JP2014136819A - 焼結鉱に混入した鉄片の除去方法 - Google Patents

焼結鉱に混入した鉄片の除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】焼結機の稼働率を低下させることなく、磁性が変動する焼結鉱と鉄片を峻別して検知し、焼結鉱に混入した鉄片を除去すること。
【解決手段】輸送ベルトにより輸送される焼結鉱に混入した鉄片を二段階で除去する方法であって、第一段階は、あらかじめ定めた基準値以上の鉄片を検知し、検知された鉄片を除去する工程と、第二段階は、前記基準値未満の鉄片を検知し、検知された鉄片を除去する工程を実施することを特徴とする焼結鉱に混入した鉄片の除去方法。円形クーラー2で冷却された焼結鉱は、輸送ベルト3を経由し、輸送ベルト4に積載され、第一段階として、金属検知器6により、混入鉄片が検知される。輸送ベルト4から、輸送ベルト5に乗り継がれた焼結鉱中の鉄片は、第二段階に設置された金属検知器7により検知され、輸送ベルト5を稼動したまま、磁石を有する鉄片除去機8により燒結鉱とともに自動的に除去する。
【選択図】図4

Description

本発明は、焼結鉱に混入した鉄片の除去方法に関する。
製鉄所の高炉で使用される鉄鉱石は、主に焼結鉱であり、焼結鉱を大量に、かつ、安定的に製造し、高炉に提供することが重要である。
前記焼結鉱は、鉄鉱石、粉コークス、返鉱及び副原料を含む原料を混合・造粒した後、焼結機で焼成される。焼成後の焼結鉱は、クーラーにより冷却し、高炉に使用される粒度に篩い分けられた後、高炉炉前の貯蔵槽に送られる。前記クーラーから高炉炉前の貯蔵槽への輸送方法は、輸送ベルトによる輸送が一般的である。
ところで、前記クーラーにより冷却された焼結鉱に鉄片が混入されていることがある。
焼結鉱に鉄片が混入する原因は、原料に混入した鉄片が焼結機を通過し、焼結機から排出された場合がある。その他に、焼結機のパレットのグレートや側壁その他の焼結設備の一部が損傷して発生した鉄片が焼結鉱に混入することもある。
焼結鉱に混入する鉄片は、鉄片が混入する原因によるが、一辺が100mm以下のものから、300mm以上の大型鉄片もある。
焼結鉱に混入した鉄片は、輸送中に輸送ベルトを損傷し、支障をきたし、場合によっては、焼結操業の継続を不可能とすることがある。特に、大型鉄片は、輸送ベルトを引き裂く原因となる。従って、焼結鉱に混入した鉄片を検知し除去することは、焼結鉱を安定的に製造する上で、重要である。
焼結鉱に混入した鉄片を検知する方法として、金属検知機による方法がある。この原理は、サーチコイルから輸送物に交番磁界を放射し、鉄片中に発生する渦電流による反対磁場の変化をサーチコイルの受信信号とするものである。
ところが、焼結鉱は、鉄原子が酸化したものであり、酸化の進行程度によりマグネタイト、ヘマタイトその他の鉱物組成が生成される。これらの組成のうちマグネタイトは、電気的・電磁的性質を持ち、その特性は、焼結鉱が含有するFeO分により変動する。金属検知機では、対象物の固有抵抗により渦電流の大きさが決まる。鉄の固有抵抗は、ヘマタイトの固有抵抗に比べ小さいが、鉄片が小さい場合は、鉄片中の渦電流も小さくなる。その結果、鉄の小片とヘマタイトを含む焼結鉱の金属検知機による峻別が困難であるという問題が生じる。
次に、金属検知機により検出した鉄片の除去方法であるが、磁石の磁力により鉄片を除去する方法がある。大きな鉄片の除去は、その重力に耐える磁力が必要となるが、強力磁石により除去しようとすると、焼結鉱も一緒に吸引、除去してしまう。したがって、大きな鉄片の除去を強力磁石で行うと、大量の燒結鉱も一緒に吸引、除去してしまうという問題がある。
一方、大きな鉄片の除去は、磁力によらずに、輸送中の輸送ベルトを停止し、人力又は機械力により除去することも考えられる。しかし、輸送ベルトを停止すると、連続的に生産している焼結機を停止することが必要となり、焼結機の稼働率の低下となる。
以上より、(1)小さな鉄片の検知では、金属検知機による焼結鉱と鉄片の峻別が困難であるという問題があり、(2)大きな鉄片の除去を、強力磁石で除去する場合は、大量の燒結鉱も一緒に吸引、除去してしまい、輸送ベルトを停止して除去する場合は、その頻度が多いと、焼結機の稼働率が低下するという問題がある。
プラスチック廃棄物に混入している金属異物を、効率良く選別して取り除くプラスチック廃棄物の選別装置に関する提案がある(特許文献1)。プラスチック廃棄物を受けて他端へ搬送する第1のベルトコンベアの搬送路途中に第1の金属検知器を配置して、検知した金属異物を含むプラスチック廃棄物をベルトコンベアの終端で除去する。次いで、除去された金属異物を含むプラスチック廃棄物をより高速の第2のベルトコンベアに受けて、他端へ搬送する途中で第2の金属検知器で金属異物を検出し、検知した金属異物をベルトコンベアの終端で除去する装置である。
1つの投入口から投入されたアルミの空き缶、鉄の空き缶、ガラスの空き瓶などの空き容器をそれぞれ仕分けて回収する装置の提案がある(特許文献2)。金属探知器および磁性体を検知する磁性体検知器とを組み合わせて、アルミの空き缶、鉄の空き缶、ガラスの空き瓶を検知し仕分けて回収する。
特開2004−283729号公報 特開平5−105201号公報
特許文献1に記載の発明は、プラスチック廃棄物に含まれる比較的に小片の金属異物をベルトコンベアを稼動させながら効率的に除去するものである。
これに対し、本発明の焼結鉱に混入する鉄片は、一辺が100mm以下のものから、300mm以上のものまであり、300mm以上の大型鉄片は、ベルトコンベアを稼動させながら除去すると、大量の焼結鉱も除去されるという問題がある。
特許文献2に記載の発明は、アルミ、鉄、ガラスの金属探知器および磁性体検知器に対する特性を利用するもので、これらの峻別が可能である。
しかし、本発明の課題は、焼結鉱に混入する一辺が100mm以下の鉄片から、300mm以上の大型鉄片を検知除去するものであり、特許文献2に記載の発明の適応は難しい。
連続的に生産され、磁性を有し、かつ、磁性が変動する焼結鉱に混入するサイズの異なる鉄片を検知し、除去するには、上記のさまざまな課題がある。
本発明の目的は、サイズの異なる鉄片に応じて、焼結機の稼働率を低下させることなく、磁性が変動する焼結鉱に混入した鉄片の除去方法を提供することである。
本発明者等は、焼結鉱の磁性と、鉄片の大きさによる磁性の特性を調査し、サイズの異なる鉄片に応じて、焼結機の稼働率を低下させることなく、磁性が変動する焼結鉱に混入した鉄片を除去することができるという知見を得た。
本発明は、この新たな知見に基づくものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)輸送ベルトにより輸送される焼結鉱に混入した鉄片を二段階で除去する方法であって、第一段階は、あらかじめ定めた基準値以上の鉄片を検知し、検知された鉄片を除去する工程と、第二段階は、前記基準値未満の鉄片を検知し、検知された鉄片を除去する工程を実施することを特徴とする焼結鉱に混入した鉄片の除去方法。
(2)前記基準値が、一片が200mmかつ表面積1040cmであることを特徴とする前記(1)に記載の焼結鉱に混入した鉄片の除去方法。
(3)前記第一段階で検知した鉄片は、焼結鉱の輸送ベルトを一時停止して輸送ベルトから除去し、前記第二段階で検知した鉄片は、焼結鉱の輸送ベルトが走行している状態で磁性を有する一部の焼結鉱と共に輸送ベルトから除去することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の焼結鉱に混入した鉄片の除去方法。
焼結機の稼働率を低下させることなく、大型鉄片と小型鉄片を別々に検知し、除去する焼結鉱に混入した鉄片の除去方法を提供することできる。
金属検知器の検出原理を示す図。 鉄片のサイズと検知信号電圧の関係を示す図。 焼結鉱に含有するFeOの変動を示す図。 金属検知器の配置を示す図。 第1段階の金属検知器の検知によるベルト停止回数の推移を示す図。
図1に、本発明で使用した金属検知器の検出原理を示す。前記金属検知器は、市販の一般的ものであり、これに限らない。検出の原理は、焼結鉱と鉄片の固有抵抗の差異を利用する方法である。コンベアーにより輸送中の焼結鉱に、交番磁界をサーチコイルから放射すると、焼結鉱又は混入鉄片に渦電流が発生し、このため、反対磁場の重畳又は透磁率の変化を生じさせ、サーチコイルの受信信号として、受信増幅部に送られる。これにより、焼結鉱の渦電流の変化と混入鉄片の渦電流の変化を比較し制御部にて鉄片検知信号として出すものである。
本発明者等は、鉄片のサイズによる検知信号電圧の関係を調査した。鉄片は、100mm〜300mm四方で、板圧が2.3mmのものを使用した。又、300mm四方のものは、板圧が8mmのものも用いた。金属検出器は、日新電子工業株式会社製(ND―172UV)を用いた。その結果を表1に示す。
Figure 2014136819
図2に、鉄片のサイズと検知信号電圧の関係をグラフで表した。板圧が2.3mmの200mm四方の鉄片(表面積1040cm=200mm×200mm×2+200mm×2.3mm×4)の検知信号電圧は2vであった。このことより、一片が200mm以上かつ表面積1040cmの鉄片の検知信号電圧は、2v以上であると考えられる。金属検知機による検知信号電圧が2v以上であれば、一片が200mm以上かつ表面積1040cmの鉄片を検知したことがわかった。
焼結鉱に含有されるマグネタイト含有量は、FeOで表示できる。グレート面積700mの焼結機で生産された焼結鉱について、含有FeO量を調査した。図3に、焼結鉱に含有するFeOの時系列的な変動を示す。含有FeOは、6質量%〜8.5質量%に変動している。
前記焼結鉱について金属検知機による検知信号電圧の変動を調査した。その結果、焼結鉱の金属検知機による検知信号電圧は、100mm四方で2.3mm厚の鉄片の検知信号電圧である0.460V以下で有り、品質変動に従い検知信号電圧も変動することがわかった。
次に、金属検知機により検知した鉄片を輸送ベルトから除去する方法について述べる。輸送ベルトは、焼結鉱を連続的に搬送しており、焼結鉱に混入した鉄片は、輸送ベルトを稼動させながら磁石により除去することが望ましい。
ここで、鉄片および焼結鉱に関する電気的、電磁的特性は、渦電流に関連する固有抵抗は鉄片が10−7で、焼結鉱が10−3〜10(Ωm)である。これに対し、磁気的特性、例えば比透磁率は、鉄片が90〜110で、焼結鉱が2.5〜40であり両者は近接している。従って、焼結鉱も磁力により引き付けられ除去されてしまう。
焼結鉱に含有されるマグネタイト含有量は、FeOで表示できる。グレート面積700mの焼結機で生産された焼結鉱について、含有FeO量を調査した。図3に、焼結鉱に含有するFeOの時系列的な変動を示す。含有FeOは、6質量%〜8.5質量%に変動している。燒結鉱の含有FeO量が大きいと、マグネタイト含有量が多くなり、磁石に吸着する燒結鉱も多くなる。
本発明者は、グレート面積700mの焼結機の円形クーラーから排鉱された1200mm幅の輸送ベルトで、燒結鉱に混入する鉄片の磁石による吸着試験を行った。神鋼電機株式会社製マグネット(型名SMC−165HA)を用いた。板厚が2.3mmで200mm四方の鉄片の鉄片は、弱励磁(6.16KW)で吸着できた。しかし、鉄片が、輸送ベルトの燒結鉱の下部にあり、上に燒結鉱が乗っていると、弱励磁(6.16KW)では、鉄片を吸着することはできない。この場合は、強励磁(32.1KW)にすると鉄片を吸着するが、燒結鉱も吸着した。鉄片が大型になると、鉄片の自重に抗する吸着力は増加し、鉄片の上に燒結鉱が乗ると、更に、吸着力を増加させなければならない。
そこで、本発明者は、大型鉄片(板厚が2.3mmで200mm四方以上)と、それ以外の小型鉄片を別々に除去する方法を考えた。即ち、大型鉄片は、輸送ベルトを停止し、磁力によらずに機械的な除去機により除去する方法であり、小型鉄片は、輸送ベルトを稼動させながら磁石により除去する方法である。
この方法によれば、大型鉄片は、磁石によらないので、焼結鉱を伴うことなく回収、除去することができ、小型鉄片は、輸送ベルトを止めることなく回収、除去することができる。この場合、小型鉄片と共に磁力により回収されてしまう焼結鉱は、オフラインで、鉄片と焼結鉱を分離すればよい。
大型鉄片の除去と小型鉄片の除去を別々に実施する二段階分離は以下による。第一段階は、大型鉄片の除去であり、金属検知器の感度を緩め、大型鉄片のみを検知し、検知時は輸送ベルトを停止し、磁力によらずに機械的な除去機により除去する。小型鉄片を検知しないので、輸送ベルトの停止は少なく、輸送ベルトの停止による焼結機稼働率の低下を防止することができる。第二段階は、金属検知器の感度を高め、第一段階で検知・除去をしなかった小型鉄片を検知・除去する。小型鉄片は、金属検知の頻度が高いので、輸送ベルトを稼動させながら磁石により除去する。
図4に本発明に係る鉄片の除去方法に関する金属検知器の配置を示す。焼結機1で焼成された焼結鉱は、排鉱された後、円形クーラー2で空冷される。冷却後の焼結鉱は、輸送ベルト3を経由し、輸送ベルト4に積載される。輸送ベルト4に積載された焼結鉱は、第一段階として、輸送ベルト4に設置された金属検知器6により、混入鉄片が検知される。第一段階に設置された金属検知器6は、大型鉄片のみを検知するため、金属検知器の感度を緩めて感度設定を行う。金属検知器6が鉄片を検知した場合は、輸送ベルト4を停止し、磁力によらずに機械的な除去機により除去する。
輸送ベルト4では、大型鉄片のみが検知され除去され、それ以外の小型鉄片は、輸送ベルト4から、輸送ベルト5に乗り継がれた焼結鉱に混入する。第二段階として、輸送ベルト5に設置された金属検知器7により、小型鉄片が検知される。第二段階に設置された金属検知器6は、小型鉄片を検知するように、感度設定を行う。
第二段階に設置された金属検知器7により検知された鉄片は、輸送ベルト5を稼動したまま、磁石を有する鉄片除去機8により自動的に除去する。この場合、焼結鉱の一部も同時に除去される。除去された鉄片と焼結鉱は、オフラインでそれぞれを分離し、焼結鉱は、分離、回収され製品として使われる。
グレート面積700mの焼結機の円形クーラーから排鉱された燒結鉱の輸送ベルトにおいて、本発明に係る燒結鉱に混入した鉄片の除去試験を行った。
図5に、金属検知器6の検知による輸送ベルト4の停止回数の推移を示す。1〜16の期間は、それぞれ月単位の期間であり、当該月に金属検知器6が働いて、輸送ベルト4が停止した回数を示している。
(比較期間)
本発明実施前であり、輸送ベルト4に設置された金属検知器6のみにより、大型鉄片と小型鉄片の全てを検知し、輸送ベルト4を停止して鉄片除去を行った。比較期間1〜2は、それぞれ、15回、16回の金属検知により輸送ベルト4が停止したが、そのうちの10回、12回は、小型鉄片によるものであった。その結果、それぞれ、4時間以上の焼結機の停止となった。
(実施期間)
本発明の二段階による鉄片除去を行った。金属検知器6による小型鉄片の検知をやめ、輸送ベルト4の停止を防止した。大型鉄片としては、板厚が2.3mmで200mm四方の鉄片(表面積1040cm=200mm×200mm×2+200mm×2.3mm×4)より大きな鉄片とした。
図4の第一段階としての輸送ベルト4に設置された金属検知器6は、図2に示す板厚が2.3mmで200mm四方の鉄片に対応して、検知信号電圧を2vとした。第二段階としての輸送ベルト5に設置された金属検知器7は、図2に示す板厚が2.3mmで100mm四方の鉄片に対応して、検知信号電圧を0.5vとした。
図5に示す実施期間3〜16は、大型鉄片の検知による輸送ベルト4の停止回数は大幅に減少し、焼結機の停止時間が減少し、焼結機の稼働率が向上した。
サイズの異なる鉄片に応じて、焼結機の稼働率を低下させることなく、磁性が変動する焼結鉱に混入した鉄片の除去に利用することができる。
1…焼結機、2…円形クーラー、3…輸送ベルト、4…輸送ベルト、5…輸送ベルト、6…金属検知器、7…金属検知器、8…鉄片除去機。

Claims (3)

  1. 輸送ベルトにより輸送される焼結鉱に混入した鉄片を二段階で除去する方法であって、第一段階は、あらかじめ定めた基準値以上の鉄片を検知し、検知された鉄片を除去する工程と、第二段階は、前記基準値未満の鉄片を検知し、検知された鉄片を除去する工程を実施することを特徴とする焼結鉱に混入した鉄片の除去方法。
  2. 前記基準値が、一片が200mmかつ表面積1040cmであることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱に混入した鉄片の除去方法。
  3. 前記第一段階で検知した鉄片は、焼結鉱の輸送ベルトを一時停止して輸送ベルトから除去し、前記第二段階で検知した鉄片は、焼結鉱の輸送ベルトが走行している状態で磁性を有する一部の焼結鉱と共に輸送ベルトから除去することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の焼結鉱に混入した鉄片の除去方法。
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