JP2014140361A - ケトース3−エピメラーゼ酵素 - Google Patents

ケトース3−エピメラーゼ酵素 Download PDF

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Abstract

【課題】 有用な希少糖を生産する菌体内酵素のひとつであるケトース3−エピメラーゼの固定化酵素の提供。
【解決手段】 ケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質をコードする遺伝子をクローン化し、得られた遺伝子でケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質発現に有利な微生物を遺伝子組換えして組換えされた微生物を得、得られた微生物からケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質を得て、当該蛋白質を固定化手段で固定化酵素とする。0.1〜2%リゾチームと0.1〜2%塩化ナトリウムを含む緩衝液中で菌体から抽出したケトース3−エピメラーゼを含む粗酵素液を、弱塩基性イオン交換樹脂に冷却循環通液を行うことにより固定化することを特徴とするケトース3−エピメラーゼ固定化酵素の製造方法。
【選択図】 図4

Description

本発明は、高い収率でD−フラクトースからD−プシコースへの異性化を触媒する新規なケトース3−エピメラーゼ、それを用いてバイオリアクターを作るのに利用するケトース3−エピメラーゼの固定化酵素等の製造方法に関する。さらに、得られたケトース3−エピメラーゼ酵素を用いるケトースの製造方法に関する。
菌が生産する異性化酵素は、その菌体内での生成量が非常に少ないため、キシロースイソメラーゼの例を除いて、工業的な利用はほとんどされていない。
その生成量の少ない異性化酵素のなかでも、各種生理機能を有するとされる希少糖を生成する異性化酵素の生産性を上げることができれば、希少糖を効率的に生産することができるので、その異性化酵素の樹脂等への固定化方法等が詳細に研究されるべきではあるが、これまで、その研究はほとんど進んでいない。例えば、希少糖であるD−プシコースの製造方法については、アルギン酸ナトリウムを用いた固定化酵素による製造方法の報告(特許文献1)はあるものの、その固定化酵素自体が物理的に不安定であり、不経済であるため、工業的な大量生産には十分に適さないのが実情である。
国際公開第2011/040708号 PCT/JP2012/67209
本発明は、有用な希少糖を生産する菌体内酵素のひとつであるケトース3−エピメラーゼの工業的利用を図るため、これまで検討されていない、菌体の酵素処理物、菌体の固定化物等を提供することを課題とする。
本発明者らは、D−フルクトースを基質として用いて、D−プシコースを酵素的に生成する方法について研究する中で、食品を製造する際に使用が認められる既存添加物名簿収載リストに収載されている菌種であって毒性がほとんどないとされる菌種から高い収率でD−フラクトースからD−プシコースへの異性化を触媒する新規なケトース3−エピメラーゼ、特にアルスロバクター グロビホルミス M30(受託番号 NITE BP−1111)を取得したが(特許文献2)、次は商業的生産に完全に満足できる安定性(活性維持)の点で連続生産に耐えられる固定化系の開発が目下の急務となった。本発明は、菌株M30を用いて活性の高い固定化酵素を大量生産すること、得られた固定化酵素を用いて連続的で大量のエピ化反応を行うこと、目的とするケトースを大量に分離生産することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決することを目的として、ケトース3−エピメラーゼの固定化酵素を大量かつ安価に製造し得る方法について鋭意研究した。
その結果、ケトース3−エピメラーゼをコードする遺伝子をクローン化し、得られた遺伝子でケトース3−エピメラーゼ発現に有利な微生物を遺伝子組換えして組換えされた微生物を得、得られた微生物からケトース3−エピメラーゼを得ること、ケトース3−エピメラーゼは、精製酵素、未精製酵素をそのまま用いてもよいが、公知の固定化手段、例えば担体結合法、架橋法、ゲル包括法、マイクロカプセル化法等を利用して固定化酵素としてもよいことを見いだし、本発明を完成するに至った。
本発明の第1番目の発明は、配列番号2または3で表される塩基配列を有するDNAである。
本発明の第2番目の発明は、配列番号2または3で表される塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつD−またはL−ケトースの3位をエピマー化して対応するD−またはL−ケトースを生成するケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNAである。
本発明の第3番目の発明は、第1または第2番目の発明において、DNAがアルスロバクター グロビホルミス M30(受託番号 NITE BP−1111)である微生物由来のDNAであることを特徴とする。
本発明の第4番目の発明は、第1ないし第3番目のいずれかの発明におけるDNAをベクターに組み込んで得られる組換え体DNAである。
本発明の第5番目の発明は、第4番目の発明における組換え体DNAを宿主細胞に導入して得られる形質転換体である。
本発明の第6番目の発明は、第5番目の発明において、宿主細胞がエシェリヒア・コリであることを特徴とする。
本発明の第7番目の発明は、第5または第6番目の発明における形質転換体を培地に培養し、培養物中にケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質を生成蓄積させ、該培養物から該蛋白質を採取することを特徴とする、ケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質の製造方法である。
本発明の第8番目の発明は、第5または第6番目の発明における形質転換体の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、D−またはL−ケトースを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中で該ケトースの3位をエピマー化した対応するケトースを生成蓄積させ、該水性媒体中から該ケトースの3位をエピマー化した対応するケトースを採取することを特徴とするケトースの変換方法である。
本発明の第9番目の発明は、第5または第6番目の発明における形質転換体の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、D−またはL−ケトースを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中で該ケトースの3位をエピマー化した対応するケトースを生成蓄積させ、該水性媒体中から該ケトースの3位をエピマー化した対応するケトースを採取することを特徴とするケトースの製造方法である。
本発明の第10番目の発明は、第8または第9番目の発明において、培養物の処理物が、培養物の処理物が、培養物の濃縮物、培養物の乾燥物、培養物を遠心分離して得られる菌体、該菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、該菌体の超音波処理物、該菌体の機械的摩砕処理物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の固定化物あるいは該菌体より抽出して得られる酵素標品であることを特徴とすることを特徴とする。
イオン交換樹脂は、液糖の精製に利用されることが多く、よって、本発明の固定化酵素の製造方法は従来の液糖生産設備を用いて実施することができるので、その点において有利である。本発明により、菌株M30を用いて活性の高い固定化酵素を大量生産すること、得られた固定化酵素を用いて連続的で大量のエピ化反応を行うこと、目的とするケトースを大量に分離生産することができる。
アルスロバクター(Arthrobacter)属に属する微生物は、新規なケトース3−エピメラーゼ産生能が比較的高く、シュードモナス チコリとは異なり植物病原性も有していない。また、当該微生物から得ることのできる本発明のケトース3−エピメラーゼは、とりわけD−プシコースおよびD−フラクトース間の相互変換を良く触媒することから、D−フラクトースからのD−プシコースの製造に有用である。そこで、ケトース3−エピメラーゼをコードする遺伝子をクローン化し、得られた遺伝子でケトース3−エピメラーゼ発現に有利な微生物を遺伝子組換えして組換えされた微生物を得、得られた微生物からケトース3−エピメラーゼを得ることができた。
該ケトース3−エピメラーゼは、精製酵素、未精製酵素をそのまま用いてもよいが、公知の固定化手段、例えば担体結合法、架橋法、ゲル包括法、マイクロカプセル化法等を利用して固定化酵素としてもよい。すなわち、アルスロバクター グロビホルミス M30(寄託番号NITE BP−1111)由来の下記a.ないしh.の優れた酵素(ケトース3−エピメラーゼ)は、他のエピメラーゼやイソメラーゼと同様に、補酵素を必要としない異性化反応であるので、本発明によって活性の高い固定化酵素を提供することができる。工業的に固定化できることで、目的とするケトースの大量生産法を提供することができる。固定化酵素を用いることで、連続的で大量のエピ化反応を行うケトースの変換方法、ケトースの製造方法、D−プシコースの製造方法を提供することができる。
a.アルスロバクター・グロビフォルミス由来の本酵素を食品産業で用いる最も大きな特長としては菌の安全性にある。
b.D−プシコース生産菌の最適なpHは、シュードモナス属(Pseudomonas)は7〜9、リゾビウム属(Rhizobium)は9〜9.5、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)は7〜8である。一方で、本菌株による酵素の最適pHは6〜8の間にあり、着色の少ない7以下のpHにおいてもD−プシコース生産は可能である。
c.30分間の酵素活性を測定した結果からは、リゾビウム属(Rhizobium)はMn2+、Mg2+、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)はCo2+、Mn2+で活性が増加することが報告されている。本酵素の場合は、Mn2+、およびCo2+によって活性増加が認められる。一方、活性測定時間が15時間の際には、Mg2+もD−プシコース生産量を増やすことから、Mg2+を用いた本菌株によるD−プシコース生産は可能である。
d.従来の酵素と比較して幅広い温度帯での反応が可能である。
e.L−タガトースからL−ソルボースへの反応活性が大きい。
f.培地に添加するD−プシコースが0.15%と少なくても活性のある菌体が得られる。
g.水でも酵素活性があり、フルクトースからプシコースへの反応が進行する。
h.シュードモナス チコリよりも増殖速度が大きい。
実施例1のIRA 96SB HGおよび比較例1のIRA 904Cl、IRA 958 Cl、IRA 411Cl、TAN1又はXAD 7HPを用いた各種固定化酵素の相対活性を示す。 実施例1のリゾチームおよび塩化ナトリウム、比較例2のリゾチームのみ、リゾチームおよびEDTA、リゾチームおよびTriton、またはリゾチームおよびSDSを用いた各種固定化酵素の相対活性を示す。 実施例1の4℃および比較例3の20℃、30℃、又は40℃において粗酵素液を循環させて得た各種固定化酵素の相対活性を示す。 実施例1の固定化酵素樹脂と比較例4のアルギン酸ナトリウムにより固定化した固定化酵素の酵素活性の比較を示す。 実施例3の原料糖液組成の酵素活性に及ぼす影響を示す。 実施例4及び5の固定化酵素カラムの連結による酵素安定性を比較した結果を示す。 遺伝子をpET発現ベクターに組み込み、タンパク発現パターンを確認した図である。 大腸菌発現系を用いたAgM30菌株DPE遺伝子産物の解析結果を示す図である。
D−またはL−ケトースの3位をエピマー化して対応するD−またはL−ケトースを生成するケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質は、例えば、以下のようにして調製され得る。まず、ケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質を産生する微生物を培養する。この微生物は、ケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質を直接生産する微生物であってもよい。また、ケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質をコードする遺伝子をクローン化し、得られた遺伝子でケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質発現に有利な微生物を遺伝子組換えして組換えされた微生物を得、得られた微生物からケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質を得てもよい。ケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質は、精製酵素、未精製酵素をそのまま用いてもよいが、公知の固定化手段、例えば担体結合法、架橋法、ゲル包括法、マイクロカプセル化法等を利用して固定化酵素としてもよい。
[AgM30菌株のDPE遺伝子単離]
生物間や種間で強く保存されているタンパク質の単離においては既知のゲノム遺伝子情報やタンパク質データベースからPCR法を利用して単離することは比較的容易であるが、ある生物の特定の種に特異的に存在する遺伝子の単離はこのような手法での単離は困難である。また、同様に活性を有するタ ンパク質や酵素を単離し、その部分配列の解析を行ったとしても、特定の種に存在する特有タンパク質や酵素類の全アミノ酸配列を部分配列から推定することは非常に困難である。特に本発明者らが単離を試みようとしている希少糖の一つであるD-プシコースを基質とする様な酵素は、基質であるD-プシ コースが自然界にごく少量しか存在していないことから生物が基質としてD-プシコースを取り込むことは自然界では稀である。このような背景から希少糖であるD-プシコースを基質とする酵素は進化の過程である特定の生物種にのみ保存、保持されてきたと考えられることから、既存のPCR法や部分アミノ酸配列からの遺伝子単離は非常に困難であった。
そこで我々はこの様な特定の生物種に保存、保持されている酵素遺伝子の単離を行うために、 D-プシコースが基質となりうる酵素を保持しているArthrobacter globiformis M30(AgM30)菌株のゲノム配列のドラフトシーケンス解析を行い、全ゲノム配列を決定した。その全ゲノム配列よりORFを推定し、そのアミノ酸配列 をAgM30菌株のタンパク質データベースとし、単離、解析した酵素の部分アミノ酸配列の検索を行った。その結果、既存の方法では単離が非常に困難であったAgM30菌株のDPE遺伝子の単離に成功し、大腸菌遺伝子組換え体を作成することにより本遺伝子産物がDPE活性を持 つことが確かめられた。
上述の手法を用いると特定の生物種に特有に保存、保持されている遺伝子についてもより簡便に短時間で候補遺伝子を絞り込む ことが可能となり、全ゲノム配列が決定していることから、その後のPCR法を用いての遺伝子単離も容易に行うことができる。
D−またはL−ケトースの3位をエピマー化して対応するD−またはL−ケトースを生成するケトース3−エピメラーゼは、形質転換体の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用いることができる。培養物の処理物が、培養物の処理物が、培養物の濃縮物、培養物の乾燥物、培養物を遠心分離して得られる菌体、該菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、該菌体の超音波処理物、該菌体の機械的摩砕処理物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の固定化物あるいは該菌体より抽出して得られる酵素標品が例示される。すなわち、該ケトース3−エピメラーゼは精製酵素、未精製酵素をそのまま用いてもよいが、公知の固定化手段、例えば担体結合法、架橋法、ゲル包括法、マイクロカプセル化法等を利用して固定化酵素としてもよい。
本発明のD−またはL−ケトースの3位をエピマー化して対応するD−またはL−ケトースを生成するケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質は、ケトース3−エピメラーゼであれば、いずれの菌株由来のものでも構わないが、アルスロバクター属に属する微生物から得られたものが好ましく、アルスロバクター グロビホルミスがより好ましく、その菌株の例としては、アルスロバクター グロビホルミス(Arthrobacter globiformis)M30(寄託番号NITE BP−1111)およびこれらの変異株などが挙げられる。M30株はケトース3−エピメラーゼの産生能が比較的高く、本発明の固定化酵素を製造するために用いる酵素を得る上で好適である。M30株は、日本国独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター(日本国千葉県木更津市東かずさ鎌足2−5−8)に2011年6月22日原寄託されたNITE P−1111からブタペスト条約に基づく寄託への移管を2012年5月2日に請求し、受託番号 NITE BP−1111して国際寄託されている。
該ケトース3−エピメラーゼ固定化酵素の製造方法の一態様は、0.1〜2%リゾチームと0.1〜2%塩化ナトリウムを含む緩衝液中で菌体から抽出したケトース3−エピメラーゼを含む粗酵素液を、弱塩基性イオン交換樹脂に冷却循環通液を行うことにより固定化することを特徴とする。上記の粗酵素液が、アルスロバクター グロビホルミス M30(寄託番号NITE BP−1111)から得ることができ、
(A)D−またはL−ケトースの3位をエピマー化し、対応するD−またはL−ケトースを生成する、および
(B)D−またはL−ケトースの中ではD−フラクトースおよびD−プシコースに対する基質特異性が最も高い、
の基質特異性を有するケトース3−エピメラーゼを含む粗酵素液である。
上記のケトース3−エピメラーゼを菌体から取り出すためには菌体細胞壁を破砕する必要があるが、その手法として、超音波処理あるいはリゾチームなどの酵素処理による手法が考えられ、一般的なリゾチーム処理では菌体内酵素であるケトース3−エピメラーゼを十分に取り出せなかったところ、種々検討し、実施例では、0.1〜2%塩化ナトリウムとリゾチームによる破砕処理後に40〜70℃、5〜60分間の加熱処理後に得られる上清に、活性を有するケトース3−エピメラーゼが多く得られることがわかった。また、超音波処理により得られる粗酵素液との酵素活性を比較したところ、上記手法による粗酵素液の酵素活性のほうが高いこともわかった。
また、超音波処理により得られる粗酵素液との酵素活性を比較したところ、上記手法による粗酵素液の酵素活性のほうが高いこともわかった。上記のようにして得られた粗酵素を固定化する担体としては、イオン交換樹脂、アルギン酸ナトリウム、合成吸着剤等が考えられるが、イオン交換樹脂のうち塩基性イオン交換樹脂を用いるのが好ましい。
塩基性イオン交換樹脂としては、強塩基性イオン交換樹脂あるいは弱塩基性交換樹脂のいずれでも利用することができ、例えば、強塩基性イオン交換樹脂としてはIRA904Cl、IRA958Cl、IRA411Cl(以上、アンバーライト社製)、TAN1(ダウケミカル社製)等が挙げられ、弱塩基性イオン交換樹脂としてはIRA96SB HG(アンバーライト社製)等が挙げられるが、弱塩基性イオン交換樹脂を用いた場合のほうが、得られる固定化酵素の活性が高いので、より好ましいといえる。さらに、弱塩基性イオン交換樹脂を担体に用いて固定化酵素を製造した場合、固定化したケトース3−エピメラーゼは、その異性化能が消失したあとに容易に溶離させることができることから、固定化酵素の再生を非常に簡便に行うことができ、生産効率が非常に良いといえる
酵素を塩基性イオン交換樹脂に固定化するに際しては、該樹脂をカラムに充填し、酵素液を通液させる方法が一般的であるが、その通液温度を検討したところ、1〜8℃、好ましくは4℃において循環通液を繰り返すことで、より活性の高い固定化酵素が得られる。得られた固定化酵素を用い、フラクトース原料からのプシコース生産条件について、原料ブリックス、反応温度、流速等を検討したが、そのなかで特筆すべきことは、原料をフラクトース100%にするのではなく、プシコースを5〜15%含有させることで、固定化酵素の半減期が大きく伸びた。実際の製造においては、通常、連続カラム(通常、3〜10筒つなげる。)で行うが、上記の結果からすると、連続カラムの生産に非常に適している、ということができる。
本発明のケトース3−エピメラーゼは、他のエピメラーゼやイソメラーゼと同様に、補酵素を必要としない異性化反応である。従って酵素を固定化しての利用が可能であり、種々の固定化方法によって活性の高い固定化酵素を得ることができる。固定化酵素を用いることで、連続的で大量のエピ化反応を行うことが可能である。工業的に固定化できることで、目的とするケトースの大量生産ができる。
連続法について、好ましい態様について説明する。
固定化酵素は、例えば、ケトース3−エピメラーゼを共有結合法によって固定化したものを用いる。これは、酵素を菌体から抽出したものを用いる場合は沈殿させた後に、菌体そのものを用いる場合はそのまま、グルタルアルデヒドにより架橋する。これは共有結合が起こり架橋されるもので、これにリジンを添加することでさらに強度が増すこととなる。この固定化法によって、これまで1週間ほどの安定性であったものが数ヶ月の安定性を持つ固定化酵素を得ることができる。ケトース3−エピメラーゼを共有結合法によって固定化した固定化酵素および/または固定化微生物を使用するバイオリアクターに通液し例えば50%エタノール溶液中でも安定な固定化酵素を用いたバイオリアクターを構築することができる。50%エタノール溶液中でも安定な固定化酵素を用いたバイオリアクターを用いて、50%エタノールを含むD−またはL−ケトースから選ばれる1種以上を含有する溶液を通液することで、反応時は42℃、結晶化時は4℃と温度をコントロールすることにより該ケトースの3位をエピマー化し、対応するケトースの結晶を連続的に製造する。結晶化後のろ液をエタノール除去、濃縮することなしにバイオリアクターに再添加する。
以下、実施例及び比較例を示すが、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
以下の1〜3の手順に従い、培養菌体から取得した粗酵素を樹脂へ固定化をすることで、本発明の固定化酵素(実施例1)を得た。
1.菌体培養と回収
0.5%D−プシコースを含む最少塩培地(MSM培地)4Lにアルスロバクター グロビホルミス M30(寄託番号NITE BP−1111)を植菌し、ジャーファメンタ―を用いて30℃・24時間、撹拌速度400rpm、通気量毎分0.10L/培地Lで培養した。該培養液から遠心分離により菌体100g(湿重量)を回収し、50mMリン酸緩衝液(pH7.0)で洗浄した。回収した菌体の保存は-80℃で行った。
2. 菌体のリゾチーム処理による粗酵素の取得
上記1で得られた菌体100g(湿重量)を50mMリン酸緩衝液(pH7.0)1000mlに懸濁し、そこへ10g卵白リゾチーム(食品添加物、キューピー社製)及び5g塩化ナトリウムを加え、37℃で120分間加熱することにより、酵素の抽出反応を行った。その後、さらに55℃で15分間の加熱を行い、遠心分離(12000rpm、30分)により得られる上清を粗酵素液とした。湿重量100gの菌体から、1000mlの粗酵素液を得た。
3.粗酵素の固定化
純水でよく洗浄して膨潤させた弱塩基性イオン交換樹脂(IRA96SB、アンバーライト社製)100mLをカラム(内径1.5cm)に充填し、そこへ上記2で得た粗酵素液を4℃で通液(SV=0.5((通液量(ml)/カラム体積(ml))/時間)して粗酵素タンパク質を結合させた。次いで、純水を通液して洗浄し、固定化酵素を得た。
4.固定化酵素の酵素活性の測定方法
固定化酵素の酵素活性の測定は、D−プシコースを基質として酵素反応させたときのD−フラクトースの生成量を測定することにより行うこととした。ケトース3−エピメラーゼの酵素反応は平衡反応であって、平衡状態ではD−フラクト―ス:D−プシコース=73:27となるため、D−プシコースを基質としたときのD−フラクトースの生成量を測定するほうが初速度を捉えやすいからである。
具体的な酵素活性測定は、次のようにして行った。まず、50mgの固定化酵素樹脂、1.6μlの1M塩化マグネシウム溶液(最終濃度2mM)、400μlの50mMリン酸緩衝液(pH8)、及び400μlの200mMD−プシコース溶液を反応液組成とし、50℃恒温水槽で10分間反応させた後、100℃で2分間ボイルすることで直ちに反応を停止させた。この反応後の溶液を室温まで冷却してからイオン交換樹脂(200CT及びIRA67の混合樹脂(いずれもアンバーライト社製))で脱塩し、さらにフィルター処理をして分析サンプルとした。分析は、高速液体クロマトグラフィー(カラム:CK08EC(三菱化学)、温度:80℃、溶離液:水、流速:0.4ml/分、検出器:RI−8020(東ソー))を用いて、生成したD−フラクトースのピーク面積を測定することにより行った。
なお、相対活性は、比較サンプルのうちピーク面積の最も大きいサンプルを100として算出することにより求めた。
(比較例1)
[酵素固定化に用いる担体の比較]
酵素固定化に用いる担体による影響を確認するため、実施例1で用いた弱塩基性イオン交換樹脂(IRA 96SB HG)のかわりに、IRA 904Cl、IRA 958 Cl、IRA 411Cl、TAN1(以上、強塩基性イオン交換樹脂)、又はXAD 7HP(合成吸着剤)を用い、実施例1(ただし、2の工程で塩化ナトリウムは添加しない)の方法に従って固定化酵素を作製して酵素活性を比較した。なお、塩化ナトリウムを添加しない理由は、塩化ナトリウムが優先的に塩基性イオン交換樹脂に結合して酵素の固定化を阻害する影響を排除するためである。
図1に、各種固定化酵素の相対活性を示す。意外にも、タンパク質の吸着量が少ないために相対活性が低くなるものと推察された弱塩基性イオン交換樹脂IRA96SB(アンバーライト社製)を用いて作製した固定化酵素樹脂の活性が、もっとも高いことが明らかになった。
(比較例2)
[菌体内酵素抽出時の塩等の影響]
菌体内酵素の抽出効率を高めることを目的に、リゾチームの菌体細胞壁への透過性を高めることを期待して、代表的な塩類である塩化ナトリウムのほか、金属キレート剤であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、界面活性剤であるTritonまたはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いることによる酵素抽出効率に及ぼす影響を確認した。
実施例1のリゾチームおよび塩化ナトリウムにかえて、リゾチームのみ、リゾチームおよびEDTA(和光純薬工業製)、リゾチームおよびTriton(和光純薬工業製)、またはリゾチームおよびSDS(ナカライテスク社製)を用い、それ以外は実施例1と同様の操作を行うことにより、各種固定化酵素樹脂を得た。
図2に各種固定化酵素の相対活性を示す。リゾチーム酵素による菌体内からのケトース3−エピメラーゼの抽出は、活性界面活性剤を併用することがもっとも効果的であろうと推察していたが、意外なことに、塩化ナトリウムを用いて抽出した粗酵素の固定化酵素樹脂の活性がもっとも高いことが明らかになった。
(比較例3)
[酵素固定化時の温度の影響]
実施例1における酵素固定化工程において、4℃において粗酵素液を循環させることにかえて、20℃、30℃、又は40℃において粗酵素液を循環させ、それ以外は実施例1と同様の操作を行い、各種固定化酵素樹脂を得た。
図3に、各種固定化酵素の相対活性を示す。意外にも、粗酵素液を4℃で冷却しながら循環させて固定化した固定化酵素樹脂の活性がもっとも高いことが明らかになった。
(実施例2)
[原料D−フラクトースからのD−プシコースの生産]
本発明の固定化酵素を用いて、原料D−フラクトースからのD−プシコースの生産を試みた。
まず、実施例1で得た固定化酵素100mlをカラムに充填し、そこへ原料D−フラクトース溶液(Bx30、炭酸ナトリウムを用いてpH7.5に調整。)を送液速度SV=0.5で送液した。ただし、原料中には最終の濃度で2mMとなるように塩化マグネシウム(キシダ化学製)を入れた。なお、送液の際、固定化酵素樹脂カラム外側のヒートジャケットカラム内は温水で満たし、45℃で加温した。
(比較例4)
[アルギン酸ナトリウムにより固定化した固定化酵素との比較]
実施例1で得た、菌体から抽出した粗酵素液を担体に固定化した固定化酵素と、菌体そのものを固定化した固定化酵素の酵素活性の比較を行った。
実施例1の同様の手法により得た菌体100g(湿重量)を100g純水と混合して菌体懸濁液を調製し、3%アルギン酸ナトリウム(ナカライテスク社製)水溶液200gと混合した。この混合液を、シリンジを用いて0.2M塩化カルシウム溶液中に滴下し、得られるビーズ状の固定化菌体(固定化酵素に相当)を1Lの0.25M塩化カルシウム溶液中に移してゆっくりとスターラーで撹拌(50rpm)することで、エージング(4℃)を行った。
このようにして得られた固定化酵素(比較例4)と実施例1で得られた固定化酵素について、先に示した測定方法に従い酵素活性を測定し、その比較を行った。
その結果を図4に示す。意外にもアルギン酸ナトリウムにより固定化した固定化酵素(比較例4)に比べ、本発明の固定化酵素樹脂(実施例1)の酵素活性が高いだけでなく、酵素安定性も非常に高いことが明らかになった。なお、図中の「D−プシコース生成率」とは、原料糖液中のD−フラクトース量を100としたときのD−プシコースへ変換された割合を示す。
(実施例3)
[原料糖液組成の酵素活性に及ぼす影響]
原料糖組成の固定化酵素活性に及ぼす影響を検討した。
実施例2の方法に従い、原料糖液として、D−フラクトース溶液(Bx30)、あるいは、D−フラクトース:D−プシコース=90:10の混合糖液(Bx30)を、実施例1で得られた固定化酵素に通液反応させて、その反応液の糖組成を分析した。
その結果を図5に示す。意外にも、D−フラクトースのみからなる溶液を原料として用いる(実施例2)のではなく、D−プシコースを含有するD−フラクトース溶液を原料として用いることで(実施例3)、固定化酵素樹脂の半減期が大きく延びることが確認された。
なお、D−フラクトース:D−プシコース=95:5の混合糖液(Bx30)及びD−フラクトース:D−プシコース=85:15の混合糖液(Bx30)についても、実施例1で得られた固定化酵素に通液反応させたときの糖組成を分析したところ、やはり同様に、D−プシコース溶液(Bx30)を通液するよりも、固定化酵素樹脂の半減期が延びることが確認された。
(実施例4及び5)
[固定化酵素カラムの連結]
実施例2の方法に従い、D−フラクトース溶液を実施例1の固定化酵素に通液反応させ、通液開始時の活性を100%としたときに50%まで相対活性が低下した固定化酵素樹脂カラムを取得し、このカラムの通液出口側を実施例1で得られる固定化酵素樹脂のカラム(相対活性100%)の通液入口側へ直列に連結させ、2筒連結カラム(実施例4)を得た。また、この実施例4の2筒連結カラムの通液入口側へ、相対活性が25%にまで低下した固定化酵素樹脂カラムの通液出口側をさらに直列で連結させ、3筒連結カラム(実施例5)を作製した。
得られた実施例1、4、5の固定化酵素樹脂カラムに、D−フラクトース溶液(Bx30)をSV=0.5で25日間通液したときの酵素安定性を比較した。その結果を図6に示す。実施例5の3筒連結カラムにおいて、もっとも酵素安定性が高く、すなわち、本発明の固定化酵素を用いて製造した混合糖液を再び原料として用いることにより、固定化酵素の安定性および経済性を高められることがわかった。
[実施例6]
[AgM30菌株の全ゲノム解析によるDPE遺伝子塩基配列の特定]
上記の試験の結果から、AgM30菌株のDPEは既知のDPEとは全く異なり、PCR増幅の手法や既存のタンパク質データベースを用いて単離することが出来ないと考えられた。そこで、AgM30菌株の全ゲノム配列を決定しそのタンパク質データベースの構築を行った。AgM30菌株からQiagen社DNeasy Blood & Tissueキットを用いてゲノムDNAを単離、精製し、このうち19.58μgをタカラバイオ株式会社ドラゴンジェノミクスセンターの高速シーケンス解析に依頼した。その結果、総解析塩基数513569410 bpで22の4 kb以上のコンティグが得られた。この22コンティグで約5.1 MbあることからArthrobacter globiformis M30の全ゲノム配列をカバーできると考えられた。
[AgM30菌株のタンパク質データーベースの構築]
得られた約5.1 Mbの遺伝子配列を元にGeneMarkSプログラムを用いて4798のORFを推定し、それぞれのORFについてアミノ酸配列を推定した。この4798アミノ酸配列をAgM30菌株のタンパク質データベースとした。
[AgM30菌株のDPE活性が見られたタンパク質の再同定]
上記のタンパク質データーベースを用いて、タンパク質同定システムであるMASCOT server(マトリックスサイエンス社)に登録し、DPE活性が見られたタンパク質の再同定を行った。その結果、下記の配列1(配列表配列番号1)からなるアミノ酸配列中で下線を引いて示すアミノ酸配列と52%の相似性が見られたことから、本タンパク質がAgM30菌株のDPEであることが強く示唆された。
[配列1]
1 MKIGCHGLVW TGHFDAEGIR YSVQKTREAG FDLVEFPLMD PFSFDVQTAK
51 SALAEHGLAA SASLGLSDAT DVSSEDPAVV KAGEELLNRA VDVLAELGAT
101 DFCGVIYSAM KKYMEPATAA GLANSKAAVG RVADRASDLG INVSLEVVNR
151 YETNVLNTGR QALAYLEELN RPNLGIHLDT YHMNIEESDM FSPILDTAEA
201 LRYVHIGESH RGYLGTGSVD FDTFFKALGR IGYDGPVVFE SFSSSVVAPD
251 LSRMLGIWRN LWADNEELGA HANAFIRDKL TAIKTIELH

(配列1 AgM30菌株のタンパク質データーベースを用いて同定したアミノ酸配列 下線部で示すアミノ酸配列がMALDI-TOF MSで得られたピークと一致した配列。)
[AgM30菌株のDPE遺伝子の単離]
アミノ酸配列からゲノム遺伝子情報を取得し、増幅用のPCRプライマー(AglDPE_F: 5'-ATGAAAATTGGTTGCCATG-3', AglDPE_R: 5'-TTAGTGCAGTTCGATGGT-3')を設計し、AgM30菌株のゲノムよりDPE遺伝子を増幅した。そのPCR産物のシーケンス解析を行ったところ、下記の配列2(配列表配列番号2)に示す870bpの遺伝子配列、および配列3(配列表配列番号3)の下線を引いて示した15番目のシトシン(C)がチミン(T)に置換された配列からなる遺伝子配列の2つの塩基配列が得られた。
[配列2(配列表配列番号2)]
ATGAAAATTGGTTGCCATGGCCTGGTTTGGACCGGCCACTTCGACGCTGAAGGCATTCGCTACTCCGTCCAGAAAACCAGGGAAGCCGGTTTCGACCTCGTTGAGTTCCCGCTCATGGATCCGTTCTCCTTCGATGTGCAGACGGCCAAGTCCGCACTGGCCGAACATGGGCTGGCGGCCTCGGCATCTCTGGGACTCTCGGACGCCACTGACGTAAGCAGCGAAGATCCCGCCGTCGTGAAGGCAGGGGAGGAGCTGCTCAACCGCGCCGTGGATGTTCTGGCCGAACTGGGTGCGACGGATTTCTGCGGCGTGATTTATAGCGCCATGAAGAAGTACATGGAGCCGGCAACTGCTGCCGGGCTGGCCAACAGCAAGGCAGCCGTCGGGCGGGTCGCGGACCGGGCATCGGATCTGGGGATCAATGTTTCGCTGGAGGTCGTCAACAGGTACGAAACCAACGTACTGAACACCGGACGTCAGGCCCTTGCCTACTTGGAGGAGCTCAACCGGCCGAACCTGGGCATCCACCTGGACACTTACCACATGAACATTGAGGAATCGGACATGTTCTCCCCGATCCTGGACACCGCGGAGGCCCTGCGGTACGTCCATATCGGCGAAAGCCACCGCGGCTACCTCGGCACGGGAAGCGTTGACTTCGACACTTTCTTCAAGGCCCTCGGCCGCATCGGCTATGACGGACCCGTTGTCTTCGAATCGTTCTCCTCCTCCGTCGTGGCACCGGATCTGAGCCGGATGCTCGGCATCTGGCGCAACCTGTGGGCCGACAACGAGGAACTGGGTGCGCACGCGAATGCCTTCATCCGCGACAAGCTCACCGCGATCAAGACCATCGAACTGCACTAA

(配列2(配列表配列番号2) AgM30菌株のゲノムDNAより増幅したDPE遺伝子配列。)
[配列3(配列表配列番号3)]
ATGAAAATTGGTTGTCATGGCCTGGTTTGGACCGGCCACTTCGACGCTGAAGGCATTCGCTACTCCGTCCAGAAAACCAGGGAAGCCGGTTTCGACCTCGTTGAGTTCCCGCTCATGGATCCGTTCTCCTTCGATGTGCAGACGGCCAAGTCCGCACTGGCCGAACATGGGCTGGCGGCCTCGGCATCTCTGGGACTCTCGGACGCCACTGACGTAAGCAGCGAAGATCCCGCCGTCGTGAAGGCAGGGGAGGAGCTGCTCAACCGCGCCGTGGATGTTCTGGCCGAACTGGGTGCGACGGATTTCTGCGGCGTGATTTATAGCGCCATGAAGAAGTACATGGAGCCGGCAACTGCTGCCGGGCTGGCCAACAGCAAGGCAGCCGTCGGGCGGGTCGCGGACCGGGCATCGGATCTGGGGATCAATGTTTCGCTGGAGGTCGTCAACAGGTACGAAACCAACGTACTGAACACCGGACGTCAGGCCCTTGCCTACTTGGAGGAGCTCAACCGGCCGAACCTGGGCATCCACCTGGACACTTACCACATGAACATTGAGGAATCGGACATGTTCTCCCCGATCCTGGACACCGCGGAGGCCCTGCGGTACGTCCATATCGGCGAAAGCCACCGCGGCTACCTCGGCACGGGAAGCGTTGACTTCGACACTTTCTTCAAGGCCCTCGGCCGCATCGGCTATGACGGACCCGTTGTCTTCGAATCGTTCTCCTCCTCCGTCGTGGCACCGGATCTGAGCCGGATGCTCGGCATCTGGCGCAACCTGTGGGCCGACAACGAGGAACTGGGTGCGCACGCGAATGCCTTCATCCGCGACAAGCTCACCGCGATCAAGACCATCGAACTGCACTAA

(配列3(配列表配列番号3) AgM30菌株のゲノムDNAより増幅したDPE遺伝子配列 下線部で示した15番目のシトシン(C)がチミン(T)に置換された配列からなる。)
[大腸菌発現系を用いたDPE遺伝子産物の解析]
配列2(配列表配列番号2)の配列を元に大腸菌発現系の構築を行った。pETベクター(clontech社)にAgM30菌株由来のDPE遺伝子を組込み、発現用大腸菌を形質転換した。その結果、図7に示すように可溶性画分に誘導タンパク質が確認できた。またDPE活性も確認できたが、その活性は培養液1mL当たりでは野生型と同程度であった。
さらに大腸菌発現系での活性向上を目指しAgM30菌株由来のDPE遺伝子をpRSETベクター(invitrogen社)およびpColdベクター(タカラバイオ社)に組込み、大腸菌形質転換体を作出した。これらの系で生産したDPEの活性を測定したところ、培養液1mL当たりでpRSETベクターの系では野生型と同程度、pColdベクターの系では野生型の10倍程度の活性を示した。
[枯草菌発現系を用いたDPE遺伝子産物の解析]
大腸菌の系より遺伝子組換えタンパク質の生産量が多いと報告がある枯草菌の系を構築した。AgM30菌株由来のDPE遺伝子を宿主である枯草菌Bacillus subtilis形質転換用pHT01ベクター(MoBiTec社)に組込み、シーケンス解析後、形質転換を行った。その結果、抗生物質耐性を獲得した形質転換体を数多得ることが出来たのでDPE遺伝子誘導実験を行ったが、DPE遺伝子産物の生産は見られずその活性も測定不可能であった。
[大腸菌発現系を用いたDPE遺伝子産物の大量生産]
枯草菌の系ではDPE遺伝子産物の大量生産が不可能であったことから、再度大腸菌の系を用いてAgM30菌株由来のDPE遺伝子産物の大量生産を試みることとした。これまでに使用していたベクターの系では組換えタンパク質の精製が簡便に行えるようにN末端側にHis-tagが付加されたり、可溶化させるための可溶化tag等が付加されることから、組換えタンパク質の生産量、酵素活性に影響があると考えられた。そこで組換えタンパク質にtag等が付加しないpQEベクター(qiagen社)の系を用いることとした。AgM30菌株由来のDPE遺伝子をpQE60ベクター(qiagen社)に組込み、その宿主である大腸菌M15[pREP4] (qiagen社)を形質転換し、その発現産物に関して解析を行った。SDS-PAGE(ゲル濃度12%)による電気泳動を行うと図8に示すように野生型のタンパク質とほぼ同じ分子量を示す約30kD付近の可溶性画分に発現産物であるタンパク質が確認された。また、1mLの培養液のDPE酵素活性を測定したところ、55.2U(μmol/min)であった。現在のところArthrobacter globiformis M30菌株から粗精製したDPEの酵素活性は1mL培養液当たり1.5-1.8(μmol/min)であることから30-37倍程度の酵素活性の上昇がみられた。
本発明のケトース3−エピメラーゼは、遊離のD−又はL−ケトース、D−又はL−ケトペントースに作用させて、これらケトースの3位をエピマー化し、対応するD−又はL−ケトース、D−又はL−ケトースを容易に生成する。この反応は、各種ケトース、とりわけD−フラクトースを原料としたD−プシコースの大量生産の道を拓くものである。
また、ケトース3−エピメラーゼをコードする遺伝子をクローン化し、得られた遺伝子でケトース3−エピメラーゼ発現に有利な微生物を遺伝子組換えして組換えされた微生物を得、得られた微生物からケトース3−エピメラーゼを得てもよい。ケトース3−エピメラーゼは、精製酵素、未精製酵素をそのまま用いてもよいが、公知の固定化手段、例えば担体結合法、架橋法、ゲル包括法、マイクロカプセル化法等を利用して固定化酵素としてもよい。
上記から明らかなように、ケトース3−エピメラーゼ、特に菌体M30(寄託番号NITE BP−1111)由来のケトース3−エピメラーゼ、ならびに、固定化酵素を大量かつ安価に製造することができるため、目的とするD−プシコースを含む各種ケトースを低い生産コストで大量生産して提供することが可能となる。そのため、用途範囲がさらに拡大されることが期待され、それが与える影響は、食品、化粧品、医薬品、化学工業など多方面に及ぶことが期待され、その工業的意義は極めて大きい。
本酵素を生産する、アルスロバクター グロビフォルミスを食品産業で用いる最も大きな特徴としては、菌の安全性にある。この菌種はアメリカにおいて、FDAによるEAFUSに収載されていることは、菌体自体の安全性が非常に高いことを証明するものである。これまで知られているD-プシコースの生産酵素としては、シュードモナス属、アグロバクテリウム属、リゾビウム属などによるものがあるが、これらは米欧のリストには収載されていないばかりか、日和見菌としてや、植物細胞感染などの報告もあり、安全性を確認するには多くの労力を要する微生物であった。本発明で菌体自体の安全性が非常に高い菌を使用できることは大きな技術の進歩である。

Claims (10)

  1. 配列番号2または3で表される塩基配列を有するDNA。
  2. 配列番号2または3で表される塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつD−またはL−ケトースの3位をエピマー化して対応するD−またはL−ケトースを生成するケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質をコードするDNA。
  3. DNAがアルスロバクター グロビホルミス M30(受託番号 NITE BP−1111)である微生物由来のDNAである、請求項1または2に記載のDNA。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のDNAをベクターに組み込んで得られる組換え体DNA。
  5. 請求項4に記載の組換え体DNAを宿主細胞に導入して得られる形質転換体。
  6. 宿主細胞がエシェリヒア・コリである、請求項5に記載の形質転換体。
  7. 請求項5または6に記載の形質転換体を培地に培養し、培養物中にD−またはL−ケトースの3位をエピマー化して対応するD−またはL−ケトースを生成するケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質を生成蓄積させ、該培養物から該蛋白質を採取することを特徴とする、ケトース3−エピメラーゼ活性を有する蛋白質の製造方法。
  8. 請求項5または6に記載の形質転換体の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、D−またはL−ケトースを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中で該ケトースの3位をエピマー化した対応するケトースを生成蓄積させ、該水性媒体中から該ケトースの3位をエピマー化した対応するケトースを採取することを特徴とするケトースの変換方法
  9. 請求項5または6に記載の形質転換体の培養物または該培養物の処理物を酵素源として用い、該酵素源、D−またはL−ケトースを水性媒体中に存在せしめ、該水性媒体中で該ケトースの3位をエピマー化した対応するケトースを生成蓄積させ、該水性媒体中から該ケトースの3位をエピマー化した対応するケトースを採取することを特徴とするケトースの製造方法。
  10. 培養物の処理物が、培養物の濃縮物、培養物の乾燥物、培養物を遠心分離して得られる菌体、該菌体の乾燥物、該菌体の凍結乾燥物、該菌体の界面活性剤処理物、該菌体の超音波処理物、該菌体の機械的摩砕処理物、該菌体の溶媒処理物、該菌体の固定化物あるいは該菌体より抽出して得られる酵素標品であることを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。






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