略している。第2始動入賞口38は、普図変動表示ゲームの結果が当りの場合に遊技領域31の前方に突出して、流下してくる遊技球を第2始動入賞口38へと導くことが可能な可動受入部(図示省略)を備えている。可動受入部は、通常状態においては遊技盤30の裏面側に収納され、装飾板39の後方を通過する遊技球が第2始動入賞口38に入賞不能な状態(遊技者にとって不利な状態)となり、遊技球は第2始動入賞口38に入賞することなく下方に流下する。一方、普図変動表示ゲームの結果が当りとなった場合には、可動受入部は、普電ソレノイド27(図3参照)の駆動力に基づいて遊技領域31の前方に突出し、装飾板39の後方を通過する遊技球が第2始動入賞口38に流入しやすい状態(遊技者にとって有利な状態)となる。第2始動入賞口38に備えられる可動受入部は、遊技制御装置600(図3)によって制御される。遊技制御装置600は、入賞容易状態の発生頻度を高めたり、入賞容易状態の発生時間を長くしたりすることで、特定遊技状態としての時短状態(普電サポート状態)を発生させる。
第1始動入賞口37の左右両側の遊技領域31には、遊技球が入賞した場合に賞球を払い出す条件だけが成立する一般入賞口40が複数配設される。
第1始動入賞口37の右側方の遊技領域31には、大入賞口ソレノイド28(図3参照)によって上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカ形式の開閉扉41aを有する大入賞口を備えた第1変動入賞装置41が設けられる。第1変動入賞装置41は、第1特図変動表示ゲームの結果が大当りになると、大入賞口を閉じた状態(遊技者にとって不利な閉塞状態)から開放状態(遊技者にとって有利な状態)に変換し、大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせることで、遊技者に賞球を付与するようになっている。
なお、遊技領域31には、上記した始動入賞口等のほかに、遊技球の流下方向を変える風車330や障害釘(図示省略)等の流下方向変換部材や、入賞せずに流下した遊技球を回収するアウト口42が配設される。
センターケース34の右側部には、第2変動入賞装置100が設けられる。第2変動入賞装置100は、装置内に受け入れた遊技球を特別入賞口103(図9参照)又は一般入賞口104(図9参照)に振り分け、振り分けられた遊技球が入賞した入賞口に応じて所定の遊技状態を発生可能な装置である。第2変動入賞装置100は、遊技球を受け入れる受入口101と、第1ソレノイド111(図3、図8参照)によって受入口101を開閉する開閉部102とを備える。第2変動入賞装置100の受入口101は、上下方向において、装飾板39の後方に設けられる第2始動入賞口38と、普図始動ゲート36との間に位置するように配設される。第2変動入賞装置100の詳細な構成については、図7〜図10を参照して後述する。
第2変動入賞装置100は、第2特図変動表示ゲームの結果に基づいて、小当り遊技を実行可能に構成されている。第2特図変動表示ゲームの結果がはずれの場合には、開閉部102は、受入口101を閉じており、遊技球が第2変動入賞装置100内に流入不能な状態(遊技者にとって不利な状態)となる。一方、特図2変動表示ゲームの結果が当りとなった場合には、開閉部102は、受入口101を開いて、遊技球が第2変動入賞装置100内に流入しやすい状態(遊技者にとって有利な状態)となる。第2変動入賞装置100内に流入した遊技球は、特別入賞口103又は一般入賞口104に振り分けられる。
なお、遊技盤30の右下部には、特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲーム)の特図の変動表示、特図入賞記憶数(第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームの始動記憶数)、普図変動表示ゲームの普図の変動表示、普図入賞記憶数(普図変動表示ゲームの始動記憶数)、及び大当たりの決定ラウンド数等を表示する状態表示器50が配設される。
遊技機1では、球発射装置460(図33参照)によって打ち出された遊技球は、ガイドレール33の内周壁に沿って区画された発射球案内通路43を通って遊技領域31内に発射され、方向変換部材(図示省略)によって落下方向を変えながら遊技領域31を流下する。発射球案内通路43はガイドレール33と内レール44とによって形成されており、発射球案内通路43の出口に位置する内レール44の端部には弁体400が設けられる。弁体400の下端は内レール44に固定され、弁体400は発射球案内通路43の出口を塞ぐように配設される。弁体400は、金属板からなる板ばね部材であり、発射球案内通路43から遊技領域31に発射される遊技球の通過を許容する一方、遊技領域31側から発射球案内通路43への遊技球の逆流を禁止する。
本実施形態の遊技機1は、遊技状態に応じて遊技者が左打ち又は右打ちを行うように構成されており、遊技開始直後等の通常遊技状態や大当り遊技状態後に時短状態が発生しない場合には遊技者によって左打ちが行われる。なお、遊技者が遊技状態に応じた打ち分けをしやすいように、変動表示装置35の表示部35aには左打ち又は右打ちの指示が表示される。
左打ちが行われる場合には、遊技球はセンターケース34の左側方の遊技領域31を流下して、第1始動入賞口37や第1始動入賞口37の左側に配設された一般入賞口40に入賞するか、遊技領域31の最下部に設けられたアウト口42から遊技機1の外部に排出される。ワープ通路200を通ってステージ部80に導かれた遊技球も第1始動入賞口37に入賞したり、第1始動入賞口37の左側の一般入賞口40に入賞したりする。なお、一般入賞口40や第1始動入賞口37に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。
第1始動入賞口37に遊技球が入賞すると、状態表示器50で第1特図変動表示ゲームが実行されるとともに、第1特図変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームが変動表示装置35で実行される。変動表示装置35では、三つの数字等で構成される識別情報が順に変動表示する飾り特図変動表示ゲームが開始され、飾り特図変動表示ゲームに関する画像が表示部35aに表示される。第1始動入賞口37への遊技球の入賞が所定タイミングでなされた場合には、第1特図変動表示ゲームの結果が特別結果態様(大当り)となり、飾り特図変動表示ゲームでは三つの表示図柄が揃った状態で停止する。この場合には、第1変動入賞装置41の開閉扉41aが開いて、大当り遊技状態(特別遊技状態)となる。
大当り遊技状態中は、遊技球を第1変動入賞装置41の大入賞口へ入賞させるために、遊技者は右打ちを行うことになる。右打ちが行われる場合には、遊技球はセンターケース34の右側方の遊技領域31を流下する。第1変動入賞装置41の大入賞口は、所定時間経過するまで又は所定数の遊技球が大入賞口に入賞するまで、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)となる。大入賞口に遊技球が入賞することによって、遊技者には多くの遊技球を獲得可能な遊技価値が付与される。大入賞口に所定個数の遊技球が入賞するか、大入賞口の開放から所定時間が経過するかの何れかの条件が達成されるまで大入賞口を開放することを1ラウンドとし、これが所定ラウンド数(例えば、15回又は2回)継続される。
ところで、大当り時の停止図柄が特定の図柄等である場合には、大当り遊技状態後の遊技状態が時短状態となる。時短状態は、特図変動表示ゲーム(第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲーム)が100回行われるまで継続される。時短状態中においては、遊技機1は、遊技者が右打ちを行うように設定されている。なお、大当り遊技状態後に時短状態が発生しない場合には、変動表示装置35の表示部35aに左打ちの指示が表示され、遊技者によって左打ちが行われる。
時短状態中に右打ちが行われ、遊技球が普図始動ゲート36を通過すると、状態表示器50で普図変動表示ゲームが開始される。普図始動ゲート36への遊技球の通過が所定のタイミングでなされた場合には普図変動表示ゲームの結果が当りとなる。この場合には、装飾板39の後方に位置する第2始動入賞口38(図5参照)の可動受入部が普電ソレノイド27(図3参照)の駆動力に基づいて遊技領域31の前方に突出し、第2始動入賞口38への遊技球の入賞可能性が高められる。
第2始動入賞口38に遊技球が入賞すると、状態表示器50で第2特図変動表示ゲームが実行される。第2始動入賞口38への遊技球の入賞が所定タイミングでなされた場合には、第2特図変動表示ゲームの結果が当り(小当り)となる。この場合には、第2変動入賞装置100の開閉部102が開いて、小当り遊技状態となる。なお、第2始動入賞口38に遊技球が入賞した時に、状態表示器50において第2特図変動表示ゲームを実行し、第2特図変動表示ゲームに対応する飾り特図変動表示ゲームを変動表示装置35で実行して、第2特図変動表示ゲームの結果が当り(小当り)となった場合は飾り特図変動表示ゲームで対応する結果(例えば、三つの表示図柄が「1、2、3」等、特定の並び順で揃った状態で停止)を表示するようにしてもよい。
小当り遊技状態では、第2変動入賞装置100の開閉部102が受入口101を開いて、遊技球が第2変動入賞装置100内に流入しやすい状態となる。第2変動入賞装置100内に流入した遊技球は、特別入賞口103(図9参照)又は一般入賞口104(図9参照)に振り分けられる。振り分けられた遊技球が特別入賞口103に入賞した場合には、第1変動入賞装置41の開閉扉41aが開いて、大当り遊技状態(特別遊技状態)となる。これに対して、遊技球が一般入賞口104に入賞した場合には、大当り遊技状態は発生しない。このように第2変動入賞装置100は、遊技球が特別入賞口103に入賞した場合に、一般入賞口104に入賞した場合よりも遊技者に有利な遊技状態を発生させる。
なお、時短状態終了後には、変動表示装置35の表示部35aに左打ちの指示が表示され、遊技者によって左打ちが行われる。上記の通り、本実施形態の遊技機1では、遊技者が左打ち又は右打ちを行いながら遊技が進行する。
次に、図3及び図4を参照して、遊技機1に備えられる遊技制御装置600及び演出制御装置700について説明する。
図3は、遊技機1の遊技制御装置600を中心とする制御系を示すブロック構成図である。図4は、遊技機1の演出制御装置700を中心とする制御系を示すブロック構成図である。
図3に示す遊技制御装置600は、遊技機1における遊技を統括的に制御する主制御装置(主基板)である。遊技制御装置600には、電源装置800、払出制御装置640、及び演出制御装置700が接続される。遊技制御装置600は、払出制御装置640や演出制御装置700に制御信号(コマンド)を送信し、各種処理の実行を指示する。さらに、遊技制御装置600には、各種スイッチや制御対象のソレノイド等が接続される。
遊技制御装置600は、各種演算処理を行うCPU部610と、各種信号の入力を受け付ける入力部620と、各種信号や制御信号を出力する出力部630とを備える。CPU部610、入力部620及び出力部630は、互いにデータバス680によって接続される。
入力部620は、遊技盤30等に設けられた各種スイッチから出力される信号や払出制御装置640から出力される信号を受け付ける。この入力部620は、近接インターフェース(I/F)621及び入力ポート622、623を備える。
入力ポート622、623は、近接I/F621を介して入力される信号を受け付けたり、外部から入力される信号を直接受け付けたりする。入力ポート622、623に入力した情報は、データバス680を介してCPU部610等に提供される。
近接I/F621は、各種スイッチから出力された信号を受け付け、それら入力信号を変換して入力ポート622に出力するインターフェースである。近接I/F621には、第1始動口スイッチ601、第2始動口スイッチ602、ゲートスイッチ603、入賞口スイッチ604a〜604n、及びカウントスイッチ605が接続される。
第1始動口スイッチ601は、遊技球が第1始動入賞口37に入賞したことを検出するスイッチである。第2始動口スイッチ602は、遊技球が第2始動入賞口38に入賞したことを検出するスイッチである。ゲートスイッチ603は、遊技球が普図始動ゲート36を通過したことを検出するスイッチである。入賞口スイッチ604a〜604nは、遊技球が一般入賞口40に入賞したことを検出するスイッチである。
第1始動口スイッチ601及び第2始動口スイッチ602の検出信号は、入力ポート622に出力されるとともに、CPU部610の反転回路612を介して遊技用マイコン611に出力される。これは、遊技用マイコン611の信号入力端子がロウレベルを有効レベルとして検知するように設計されているためである。
カウントスイッチ605は、遊技球が大入賞口に入賞したことを検出するスイッチである。カウントスイッチ605によって遊技球の入賞が検出されると、入賞した遊技球の数がカウントされ、カウントされた遊技球の数が遊技制御装置600に備えられたメモリに記憶される。
近接I/F621への入力信号の電圧は、通常時には所定範囲内となっているため、近接I/F621によれば、各種スイッチからの信号の電圧値に基づいて各種スイッチにおけるリード線の断線、ショート、電圧値異常等を検出できる。このような異常を検出すると、近接I/F621は、異常検知出力端子から異常を示す信号を出力する。
なお、近接I/F621に接続されるスイッチのコネクタの着脱によって、近接I/F621に入力される信号の出力値(ON/OFF)が切り替わるため、近接I/F621はスイッチが接続されていない場合であっても出力を一定に維持するように構成されている。
また、入力ポート622には磁気センサスイッチ23及び振動センサスイッチ24からの信号が直接入力され、入力ポート623には前面枠開放検出スイッチ(SW)25及びガラス枠開放検出スイッチ(SW)26からの信号が直接入力される。入力ポート623には、払出制御装置640からの各種信号も入力される。
磁気センサスイッチ23は、発射された遊技球の軌道を磁石によって操作する不正行為を検出するために磁力を検出する。振動センサスイッチ24は、遊技機1を振動させる不正行為を検出するために遊技機1の振動を検出する。
前面枠開放検出SW25は、前面枠5が開放されたことを検出する。前面枠開放検出SW25は、前面枠5が本体枠2から開放されるとオンに設定され、前面枠5が本体枠2に閉止されるとオフに設定される。
ガラス枠開放検出SW26は、ガラス枠6が開放されたことを検出する。ガラス枠開放検出SW26は、ガラス枠6が前面枠5から開放されるとオンに設定され、ガラス枠6が前面枠5に閉止されるとオフに設定される。
遊技制御装置600のCPU部610は、遊技用マイコン611と、反転回路612と、水晶発振器613とを備える。
遊技用マイコン611は、CPU611a、ROM611b、及びRAM611cを有しており、入力部620を介して入力された信号に基づいてROM611bに記憶されたプログラムを実行して大当り抽選等の各種処理を実行する。遊技用マイコン611は、出力部630を介して、遊技状態報知LED12や状態表示器50等から構成される一括表示装置、普電ソレノイド27、大入賞口ソレノイド28、第1ソレノイド111、第2ソレノイド113、演出制御装置700、及び払出制御装置640に制御信号を送信し、遊技機1を統括的に制御する。遊技用マイコン611は、チップセレクトで、信号を入力又は出力するポートを選択している。
ROM611bは、不揮発性の記憶媒体であり、遊技制御のためのプログラムやデータ等を記憶する。
RAM611cは、揮発性の記憶媒体であり、遊技制御に必要な情報(例えば、乱数値など)を一時的に記憶するワークエリアとして利用される。
反転回路612は、近接I/F621を介して入力された信号(第1始動口スイッチ601及び第2始動口スイッチ602からの信号)の論理値を反転させて遊技用マイコン611に出力する。
水晶発振器613は、タイマ割込み、システムクロック信号、大当り抽選等を行うためのハード乱数の動作クロック源として構成されている。
遊技制御装置600の出力部630は、ポート631a〜631eと、バッファ632a、632bと、ドライバ633a〜633dと、フォトカプラ634とを備える。
ポート631a〜631eは、データバス680を介して入力された信号を受け付ける。
バッファ632a、632bは、データバス680やポート631a、631bを介して入力された信号を一時的に保持する。
ドライバ633a〜633dは、ポート631c〜631eを介して入力される信号から各種駆動信号を生成して各装置に出力する。
フォトカプラ634は、外部の検査装置670に接続可能に構成されており、入出力される各種信号からノイズを除去して各種信号の波形を整形する。フォトカプラ634と検査装置670との間は、シリアル通信によって情報が送受信される。
払出制御装置640には、ポート631aを介してパラレル通信によってCPU部610から出力された情報が送信される。払出制御装置640に対しては片方向通信を担保する必要がないため、ポート631aから払出制御装置640の払出制御基板に制御信号が直接送信される。
払出制御装置640は、遊技制御装置600からの賞球指令信号に基づいて払出ユニット(図示省略)から賞球を排出させたり、カードユニット(図示省略)からの貸球要求信号に基づいて払出ユニットから貸球を排出させたりする。払出制御装置640は、球切れや故障等の障害が発生した場合に、払出異常ステータス信号やシュート球切れスイッチ信号、オーバーフロースイッチ信号を遊技制御装置600に出力する。
払出異常ステータス信号は、遊技球の払い出しが正常に行われていない場合に出力される信号である。払出シュート球切れスイッチ信号は、払い出し前の遊技球が不足している場合に出力される信号である。オーバーフロースイッチ信号は、下皿14(図1参照)に所定量以上の遊技球が貯留されている場合に出力される信号である。
演出制御装置700には、出力部630のポート631aからのデータストローブ信号(SSTB)及びポート631bからの8bitのデータ信号がバッファ632aを介して入力する。データストローブ信号(SSTB)は、データの有効又は無効を示す1bitの信号である。バッファ632aからの8+1bitの信号(サブコマンド)は、パラレル通信で出力される。バッファ632aは、演出制御装置700から遊技制御装置600に信号を送信できないようにして片方向通信を担保するために設けられている。演出制御装置700に送信されるサブコマンドには、変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等の演出制御指令信号が含まれる。
大入賞口ソレノイド28、第1ソレノイド111、第2ソレノイド113、及び普電ソレノイド27には、ポート631c及びドライバ633aを介して、CPU部610から出力された信号が入力する。大入賞口ソレノイド28は第1変動入賞装置41の開閉扉41a(図2参照)を回動させ、普電ソレノイド27は装飾板39の後方に配置される第2始動入賞口38の可動受入部を前後方向に移動させる。第1ソレノイド111は第2変動入賞装置100の開閉部102(図10(A)参照)を開閉させ、第2ソレノイド113は第2変動入賞装置100の振分部170(図10(A)参照)を回動させる。
一括表示装置は、遊技状態報知LED12及び状態表示器50等から構成されている。一括表示装置のLEDのアノード端子はセグメント線を介してドライバ633cに接続し、このドライバ633cとポート631dとが接続している。一括表示装置のLEDのカソード端子はデジット線を介してドライバ633bと接続し、このドライバ633bとポート631cとが接続している。一括表示装置のLEDのアノード端子にはドライバ633cからのオン/オフ駆動信号が入力され、一括表示装置のLEDのカソード端子からはドライバ633bにオン/オフ駆動信号が出力される。
外部情報端子660は、変動表示ゲームの開始を示すスタート信号や大当り遊技状態の発生を示す特賞信号等の遊技データを情報収集端末装置に出力するための端子である。遊技データは、ポート631e及びドライバ633dを介して外部情報端子660に出力される。
遊技制御装置600は、中継基板650を介して、外部の試射試験装置に接続可能に構成されている。試射試験装置は、所定機関において遊技機1の型式試験を行うための装置である。試射試験装置には、第1始動口スイッチ601、第2始動口スイッチ602、ゲートスイッチ603、入賞口スイッチ604a〜604n、及びカウントスイッチ605からの信号や、大入賞口ソレノイド28、第1ソレノイド111、第2ソレノイド113、及び普電ソレノイド27に出力される信号等、試射試験に必要な信号が入力される。
遊技制御装置600は、入力部620に設けられるシュミット回路624を介して、電源装置800に接続している。シュミット回路624は、電源の立ち上がり時や電源遮断時において遊技機1の動作が不安定になることを防ぐために、入力信号の揺らぎ(ノイズ)を除去する回路である。シュミット回路624には、電源装置800からの停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号が入力される。
電源装置800は、24Vの交流電源からDC32Vの直流電圧を生成するAC−DCコンバータや、DC32Vの電圧からDC12V、DC5V等のより低いレベルの直流電圧を生成するDC−DCコンバータを有する通常電源部810と、遊技用マイコン611の内部のRAM611cに対して停電時に電源電圧を供給するバックアップ電源部820と、停電監視回路や初期化スイッチを有し、遊技制御装置600に停電の発生、回復を知らせる停電監視信号や初期化スイッチ信号、リセット信号等の制御信号を生成して出力する制御信号生成部830とを備える。
バックアップ電源部820は、遊技用マイコン611のRAM611cに記憶された遊技データをバックアップするための電源である。遊技制御装置600は、停電復旧後、RAM611cに保持された遊技データに基づいて、停電前の遊技状態に復旧させる。
制御信号生成部830は、DC12V及びDC5Vを生成するスイッチングレギュレータの入力電圧(保証DC32V)を監視する。検出電圧がDC17.2V〜DC20.0Vのときに停電と判定し、制御信号生成部830から停電監視信号が出力される。停電監視信号は、シュミット回路624を経由して、入力部620の入力ポート623に入力する。停電監視信号の出力後には、停電監視回路はリセット信号を出力する。リセット信号は、シュミット回路624を経由して、遊技用マイコン611及び出力部630の各ポート631a〜631eに入力する。遊技制御装置600は、停電監視信号を受け付けると所定の停電処理を行い、リセット信号を受け付けた後にCPU部610の動作を停止させる。
制御信号生成部830は初期化スイッチ(図示省略)を備えており、電源投入時に初期化スイッチがON状態となっている場合に、制御信号生成部830から初期化スイッチ信号が出力される。初期化スイッチ信号は、シュミット回路624を介して、入力部620の入力ポート623に入力する。初期化スイッチ信号は、遊技用マイコン611のRAM611c及び払出制御装置640のRAMに記憶されている情報を強制的に初期化する信号である。
図4に示す演出制御装置700は、遊技制御装置600の遊技用マイコン611と同様にアミューズメントチップ(IC)からなる主制御用マイコン(1stCPU)710と、主制御用マイコン710の制御下で映像制御等を行う映像制御用マイコン(2ndCPU)720と、映像制御用マイコン720からのコマンドやデータに従って変動表示装置35(図2参照)への映像表示のための画像処理を行うVDP(Video Display Processor)730と、各種メロディや効果音等を上スピーカ10a及び下スピーカ10bから再生させる音源LSI705とを備える。
主制御用マイコン710と映像制御用マイコン720には、各CPUが実行するプログラムを格納したPROM(Programmable Read Only Memory)702、703がそれぞれ接続され、VDP730にはキャラクタ画像や映像データが記憶された画像ROM704が接続され、音源LSI705には音声データが記憶された音声ROM706が接続されている。主制御用マイコン710は、遊技制御装置600の遊技用マイコン611からのコマンドを解析し、映像制御用マイコン720へ出力映像の内容を指示したり、音源LSI705への再生音の指示、LED等の点灯、モータの駆動制御、演出時間の管理等の処理を実行したりする。
主制御用マイコン710と映像制御用マイコン720の作業領域を提供するRAM711、721は、それぞれのチップ内部に設けられている。なお、作業領域を提供するRAM711、721はチップの外部に設けるようにしてもよい。
主制御用マイコン710と映像制御用マイコン720との間、主制御用マイコン710と音源LSI705との間は、それぞれシリアル方式でデータの送受信が行われるように構成されている。これに対して、主制御用マイコン710とVDP730との間は、パラレル方式でデータの送受信が行われるように構成されている。パラレル方式でデータを送受信することで、シリアル方式の場合よりも短時間にコマンドやデータを送信することができる。
VDP730には、画像ROM704から読み出されたキャラクタ等の画像データを展開したり加工したりするのに使用される超高速なVRAM(ビデオRAM)731、画像を拡大、縮小処理するためのスケーラ732、及びLVDS(小振幅信号伝送)方式で変動表示装置35へ送信する映像信号を生成する信号変換回路733が設けられる。
VDP730から主制御用マイコン710へは、変動表示装置35の映像と、前面枠5や遊技盤30に設けられるLED等の点灯とを同期させるために垂直同期信号VSYNCが出力される。また、VDP730から映像制御用マイコン720へは、VRAM731への描画の終了等処理状況を知らせるため割込み信号INT0〜n及び映像制御用マイコン720からのコマンドやデータの受信待ちの状態にあることを知らせるためのウェイト信号WAITが出力される。
映像制御用マイコン720から主制御用マイコン710へは、映像制御用マイコン720が正常に動作していることを知らせるとともにコマンドの送信タイミングを与える同期信号SYNCが出力される。
主制御用マイコン710と音源LSI705との間においては、ハンドシェイク方式でコマンドやデータの送受信を行うために、呼び掛け信号CTSと応答信号RTSが交換される。
なお、映像制御用マイコン720には、主制御用マイコン710よりも高速なCPUが使用されている。主制御用マイコン710とは別に映像制御用マイコン720を設けて処理を分担させることによって、主制御用マイコン710のみでは実現困難な大画面で動きの速い映像を変動表示装置35に表示させることが可能となるとともに、映像制御用マイコン720と同等な処理能力を有するCPUを2個使用する場合に比べてコストの上昇を抑制することができる。
演出制御装置700は、遊技制御装置600から送信されるコマンドを受信するためのインタフェースチップ(コマンドI/F)701を備えている。演出制御装置700は、コマンドI/F701を介して、遊技制御装置600から送信された変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を演出制御指令信号として受信する。遊技制御装置600の遊技用マイコン611はDC5Vで動作し、演出制御装置700の主制御用マイコン710はDC3.3Vで動作するため、コマンドI/F701には信号のレベル変換の機能が設けられている。
演出制御装置700には、センターケース34や遊技盤30に設けられるLED等を含む盤装飾装置760を制御する盤装飾LED制御回路741、前面枠5等に設けられるLED等を含む枠装飾装置21を制御する枠装飾LED制御回路742、変動表示装置35における演出表示と協働して演出効果を高める電動役物や演出装置70等を含む盤演出装置770を駆動制御する盤演出モータ/SOL(ソレノイド)制御回路743、可動式照明9の照明駆動モータ等を含む枠演出装置22を駆動制御する枠演出モータ制御回路744が設けられている。これら制御回路741〜744は、アドレス/データバス740を介して主制御用マイコン710に接続されている。
また、演出制御装置700には、演出ボタン17(図1参照)が操作されたことを検知する演出ボタンスイッチ(SW)751や各種駆動モータが駆動されたことを検知する演出モータスイッチ(SW)752a〜752nのオン/オフ状態を検出して主制御用マイコン710へ検出信号を送信するスイッチ(SW)入力回路750、上スピーカ10a及び下スピーカ10bを駆動するオーディオパワーアンプ等からなるアンプ回路707、708が設けられている。
電源装置800の通常電源部810は、演出制御装置700及び当該演出制御装置700によって制御される電子部品に対して所定レベルの直流電圧を供給するために、複数種類の電圧を生成可能に構成されている。具体的には、駆動モータやソレノイドを駆動するためのDC32V、液晶パネル等からなる変動表示装置35を駆動するためのDC12V、コマンドI/F701の電源電圧となるDC5Vの他に、上スピーカ10a及び下スピーカ10bを駆動するためのDC18Vや、これらの直流電圧の基準としたり、電源モニタランプを点灯させたりするのに使用するNDC24Vの電圧を生成することが可能となっている。
電源装置800の制御信号生成部830により生成されたリセット信号RSTは、主制御用マイコン710、映像制御用マイコン720、VDP730、音源LSI705、各種制御回路741〜744、707、708に供給され、これらをリセット状態にする。電源装置800は、映像制御用マイコン720の有する汎用のポートを利用して、VDP730に対するリセット信号を生成して供給する機能を有している。これにより、映像制御用マイコン720とVDP730の動作の連携性を向上させることができる。
次に、図5及び図6を参照して、遊技機1のセンターケース34及び制御ベースユニット60について説明する。図5は、遊技盤30、センターケース34、及び制御ベースユニット60の斜視図である。図6は、センターケース34の分解斜視図である。
図5に示すように、センターケース34は遊技盤30の前面に取り付けられ、制御ベースユニット60は遊技盤30の裏面に取り付けられる。
制御ベースユニット60は、遊技盤30の裏面に設置される枠状の制御ベース61と、制御ベース61の前面に配設される演出装置70と、制御ベース61の裏面に配設される変動表示装置35とを備える。
制御ベース61には、演出装置70を収容可能な収容部61aと、変動表示装置35の表示部35aが臨む開口部61bとが形成されている。変動表示装置35は制御ベース61の裏面に取り付けられており、変動表示装置35の表示部35aは開口部61bを介して視認可能となっている。
演出装置70を構成する第1可動演出装置71及び第2可動演出装置500は、開口部61bの外縁に沿うように収容部61a内に収容される。
図5及び図6に示すように、センターケース34は、開口部34aを有する異形リング状部材であり、合成樹脂にて形成されている。センターケース34は、遊技盤30に形成された開口30aに嵌装される嵌装部34bと、嵌装部34bに対して鍔状に形成される鍔部34cとからなり、鍔部34cを介して遊技盤30に固定される。したがって、センターケース34は、鍔部34cよりも前方側が遊技領域31内に配設されることになる。
センターケース34は、鍔部34cから前方に立設して形成され、遊技領域31を流下する遊技球を案内するガイド部340を有している。ガイド部340は、センターケース34の上部において開口部34aに沿うように形成される。
センターケース34には、変動表示装置35の前方で、かつステージ部80の右側方に、前述した小当り遊技を実施可能な第2変動入賞装置100が設けられる。第2変動入賞装置100は、受け入れた遊技球を特別入賞口103(図9参照)又は一般入賞口104(図9参照)に振り分け、振り分けられた遊技球が入賞した入賞口に応じて所定の遊技状態を発生させる。
<第2変動入賞装置>
図7〜図10を参照して、第2変動入賞装置100について説明する。
図7は、前方から見た第2変動入賞装置100の分解斜視図である。図8は、後方から見た第2変動入賞装置100の分解斜視図である。図9は、第2変動入賞装置100の裏面図である。図10(A)〜(D)は、第2変動入賞装置100での遊技球の振り分けを説明する図である。なお、図10(A)及び図10(B)は遊技球を特別入賞口103に振り分ける場合を示し、図10(C)及び図10(D)は遊技球を一般入賞口104に振り分ける場合を示す。
図7及び図8に示すように、第2変動入賞装置100は、センターケース34に固定されるベース部材110と、ベース部材110の前面を覆うカバー部材120と、ベース部材110とカバー部材120との間に配設される仕切部材130と、を備える。
カバー部材120の前面にはメッキ加工された装飾部121が設けられており、カバー部材120の上部には遊技領域31(図2参照)を流下する遊技球を第2変動入賞装置100内に受け入れ可能な受入口101が形成されている。
また、カバー部材120の前面には、受入口101と対応する位置に開閉部102が設けれられる。開閉部102は、第1ソレノイド111によって駆動され、受入口101の状態を遊技球の受け入れ可能な開状態と遊技球の受け入れ不能な閉状態とに変換する。なお、第1ソレノイド111は、ステー112を介してベース部材110の裏面に配設される。
開閉部102の下端には回動軸141が設けられており、回動軸141はカバー部材120の前後方向に形成された軸受孔123に回動可能に支持される。カバー部材120の裏面から突出した回動軸141の端部は、第1ソレノイド111のアーム144と連結するリンク142(図8参照)の一端に固定される。リンク142の他端には係合軸143が設けられ、係合軸143は第1ソレノイド111のプランジャに固定されたアーム144の係合孔144aに係合している。第1ソレノイド111の駆動力は、アーム144及びリンク142を介して回動軸141に伝達される。第1ソレノイド111の駆動力に基づいて回動軸141が回動することで、開閉部102は受入口101の開閉状態を変換する。
なお、開閉部102の上端には規制軸145が設けられており、規制軸145はカバー部材120の前面に円弧状に形成された規制溝122と係合する。規制軸145の移動範囲は規制溝122によって規制され、これにより開閉部102の回動範囲が規制される。
図9に示すように、第2変動入賞装置100の内部には、ベース部材110、カバー部材120、及び仕切部材130によって、受入口101から受け入れた遊技球を流下させる流下通路150が形成される。流下通路150は、上下方向に蛇行して形成される。なお、図9では、流下通路150の理解を容易にするため、ベース部材110の記載を省略している。
流下通路150は、受入口101から受け入れた遊技球を流下させる上部通路151と、上部通路151の下流端部から分岐して遊技球を下流の一般入賞口104に導く第1通路152と、上部通路151の下流端部から分岐して遊技球を下流の特別入賞口103に導く第2通路153と、特別入賞口103を通過した遊技球を遊技機1の外部に導く排出通路154と、一般入賞口104を通過した遊技球を排出通路154の上流部に導く合流通路155と、を備える。
上部通路151は、受入口101から流下してきた遊技球を、上下方向から左右方向に導くように湾曲して形成される。上部通路151は前後方向に幅を持って形成された通路であり、受入口101は上部通路151の前側寄りに遊技球を流下させる。
上部通路151の上流部には、第2変動入賞装置100内に遊技球が流入したことを検出する遊技球検出センサ161が設けられる。遊技球の通過を遊技球検出センサ161が検出した場合には、所定数の賞球が遊技者に払い出される。なお、上部通路151内に不正な遊技球が滞留していないかを検出するため、遊技球検出センサ161よりも上流位置にさらに遊技球検出センサを設置するようにしてもよい。
上部通路151の前側寄りの下流端部には第1通路152が連接され、上部通路151の後側寄りの下流端部には第2通路153が連接される。このように第2通路153は、第1通路152の後方に、第1通路152と並行して設けられる。受入口101は上部通路151の前側寄りに遊技球を流下させるので、受入口101から受け入れられた遊技球は上部通路151から第1通路152に向かって流下する。
第1通路152の遊技球転動面152a及び第2通路153の遊技球転動面153aは、仕切部材130によって形成されている。第1通路152と第2通路153とは、遊技球転動面152aと遊技球転動面153aの間に遊技球流下方向に亘って突出形成されたリブ状の壁部156によって隔てられている。
なお、第1通路152の遊技球転動面152aを第2通路153の遊技球転動面153aよりも低い位置に形成することによって、第1通路152と第2通路153とを隔てるようにしてもよい。
第1通路152の下流端部は、上下方向に開口した一般入賞口104と連接している。一般入賞口104には、遊技球が一般入賞口104を通過したことを検出する遊技球検出センサ162(図7参照)が設けられる。
第2通路153の下流端部は、上下方向に開口した特別入賞口103と連接している。特別入賞口103は一般入賞口104の後方に配設される。特別入賞口103には、遊技球が特別入賞口103を通過したことを検出する遊技球検出センサ163が設けられる。遊技球の特別入賞口103の通過を遊技球検出センサ163が検出した場合には、大当り遊技状態(特別遊技状態)となる。
排出通路154は、特別入賞口103に接続しており、遊技球を上下方向から左右方向に導くように湾曲して形成される。排出通路154は、上部通路151の遊技球転動方向(図9において右方向)とは逆方向(図9において左方向)に遊技球を転動させるように構成されている。排出通路154の上流部には、合流通路155が接続している。
合流通路155は、一般入賞口104と排出通路154とを連通する通路である。合流通路155は、前方から後方に向かって湾曲して形成されており、一般入賞口104を通過した遊技球を排出通路154の上流部に導く。
特別入賞口103又は一般入賞口104を通過した遊技球は、排出通路154を通って遊技機1の外部に導かれる。
上記した第2変動入賞装置100は、受入口101から受け入れた遊技球を特別入賞口103又は一般入賞口104に振り分けるための振分部170をさらに備える。
図9及び図10(B)に示すように、振分部170は略L字状の部材であって、振分部170の基端部171は仕切部材130に回転可能に軸支される。第1通路152側の上部通路151の下流端部には上下方向に貫通する切欠部151aが形成されており、振分部170の先端部172は切欠部151aを通過可能に配設される。振分部170は第2ソレノイド113(図8参照)の駆動力に基づいて回動し、振分部170の回動状態に応じて先端部172が上部通路151内に出没可能となっている。
振分部170は、後方に延設される回動軸173を有している。振分部170の回動軸173は、第2ソレノイド113(図3、図8参照)のプランジャと接続するリンク174(図8参照)の下端部に連結される。第2ソレノイド113は、ステー112を介してベース部材110の裏面に配設される。ステー112には、第1ソレノイド111及び第2ソレノイド113が隣接状態で設置されている。
次に、図10(A)〜図10(D)を参照して、第2変動入賞装置100での遊技球の振り分けについて説明する。
図10(A)及び図10(B)に示すように、小当り遊技状態となると第1ソレノイド111がオンにされ、開閉部102が回動して受入口101(図7参照)が開状態となる。開閉部102が回動してから所定時間経過した時(振分条件成立時)に、第2ソレノイド113がオンにされ、振分部170が上方に向かって回動する。これにより振分部170の先端部172が、切欠部151aを介して、上部通路151の遊技球転動面から突出する。上部通路151内に突出した先端部172は、上部通路151を転動してきた遊技球が第1通路152へと流下するのを規制する。上部通路151の前側寄りを流下してきた遊技球は、先端部172に衝突して第2通路153へと導かれ、第2通路153を通って特別入賞口103に振り分けられる。特別入賞口103を通過した遊技球は、排出通路154(図9参照)を通って遊技機1の外部に排出される。
第2ソレノイド113がオンにされてから所定時間経過した時(振分条件不成立時)には、第2ソレノイド113はオフにされ、図10(C)及び図10(D)に示すように振分部170は下方に向かって回動する。これにより、振分部170の先端部172は上部通路151の遊技球転動面から突出しなくなる。したがって、受入口101から上部通路151に流入した遊技球は、そのまま第1通路152へと導かれ、一般入賞口104に振り分けられる。一般入賞口104を通過した遊技球は、合流通路155(図9参照)から排出通路154(図9参照)を通って遊技機1の外部に排出される。
上記した第2変動入賞装置100によれば、以下の効果を得ることができる。
変動表示装置35の前方及びステージ部80の側方に配設される第2変動入賞装置100は、受入口101の開閉状態を変換する開閉部102と、受入口101から受け入れた遊技球を流下させる上部通路151と、遊技球を一般入賞口104に導くように上部通路151の下流端から分岐する第1通路152と、第1通路152の後方に並行して配設され遊技球を特別入賞口103に導くように上部通路151の下流端から分岐する第2通路153と、振分条件成立時に上部通路151を流下する遊技球の流下方向を第2通路153側に変換可能な振分部170と、を備える。なお、振分部170は、振分条件不成立時には、上部通路151を流下する遊技球の流下方向を第1通路側に設定する。第1通路152及び第2通路153を前後方向に並設することによって遊技球を前後方向に振り分けるので、従来技術のように遊技球を左右方向に振り分ける場合と比較して、第2変動入賞装置100の左右方向の形状をコンパクト化できる。これにより、第2変動入賞装置100の側方に設けられるステージ部80の配設領域を確保することが可能となる。
また、第2変動入賞装置100の上部通路151の遊技球転動面には切欠部151aが形成されており、振分部170の先端部172が切欠部151aを介して上部通路151内に出没可能となっている。振分条件成立時には、振分部170の先端部172を上部通路151内に突出させるので、上部通路151からの遊技球は先端部172に衝突して第2通路153へと導かれる。振分条件不成立時には、振分部170の先端部172を上部通路151内に突出させないので、上部通路151からの遊技球は、そのまま第1通路152へと導かれる。このように振分部170の先端部172を上部通路151内に出没させることで、遊技球を確実に振り分けることが可能となる。
第1通路152及び第2通路153は、遊技球流下方向に亘って形成された壁部156によって隔てられるので、遊技球が一方の通路から他方の通路に流れ込むことを防止でき、遊技球を確実に振り分けることが可能となる。
なお、一般入賞口104に連通する第1通路152の遊技球転動面152aを、特別入賞口103に連通する第2通路153の遊技球転動面153aよりも低い位置に形成することによって第1通路152及び第2通路153を隔てるようにすれば、第1通路152から第2通路153への遊技球の流れ込みを抑制できる。したがって、第1通路152を通過した遊技球を確実に一般入賞口104に導くことが可能となる。
<ワープ通路及びステージ部>
図11〜図16を参照して、センターケース34に配設されるワープ通路200について説明する。
図11は、前方から見たセンターケース34の分解斜視図である。図12は、後方から見たセンターケース34の分解斜視図である。図13は、センターケース34の下部の斜視図である。
図11及び図12に示すように、センターケース34は、当該センターケース34の下部を構成する板状の下部構成部材300を備える。センターケース34の左下部における下部構成部材300の前面には、前面装飾部310が取り付けられる。センターケース34の中央下部における下部構成部材300の裏面には、遊技球が転動可能な転動面81を有するステージ部80が取り付けられる。また、下部構成部材300の裏面には、前面装飾部310及びステージ部80の後方に位置するようにカバー部材320が設置される。
図12及び図13に示すように、遊技領域31(図2参照)を流下する遊技球をステージ部80に導くワープ通路200は、前面装飾部310、下部構成部材300、及びカバー部材320によって隔てられた通路として形成される。
ワープ通路200は、遊技領域31からの遊技球を受け入れる受入部201と、受入部201からの遊技球が流入する流入口202と、流入口202からの遊技球をステージ部80の転動面81の一端部に排出する排出口203と、流入口202から排出口203に遊技球を流下させる誘導通路210とを備える。
受入部201は、前面装飾部310と下部構成部材300との間に形成される。受入部201は、左打ちされた遊技球を受け入れやすいように左斜め上方に向かって開口している。受入部201が設けられる前面装飾部310の裏面には、受け入れた遊技球を後方に誘導するガイド部311が形成される。
流入口202は、下部構成部材300の前後方向に貫通して形成された円形開口である。受入部201に受け入れられた遊技球は、ガイド部311によって後方に誘導され、流入口202を通って下部構成部材300の裏面側の誘導通路210内に流れ込む。
図12、図14〜図16を参照して、ワープ通路200を構成する誘導通路210の詳細について説明する。
図14(A)は誘導通路210の裏面図であり、図14(B)は誘導通路210における遊技球の流下を説明する図である。図15(A)〜図15(F)は、2つの遊技球が連続して誘導通路210を流下する場合における遊技球の流下を説明する図である。図16(A)及び図16(B)は、誘導通路210の変形例を説明する図である。
図12及び図14(A)に示すように、誘導通路210は、下部構成部材300の裏面と、下部構成部材300の裏面から後方に突出形成された仕切壁301と、カバー部材320の前面とによって隔てられた通路である。誘導通路210は、流入口202と連通し、遊技球を下方に導くように円弧状に形成される湾曲通路220と、湾曲通路220の下流端から斜め下方に傾斜する傾斜通路230と、傾斜通路230の下流端に設けられ遊技球を排出口203に導く落下通路240と、を備える。
傾斜通路230は、流入口202から排出口203に向かって下り傾斜する通路であって、仕切壁301の一部を構成する上傾斜壁302及び下傾斜壁303とから構成される。傾斜通路230の上傾斜壁302の下流端には鉛直下方に垂れ下がる垂下壁304が形成され、垂下壁304の下端には傾斜通路230内に向かって突出する突起(流下方向変換部)305が形成される。傾斜通路230の下流端に突出形成された突起305は、傾斜通路230を流下してきた遊技球の流下方向を変換する機能を有している。つまり、傾斜通路230を流下してきた遊技球が突起305に衝突することで、遊技球の流下方向は傾斜通路230の傾斜方向から鉛直下方に変換される。
落下通路240は、傾斜通路230の下流端から鉛直方向に延設された通路であって、傾斜通路230と排出口203とを連通する。落下通路240は、仕切壁301の一部を構成する底部241を備える。底部241には、落下通路240を落下してきた遊技球を排出口203に誘導する傾斜面242が形成される。
落下通路240の落下方向長さL(傾斜通路230の下流端から底部241までの距離)は、2つ以上の遊技球が落下方向に並んだ状態で落下不能な長さ、つまり遊技球1個のみが落下可能な長さに設定されている。
なお、上記した誘導通路210を構成する下部構成部材300には、湾曲通路220、傾斜通路230、及び落下通路240に対応して、遊技球の流下をガイドするガイド溝306が形成されている。ガイド溝306は下部構成部材300の前後方向に貫通形成されているので、遊技者はガイド溝306を介して誘導通路210内を流下している遊技球の様子を視認することができる。
図14(B)及び図15(A)〜図15(F)を参照して、ワープ通路200における遊技球の流下について説明する。
図14(B)に示すように、1つの遊技球が受入部201(図13参照)に受け入れられた場合には、遊技球は受入部201から流入口202を介して誘導通路210内に流入する。誘導通路210内に流入した遊技球は、湾曲通路220から傾斜通路230に導かれ、傾斜通路230の下傾斜壁303上を流下する。傾斜通路230を流下した遊技球は、突起305に衝突した後に、落下通路240を鉛直下方に落下する。落下通路240を流下した遊技球は、落下通路240の傾斜面242上に落下し、底部241上を転動して、排出口203からステージ部80の転動面81の一端部に導かれる。
ワープ通路200では、傾斜通路230を流下した遊技球が突起305に衝突することで、遊技球の流下方向が変換されるとともに、遊技球の左右方向の流下速度が低減されるので、排出口203から排出される時の遊技球の流下速度を抑えることができ、ステージ部80に安定的に遊技球を供給することができる。
次に、図15(A)〜図15(F)を参照して、2つの遊技球が並んだ当接状態で誘導通路210を流下する場合について説明する。
2つの遊技球が並んだ当接状態で誘導通路210内に流入すると、2つの遊技球は、図15(A)及び図15(B)に示すように湾曲通路220を通って傾斜通路230に導かれる。2つの遊技球は図15(C)に示すように傾斜通路230を加速しながら流下し、先の遊技球が図15(D)に示すように傾斜通路230の下流端の突起305に衝突する。これにより、先の遊技球は、図15(E)に示すように落下通路240を鉛直下方に落下する。
図15(E)示すように、先の遊技球が底部241(傾斜面242)に当接して落下通路240内に位置している場合には、後の遊技球は傾斜通路230の下流端に位置している。後の遊技球の中心は、先の遊技球の中心に対して、流入口202に近くなるよう水平方向にずれている。このように、傾斜通路230は、2つの遊技球が当接状態で流下して先の遊技球が落下通路240内に位置している場合に、後の遊技球の中心が先の遊技球の中心に対して水平方向にずれるように形成されている。先の遊技球が底部241に当接して落下通路240内に位置している時に、後の遊技球中心が先の遊技球の中心に対して水平方向にずれているので、2つ以上の遊技球が並んだ状態で誘導通路210を流下しても、これら遊技球が落下通路240内で球詰まりすることがない。
図15(E)及び図15(F)に示すように、先の遊技球が落下通路240の傾斜面242上に落下し排出口203を通過すると、後の遊技球が傾斜通路230の突起305に衝突し、落下通路240を鉛直下方に落下する。2つの遊技球が並んで誘導通路210を流下した場合においても、これら遊技球は突起305に衝突して流下速度が低減される。
本実施形態では、落下通路240の底部241に傾斜面242を形成ようにしたが、図16(A)及び図16(B)に示すように傾斜面242を設けなくてもよい。この場合には、底部241は、落下通路240の通路中心と底部241の上面とが略90°となるように設定される。これにより、排出口203から排出される時の遊技球の流下速度をより低減することが可能となる。
上記したワープ通路200によれば、以下の効果を得ることができる。
ワープ通路200の誘導通路210は、流入口202から排出口203に向かって下り傾斜する傾斜通路230と、傾斜通路230を流下してきた遊技球の流下方向を鉛直方向に変換する突起305と、傾斜通路230の下流から鉛直方向に延設される落下通路240と、落下通路240に形成され落下した遊技球を排出口203に導く底部241とを備え、落下通路240の落下方向長さは遊技球1個のみが落下可能な長さに設定される。傾斜通路230を流下した遊技球が突起305に衝突することで、遊技球の左右方向の流下速度が低減されるので、ステージ部80に安定的に遊技球を供給することができる。また、落下通路240の落下方向長さが遊技球1個のみが落下可能な長さに設定されているので、2つ以上の遊技球が並んだ状態で流下する場合において、先の遊技球が落下通路240内に位置している時に後の遊技球は傾斜通路230の下流端に位置し、先の遊技球と後の遊技球とが落下通路240内で上下に並ぶことがなく、落下通路240での球詰まりの発生を防止できる。
傾斜通路230は、先の遊技球が落下通路240に位置している時に、後の遊技球が当該傾斜通路230の下流端に位置して、後の遊技球の中心が先の遊技球の中心に対して流入口202に近く、水平方向にずれるように形成されているので、落下通路240での球詰まりの発生を確実に防止できる。
突起305は、傾斜通路230の下流端において当該傾斜通路230の内部に突出形成される。遊技球が突起305に衝突することで、遊技球の流下方向が変換される。このようにワープ通路200では、簡素な構成で、遊技球の流下方向の変換及び流下速度の低減を実現できる。
次に、図13、図17〜図21を参照して、センターケース34の下部中央に配設されるステージ部80について説明する。
図17は、センターケース34の下部に配設されるステージ部80の正面図である。図18(A)〜図18(C)は、ステージ部80の縦断面図である。図19(A)はステージ部80の斜視図であり、図19(B)はステージ部80の端部の拡大図である。図20は、誘導凹部124を備える第2変動入賞装置100の側面図である。図21は、ステージ部80の端部から遊技領域31に流下する遊技球について説明するタイミングチャートである。
図13及び図17に示すように、ステージ部80は、センターケース34の下部中央に配設される。ステージ部80は、左右方向に延設され、遊技球が転動可能な転動面81を備える。ステージ部80の後方にはカバー部材320が設けられる。カバー部材320の後方には第1可動演出装置71(図2参照)が配設されるが、カバー部材320は透明部材で形成されているので、カバー部材320を介して第1可動演出装置71を視認することができる。
ステージ部80の転動面81は、左右両端部と中央部とが高い波状に形成されている。転動面81の中央部には後方に向かって下り傾斜する第1案内部82が設けられ、第1案内部82の両側方における転動面81には遊技領域31(前方)に向かって下り傾斜する第2案内部83が設けられる。
図13、図18(A)〜図18(C)に示すように、カバー部材320は、転動面81(ステージ部80)の後方において上方に起立する起立壁部321と、転動面81と対向するように起立壁部321から前方に向かって折り返される折返壁部322とから構成される。カバー部材320の起立壁部321と折返壁部322とによって、転動面81を転動する遊技球が変動表示装置35側に流入するのを防止できる。
また、折返壁部322はその先端がステージ部80の前面よりも前方に突出するように形成されるので、ステージ部80の下方の遊技領域31(図2参照)において遊技球が障害釘等に衝突して上方に跳ね上がっても、折返壁部322によって遊技領域31側に跳ね返される。これにより遊技領域31から跳ね上がった遊技球が変動表示装置35側に進入するのを防止できる。
カバー部材320の起立壁部321には、第1案内部82と対応する位置に形成される開口部321a、及び開口部321aとステージ部80の前面下部に開口する流出口84とを連通する連通路321b(図18(B)参照)が形成される。第1案内部82から開口部321aを介して連通路321bに流入した遊技球は、転動面81の下方に誘導され、流出口84から遊技領域31に排出される。
図13に示すように、ワープ通路200からステージ部80に導かれた遊技球は、転動面81上を転動した後、第1案内部82から連通路321bを通って流出口84から遊技領域31に排出されるか、又は第2案内部83から遊技領域31へと排出される。ステージ部80の流出口84は第1始動入賞口37の直上方に形成されるのに対して第2案内部83は第1始動入賞口37の左右側にずれて配設されているため(図2参照)、流出口84から排出される遊技球の方が第2案内部83から排出される遊技球よりも第1始動入賞口37へ誘導される確率が高くなる。
図11及び図18(A)に示すように、カバー部材320は、ステージ部80の転動面81に沿って設けられ、起立壁部321の前面から前方に突出する突部323を備える。カバー部材320がステージ部80の後方に設置された状態では、起立壁部321の突部323の下面が転動面81に当接する。突部323は、カバー部材320をステージ部80に設置する際に位置決め部材として機能する。また、突部323は転動面81を転動する遊技球が起立壁部321に接触するのを防止するスペーサとしても機能するので、起立壁部321の損傷が回避される。起立壁部321に傷が付き難いので、カバー部材320の後方に配設される第1可動演出装置71(図2参照)の演出動作が視認不能となるのを抑制できる。
図19(A)及び図19(B)に示すように、ステージ部80の右側方には、第2変動入賞装置100が配設される。第2変動入賞装置100のカバー部材120の左側部には誘導凹部124が形成されており、この誘導凹部124はステージ部80の転動面81の右端部と連続するように構成されている。誘導凹部124は、転動面81を転動してきた遊技球を前方に誘導する。
ワープ通路200を通過してステージ部80の左端部に供給された遊技球は、転動面81上を右端部に向かって転動する。ワープ通路200通過時に遊技球の流下勢は抑制されるので、ワープ通路200から供給された遊技球は転動面81を緩やかに転動する。転動面81上を複数の遊技球が転動している場合等には遊技球同士が衝突し、衝突状態によっては遊技球が勢いよく転動面81の右端部に向かって転動する。ある程度の速度を有する遊技球が転動面81の右端部に向かって転動すると、遊技球は、転動面81の右端部から誘導凹部124に到達し、図19(B)及び図20に示すように誘導凹部124によって前方に導かれて遊技領域31(図2参照)側に流下する。誘導凹部124は第1変動入賞装置41の開閉扉41a(図2参照)の直上方に形成されているため、誘導凹部124を通った遊技球は開閉扉41a上方の遊技領域31に排出されることになる。
図21のタイミングチャートを参照して、誘導凹部124を通って遊技領域31に落下した遊技球の大入賞口への入賞について説明する。
図21に示すように、遊技機1では遊技開始時等に左打ちが行われており、遊技球が第1始動入賞口37に入賞すると、第1特図変動表示ゲームが実行される。第1特図変動表示ゲームの結果が当りの場合には、変動表示装置35に表示された三つの特別図柄が揃った状態で停止し、大当り遊技が開始される。大当り遊技状態となると、第1変動入賞装置41の開閉扉41aが開放されるため、遊技者は左打ちを止めて右打ちを開始する。この時点では、左打ちをしていた時の遊技球がステージ部80の転動面81を転動していることがある。誘導凹部124は第1変動入賞装置41の開閉扉41aの直上方に位置しているため、開閉扉41aが開いているタイミングで、転動面81を転動していた遊技球が誘導凹部124から遊技領域31に流下すると、その遊技球は第1変動入賞装置41の大入賞口に入賞しやすい。このように誘導凹部124を第1変動入賞装置41の開閉扉41aの上方に設けることで、大入賞口への入賞の可能性を高めることができ、遊技の興趣を向上させることが可能となる。
上記したステージ部80及びカバー部材320によれば、以下の効果を得ることができる。
ステージ部80はワープ通路200から供給された遊技球が転動可能な転動面81を有しており、ステージ部80の後方にはカバー部材320が配設される。カバー部材320は、転動面81の後方において上方に起立する起立壁部321と、転動面81と対向するように起立壁部321から前方に向かって折り返される折返壁部322とを備えるので、転動面81を転動していた遊技球が変動表示装置35側に流入することがない。
カバー部材320の折返壁部322の先端は、ステージ部80の前面よりも前方に突出するように形成されるので、ステージ部80の下方の遊技領域31において遊技球が障害釘等に衝突して上方に跳ね上がっても折返壁部322によって遊技領域31側に跳ね返されるので、遊技球が変動表示装置35側に進入するのを防止できる。
カバー部材320の起立壁部321は転動面81に沿って延設され当該転動面81に上方から当接可能な突部323を備える。突部323は位置決め部材及びスペーサとして機能するので、カバー部材320のステージ部80への設置が容易になるとともに、転動面81を転動する遊技球が起立壁部321に接触するのを防止することができる。
<不正行為対策>
ところで、遊技機1は、発射された遊技球の軌道を磁石によって操作する行為や遊技機1を振動させる行為等を不正行為として検出可能に構成されている。近年では、遊技球に釣り糸やピアノ線等の糸状部材を取り付けた不正球を、糸状部材を操作することによって始動入賞口等に入賞させる不正行為が増加傾向にある。
本実施形態による遊技機1には糸状部材が繋がれた不正球による不正行為に対する対策も施されており、以下では図22〜図41を参照して遊技機1における不正行為対策について説明する。
<弁体>
まず、図22を参照して、発射球案内通路(発射通路)43の出口部分に配設される弁体400について説明する。
図22(A)は、弁体400の設置位置近傍の遊技盤30の斜視図である。図22(B)は弁体400の正面図であり、図22(C)は図22(B)の円形領域における弁体400の拡大図である。
図22(A)に示すように、弁体400は、上縁がガイドレール33に当接し、下端部が内レール44に固定されることで、発射球案内通路43の出口部分を塞ぐ。弁体400は、発射球案内通路43から遊技領域31に発射される遊技球の通過を許容する一方で遊技領域31から発射球案内通路43への遊技球の逆流を禁止する部材である。なお、遊技機1の前後方向における弁体400の側縁は、カバーガラス6a(図1参照)及び遊技盤30と所定の隙間をあけて配設されている。
図22(B)及び図22(C)に示すように、弁体400は、上縁から内側(下方)に向かって切り込まれた切欠部410を、前後方向に亘って複数備えている。切欠部410は、不正球の糸状部材420と係合可能な係合部として機能する。切欠部410は、弁体400の上縁から内側に向かって切欠幅が狭くなるようにV字状に形成される。
上記した弁体400によれば、以下の効果を得ることができる。
糸状部材420が繋がれた不正球が発射球案内通路43から遊技領域31に発射された場合には、図22(C)に示す通り、不正球の糸状部材420が切欠部410に食い込むように係合する。このように糸状部材420が切欠部410に係合することによって、不正球が遊技領域31を流下するのを防止することができる。特に、切欠部410は切欠幅が狭くなるようにV字状になっているので、糸状部材420が食い込みやすい。したがって、遊技機1においては、糸状部材420を有する不正球を用いた不正行為を防止することが可能となる。
なお、糸状部材420が切欠部410に係合している状態で、不正行為を行っている遊技者が糸状部材420を操作すると、切欠部410との間の摩擦力によって糸状部材420は切断されるので、不正球を用いた不正行為を防止できる。
図23〜図28を参照して、弁体400の第1〜第5の変形例について説明する。
まず、図23を参照して、弁体400の第1の変形例について説明する。
図23(A)は、第1の変形例に係る弁体400の斜視図である。図23(B)は第1の変形例に係る弁体400の正面図であり、図23(C)は図23(B)の円形領域における弁体400の拡大図である。
図23(A)〜図23(C)に示すように、第1の変形例に係る弁体400の切欠部410は、切欠部410の切欠底411と連通する係合収容部412と、切欠底411に突出形成される誘導凸部413と、を備える。
係合収容部412は不正球の糸状部材420と係合可能なように、その内縁が凹凸状に形成されている。係合収容部412は切欠底411の前後方向の両側方にそれぞれ配設されており、これら2つの係合収容部412が1つの切欠部410の切欠底411に連通する。
誘導凸部413は、切欠底411に向かって上方に突出形成された三角形状の突起であって、切欠部410内に導かれた糸状部材420を係合収容部412に誘導する。
第1の変形例に係る弁体400によれば、図23(C)に示すように、不正球の糸状部材420は誘導凸部413を介して係合収容部412に導かれて係合収容部412の凹凸部分に食い込むように係合するので、不正球による不正行為を防止することが可能となる。第1の変形例に係る弁体400の係合収容部412は、凹凸状に形成されているため、図22に示した弁体400の切欠部410よりも糸状部材420と係合しやすく、また糸状部材420の切断効果を向上させることができる。
図24を参照して、弁体400の第2の変形例について説明する。
図24(A)は、第2の変形例に係る弁体400の斜視図である。図24(B)は第2の変形例に係る弁体400の正面図であり、図24(C)は図24(B)の円形領域における弁体400の拡大図である。
図24(A)〜図24(C)に示すように、第2の変形例に係る弁体400の切欠部410は、切欠部410の切欠底411と連通する係合収容部412を備える。この係合収容部412は、切欠底411に連通するように形成され、かつ切欠底411から遊技盤30側に向かって隙間が狭くなるように形成されている。
遊技機1の上端部は後方に僅かに傾斜して配設されているため、遊技盤30も同様に傾斜した状態となっている。そのため、遊技盤30の遊技領域31を不正球が流下すると、切欠部410を通過した糸状部材420は、遊技盤30側に引っ張られる。
第2の変形例に係る弁体400によれば、図24(C)に示す通り、遊技盤30側に引っ張られた糸状部材420は係合収容部412の隙間に食い込むように係合するので、不正球の流下を防ぐごとができ、不正球による不正行為を防止することが可能となる。
図25を参照して、弁体400の第3の変形例について説明する。
図25(A)は、第3の変形例に係る弁体400の斜視図である。図25(B)は第3の変形例に係る弁体400の正面図であり、図25(C)は図25(B)の円形領域における弁体400の拡大図である。
図25(A)〜図25(C)に示すように、第3の変形例に係る弁体400の切欠部410は、上縁に切欠部410を備えるだけでなく、側縁にも上下方向に亘って複数の切欠部410を備える。側縁の切欠部410は、側縁から内側斜め下方に向かって切欠幅が狭くなるようにV字状に形成されている。
糸状部材420が繋がれた不正球が発射球案内通路43から遊技領域31に発射された場合には、糸状部材420は、弁体400の上縁を通過せずに、弁体400とカバーガラス6a(図1参照)又は遊技盤30との間を通過することがある。
第3の変形例に係る弁体400によれば、図25(C)に示す通り、弁体400の側方を通過した糸状部材420は、弁体400の側縁に形成された切欠部410に食い込むように係合するので、不正球の糸状部材420が弁体400の側方を通過した場合であっても不正球の流下を防ぐごとができ、不正球による不正行為を防止することが可能となる。
なお、カバーガラス6aの配設位置によっては弁体400とカバーガラス6aとの隙間が広くなることがあるが、そのような場合には、図26(A)及び図26(B)に示すように、弁体400の前側部分を前方に延設し、弁体400の前側縁をカバーガラス6aに近接させることが望ましい。
図27を参照して、弁体400の第4の変形例について説明する。
図27(A)は、第4の変形例に係る弁体400の斜視図である。図27(B)は第4の変形例に係る弁体400の正面図であり、図27(C)は図27(B)の円形領域における弁体400の拡大図である。
図27(A)〜図27(C)に示すように、第4の変形例に係る弁体400は、上縁に1つの切欠部410を備える。切欠部410は、弁体400の上縁から内側(下方)に略平行な隙間を持って形成されたスリットである。切欠部410の隙間は、不正球の糸状部材420と係合可能なように、糸状部材420の径よりも狭く設定されている。
第4の変形例に係る弁体400によれば、図27(C)に示す通り、糸状部材420が繋がれた不正球が発射球案内通路43から遊技領域31に発射された場合に、不正球の糸状部材420が切欠部410の隙間に挟まれて係合するので、不正球の流下を防ぐことができ、不正球による不正行為を防止することが可能となる。
なお、第4の変形例に係る弁体400では、上縁にスリット状の切欠部410を設けたが、側縁にスリット状の切欠部410を設けてもよい。また、弁体400の上縁又は側縁に複数のスリット状の切欠部410を設けてもよい。
図28を参照して、弁体400の第5の変形例について説明する。
図28(A)は、第5の変形例に係る弁体400の斜視図である。図28(B)は第5の変形例に係る弁体400の正面図であり、図28(C)は図28(B)の弁体400のC−C断面図である。
図28(A)〜図28(C)に示すように、第5の変形例に係る弁体400は、上縁から内側(下方)に略平行な隙間を持って形成されたスリット状の切欠部410を有している。この切欠部410によって、弁体400の上部は、前側弁体部414と後側弁体部415とに分断される。後側弁体部415は、切欠部410の隙間を跨いで前側弁体部414まで延設されるとともに、前側弁体部414の裏面と重なるように形成されている。なお、後側弁体部415は、前側弁体部414の表面と重なるように形成してもよい。
第5の変形例に係る弁体400によれば、不正球が発射されて弁体400に衝突した際に、後側弁体部415が前側弁体部414から分離するように遊技球発射方向に移動するので、不正球の糸状部材420は切欠部410を通過する。その後、後側弁体部415と前側弁体部414とは一体となって、後側弁体部415と前側弁体部414との重畳部分によって糸状部材420が挟まれて係合するので、不正球の流下を防ぐことができ、不正球による不正行為を防止することが可能となる。
<流下方向変換部材>
図29から図32を参照して、遊技球の流下方向を変換する流下方向変換部材として遊技領域31(図2参照)に配設される風車330(図2参照)及びセンターケース34のガイド部340(図6参照)について説明する。
まず、図29及び図30を参照して、風車330について説明する。
図29(A)は風車330の斜視図であり、図29(B)は風車330の側面図である。図30(A)は、風車330の変形例の斜視図である。図30(B)は変形例に係る風車330の側面図であり、図30(C)は図30(B)の風車330のC−C断面図である。
図29(A)及び図29(B)に示すように、風車330は、遊技盤30(図2参照)に固定される固定軸331と、固定軸331に回転可能に取り付けられる回転体332と、を備える。
固定軸331は、遊技領域31(図2参照)から前後方向に立設するように、遊技盤30に固定される。
回転体332は、遊技球の流下方向を変換する部材である。回転体332は、円筒状の支持部333と、支持部333の先端に設けられる円盤部334と、支持部333の外周に設けられる壁部335と、を備える。
支持部333は、軸心に沿って挿通孔を有しており、挿通孔を挿通する固定軸331によって回転可能に支持される。固定軸331の先端には支持部333の抜けを防止するため挿通孔よりも大径の頭部331aが形成されており、支持部333は頭部331aと遊技盤30との間に配設される。
円盤部334は、支持部333の先端外周に設けられる。円盤部334の中心は支持部333に軸心と一致するように設定される。
壁部335は、支持部333の外周面から突出するように形成され、支持部333の軸方向に沿って延設される。壁部335は、支持部333の周方向において等間隔に3つ設けられる。本実施形態では1つの回転体332に対して3つの壁部335を設けたが、壁部335の数については必要に応じて任意に設定される。
壁部335の先端面には、不正球の糸状部材420と係合可能な係合部として切欠336が形成される。切欠336は、底部に向かって切欠幅が狭くなるようにV字状に形成されている。切欠336は、壁部335の延設方向(軸方向)に沿って複数設けられる。
糸状部材420が繋がれた不正球が遊技領域31を流下して風車330に衝突すると、風車330によって不正球の流下方向は変換される。流下方向が変換された不正球が風車330を通過すると、図29(B)に示す通り、不正球の糸状部材420が風車330の壁部335に設けられた切欠336に食い込むように係合する。このように糸状部材420が切欠336に係合することによって、不正球が遊技領域31を流下するのを防止することができる。また、遊技球が衝突して風車330の回転体332が回転した場合には、回転体332の回転によって糸状部材420を3つの壁部335に巻き取ることができ、不正球が遊技領域31を流下するのをより確実に防止できる。
図30(A)及び図30(B)を参照して、風車330の変形例について説明する。
図30(A)及び図30(B)に示すように、変形例に係る風車330では、回転体332の壁部335に、切欠を形成せず、不正球の糸状部材420と係合可能な係合部として爪部337を形成する。
爪部337は、壁部335の先端部の両側面から側方に突出する。爪部337の先端は尖っている。1つの壁部335には、前後方向(軸部333の軸方向)に所定の間隔をあけて2つの爪部337が配設される。なお、本実施形態では3つの壁部335の各爪部337は同一円周上に配置されるが、壁部335毎に爪部337の位置を前後方向にずらして配置してもよい。
遊技球が衝突して風車330の回転体332が回転すると、回転体332の壁部335の爪部337が風車330を通過した不正球の糸状部材420を引っ掛けるように係合する。爪部337に糸状部材420が引っ掛かった状態で回転体332が回転した場合には、糸状部材420を3つの壁部335に巻き取ることができ、不正球が遊技領域31を流下するのをより確実に防止できる。
上記した風車330によれば、以下の効果を得ることができる。
遊技球の流下方向を変換可能な風車330は、不正球の糸状部材420と係合可能な係合部として切欠336又は爪部337を備えるので、不正球が遊技領域31を流下するのを防ぐことができ、遊技機1において不正球による不正行為を防止することが可能となる。
風車330の回転体332は、固定軸331に回転可能に支持される支持部333と、支持部333の軸方向に沿って延設される壁部335と、を備える。壁部335の先端面には、底部に向かって切欠幅が狭くなる切欠336が形成される。遊技球が衝突して風車330の回転体332が回転することで、切欠336に係合した糸状部材420が壁部335の先端に巻き取られるので、不正球が遊技領域31を流下するのを確実に防止することが可能となる。
また、風車330の回転体332の壁部335には、切欠ではなく、爪部337を設けてもよい。爪部337は、壁部335の先端側面から側方に突出形成される。遊技球が衝突して風車330の回転体332が回転することで、爪部337が不正球の糸状部材420に引っ掛かり、糸状部材420が壁部335の先端に巻き取られるので、不正球が遊技領域31を流下するのを確実に防止することが可能となる。
次に、図31及び図32を参照して、センターケース34の上部に配設されるガイド部340について説明する。
図31(A)はセンターケース34の上部の斜視図であり、図31(B)はガイド部340が設けられる位置におけるセンターケース34の縦断面図である。図32(A)は、変形例に係るガイド部340の平面図である。図32(B)及び図32(C)は、変形例に係るガイド部340が設けられる位置におけるセンターケース34の縦断面図である。
図31(A)及び図31(B)に示すように、センターケース34は、鍔部34c(図6参照)から前方に立設して形成されるガイド部340を有している。ガイド部340は、遊技領域31(図2参照)を流下してきた遊技球の流下方向を変換させる流下方向変換部材である。
ガイド部340は遊技球が転動可能な転動面341を備え、転動面341には遊技球の転動方向に沿って延設される溝342が複数形成される。これら溝342は、転動面341の幅方向に平行に配設される。溝342は、底部に向かって溝幅が狭くなるようにV字状に形成されている。
糸状部材420が繋がれた不正球が遊技領域31(図2参照)を流下してガイド部340に到達すると、不正球は転動面341上を転動して、センターケース34の右側方の遊技領域31に流下する。不正球がガイド部340の転動面341を通過すると、図31(B)に示す通り不正球の糸状部材420は溝342に食い込むように係合する。このように糸状部材420が溝342に係合することによって、不正球が遊技領域31を流下するのを防止することができる。
図32(A)〜図32(C)を参照して、ガイド部340の変形例について説明する。
図32(A)に示すように、変形例に係るガイド部340は、不正球の糸状部材420と係合可能な溝342に突起343を備える。
遊技球転動方向に沿って延設される溝342は、転動面341から溝底に向かって傾斜する一対の傾斜面344から構成されている。突起343は、傾斜面344に突出形成される。突起343は傾斜面344の傾斜方向に沿って延設され、傾斜面344に対して垂直方向の突起343の断面は略三角形状に形成されている。
一対の傾斜面344には遊技球転動方向に沿って複数の突起343が等間隔に設けられ、一方の傾斜面344の突起343と他方の傾斜面344の突起とは対向するように配置される。なお、突起343は、転動面341上を転動する遊技球の進路を阻害しないように、溝342内に収まるように配設されている。
不正球がガイド部340の転動面341を通過すると、不正球の糸状部材420は溝342の溝底部分と突起343とに挟まれた状態で係合するので(図32(B)参照)、不正球が遊技領域31を流下するのを防止することができる。また、不正球の糸状部材420が蛇行した場合でも、図32(A)に示すように蛇行した糸状部材420が複数設けられた突起343に引っ掛かるので、不正球の流下防止効果を高めることができる。
なお、突起343においては、図32(B)に示すように溝底部側の下面を凹凸状に形成したり、図32(C)に示すように頂部及び下面を凹凸状に形成したりしてもよい。このように突起343の表面を凹凸状に形成することで、不正球の糸状部材420が引っ掛かりやすくなる。
上記したセンターケース34のガイド部340によれば、以下の効果を得ることができる。
流下方向変換部材であるガイド部340は、遊技球が転動可能な転動面341と、転動面341に設けられる溝342とを備える。溝342は遊技球転動方向に沿って延設され底部に向かって溝幅が狭くなるように形成されるので、不正球の糸状部材420は溝342に食い込むように係合する。これにより、不正球が遊技領域31を流下するのを防止でき、遊技機1での不正球による不正行為を防ぐことが可能となる。
溝342の傾斜面344には、傾斜方向に延設される突起343が設けられる。突起343は遊技球転動方向に沿って複数設けられるため、不正球の糸状部材420が溝342の溝底部分と突起343とに挟まれた状態で係合し、また不正球の糸状部材420が蛇行した場合でも糸状部材420が突起343に引っ掛りやすくなる。これにより、不正球の流下防止効果を高めることができる。
突起343の表面は凹凸状に形成されるので、不正球の糸状部材420が引っ掛かりやすくなる。また、糸状部材420が突起343に引っ掛かった状態で、不正行為を行っている遊技者が糸状部材420を操作すると、突起343の凹凸により糸状部材420は切断される。これにより、不正球の流下防止効果を高めることができる。
<供給通路>
図33から図37を参照して、上皿11aに貯留された遊技球を球発射装置460に供給する供給通路450について説明する。
図33は、ガラス枠6が開いた状態の遊技機1の斜視図である。図34は、ガラス枠6の下部に配設される上皿ユニット11の分解斜視図である。図35及び図36は、球止ユニット440の前面斜視図及び裏面斜視図である。図37(A)は球発射装置460の正面図であり、図37(B)は球発射装置460の前面カバー461の正面図である。
図33及び図34に示すように、ガラス枠6の下部には、上皿11aを有する上皿ユニット11が配設されている。
上皿ユニット11は、複数の遊技球を貯留可能な上皿11aが形成されガラス枠6の下部前面に設置されるベース部材431と、演出ボタン17を有しベース部材431の前面を覆うように配設されるカバー部材432と、ガラス枠6の下部裏面に設置される保護板433と、保護板433の裏面に配設される球止ユニット440と、を備える。
上皿11aの一端部は賞球や貸球等を払い出す払出通路434と接続しており、他端部は供給通路450と接続している。上皿11aの底面は、一端部から他端部に向かって下り傾斜するように形成されている。上皿11aに貯留された遊技球は、供給通路450に導かれ、当該供給通路450を通って前面枠5の下部前面に配設された球発射装置460に供給される。球発射装置460の弾発部462(図37参照)によって弾発された遊技球は、前面枠5の下部に形成されたガイド通路(発射通路)463から発射球案内通路43(図2参照)に流入し、発射球案内通路43を通って遊技領域31(図2参照)に導かれる。ガイド通路463は、図33に示すように右下方から左上方に上り傾斜するように形成された通路である。
図33及び図34に示すように、球発射装置460に遊技球を供給する供給通路450は、ベース部材431に形成され上皿11aに貯留された遊技球を流下させる上流通路451と、球止ユニット440に形成され上流通路451からの遊技球を下流に排出する排出部452と、球発射装置460の前面カバー461に形成され排出部452から排出された遊技球を球発射装置460に供給する供給部453と、から構成されている。
図34に示すように、上流通路451は、上皿11aの他端部に導かれた遊技球を後方に流下させるように形成されている。ベース部材431がガラス枠6に設置された状態では、上流通路451はガラス枠6及び保護板433に設けられた開口6b、433aを介して後方に突出する。上流通路451の下流端は、保護板433の裏面に固定される球止ユニット440の排出部452に接続する。
図35及び図36に示すように、球止ユニット440は、保護板433の裏面に設置される略三角形板状の取付ベース441と、取付ベース441を前後方向に貫通する排出部452と、取付ベース441の裏面に回動自在に配設されるシャッタ部442と、を備える。
排出部452は、遊技球1個のみが通過可能な通路である。排出部452の底面452aは後方に下り傾斜しており、底面452aの後端の中央部分は後述する供給部453(図37(A)参照)まで延設されている。上流通路451を流下してきた遊技球は、1個ずつ排出部452を通過して供給部453に導かれる。
排出部452は前後方向に遊技球を排出するのに対して、球発射装置460は排出部452よりも低い位置から左右方向斜め上方に遊技球を発射する。つまり、排出部452は、当該排出部452を介して排出される遊技球の排出方向と球発射装置460により発射される遊技球の発射方向とがねじれの位置となるように、球発射装置460の供給部453と接続している。なお、排出部452を介して排出される遊技球の排出方向と球発射装置460により発射される遊技球の発射方向とが交差するように、排出部452を構成してもよい。
排出部452は、遊技球の発射方向側に位置する内壁部452bに、不正球の糸状部材420と係合可能な係合部として切欠溝452cを備える。切欠溝452cは、内壁部452bの下部において遊技球の通過方向(前後方向)に沿って延設される。切欠溝452cは、水平方向に切り欠かれており、溝底部に向かって切欠幅が狭くなるようにV字状に形成されている。なお、切欠溝452cは、水平方向に切り欠かれた切欠ではなく、内壁部452bから遊技球発射方向と同方向に傾斜した切欠としてもよい。
取付ベース441の裏面に配設されるシャッタ部442は、排出部452から遊技球が排出されるのを阻止する阻止状態と、排出部452から遊技球が排出されるのを許容する許容状態とに変換可能な部材である。シャッタ部442は、第1アーム442a及び第2アーム442bから構成された略L字状板部材である。シャッタ部442は、第1アーム442aと第2アーム442bとが連結される角部442cにおいて、取付ベース441に設けられた軸部443に軸支される。
シャッタ部442は、第1アーム442aが排出部452の排出口を閉塞する位置まで回動するように、スプリング(図示省略)によって付勢されている。また、シャッタ部442の第2アーム442bは、球発射装置460の前面カバー461に突出形成されたアーム駆動突起464(図33参照)に当接可能に構成されている。
ガラス枠6が前面枠5に対して開いている場合には、スプリングの付勢力に基づき第1アーム442aが排出部452の排出口を閉塞するので(図36参照)、排出部452よりも上流に遊技球が滞留していても遊技球が排出部452から排出されることがない。
一方、ガラス枠6が閉じられる場合には、アーム駆動突起464の先端傾斜部464a(図33参照)が第2アーム442bの内側部分に当接し、スプリングの付勢力に抗して第2アーム442bが図36において反時計回りに回動する。これにより、第1アーム442aも反時計回りに回動する。ガラス枠6が前面枠5に対して閉止されると、第1アーム442aは排出部452の排出口の上方位置まで退避するので、遊技球が排出部452を通過可能となる。排出部452を通過した遊技球は、球発射装置460の供給部453に導かれる。
図37(A)に示すように、供給通路450を構成する供給部453は、球発射装置460の前面カバー461に形成される。前面カバー461は板状部材であって、供給部453は前面カバー461を前後方向に貫通する貫通孔として形成されている。供給部453は遊技球1個のみが通過可能な開口であり、供給部453を通過した遊技球は前面カバー461の後方を流下してガイド通路463の下流端に位置する発射位置463aに導かれる。発射位置463aに導かれた遊技球は、駆動モータ(図示省略)によって駆動される弾発部462に弾発され、ガイド通路463、発射球案内通路43を通って遊技領域31(図2参照)に流入する。
図37(A)及び図37(B)に示すように、供給部453は前後方向に遊技球を供給するのに対して、球発射装置460は供給部453よりも低い位置から左右方向斜め上方に遊技球を発射する。つまり、供給部453は、当該供給部453を介して供給される遊技球の供給方向と球発射装置460により発射される遊技球の発射方向とがねじれの位置となるように、球発射装置460と接続している。なお、供給部453を介して供給される遊技球の供給方向と球発射装置460により発射される遊技球の発射方向とが交差するように、供給部453を構成してもよい。
供給部453は、遊技球発射方向側に位置する内壁部453aに、不正球の糸状部材420と係合可能な係合部として切欠453bを備える。切欠453bは、内壁部453aの上部において、斜め上方に向かって切り欠かれている。切欠453bは、底部に向かって切欠幅が狭くなるようにV字状に形成されている。
上記した供給通路450によれば以下の効果を得ることができる。
供給通路450から球発射装置460に供給された不正球が球発射装置460によって発射される場合には、不正球の糸状部材420が、供給通路450に形成された係合部(排出部452の切欠溝452c又は供給部453の切欠453b)に係合する。このように糸状部材420が係合することによって、不正球が遊技領域31に発射されるのを防止することができる。これにより、遊技機1において、糸状部材420が繋がれた不正球を用いた不正行為を防止することが可能となる。
供給通路450の供給部453は当該供給部453を介して供給される遊技球の供給方向と球発射装置460により発射される遊技球の発射方向とが交差するように又はねじれの位置となるように球発射装置460と接続しており、切欠453bは発射方向側に位置する供給部453の内壁部453aに形成されるので、発射された不正球の糸状部材420と切欠453bとが係合しやすく、不正球が遊技領域31に発射されるのをより効果的に防止することができる。
また、供給通路450の排出部452は当該供給部453を介して排出される遊技球の排出方向と球発射装置460により発射される遊技球の発射方向とが交差するように又はねじれの位置となるように供給部453と接続しており、切欠溝452cは発射方向側に位置する排出部452の内壁部452bに形成されるので、発射された不正球の糸状部材420と切欠溝452cとが係合しやすく、不正球が遊技領域31に発射されるのをより効果的に防止することができる。
さらに、排出部452の切欠溝452cは内壁部452bの下部に設けられ、供給部453の切欠453bは内壁部453aの上部に設けられており、不正球が球発射装置460によって発射された際に不正球の糸状部材420と係合しやすく、糸状部材420を切欠溝452c及び切欠453bに同時に係合させることが可能となる。このように糸状部材420が、切欠溝452c及び切欠453bに係合し、切欠溝452cと切欠453bとの間で斜めに掛け渡されることで、不正球が発射されるのをより確実に防ぐことができる。
次に、図38〜図41を参照して、不正球の糸状部材420と係合する供給部453の係合部分及び排出部452の係合部分の変形例について説明する。
まず、図38(A)〜図38(C)を参照して、供給通路450の供給部453の切欠453bの変形例について説明する。図38(A)〜図38(C)は、第1〜第3の変形例に係る供給部453を示す図である。
図38(A)に示すように、第1の変形例に係る供給部453は、遊技球の発射方向側に位置する内壁部453aに、上下方向に亘って複数の切欠453bを備える。
第1の変形例に係る供給部453の切欠453bによれば、不正球の糸状部材420が切欠453bに係合する確率が高くなるので、不正球が球発射装置460によって発射されるのを効果的に防止することが可能となる。
図38(B)に示すように、第2の変形例に係る供給部453は、第1の変形例と同様に複数の切欠453bを備える。第2の変形例では、切欠453bは、その底部分が遊技球発射方向と同方向に傾斜するように切り欠かれている。
第2の変形例に係る供給部453の切欠453bによれば、球発射装置460によって不正球が発射された場合に不正球の糸状部材420が切欠453bにより深く食い込むようになるので、糸状部材420と切欠453bとの係合が強固となり、不正球が発射されて遊技領域31に流入するのをより確実に防ぐことができる。
図38(C)に示すように、第3の変形例に係る供給部453は、遊技球の発射方向側に位置する内壁部453aの上下2箇所に切欠453bを備える。上側の切欠453bは斜め上方に向かって切り欠かれており、下側の切欠453bは斜め下方に向かって切り欠かれている。切欠453bには、不正球の糸状部材420を切断可能な切断刃453cが設けられる。切断刃453cは、内壁部453aから突出しないように切欠453b内に収容されている。
第3の変形例に係る供給部453の切欠453bによれば、不正球の糸状部材420を切断刃453cによって切断できるので、糸状部材420による不正球の操作を不能として、不正球よる不正行為を防止することができる。
次に、図39を参照して、供給通路450の排出部452の第1の変形例について説明する。図39は、第1の変形例に係る排出部452の排出口部分を拡大した図である。図39においては、シャッタ部442の図示を省略している。
第1の変形例に係る排出部452は、遊技球の発射方向側に位置する内壁部452bの下部に切欠溝452cを備え、当該内壁部452bの上部に切欠452dを備える。切欠452dは、内壁部452bの後端から前方に向かって切欠幅が狭くなるようにV字状に形成されている。
第1の変形例に係る排出部452によれば、内壁部452bに切欠溝452c及び切欠452dが形成されるので、不正球の糸状部材420が係合する確率を高めることができ、不正球が発射されて遊技領域31に流入するのをより確実に防ぐことができる。
図40及び図41を参照して、供給通路450の排出部452の第2の変形例について説明する。
図40(A)は第2の変形例に係る排出部452の裏面斜視図であり、図40(B)は第2の変形例に係る排出部452の側面図である。図41(A)及び図41(B)は、第2の変形例に係る排出部452に備えられる加熱装置470の制御に関連するブロック図である。
図40(A)及び図40(B)に示すように、排出部452の排出口の後方には、加熱装置470の加熱板471が配設される。加熱板471は、金属板等によって形成されており、加熱装置470本体からの通電により加熱される。加熱板471は、遊技球の転動を阻害しないように、排出部452の排出口の遊技球発射方向側の側方に位置して配設される。加熱板471は、排出口(取付ベース441)に対して前後方向に所定の隙間を持った状態で配設される。加熱板471の排出口側の側縁部には、上下方向に亘って複数の切欠471aが形成される。
図41(A)に示すように、加熱装置470は、払出制御装置640によって制御される。払出制御装置640と遊技制御装置600との関係については図3を参照して詳述したので、ここでは払出制御装置640による加熱装置470の制御について説明する。
払出制御装置640は、球発射装置460を制御する発射制御基板641、遊技球を払い出すための払出モータ642、各種データを情報収集端末装置に出力するための外部情報端子660、エラー状態を表示するエラーナンバー表示LED643、及び不正球の糸状部材420を切断可能な加熱装置470と接続している。
払出制御装置640は、遊技制御装置600からの払出制御コマンドを受信するたびに、又は払出モータ642が駆動されるたびに加熱装置470の加熱板471を所定時間だけ加熱制御する。
なお、払出制御装置640によって加熱装置470を直接的に制御するのではなく、図41(B)に示すように発射制御基板641を介して加熱装置470を制御するようにしてもよい。この場合には、球発射装置460を駆動するための操作部15(図1参照)が操作されているか否かを検出し、操作部15が操作されている時に加熱装置470の加熱板471を加熱制御する。
第2の変形例に係る排出部452によれば、排出部452の後方に加熱装置470を備え、所定のタイミングで加熱板471を加熱するので、加熱板471の切欠471aに係合した糸状部材420を溶かして切断することができる。これにより糸状部材420による不正球の操作を不能として、不正球よる不正行為を防止することが可能となる。
また、加熱板471は排出部452の排出口(取付ベース441)に対して前後方向に所定の隙間を持った状態で配設されるので、加熱板471の温度が上昇しても取付ベース441を溶損することがない。
<第2可動演出装置>
次に、演出装置70を構成する第2可動演出装置500について、図42〜図53を参照して説明する。
まず、図5、図42〜図47を参照して、第2可動演出装置500の構成を説明する。
図42は、制御ベースユニット60の分解斜視図である。図43は、前方から見た第2可動演出装置500の分解斜視図である。図44は、後方から見た第2可動演出装置500の分解斜視図である。図45は、前方から見た取付ベース570の分解斜視図である。図46は、後方から見た取付ベース570の分解斜視図である。図47は、初期状態の第2可動演出装置500の正面図である。
図5及び図42に示すように、制御ベースユニット60は、遊技盤30の裏面に配設される。制御ベースユニット60は、遊技盤30の裏面に取り付けられる枠状の制御ベース61と、制御ベース61の前面に設置される演出装置70と、制御ベース61の裏面に設置される変動表示装置35とを備える。
制御ベース61には、演出装置70を収容可能な収容部61aと、変動表示装置35の表示部35aが臨む開口部61bとが形成されている。変動表示装置35は、変動表示装置35の表示部35aが開口部61bを介して視認できるように、制御ベース61の裏面に固定される。
演出装置70を構成する第1可動演出装置71及び第2可動演出装置500は、開口部61bの外縁に沿うように収容部61a内に収容される。
図43及び図44に示すように、第2可動演出装置500は、制御ベース61の収容部61aに固定される取付ベース570と、取付ベース570の前面に回動可能に配設される第1小形可動部510〜第6小形可動部560と、第1小形可動部510〜第6小形可動部560を覆うように取付ベース570に固定されるカバー部580と、カバー部580の前面に回動可能に配設される大形可動部590と、を備える。
取付ベース570は、略矩形状の枠部材であって、制御ベース61の開口部61bと対応する位置に開口部571を有している。
カバー部580は、透光性を有する略L字状の部材である。カバー部580は、取付ベース570に突出形成された複数のボス部572を介し、取付ベース570に対して所定の間隔をあけて配設される。カバー部580は、取付ベース570の上部及び左側部を覆うように設けられる。カバー部580の裏面の一部には、凹凸状のレンズ部581(図44参照)が形成されている。レンズ部581は、取付ベース570に配設されるLED基板(図示省略)のLEDから照射されたLED光を散乱させる。
第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590は、鎌の形状を模した装飾部材である。第1小形可動部510〜第6小形可動部560の外形は、大形可動部590よりも小さく形成されている。第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590は、取付ベース570の前面に回動可能に設置される。第1小形可動部510〜第6小形可動部560はカバー部580と取付ベース570との間の領域で回動するように配設されており、大形可動部590はカバー部580の前方の領域で回動するように配設されている。
大形可動部590は、その裏面に、前後方向に延設される第1軸591〜第3軸593及び軸受部594を備える。
取付ベース570の前面上部に固定された第1回動軸573はカバー部580の貫通孔582を介して前方に突出しており、第1回動軸573は大形可動部590の軸受部594を挿通する。このように大形可動部590は第1回動軸573によって回動自在に支持される。
軸受部594が大形可動部590の基端寄りの位置に設けられるのに対して、第1軸591は大形可動部590の先端(自由端)寄りの位置に設けられる。第1軸591は、カバー部580の側部において前後方向に貫通形成された第1溝583を介して、カバー部580の後方に突出する。大形可動部590の第1軸591は、後述する第1小形可動部510と係合する。大形可動部590は、第1小形可動部510から伝達される駆動力に基づいて回動するように構成されている。
第2軸592は、軸受部594よりも基端側の位置に設けられる。第2軸592は、カバー部580の上部において前後方向に貫通形成された第2溝584を介して、カバー部580の後方に突出する。大形可動部590の第2軸592は、揺動アーム503を介して後述する第3小形可動部530と係合する。
第3軸593は、第1軸591と軸受部594との間の位置に設けられる。第3軸593は、カバー部580の上部において前後方向に貫通形成された第3溝585を介して、カバー部580の後方に突出する。大形可動部590の第3軸593は、後述する第5小形可動部550と係合する。
なお、カバー部580の第1溝583〜第3溝585は、大形可動部590の回動に対応した形状となっており、大形可動部590の回動中心である第1回動軸573を中心として円弧状に形成される。
図45及び図46に示すように、第1小形可動部510及び第2小形可動部520は、取付ベース570の左下部に回動可能に配設される。第1小形可動部510と第2小形可動部520とは前後方向に並んで設けられ(図44参照)、第1小形可動部510は第2小形可動部520の前方に配設される。
第2小形可動部520は前後方向に延設される円筒状の挿通部521を備えており、取付ベース570の前面下部に突出形成された第2回動軸574が挿通部521を挿通する。このように第2小形可動部520は、第2回動軸574によって回動自在に支持される。第2小形可動部520は、その重心が第2回動軸574よりも内側(図45において右側)にずれており、自重によって回動するように構成されている。第2小形可動部520の裏面には後方に突出する規制軸522が形成されており、第2小形可動部520の規制軸522は取付ベース570に形成された円弧状の規制溝575に挿入される。規制軸522の移動範囲が規制溝575によって規制されることで、第2小形可動部520の回動範囲が制限される。
第1小形可動部510は、第2小形可動部520の挿通部521によって軸支されており、第2小形可動部520及び取付ベース570に対して、第2回動軸574を中心に回動可能に構成されている。第1小形可動部510は、駆動機構900を構成する駆動モータ910の駆動力に基づいて回動する。
第1小形可動部510は、先端(自由端)寄りの位置に長孔状の係合溝511を有している。この係合溝511には、大形可動部590の第1軸591(図44参照)が摺動自在に係合する。
第1小形可動部510の基端寄りの位置には、後方に突出する係合軸512が設けられる。係合軸512は、第2小形可動部520の基端寄りの位置に形成された溝部523に摺動自在に係合する。第2小形可動部520の溝部523は、第2回動軸574を中心に円弧状に形成されている。第2小形可動部520の溝部523の溝長さ(軸移動方向の長さ)は、取付ベース570の規制溝575の溝長さよりも長く設定されている。
図45及び図46に示すように、第3小形可動部530及び第4小形可動部540は、取付ベース570の右上部に回動可能に配設される。第3小形可動部530と第4小形可動部540とは前後方向に並んで設けられており(図44参照)、第3小形可動部530は第4小形可動部540の前方に配設されている。
第3小形可動部530は、取付ベース570の右上部に突出形成された第3回動軸576によって回動自在に支持される。第3小形可動部530の基端寄りの位置には、前方に突出する係合軸531と後方に突出する駆動軸532とが設けられる。
第3小形可動部530の係合軸531と大形可動部590の第2軸592とは、取付ベース570の前面に揺動可能に配設される揺動アーム503を介して連結される。
揺動アーム503は略へ字状に屈曲形成されたリンク部材である。揺動アーム503は、取付ベース570に突出形成された揺動軸502を介して揺動可能に支持される。揺動アーム503の一端側には長孔状の第1係合溝503aが形成され、揺動アーム503の他端側には長孔状の第2係合溝503bが形成される。大形可動部590の第2軸592(図44参照)は揺動アーム503の第1係合溝503aと摺動自在に係合し、第3小形可動部530の係合軸531は揺動アーム503の第2係合溝503bと摺動自在に係合する。第3小形可動部530は、揺動アーム503を介して伝達される大形可動部590からの駆動力に基づいて回動する。このように揺動アーム503は、動力を伝達する動力伝達機構として機能する。
第4小形可動部540は、第3回動軸576よりも左側方の取付ベース570に突出形成された第4回動軸577によって回動自在に支持される。第4小形可動部540の基端寄りの位置には、後方に突出する係合軸541が設けられる。第4小形可動部540の係合軸541及び第3小形可動部530の駆動軸532は、取付ベース570の前面に揺動可能に配設される揺動アーム504を介して連結される。
揺動アーム504は略へ字状に屈曲形成されたリンク部材である。揺動アーム504は、取付ベース570に設置される揺動軸505を介して揺動可能に支持される。揺動アーム504を軸支する揺動軸505は、揺動アーム503を軸支する揺動軸502よりも下方の取付ベース570に設置される。揺動アーム504の一端側には長孔状の第1係合溝504aが形成され、揺動アーム504の他端側には長孔状の第2係合溝504bが形成される。第4小形可動部540の係合軸541は揺動アーム504の第1係合溝504aと摺動自在に係合し、第3小形可動部530の駆動軸532は揺動アーム504の第2係合溝504bと摺動自在に係合する。第4小形可動部540は、揺動アーム504を介して伝達される第3小形可動部530からの駆動力に基づいて回動する。このように揺動アーム504は、動力を伝達する動力伝達機構として機能する。
図45及び図46に示すように、第5小形可動部550及び第6小形可動部560は、取付ベース570の左上部に回動可能に配設される。第5小形可動部550と第6小形可動部560とは前後方向に並んで設けられており(図44参照)、第5小形可動部550は第6小形可動部560の前方に配設されている。
第5小形可動部550は、取付ベース570の左上部に突出形成された第5回動軸578によって回動自在に支持される。第5小形可動部550の略中央部分には、長孔状の係合溝551が形成される。第5小形可動部550の係合溝551には、大形可動部590の第3軸593(図44参照)が摺動自在に係合する。第5小形可動部550は、大形可動部590から伝達される駆動力に基づいて回動する。
第6小形可動部560は、第5回動軸578よりも左上方の取付ベース570に突出形成された第6回動軸579によって回動自在に支持される。第6小形可動部560の基端寄りの位置には前方に突出する駆動軸561が形成され、駆動軸561の先端は第5小形可動部550の係合孔552に係合している。第6小形可動部560の基端と先端との間の位置には後方に突出する係合軸562が設けられ、係合軸562は取付ベース570に形成された円弧状のガイド溝501に摺動自在に係合する。第6小形可動部560は、第5小形可動部550から伝達される駆動力に基づいて回動する。
上記した第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590は、駆動機構900によって駆動される。
図45〜図47に示すように、駆動機構900は、駆動力を発生させる駆動モータ910と、駆動モータ910の出力軸910aに設置される第1リンク911と、第1リンク911と第1小形可動部510とを連結する第2リンク912とを備える。
駆動モータ910は取付ベース570の前面下部に取り付けられており、駆動モータ910の出力軸910aには楕円状の第1リンク911が固定される。第1リンク911と第1小形可動部510とは、第2リンク912によって連結される。
第2リンク912は、略へ字状に屈曲形成されたリンク部材である。第2リンク912の下端部は、ピン912aを介して、第1リンク911の長軸端部に回動自在に連結される。第2リンク912の上端部は、ピン912bを介して、第1小形可動部510の基端寄りの位置に回動自在に連結される。
第1リンク911及び第2リンク912は、駆動モータ910の駆動力を第1小形可動部510に伝達する動力伝達機構920として機能する。
次に、図47〜図53を参照して、第2可動演出装置500の演出動作について説明する。
図47は、初期状態の第2可動演出装置500の正面図である。図48は、初期状態の第2可動演出装置500の裏面図である。図49は、煽り状態における第2可動演出装置500の正面図である。図50は、煽り状態における第2可動演出装置500の裏面図である。図51は、最大回動状態における第2可動演出装置500の正面図である。図52は、最大回動状態における第2可動演出装置500の裏面図である。図53(A)〜図53(C)は、駆動機構900の第2リンク912の傾斜状態を説明する図である。なお、図48、図50、及び図52においては、第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590の動作を説明するため、取付ベース570やカバー部580等の記載を省略している。
第2可動演出装置500では、第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590が変動表示装置35の外縁寄りの初期位置(図47参照)と変動表示装置35の中央寄りの最大回動位置(図51参照)との間で回動することで、役物演出が実行される。
図47及び図48に示すように、遊技機1での遊技開始直後等においては、第2可動演出装置500は初期状態となっており、駆動モータ910は基準位置で停止している。この状態では、第1リンク911と第1小形可動部510とを連結する第2リンク912は、ピン912a(下端側連結部)及びピン912b(上端側連結部)を結ぶ直線Lcがピン912bを鉛直方向に通る線(以下「鉛直線」という)に対して傾斜するように配設されており(図53(A)参照)、第1小形可動部510は変動表示装置35の左側縁に沿って起立した状態で停止している。
第1小形可動部510が初期位置で停止している場合には、第1小形可動部510の係合軸512が第2小形可動部520の溝部523の下端部に当接しており、これにより第2小形可動部520は第1小形可動部510の後方において変動表示装置35の左側縁沿って起立した状態で停止する。この時、第1小形可動部510と連係する大形可動部590は、変動表示装置35の上縁から左側縁に沿うように位置している。
大形可動部590が初期位置にある場合には、揺動アーム503を介して大形可動部590と連係する第3小形可動部530は、変動表示装置35の上縁に沿って左右方向に倒れた状態で停止している。この時、揺動アーム504を介して第3小形可動部530と連係する第4小形可動部540は、第3小形可動部530の後方において、変動表示装置35の上縁に沿って左右方向に倒れた状態で停止している。なお、大形可動部590及び第3小形可動部530がそれぞれ初期位置にある場合には、大形可動部590の第2軸592(図44参照)は揺動アーム503の第1係合溝503aの一端部に位置しており、第3小形可動部530の係合軸531は揺動アーム503の第2係合溝503bの一端部と他端部との間に位置している。
また、大形可動部590が初期位置にある場合には、第3軸593(図44参照)を介して大形可動部590と連係する第5小形可動部550は、変動表示装置35の上縁に沿って左右方向に倒れた状態で停止している。この時、駆動軸561を介して第5小形可動部550と連係する第6小形可動部560は、変動表示装置35の左側縁に沿うように位置している。
なお、大形可動部590は第1小形可動部510〜第6小形可動部560の前方に配設されており、第2可動演出装置500が初期状態の場合には、大形可動部590は第1小形可動部510〜第6小形可動部560が視認不能となるように第1小形可動部510〜第6小形可動部560のほぼ全体を覆っている。
また、第2可動演出装置500の前方には、図2に示すようにセンターケース34が配設されている。このセンターケース34は、初期位置にある大形可動部590の先端(一部)のみが視認可能となるように、第2可動演出装置500の前面を隠蔽している。
図47に示すように、取付ベース570の上部には、第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590が初期位置にあること(第2可動演出装置500が初期状態であること)を検出するための略コ字形状の光電センサ506が配設される。大形可動部590及び第3小形可動部430を連結する揺動アーム503には、揺動アーム503の回動状態に応じて光電センサ506の凹部に挿入され、光電センサ506の発射光を遮光可能な遮光部503cが形成される。光電センサ506が通光状態であるか遮光状態であるかを検知することで、第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590が初期位置にあることを検出することができる。
第2可動演出装置500では、特図変動表示ゲームが開始する場合や特図変動表示ゲームにおけるリーチ状態がノーマルリーチからスペシャルリーチに発展する場合に、所定の確率で、煽り演出が実行される。煽り演出では、第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590は、所定時間経過するまで、初期位置(図47参照)と煽り位置(図49参照)との間で往復動する。
なお、リーチ状態とは、変動表示装置35にて飾り特図変動表示ゲームが実行されている状態であって、実行結果が特別結果態様(大当り)となる可能性があることを報知している状態のことである。例えば、三つの識別情報のうち左側及び右側の識別情報が特別結果態様となる条件を満たした状態(例えば同一の識別情報)で停止し、中央の識別情報が変動表示されている状態がリーチ状態となる。リーチ状態には複数のリーチ演出が含まれ、特別結果態様(大当り)が導出される可能性(期待度)が異なるリーチ演出として、ノーマルリーチやスペシャルリーチ等が設定されている。期待度は、ノーマルリーチよりもスペシャルリーチの方が高くなっている。
図49及び図50を参照して、第2可動演出装置500での煽り演出について説明する。
煽り演出が開始されると、駆動モータ910は、出力軸910aが図49において時計回り方向に所定角度だけ回転するように駆動(正転制御)される。出力軸910aの回転に伴って第1リンク911も回転し、第1リンク911と第2リンク912とを連結するピン912aが出力軸910aを中心として上方に旋回し、第2リンク912が押し上げられる。これにより、第2リンク912と第1小形可動部510とを連結するピン912bが第2回動軸574を中心として上方に旋回し、第1小形可動部510が初期位置から変動表示装置35の中央寄りの煽り位置まで回動する。
第1小形可動部510が煽り位置に向かって回動すると、第1小形可動部510の係合軸512も第2回動軸574を中心に旋回するので、第2小形可動部520が自重により初期位置から変動表示装置35の中央寄りの煽り位置まで回動する。また、第1小形可動部510の回動に伴って、大形可動部590の第1軸591(図44参照)が第1小形可動部510の係合溝511(図45参照)を摺動しながら押し下げられ、大形可動部590は第1回動軸573を中心に初期位置から変動表示装置35の中央寄りの煽り位置まで回動する。
大形可動部590が煽り位置に向かって回動すると、大形可動部590の第2軸592は第1回動軸573を中心として上方に旋回し、第2軸592と係合する揺動アーム503が揺動軸502を中心として図49において時計回りに回動する。これにより、第3小形可動部530の係合軸531が揺動アーム503の第2係合溝503bを摺動しながら押し下げられ、第3小形可動部530は第3回動軸576を中心に初期位置から変動表示装置35の中央寄りの煽り位置まで回動する。なお、初期状態では第3小形可動部530の係合軸531は揺動アーム503の第2係合溝503bの一端部と他端部との間に位置しており、大形可動部590の回動当初の動力が揺動アーム503から第3小形可動部530に伝達されないため、第3小形可動部530は大形可動部590よりも若干遅れて回動し始める。
第3小形可動部530が煽り位置に向かって回動すると、第3小形可動部530の駆動軸532が第3回動軸576を中心として下方に旋回し、駆動軸532と係合する揺動アーム504が揺動軸505を中心として図50において反時計回りに回動する。これにより、第4小形可動部540の係合軸541が揺動アーム504の第1係合溝504aを摺動しながら押し上げられ、第4小形可動部540は第4回動軸577を中心に初期位置から変動表示装置35の中央寄りの煽り位置まで回動する。
また、大形可動部590が煽り位置に向かって回動すると、大形可動部590の第3軸593は第5小形可動部550の係合溝551を摺動しながら第1回動軸573を中心として下方に旋回し、第3軸593と係合する第5小形可動部550は第5回動軸578を中心として図49において時計回りに回動する。これにより、第5小形可動部550は、初期位置から変動表示装置35の中央寄りの煽り位置まで回動する。
第5小形可動部550が煽り位置に向かって回動すると、第5小形可動部550と係合する駆動軸561が第6回動軸579を中心として上方に旋回し、駆動軸561が固定される第6小形可動部560が第6回動軸579を中心として図49において反時計回りに回動する。これにより、第6小形可動部560は、初期位置から変動表示装置35の中央寄りの煽り位置まで回動する。
第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590が煽り位置に達した後には、駆動モータ910は、出力軸910aが図49において反時計回り方向に所定角度だけ回転するように駆動(逆転制御)される。これにより、第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590は煽り位置から初期位置まで戻る。煽り演出中は駆動モータ910の正転制御と逆転制御とが繰り返し行われ、第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590は初期位置と煽り位置との間で往復動する。
なお、図49に示すように、大形可動部590は、第1小形可動部510〜第6小形可動部560が初期位置から煽り位置まで回動しても、第1小形可動部510〜第6小形可動部560を隠蔽するように形成されている。第1小形可動部510〜第6小形可動部560が煽り位置にある場合においても、大形可動部590が第1小形可動部510〜第6小形可動部560のほぼ全体を覆っているので、遊技者は第1小形可動部510〜第6小形可動部560をほとんど視認することができない。そのため、煽り演出は、大形可動部590が初期位置と煽り位置との間で揺動するような演出として、遊技者に視認されることになる。
上記煽り演出が実行された特図変動表示ゲームの結果が特別結果態様(大当り)となる確率が高い場合には、第2可動演出装置500において最大回動演出が実行される。最大回動演出では、第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590は、初期位置(図47参照)から最大回動位置(図51参照)まで回動し、所定時間停止する。
図51及び図52を参照して、第2可動演出装置500での最大回動演出について説明する。
最大回動演出が開始されると、駆動モータ910は正転制御され、出力軸910aは煽り演出時よりも大きく設定された所定角度回転する。出力軸910aの回転に伴って第1リンク911も回転し、第1リンク911と第2リンク912とを連結するピン912aが出力軸910aを中心として上方に旋回し、第2リンク912が上方に押し上げられる。これにより、第2リンク912と第1小形可動部510とを連結するピン912bが第2回動軸574を中心として上方に旋回して、第1小形可動部510は煽り位置よりも変動表示装置35の中央寄りの最大回動位置まで回動して横倒し状態で停止する。
第1小形可動部510が最大回動位置に向かって回動すると、第1小形可動部510の係合軸512も第2回動軸574を中心に旋回するため、第2小形可動部520は、自重により初期位置から回動し始め、第2小形可動部520の規制軸522が取付ベース570の規制溝575(図46参照)の上端部に当接した状態で停止する。これにより、第2小形可動部520は、煽り位置よりも変動表示装置35の中央寄りの最大回動位置まで回動して傾斜状態で停止する。
また、第1小形可動部510が最大回動位置に向かって回動すると、大形可動部590の第1軸591は、第1小形可動部510の係合溝511を摺動しながら押し下げられる。これにより、大形可動部590は、第1回動軸573を中心に、煽り位置よりも変動表示装置35の中央寄りの最大回動位置まで回動して停止する。
大形可動部590が最大回動位置に向かって回動すると、大形可動部590の第2軸592は第1回動軸573を中心として上方に旋回し、第2軸592と係合する揺動アーム503が揺動軸502を中心として図51において時計回りに回動する。これにより、第3小形可動部530の係合軸531は揺動アーム503の第2係合溝503bを摺動しながら押し下げられ、第3小形可動部530は第3回動軸576を中心に煽り位置よりも変動表示装置35の中央寄りの最大回動位置まで回動して傾斜状態で停止する。なお、初期状態では第3小形可動部530の係合軸531は揺動アーム503の第2係合溝503bの一端部と他端部との間に位置しているため、第3小形可動部530は大形可動部590よりも若干遅れて回動し始める。
第3小形可動部530が最大回動位置に向かって回動すると、第3小形可動部530の駆動軸532が第3回動軸576を中心として下方に旋回し、駆動軸532と係合する揺動アーム504が揺動軸505を中心として図51において時計回りに回動する。これにより、第4小形可動部540の係合軸541は揺動アーム504の第1係合溝504aを摺動しながら押し上げられ、第4小形可動部540は第4回動軸577を中心に、煽り位置よりも変動表示装置35の中央寄りの最大回動位置まで回動して傾斜状態で停止する。
また、大形可動部590が最大回動位置に向かって回動すると、大形可動部590の第3軸593は第5小形可動部550の係合溝551を摺動しながら第1回動軸573を中心として下方に旋回し、第3軸593と係合する第5小形可動部550は第5回動軸578を中心として図51において時計回りに回動する。これにより、第5小形可動部550は、煽り位置よりも変動表示装置35の中央寄りの最大回動位置まで回動して傾斜状態で停止する。
第5小形可動部550が最大回動位置に向かって回動すると、第5小形可動部550と係合する駆動軸561が第6回動軸579を中心として上方に旋回し、駆動軸561が固定される第6小形可動部560が第6回動軸579を中心として図51において反時計回りに回動する。これにより、第6小形可動部560は、煽り位置よりも変動表示装置35の中央寄りの最大回動位置まで回動して垂下状態で停止する。
上記の通り、最大回動演出では、大形可動部590が変動表示装置35の表示部35aを横切るように回動し、大形可動部590によって隠蔽されていた第1小形可動部510〜第6小形可動部560が大形可動部590の後方から出現して視認可能な状態となる。
なお、第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590が最大回動位置に達して所定時間経過した後には、駆動モータ910は、第1小形可動部510〜第6小形可動部560及び大形可動部590が最大回動位置から初期位置まで戻るように逆転制御される。
図53(A)〜図53(C)に示すように、第2可動演出装置500では、第1リンク911と第1小形可動部510とを連結する第2リンク912は、第1小形可動部510が初期位置から最大回動位置に回動するにしたがって、第2リンク912の上端側のピン912bと下端側のピン912aを結ぶ直線Lcが傾斜状態(図53(A)及び図53(B)参照)から略鉛直状態(図53(C)参照)となるように配設されている。このように第2リンク912を配設することで、駆動モータ910の出力軸910aの単位回転角度当りにおける第1小形可動部510の回動角度を変化させることが可能となる。
図53(B)に示すように、第1小形可動部510が初期位置(図53(A)参照)から煽り位置まで回動する場合には、駆動モータ910の出力軸910aの回転角度θA1は約19.0°であり、この時の第1小形可動部510の回転角度θB1は11.7°である。したがって、第1小形可動部510が初期位置から煽り位置まで回動する場合には、出力軸910aの単位回転角度当りにおける第1小形可動部510の回動角度はθB1/θA1によって算出され約0.62°となる。
これに対して、図53(C)に示すように、第1小形可動部510が煽り位置(図53(B)参照)から最大回動位置まで回動する場合には、駆動モータ910の出力軸910aの回転角度θA2は約84.0°であり、この時の第1小形可動部510の回転角度θB2は約75.9°である。したがって、第1小形可動部510が煽り位置から最大回動位置まで回動する場合には、出力軸910aの単位回転角度当りにおける第1小形可動部510の回動角度はθB2/θA2によって算出され約0.90°となる。
上記の通り、第1小形可動部510が初期位置から最大回動位置に回動するにしたがって、駆動モータ910の出力軸910aの単位回転角度当りにおける第1小形可動部510の回動角度は増加する。駆動モータ910の出力軸910aの回転速度は一定であるので、第1小形可動部510の回動速度は最大回動位置に近づくほど速くなる。そのため、第1小形可動部510の回動に伴って回動する第3小形可動部530〜第6小形可動部560及び大形可動部590の回動速度も最大回動位置に近づくほど速くなる。
上記した第2可動演出装置500を備えた遊技機1によれば、以下の効果を得ることができる。
第2可動演出装置500では、第3小形可動部530〜第6小形可動部560及び大形可動部590は第1小形可動部510からの駆動力に基づいて回動するように構成されており、駆動モータ910の駆動力は動力伝達機構920を介して第1小形可動部510に伝達される。動力伝達機構920は、駆動モータ910の出力軸910aに固定される第1リンク911と、一端が第1リンク911に連結されるとともに他端が第1小形可動部510に連結される第2リンク912とから構成されている。第2リンク912は、第1小形可動部510が初期位置から最大回動位置に回動するにしたがって、第2リンク912の上端側のピン912bと下端側のピン912aを結ぶ直線Lcが傾斜状態から略鉛直状態となるように設けられるので、第1小形可動部510が最大回動位置に近づくほど駆動モータ910の出力軸910aの単位回転角度当りにおける第1小形可動部510の回動角度は増加する。そのため、駆動モータ910の出力軸910aの回転速度が一定である場合には、初期位置から最大回動位置に回動する際に、第1小形可動部510、第3小形可動部530〜第6小形可動部560、及び大形可動部590の回動速度を徐々に早めることができ、一つの駆動モータ910で複数の可動部を動作させる場合においても演出動作が単調になるのを抑制することが可能となる。
第1小形可動部510は大形可動部590よりも小形な装飾部材であって長孔状の係合溝511を有し、大形可動部590は自由端寄りの位置に係合溝511と摺動可能に係合する第1軸591を有する。駆動モータ910からの駆動力を第1小形可動部510を介して大形可動部590の自由端寄りの位置に伝達するので、駆動モータ910からの駆動力を効率的に大形可動部590に伝達でき、駆動モータ910の負荷を低減することができる。
大形可動部590及び第3小形可動部530がそれぞれ初期位置にある場合には、大形可動部590の第2軸592は揺動アーム503の第1係合溝503aの一端部に位置し、第3小形可動部530の係合軸531は揺動アーム503の第2係合溝503bの一端部と他端部との間に位置するので、大形可動部590の回動当初の動力は揺動アーム503から第3小形可動部530に伝達されず、第3小形可動部530は大形可動部590よりも若干遅れて回動し始める。これにより、第3小形可動部530の演出動作が単調になるのを抑制できる。
大形可動部590は第1小形可動部510〜第6小形可動部560が初期位置から煽り位置まで回動しても第1小形可動部510〜第6小形可動部560を隠蔽するように形成されているので、第2可動演出装置500での演出当初において第1小形可動部510〜第6小形可動部560は視認不能となる。第1小形可動部510〜第6小形可動部560を最大回動位置まで回動させ、大形可動部590の後方から出現させることで、意外性のある演出動作を実現でき、遊技の興趣を向上させることが可能となる。
変動表示装置35の前方には、変動表示装置35を視認可能な開口部34aを有するセンターケース34が配設される。センターケース34は、第2可動演出装置500が初期状態である場合に、大形可動部590の一部のみが視認可能なように第2可動演出装置500の前面を隠蔽するので、意外性のある演出動作を実現でき、遊技の興趣を向上させることが可能となる。
本発明は、上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなし得ることは明白である。
例えば、供給通路450の供給部453の切欠453bには切断刃453cを設けたが(図38(C)参照)、排出部452の切欠溝452c(図36参照)や、弁体400の切欠部410(図22(C)参照)、風車330の切欠336(図29(B)参照)、ガイド部340の溝342(図31(B)参照)に不正球の糸状部材420を切断可能な切断刃を設けてもよい。