JP2014137968A - 光電極、光電変換素子及び光電極の製造方法 - Google Patents

光電極、光電変換素子及び光電極の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】色素を用いずに可視光を直接電気エネルギーに変換することができ、光電変換機能を有する材料の資源量が豊富で枯渇の心配がなく、安価に製造できて、耐久性に優れ、光電変換特性の高い光電極や、前記光電極を備えた光電変換素子や光充電レドックスキャパシタを提供すること。
【解決手段】導電性基板と、前記導電性基板上に形成された繊維状炭素層と、前記繊維状炭素層上に形成されたバーネサイト型層状マンガン酸化物層とを有する光電極、前記光電極と電解質層と対極とを備えた光電変換素子及び前記光電極を備えた光充電レドックスキャパシタ。
【選択図】図1

Description

本発明は、バーネサイト型層状マンガン酸化物層を有する光電極及びその製造方法や、前記光電極を備えた光電変換素子やレドックスキャパシタに関する。
近年、化石燃料の枯渇や化石燃料の燃焼によって生ずる地球温暖化への対策が急務となり、自然エネルギーの利用促進が必要となってきている。自然エネルギーの中でも、太陽エネルギーを利用した太陽電池が最も期待されており、可視光を電気エネルギーに変換するために、様々な種類の光電変換素子が開発されている。その代表的なものとしては、シリコン系の材料を用いた光電変換素子がある。このタイプの光電変換素子は、開発の歴史が古く、太陽電池として実用化され、単結晶シリコン、多結晶シリコンやアモルファスシリコンを用いたものが提案されているが、製造には多大なエネルギーを必要とするため、製造コストが高いという問題点がある。また、GaAsやInP等の化合物半導体を用いた光電変換素子も提案されているが、製造コストが高い、GaやInの資源量が少ない、毒性への懸念等の問題がある。
上記材料と異なった半導体材料として、最近、金属酸化物半導体を用いた光電変換素子の開発が進められている。金属酸化物として酸化チタンを用い、酸化チタンの表面に増感色素を吸着させた光電変換素子で、色素増感型といわれている。色素増感型の光電変換素子は、透明導電性基板上に酸化チタンからなる金属酸化物半導体層を形成し、金属酸化物半導体層に色素を吸着させたものを光電極として用いる。色素が太陽光を吸収すると、色素中の電子が励起され、励起された電子が、金属酸化物半導体層を形成する酸化チタンの伝導帯に注入されて、導電性基板を通じて外部回路へ運ばれる。色素の吸着量が多いほど光電変換効率が高いため、酸化チタンとしては、微粒子が用いられ、金属酸化物半導体層は、色素の吸着量を増加させるために、酸化チタン微粒子からなる多孔質膜として形成されている(特許文献1)。
しかし、色素増感型の光電極を用いた光電変換素子の場合、可視光を効率よく吸収し、励起準位が酸化チタンの伝導帯よりもエネルギー順位の高い色素が必要であり、ルテニウム錯体色素等が用いられているが、ルテニウムは高価であり色素の価格が高い、色素が太陽光を吸収して分解したり電解液に溶出したりするため耐久性が十分でないといった問題点がある。さらに、ヨウ素系の電解液が必要となり、ヨウ素による内部の腐食劣化、液漏れ、ガラスセル中への電解液注入工程での作業性等の問題点がある。酸化チタンは、光子エネルギーの吸収により、価電子帯から伝導帯へ電子が励起されるが、バンドギャップが3.0〜3.2eVと高いので、紫外線でなければ電子を励起することができず、可視光領域では励起できない。そのため、酸化チタン単独では、可視光により光電変換を行うことができず、可視光を利用するには色素との複合が必要となるために、上記の問題点が生じる。酸化チタンのかわりに、金属酸化物半導体として酸化亜鉛を用いて光電極とした色素増感型の光電変換素子も提案されているが、酸化亜鉛も紫外線でなければ電子を励起することができないため、酸化チタンを用いた場合と同様の問題点があり、さらには、酸化亜鉛はルテニウム錯体色素に溶解する性質があるため特殊な色素を用いる必要がある(特許文献2)。また、他の遷移金属酸化物は、酸化還元の影響を受けやすく安定性が低く、伝導性にも乏しいという問題点があった。
一方、蓄電池用途として最近開発がおこなわれている材料に、マンガンの酸化物がある。例えば、マンガン酸リチウム(LiMn)は、Liの挿入、脱離特性を有するため、マンガン酸リチウム粒子を正極活物質として用いたリチウム二次電池が開発されている(特許文献3)。マンガンも遷移金属であるが、マンガン酸化物は安定性が高く、伝導性も良好である。しかしながら、金属酸化物半導体として知られる酸化チタンや酸化亜鉛とは異なり、マンガン酸化物については、光電変換素子に適用するための開発はほとんど行われていない。過去に、KCOとMnの混合物を焼成し固層合成した層状のマンガン酸化物(K0.45MnO)を塩酸処理して水素型に変換し、単層剥離して得たナノシートについて、可視光により光電流を生成したとの報告があるのみで(非特許文献1)、その後の開発は進んでいなかった。
特開2004−319439号公報 特開2008−243700号公報
"Photocurrent generation from semiconducting manganese oxide nanosheets in response to visible light"Nobuyuki Sakai, Yasuo Ebina, Kazunori Takada, and Takayoshi Sasaki J. Phys. Chem. B, 109, 9651 (2005) .
本発明の課題は、上記問題点を解決し、色素を用いなくても可視光を直接電気エネルギーに変換することができ、光電変換機能を有する材料の資源量が豊富で枯渇の心配がなく、安価に製造でき、耐久性に優れ、光電変換特性の高い光電極や、前記光電極を備えた光電変換素子や光充電レドックスキャパシタや、前記光電極の製造方法を提供することにある。
マンガンは、地殻で10番目に豊富な元素であるため資源量が豊富であり、非常に安価な材料である。そして、その酸化物は様々な結晶構造や複数の酸化状態で存在するため、吸着体、触媒、電子材料等の用途に活用できる可能性がある。本発明者らは、このような可能性を有するマンガン酸化物に着目し、電気化学的方法を用いて、電気化学パラメータによりナノサイズで構造を制御できるマンガン酸化物の合成方法の開発に着手した。その結果、バーネサイト型層状マンガン酸化物の薄膜を、従来用いられていなかった電気化学反応により作製する方法を見いだした(特許4547495号、特開2011−207725号公報)。その後、さらにマンガン酸化物の特性や用途について検討を進める過程で、それまで注目されていなかったマンガン酸化物の光電変換素子への適用に着目し、開発を進めた結果、バーネサイト型層状マンガン酸化物とカーボンナノチューブ等の繊維状炭素とを複合化することにより、可視光から電気エネルギーを生成する特性が飛躍的に向上することを見いだした。さらに、層状マンガン酸化物のもつ特性を利用して、可視光を電気エネルギーに変換するだけではなく、生成した電気エネルギーを蓄積できることも見いだした。以上の知見に基づき、本発明は完成するに至ったものである。
すなわち本発明は、(1)導電性基板と、前記導電性基板上に形成された繊維状炭素層と、前記繊維状炭素層上に形成されたバーネサイト型層状マンガン酸化物層とを有する光電極や、(2)繊維状炭素が、カーボンナノチューブであることを特徴とする上記(1)記載の光電極や、(3)バーネサイト型層状マンガン酸化物が、アルカリ金属イオンがインターカレートされていることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の光電極や、(4)上記(1)〜(3)のいずれか記載の光電極と電解質層と対極とを備えた光電変換素子や、(5)上記(1)〜(3)のいずれか記載の光電極と電解質層と酸化還元可能な対極とを備え、対極が還元されることにより光電流が充電されることを特徴とする光充電可能なレドックスキャパシタや、(6)導電性基板上に繊維状炭素層を形成し、前記繊維状炭素層が形成された導電性基板を、アルカリ金属イオンと過マンガン酸イオンが存在する溶液に浸漬し、前記過マンガン酸イオンを電気化学的に還元することにより前記繊維状炭素層上にバーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成することを特徴とする光電極の製造方法に関する。
本発明によると、色素を用いなくても可視光を直接電気エネルギーに変換することができる。そのため、色素の劣化による光電変換特性の劣化がなく耐久性に優れ、高価な色素が不要となり安価に製造できる光電極を提供することができる。また、マンガン酸化物を用いるため、資源量が豊富で枯渇の心配がなく、安価に製造でき、製造工程での毒性の懸念も少ない光電極を提供することができる。そして、バーネサイト型層状マンガン酸化物と繊維状炭素とを複合化したことにより光電変換特性の高い光電極を提供することができる。本発明の光電極を用いた光電変換素子は、他の金属酸化物を用いた色素増感型の光電変換素子と異なり、ヨウ素系の電解液を用いる必要がないため、ヨウ素による内部の腐食劣化、液漏れ等の問題がなく耐久性に優れ、セル中への電解液注入工程での作業性等の問題点も少ない。また、本発明では、可視光により直接充電できる光充電可能なレッドクスキャパシタを提供することができる。本発明の光電極の製造方法によれば、光電変換機能を阻害するバインダー等を必要とせずに、均一で密着性の高いマンガン酸化物層を形成することができるため、光電変換特性の高い光電変換素子を製造することができる。
図1は、実施例1と比較例1で測定されたi−t曲線を示すグラフである。 図2は、実施例1と比較例2で測定されたi−t曲線を示すグラフである。 図3は、実施例1と比較例3で測定されたi−t曲線を示すグラフである。
本発明の光電極は、導電性基板と、前記導電性基板上に形成された繊維状炭素層と、前記繊維状炭素層上に形成されたバーネサイト型層状マンガン酸化物層とを有する光電極である。上記導電性基板に用いる基板としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス基板、プラスチック基板、金属基板等を挙げることができる。また、本発明の光電極において、上記導電性基板側から光が照射される場合は、透明性を有する基板が好ましく、透明性基板を用いる場合は、基板の光透過率は50%以上であることが好ましい。上記ガラス基板の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ソーダガラス、溶融石英ガラス、結晶石英ガラス、合成石英ガラス等を挙げることができる。上記プラスチック基板の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエステル、ポリアクリル、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリエステルスルフォン、ポリシクロオレフィン等を挙げることができる。プラスチック基板の形状としては、板状、シート状又はフィルム状のいずれの形態であってもよい。上記金属基板の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、白金、金、ステンレス、チタン、ニッケル、タンタル等を挙げることができる。また、導電性基板の厚みとしては、基板上に形成される繊維状炭素層やバーネサイト型層状マンガン酸化物層を支持するのに十分な強度を有すれば特に限定されない。
本発明における導電性基板は、上記基板に導電性を付与したものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、上記基板上に導電層を形成したものを挙げることができる。かかる導電層は、例えば、導電材料を含有する塗料を用いたコーティング、ゾルゲル法等の液相法や、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、PVD法等の気相法などの公知の方法により形成することができる。本発明の光電極の導電性基板側から光が照射される場合は、透明性を有する基板上に透明導電膜を形成した透明導電性基板が好ましい。透明導電膜を構成する材料は、特に限定されるものではないが、例えば、錫をドープした酸化インジウム(ITO)、フッ素をドープした酸化インジウム(FTO)、酸化スズ(SnO2)、ZnO等を挙げることができる。これらの中でも、透明性や導電性に優れるITOやFTOを好適に例示することができる。また、透明導電性基板の光透過率は、前述したように50%以上であることが好ましい。
本発明における繊維状炭素としては、特に限定されるものではないが、例えば、気相成長炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。本発明におけるカーボンナノチューブには、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)、カーボンナノチューブの変形であるカーボンナノホーン(一方の端部から他方の端部まで連続的に径が拡大しているホーン型のもの)やカーボンナノコイル(全体としてスパイラル状をしているコイル型のもの)等の厳密にチューブ形状をしていないものや、カーボンナノチューブ中に金属等の何らかの物質を内包したカーボンナノチューブも含まれる。これらの中でも、カーボンナノチューブが、導電性が高く、比表面積が大きく、化学的安定性に優れ、バーネサイト型層状マンガン酸化物との密着性に優れるため好ましく、多層カーボンナノチューブがより好ましい。繊維状炭素の直径としては、0.3nm以上100nm以下であることが好ましく、0.4nm以上50nm以下がより好ましい。繊維状炭素の長さとしては、0.1μm以上100μm以下であることが好ましく、1μm以上15μm以下がより好ましい。また、本発明における繊維状炭素層は、上記繊維状炭素により構成され、繊維状炭素層の厚みは、50〜300nmが好ましく、150〜200nmがより好ましい。
本発明におけるバーネサイト型層状マンガン酸化物は、マンガンを中心とし頂点に6つの酸素を配置したMnOで示される八面体構造が、互いに頂点と稜を共有して広がった層を形成し、その層が積み重なった層状化合物であり、Mn3+/Mn4+の混合原子価をもつマンガン酸化物(MnO)である。マンガン酸化物は、光子エネルギーの吸収によって、価電子帯と伝導帯間で電子の励起(d−d遷移)が起こるが、励起電子は直ちに正孔と再結合してしまう。しかし、マンガン酸化物をナノサイズ化すれば、量子サイズ効果によりバンドギャップエネルギーが増加し、励起電子を光電流として取り出すことが可能となる。本発明におけるバーネサイト型層状マンガン酸化物は、各層の厚みがサブナノ〜ナノメートルサイズであるため、この量子サイズ効果により、可視光で励起された電子を光電流として取り出すことができる。バーネサイト型層状マンガン酸化物は、複数の層からなり各層の間に間隙があるが、本発明におけるバーネサイト型層状マンガン酸化物は、一つの層の厚みとその次の層との間の間隔を加えた値(層間距離)が、0.4〜5nmが好ましく、0.5〜3nmがさらに好ましく、0.7〜1.5nmがより好ましい。上記バーネサイト型層状マンガン酸化物は、各層間の間隔に水分子やカチオンをインターカレートすることができ、かかる分子やカチオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、金属イオンを挙げることができる。本発明の光電極を光電変換素子に用いると、可視光の照射を受けて励起された電子は、外部回路を通って対極へ移動するが、かかるカチオンが、電解質層を通って対極へ移動することにより、電流が流れるのを促進する。カチオンとしては、上記バーネサイト型層状マンガン酸化物の各層への吸着のしやすさや、各層間の間隙や電解質層中での移動のしやすさからアルカリ金属イオンが好ましい。また、本発明におけるバーネサイト型層状マンガン酸化物層は、上記バーネサイト型層状マンガン酸化物から構成され、かかるマンガン酸化物層としての厚みは、光子エネルギーの利用率を大きくするためには薄い方がよく、3〜50nmが好ましく、5〜20nmがより好ましい。本発明の光電極では、上記繊維状炭素層上に上記バーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成し、繊維状炭素とバーネサイト型層状マンガン酸化物とを複合化して用いるので、取り出す光電流を飛躍的に増加させることができる。ここで、繊維状炭素層上に上記バーネサイト型層状マンガン酸化物層が形成される形態としては、繊維状炭素層を形成する繊維状炭素上にバーネサイト型層状マンガン酸化物層が形成されていればよく、繊維状炭素が堆積して層をなした上にバーネサイト型層状マンガン酸化物が層として堆積した形態でもよく、繊維状炭素とバーネサイト型層状マンガン酸化物とが混在した状態で層を形成した形態でもよく、繊維状炭素層の隙間を埋めるようにバーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成した形態でもよく、繊維状炭素層を形成する繊維状炭素の表面にバーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成した形態でもよい。励起電子をより取り出しやすくする観点から、繊維状炭素層を形成する繊維状炭素の表面にバーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成した形態が、繊維状炭素の表面がバーネサイト型層状マンガン酸化物で被覆され、繊維状炭素とバーネサイト型層状マンガン酸化物との複合化が強まるので好ましく、繊維状炭素の表面全体がバーネサイト型層状マンガン酸化物層で被覆されていても、表面の一部がバーネサイト型層状マンガン酸化物層で被覆されていてもよいが、光電流を取り出す効果を損なわない程度に被覆されていることが好ましい。本発明の光電極の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、導電性基板上に繊維状炭素層を形成した後、バーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成する方法、導電性基板上にバーネサイト型層状マンガン酸化物層で被覆した繊維状炭素を堆積させて形成する方法等が挙げられる。
本発明の光電変換素子は、本発明の光電極と電解質層と前記光電極と対になる電極(対極)とを備えた光電変換素子である。本発明における電解質層としては、特に限定されるものではないが、例えば、電解質を溶媒に含有させた電解液、ゼリー状の電解質、固体電解質、イオン性液体等からなる層を挙げることができる。上記電解液は、特に限定されるものではなく、水系又は非水系のどちらでもよい。上記電解液に含まれる電解質としては、特に限定されるものではないが、例えば、金属塩、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩、無機酸、有機酸、フッ素化合物等を挙げることができる。これらの中でも、アルカリ金属塩、2価の金属塩が好適に例示できる。上記電解液の溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水系の場合は水を、非水系の場合は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの有機系溶媒を挙げることができる。上記対極としては、特に限定されるものではないが、例えば、金属、グラファイト、カーボン、金属酸化物等を挙げることができる。
本発明の光電極では、バーネサイト型層状マンガン酸化物が可視光を吸収することにより伝導帯へ励起された電子は、繊維状炭素を通って導電性基板へ達する。導電性基板へ達した電子は外部回路を通じて対極へ移動し、対極と電解質イオンとの電子の授受、バーネサイト型層状マンガン酸化物層と電解質イオンとの電子の授受により電流が流れる。本発明におけるバーネサイト型層状マンガン酸化物は、バルク物質とは異なり、そのすべてを表面とみることができ、マンガン酸化物層(固相)とマンガン酸化物層の間隙(電解質層)がどちらも連続的であるため、マンガン酸化物層における速い電子移動と、マンガン酸化物層の間隙における速いイオン移動を可能にする。そのため、本発明の光電極を備えた光電変換素子は、光電変換特性と光応答性に優れ、高い光電変換効率を得ることができる。また、本発明の光電変換素子では、電解質に強酸、強塩基やヨウ素を用いなくても、優れた光電変換特性が得られるので、内部の腐食劣化が防止でき、環境に与える影響も小さい。さらに、電解質層には、バーネサイト型層状マンガン酸化物に形成される正孔と選択的に反応し、ホールアクセプターとして働く物質を添加してもよい。本発明の光電極上のバーネサイト型層状マンガン酸化物層が可視光の照射を受けると、マンガン酸化物の価電子帯の電子が伝導帯に励起されることにより、価電子帯に正孔が形成される。この正孔に対し、ホールアクセプターとして働く物質を添加すると、正孔に電子が供与されるため、励起された電子が正孔に戻ることを防ぎ、外部に取り出せる励起電子を増やすことができる。上記ホールアクセプターとして働く物質としては、特に限定されるものではないが、例えば、エタノール、ブタノール、プロピルアルコール等のアルコール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルデヒド類、アスコルビン酸、トリエタノールアミンなどを挙げることができる。これらの中でも、腐食性がなく、安全性が高いエタノールを好適に例示することができる。
本発明の光充電可能なレドックスキャパシタは、本発明の光電極と電解質層と酸化還元可能な対極とを備え、対極が還元されることにより光電流が充電されることを特徴とするレドックスキャパシタである。本発明のレドックスキャパシタでは、光電極のバーネサイト型層状マンガン酸化物に可視光が照射されると、価電子帯の電子が伝導帯へ励起され、外部回路を通じて対極へ移動してきた電子により対極が還元される。一方で、上記バーネサイト型層状マンガン酸化物にインターカレートされていたカチオンが脱インターカレートし、電解質層を通じて対極へ移動する。その結果、対極に疑似容量が生じるため、可視光の照射により生じた電気エネルギーを一つの素子で直接充電することができる。また、放電時には、対極から外部回路を通じて電子が光電極に移動することにより、対極は酸化され、対極に吸着または引き寄せられていたカチオンは、電解質層を通じて光電極へ移動して、光電極のバーネサイト型層状マンガン酸化物にインターカレートされる。対極の酸化還元と、光電極のバーネサイト型層状マンガン酸化物にインターカレートされたカチオンの移動により、充放電が可能となる。
本発明における対極の材料としては、酸化還元が可能な物質であれば、特に限定されるものではないが、例えば、酸化ルテニウム、酸化マンガン、酸化ニッケル等の金属酸化物、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子、カーボン、インターカレーション化合物などを挙げることができ、これらの材料からなる層を導電性基板上に形成することにより対極とすることができる。これらの中でも、マンガン酸化物であり、インターカレーション化合物でもあるバーネサイト型層状マンガン酸化物が好ましい。対極として導電性基板上にバーネサイト型層状マンガン酸化物層が形成された電極を用いると、充電時には、対極のバーネサイト型層状マンガン酸化物が還元されると共に、光電極のバーネサイト型層状マンガン酸化物から脱インターカレートしたカチオンが、対極のバーネサイト型層状マンガン酸化物にインターカレートし、放電時には、対極のバーネサイト型層状マンガン酸化物が酸化されると共に、対極のバーネサイト型層状マンガン酸化物から脱インターカレートしたカチオンが、光電極のバーネサイト型層状マンガン酸化物にインターカレートする。このため、対極により大きな疑似容量を生じさせることができる。また、対極としては、電子の移動性を向上させるために、本発明の光電極と同様に、導電性基板上に繊維状炭素層を形成し、繊維状炭素層上にバーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成した電極とすることが好ましい。対極に用いる導電性基板、バーネサイト型層状マンガン酸化物層及び繊維状炭素層は、例えば、本発明の光電極における導電性基板、バーネサイト型層状マンガン酸化物層及び繊維状炭素層と同じものを用いることができ、本発明の光電極は、キャパシタとして用いても優れた特性を示すので、本発明の光電極と同じ構成の電極とすることができる。
本発明の光電極の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。導電性基板として、例えば、透明なガラス基板上にFTO層を形成した導電性基板を用意する。次に、この導電性基板上に繊維状炭素層として、例えば、カーボンナノチューブ層を形成する。繊維状炭素層を形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、炭素源を蒸発させる方法や炭化水素等を分解する化学気相合成法等の基板上に繊維状炭素を直接生成させる方法、繊維状炭素を分散させたコーティング液の塗布による方法、電気泳動を利用する方法などを挙げることができる。カーボンナノチューブ層を形成する場合は、電気泳動を利用した電着による方法が好ましい。電着法の場合、基板を加熱する必要がないため、基板の種類によらずカーボンナノチューブ層を形成することができ、カーボンナノチューブを基板に固定するためのバインダー等も不要のため、光電変換特性や光電流の外部回路への取り出しを阻害する物質を含まずに層形成ができる。電着による方法としては、特に限定されるものではないが、例えば以下の方法が挙げられる。カーボンナノチューブをアルコール等の溶媒に分散させ、この溶媒中に導電性基板と他の電極を浸漬する。そして、導電性基板と電極間に電圧を印加し、電界により溶液中でカーボンナノチューブを移動させて、導電性基板上に析出させ、カーボンナノチューブ層を形成する。アルコール等の溶媒中にマグネシウム、ランタン、イットリウム、アルミニウム等のイオン塩を含有させると、これらのイオン塩が溶媒に溶けてイオンとなり、カーボンナノチューブ上に付着して、カーボンナノチューブを基板上に移動させる。また、カーボンナノチューブは、溶媒に分散させる前に硫酸と硝酸の混酸中で還流すると、前記イオンと付着しやすくなる。
続いて、上記で得られた繊維状炭素層上に、バーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成する。バーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成する方法は、特に限定されるものではないが、繊維状炭素層が形成された導電性基板を、アルカリ金属イオンと過マンガン酸イオン(MnO )が共存する溶液に浸漬し、前記過マンガン酸イオンを電気化学的に還元することによりバーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成する方法が好ましい。上記本発明の光電極の製造方法では、例えば、アルカリ金属塩と過マンガン酸塩とを溶媒中に溶解させることにより、アルカリ金属イオンと過マンガン酸イオンとを溶液中に共存させる。アルカリ金属塩は、特に限定されるものではないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の塩を挙げることができ、塩化カリウムを好適に例示できる。過マンガン酸塩は、特に限定されるものではないが、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を挙げることができ、ナトリウム又はカリウムの塩を好適に例示できる。アルカリ金属イオンの過マンガン酸イオンに対する濃度比は、10〜100の範囲が好ましい。溶媒は、上記アルカリ金属塩と過マンガン酸塩とが溶解できる溶媒であれば特に限定されるものではないが、水が好ましい。
上記アルカリ金属イオンと過マンガン酸イオンとが共存した溶液に、繊維状炭素層が形成された導電性基板と対極とを浸漬し、前記導電性基板を作用極として電圧を印加し、電気化学分解して、過マンガン酸イオンを還元し、前記繊維状炭素層上にバーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成する。電極に印加する電位は、+0.17〜−0.04V(対 銀/塩化銀電極)の範囲が好ましい。本発明の製造方法によれば、バーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成する側の導電性基板として、白金や金などの不活性な貴金属基板ではなく、ITOやFTOを表面に形成した導電性基板を使用しても導電層の腐食の問題がなく、均一なバーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成することができる。対極としては、例えば、白金や金等を用いることができる。また、本発明の製造方法では、電気化学的方法を用いるため、繊維状炭素層へのバーネサイト型層状マンガン酸化物層の密着性が優れる。そのため、光電変換機能を阻害するバインダー等を必要とせずにマンガン酸化物層を形成することができるので、光電変換効率の良い光電変換素子を得ることができる。さらに、高温に加熱したり、コーティング法のように炭素表面に物理的な力を加えることがないため、あらかじめ形成されている繊維状炭素層を害することなくマンガン酸化物層を形成できる。本発明の製造方法を用いると、例えば、繊維状炭素がランダムに入り組んで三次元構造の繊維状炭素層を形成した繊維状炭素層上に、この繊維状炭素層を形成する繊維状炭素を被覆するように、繊維状炭素の表面にバーネサイト型層状マンガン酸化物層を好適に形成することができる。
多層カーボンナノチューブ(MWCNT)粉末(直径15〜35nm、長さ5μm)を、硫酸と硝酸の混酸中で30分間撹拌しながら還流した。常温になるまで室温で放置し、得られた溶液を繰り返し遠心分離器にかけ上澄みを捨て、中性になるまで蒸留水で希釈した。80℃で24時間乾燥し、得られた粉末を硝酸マグネシウムを含む2−プロパノール中で、30分間超音波分散した。この溶液中に、ガラスにFTO層を形成した基板(フッ素ドープスズガラス基板:FTO基板)を浸漬し、DC80Vで1分間泳動電着を行った。このようにしてFTO基板上にMWCNTを電着した後、電着したMWCNTを、蒸留水で洗浄後、真空乾燥して、MWCNT層を形成したFTO基板を得た。MWCNT層の厚みは、160nmであった。MWCNT層を形成したFTO基板を50mM塩化カリウムと2mM過マンガン酸カリウムを含む水溶液に浸漬し、対極として白金板を用いて、0V(vs.銀/塩化銀)を印加して通過電気量が20mC/cmになるまで電気分解した。このようにして電極基板上に二酸化マンガン薄膜を形成し、洗浄、真空乾燥した。得られた二酸化マンガン薄膜は、カリウムがインターカレートされたバーネサイト型層状マンガン酸化物(K−birMnO)であり、バーネサイト型層状マンガン酸化物の一つの層の厚みとその次の層との間の間隔を加えた値(層間距離)は、0.72nmであった。また、バーネサイト型層状マンガン酸化物層としての厚みは、約10nmであった。バーネサイト型層状マンガン酸化物の得られた電極(K−birMnO/MWCNT/FTO電極)を、5Mエタノールを含む0.5M硫酸ナトリウム水溶液中に浸漬し、対極に白金電極を用いて、+1.0Vの電位を印加した。分極電流が一定になったのを確認し、可視光を30秒間隔で照射して、電流を測定した。可視光は、Xeランプからの白色光を紫外カットフィルターに通したものを使用した。マンガン酸化物の結晶構造は、X線回折により測定し、バーネサイト型層状マンガン酸化物の各層の厚みと層間隔は、X線回折により測定し、バーネサイト型層状マンガン酸化物層としての厚みは、透過型電子顕微鏡により測定した。透過型電子顕微鏡の観察によると、FTO基板上に多層カーボンナノチューブ(MWCNT)がランダムに入り組んだ三次元構造を形成し、バーネサイト型層状マンガン酸化物層が多層カーボンナノチューブ(MWCNT)表面を被覆するように形成されていた。
[比較例1]
実施例1と同様に作製したMWCNT層を形成したFTO基板を2mM過マンガン酸カリウムを含む水溶液に浸漬し、0V(vs.銀/塩化銀)で通過電気量が20mC/cmになるまで電気化学分解した。このようにして電極基板上に二酸化マンガン薄膜を形成し、洗浄、真空乾燥した。得られた二酸化マンガン薄膜は、非晶質の二酸化マンガン(AmorMnO)であり、AmorMnO層の厚みは、約10nmであった。透過型電子顕微鏡の観察によると、FTO基板上に多層カーボンナノチューブ(MWCNT)がランダムに入り組んだ三次元構造を形成し、非晶質の二酸化マンガン層が多層カーボンナノチューブ(MWCNT)表面を被覆するように形成されていた。得られた電極(AmorMnO/MWCNT/FTO電極)を、5Mエタノールを含む0.5M硫酸ナトリウム水溶液中に浸漬し、対極に白金電極を用いて、+1.0Vの電位を印加した。分極電流が一定になったのを確認し、実施例1と同様に可視光を30秒間隔で照射して、電流を測定した。
[比較例2]
FTO基板を50mM塩化カリウムと2mM過マンガン酸カリウムを含む水溶液に浸漬し、0V(vs.銀/塩化銀)で通過電気量が20mC/cmになるまで電気化学分解した。このようにして電極基板上に二酸化マンガン薄膜を形成し、洗浄、真空乾燥した。得られた二酸化マンガン薄膜は、カリウムがインターカレーとされたバーネサイト型層状マンガンの酸化物(K−birMnO)であり、K−birMnO層の厚みは、60nmであった。得られた電極(K−birMnO/FTO電極)を、5Mエタノールを含む0.5M硫酸ナトリウム水溶液中に浸漬し、対極に白金電極を用いて、+1.0Vの電位を印加した。分極電流が一定になったのを確認し、実施例1と同様に可視光を30秒間隔で照射して、電流を測定した。
[比較例3]
実施例1と同様に作製したMWCNT層を形成したFTO基板を電極(MWCNT/FTO電極)として、5Mエタノールを含む0.5M硫酸ナトリウム水溶液中に浸漬し、対極に白金電極を用いて、+1.0Vの電位を印加した。分極電流が一定になったのを確認し、実施例1と同様に可視光を30秒間隔で照射して、電流を測定した。
実施例1及び比較例1〜3で、可視光を30秒間隔で照射したときのi(電流)−t(時間)曲線を図1〜3に示す。図1に示されたとおり、実施例1で作製された本発明の光電極である繊維状炭素層とバーネサイト型層状マンガン酸化物層とを有するK−birMnO/MWCNT/FTO電極は、バーネサイト型層状マンガン酸化物層のかわりに非晶質の二酸化マンガン層を有する比較例1のAmorMnO/MWCNT/FTO電極に比較して、可視光照射時に約3倍の光電流が得られた。また、図2に示されたとおり、実施例1で作製された本発明の光電極は、繊維状炭素層を有さずバーネサイト型層状マンガン酸化物層のみを有する比較例2のK−birMnO/FTO電極に比較して約3倍の光電流が得られた。図3に示された比較例3のMWCNT/FTO電極の結果から、カーボンナノチューブのみからは光電流は得られなかった。
また、実施例1で作製したK−birMnO/MWCNT/FTO電極を、5Mエタノールを含む0.5M硫酸ナトリウム水溶液中に浸漬し、対極に白金電極を用いて0〜+1.0Vの範囲で、2〜200mV/sの電位掃引速度で電位サイクルさせたときの電流応答を測定した。得られた電流(y)−電位(x)曲線は,キャパシタに特有の矩形、ならびにx軸に対して対称の形を示した。さらに、電位掃引速度を200mV/sと速くしても同様の挙動を示し、高容量(=高エネルギー密度)、良好な速度特性(=高パワー密度)とサイクル特性をもつキャパシタ特性が示され、可視光を照射すると、アノード掃引(酸化電位へ掃引)時の電流(充電電流)が大きくなることが認められた。
本発明の光電極や光電変換素子は、可視光から光電流を得ることができ、太陽電池用途に用いることができ、本発明のレドックスキャパシタは、可視光を受けて直接充電することができ、各種キャパシタ用途に用いることができる。

Claims (6)

  1. 導電性基板と、前記導電性基板上に形成された繊維状炭素層と、前記繊維状炭素層上に形成されたバーネサイト型層状マンガン酸化物層とを有する光電極。
  2. 繊維状炭素が、カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1記載の光電極。
  3. バーネサイト型層状マンガン酸化物が、アルカリ金属イオンがインターカレートされていることを特徴とする請求項1又は2記載の光電極。
  4. 請求項1〜3のいずれか記載の光電極と電解質層と対極とを備えた光電変換素子。
  5. 請求項1〜3のいずれか記載の光電極と電解質層と酸化還元可能な対極とを備え、対極が還元されることにより光電流が充電されることを特徴とする光充電可能なレドックスキャパシタ。
  6. 導電性基板上に繊維状炭素層を形成し、前記繊維状炭素層が形成された導電性基板を、アルカリ金属イオンと過マンガン酸イオンが存在する溶液に浸漬し、前記過マンガン酸イオンを電気化学的に還元することにより前記繊維状炭素層上にバーネサイト型層状マンガン酸化物層を形成することを特徴とする光電極の製造方法。

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