JP2014137019A - 内燃機関の始動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低温時の燃料の気化を促進して始動性を向上させることができる内燃機関の始動制御装置を提供する。
【解決手段】ガソリンとアルコールとが混合された混合燃料を利用可能な内燃機関の始動制御装置であって、エンジン始動時に、エンジン水温Tおよびアルコール濃度Cに基づき所定の燃料加熱領域であると判定した場合(ステップS2でYES)に、燃料加熱用のヒータを駆動する(ステップS3)とともに、スロットルバルブの全閉状態でクランキングを行うようスタータを駆動するEFI−ECUを備え、EFI−ECUは、ヒータによる加熱エネルギの積算量ΣEが所定量Eth以上となり(ステップS4でYES)、かつクランキング中における負圧確保用TDCカウンタの値が所定値Pth以上となるまで(ステップS8でYES)燃料噴射弁による混合燃料の噴射を禁止する。
【選択図】図2
【解決手段】ガソリンとアルコールとが混合された混合燃料を利用可能な内燃機関の始動制御装置であって、エンジン始動時に、エンジン水温Tおよびアルコール濃度Cに基づき所定の燃料加熱領域であると判定した場合(ステップS2でYES)に、燃料加熱用のヒータを駆動する(ステップS3)とともに、スロットルバルブの全閉状態でクランキングを行うようスタータを駆動するEFI−ECUを備え、EFI−ECUは、ヒータによる加熱エネルギの積算量ΣEが所定量Eth以上となり(ステップS4でYES)、かつクランキング中における負圧確保用TDCカウンタの値が所定値Pth以上となるまで(ステップS8でYES)燃料噴射弁による混合燃料の噴射を禁止する。
【選択図】図2
Description
本発明は、車両に搭載される内燃機関の始動制御装置に関する。
従来、この種の始動制御装置として、イグニッションON時にエンジン始動時の冷却水温と燃料中のアルコール濃度とに基づきエンジンが始動可能か否かを判定し、始動不能と判定した場合には燃料加熱用のヒータに通電するとともに、スタータモータに対する通電を禁止するものが知られている(例えば、特許文献1の[0005]〜[0007]参照)。
この始動制御装置では、燃料加熱用のヒータへの通電によって燃料の気化を促進させるとともに、始動不能時のスタータモータへの通電禁止によって始動性が悪化した状態でのエンジン起動を回避している。
しかしながら、従来の始動制御装置にあっては、低温時にヒータによる燃料加熱のみに依拠するため、ヒータのみでは加熱が不十分となった場合に燃料の気化を促進させることができないおそれがある。例えば、エタノール100%の燃料を用いる場合、低温時における燃料加熱のために多量の加熱エネルギが必要となる。この場合、加熱エネルギが不足して加熱不十分な状態で燃料噴射が行われ、低温時の始動性が悪化するおそれがある。
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、低温時の燃料の気化を促進して始動性を向上させることができる内燃機関の始動制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る内燃機関の始動制御装置は、上記目的達成のため、(1)炭化水素燃料とアルコール燃料とが混合された混合燃料を利用可能な内燃機関の始動制御装置であって、前記内燃機関をクランキングする始動補助手段と、前記内燃機関に供給される前記混合燃料を加熱する燃料加熱手段と、前記内燃機関に設けられた燃料噴射手段と、前記内燃機関の温度を検出する温度検出手段と、前記混合燃料中のアルコール濃度を検出する濃度検出手段と、前記燃料加熱手段による加熱エネルギの積算量を算出する加熱エネルギ積算量算出手段と、前記内燃機関の吸気負圧を検出する負圧検出手段と、前記内燃機関の始動時に、前記温度検出手段により検出された前記内燃機関の温度および前記濃度検出手段により検出された前記アルコール濃度に基づき所定の燃料加熱領域であると判定した場合に、前記混合燃料の加熱を開始するよう前記燃料加熱手段を制御するとともに、前記内燃機関のスロットル弁を全閉した状態で前記クランキングを行うよう前記始動補助手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記加熱エネルギの積算量が予め定められた所定量以上となり、かつ前記クランキング中における前記吸気負圧が予め定められた所定値以上となるまで前記燃料噴射手段による前記混合燃料の噴射を禁止する構成を有する。
この構成により、本発明に係る内燃機関の始動制御装置は、燃料加熱手段による加熱エネルギの積算量が所定量以上となり、かつスロットル弁を全閉した状態で行われるクランキング中における吸気負圧が所定値以上となるまで燃料噴射手段による混合燃料の噴射を禁止するので、混合燃料がある程度加熱された状態で、かつ所定圧以上の吸気負圧の形成によって混合燃料の加熱に必要な加熱エネルギを十分に低下させた状態で燃料噴射を行うことができる。したがって、低温時の混合燃料の気化を促進することができる。これにより、低温時の始動性を向上させることができる。
また、本発明に係る内燃機関の始動制御装置は、上記(1)に記載の内燃機関の始動制御装置において、(2)前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された前記内燃機関の温度が予め定められた所定温度未満であり、かつ前記濃度検出手段により検出された前記アルコール濃度が予め定められた所定濃度より高い場合に前記燃料加熱領域であると判定する構成を有する。
この構成により、本発明に係る内燃機関の始動制御装置は、内燃機関の温度が所定温度未満であり、かつアルコール濃度が所定濃度より高い場合に燃料加熱領域であると判定するので、混合燃料の加熱が必要な状態であるときのみ混合燃料の加熱を行うことができる。
また、本発明に係る内燃機関の始動制御装置は、上記(1)または(2)に記載の内燃機関の始動制御装置において、(3)前記制御手段は、前記内燃機関の始動時に前記燃料噴射手段による前記混合燃料の噴射が禁止されている間、前記内燃機関に設けられた点火手段による火花点火を禁止する構成を有する。
この構成により、本発明に係る内燃機関の始動制御装置は、内燃機関の始動時に混合燃料の噴射が禁止されている間、点火手段による火花点火を禁止するので、低温始動時に燃料噴射を停止した状態でプラグの放電のみを行う、いわゆる空点火によるプラグやコイル等への影響を抑えることができる。
本発明によれば、低温時の燃料の気化を促進して始動性を向上させることができる内燃機関の始動制御装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る内燃機関としてのエンジン1は、ピストン2が気筒としてのシリンダ3内を2往復する間に吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程をからなる一連の4行程を行うとともに、圧縮行程および膨張行程の間に火花点火を行う4サイクルのガソリンエンジンによって構成されている。
ピストン2は、コネクティングロッド4を介してクランクシャフト5に連結されている。コネクティングロッド4は、ピストン2の往復動をクランクシャフト5の回転運動に変換するようになっている。
また、本実施の形態に係るエンジン1に用いられる燃料は、エタノールやメタノール等のアルコールを含む混合燃料である。つまり、本実施の形態に係るエンジン1は、ガソリン等の炭化水素燃料とアルコール燃料とが混合された混合燃料を利用可能な、いわゆるFFV(Flexible Fuel Vehicle)に搭載されるFFV用エンジンである。
このFFVでは、ガソリンはもちろんのこと、アルコールとガソリンとの混合燃料、あるいはアルコールのみで走行が可能なようになっている。また、このFFVで使用する燃料アルコール濃度(以下、単に「アルコール濃度」ともいう)は、燃料補給の際のユーザ事情等により、0%(ガソリンのみ)から100%(アルコールのみ)の間で変化する。
エンジン1には、吸気管10が接続され、この吸気管10内に吸気通路10aが形成されている。吸気通路10aの最上流部には、エアクリーナ11が設けられている。また、エアクリーナ11の下流側には、吸入空気量を検出するエアフローメータ12が設けられている。
このエアフローメータ12の下流側には、スロットルモータ13によってその開度が調節されるスロットルバルブ14が設けられている。また、エアフローメータ12の下流側には、スロットルバルブ14に隣接してスロットル開度センサ15が設けられている。スロットル開度センサ15は、スロットルバルブ14の開度(スロットル開度)を検出するようになっている。本実施の形態におけるスロットルバルブ14は、本発明に係るスロットル弁を構成する。
スロットルバルブ14の下流側には、サージタンク16が設けられ、このサージタンク16に、エンジン1の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド17が接続されている。この各気筒の吸気マニホールド17の吸気ポート近傍には、それぞれ混合燃料を噴射する燃料噴射弁18が取り付けられている。本実施の形態における燃料噴射弁18は、本発明に係る燃料噴射手段を構成する。
また、エンジン1のシリンダヘッドには、各気筒ごとに点火プラグ20が取り付けられており、各点火プラグ20の火花放電によって筒内の混合気に着火されるようになっている。この各点火プラグ20の火花放電のタイミング等は、後述するEFI−ECU100によって制御される。本実施の形態における点火プラグ20は、本発明に係る点火手段を構成する。
一方、エンジン1の排気ポート側には、排気管21が接続され、この排気管21内に排気通路21aが形成されている。この排気通路21aには、エンジン1の排出ガスの空燃比またはリッチ/リーン等を検出する空燃比センサあるいは酸素センサ等で構成された排出ガスセンサ22が設けられている。この排出ガスセンサ22の下流側には、排出ガスを浄化する三元触媒等を備えた排気浄化装置23が設けられている。
また、エンジン1のシリンダブロックには、エンジン1の冷却水の温度(以下、「エンジン水温T」という)を検出する水温センサ25が設けられている。本実施の形態では、水温センサ25によってエンジン水温Tを検出することでエンジン1の温度を検出するようになっている。本実施の形態における水温センサ25は、本発明に係る温度検出手段を構成する。
クランクシャフト5の外周側には、クランクシャフト5が所定クランク角回転するごとにパルス信号を出力するクランク角センサ26が設けられている。クランク角センサ26のパルス信号は、後述するEFI−ECU100に送信される。EFI−ECU100は、クランク角センサ26から出力されたパルス信号からクランクシャフト5の回転数を算出し、エンジン回転数Neとして取得するようになっている。
さらに、エンジン1には、始動時にクランクシャフト5を回転駆動(クランキング)するためのスタータ30が設けられている。すなわち、スタータ30は、EFI−ECU100からの指令に応じてエンジン1をクランキングするようになっている。本実施の形態におけるスタータ30は、本発明に係る始動補助手段を構成する。
このように構成されたエンジン1の燃料噴射弁18は、デリバリパイプ31および燃料配管32を介して燃料タンク33に接続されている。燃料タンク33には、アルコールとガソリンとの混合燃料が貯留されるようになっている。
また、燃料タンク33内には、電動式の燃料ポンプ34が設けられており、この燃料ポンプ34によって燃料タンク33内に貯留されている混合燃料が汲み上げられて燃料配管32に圧送されるようになっている。燃料ポンプ34から吐出された混合燃料は、燃料配管32を通じてデリバリパイプ31に圧送され、デリバリパイプ31から各気筒の燃料噴射弁18に分配される。なお、燃料ポンプ34は、燃料タンク33の外部に設けられていてもよい。
燃料タンク33からデリバリパイプ31までの燃料供給系には、アルコール濃度センサ37が設けられている。アルコール濃度センサ37は、例えば燃料タンク33内や燃料配管32あるいはデリバリパイプ31に設けられ、燃料噴射弁18に供給される混合燃料中のアルコール濃度Cを検出するようになっている。本実施の形態におけるアルコール濃度センサ37は、本発明に係る濃度検出手段を構成する。
ここで、エタノールあるいはメタノール等のアルコールをガソリンと混合した混合燃料を用いることができるFFV用エンジンでは、そのアルコール濃度が低温時の始動性に大きな影響を及ぼすことが知られている。つまり、ガソリンは、多成分からなり低沸点成分を含むため、低温時においても気化し易いという特性を有する。
一方で、アルコールは、単一成分であるため、沸点が決まっており、かつその沸点も高い(例えば、エタノールの場合には約78℃)という特性を有している。このため、アルコール濃度の高い混合燃料は、アルコールの沸点より低い温度では極めて気化しにくいという欠点を有する。
こうした混合燃料の欠点を補うために、本実施の形態に係る燃料噴射弁18は、低温時の混合燃料の気化促進を目的として混合燃料を昇温するためのヒータ19を内部に備えている。
ヒータ19は、エンジン1の温度、すなわちエンジン水温Tとアルコール濃度Cとに基づき、後述する加熱用ECU200によってデューティ制御されることで、燃料タンク33からエンジン1に供給され燃料噴射弁18から噴射される混合燃料を加熱するようになっている。ヒータ19としては、例えば、比較的大きな電気抵抗を有する金属等で構成された電気ヒータを用いることができる。本実施の形態におけるヒータ19は、本発明に係る燃料加熱手段を構成する。
また、以上のように構成されたエンジン1は、エンジン用電子制御装置としてのEFI−ECU(Electric Fuel Injection−Electronic Control Unit)100によって制御される。
EFI−ECU100は、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUは、RAMの一時記憶機能を利用するとともにROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。ROMには、各種制御定数や各種マップ等が予め記憶されている。
EFI−ECU100には、上述したエアフローメータ12、スロットル開度センサ15、排出ガスセンサ22、水温センサ25、クランク角センサ26およびアルコール濃度センサ37等の各種センサ類や、スロットルモータ13、燃料噴射弁18、点火プラグ20、スタータ30および燃料ポンプ34等の各種アクチュエータ類が接続されている。
EFI−ECU100は、上述の各種センサからの入力に基づき把握されるエンジン運転状態に応じて、燃料噴射弁18の燃料噴射量や点火プラグ20の点火時期を制御するようになっている。また、EFI−ECU100は、例えばCAN通信等を介して加熱用ECU200に接続されている。
加熱用ECU200は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータを含んで構成されており、混合燃料加熱用のヒータ19を駆動するためのドライバ回路(図示せず)と、各気筒ごとに電流計201および電圧計202とをさらに備えている。電流計201および電圧計202は、各気筒ごとに設けられた各ヒータ19に流れる電流、および各ヒータ19の電圧をそれぞれ検出するものである。
加熱用ECU200は、EFI−ECU100から送信される指令信号に応じて、各ヒータ19の例えば駆動、非駆動を切り替えたり、あるいはデューティ比に応じて各ヒータ19の駆動を制御するようになっている。
また、加熱用ECU200は、EFI−ECU100によって実行される後述のエンジン始動制御において用いられるヒータ19による加熱エネルギEの積算量ΣEを算出するようになっている。
具体的には、加熱用ECU200は、各ヒータ19ごとに電流計201で検出された電流I(A)と電圧計202で検出された電圧V(v)とに基づき電力量を求め、この電力量を積算し総電力量(kWh)を算出する。総電力量(kWh)は、各ヒータ19の駆動後、燃料噴射が禁止された状態で混合燃料の加熱に供された電気エネルギの総和(積算量)である。したがって、加熱用ECU200は、ヒータ駆動後の総電力量(kWh)を加熱エネルギEの積算量ΣEとして算出するようになっている。算出された加熱エネルギEの積算量ΣEを示す情報は、後述するエンジン始動制御に用いるためEFI−ECU100に送信される。本実施の形態における加熱用ECU200は、本発明に係る加熱エネルギ積算量算出手段を構成する。
次に、エンジン始動制御に係るEFI−ECU100の構成について説明する。
従来の混合燃料加熱用のヒータを備えるエンジンでは、低温時における燃料加熱をヒータのみに頼っていたため、例えばエタノール100%の燃料を用いる場合等、高濃度アルコール燃料を用いた場合に加熱不十分となって燃料の気化促進を図ることができないおそれがあった。
そこで、本実施の形態では、混合燃料のさらなる気化促進を目的として、ヒータ19による加熱に加えて、加熱時に必要とされる加熱エネルギを低減させるためにエンジン始動時にスロットルバルブ14を閉じてクランキングを行うことで吸気負圧を増大させるようにした。これにより、吸気負圧の増大に伴ってアルコールの沸点を低下させることができ、混合燃料の気化促進に寄与することとなる。こうした制御を実現するために、本実施の形態に係るEFI−ECU100は、以下のような構成を有する。
すなわち、EFI−ECU100は、負圧確保用TDCカウンタを備えており、この負圧確保用TDCカウンタの値に基づき吸気負圧を検出するようになっている。負圧確保用TDCカウンタは、エンジン1のクランキング後にピストン2が何回上死点TDCを通過したかをカウントするものである。
したがって、EFI−ECU100は、負圧確保用TDCカウンタの値に基づきクランキング後の吸気負圧を推定、すなわち検出することができる。なお、本実施の形態では、吸気圧センサを設けていない。本実施の形態におけるEFI−ECU100は、本発明に係る負圧検出手段を構成する。
また、EFI−ECU100は、エンジン始動時に、水温センサ25により検出されたエンジン水温Tおよびアルコール濃度センサ37により検出されたアルコール濃度Cに基づき、所定の燃料加熱領域であるか否かを判定するようになっている。
例えば、EFI−ECU100は、エンジン水温Tが予め定められた所定温度Tth(例えば、20℃)未満であり、かつアルコール濃度Cが予め定められた所定濃度Cth(例えば、75%)より高い場合には、低温時であって混合燃料の加熱が必要であると判断する、つまり所定の燃料加熱領域であると判定するようになっている。
EFI−ECU100は、所定の燃料加熱領域であると判定した場合には、混合燃料の加熱を開始するよう、加熱用ECU200を介してヒータ19を制御するようになっている。
また、このとき、EFI−ECU100は、スロットルモータ13を駆動してスロットルバルブ14を全閉状態にするとともに、エンジン1のクランキングを行うようスタータ30を制御するようになっている。ここで、上述したスロットルバルブ14の全閉状態とは、スロットルバルブ14を完全に閉じる他、完全に閉じなくとも吸気負圧の増大を妨げない程度に僅かに開いた状態を含むものである。このように、本実施の形態におけるEFI−ECU100は、本発明に係る制御手段を構成する。
ここで、スロットルバルブ14の全閉状態でクランキングを行って吸気負圧を増大させても、ヒータ19による混合燃料の加熱が不十分な状態で燃料噴射が行われると、燃料の気化促進が図れず始動性が悪化する。
そこで、本実施の形態では、ヒータ19による加熱が十分となり、かつ吸気負圧も十分低下した状態となるまで燃料噴射を禁止して、始動性が悪化するような状態でのエンジン始動を回避するようにした。
具体的には、EFI−ECU100は、エンジン始動制御において、加熱用ECU200により算出された加熱エネルギEの積算量ΣEが予め定められた所定量Eth以上となり、かつ上述したクランキング中における吸気負圧が予め定められた所定値以上となるまで、つまり負圧確保用TDCカウンタの値が予め定められた所定値Pth以上となるまで、燃料噴射弁18による混合燃料の燃料噴射を禁止するようになっている。
ここで、上述の所定量Ethは、エンジン始動時のクランキングによって吸気負圧が増大し、アルコール燃料の沸点が十分に低下した状態で混合燃料を気化させるに足りる加熱エネルギが蓄積されたか否かの基準となる値であり、予め実験的に求めてROMに記憶されている。
また、上述の所定値Pthは、加熱エネルギEの積算量ΣEが上述の所定量Eth以上となる程度に十分に混合燃料が加熱された状態で、始動性の悪化を招くことなく混合燃料の気化を十分に行うことができる程度まで吸気負圧が増大したと判断できる値であり、予め実験的に求めてROMに記憶されている。
さらに、EFI−ECU100は、上述のようにエンジン始動制御において燃料噴射が禁止されている間、エンジン1の点火プラグ20による火花点火を併せて禁止するようになっている。
次に、図2を参照して、本実施の形態に係るEFI−ECU100によって実行されるエンジン始動制御の処理について説明する。図2に示すエンジン始動制御は、予め定められた時間間隔で実行される。
図2に示すように、EFI−ECU100は、イグニッション(IG)がONされると(ステップS1)、エンジン水温Tが所定温度Tth(例えば、20℃)未満であり、かつアルコール濃度Cが所定濃度Cth(例えば、75%)より高いか否かを判定する(ステップS2)。つまり、EFI−ECU100は、本ステップにおいて所定の燃料加熱領域であるか否かを判定する。
EFI−ECU100は、エンジン水温Tが所定温度Tth未満であり、かつアルコール濃度Cが所定濃度Cthより高くないと判定、つまりエンジン水温Tが所定温度Tth以上であるか、あるいはアルコール濃度Cが所定濃度Cth以下であるか、もしくはその双方であると判定した場合には、ステップS9に処理を移行して通常のエンジン始動制御を行う。すなわち、EFI−ECU100は、ヒータ19をOFFした状態でスタータ30の駆動を許可してクランキングを開始するとともに、燃料噴射および火花点火を開始する。
一方、EFI−ECU100は、エンジン水温Tが所定温度Tth未満であり、かつアルコール濃度Cが所定濃度Cthより高いと判定した場合、つまり所定の燃料加熱領域であると判定した場合には、各気筒ごとに設けられた各ヒータ19をON(駆動)するとともに、エネルギ積算フラグをONする(ステップS3)。エネルギ積算フラグがONされている間は、後述するように燃料噴射および火花点火が禁止される。
次いで、EFI−ECU100は、加熱用ECU200により算出された加熱エネルギEの積算量ΣEが所定量Eth以上となったか否かを判定する(ステップS4)。EFI−ECU100は、積算量ΣEが所定量Eth以上となっていないと判定した場合には、燃料噴射および火花点火を禁止して(ステップS5)、ステップS3に処理を移行する。一方、EFI−ECU100は、積算量ΣEが所定量Eth以上となったと判定した場合には、エネルギ積算フラグをOFFする(ステップS6)。
その後、EFI−ECU100は、エンジン1のクランキングが開始されたか否かを判定する(ステップS7)。EFI−ECU100は、クランキングが開始されていないと判定した場合には、ステップS3に処理を移行する。
一方、EFI−ECU100は、エンジン1のクランキングが開始されたと判定した場合には、負圧確保用TDCカウンタの値が予め定められた所定値Pth以上となったか否かを判定する(ステップS8)。EFI−ECU100は、負圧確保用TDCカウンタの値が所定値Pth以上となっていない、つまり所定値Pth未満であると判定した場合には、ステップS7に処理を移行し、クランキングを継続させる。
他方、EFI−ECU100は、負圧確保用TDCカウンタの値が所定値Pth以上となったと判定した場合には、燃料噴射および火花点火を許可して(ステップS9)本処理を終了する。これにより、混合燃料の気化が十分に促進される状態で、燃料噴射および火花点火が行われる。
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る内燃機関の始動制御装置の作用を説明する。
図3に示すように、イグニッション(IG)がONされ、エンジン始動制御において所定の燃料加熱領域であると判定されると、ヒータ19への通電が開始されてヒータ温度が上昇する。このとき、エネルギ積算フラグが同時にONされる。
その後、ヒータ19への通電時間の経過に伴って加熱エネルギの積算量ΣEが徐々に増加する。このとき、未だ燃料噴射および火花点火の開始を示す各信号はOFFのままである。したがって、燃料噴射および火花点火は禁止されている状態にある。
その後、時間t1において、加熱エネルギの積算量ΣEが所定量Eth以上となると、エネルギ積算フラグがOFFされた後、スタータ30がONされてエンジン1のクランキングが開始される。このとき、スロットルバルブ14は全閉状態に制御される。
エンジン1のクランキングが開始されると、エンジン回転数Neがクランキングに応じた回転数に引き上げられる。また、そのクランキングに伴って、負圧確保用TDCカウンタがカウントアップされ、その値が増加する。
このとき、スロットルバルブ14が全閉状態でクランキングが行われるので、吸気マニホールド17内の圧力であるインマニ圧力(図3では正圧として示す)が低下する。すなわち、吸気負圧が増大することとなる。
その後、時間t2において、負圧確保用TDCカウンタの値が所定値Pth以上となると、燃料噴射および火花点火の開始を示す各信号がONされ、燃料噴射および火花点火が開始される。これにより、エンジン回転数Neがさらに上昇する。
その後、スタータ30がOFFされてエンジン始動制御が終了し、エンジン1がアイドル運転状態に移行する。
以上のように、本実施の形態に係る内燃機関の始動制御装置は、ヒータ19による加熱エネルギの積算量ΣEが所定量Eth以上となり、かつスロットルバルブ14を全閉した状態で行われるクランキング中における吸気負圧が所定値以上となるまで、つまり負圧確保用TDCカウンタの値が所定値Pth以上となるまで、燃料噴射弁18による混合燃料の噴射を禁止するよう構成されている。
このため、本実施の形態に係る内燃機関の始動制御装置は、混合燃料がある程度加熱された状態で、かつ所定圧以上の吸気負圧の形成によって混合燃料の加熱に必要な加熱エネルギEを十分に低下させた状態で燃料噴射を行うことができる。したがって、低温時の混合燃料の気化を促進することができる。これにより、低温時の始動性を向上させることができる。
また、本実施の形態に係る内燃機関の始動制御装置は、エンジン水温Tが所定温度Tth未満であり、かつアルコール濃度Cが所定濃度Cthより高い場合に燃料加熱領域であると判定するので、混合燃料の加熱が必要な状態であるときのみ混合燃料の加熱を行うことができる。
さらに、本実施の形態に係る内燃機関の始動制御装置は、エンジン始動時に混合燃料の噴射が禁止されている間、点火プラグ20による火花点火を禁止するので、低温始動時に燃料噴射を停止した状態でプラグの放電のみを行う、いわゆる空点火によるプラグやコイル等への影響を抑えることができる。
なお、本実施の形態においては、混合燃料を加熱するためのヒータ19を燃料噴射弁18に設けたが、これに限らず、例えばデリバリパイプ31や、デリバリパイプ31と燃料噴射弁18との接続配管にヒータ19を設けてもよい。
また、本実施の形態においては、EFI−ECU100が負圧確保用TDCカウンタの値に基づき吸気負圧を検出するようにしたが、これに限らず、例えば吸気圧センサを設けて、この吸気圧センサから直接、吸気負圧を検出するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明に係る内燃機関の始動制御装置は、低温時の燃料の気化を促進して始動性を向上させることができ、炭化水素燃料とアルコール燃料とが混合された混合燃料を利用可能な内燃機関の始動制御装置に有用である。
1…エンジン(内燃機関)、14…スロットルバルブ(スロットル弁)、17…吸気マニホールド、18…燃料噴射弁(燃料噴射手段)、19…ヒータ(燃料加熱手段)、20…点火プラグ(点火手段)、25…水温センサ(温度検出手段)、30…スタータ(始動補助手段)、37…アルコール濃度センサ(濃度検出手段)、100…EFI−ECU(負圧検出手段,制御手段)、200…加熱用ECU(加熱エネルギ積算量算出手段)
Claims (3)
- 炭化水素燃料とアルコール燃料とが混合された混合燃料を利用可能な内燃機関の始動制御装置であって、
前記内燃機関をクランキングする始動補助手段と、
前記内燃機関に供給される前記混合燃料を加熱する燃料加熱手段と、
前記内燃機関に設けられた燃料噴射手段と、
前記内燃機関の温度を検出する温度検出手段と、
前記混合燃料中のアルコール濃度を検出する濃度検出手段と、
前記燃料加熱手段による加熱エネルギの積算量を算出する加熱エネルギ積算量算出手段と、
前記内燃機関の吸気負圧を検出する負圧検出手段と、
前記内燃機関の始動時に、前記温度検出手段により検出された前記内燃機関の温度および前記濃度検出手段により検出された前記アルコール濃度に基づき所定の燃料加熱領域であると判定した場合に、前記混合燃料の加熱を開始するよう前記燃料加熱手段を制御するとともに、前記内燃機関のスロットル弁を全閉した状態で前記クランキングを行うよう前記始動補助手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記加熱エネルギの積算量が予め定められた所定量以上となり、かつ前記クランキング中における前記吸気負圧が予め定められた所定値以上となるまで前記燃料噴射手段による前記混合燃料の噴射を禁止することを特徴とする内燃機関の始動制御装置。 - 前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された前記内燃機関の温度が予め定められた所定温度未満であり、かつ前記濃度検出手段により検出された前記アルコール濃度が予め定められた所定濃度より高い場合に前記燃料加熱領域であると判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の始動制御装置。
- 前記制御手段は、前記内燃機関の始動時に前記燃料噴射手段による前記混合燃料の噴射が禁止されている間、前記内燃機関に設けられた点火手段による火花点火を禁止することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関の始動制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2013006373A JP2014137019A (ja) | 2013-01-17 | 2013-01-17 | 内燃機関の始動制御装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2013
- 2013-01-17 JP JP2013006373A patent/JP2014137019A/ja not_active Withdrawn
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